結論テキスト
本件審判の請求は、成り立たない。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2024015873 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本願は、令和5年5月31日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和6年 3月15日付け:拒絶理由通知書
令和6年 6月 5日 :意見書の提出
令和6年 6月27日付け:拒絶査定
令和6年10月 2日 :審判請求書の提出
令和7年 9月17日付け:審尋
令和7年11月10日 :回答書、手続補正書の提出
本願商標は、「IoA」の文字を標準文字で表してなり、第38類、第41類及び第42類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として登録出願されたものであり、その後、指定役務については、当審における上記1の手続補正書により、第38類「電子計算機端末による通信,データを暗号化して行うデータ通信,電子掲示板による通信,プロバイダーによる電子計算機端末による通信ネットワークへの接続の提供」及び第41類「電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,娯楽施設の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,技芸・スポーツ又は知識の教授」に補正されたものである。
原査定は、「本願商標は、「IoA」の文字を標準文字で表してなるところ、本願の指定役務と関係する分野において、当該文字は、「人間や人工知能の能力とインターネットがつながること」程度の意味合いを有する「Internet of Abilities(Ability)」の略語を表すもの、「サイバー攻撃を行うマルウェアなどの行動パターン」程度の意味合いを有する「Indicator of Attack」の略語を表すものとして、それぞれ使用されている実情がある。そうすると、本願商標をその指定役務に使用した場合、本願商標に接する取引者、需要者は、その役務が、「人間や人工知能の能力とインターネットがつながること」に関するもの、又は「サイバー攻撃を行うマルウェアなどの行動パターン」に関するものであることを認識するにすぎないから、いずれの意味合いを想起するにしても、本願商標は、役務の質(内容)を普通に用いられる方法で表示したものと認識されるにすぎず、自他役務の識別標識としての機能を有しないものとみるのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、本願商標を「人間や人工知能の能力とインターネットがつながること」に関する役務、又は「サイバー攻撃を行うマルウェアなどの行動パターン」に関する役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
当審は、令和7年9月17日付け審尋において、別掲1及び別掲2のとおりの事実を提示した上で、要旨以下(1)及び(2)のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、これに対する回答を求めた。
(1)本願の指定役務の需要者等は、「IoA」の文字が「Internet of Abilities(Ability)」の略語であると解した場合、「人間の能力と人工知能や仮想現実などの技術をインターネットでつなげ、人間の能力を拡張することに関する役務」であることを認識するものと認められるから、本願商標は、その指定役務との関係において、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)本願の指定役務中、第42類の役務の需要者等は、「IoA」の文字が「Indicator of Attack」の略語であると解した場合、「サイバー攻撃の指標に関する役務」であることを認識するものと認められるから、本願商標は、第42類の指定役務との関係において、商標法第3条第1項第3号に該当する。
請求人は、上記4の審尋に対して、令和7年11月10日に回答書及び手続補正書を提出し、要旨以下(1)ないし(4)のとおりの意見を述べた。
(1)審尋に関連して、第42類の指定役務を削除するための手続補正書を提出した。この結果、「IoA」の文字が「Indicator of Attack」の略語であると需要者に解された場合、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとの拒絶の理由は解消した。
(2)第38類及び第41類の指定役務との関係において、「IoA」の文字が「Internet of Abilities(Ability)」の略語を表すとの認識は需要者において形成されていないため、本願商標は、当審における補正後の指定役務(以下「当審補正役務」という。)との関係において、役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものとはいえない。
(3)請求人による「IoA」の文字を標準文字で表してなる商標は、第38類「電子計算機端末による通信,データを暗号化して行うデータ通信,電子掲示板による通信,プロバイダーによる電子計算機端末による通信ネットワークへの接続の提供」を指定役務として、平成29年5月26日から令和4年5月25日まで登録されていた経緯があり、権利満了から現在までの間に当該商標が自他役務識別力を失ったという事実はなく、また、審尋において示された略語が表す役務等と誤認・混同を生じたという事実も発生していない。
(4)本願商標は、需要者の間において請求人の業務に係る役務を表示するものとして広く認識されており、商標法第3条第2項の要件を具備するものである。
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、「IoA」の文字を標準文字で表してなる。
