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Trademark Appeal Case

指定商品該当性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2022300878
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

理 由

第1 本件商標

本件登録第5371426号商標(以下「本件商標」という。)は、「ANT’S」の文字を標準文字で表してなり、平成22年2月22日に登録出願、第9類「セットトップボックス,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,業務用テレビゲーム機,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,レコード,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる音楽ファイル,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」を指定商品として、同年11月26日に設定登録されたものである。

そして、本件審判請求の登録は、令和4年10月20日にされたものであり、この登録前3年以内の期間(令和元年(2019年)10月20日~同4年(2022年)10月19日)を、以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張の要点

請求人は、本件商標の指定商品中、第9類「電子応用機械器具及びその部品」(以下「本件審判請求に係る指定商品」という。)の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書及び令和4年12月20日付け審判事件答弁書(以下「第1答弁書」という。)に対する同5年2月22日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)にて、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証を提出した。

なお、以下、証拠の表記にあたっては、甲第1号証を「甲1」、乙第1号証を「乙1」のように簡略して表示する場合があり、枝番号を有する証拠において、枝番号の全てを引用する場合は、枝番号の記載を省略する。

1 請求の理由

本件商標は、本件審判請求に係る指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである

2 弁駁書による主張

(1)被請求人が主張する「「店舗向けサイネージ」のサイネージコントローラ」は、「電子応用機械器具及びその部品」にあたらない

ア 被請求人は、「「店舗向けサイネージ」のサイネージコントローラ」(以下「本件使用商品」という。)について、本件商標を使用していると答弁し、本件使用商品は「アスコンが自社開発したSTB(セットトップボックス)※です。」と説明している。すなわち、被請求人自らが主張する、本件使用商品は、同人が自社開発したSTB(セットトップボックス)であり、これは「電気通信機械器具」に当たるから、「電子応用機械器具及びその部品」ではない。

この点、被請求人は、本件使用商品について、「ユーザのニーズに合わせた様々なコンテンツ(映像・音声)及び番組パターンをサーバから受信し、その内容に従って様々な機器(表示器)において画像表示・音声出力する装置」である、とも説明している。すなわち、本件使用商品の用途は、映像・音声等をサーバから受信し、これを様々な表示器に表示するための機器である。言い換えれば、本件使用商品は、様々なコンテンツ(画像・音声等)をサーバから受信し、これを様々な表示器に対して送信し、表示させる送受信装置である。

繰り返しになるが、被請求人ホームページ(乙1)でも「サイネージコントローラー」と明記されていることからも明らかなように、本件使用商品の用途は、店舗向けサイネージのコントローラーにとどまる。

ちなみに、「音声及び映像の記録及び再生用機械器具用リモートコントローラー」は、電気通信機械器具の範ちゅうに属する(甲1)。

イ STB(セットトップボックス)の語は一般的に使用され、説明されている

(ア)地上デジタル放送、BSデジタル放送及びCATV多チャンネル(CSデジタル)放送を受信するためのケーブルテレビ専用チューナー(甲2)。

(イ)STBとは「SetTopBox(セットトップボックス)」の略称で、一般的に動画やテキスト・画像などのコンテンツを表示させる機材のことをいいます(甲3)。

(ウ)STB(セットトップボックス)とは、テレビを見る際に必要な機器のひとつで、基地局から発信された放送信号をテレビモニターに表示させるための信号に変換する役割を担っています。その名称は、テレビがまだブラウン管だった時代に、テレビの「上に置く箱」だったことからこの名が付いたとされています(甲4)。

(エ)放送信号(アナログ放送、デジタル放送、衛星放送など)を受信し、一般のテレビで視聴可能な信号に変換する装置です(甲5)。

(オ)本件使用商品も、被請求人のホームページにて記載のとおり、「店舗や商業施設、居住施設等でスマートフォン配信、サイネージ配信機器、情報閲覧端末、インターネットなど様々な利用シーンでの活用が可能」となったものの、STB機器であることに変わりはない。

また、本件使用商品は、デジタルサイネージの専用品ではなく、スマートフォン、テレビを含む不特定の様々な端末機器に、コンテンツを配信するための汎用の電気通信機械器具であって、他社の同種商品においても、汎用品として紹介されている(甲6、甲7)。

ウ STBは「電気通信機械器具及びその部品」の範ちゅうに属するとされていること

検索サイト「特許情報プラットフォーム」の「商品・役務名検索」でも、STBは、表記方法の差異はあるものの、全て電気通信機械器具及びその部品の範ちゅうの類似群コードが振られている(甲8)。換言すれば、いずれの商品についても、「電子応用機械器具及びその部品」の類似群コードは振られておらず、両商品は画然と区分けされる商品であって、類似商品にもあたらないことは明らかである。

