結論テキスト
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2024300268 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本件登録第4496920号商標(以下「本件商標」という。)は、「アクアクィーン」の文字を標準文字で表してなり、平成9年7月28日に登録出願、第3類「化粧品」を指定商品として、同13年8月10日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
なお、本件審判の請求の登録日は、令和6年5月16日であり、本件審判の請求の登録前3年以内の同3年5月16日から同6年5月15日までを以下「要証期間」という。
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書及び令和6年7月10日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同年9月9日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。
本件商標は、その指定商品(以下「請求に係る指定商品」という場合がある。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(1)登録商標の使用に関する証拠について
ア 乙第1号証及び乙第2号証は、本件審判請求後に撮影されたものであり、証拠として考慮されるべきものではない。仮に乙第1号証及び乙第2号証で表されているラベルを容器に付したUV下地美容液を譲渡等したことがあったとしても、要証期間内に乙第1号証及び乙第2号証の写真にあるラベルの付されたUV下地美容液を販売したことを示す証拠は提出されていない。
商品又は商品の包装に標章を付したものを示す証拠として提出されているのは、乙第1号証及び乙第2号証を除いては、要証期間開始日の2年以上前に印刷・納品されたカタログ(乙10)と、要証期間開始日の1年以上前に投稿された第三者によるブログ記事(乙12、乙13)のみである。
乙第10号証及び乙第12号証に掲載された写真は小さいため、ラベルの文字ははっきりとは見えない。これらの証拠によっては、本件商標と関連のある文字が付されているのかさえ、明瞭ではない。
なお、乙第10号証及び乙第12号証においては、商品の入っている容器を正面から撮影した写真のみが掲載されている。容器の背面から撮影した写真は、答弁書提出日の5日前に撮影された乙第1号証の写真のみである。本件商標登録がなされた2001年8月10日頃から本件商標の使用が開始されているとした場合、乙第1号証の写真撮影日までの22年以上もの間には、多くのラベルが作成され、商標権者に納品されたものと推測する。そのラベルのうち、最も本件商標と似ている標章からなるラベルが1枚でも残っていさえすれば、それを容器に貼り付けて、乙第1号証の撮影をすることは極めて容易である。商品の背面に関して唯一提出されたこの証拠のみをもって、商品の背面にいかなる標章の使用がなされていたかを認定することは妥当ではない。
イ 乙第3号証及び乙第8号証
乙第3号証のラベルには日付やロット番号等の記載はないため、それが乙第8号証の納品書とともに納品されたラベルであるか否かはなんら証明されていないし、また、乙第3号証と同一のラベルを貼り付けた商品が、いつ販売されたのか(又はいまだ販売されていないのか)を示す証拠はない。なお、乙第8号証は、ラベルの納品書の写しであるところ、ラベルの発注・納品は商標法第2条第3項各号に規定する「使用」には該当しないため、本件とは無関係である。
ウ 本件商標の使用の有無
答弁書において、UV下地美容液の背面(乙1、乙3)に表された「Aqua Queen」の文字(以下「本件使用商標1」という。)及び、UV下地美容液の正面(乙2、乙3)に表された「Aqua」と「Queen」の文字を2段に表した商標(以下「本件使用商標2」という。)は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用である旨の主張がなされているが否認する。
