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Trademark Appeal Case

商標不使用取消

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2020300551
審判種別記載はありません。
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

結 論
登録第5247869号商標の指定役務中、第35類「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品(頭飾品を除く)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,手動利器・手動工具及び金具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,運動具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」についての商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

理 由

第1 本件商標

本件登録第5247869号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成19年6月27日に登録出願、第35類「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品(頭飾品を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,手動利器・手動工具及び金具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,運動具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む商標登録原簿に記載の第35類に属する役務を指定役務として、同21年7月17日に設定登録され、その後、令和元年7月9日に商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。

そして、本件審判の請求の登録日は、令和2年8月26日であり、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、平成29年(2017年)8月26日から令和2年(2020年)8月25日(以下「要証期間」という。)である。

第2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を審判請求書及び令和2年12月10日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)において、要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。

なお、以下、証拠の表記にあたっては、甲第1号証(乙第1号証)を「甲1(乙1)」のように簡略して表示する場合があり、枝番号を有する証拠において、枝番号の全てを引用する場合は、枝番号の記載を省略する。

1 請求の理由

本件商標は、その指定役務中、第35類「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品(頭飾品を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,手動利器・手動工具及び金具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,運動具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下「本件取消請求役務」という。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

2 答弁に対する弁駁

(1)被請求人が提出する証拠のうち、本件商標が「本件取消請求役務」について使用されている根拠として被請求人が主張するのは、乙第3号証ないし乙第5号証であるが、いずれの証拠も要証期間に形成されたものではない。

よって、これらの証拠は、被請求人が本件商標を要証期間内に本件取消請求役務について使用したことを何ら証明するものではない。

以下、各乙号証について検討する。

ア 乙第1号証

乙第1号証は、本件商標の商標権者(以下「本件商標権者」という。)の「履歴事項全部証明書」であるが、これは本件商標権者の法人としての商業登記の登記事項を示すものであり、その性質上、本件商標の使用とは直接的に関連しないものである。

イ 乙第2号証

乙第2号証は、本件商標権者の関連会社の一覧が掲載されたウェブページのプリントアウトであるが、本件商標の使用は確認できない。

また、被請求人は、関連会社として記載された「株式会社近畿日本ツーリストコーポレートビジネス」(以下「近畿日本ツーリストコーポレートビジネス社」という。)が、本件商標に係る商標権について通常使用権を有する旨を主張するが、この者が通常使用権を有する根拠を主張していない。

ウ 乙第3号証

被請求人は、乙第3号証をまとめて「被請求人のホームページを出力したもの」と記載しているが、乙第3号証の1として提出するウェブページ「KNT!エンタメ」は、上述の被請求人の関連会社である「近畿日本ツーリストコーポレートビジネス社」が運営に関わっていると推測されるものの、乙第3号証の2ないし乙第3号証の8として提出するウェブページ「ギフトランド」には「レッドホースコーポレーション株式会社」と記載されていることから、これらのウェブページの運営は「レッドホースコーポレーション株式会社」が行っていると推察される。

よって、乙第3号証の1ないし乙第3号証の8を一まとめにして、「本件商標権者のホームページを出力したもの」と称することは正確ではなく、むしろ、他者のウェブページ上で販売されている商品を、あたかも本件商標権者が販売しているかのような誤解を与えかねない。

そもそも、乙第3号証が印刷されたのは、要証期間外である2020年9月23日であることがうかがえるため、これらの証拠は本件商標が要証期間内に使用されていたことを何ら証明するものではない。

さらにいえば、本件商標と同一のつづりからなる「KNT!」の標章が、「エンタテイメントツアー情報のポータルサイト「KNT!エンタメ」」の名称の一部として使用されているものの、乙第3号証の1を見る限り、当該ウェブページにおいては、商品の小売は行われておらず、商品の小売を行うオンラインストア「ギフトランド」へのリンクが貼られているのみである。

つまり、「KNT!エンタメ」のウェブページ(乙3の1)は、当該オンラインストアヘの閲覧者の誘導を行っているにすぎない。

一方、実際に商品が販売されているウェブページとして被請求人が提出する乙第3号証の2ないし乙第3号証の8の内容からすれば、本件取消請求役務について使用されている商標は、オンラインストアの名称である「ギフトランド」であると認められる一方、本件商標の使用は一切認められない。

