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Trademark Appeal Case

不使用取消審判の要証期間

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2024300640
審判種別記載はありません。
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

結 論
登録第4414961号商標の指定商品中、第12類「鉄道車両並びにその部品及び附属品,乗用車,バス,トラック,バン,キャラバン,トレーラー,その他の自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車並びにその部品及び附属品,自転車並びにその部品及び附属品,乳母車,陸上の乗物用の動力機械(その部品を除く),陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く),乗物用盗難警報器,落下傘」についての商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

理 由

第1 本件商標

本件登録第4414961号商標(以下「本件商標」という。)は、「PICASSO」の文字を標準文字で表してなり、1998年9月9日にフランス共和国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、平成11年3月5日に登録出願、同12年9月8日に第12類「船舶並びにその部品及び附属品,航空機並びにその部品及び附属品,鉄道車両並びにその部品及び附属品,乗用車,バス,トラック,バン,キャラバン,トレーラー,その他の自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車並びにその部品及び附属品,自転車並びにその部品及び附属品,乳母車,車いす,人力車,そり,手押し車,荷車,馬車,リヤカー,荷役用索道,カーダンパー,カープッシャー,カープラー,牽引車,陸上の乗物用の動力機械(その部品を除く。),陸上の乗物用の機械要素,陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。),タイヤ又はチューブの修繕用ゴムはり付け片,乗物用盗難警報器,落下傘」を指定商品として設定登録されたものである。

そして、本件審判の請求の登録は、令和6年9月27日になされたものであり、この登録前3年以内の期間(同3年(2021年)9月27日~同6年(2024年)9月26日)を以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書及び令和6年12月27日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同7年2月25日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)にて、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。

なお、以下、証拠の表記に当たっては、甲第1号証を「甲1」、乙第1号証を「乙1」のように省略して表示する場合があり、枝番号の全てを示すときは、枝番号を省略する。

1 請求の理由

本件商標は、その指定商品中、第12類「鉄道車両並びにその部品及び附属品,乗用車,バス,トラック,バン,キャラバン,トレーラー,その他の自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車並びにその部品及び附属品,自転車並びにその部品及び附属品,乳母車,陸上の乗物用の動力機械(その部品を除く。),陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。),乗物用盗難警報器,落下傘」(以下「本件審判請求に係る指定商品」という。)について、継続して3年以上日本国内において、本件商標の権利者(以下「本件商標権者」という。)、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

2 弁駁書による主張

(1)被請求人の答弁について

ア 被請求人は、答弁書において、Stellantisジャパン株式会社(以下「Stellantis社」という。)が、被請求人の許諾による本件商標の正当な使用権者である旨を主張する。

しかし、Stellantis社が本件商標の専用使用権者又は通常使用権者であることを示す証拠は何ら提出されていない。更に、専用使用権は、その登録が効力発生要件であるところ、本件商標の商標登録原簿を見ても設定登録された専用使用権は確認できない。

また、被請求人は、答弁書及び乙各号証を通じて、フランスの自動車メーカーのシトロエン社製の乗用車に本件商標を使用していた旨、シトロエン社が、被請求人の許諾による本件商標の正当な使用権者である旨を主張しているが、Stellantis社と同様に、シトロエン社が本件商標の専用使用権者又は通常使用権者であることを示す証拠は何ら提出されていない。

このように、被請求人は、Stellantis社及びシトロエン社が本件商標の専用使用権者又は通常使用権者であることを示す証拠を提出していないのであるから、当該両社が、被請求人の許諾による本件商標の正当な使用権者であるとする被請求人の主張には理由がない。

イ 被請求人は、シトロエン社製の乗用車「シトロエンC4 Picasso」について、「おおよそ2006年~2018年頃までにわたって製造されたミニバン型の乗用車である。」と主張している。

一方、本件審判請求の予告登録日は2024年(令和6年)9月27日であり、要証期間は当該予告登録日の前3年以内であることから、被請求人の主張によれば、シトロエン社製の乗用車「シトロエンC4 Picasso」の販売は、要証期間の約3年前に終了しているといえる。

この点について、請求人が調べたインターネット記事(甲3、甲4)の記載によれば、過去、我が国において、シトロエン社製の「C4ピカソ」及び「グランドC4ピカソ」という名称の自動車が販売されていたことが認められるものの、2018年9月25日をもって、当該自動車の名称は「C4スペースツアラー」及び「グランドC4スペースツアラー」へと変更されている。

この点は、被請求人による「シトロエンC4「Picasso」は、おおよそ2006年~2018年頃までにわたって製造されたミニバンの乗用車である」との主張と矛盾しない。