本件商標は、「アクアクィーン」を標準文字により表してなる商標であり、スペースによる隙間なしで一連に表されているため、「アクアクィーン」全体をもって一体不可分の商標として把握、認識されるものとみるのが自然である。また、辞書等に載録されている語ではないため、特定の意味を有しない造語として認識される商標である。片仮名で表された本件商標を2語に分けようとしても、「アクア」と「クィーン」であるのか、「アクアク」と「ィーン」であるのか、はたまた「アク」と「アクィーン」であるのか、必ずしも判然とせず、この登録商標のみを見た需要者が、「水の女王」といった観念のみを一義的に認識するとはいえない。よって、上述のとおり、特定の意味を有しない造語として認識されるというのが自然である。
他方、本件使用商標1は、前述のとおり、審判請求後に撮影された写真(乙1)と要証期間の約3年前に納品されたと被請求人が主張しているラベル(乙3)のみにしか表示されていない標章であるが、欧文字の「Aqua」と「Queen」の2語をスペースで区切り、横書きにより表された標章である。これらの語は「水」と「女王」の意味を表す単語として容易に認識されるため、分離した2つの単語を並べた標章であると認識される。
本件使用商標2は、「Aqua」と「Queen」の2語を上下に2段書きで表した図形化された標章である。「Aqua」と「Queen」の語は、文字数がそれぞれ4文字と5文字とで異なるにもかかわらず、上下の文字が同じ幅におさまるように配置されていることもあり、2つの単語を上下にまとまりよく配置させたロゴとして認識されるものである。
本件使用商標1及び本件使用商標2はどちらも、容易に意味を理解できる「Aqua」と「Queen」という2つの単語を組み合わせた構成よりなるため、それぞれの単語の意味より、「水の女王」との観念を生じる。
そうすると、本件使用商標1及び本件使用商標2は、片仮名によりスペースなく一連に表された本件商標とは、外観上、明らかな差異があるため、外観において同視される範囲を超えたものである。また、観念についても、本件商標が特定の観念を想起しない造語であると認識されるのに対し、本件使用商標1及び本件使用商標2は「水の女王」との観念を有するものであり、相違する。
したがって、本件使用商標1及び本件使用商標2は、本件商標との関係において、社会通念上同一の範囲を明らかに超えたものである。
なお、被請求人は、「本件使用商標1及び本件使用商標2の「Queen」の文字の右横には(R)と記載され、登録商標としての使用であることを示している。」(審決注:「(R)」は○に「R」の文字。以下同じ。)と主張する。(R)が付されているか否かは、本件取消審判においては、まったく無関係な事項であるばかりでなく、本件商標は「アクアクィーン」を標準文字で表したものであるから、商標権者の行為は、登録商標以外の商標に商標登録表示と紛らわしい表示を付する行為(商標法第74条第1号)や、商品若しくはその商品の包装に登録商標以外の商標を付したものに、商標登録表示と紛らわしい表示を付したものを譲渡又は引渡しのために所持する行為(同3号)に該当し、虚偽表示として、刑事罰の対象ともなりうる行為である(商標法第80条)。
エ 本件使用商標3
答弁書において、神奈川県横浜市の顧客からの注文書(乙4)は、「アクアクイーン」の文字(以下「本件使用商標3」という。)を付した「取引書類」であるとの主張がなされている。これは、商標法第2条第3項第8号の使用に該当する旨の主張であるものと解するが、当該注文書が「取引書類」に該当するとしても、その展示、頒布、又はこれらを内容とする情報の電磁的方法による提供はなされていないため、商標法第2条第3項第8号に規定する使用の要件を満たしていない。また、商標法第2条第3項各号に規定するその他の使用行為にも該当しない。
また、顧客が作成したと主張する書類であり、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによる使用にも該当しないため、商標法第50条第2項本文の要件を満たしていない。よって、本件使用商標3は、本件商標の使用証拠とならない。
(2)商標の使用者、使用時期及び使用場所に関する証拠について
ア 使用の有無
仮に乙第4号証ないし乙第7号証及び乙第9号証により、「UVブランヴェール」が神奈川県横浜市の顧客に販売された事実があったと仮定しても、譲渡又は引き渡しのなされた商品又は商品の包装にいかなる態様の標章が付されていたか、とりわけ、商品の裏面については、証明されておらず、商標法第2条第3項各号に規定するいずれの「使用」の事実も証明されていない。
