sokuhyo

Trademark Appeal Case

不使用取消と使用同一性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2023300062
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

理 由

第1 本件商標

本件登録第6065381号商標(以下「本件商標」という。)は、「INTUITION」の欧文字を横書きしてなり、平成29年10月30日に登録出願、第25類「靴類,げた,草履類,洋服,コート,アイマスク,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,運動用特殊衣服(「水上スポーツ用特殊衣服」を除く。),運動用特殊靴(「乗馬靴」及び「ウインドサーフィン用シューズ」を除く。),スリッパ,サンダル靴及びサンダルげた,運動靴及び運動用特殊靴,木綿製靴」を指定商品として、同30年7月27日に設定登録されたものである。

そして、本件審判の請求の登録は、令和5年2月15日になされたものであるから、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、令和2年2月15日から令和5年2月14日までの期間(以下「要証期間」という。)である。

第2 請求人の主張

1 請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とするとの審決を求め、本件商標は、その指定商品(以下「本件審判請求に係る指定商品」という。)について、要証期間に日本国内において、本件商標の権利者(以下「商標権者」という。)、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである旨主張した。

2 請求人は、令和5年5月31日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対し、弁駁しなかった。

3 令和6年3月19日付けの審決に対する審決取消請求事件(令和6年(行ケ)第10072号)において、被告(本件審判の請求人)は、要旨以下のように述べた(原告(本件審判の被請求人)の提出した甲号証は、以下、乙号証と読み替える。)。

(1)インターネットでのプレスリリース(乙8)について

被請求人は、チル社のインターネットでのプレスリリースである乙第8号証の1頁目中段にある「INTUITION WILL」、「INTUITION WINI」の文字列の存在を指摘するが、これを使用商標とする主張であるのか判然とせず、乙第8号証には「使用商標「INTUITION」」なるものは存在しない。

被請求人は、「INTUITION WILL」、「INTUITION WINI」という文字の存在から、乙第8号証に存在する「INTUTION」(本件審決における使用商標1)が誤記であって、全体として参照すれば「INTUITION」が使用されている事実を認めることができるなどと主張するが、全体として参照しても、「INTUTION」の文字が「INTUITION」に変化することはあり得ない。また、「INTUITION WILL」、「INTUITION WINI」の文字が使用商標1のほかに使用されていたとしても、大きく記載された使用商標1の方が誤記であると需要者が考える理由はない。

「INTUITION WILL」、「INTUITION WINI」が使用商標であると主張するのであれば、これと本件商標との社会的同一性を論じなければならないが、被請求人はそのような主張をしていない。

乙第8号証の説明文では、「ccilu(チル)-INTUITION WILL、INTUITION WINI」の文字列全体が鍵括弧で囲われ、各構成文字が同書、同大、同間隔で外観上まとまりよく一体的に表現されている。また、「INTUITION WILL」、「INTUITION WINI」の文字列は、キャッチフレーズを思わせる文字構成であり、文字全体をリズムよく一気一連に称呼することが可能である。そうすると、上記文字列から「INTUITION」の文字部分のみが分離され、この部分のみが商標として使用されているとはいえない。

また、「WILL」や「WINI」の語は「男性用」や「女性用」を意味する単語ではなく、たとえチル社において「WILL」の文字を男性向けの商品に付加し、「WINI」の文字を女性向けの商品に付加していた事実があるとしても、需要者が「INTUITION WILL」、「INTUITION WINI」の文字列から「WILL」や「WINI」の文字部分を捨象し、「INTUITION」の文字部分を商標として認識することはない。

(2)楽天市場内の公式ショップでの販売ページ(乙9)について

楽天市場内のチル社の公式ショップでの販売ページ(乙9)の2頁目の中段に記載された「INTIUTION」の欧文字よりなる商標(本件審決における使用商標2)が誤記であるか否かにかかわらず、使用商標2は本件商標と同一又は社会通念上同一と認められる商標ではない。

被請求人が新たに指摘する文字列は、乙第9号証において、使用商標2に比してごく小さく表示されており、いずれも商品を説明する文章のタイトルやキャッチフレーズとして使用されているにすぎない。乙第9号証には、商標的態様で使用されている「INTUITION」の文字を確認することはできない。

(3)チル社から他社への資料のデータ送信(乙14)について

ア 商品台帳(乙14の3・4)に記載の「INTUITION WILL JP」の文字及び「INTUITION WINNI JP」の文字は、いずれも、青色又は桃色で塗り潰されたセルの枠内に文字列全体がまとまりよく一体的に表現されており、「INTUITION」と「WILL JP」及び「WINNI JP」の文字はいずれも同書体で記載されていることから、文字列全体の外観上の一体性が極めて強い。