そうすると、我が国において、「C4ピカソ」及び「グランドC4ピカソ」という名称の自動車が販売されていたのは、2018年9月24日までであると考えられる。なお、被請求人は、答弁書にて、「C4ピカソ」の新車販売が2019年頃まで行われた旨主張するが、これを裏付ける証拠は提出されておらず、当該主張には理由がない。

また、甲第3号証において、「「ピカソ」という称呼が無くなったのは、ピカソ財団との名称使用料の更新の際、金額が折り合わなかった事が原因とされる。」との記載が認められることから、過去に、被請求人と、Stellantis社又はシトロエン社との間で、本件商標に関する使用許諾が行われていた可能性があることは否定できないものの、この点に関する資料は何ら提出されていない。

仮に、過去に本件商標に関する使用許諾が締結されていたとしても、上記のとおり、「C4ピカソ」及び「グランドC4ピカソ」の名称が2018年9月25日より変更された点と、「「ピカソ」という称呼が無くなった」ことに関する記載(甲3)とを併せ考慮すれば、遅くとも2018年9月24日までには、当該使用許諾契約は終了していたことが強く推認される。

したがって、被請求人が提出、主張するシトロエン社製の乗用車「C4ピカソ」及び「グランドC4ピカソ」に関する使用は、要証期間内に本件商標が使用されたことを示すものとはいえない。

ウ 上記に述べた点により、本件商標を使用していた事実が証明されていないが、以下、被請求人が提出した証拠について反論する。

(ア)被請求人は、Stellantis社のウェブサイト内で販売しているシトロエン認定中古車の「取扱車種一覧」を示したウェブページ(乙1の2、乙1の3)では、本件商標を付した商品「乗用車」の販売並びに宣伝広告をしている事実が示されていると主張する。

しかし、Stellantis社が本件商標の専用使用権者又は通常使用権者であることを示す証拠は提出されていない。

よって、乙第1号証の2及び乙第1号証の3は、例え本件商標を付した商品が掲載されているとしても、本件商標権者である被請求人と何ら関係のない第三者による使用であるので、専用使用権者等による使用とは認められない。

(イ)乙第3号証は、「シトロエンC4「Picasso」の製品仕様及び外装写真の写し」であるが、答弁書における主張からは、乙第3号証を誰が作成したのかは明確とはいい難く、シトロエン社のウェブサイトからの抜粋であると推測されるが、上記のとおり、シトロエン社が本件商標の専用使用権又は通常使用権者であることを示す証拠は提出されていない。

したがって、乙第3号証は、例え本件商標を付した商品が掲載されているとしても、本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者による使用であるとはいえない。

なお、乙第3号証は、作成時期も明らかにされていない。

(ウ)被請求人は、乙第4号証は日本国内における複数の中古販売業者によって、本件商標が使用されている事実を証明しているものであると主張し、乙第4号証の1(審決注:乙第4号証の1は、2件提出され、乙第4号証の2の提出は確認できないが、1葉目の左上部に「カー!と言えばグーネット中古車」のデザインされた文字が表示されている乙4の1を「乙第4号証の1」とし、1葉目の左上部に「$20,000,000」及びその下部に「BE FORWARD」のデザインされた文字が表示されている乙4の1を「乙第4号証の2」とみなす。以下、同じ。)は中古車販売サイトとして著名な「グーネット」における「C4 Picasso」の掲載例であると主張する。

まず、被請求人は、乙第4号証は「2024年12月時点での状況を示すもの」と主張していることから、要証期間内の使用に該当しないことは明らかである。

また、乙第4号証の1は、中古車販売サイト「グーネット」のウェブサイトの抜粋であると思われるところ、シトロエン社の自動車「C4 ピカソ」の文字が確認できるが、これを客観的にみれば、中古車販売業者のウェブサイトに中古車「C4 ピカソ」が掲載されていることを示しているにすぎず、当該ウェブサイトを運営する企業と本件商標権者の関係は明らかにされておらず、また、当該企業が本件商標の専用使用権者又は通常使用権者であることを示す証拠も提出されていない。

したがって、乙第4号証の1をもって、本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者が本件商標を使用しているとは認められない。

次に、乙第4号証の2について検討すると、被請求人は、「日本国内の販売者(BE FORWARD社)が海外向けにシトロエンC4「Picasso」を販売するウェブページの写しである」と主張する。しかし、当該号証はフランス語で記載されていると思われるが、当該外国語は我が国の需要者間において一般的な外国語とはいい難いことから、我が国の需要者に向けた内容であるとは認められない。