そして、オンラインストア「ギフトランド」が、ウェブサイト「KNT!エンタメ」に連なるウェブページではないことは、乙第3号証に記載されているURLアドレスが全く異なっていること、及び、上述したようにウェブページの運営者が異なっていることからすれば明らかである。

よって、乙第3号証は、本件商標が、商標法第2条第3項各号に該当する態様で、本件審判の請求登録前3年の期間内に使用されていたことを何ら証明するものではない。

エ 乙第4号証及び乙第5号証

乙第4号証及び乙第5号証は、通信販売のパンフレットであり、その表紙には本件商標と同一のつづりかならなる「knt!」の標章(別掲3。ただし、別掲3の標章中、「近畿日本ツーリスト」の文字部分を除く。)の使用が認められるものの、乙第4号証及び乙第5号証として提出するパンフレットの表紙の下部には、ともに「2008.4~2009.4」と記載されていることからも明らかなとおり、要証期間のはるか以前に、掲載商品の注文期間が終了していることが認められる。

実際に、被請求人は、要証期間内にこれらのカタログを用いて通信販売を行ったことを示す証拠を何ら提出していない。

よって、乙第4号証及び乙第5号証も、本件商標が、商標法第2条第3項各号に該当する態様で、本件審判の請求登録前3年の期間内に使用されていたことを何ら証明するものではない。

オ 乙第6号証及び乙第7号証

乙第6号証及び乙第7号証は、本件商標権者の関連会社である「近畿日本ツーリストコーポレートビジネス社」の「履歴事項全部証明書」及び事業内容が記載された同社のウェブページのプリントアウトであるが、これは被請求人の法人としての商業登記の登記事項、及び、事業内容を示すにすぎず、その性質上、本件商標の使用とは直接的に関連しないものである。

(2)結語

以上述べたように、乙第1号証ないし乙第7号証は、本件商標の上記使用事実が何ら証明されていないから、本件商標に係る登録は、取り消されるべきである。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第7号証を提出した。

1 本件商標権者は、東京証券取引所第一部上場、株式会社ジェイティービーに次ぐ大手旅行代理店であり、平成25年1月1日、商号を「近畿日本ツーリスト株式会社」(以下「旧近畿日本ツーリスト社」という場合がある。)から「KNT-CTホールディングス株式会社」(以下「KNT-CTホールディングス社」という場合がある。)に変更し、団体旅行事業を「KNT団体株式会社」(新商号「近畿日本ツーリスト株式会社」。以下「KNT団体株式会社」を「KNT団体社」といい、同社の新商号について「新近畿日本ツーリスト社」という場合がある。)に承継した。

被請求人は、いわゆる持株会社であり、複数の事業会社をぶら下げ、事業をしている。

なお、新近畿日本ツーリスト社は、現在地域ごとに分社化しており(乙1、乙2)、平成30年4月1日付けで商号変更を行い、近畿日本ツーリストコーポレートビジネス社となった。

2 本件商標は、「近畿日本ツーリスト(KNT)のエンタテインメントツアーの情報ポータルサイト」において使用されており、当該情報ポータルサイトに、ユーザー需要者がアクセスし(乙3の1)、左下の「プロが選んだ旅行用品」をクリックすると、乙第3号証の2のフロントページの画面となる。次いで、このフロントページ画面の検索入力欄である「商品名やカタログコードを入力」に購入したい商品のキーワードを入力する(乙3の2)と、それぞれの商品が列挙されるので、所望の商品を選定して支払方法を選び購入手続をする。

上記情報ポータルサイトには、乙第3号証の1に示す「KNT!」商標(別掲2。以下「使用商標1」という。)が表示されており、入力された商品のキーワードより、リンクされたそれぞれの商品を取り扱う旅行グッズの専門サイトに移行するので、約1,000アイテムある商品から所望の商品を選定することになる。

3 上記情報ポータルサイトは、当初旧近畿日本ツーリスト社によるものであったが、同社が商号変更して持株会社である本件商標権者に移行したため、現在は会社分割により旅行グッズを含む団体旅行事業を承継した近畿日本ツーリストコーポレートビジネス社が行っている。

近畿日本ツーリストコーポレートビジネス社は、本件商標権者より本件商標の使用を許諾されている(乙6、乙7)が、近畿日本ツーリストコーポレートビジネス社は本件商標権者の会社グループの一員であるため、特に書面による使用許諾契約書は作成していない。