また、「INTUITION WILL JP」及び「INTUITION WINNI JP」から生じる称呼も、特段冗長ではなく、淀みなく一気一連に称呼可能である。さらに、「WILL JP」及び「WINNI JP」の文字は「男性用」や「女性用」を表す語として一般的に使用されている単語ではなく、靴について十分に識別力を備えた語であるから、「INTUITION WILL JP」の文字及び「INTUITION WINNI JP」の文字のうち「INTUITION」の文字部分のみが商標として認識されることはない。

本件商標と、「INTUITION WILL JP」の商標及び「INTUITION WINNI JP」の商標とは、社会通念上同一と認められる商標には当たらない。

イ プレゼンテーション資料(乙14の5)に記載の「INTUITION3WAYシューズ」の文字についても、文字の色彩や大きさが均一で、スペースが介在せず、同書、同大、同間隔で外観上まとまりよく一体的に表現されており、生じる称呼も特段冗長ではなく、淀みなく一気一連に称呼可能であるから、「INTUITION3WAYシューズ」の商標から「INTUITION」の文字のみを取り出して商品名の表示として特定することは不自然であり、上記資料において使用されている商標は、一連一体として表現された「INTUITION3WAYシューズ」の全体である。

本件商標と、「INTUITION3WAYシューズ」の商標とは、社会通念上同一と認められる商標には当たらない。

(4)チル社によるX(旧ツイッター)での宣伝行為(乙15の3・4)について

被請求人が指摘するXの投稿に存在する「※intuition3WAYスニーカー」の文字列は、文字の色彩や大きさが均一で、同書、同大、同間隔で外観上まとまりよく一体的に表現されており、称呼も特段冗長ではなく、淀みなく一気一連に称呼可能である。

したがって、「※intuition3WAYスニーカー」の商標から「intuition」の文字部分のみを取り出して靴のブランド名の使用であると特定することは不自然であり、被請求人が挙げるXの投稿(乙15の3・4)で使用されている商標は、一連一体として表現された「※intuition3WAYスニーカー」の全体である。

本件商標と、「※intuition3WAYスニーカー」は、社会通念上同一と認められる商標には当たらない。

また、「※intuition3WAYスニーカー」の記載は、商品の説明文中の記載であることが明白であり、写真に現れる靴について出所識別機能を発揮する態様で使用されてはいない。加えて、乙第15号証の4に現れる靴の写真には、靴自体に「ccilu」のロゴが複数箇所印字され、同ロゴが印字された商品タグが付され、靴の背後に立てかけられたボードには靴の写真とともに上記ロゴが大きく印字されているから、上記Xの投稿を読む需要者は、「ccilu」のロゴを靴の出所識別標識として認識するのであり、写真の枠外に小さく表示された「※intuition3WAYスニーカー」を靴の出所識別標識として認識することはない。

(5)チル社によるフェイスブックへの投稿(乙16の1・2)について

被請求人が指摘するフェイスブックの投稿に存在する「BATMAN×INTUITION」の文字列は、文字の色彩や大きさが均一で、同書、同大、同間隔で外観上まとまりよく一体的に表現されており、称呼も特段冗長ではなく、淀みなく一気一連に称呼可能である。

したがって、「INTUITION」の文字部分のみを取り出して使用商標として特定することは妥当でなく、上記投稿で使用されている商標は、一連一体として表現された「BATMAN×INTUITION」の全体であり、本件商標と、「BATMAN×INTUITION」は、社会通念上同一と認められる商標には当たらない。

また、「BATMAN×INTUITION」の文字は、「ワーナーブラザーズコラボスニーカー」との宣伝文句の直下に、当該コメントと同じ文字態様でごく小さく表現されており、商品の説明文としての記載であることが明白であって、写真に現れた靴の出所識別機能を発揮する態様で使用されているものではない。加えて、乙第16号証の2に現れる写真には、靴とともに「ccilu」のロゴが印字された靴袋の写真が写っている。そうすると、上記投稿を読む需要者は、「ccilu」のロゴを靴の出所識別標識として認識するのであって、写真の枠外に小さく表示された、何らの装飾も施されていない「BATMAN×INTUITION」の文字を靴の出所識別標識として認識することはない。

(6)チル社によるインスタグラムでの宣伝行為(乙17の2)について

被請求人が指摘するインスタグラムにある「INTUITION」の文字列は、いわゆるコメントの中に記載されているものであり、そのようなコメントの文中に「INTUITION」の文字が記載されているとしても、当該文字部分が写真に現れる靴の出所識別機能を発揮する態様で使用されているとはいえず、当該文字が靴のブランド名として使用されているともいえない。

また、乙第17号証の2に表示されている「161週前」がいつを起算点とするものであるか不明であり、リアクション投稿時に靴の写真がアカウント上に表示されていたか否かも不明である。