被請求人の主張によれば、乙第4号証の2は、中古車販売サイトのウェブサイトの抜粋とのことであるが、乙第4号証の1と同様に、当該ウェブサイトを運営する企業と本件商標権者の関係は明らかにされておらず、また、当該企業が本件商標の専用使用権者又は通常使用権者であることを示す証拠も提出されていない。

よって、乙第4号証の2をもって、本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者(以下「本件商標権者等」という。)が本件商標を使用しているとは認めることはできない。

また、被請求人は、答弁書にて、乙第4号証で示した各中古車販売業者による販売・宣伝広告等の行為が本件商標の使用に該当する旨を主張していると思われる。

しかし、過去に販売されていたものの、現在は販売されていない商品が中古品として市場に流通することは、自動車に限らず、他の商品分野でも頻繁に行われる一般的な取引の態様であると解されるところ、本件商標権者と何ら関係のない中古品販売業者による商品の販売等を登録商標の使用と認めることは、商標法第50条の規定する不使用取消審判の趣旨を没却することになると考えられ、妥当とはいえない。この点は、中古自動車販売業者による中古自動車の販売において、当該中古自動車に登録商標が使用されているとしても、本件商標権者等による使用とは認められないとした審決例が存在する点からも明らかといえる。

(エ)乙第5号証は、シトロエン社製の自動車「Picasso」のオーナーズクラブに関するウェブサイトの抜粋とのことであるが、開設日として2012年5月4日と記載されているが、当該資料の作成日は明示されておらず、要証期間内のものであるかは不明である。

当該資料で確認できるウェブサイトは、シトロエン社製の自動車「C4 ピカソ」を所有する一般のユーザーにより設立された私的なウェブサイトであると推測されるが、具体的な管理者は不明であり、また、当該ウェブサイトの管理者が本件商標の専用使用権者又は通常使用権者であることを示す証拠は提出されていない。

したがって、乙第5号証は、本件商標の使用を証明するものではない。

(オ)乙第6号証は、乗用車に関するSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)「みんカラ」におけるシトロエン社の「C4 ピカソ」のスレッドが表示されたウェブページ抜粋とのことであるが、これには、「シトロエン C4 ピカソ」の記載及び自動車の画像が確認できるものの、SNSの性質上、これらは一般のユーザーにより記載されたものと考えられる。

まず、乙第6号証は、作成時期が不明であって、要証期間内のものであるか定かではなく、当該画像をアップロードしたユーザーが特定されている訳ではなく、また、ウェブサイトの管理者等と本件商標の関係性も明らかにされていない。更に、当該ウェブサイトの管理者が本件商標の専用使用権者又は通常使用権者であることを示す証拠も提出されていない。

よって、乙第6号証は、本件商標の使用を証明するものとは認められない。

エ 以上のとおり、被請求人が提出した証拠は、要証期間内に、本件商標権者等が本件商標を使用していた事実を示すものではない。

第3 被請求人の主張の要点

被請求人は、結論同旨の審決を求め、答弁書において、その理由を要旨、以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第6号証を提出した。

1 主張の要旨

本件商標権者等は、本件商標を要証期間に、日本国内において、本件審判請求に係る指定商品中「乗用車」に使用していた。

2 答弁の理由

乙第1号証の1は、被請求人の許諾による本件商標の正当な使用権者であるStellantis社が、日本国内の顧客に向けてシトロエン社製の商品の販売、宣伝広告を目的としたインターネットウェブサイトの写しであり、当該Stellantis社は、シトロエン社(フランス国の自動車メーカーであり、被請求人の許諾による本件商標の正当な使用権者)を傘下に含む世界的自動車メーカー「Stellantis N.V.社」の日本法人であり(乙2)、シトロエン正規ディーラー店を日本全国に展開している(乙1)。

乙第1号証の2は、前記ウェブサイト内で販売しているシトロエン認定中古車の「取扱車種一覧」を示したウェブページの写しであり、ここには本件商標権者等が本件商標「Picasso」を付した商品「乗用車」が販売並びに宣伝広告(商標法第2条第3号に規定する商標使用行為)をしている事実が示されている(乙1の2、3葉目)。

なお、前記「取扱車種一覧」には、将来シトロエン社製の新型車として発売される車種がいずれ追加記載される場合はあるものの、現時点で販売、宣伝広告されている車種が削除されることはない。すなわち、例え、ウェブサイト閲覧時点では在庫がない車種であっても(各掲載者種名の右側に示されている()内の数字は現在の在庫状況を示すものである。)、過去にシトロエン社が製造販売した全ての車種を当該「取扱車種一覧」に掲載することにより販売のための宣伝広告は継続する。正規ディーラーは、自社製乗用車の中古車を適宜入手・在庫して、商品提供することが可能だからである。