また、被請求人は、本件使用商品が「高性能CPUの搭載により様々な配信処理をスピーディに対応」する機能や、「本体内に配信コンテンツ、日付/時問を保持しているため通信障害の際にも表示を継続」する機能を有することをもって、「データ処理用のコンピュータハードウェア及びコンピュータソフトウェア」の範ちゅうに属すると主張するが、以下の点で誤りである。

今日、「高性能CPU」が安価に入手でき、極めて多くの電化製品に採用されていることは周知に属し、例えば、家庭用の洗濯機・自動炊飯器等にもCPUは搭載されているし、それによって複雑かつスピーディーに目的を達することが可能となった。

しかしながら、「高性能CPU」が搭載されている機器が、全て「データ処理用のコンピュータハードウェア及びコンピュータソフトウェア」の範ちゅうに属するわけではない。同様に、ファックス等にも「本体内に配信コンテンツ、日付/時問を保持しているため通信障害の際にも表示を継続」する機能は搭載されているが、ファクシミリは通信機器であって、それだけの理由から、ファクシミリが「データ処理用のコンピュータハードウェア及びコンピュータソフトウェア」になるわけでもない。

この点は、さきの「商品・役務名検索」においても明らかである(甲9)。

(2)乙第2号証は、本件使用商品が要証期間内に販売されたことの証拠にはならない

被請求人は、乙第2号証によって、本件使用商標が要証期間内に使用されたことは「明らかである」と主張する。

しかしながら、請求書(乙2)は、請求人の作成にかかるものであって、これに対応する受領書や入金記録は一切提出されていない。すなわち、乙第2号証は、被請求人が、その他の誰の関与も得ることなく、自ら任意に作成できるものであるから、立証資料(証拠)とは認められない。

(3)結言

以上より、被請求人の第1答弁書では、要証期間にWaybackMachineの記録が僅か1件あるのみであって、本件商標の使用時期は定かではなく、仮に、同記録が過去に存在したとしても、そもそも本件使用商品は、本件審判の請求対象である「電子応用機械器具及びその部品」にあたらない。

これは、被請求人のホーページの解説、一般的な用例、及び、商品の区分の実績等のいずれの観点からも明らかである。

したがって、本件商標の使用は立証されていないことに帰するから、本件商標の登録は取り消されるべきである。

3 令和5年8月16日付け審判事件答弁書に対する意見

請求人は、令和5年8月16日付け審判事件答弁書(以下「第2答弁書」という。)に対し、何ら弁駁していない。

第3 被請求人の主張の要点

被請求人は、結論同旨の審決を求め、第1答弁書及び第2答弁書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第7号証を提出した。

1 主張の要旨

本件商標の権利者(以下「本件商標権者」という。)は、本件商標を要証期間に、日本国内において、本件審判請求に係る指定商品に使用していた。

2 第1答弁書における主張

(1)本件商標を、本件審判の請求の登録前3年の間に日本国内において、本件商標権者が電子応用機械器具に関する広告に付して頒布した事実を、WaybackMachineの本件商標権者のホームページ閲覧画面の画像(乙1)を提示することにより立証する。

なお、WaybackMachineは、非営利団体InternetArchiveによって保存された過去のウェブサイトを閲覧できるツールであり、閲覧したいWebページのURLを入力すると、過去のある時点において一般公衆による閲覧可能な状態に置かれていた当該Webページを保存し、その保存日とともに当該Webページを確認可能とするものである。

(2)WaybackMachineのBROWSE HISTORYの入力欄に、本件商標権者のホームページ内の「事業領域」の「デバイス開発・運用」の一覧から選択した「店舗向けサイネージ」のWebページのURLを入力して表示される画像(乙1の画像1)には、「Saved 1 time January 21,2022.」と記載されており、本件商標権者のホームページ内の上記「店舗向けサイネージ」のWebページが、少なくとも2022年1月21日において一般公衆による閲覧可能な状態に置かれており、WaybackMachineによって保存されていることが示されている。

乙第1号証の画像2ないし5は、乙第1号証の画像1のカレンダーにおいて丸印で網掛け表示されている2022年1月21日の日付をクリックして表示される画像であって、本件商標権者のホームページ内の上記「店舗向けサイネージ」のWebページを示している。

本件商標権者のホームページ内の上記「店舗向けサイネージ」のWebページのうち乙第1号証の画像2及び画像3には、本件使用商品について、本件商標と同一の商標である「ANT’S」の文字が付されて掲載されている。