第3 被請求人の主張

被請求人は、結論同旨の審決を求め、答弁書及び令和6年3月19日付け審決に対する審決取消請求事件(令和6年(行ケ)第10072号)において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第17号証(枝番号を含む。また、枝番号のすべてを示すときは、枝番号を省略する。)を提出した。

なお、令和7年7月15日付け物件提出書により提出された乙第13号証ないし乙第17号証(枝番を含む。)は、令和6年(行ケ)第10072号事件において原告(本件審判の被請求人)が知的財産高等裁判所に提出した甲各号証であり、本件審判における証拠として、乙号証(枝番号を含む。)と読み替える。

以下、証拠の表記に当たっては、乙第1号証を「乙1」のように省略して表示する。

1 答弁書における主張

(1)本件商標について

本件商標は、「INTUITION」の欧文字を横書きし、「イントゥイション」の称呼が生じるものである。

(2)使用の事実について

ア 証拠の収集方法について

過去のウェブサイトの内容を確認する方法の概要について説明する。

「Internet Archive : Wayback Machine」ウェブサイト(以下「Wayback Machine」という。)は、ウェブサイトの過去の履歴を遡って閲覧するウェブサイトであり、当該ウェブサイトで、URLを入力すると、自動収集した日付時点でのウェブアーカイブ情報が確認できる。

そして、ウェブアーカイブ情報に係るURLは、収集サイトのURLと収集日が含まれる態様で生成される。

乙各号証のうち、ウェブアーカイブ情報として提出するものは、「Wayback Machine」を用いて収集した情報である。

イ 通常使用権者の適格性について

(ア)使用者の通常使用権者としての適格性

商標権者は、自身が株式を保有しているチル・ジャパン株式会社(以下「チル社」という。)に対し、本件商標に係る商標権の使用について黙示の許諾を行っている。

よって、チル社は、本件商標の通常使用権者に該当する。

a チル社について(乙1~乙4)

チル社は、履物等の販売、通信販売及び輸出入を目的として、2011年7月7日に設立された株式会社である(乙1)。

また、チル社は、遅くとも2021年6月17日から現在にわたって、靴の輸入販売を業務内容として、自身が開設したウェブサイトを運営している(乙2~乙4)。

b 商標権者とチル社の資本関係(乙5、乙6)

商標権者は、遅くとも2019年12月31日時点から現在に至るまで、チル社の48%の株式を保有している(乙5)。

また、チル社の代表取締役は、同社の発行株式の50%以上保有しており(乙5)、自身が保有するチル社の議決権の行使にあたり、遅くとも2021年頃から現在に至るまで、商標権者の意思と同一の内容の議決権を行使することに同意している(乙6)。

なお、乙第5号証に記載のチル社の住所は、2019年12月31日当時の住所であり、乙第1号証に記載の2019年1月18日移転後の住所と一致している。

よって、商標権者は、チル社に実質的に支配力が及んでいる会社であり、我が国における会社法上の親会社に相当する者である。

c 商標権者による証明書(乙7)

商標権者は、チル社に対し、遅くとも2021年から現在に至るまで、本件商標に係る指定商品のうち少なくとも「靴類」について、日本国内での本件商標の使用を許諾している(乙7)。

また、商標権者の代表者は、チル社の取締役を務めている(乙1、乙7)。

d 小括

これらの事項を総合的に勘案すれば、商標権者は、遅くとも2021年からチル社による本件商標の使用行為を知り、かつ許諾していたものといえる。

よって、チル社は、商標権者から、本件商標の商標権(以下「本件商標権」という。)の使用について黙示の許諾を受けている通常使用権者に該当する。

ウ 使用権者による使用の事実

(ア)使用の事実1について

a インターネットでのプレスリリース(乙8)

乙第8号証は、チル社のプレスリリース情報に係る2021年7月26日時点でのウェブアーカイブ情報である。

乙第8号証では、要証期間内である2021年7月26日をプレスリリース日として、チル社が「INTUITION」を商品名とする靴製品の販売を開始する旨が告知されている(乙8)。

乙第8号証の2頁の「チル・ジャパン株式会社について」に記載された住所及び代表者は、乙第1号証に記載するチル社の住所及び代表者と一致している。

b 社会通念上の同一性について

乙第8号証に記載の「INTUTION」と、本件商標「INTUITION」とは、活字体による書体の相互間の使用に留まるものであり、「INTUTION」は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。

c 小括

よって、チル社は、要証期間に、日本国内において、少なくとも指定商品「靴類」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用している(商標法第2条第3項第8号)。

(イ)使用の事実2について

a 楽天市場内の公式ショップでの販売ページ(乙9)