4 本件商標は、「knt!」の文字で、ややレタリング化された欧文字と、これら欧文字に連続して「!」を付してなるところ、使用商標1は「KNT!」とややレタリング化された欧文字を大文字で書し、これら欧文字に連続して「!」を付してなる。つまり、使用商標1は、欧文字部分が大文字になっている点及び書体が若干異なる点が、本件商標とは異なる。

しかしながら、このような相違は同一の称呼及び観念を生じ、外観において同視されるものであるから、使用商標1は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。

5 上記使用は、平成25年1月1日前までは本件商標権者たる旧近畿日本ツーリスト社によりパンフレット(乙4、乙5)に示すようになされ、同日から同30年3月31日までは新近畿日本ツーリスト社、同年4月1日から現在までは通常使用権者たる近畿日本ツーリストコーポレートビジネス社によりなされており、本件審判請求の予告登録日前3年以内の要証期間内の使用である。

なお、パンフレット(乙4、乙5)は、既に頒布終了しているため、現品がないのでコピーを原本とし、必要ページのみ提出する。

これらは、本件商標が表示された総合パンフレット(乙4、乙5)であり(表紙及び裏表紙。以下、パンフレットに表示された商標(別掲3)を、「使用商標2」という。また、「使用商標1」と「使用商標2」をまとめていうときは「使用商標」という。)、例えば、小銭入れ、石けん、キーホルダー、ペンダントはさみ、折り畳みナイフ(乙4の6、乙4の16、乙4の27、乙5の12、乙5の25、乙5の30等)といった商品が記載され、顧客に対する便益の提供がなされていた。

6 よって、本件商標は、許諾会社により本件指定役務について要証期間内に使用されているから、本件審判請求は理由がない。

第4 当審においてした審尋

1 審判長は、令和3年4月28日付け審尋(以下「審尋1」という。)、同年6月14日付け審尋(以下「審尋2」という。)、同年8月2日付け審尋(以下「審尋3」という。)及び同5年6月22日付け審尋(以下「審尋4」という。)を発し、審尋1においては、被請求人に対し、同人が提出した証拠によっては、被請求人が商標法第50条第2項に規定する本件商標を使用している事実を証明したものとは認めることができない旨の合議体の暫定的見解を示した上で、新たな証拠がある場合には提出するとともに、乙各号証の記載に対応して、それらが商標法第2条第3項各号のいずれに該当するのか個別具体的に主張し、さらに、請求人の主張に対する意見があれば回答するよう求めた。

また、審尋2においては、請求人に対し、令和3年6月7日付け上申書(以下「上申書1」という。)において、被請求人が請求人との間で和解交渉を開始したため本件審判の手続の中止を求める旨述べているので、これについて意見を求め、さらに、審尋3において、被請求人に対し、審尋1に対する回答書の提出を求め、さらには、審尋4において、請求人に対し、上申書1において、和解交渉を述べているところ、交渉が成立している場合には、本件審判の請求を取り下げるよう求めると同時に、被請求人に対しては、乙第4号証及び乙第5号証に関する新たな証拠の提出を求めた。

2 請求人及び被請求人の対応

請求人は、審尋2及び審尋4に対し、何ら応答していない。

また、被請求人は、審尋1に対して、上申書1において「審判請求人と和解交渉を開始したので、審理中止をお願いしたい」旨を述べ、審尋3に対して、何ら応答しておらず、審尋4に対して、令和5年6月30日付け上申書において、請求人との間の和解交渉が不調となった旨、並びに、乙第4号証及び乙第5号証についての新たな証拠は提出しない旨を述べた。

第5 当審の判断

1 被請求人の立証責任

商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。

すなわち、本件商標の使用をしていることを証明するには、商標法第50条第2項に規定されているとおり、被請求人は、要証期間に、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件審判請求に係る指定役務のいずれかについての、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の使用(商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用行為)をしていることをすべて証明する必要がある。

2 被請求人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。

(1)被請求人は、平成25年1月1日、商号を「旧近畿日本ツーリスト社」から、現在の商号である「KNT-CTホールディングス社」に変更した、いわゆる持株会社であり、その子会社である「KNT団体社」(現商号:「近畿日本ツーリスト株式会社」)に団体旅行事業を承継した(被請求人の主張)。