そして、「IoA」又は「IOA」の文字は、「能力のインターネット」等と訳される「Internet of Abilities(Ability)」の略語として(別掲1)、また、「攻撃の指標」等と訳される「Indicator of Attack」の略語として(別掲2)、それぞれ一般的に使用されているものである。
以上によれば、本願商標に接した需要者等は、本願商標について、「Internet of Abilities(Ability)」の略語として理解する場合と、「Indicator of Attack」の略語として理解する場合があり得る。
ア 本願商標を「Indicator of Attack」の略語であると解した場合
別掲2のとおり、「IoA(Indicator of Attack)」の文字は、サイバー攻撃の指標、すなわち、サイバー攻撃が行われる際のマルウェア等の特徴的な行動や動作のパターンを指す語として使用されており、セキュリティ対策に関連する分野において、当該指標を検出することにより、サイバー攻撃を予見し、対抗策を講じるためのコンピュータソフトウェア等が取り扱われている実情が見受けられる。
そうすると、本願商標をセキュリティ対策に関連する役務に使用した場合、これに接する需要者等は、「サイバー攻撃の指標に関する役務」であることを認識するものとみるのが相当である。
しかしながら、本願の指定役務は、上記2のとおり補正された結果、セキュリティ対策に関連する役務である第42類の役務は削除されたものと認められる。
そうすると、本願商標は、これを当審補正役務について使用しても、「サイバー攻撃の指標に関する役務」であることを認識させるとはいえない。
したがって、本願商標は、「IoA」の文字が「Indicator of Attack」の略語であると需要者に解された場合、商標法第3条第1項第3号に該当するとの拒絶の理由には該当しないものとなった。
イ 本願商標を「Internet of Abilities(Ability)」の略語であると解した場合
別掲1のとおり、「IoA(Internet of Abilities(Ability))」の文字は、人間の能力と人工知能や仮想現実などの技術をインターネットでつなげ、人間の能力を拡張するような概念を表す語として使用されており、これに関する研究・教育が行われているほか、様々な業界において、当該概念を具現化するための商品又は役務が開発中であったり、実際に提供されていたりする実情が見受けられる。
そうすると、本願商標を当審補正役務に使用した場合、これに接する需要者等は、「人間の能力と人工知能や仮想現実などの技術をインターネットでつなげ、人間の能力を拡張すること」に関する役務であること、すなわち、役務の質を普通に用いられる方法で表示するものと認識するにすぎないものとみるのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
ウ 請求人の主張について
(ア)請求人は、「IoA」の文字が「Internet of Abilities(Ability)」の略語を表すとの認識は、当審補正役務の需要者において形成されていない旨主張する。
しかしながら、上記イのとおり、「IoA」の文字は、様々な業界において、「IoA(Internet of Abilities(Ability))」の略語として、人間の能力と人工知能や仮想現実などの技術をインターネットでつなげ、人間の能力を拡張するような概念を表す語として使用されているものであるから、当審補正役務の需要者においても、当該略語を表すものとして認識されるとみるのが相当である。
(イ)請求人は、過去に「IoA」の文字を標準文字で表してなる商標が第38類の役務を指定役務として登録されていたこと理由に、本願商標も同様に登録されるべき旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かの判断は、当該登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と指定役務との関係や、その役務の分野における取引の実情をも踏まえて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の挙げた過去の登録例は、本願とは判断時期が異なるものである点において、事案を異にするものというべきであり、加えて、過去の登録例が存在することをもって、上記判断が左右されるものではない。
(ウ)請求人は、本願商標は請求人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間で広く認識されているから、商標法第3条第2項の要件を具備するものである旨主張する。
しかしながら、請求人は、上記主張を裏付ける具体的な説明をしておらず、また、請求人が提示したウェブサイトからは、請求人に関連する役務に「IoA」の文字が使用されている事実や、「IoA」が請求人の登録商標である旨記載されている事実はうかがえるものの、本願商標を使用した役務の提供実績、広告宣伝の期間・方法・規模、市場シェア等について確認することができず、具体的な使用事実に基づいて使用状況を把握し、その周知性の程度や需要者の認識を客観的に推し量ることができない。また、本願商標が、請求人の役務を表すものとして、わが国の取引者、需要者に広く認識されていたと認めるに足りる事情を見出すことができないことから、本願商標は、商標法第3条第2項に規定する要件を具備するものとはいえない。
(エ)したがって、請求人の上記(ア)ないし(ウ)の主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであって、かつ、同条第2項に規定する要件を具備しないものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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