乙第9号証は、楽天市場内のチル社のショップサイトの2022年6月9日時点でのウェブアーカイブ情報である。

乙第9号証に示すアーカイブ日(2022年6月9日)は、要証期間内である。

乙第9号証の14頁の「お問い合わせ」に記載された靴製品の販売業者の名称及び住所は、乙第1号証に記載するチル社の名称及び住所と一致している。

さらに、乙第9号証の1頁の下部及び2頁の中央部には、靴製品についての商品名として「INTUITION」が記載されている。

b 社会通念上の同一性について

「INTUITION」と、本件商標「INTUITION」とは、活字体による書体の相互間の使用に留まるものであり、「INTUITION」は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標といえる。

c 小括

よって、チル社は、要証期間に、日本国内において、少なくとも指定商品「靴類」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用している(商標法第2条第3項第2号)。

(ウ)使用の事実3について

a チル社公式ショップでの販売ページ(乙10)

乙第10号証は、チル社が開設・運営する公式ショップのウェブサイトに対する2022年9月28日時点のウェブアーカイブ情報である。

乙第10号証の1頁の下部に記載された靴製品の販売業者の名称及び住所は、乙第1号証に記載するチル社の名称及び住所と一致している。

乙第10号証のアーカイブ日(2022年9月28日)は、要証期間内である。

さらに、乙第10号証の1頁の右上には、靴製品についての商品名「intuition-jp」及び「イントゥイション」が記載されている。

b 社会通念上の同一性について

乙第10号証の1頁の右上には、靴製品の商品名として、「intuition-jp」及び「イントゥイション」が記載されている。

「intuition-jp」のうち「-jp」に係る記載は、需要者からみて「Japan」の略称として、「日本」を販売地域とする製品であることを認識させるものである。

そうすると、「intuition-jp」のうち「-jp」部分は、本件商標の構成において基本をなす部分を変更するものではなく、本件商標の識別性になんら影響を与えるものではない。

また、「イントゥイション」は、欧文字からなる本件商標を、片仮名に変更するものであり、本件商標と、称呼及び観念を異にする事情も存在しない。

よって、「intuition-jp」及び「イントゥイション」の各商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標といえる。

c 小括

よって、チル社は、要証期間に、日本国内において、少なくとも指定商品「靴類」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用している(商標法第2条第3項第2号)。

(エ)使用の事実4について

a Amazonでの販売ページ(乙11)

乙第11号証の1は、アマゾンジャパン合同会社が運営するウェブサイト内でのチル社が販売する商品の販売ページである。

乙第11号証の2は、乙第11号証の1の1頁の中央部右側に「販売元」として表示されている「ccilu」に埋め込まれたハイパーリンクから遷移する、出品者プロフィールの表示ページである。

乙第11号証の1の2頁の「商品の説明」欄内の画像には、靴製品の商品名「INTUITION」が記載されている。

さらに、乙第11号証の1の2頁の「登録情報」欄の、本ページに係る商品の取り扱い開始日には、要証期間内である2021/6/19との日付が記載されている。

また、乙第11号証の2の1頁の上部に記載された出品者の名称及び住所は、乙第1号証に記載するチル社の名称及び住所と一致する。

b 社会通念上の同一性について

乙第11号証の1の2頁の「商品の説明」欄内の画像には、靴製品の商品名として「INTUITION」が記載されている。

乙第11号証の1に記載される「INTUITION」と、本件商標とは、活字体による書体の相互間の使用に留まるものであり、当該商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標といえる。

c 小括

よって、チル社は、要証期間に、日本国内において、少なくとも指定商品「靴類」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用している(商標法第2条第3項第2号)。

(オ)使用の事実5について

a 各小売店からの注文書(乙12)

乙第12号証は、日本国内の小売店からチル社に対する注文書である。

b 売主について

注文書(乙12)に記載される売主の名称及び住所は、乙第1号証に記載するチル社の名称及び住所と一致する。

c 納品先について

注文書(乙12)に記載される納品先はいずれも日本国内である。

d 発注日について

注文書(乙12)に記載される発注日は2021年7月20日から2022年9月21日の間であり、何れも要証期間内である。

e 注文内容について

注文書(乙12)の「アイテム概要」欄には「SHOES」及び「INTUITION」が記載されている。

このうち、「SHOES」は、注文アイテムが靴製品であることを示し、「INTUITION」は当該靴製品の商品名を示している。

f 社会通念上の同一性について

各注文書の「アイテム概要」欄には「INTUITION」が記載されている。

「INTUITION」と、本件商標とは、活字体による書体の相互間の使用に留まるものであり、「INTUITION」は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標といえる。

g 小括

よって、チル社は、要証期間に、日本国内において、少なくとも指定商品「靴類」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用している(商標法第2条第3項第2号)。

(3)まとめ

以上のとおり、本件商標については、要証期間に日本国内において、商標権者及び通常使用権者により、指定商品「靴類」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が使用されている。

したがって、本件商標は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものではない。

2 訴訟における主張

(1)インターネットでのプレスリリース(乙8)