ちなみに、現時点で6台のシトロエンC4「Picasso」が在庫されており、各在庫乗用車ごとの紹介スペースで本件商標を使用して販売、宣伝広告を行っている(乙1の3)。また、ここで取引商品となる乗用車シトロエンC4「Picasso」の車両本体にも、本件商標と社会通念上同一の「Picasso」の文字が商標として付されることにより、商標法第2条第3号に規定する商標使用行為が行われている(乙3、2葉目)。

以上のシトロエン正規ディーラー(本件商標権者等)による乗用車C4「Picasso」の販売、宣伝広告行為は、当該乗用車の発売が開始された2006年以降(乙3)、継続的に行われていることはいうまでもないが、その行為の一部であるインターネットウェブサイト(乙1)上では、少なくとも当該ウェブサイトがリニューアルされた2023年(乙1の1、2葉目)から現在に至るまで継続的に本件商標が使用されていることが示されており、上記本件商標の使用は、要証期間内に行われたものであることが証明される。

なお、乙第1号証において、本件商標が使用されている商品はいずれも一旦別のユーザーが所有していたもの等のいわゆる中古車であるが、当該商品群が本件取消対象商品「乗用車」の範ちゅうに属する商品であることが明らかである。すなわち、商品「乗用車」は一般的な消費財と異なり、耐久年数が長く、モデルチェンジ等を経ても従来の同車種が直ちに市場から消え去ることはなく、また、取引者、需要者の目にみえる形で利用が継続されること、かつ、中古車市場においても、流通過程におかれること等、広く知られた顕著な取引実情を鑑みれば、殊更、中古車を商品「乗用車」から除外する合理的な理由は存在しない。

次に、乙第4号証は、本件商標が日本国内における複数の中古車販売業者によって、本件商標が使用されている事実を証明するものであり、現在、中古車販売サイトで著名な「グーネット」において「C4 Picasso」を検索したところ、28台の掲載車両が存在する(乙4の1、1葉目)。

また、乙第4号証の2は、日本国内の販売社(BE FORWARD社)が海外向けにシトロエンC4「Picasso」を販売するウェブページの写しである。

シトロエンC4「Picasso」は、おおよそ2006年から2018年頃までにわたって製造されたミニバン型の乗用車である(乙3)。当該車両の新車販売については、2019年頃までで一旦休止状態にあるが、日本国内においてもオーナーズクラブ(乙5)が存在すること、また、乗用車に関するSNSとして著名な「みんカラ」(乙6)にもスレッドが存在することからも明らかなとおり、今なお高い人気を誇っている。したがって、現在の中古市場においても、頻繁・旺盛かつ継続的に取引されており、その都度本件商標(本件商標と社会通念上同一の「ピカソ」の片仮名を含む。)が使用されている(乙4)。

なお、中古自動車販売業者による販売・宣伝広告行為(乙4)には、本件商標権者等と直接的な取引を介していないものも含まれる。しかしながら、商標法第50条に定める「商標権者、専用使用権者又は通常使用権者(以下「商標権者等」という。)が登録商標の使用をしている場合」とは、商標権者等がその製造に係る商品の販売等をするに当たって登録商標を使用する場合にのみ限定するものではなく、商標権者等によって市場に置かれた商品が流通する過程において、流通業者等が、商標権者等の製造に係る当該商品を販売等するに当たり、当該登録商標を使用する場合を含むものである。すなわち、今日の商品「乗用車(中古車を含む。)」の流通に関する取引の実情に照らすならば、商標権者等が、自ら直接消費者に対して販売する態様にとどまらず、むしろ、中間流通業者が介在した上で、消費者に販売することが常態であるといえるところ、このような中間流通業者が、当該商品を流通させる過程で、当該登録商標を使用している場合に、これを商標権者等の使用に該当しないと解して、商標法第50条の不使用の対象とすることは、同条の趣旨に反することは明白である。

また、乙第4号証は、2024年12月時点での状況を示すものではあるが、上述のとおり、人気車種シトロエンC4「ピカソ」(乙1~乙6)は、2006年(乙3)から現在に至るまで頻繁・旺盛かつ継続的に日本国内で取引されている実情を明示するものであるところ、本件商標権者等によって要証期間中に本件商標が使用されていると解することに疑義を挟む余地はない。