また、本件使用商品は、乙第1号証の画像2及び画像3の記載から明らかなとおり、ユーザのニーズに合わせた様々なコンテンツ(映像・音声)及び番組パターンをサーバから受信し、その内容にしたがって様々な機器(表示器)において画像表示・音声出力する装置であり、少なくとも、「高性能CPUの搭載により様々な配信処理をスピーディに対応」する機能、「本体内に配信コンテンツ、日付/時間を保持しているため通信障害の際にも表示を継続」する機能のそれぞれの機能を有している。

このため、本件使用商品は、その用途及び機能から、「データ処理用のコンピュータハードウェア及びコンピュータソフトウェア」の範ちゅうに属する商品であるから、少なくとも本件審判請求に係る「電子応用機械器具及びその部品」に属する。

(3)また、取引書類の一である請求書の写し(乙2)を提示することにより、本件商標権者が、本件使用商品を、商品名「ANT’S」として、要証期間内かつ日本国内において販売していることについても立証するが、これには、「請求書」の表題の下、請求先はマスキングされているものの、請求元には、「株式会社アスコン」の表示と、株式会社アスコンのホームページ内の「会社概要」ページ(乙3の画像2)に示されるとおりの東京オフィス住所の表示と、その左横に請求日として「令和3年11月30日」の表示がある。また、下の四角枠内においては、納入先や単価・金額などがマスキングされているものの、品名欄において「アンツ」や「ANT’S」との記載がある。

そうすると、本件使用商品を商品名「アンツ」や「ANT’S」として、少なくとも2021年11月に「株式会社アスコン」が販売していることは、明らかである。

(4)以上によれば、本件商標権者は、要証期間に日本国内において、本件審判請求に係る指定商品に相当する本件使用商品に関する広告及び取引書類に、本件商標と同一の商標である本件使用商標を付して頒布したこと(商標法第2条第3項第8号)は明らかである。すなわち、本件商標を、要証期間に日本国内において、本件商標権者により本件審判請求に係る指定商品について使用されていることは明らかである。

よって、本件審判の請求は、成り立たないとの審決を求める。

3 第2答弁書における主張

(1)請求人は、「本件使用商品の用途は、映像・音声等をサーバから受信し、これを様々な表示器に表示するための機器」と主張しているが、本件使用商品は、請求人が主張する機能にとどまるものではなく、「本件使用商品であるサイネージコントローラは、メモリに格納されているプログラムに従ってCPUに以下の処理などを行わせる装置」であり、「所定時間毎に自発的にサーバにアクセスして新たなデータ(コンテンツ及び番組パターンを特定するためのデータを含む。)の有無を判定する判定処理」、「判定処理において新たなデータが有ると判定したときに、当該データをダウンロードしてメモリに格納する受信・格納処理」、「配信先となる表示器として複数台接続される場合に、表示器毎に配信するコンテンツを設定する設定処理」並びに「番組パターン(コンテンツ毎に予め設定されている配信時刻、配信時間(長さ)などを特定する情報を含む。)にしたがって、格納しているコンテンツを配信先として設定している表示器に配信する配信処理」の機能を本質的な要素としている点において、従来の「STB」と相違している。

また、上記のような処理が行われることにより、本件使用商品であるサイネージコントローラは、当該サイネージコントローラ内に格納されているデータを最新のデータに自動的に更新し、最新の番組パターンにしたがって最新のコンテンツを配信先として設定している表示器に配信する機能を備えている。

さらに、本件使用商品は、OSとしてAndroid6を搭載しているコンピュータハードウェアであり、本件使用商品の設置・操作マニュアル(乙4)の第6頁(「リモコンの操作1/2」との書き出しから始まる頁)に示されるとおり、本件使用商品は、接続している特定の表示機器にAndroid6のホーム画面を表示し、当該サイネージコントローラの端末設定や、インストールされているアプリを起動させて当該アプリに応じた機能を発揮させ得るものである。

また、乙第4号証の第6頁には、本件使用商品にプレインストールされている複数種類のアプリとして、サイネージアプリの他に、インターネットに接続している環境下においてはインターネット上に公開されている様々なWEBサイトを閲覧等可能とするブラウザアプリや、ユーザが所有する写真・動画データなどを蓄積して閲覧等可能とするギャラリーアプリ、ユーザが所有する音楽データを蓄積して聴くことを可能とする音楽アプリなど、サイネージとは異質の機能を発揮させ得るアプリが含まれていることや、USBマウスを接続して操作可能であることなどが記載されている。さらに、本件使用商品は、スクリーンキーボードを用いることや、別途USBキーボードを接続することにより、文字入力操作なども可能であり、Android6を搭載しているため、インターネットに接続している環境下においてはブラウザを起動させてアプリダウンロード専用サイトにアクセスすることにより、ダウンロード可能となっている複数種類のアプリのうちから、ユーザの使用用途などに応じたアプリをダウンロードしてインストールすることにより、サイネージコントローラとしてより進化した機能を追加することやその他の様々な機能を発揮させることが可能であるため、ユーザの使用用途などに応じた使い方ができるコンピュータハードウェアであることも明らかである。