要証期間中の令和3年(2021年)7月26日に発表されたチル社のインターネットでのプレスリリースである乙第8号証の中段から下段にかけて、「“人々のストレスを足元から解放する”をミッションに輸入販売業を手がけるチル・ジャパン株式会社(本社:福岡県福岡市、代表取締役社長:弓長玄明)は、2021年7月21日(水)、タウンユースからアウトドアまで様々なシーンで使える、3WAYサンダルスニーカー「ccilu(チル)-INTUITION WILL、INTUITION WINI」(税込7,150円)を発売しました。丸洗いでき速乾性にも優れており、靴下なしで猛暑を涼しく乗り切ることができる新アイテムです。」との記載、及び「このたびリリースした「ccilu(チル)-INTUITION WILL、INTUITION WINI」は、徹底的に3WAYシューズの機能性を追求した新シリーズです。」との記載がある。

上記のとおり乙第8号証に記載された使用商標について、「WILL」及び「WINI」のいずれも「INTUITION」との間がスペースによって分離されており、両者が強く結合されるべき特段の事情も認められない。また、チル社では、「INTUITION WILL」、「INTUITION WINI」をそれぞれ「INTUITION」シリーズの男性向けライン、女性向けラインとして分類していた(乙14の3、4)。

そうすると、乙第8号証は、全体として参照すれば、そこには、スニーカー、サンダル及び室内履きと3WAYで使用可能なシューズの特定のシリーズを示すブランド名(いわゆるファミリーネーム)として「INTUITION」が使用されており、さらに「INTUITION」シリーズのラインアップとして男性向けに「WILL」が補足的に付加され、女性向けに「WINI」が補足的に付加されていた事実が認められる。乙第8号証上の表示のうち、本件審決で「使用商標1」として取り出された「INTUITION」との表示は、チル社による誤記の表示と認識されるにとどまるものである。

乙第8号証に記載の使用商標「INTUITION」と本件商標は、活字体の書体を相互に変更したものにとどまり、当該使用商標は本件商標と社会通念上同一である。

以上のとおり、乙第8号証に関する上記事実によれば、要証期間において、本件商標の通常使用権者は、本件審判請求に係る指定商品に含まれる靴類について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用している(商標法第2条第3項第8号)と認められる。

(2)楽天市場内の公式ショップでの販売ページ(乙9)

要証期間中の令和4年(2022年)6月9日に公表されていた楽天市場内のチル社の公式ショップでの販売ページである乙第9号証の1頁目後段には「人気のINTUITIONがリニューアル!!」との記載があり、2頁目上段から中段には商品説明文のタイトルとして「INTUITIONとは」の文言が記載されている。

そうすると、乙第9号証には、コンフォートシューズのブランド名として「INTUITION」が使用されていた事実が認められる。乙第9号証上の表示のうち、本件審決において使用商標2として取り出された「INTUITION」はチル社による誤記の表示と認識されるにとどまるものである。

乙第9号証に記載の使用商標「INTUITION」と本件商標は、活字体の書体を相互に変更したものにとどまり、当該使用商標は本件商標と社会通念上同一である。

以上のとおり、乙第9号証に関する上記事実によれば、要証期間において、本件商標の通常使用権者は、本件審判請求に係る指定商品に含まれる靴類について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用している(商標法第2条第3項第8号)と認められる。

(3)チル社から他社への資料のデータ送信(乙14)

チル社の従業員Bは、要証期間中の令和3年10月30日、見込み顧客Cに対し、電子メールにより、チル社との取引の開始を勧誘し、その電子メールには、本件商標と社会通念上同一の商標を付した靴類の商品台帳(乙14の3、4)及びプレゼンテーション資料(乙14の5)の電磁データが添付されていた(乙14の2、7)。

上記電子メールに添付された商品台帳のうち、「MANS(2)」のブック(乙14の3)には、男性向けのシューズの商品名として「INTUITION」が表示されており、「WOMANS(2)」のブック(乙14の4)には女性向けのシューズの商品名として「INTUITION」が表示されている。

また、上記電子メールに添付されたプレゼンテーション資料(乙14の5)のうち、17頁目において、「主力商品ピックアップ」の見出しの下に3WAYシューズの商品名として「INTUITION」が表示されている。

乙第14号証の3ないし5に記載の使用商標「INTUITION」と本件商標は、活字体の書体を相互に変更したものにとどまり、当該使用商標は本件商標と社会通念上同一である。

以上のとおり、乙第14号証に関する上記事実によれば、要証期間において、本件商標の通常使用権者は、本件審判請求に係る指定商品に含まれる靴類について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用している(商標法第2条第3項第8号)と認められる。

(4)チル社によるX(旧ツイッター)での宣伝行為(乙15の3、4)