イ 商標の使用証拠として提出された乙第4号証ないし乙第7号証及び乙第9号証のうち、乙第5号証、乙第6号証及び乙第9号証は商標権者が作成した書類である。商標権者のみで作成できる書類であるため、審判請求がなされた後に記載内容を変更したものをあらたに作成することも極めて容易であり、信ぴょう性は低い。
ウ 乙第4号証について
顧客から受領した書類として提出されている証拠は、乙第4号証の注文書のみである。
乙第4号証の下部に「発送先:リフトアップサロン Mill fleur S」(「S」は個人の姓を表す。以下同じ。)、「TEL/FAX 045-904-○○○○」との記載がなされているが、「S」の文字部分のみ、他の文字とは明らかに異なる淡い色のフォントであるため、後から追加された文字である可能性は否定できない。
乙第12号証には、「横浜たまプラーザ たるみ専門エステサロン ミルフルールのS美穂子です。」と記載されている。よって、当該ブログは、乙第4号証で発注者により執筆されたブログ記事であることが分かる。当該ブログp1のトップ画像部分には、「完全予約制・P有り 090-5547-○○○○」との記載があり、当該携帯番号が、たるみ専門エステサロン ミルフルールの連絡先電話番号であることがわかる。
当該ブログは、2018年10月12日に最初の記事が投稿されている(甲2)。その記事の最後にも、上述の携帯番号が連絡先として記載されている。
また、mille fleur(ミルフルール)の公式ウェブサイト内、「プロフィール」のページに掲載されている連絡先も、上述の携帯番号である(甲3)。以上を考慮すると、2018年10月12日頃から現在に至るまで一貫して、携帯番号「090-5547-○○○○」を代表電話番号として利用していることが分かる。
以上を鑑みると、乙第4号証記載の「TEL/FAX 045-904-○○○○」の電話番号は、リフトアップサロン Mill fleurの電話番号であるのか、疑念が残る。
さらに、注文書(乙4)の日付は令和6年1月19日とある。納品書(控)(乙5)の日付は、その翌日の令和6年1月20日である。乙第4号証の注文書には、ファックス受信した場合に自動で印字される受領日等の記載はないため、ファックスで送信されたものではない。そうすると、当該注文書は、郵送又はEメールに添付して、商標権者宛てに送られたものと推測される。郵送により送付された場合には、通常郵便であれば、配達に数日を要するため、翌日付けで商標権者が商品を発送することは不可能である。速達で送付された場合には、翌日令和6年1月20日に、注文書が商標権者に届いた可能性は残る。また、注文書(乙4)には折った線の形跡もないため、郵送で送付したとは考え難い。
そうすると、注文書(乙4)は、Eメールに添付して、商標権者宛てに送付されたと考えるのが自然である。Eメールにより送信されたのであれば、FAX番号もいらないのであり、代表電話として使用している携帯番号を書けば十分であるともいえる。送付されたEメールが証拠として提出されていない以上、乙第4号証の信ぴょう性は低い。
エ 乙第5号証及び乙第6号証について
乙第5号証を見ると、納品日、つまり商品の発送日は令和6年1月20日である。令和6年1月20日は土曜日である。商標権者の公式ウェブサイトには、「営業日カレンダー」が掲載されている(甲4)。2024年1月の営業日カレンダーは既にみることができなくなっているが、「営業日カレンダー」のページに掲載中の2024年8月及び9月を見る限り、土曜日と日曜日を常に休業日としているように見受けられる(甲5、甲6)。休業日である土曜日に、本当に商品の発送したのか疑念が残る。
また、取消2023-300856(商標登録第4516419号)の取消審判の手続において、商標権者は答弁書の証拠として、別の顧客宛てに発行した「納品書(控)」(当該審判における証拠 乙9)及び「合計請求書」(当該審判における証拠 乙10)を提出した。当該審判における証拠乙第9号証及び乙第10号証には、「お客様コードNo.」が記載されている。一方、本件審判手続で提出された「納品書(控)」(乙5)の「お客様コードNo.」の欄には、何も記載がなく、また「合計請求書」(乙6)の「お客様コードNo.」の欄は、文字が消されたような跡が残っている。
以上の点を踏まえ、また納品書(控)(乙5)及び「合計請求書」(乙6)は商標権者がいつでも作成のできる書類であることを考慮すると、納品書(控)(乙5)及び「合計請求書」(乙6)は、証拠として信ぴょう性が低いものと言わざるを得ない。