以上に示した機能は、本件使用商品のメモリに格納されているプログラムに従ってCPUに処理を行わせることにより発揮されるものであるから、電気通信のみを主たる目的とするものではなく、電子の作用を応用したもので電子の作用をその機械器具の機能の本質的な要素としているものである。

よって、これらの機能を備える本件使用商品は、コンピュータハードウェアであり、「第9類:電子応用機械器具及びその部品」に該当する。

(2)請求人は、「商品・役務名検索」(甲8)でも、STBは、表記方法の差異はあるものの、全て「電気通信機械器具及びその部品」の範ちゅうである類似群コードが振られている旨主張し、また、ファックス等にも「本体内に配信コンテンツ、日付/時間を保持しているため通信障害の際にも表示を継続」する機能は搭載されているが、ファクシミリは通信機器(甲9)であって、それだけの理由から、ファクシミリが「データ処理用のコンピュータ及びコンピュータソフトウェア」になるわけでもない旨主張する。

しかし、甲第8号証は、「商品・役務名検索」の類似群コード欄に「llBOl」を入力して検索した結果を示すものであり、商品・役務名欄に「セットトップボックス」のみを入力して検索した結果を示すものではない。同様に、甲第9号証は、「商品・役務名検索」の類似群コード欄に「llBOl」を入力して検索した結果を示すものであり、商品・役務名欄に「ファクシミリ」のみを入力して検索した結果を示すものではない。

これに対して、「商品・役務名検索」では、「商品・役務名」の襴に「セットトップボックス」のみを入力して検索した場合、及び、「ファクシミリ」のみを入力して検索した場合のいずれにおいても、類似群コードとして「llCOl」が振られているものが抽出される(乙5、乙6)が、これは、商品名「セットトップボックス」あるいは「ファクシミリ」であっても、商品名のみから画一的に類似群コードを振るのではなく、商品名から備えていると想定される機能まで勘案されて、類似群コードが振られているものである。

本件使用商品についても同様に、上記のとおり従来の「STB」の機能にとどまらず、新たな機能を備えており、機能の本質としてコンピュータハードウェアの機能を有していることからも、「電子応用機械器具及びその部品」にも該当することは明らかである。

(3)請求人は、「乙第2号証は、被請求人が、その他の誰の関与も得ることなく、自ら任意に作成できるものであるから、立証資料(証拠)とは認められない。」旨主張している。

これに対し、株式会社ププレひまわりが、要証期間内である令和3年11月以降、日本国内において、商標「ANT’S」が付された本件使用商品の貸与を受け、本件商標権者より引き渡しを受けていることを証明するための陳述書(乙7)を提示する。

よって、本件商標権者が、本件商標「ANT’S」が使用された商品を、要証期間内に日本国内において使用(引き渡し)していることは明らかである。

第4 当審の判断

1 被請求人の立証責任

商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。

すなわち、本件商標の使用をしていることを証明するには、商標法第50条第2項に規定されているとおり、被請求人は、ア 要証期間に、イ 日本国内において、ウ 本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、エ 本件審判請求に係る指定商品のいずれかについての、オ 本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の使用(商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用行為)をしていることをすべて証明する必要がある。

2 被請求人の提出した乙各号証によれば、以下のとおりである。

(1)インターネットアーカイブに保存され、「Wayback Machine」を用いて取得された令和4年(2022年)1月21日時点における本件商標権者のウェブサイト(乙1。以下「本件ウェブサイト」という。)には、「デバイス開発・運用」の見出しの下、「サイネージコントローラー【ANT’S】」、「サイネージコントローラー【ANT’S】(アンツ)とは アスコンが自社開発したSTB(セットトップボックス)※です。店舗や商業施設、居住施設等でスマートフォン配信、サイネージ配信機器、情報閲覧端末、インターネットなど様々な利用シーンでの活用が可能です。貴社のニーズ(必要な時に必要な場所へ必要な情報を配信)の具現化をお手伝いします。また、制作から保守、運用までをサポートいたします。 ※STB(セットトップボックス)とは、放送信号を受信して、映像・音声をテレビモニターで視聴可能な信号に変換する装置のことです。(必要な時に必要な場所へ必要な情報を配信)の具現化をお手伝いします。」の記載があり、また、当該記載の下部には、「ANT’S」の欧文字からなる商標(以下「使用商標」という。)、直方体状の画像、「無線/有線LANに対応 HTMLコンテンツ対応」及び「アンツがサーバーの役割をし、コンテンツを配信」の記載が上下に配置されている(乙1の画像2)。