乙第15号証の3は、チル社のXアカウントに係る要証期間中の令和4年8月11日時点でのウェブページのアーカイブ情報である。また、同号証では、ブラウザ画面上のウェブページに表示されている投稿写真が印刷時に表示されなかったため、ブラウザの拡張機能で写真の画像をキャプチャしたものが乙第15号証の4である。上記のチル社のXアカウントには、「キャンプに行くならこの靴!アウトドアでも街でも快適 ※intuition3WAYスニーカー」という記載がある(乙15の3、4)。ここで使用されている「intuition」が、乙第15号証の4の写真に表示された靴のブランド名として使用されていることは明らかである。

乙第15号証の3及び4に記載の使用商標「intuition」と、本件商標は、活字体の書体及びローマ字の大文字と小文字を相互に変更したものにとどまり、当該使用商標は本件商標と社会通念上同一である。

以上のとおり、乙第15号証の3及び4に関する上記事実によれば、要証期間において、本件商標の通常使用権者は、本件審判請求に係る指定商品に含まれる靴類について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用している(商標法第2条第3項第8号)と認められる。

(5)チル社によるフェイスブックへの投稿(乙16の1、2)

チル社が要証期間中の令和3年8月16日にフェイスブックのアカウントに投稿した記事には、「ワーナーブラザーズコラボスニーカーBATMAN×INTUITION バージョンアップした人気のINTUITIONに数量限定でBATMANプリントを販売中!」という記載がある(乙16の2)。

上記投稿で使用されている「INTUITION」は、靴のブランド名として使用されていることが明らかである。

乙第16号証の2に記載の使用商標「INTUITION」と本件商標は、活字体の書体を相互に変更したものにとどまり、当該使用商標は本件商標と社会通念上同一である。

以上のとおり、乙第16号証の2に関する上記事実によれば、要証期間において、本件商標の通常使用権者は、本件審判請求に係る指定商品に含まれる靴類について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用している(商標法第2条第3項第8号)と認められる。

(6)チル社によるインスタグラムでの宣伝行為(乙17の2)

チル社は、要証期間中の令和3年7月29日から同年8月4日までの間(乙17の2の画面を出力した令和6年9月4日の161週前)のいずれかの日に、インスタグラムで宣伝を行い、そこには、「水辺での遊びに使い勝手が良すぎるINTUITION!アウトドアに最適なシューズを水の中で体感してきました!」という記載がある(乙17の2)。令和3年8月2日には、上記投稿を閲覧したユーザによって「いいね」のリアクションが行われている。

上記投稿で使用されている「INTUITION」は、靴のブランド名として使用されていることが明らかである。

乙第17号証の2に記載の使用商標「INTUITION」と本件商標は、活字体の書体を相互に変更したものにとどまり、当該使用商標は本件商標と社会通念上同一である。

以上のとおり、乙第17号証の2に関する上記事実によれば、要証期間において、本件商標の通常使用権者は、本件審判請求に係る指定商品に含まれる靴類について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用している(商標法第2条第3項第8号)と認められる。

第4 当審の判断

1 認定事実

被請求人の提出した乙各号証及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。

(1)チル社関係の事情

ア チル社は、平成23年7月7日に設立された、履物、靴、衣料品、衣料雑貨品等の販売、通信販売及び輸出入等を目的とする株式会社であり、福岡市内に本店を有する。チル社には、3名の取締役と1名の監査役がおり、取締役の一人であるAが代表取締役を務める。被請求人の現在の代表者であるDは、チル社の取締役の一人である(乙1)。

令和元年(2019年)12月31日時点のチル社の株主名簿には、被請求人がチル社の発行済み株式の48%を所有する株主、Aがチル社の発行済み株式の51.14%を所有する株主として記載されている(乙5)。

イ Aは、令和5年(2023年)5月19日付けで、チル社の株主の議決権行使に当たり、遅くとも令和3年(2021年)頃から同日に至るまで、被請求人の意思と同一内容の議決権を行使することに同意している旨を記載した書面を作成し、本件審判手続に提出した(乙6)。また、被請求人は、令和5年(2023年)5月29日付けで、「被請求人は、チル社が、遅くとも令和3年(2021年)から現在に至るまで、本件商標をブランド名とする靴類を日本国内で販売することについて許諾していたことを認める」旨を記載した書面を作成し、本件審判手続に提出した(乙7)。

ウ チル社は、インターネット上で、自社の公式のオンラインショップや、ショッピングサイトである楽天市場などにおいて、靴を販売している(乙8~乙11)。

チル社は、総合スーパーに「INTUITION」という名称の靴を販売していた(乙12)。

(2)チル社から他社への資料のデータ送信(乙14)

ア チル社の従業員Bは、要証期間中の令和3年10月30日、見込み顧客Cに対し、電子メールにより、チル社との取引の開始を勧誘し、その電子メールには、チル社が販売する商品(靴)に関する資料(以下「チル商品資料」という。)の電子データ、チル社に関する全般的な説明資料(以下「チル説明資料」という。)の電子データ及び取引開始申請書の電子データが添付されていた(乙14)。なお、チル説明資料は、プレゼンテーション資料としても使用できるものであった。