乙第1号証は、KNT-CTホールディングス社の履歴事項全部証明書であり、本件商標権者は、平成30年11月5日に、東京都千代田区東神田一丁目から東京都新宿区西新宿二丁目に本店を移転している。

(2)乙第2号証は、被請求人が、自身のホームページを出力したと主張するもので、上部欄外には「2020/9/23」及び「グループ会社一覧|企業情報|KNT-CTホールディングス株式会社」、下部欄外にはURLの記載があり、当該ページの上部には「グループ会社一覧」として「KNT-CTホールディングスグループ会社」の記載、及び、その下部に「国内旅行会社」として近畿日本ツーリストコーポレートビジネス社などの会社名の記載がある。

(3)乙第6号証は、近畿日本ツーリストコーポレートビジネス社の履歴事項全部証明書であり、平成30年4月1日に新近畿日本ツーリスト社から近畿日本ツーリストコーポレートビジネス社へ商号が変更され、同月9日に登記されていること、及び、同年11月5日に東京都千代田区東神田から同区神田和泉町へ本店が移転され、同月9日に登記されていること、同年4月1日にKNT-CTホールディングス社、株式会社近畿日本ツーリスト首都圏及び株式会社近畿日本ツーリスト関東に会社分割され、同月9日に登記されたことなどの記載がある。

また、乙第7号証は、近畿日本ツーリストコーポレートビジネス社のホームページを出力したものと主張するもので、上部欄外には「2020/9/23」の記載があり、下部欄外にはURLの記載があり、当該ページの上部には「会社概要」として「社長メッセージ」の見出しの下、「私たち、株式会社近畿日本ツーリストコーポレートビジネスは、近畿日本ツーリスト株式会社の承継会社として、平成30年4月1日付で商号変更して事業を開始いたしました。」の記載がある。

(4)乙第3号証は、近畿日本ツーリストコーポレートビジネス社のホームページを出力したものと主張するもので、上部欄外には「2020/9/23」の記載があり、下部欄外にはURLの記載がある。

それらのうち、乙第3号証の1は、その上部に、「KNT!エンタメ」(ただし、「ン」の左上部の払い状の部分は、白抜きの星型に置き換えている。)、「近畿日本ツーリスト(KNT)のエンタテインメントツアー情報ポータルサイト」の文字、レタリングされた「KNT!」(使用商標1)及び、左側中央やや下部の四角図形内に「プロが選んだ旅行用品」の文字、さらに、下部には細長の長方形状の図形内に「このサイトの運営 株式会社近畿日本ツーリストコーポレートビジネス」の記載がある。

また、乙第3号証の2ないし乙第3号証の8のウェブサイトには、左上部に、「ギフトランド」の文字、並びに、下部には「Copyright 2020 Redhorse Corporation. All Rights Reserved.」及び「レッドホースコーポレーション株式会社」(以下「レッドホース社」という。)の記載がある。

(5)乙第4号証及び乙第5号証は、被請求人がパンフレットのコピーと主張するもので、1葉目の右上部には「出発前に予約・帰国後に受取る」及び「海外おみやげ」の表示、右下段右隅には「2008.4△2009.4」(合議体注:「△」は右向き三角形のところ、便宜上「△」で表示した。)、並びに、その右側下部中央及び左下部には、本件商標と同一の態様の「Knt!」(使用商標2)及びその下段に「近畿日本ツーリスト」の文字を2段に表した記載、さらに、2葉目の左上部には「近畿日本ツーリスト(株)トラベルサポート」の文字、及び同右側中央部付近に「このカタログの受付有効期間は2008年4月から2009年4月末日までです。」の文字がある。

また、同号証には、石けん(乙4)、小銭入れ、キーホルダー、ペンダント(以上、乙4、乙5)、はさみ、折り畳みナイフ(以上、乙5)の各商品の画像が掲載されている。

なお、乙第4号証及び乙第5号証に係るパンフレットの作成部数や、それの配布先、配布時期、配布部数等の配布事実を客観的に裏付ける証拠は不明である。

3 判断

(1)本件商標と使用商標の社会通念上の同一性について

ア 本件商標について

本件商標は、別掲1のとおり、ややレタリング化された「knt」の欧文字に「!」を付した「knt!」を青色で横書きしてなるものである。

イ 使用商標について

使用商標1は、別掲2のとおり、ややレタリング化された文字で、本件商標と同一のつづりからなる「KNT!」を横書きしてなるものである。

使用商標2は、別掲3のとおり、本件商標と同一のつづりかならなる「knt!」を横書きしてなるものである。

ウ 本件商標と使用商標の社会通念上の同一性について

本件商標と使用商標1とを比較すると、両者は、文字のレタリング及び色彩の差異、並びに、大文字と小文字の差異が認められるものの、いずれも「knt(KNT)!」の文字つづりからなるから、使用商標1は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。