上記本件ウェブサイトには、「ANT’S(R)本体仕様」(審決注:(R)は、「R」の丸付き文字である。)の見出しの下、「主な仕様 ・OS/Android6」の記載がある(乙1の画像3)。

(2)乙第4号証は、「設置・操作マニュアル」と主張するものであり、その1葉目には、上部中央に「ネットワーク版」の文字が、その下部に「ANT’S」、「ANT’S3 4K対応版」及び「設置・操作マニュアル」の記載があり、さらに、下部に「第1版 2019.09.19」の記載がある(乙4)。

3 判断

前記2において認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。

(1)使用商品について

使用商品は、上記2(1)のとおり、「サイネージコントローラ」である。

当該商品は、「サイネージ」に用いられるコントローラというべきで、「サイネージ」の部品又は付属品に当たるものと認められる。

また、当該「サイネージ」は、「案内。標識。」を意味する外来語の「サイネージ」を意味するところ(「三省堂国語辞典 第8版」株式会社三省堂)、乙第1号証の画像2には「店頭・店外・ロビーなど デジタルサイネージへ」との記載があることからすれば、使用商品は、「コンピュータのディスプレイを使った、電子的な看板。動画を流すこともできる。」を意味する「デジタルサイネージ」(前掲「三省堂国語辞典」)を意図したものということができる。

そして、当該「デジタルサイネージ」と称する商品の機能や内容を検討すると、当該商品は、「演算装置のほかに制御装置・記憶装置を備え、あらかじめ作成したプログラムに従って計算や論理的処理を高速度で行う。」ことを意味する「電子計算機」(「広辞苑 第7版」株式会社岩波書店)を始めとする、電子の作用をその機械器具の機能の本質的な要素としている電子応用機械器具としての内容を主とするものであり、かつ、映像や文字の情報、音声等を送受信し、表示させるなどの電気通信機械器具としての内容も主とするものであるといえることから、電気通信機械器具及び電子応用機械器具のそれぞれと類似する商品であるというべきである。

そうすると、使用商品は、電気通信機械器具及び電子応用機械器具のそれぞれの商品と互いに類似する商品と推定される「デジタルサイネージ」の部品又は付属品に当たる「サイネージコントローラ」というべきであるから、本件審判請求に係る指定商品である「電子応用機械器具及びその部品」の範ちゅうに属する商品である。

(2)使用商標について

本件ウェブサイト(乙1の画像2)には、「サイネージコントローラー【ANT’S】」の見出しの下、使用商品が紹介されており、当該見出し中、隅付き括弧内に表された「ANT’S」の欧文字は、本件商標と社会通念上同一と認められる。

(3)使用行為、使用時期及び使用者について

本件ウェブサイト(乙1)は、乙第1号証の画像2には「アスコンが自社開発した」の記載及び同画像5には「ascon」の記載がそれぞれあり、これらの「アスコン」又は「ascon」はいずれも本件商標権者である株式会社アスコンの略称を表す片仮名又は欧文字表記と認められることから、当該ウェブサイトは本件商標権者のウェブサイトであるというべきであり、被請求人である本件商標権者は、要証期間内である令和4年(2022年)1月21日に存在していた同人のウェブサイトに、使用商品についての広告を、使用商標を付して掲載し、これを内容とする情報を電磁的方法により提供したといえる(乙1)。

これは、商標権者が、要証期間に、商標法第2条第3項第8号に規定する使用行為を行ったと認めることができる。

(4)小括

上記(1)ないし(3)によれば、本件商標権者は、要証期間に、日本国内において、本件審判請求に係る指定商品「電子応用機械器具及びその部品」の範ちゅうに含まれる商品「サイネージコントローラ」について、本件商標又は本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して広告したもの(商標法第2条第3項第8号に該当。)と認めることができる。

4 まとめ

以上のとおり、被請求人は、要証期間に日本国内において、本件商標権者が、本件審判請求に係る指定商品中の商品「サイネージコントローラ」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていた(商標法第2条第3項第8号)ことを証明したということができる。

したがって、本件商標の登録は、本件審判の請求に係る指定商品について、商標法50条の規定により、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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