イ チル商品資料は、男性用の靴の資料(乙14の3)と女性用の靴の資料(乙14の4)の二つの資料からなり、チル社の商品である多数の靴について、写真、名称、型番、色、素材、特徴、サイズ、価格が記載されている。

男性用の靴の資料(乙14の3)には、表の態様で、7列にわたって、商品である複数の靴の写真が掲載されるとともに、各靴の名称、型番、色、素材、特徴、サイズ、価格の記載が存在するところ、1列目及び2列目には、いずれも、「INTUITION WILL JP」との記載があり、その右側に、複数の靴の写真が掲載され、各靴の型番、色、素材が記載され、その左側に、当該各靴の特徴、サイズ、価格が記載されている。「INTUITION WILL JP」の記載は2行にわたっており、「INTUITION」と「WILL JP」との間で改行されていて、その間に1行分ほどの間隔があり、「INTUITION」の文字は、「WILL JP」の文字の上部に存在し、「WILL JP」の文字よりも大きく記載されている。

女性用の靴の資料(乙14の4)には、表の態様で、6列にわたって商品である複数の靴の写真が掲載されるとともに、各靴の名称、型番、色、素材、特徴、サイズ、価格の記載が存在するところ、1列目及び2列目には、いずれも、「INTUITION WINNI JP」との記載があり、その右側に、複数の靴の写真が掲載され、各靴の型番、色、素材が記載され、その左側に、当該各靴の特徴、サイズ、価格が記載されている。「INTUITION WINNI JP」の記載は2行にわたっており、「INTUITION」と「WINNI JP」との間で改行されていて、その間に1行分ほどの間隔があり、「INTUITION」の文字は、「WINNI JP」の文字の上部に存在し、「WINNI JP」の文字よりも大きく記載されている。

ウ チル説明資料(乙14の5)は、複数のページからなる資料であり、チル社の会社概要、チル社の商品一般の素材、デザイン等についての特徴の説明、主力商品の説明等が、多数の写真やその他の画像とともに掲載されているものである。チル説明資料の中には、「主力商品ピックアップ」の見出しの下に主力商品の説明が記載された複数のページがあり、その中に、「主力商品ピックアップ」の見出しの下に「●INTUITION3WAYシューズ」の記載が存在するページ(17頁目)がある。このページにおいては、上記記載の下に7種類の靴の写真が掲載されており、右側には靴を履いた人物全体や足元の写真が複数枚掲載されている。このページに掲載された靴は、取り外しのできる外側部(アッパー、乙9(9頁目))と内側部(インナー、乙9(9頁目))とが組み合わされて1足の靴が構成されており、右下には「3WAY」として「サンダル+室内履き=スニーカー」との記載が、それぞれ、外側部のみの写真、内側部のみの写真、及び外側部と内側部を組み合わせた状態の写真とともに掲載され、一足の靴が、外側部のみではサンダルとして、内側部のみでは室内履きとして、外側部と内側部を組み合わせた状態ではスニーカーとして、3通りの用法により使用できることが、示されている。

2 検討

前記1の認定事実に基づき、要証期間に、本件商標の商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件審判請求に係る指定商品のいずれかについて本件商標と社会通念上同一の商標を使用していることを被請求人が証明したかについて検討する。

(1)チル社から他社への資料のデータ送信(前記1(2)の認定事実)について

ア チル商品資料とチル説明資料は、チル社が見込み顧客である他の会社に対して取引の勧誘のために送信した電子メールに、上記勧誘の資料として添付されたものであり、このうちチル商品資料は表の態様で、チル社の商品である多数の靴の写真が掲載されるとともに、各靴の名称、型番、色、素材、特徴、サイズ、価格が記載されているから、価格表、取引書類を内容とする情報を電磁的方法により提供するものであると認められ、また、チル説明資料は、チル社の会社概要、チル社の商品一般の素材、デザイン等についての特徴の説明、主力商品の説明等が、多数の写真やその他の画像とともに掲載されているものであるから、取引書類を内容とする情報を電磁的方法により提供するものであると認められる(商標法第2条第3項第8号)。そして、上記電子メールは、要証期間中の令和3年10月30日に送信されたものであった。

イ チル商品資料のうち、男性用の靴の資料に存在する「INTUITION WILL JP」の記載は、複数の靴の写真、型番、色、素材、特徴、サイズ、価格を示す記載とともに掲載されていることからすれば、一定の範囲の複数の靴を示す表示であることが、チル商品資料を見る取引者及び需要者にとって明らかであるといえる。