なお、答弁書において、乙第5号証の納品書(控)に記載されたコード及び商品名が、乙第10号証のカタログ記載のコード及び商品名と一致している旨の主張がなされているが、前述のとおり、乙第5号証は商標権者が作成した書類であり、いつでも新たに修正された書類を作成することができるものであり、信ぴょう性は低い。
オ 乙第9号証について
御見積書には、名称「化粧品(アクアクイーンシリーズ)」として、「ブランヴェール【UV地美容液】」との記載がある。一方、その下に記載されている2商品「ボディフォーミュラ【痩身クリーム】 500g」及び「ボディフォーミュラ【痩身クリーム】 220g」については、乙第10号証で提出された総合カタログには掲載されていない。商標権者は、「ラベル及び容器」や「単価」を何ら変更することなく継続して使用している旨主張しているが、カタログに掲載のない商品が販売されていることなどを考慮すると、必要に応じて商品等を見直し、変更しながら、販売をしてきたのではないかと推測する。
カ 乙第12号証及び乙第13号証について
第三者により要証期間外に投稿されたブログであり、証拠として考慮されるべきものではない。また、写真の画像は小さすぎるため、容器に書かれた文字は判読不能である。
キ 乙第10号証及び乙第11号証について
乙第11号証によると、カタログ(乙10)が納品されたのは、2018年12月22日であり、商品の販売がなされたとの主張がなされている納品日令和6年1月20日の、5年以上も前である。販売当時に商品の容器にどのような態様のラベルが付されていたのかについての証拠とはなりえない。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると主張し、その理由を答弁書及び令和7年4月14日付審尋に対する同年5月15日付回答書において要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第23号証(枝番号を含む。枝番号をまとめて引用するときは枝番号を省略する。)を提出した。
(1)乙第1号証及び乙第2号証は、商標権者が本件商標と社会通念上同一の商標を付したラベルを容器に付して販売しているUV下地美容液を撮影した写真である。乙第1号証はUV下地美容液の背面を、乙第2号証は正面をそれぞれ撮影したものであり、UV下地美容液が透明な化粧箱に入れられて顧客に納品される状態を示す。
(2)乙第3号証は、納品された上記ラベルを撮影した写真である。右側ラベルがUV下地美容液の背面に位置し(乙1)、左側ラベルが正面に位置する(乙2)。なお、乙第8号証は、上記ラベルの平成30年7月2日付け納品書である。
(3)UV下地美容液の背面(乙1、乙3)には、本件使用商標1が表され、UV下地美容液の正面(乙2、乙3)には、本件使用商標2が表されている。
(4)本件商標は片仮名の「アクアクィーン」を標準文字で表してなり、本件使用商標1及び本件使用商標2はローマ字の「Aqua Queen」及び「Aqua」と「Queen」の文字を2段に表した商標で、「アクアクィーン」の称呼及び「水の女王」の観念を生じさせるものであり、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる社会通念上同一の商標である。また、本件使用商標1及び本件使用商標2の「Queen」の文字の右横には(R)と記載され、登録商標としての使用であることを示している。
(5)乙第4号証は、神奈川県横浜市の顧客から商標権者に対する上記UV下地美容液の注文書であり、本件使用商標3を付した取引書類である。本件使用商標3は本件商標の書体のみに変更を加えた同一の文字(片仮名の大文字と小文字の相互間の使用)からなる社会通念上同一の商標である。
UV下地美容液の背面(乙1、乙3)には、「Aqua Queen」の文字の下に、販売名として「ブランヴェール」が記載され、さらにその下に、「UV下地美容液」や「朝の基本お手入れの最後にパール粒2個分を取り、ムラなく丁寧になじませます。」と記載があるから、本件使用商標1ないし本件使用商標3が請求に係る指定商品「化粧品」に対して使用されていることが明らかである。
(1)具体的な取引の一例として、商標権者と神奈川県横浜市の顧客との取引に関する乙第4号証ないし乙第7号証及び乙第9号証を提出する。