次に、本件商標と使用商標2とを比較すると、両者は、文字のレタリング及び文字の色彩の差異が認められるものの、いずれも「knt!」の文字つづりからなるから、使用商標2は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。

(2)使用者について

上記2(1)ないし(3)によれば、被請求人は、複数のグループ会社を有する、いわゆる持ち株会社であり(被請求人の主張)、そのグループ会社の中には、平成25年1月1日に商号を「旧近畿日本ツーリスト社」から変更した「KNT-CTホールディングス社」、同社から団体旅行事業を承継した「KNT団体社」が、この名称より商号変更した「新近畿日本ツーリスト社」から、さらに、同30年4月1日に商号を変更した「近畿日本ツーリストコーポレートビジネス社」がある。

そうすると、本件商標権者と近畿日本ツーリストコーポレートビジネス社とは、密接な関係があったということができるから、近畿日本ツーリストコーポレートビジネス社は、本件商標の使用について、本件商標権者から黙示の許諾を与えられていたものと推認することができる。

したがって、「近畿日本ツーリストコーポレートビジネス社」は、本件商標に係る通常使用権者であるということができる。

また、乙第3号証の2ないし乙第3号証の8に係るウェブサイトには、被請求人との関係が明らかではないレッドホース社の記載があり、これは、被請求人提出に係る全証拠をみても、レッドホース社が、本件商標権者、本件商標の専用使用権者又は通常使用権者のいずれかであることを特定することができない。

(3)使用時期について

上記2(4)によれば、乙第3号証に、本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標1の表示があるとしても、これら証拠に表示された日付は、いずれも要証期間外であり、要証期間に、乙第3号証の内容がウェブサイトに掲載されていたかどうか不明である。

上記2(5)によれば、乙第4号証及び乙第5号証に、本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標2の表示があるとしても、これら証拠に表示された日付は、いずれも要証期間外であり、要証期間に、乙第4号証及び乙第5号証のパンフレットが製作・頒布されていたかどうか不明である。

(4)使用行為について

上記2(4)によれば、乙第3号証の近畿日本ツーリストコーポレートビジネス社のウェブサイトにおける、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる使用商標1の使用は、本件商標の通常使用権者の使用と認められるものの、当該ウェブサイトからは、具体的に商品の小売等が行われていることを把握することはできず、その他の記載からも、具体的に商品の小売等が行われていることを把握することはできない。

また、乙第3号証の2ないし乙第3号証の8は、各葉の上部中央に「KNT 近畿日本ツーリストおみやげ宅配サービス」の記載が認められるものの、上記(2)のとおり、レッドホース社が本件商標の商標権者又は使用権者とは認められないことから、本件商標権者又は本件商標の通常使用権者によって、具体的に商品の小売等が行われていることを認めることはできない。

さらに、乙第4号証及び乙第5号証にかかるパンフレットのコピーには、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる使用商標2の表示があるものの、当該パンフレットの作成日、作成部数、頒布方法、頒布地域等、当該パンフレットの作成及び頒布の事実を裏付ける証拠が提出されていない。

そうすると、本件商標権者又は本件商標の通常使用権者が、本件取消請求役務を取引したとする事実を裏付ける証拠は提出されていないというべきであって、本件商標権者又は本件商標の通常使用権者が、本件商標を本件取消請求役務のいずれかに使用したことを認めることはできない。

(5)その他の被請求人の提出に係る証拠をみても、要証期間内に、本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)を、本件取消請求役務について、商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用をしたことを認めるには足りない。

(6)小括

上記のとおり、被請求人が提出した証拠によっては、要証期間に、本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件取消請求役務について、本件商標を使用したことを認めるに足りる事実を見いだせない。

4 まとめ

以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、本件取消請求役務のいずれかについての本件商標(本件商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていることを証明したものとは認められない。

また、被請求人は、本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定役務中「本件取消請求役務」についての登録を取り消すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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