そして、「INTUITION WILL JP」の記載が「INTUITION」と「WILL JP」との間で改行されて2行にわたっており、その間に1行分ほどの間隔があり、「INTUITION」の文字が、「WILL JP」の文字の上部に存在し、「WILL JP」の文字よりも大きく記載されていること、及び女性用の靴の資料に存在する「INTUITION WINNI JP」との間で「INTUITION」の文字が共通することからすれば、チル商品資料を見る取引者及び需要者は、「INTUITION WILL JP」の文字が「INTUITION」の文字と「WILL JP」の文字を組み合わせたものであり、「INTUITION」の文字が靴の商品の名称を示すものであり、「WILL JP」は、その中の一類型の表示として記載されていることを認識すると認められる。

同様に、チル商品資料の女性用の靴の資料に存在する「INTUITION WINNI JP」の記載についても、「INTUITION」と「WINNI JP」との間で改行されて2行にわたっており、その間に1行分ほどの間隔があり「INTUITION」の文字が、「WINNI JP」の文字の上部に存在し、「WINNI JP」の文字よりも大きく記載されていること、及び男性用の靴の資料に存在する「INTUITION WILL JP」との間で「INTUITION」の文字が共通することからすれば、チル商品資料を見る取引者及び需要者は、「INTUITION WINNI JP」の文字が「INTUITION」の文字と「WINNI JP」の文字を組み合わせたものであり、「INTUITION」の文字が靴の商品の名称を示すものであり、「WINNI JP」は、その中の一類型の表示として記載されていることを認識すると認められる。

以上の事情を総合すれば、チル商品資料には「INTUITION」の文字が商標として記載されていると認められる。

ウ チル説明資料に存在する「●INTUITION3WAYシューズ」の文字は、主力商品の説明が記載された複数のページの中の一つのページ(17頁目)に、「主力商品ピックアップ」の見出しの下に記載されており、同じページには、7種類の靴の写真、靴を履いた人物全体や足元を撮影した複数枚の写真、及び「3WAY」に関する記載及び写真が掲載されている。

そうすると、「INTUITION3WAYシューズ」の文字が、この文字の存在するページに掲載されている写真に撮影された靴を示すものであることは、チル説明資料を見る取引者及び需要者にとって明らかであるといえる。

そして、「シューズ」は靴を意味する語として一般に知られており、「3WAY」については、1足の靴を3通りの用法により使用できることを意味する旨の説明が同じページ(17頁目)に記載されていることからすると、チル説明資料を見る取引者及び需要者は、「INTUITION3WAYシューズ」の文字が「INTUITION」の文字、「3WAY」の文字及び「シューズ」の文字を組み合わせたものであり、「INTUITION」の文字が靴の商品の名称を示すものとして記載されていることを認識すると認められる。

以上の事情を総合すれば、チル商品資料には「INTUITION」の文字が商標として記載されていると認められる。

エ 上記アないしウの事情を総合すると、前記1(2)に認定の電子メールの送信により、チル社は、要証期間中の令和3年10月30日、価格表、取引書類を内容とする情報に「INTUITION」の商標を付して電磁的方法により他社に提供したと認められる。そして、この商標の使用は、本件商標の指定商品に含まれる靴類についての使用であると認められる。

(2)チル社がチル商品資料及びチル説明資料において商標として用いた「INTUITION」の文字は、本件商標と書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標であって、本件商標と社会通念上同一の商標であると認められる。

(3)前記1(1)に認定したチル社関係の事情によれば、チル社は、被請求人と密接な関係があり、その業務には被請求人の意思が反映されているものと認められ、チル社は、本件商標の使用について被請求人から通常使用権を許諾されていたものと認められる。そして、チル社が、チル商品資料及びチル説明資料において、本件商標と社会通念上同一の商標である「INTUITION」の文字を商標として用いたことは、被請求人から許諾された本件商標の通常使用権に基づくものと認められる。そうすると、チル社は、本件商標の通常使用権者として、本件商標と社会通念上同一の商標である「INTUITION」の商標を使用したと認められる。

(4)前記(1)ないし(3)によれば、前記第3の2(1)、(2)、(4)ないし(6)で被請求人が主張する、「INTUITION」を商標として使用したとする事実について検討するまでもなく、本件審判請求の予告登録前3年以内である要証期間に、本件商標の通常使用権者であるチル社が、本件審判請求に係る指定商品に含まれる靴類について、本件商標と社会通念上同一の商標を、価格表、取引書類を内容とする情報に付して電磁的方法により提供することによって使用していることを、被請求人が証明したものと認められる(商標法第50条第2項本文)。

3 結論

以上のとおり、本件審判請求の予告登録前3年以内に、本件商標の通常使用権者であるチル社が、本件審判請求に係る指定商品に含まれる靴類について、本件商標と社会通念上同一の商標の使用をしていることを被請求人が証明したものと認められる。

したがって、本件商標の登録は、本件審判請求に係る指定商品について、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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