(2)乙第4号証は、上述のように顧客から商標権者に対する注文書であり、令和6年1月19日に「UVブランヴェール」(6本)2セットの注文を受けている。
(3)乙第5号証は、納品書(控)であり、令和6年1月20日に商標権者は顧客に「UVブランヴェール」を納品している。納品書(控)(乙5)には、「コード・商品名」の欄に「AQP2042」と「UVブランヴェール」が記載され、このコード「AQP2042」は、乙第10号証のカタログに記載された「ブランヴェール」のコード「AQP2042」と同じである。なお、カタログ(乙10)の発行日(納品日)は、乙第11号証に示すとおりである。また、納品書(控)(乙5)の「単価」の欄に記載された数字は、乙第9号証の顧客に対する御見積書の「1本単価」の欄に記載された数字と同じである。なお、乙第9号証は、平成29年2月22日付け「名称 化粧品(アクアクイーンシリーズ)」の御見積書であり、この御見積書に記載の単価を継続して商標権者は顧客に販売している。
(4)乙第6号証は、令和6年2月1日付け合計請求書であり、納品書(控)(乙5)の「合計」の欄に記載された数字と、合計請求書(乙6)の「今回御請求額」の欄に記載された数字は同じである。
(5)乙第7号証は、商標権者の通帳の写しであり、令和6年2月5日に商標権者名義の銀行口座に、注文書(乙4)に記載の顧客の代表者名にて、合計請求書(乙6)の「今回御請求額」の欄に記載された金額を振込により支払ったことを示す。
(6)ここで、乙第12号証は、2019年7月16日に投稿されたウェブサイト「Ameba」の写しであり、写真とともに「金沢で作られている株式会社ナウの「Aqua Queen(アクアクイーン)」」と記載がある。乙第13号証は、乙第12号証の写真を拡大したものであり、写真のおよそ前右側に「UVブランヴェール」が位置している。これは、乙第1号証及び乙第2号証に示す商品と同等のラベル及び容器の商品の写真である(乙12、乙13)。このため、2019年7月16日から乙第1号証及び乙第2号証の作成日(令和6年7月5日)にかけて、商標権者がラベル及び容器を変更することなく商品の販売を継続していることが推測でき、乙第5号証における納品日(令和6年1月20日)においても、乙第1号証及び乙第2号証に示す商品が納品されているといえる。
(7)商品写真(乙14、乙15)について
乙第14号証及び乙第15号証は、商標権者が本件商標と社会通念上同一の商標を付したラベルを容器に付して販売しているクリームを撮影した写真である。具体的には、使用商品を透明な包装容器から出した上で、使用商品の背面、正面のそれぞれの記載内容が確認できるような大きさの書面として、使用商品の背面全体像の写真(乙14の1)と文字部分を拡大した写真(乙14の2)、使用商品の正面全体像の写真(乙15の1)と文字部分を拡大した写真(乙15の2)を提出する。
乙第14号証のクリームの背面には、本件使用商標1が表され、乙第15号証のクリームの正面には、本件使用商標2が表されている。
本件商標は片仮名「アクアクィーン」を標準文字で表してなり、本件使用商標1及び本件使用商標2はローマ字の「Aqua Queen」及び「Aqua」と「Queen」の文字を2段に表した商標で、「アクアクィーン」の称呼及び「水の女王」の観念を生じさせるものであり、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる社会通念上同一の商標である。
乙第14号証のクリームの背面には、「Aqua Queen」の文字の下に、販売名として「モイストパーフェクトクリーム」が記載され、さらにその下に、「クリーム」や「2プッシュを手のひらに取り、顔全体に丁寧になじませます。乾燥など気になる部分にはさらに重ねてください。」と記載があるから、本件使用商標1及び本件使用商標2が請求に係る指定商品に対して使用されていることは明らかである。
なお、本項目のほか、後述する証拠は、すべて商標法第2条第3項第2号に該当する使用を証するものであり、詳細は後述する。
(8)本件カタログ(乙10)について
物件提出書に添付して、本件カタログの原本(乙10)を提出するとともに、乙第14号証、乙第15号証の使用商品に関する部分(本件カタログの右中面、右列の下から2番目の商品)の拡大図(乙10の1)を提出する。なお、本証拠が不明瞭であると指摘される可能性を考慮し、新たな証拠として、フライヤー(乙16)を提出し、詳細は後述する。
(9)フライヤー(乙16)及び注文詳細(乙17)について
本件フライヤーは、使用商品に関するフライヤー「AQUAQUEEN GRACE クリームパンフ」であり、本件カタログ(乙10)と同様に、両面印刷されて半分に折られており、表紙(乙16の1)、左中面(乙16の2)、右中面(乙16の3)及び裏面(乙16の4)のそれぞれの写しを1枚の書面として提出する。
乙第16号証の1ないし乙第16号証の3には、商品名「モイストパーフェクトクリーム(Moist Perfect Cream)」の記載と、使用商品と同じである商品の写真が掲載されてあり、乙第16号証の4は、本件カタログ(乙10)と同様に、下側に商標権者である「株式会社ナウ」の記載がある。
なお、乙第17号証は、印刷物である本件フライヤーの注文詳細であり、1頁に品名「AQUAQUEEN GRACE クリームパンフ」、出荷日「2012/05/09」、商品「A4チラシ・フライヤー/9日納期/両面カラー/マットコート90kg/500枚」、2頁に宛先「株式会社ランブール(商標権者と代表者が同一人。)」、3頁にご注文者様情報「株式会社ナウ」が記載されている。
(10)具体的な取引(乙18~乙22)及び振込手数料の例(乙23)について
商標権者と福井県のT社との取引に関する乙第18号証ないし乙第22号証を提出する。
乙第18号証は、納品書(控)であり、令和5年6月7日に商標権者からT社に「コード・商品名」欄に記載の「AQG5030/モイストパーフェクトクリーム」が納品されており、これは、本件カタログ(乙10)に記載の商品名「モイストパーフェクトクリーム」及び商品コード「AQG5030」と同じである。また、この納品は、T社から商標権者に対する令和5年6月5日の「アクアクイーン」に関する注文書(乙19)に基づくもので、注文書(乙19)と納品書(乙18)の「モイストパーフェクトクリーム」欄の記載は一致している。
乙第20号証は、T社に対する「化粧品(アクアクイーン)」の御見積書であり、「Moist Perfect Cream/モイストパーフェクトクリーム/(クリーム)」の欄に、「参考上代」として「1本@9,800円」の記載があり、これは、本件カタログ(乙10)に記載の「9,800円【税抜き】」と同じで、いわゆるT社からエンドユーザーに販売するときの「販売価格」である。なお、カタログに記載の金額が「販売価格」であることは、一般的なことである。
さらに、乙第20号証には、オーダー数が6本の場合に「単価」が「¥2,940」、「6本当り卸価格」が「¥17,640」の記載があり、これは、納品書(控)(乙18)及び注文書(乙19)に記載の「数量6本、単価2,940、金額17,640」と同じで、いわゆる商標権者からT社に卸すときの「卸価格」である。なお、「卸価格」が「販売価格」より安く、カタログに記載がないことは何ら特異的なことではない。
すなわち、乙第10号証、乙第18号証ないし乙第20号証で「商品名」が、乙第10号証及び乙第18号証で「商品コード」が、乙第10号証及び乙第20号証で「販売価格」が、乙第18号証ないし乙第20号証で「卸価格」がそれぞれ一致しており、本件カタログの商品が要証期間内に商標権者からT社に納品されていることがわかる。
そして、本件カタログ(乙10)の商品と、本件フライヤー(乙16)の商品は、商品名「モイストパーフェクトクリーム(Moist Perfect Cream)」の記載及び使用商品と同じである商品の写真が掲載されていることから、使用商品(乙14、乙15)である。
なお、乙第21号証は請求書、乙第22号証は商標権者の通帳の写しであり、納品書(控)(乙18)の合計欄及び請求書(乙21)の今回御請求額欄は同じ「65,260」であり、商標権者の通帳の写し(乙22)には、令和5年7月25日にT社の名前で、「65,260」よりも160円安い「65,100」が振込により支払われたことが示されているが、これは受取側である商標権者に振込手数料の支払いが請求されたもので、振込手数料160円は一般的な金額である(乙23)。
(11)上記(8)ないし(10)において提出する証拠が、商標法第2条第3項第2号に該当する使用を証するものであることについて
本件フライヤー(乙16)の出荷日、平成24年5月9日、本件カタログ(乙10)の納品日、平成30年12月22日、使用商品(乙14、乙15)の撮影日、令和6年8月30日にかけて、商標権者は継続して、本件使用商標1及び本件使用商標2が印字されたラベルを容器に付した使用商品を販売しており、T社に対する納品(乙18)の納品日、令和5年6月7日においても、使用商品が納品されていること、すなわち商標法第2条第3項第2号に該当する使用を証するものである。
(1)乙第10号証は、表紙にややレタリングが施された「AquaQueen(R)」の文字が表された商品カタログであるところ、第3葉最上部には当該文字と同一の構成態様の文字が表され、その下方に9種類の商品が表示されている。そのうち、「Moist Perfect Cream/モイストパーフェクトクリーム」(審決注:「/」は段表記を表す。以下同じ。)とされる商品(以下「使用商品」という。)には、商品写真とともに、商品説明として「贅沢な高潤クリームがお肌本来のハリを取り戻し、潤いのあるしなやかな肌を持続させます。」の記載及び商品の型番と考えられる「AQG5030」の記載がある。また、第4葉最下部には、商標権者の名称及び住所等の記載がある。
(2)乙第14号証及び乙第15号証は、商品「クリーム」の写真であり、当該商品の容器背面には、「【GRACE】/AquaQueen(R)/Moist Perfect Cream/モイストパーフェクトクリーム」の文字(以下「使用商標1」という。別掲1)及び商標権者の名称及び住所等の記載がある(乙14)。
また、容器正面には、横書きした「【GRACE】」の文字の下に、横書きの「Moist Perfect Cream」を右に90度回転させた文字を表し、さらにその下に2段に横書きした「Aqua/Queen(R)」の文字(以下「使用商標2」という。別掲2)が記載されている(乙15)。
(3)乙第20号証は、日付を平成29年(2017年)2月3日とする、商標権者からT社宛の「御見積書」であり、「名称」として「化粧品(アクアクイーン)」、「品名」として「Moist Perfect Cream/モイストパーフェクトクリーム/(クリーム)」、「単価」として「¥2,940」の記載があり、当該「Moist Perfect Cream/モイストパーフェクトクリーム」の文字は乙第10号証に記載された文字と一致する。
(4)乙第19号証は、日付を令和5年(2023年)6月5日とする、T社から商標権者宛の「注文書」であり、「商品名」として「アクアクイーン モイストパーフェクトクリーム(クリーム グレース)」、「数量」として「6本」、「単価」として「¥2,940」の記載があり、当該「アクアクイーン」及び「モイストパーフェクトクリーム」の文字は乙第20号証の名称及び品名に記載された文字とそれぞれ一致する。
(5)乙第18号証は、日付を令和5年(2023年)6月7日とする、商標権者からT社宛の「納品書(控)」であり、「コード・商品名」を「AQG5030 モイストパーフェクトクリーム」とする商品について、「数量」として「6本」、「単価」として「2,940」の記載があり、他の商品との金額の「合計」として「65,260」の記載がある。そして、当該「AQG5030 モイストパーフェクトクリーム」の文字は乙第10号証に示された商品に係る記載と一致し、当該単価(2,940円)は乙第19号証に記載された単価と一致する。
(6)乙第21号証は、日付を令和5年(2023年)7月3日とする、商標権者からT社宛の「合計請求書」であり、「今回御請求額」として「65260」の記載があり、当該請求額(65,260円)は乙第18号証に記載された合計額と一致する。
(7)乙第22号証は、商標権者の通帳の写しとする書証であり、「05-07-25」(令和5年(2023年)7月25日)の欄には、「トウヨウプランニング(カ」から65,100円が振り込まれた旨の記載がある。
(8)乙第23号証は、「PayPay銀行」のウェブサイトであるところ、インターネットバンキングにおける「他の金融機関宛」の振込手数料として「160円」の記載があり、これは一般的な金額であるとする(被請求人の主張)。
(1)本件商標と本件使用商標について
ア 本件商標
本件商標は、「アクアクィーン」の文字を標準文字で表してなるものであるところ、その構成文字は、「水」を表す「アクア」と「女王」を表す「クィーン」を結合してなるものと容易に看取されるから、本件商標全体からは「アクアクィーン」の称呼を生じ、「水の女王」の観念を生じる。
イ 使用商標
使用商標1は、別掲1のとおり「【GRACE】/AquaQueen(R)/Moist Perfect Cream/モイストパーフェクトクリーム」の文字からなるものであり、また、使用商標2は、別掲2のとおり、横書きした「【GRACE】」の文字の下に、横書きの「Moist Perfect Cream」を右に90度回転させた文字を表し、さらにその下に2段に横書きした「Aqua/Queen(R)」の文字からなるものである。
そして、使用商標の構成中「【GRACE】」、「AquaQueen(R)」、「Moist Perfect Cream」及び「モイストパーフェクトクリーム」の文字は、それぞれ、文字の大きさ及び文字種並びに表記方法(段表記、縦書き、横書き)が相違するものであり、それぞれの文字部分が空間を挟んで表されていることから、視覚上分離した印象を与える態様で表示されており、また、各文字を結合して具体的な意味を有する成語となるものではなく、観念上の特段のつながりもないことから、それぞれの文字部分が独立した構成文字として表示されていると看取し得る。
してみれば、「AquaQueen(R)」の文字も単独で出所識別機能を果たすものといえ、さらに、その構成中「(R)」の文字部分は、「AquaQueen」の文字に比して相当に小さく表されており、外観上、強く印象に残るものではなく、また当該文字は登録商標であることを表す記号として慣用的に使用されているものであって、自他商品の識別標識としての機能を有するものではない。
そうすると、使用商標の要部は、「AquaQueen」の文字にあるというのが相当であり、当該要部は、「水」を表す「Aqua」と「女王」を表す「Queen」の英単語を結合してなるものと容易に看取されるから、「アクアクィーン」の称呼を生じ、「水の女王」の観念を生じるものである。
ウ 本件商標と本件使用商標との同一性
上記ア及びイのとおり、使用商標のうち、出所識別標識としての機能を果たし得る部分として把握される「AquaQueen」の文字部分を、本件商標「アクアクィーン」と比較すると、両者は片仮名と欧文字という文字種の相違はあるものの、「アクアクィーン」の称呼及び「水の女王」の観念をいずれも共通にすることから、使用商標は、本件商標とは、片仮名及び欧文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標である。
したがって、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標といえる。
(2)使用商品について
使用商品は、「クリーム」「潤いのあるしなやかな肌を持続させます。」等の記載から、「化粧用クリーム」であると認められるところ、「化粧用クリーム」は、請求に係る指定商品の範ちゅうに含まれる商品であるとみて差し支えない(乙10、乙14、乙15等)。
(3)使用行為、使用時期、使用者について
商標権者(被請求人)は、平成29年(2017年)2月3日にT社宛に使用商品等の見積書を作成し、令和5年(2023年)6月5日に、T社は商標権者に使用商品6本を含む商品の注文を行った(乙19、乙20)。
そして、要証期間である令和5年(2023年)6月7日に、商標権者からT社に使用商品6本を含む商品を納品し(乙18)、同年7月3日に、商標権者はT社に商品代金65,260円の支払請求を行い(乙21)、同月25日に、T社は、当該代金から振込手数料160円を差し引いた金額である65,100円を商標権者の口座に振り込んだとみるのが自然である(乙22)。
そうすると、商標権者は、要証期間である令和5年(2023年)6月7日に、T社に対し、容器に使用商標が付された使用商品を譲渡したということができる。
(4)小括
上記(1)ないし(3)によれば、商標権者は、要証期間に、日本国内において本件審判の請求に係る指定商品の範ちゅうに属する商品に、本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標を付して使用した(商標法第2条第3項第2号に該当。)と認めることができる。
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が本件請求に係る指定商品に含まれる化粧用クリームについて、本件商標と社会通念上同一の商標を使用した事実を証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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