以上、被請求人が提出した証拠により証明されるとおり、本件商標は、指定商品中「乗用車」に対して、要証期間内に、日本国内において本件商標権者等により使用されている。

3 弁駁書に対する応答

合議体は、相当の期間を指定して、請求人提出の弁駁書における主張に対する被請求人の意見を求めたが、応答はなかった。

第4 当審の判断

1 被請求人の立証責任

商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、本件審判請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。

すなわち、本件商標の使用をしていることを証明するには、商標法第50条第2項に規定されているとおり、被請求人は、ア 要証期間に、イ 日本国内において、ウ 商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、エ 本件審判請求に係る指定商品のいずれかについての、オ 本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の使用(商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用行為)をしていることをすべて証明する必要がある。

2 被請求人の提出に係る乙各号証及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。

(1)乙第1号証は、Stellantis社のウェブサイトであり、乙第1号証の1の3葉目には、「会社概要/社名 Stellantisジャパン株式会社・・・設立年月日 2022年3月1日」の記載があり、乙第1号証の2の1葉目には、自動車が映り込んだ風景画像の中央付近に「シトロエン認定中古車」の文字、及び、その下段に「シトロエンの認定中古車。」の文字があり、同3葉目には、いわゆるミニバンと呼ばれる自動車の形状の影絵状図形の下部に「C4 Picasso(6)」の記載があり、乙第1号証の3の1葉目の左上部には「認定中古車」の文字、並びに同1葉目ないし3葉目には、自動車の画像の右側に「C4 Picasso」の文字の記載がある。

(2)乙第2号証は、インターネットフリー百科事典「ウィキペディア」のウェブサイトにおける「ステランティス」の見出し記事の写しであり、「ステランティス N.V.(英:Stellantis N.V.)は、2021年に設立された多国籍自動車製造会社。」、及び、「日本法人」の見出しの下、「日本法人としては、・・・2022年3月1日に統合してStellantisジャパン株式会社となった(存続法人はFCAジャパン)。」の記載がある。

(3)乙第3号証は、被請求人が「シトロエンC4「Picasso」の製品仕様及び外装写真の写し」と主張するものであり、その1葉目には、上から「Citroen 2代目C4ピカソ・2016」(審決注:「e」にはウムラウトが付してある。以下、便宜上「e(E)」と表示する。)、「詳しく見る」、「クサラ・ピカソの威厳に満ちた後継者であるC4ピカソは2006年に登場しました。・・・2013年に2代目が登場し、人々の目を奪います。続いて2016年には、ミニバンのスタンダードとしてかつてないエレガンスと快適性を実現しました。」、図形と2段で「CITROEn」、「製品の仕様」並びに「製造年 2016年以降 生産車両台数 全長(m) 4.44 座席数 5」の記載がある。また、当該2葉目には、自動車の一部からなる画像が5点あり、左端の画像(車体の外装下部の一部を表示したもの)には「Picasso」の筆記体調にレタリングが施された文字が表示されている。

(4)乙第4号証は、本件商標が日本国内における複数の中古車販売業者によって使用されている事実を証明するものと主張するもので、乙第4号証の1の1葉目には、「カー!と言えばグーネット中古車」の記載、及び、中央上部には「C4 ピカソ(シトロエン)の中古車」の表示、更にその下部には、自動車の画像と「シトロエン C4ピカソ」の文字が表示され、並びに、当該2葉目には、中央部に自動車の画像と「シトロエン C4ピカソ」の文字が表示されている。

また、乙第4号証の2には、その1葉目の左上部に「$20,000,000」及びその下部に「BE FORWARD」のデザインされた文字が、右上部には、「Devise:USD Language:Francais」の表示が、中央部には「CITROEN C4 PICASSO d‘occasion a vendre expediees depuis le Japon」等の欧文字が表示され、当該2葉目及び3葉目には、それぞれ複数の自動車の画像とその右側に「CITROEN C4 PICASSO」の文字が表示されている。

(5)乙第5号証は、「Citroen(シトロエン)Picasso(ピカソ)オーナーズクラブ」と題するウェブサイトの写しであるところ、「グループ プロフィール」の見出しの下、「名称 Citroen(シトロエン)Picasso(ピカソ)オーナーズクラブ」、URLのほか、「開設日 2012年5月4日」、「メンバー数 16人」等の記載がある。

(6)乙第6号証は、「日本最大級のクルマSNSサイト みんカラ」と題するウェブサイトの写しであるところ、「シトロエン C4 ピカソ」及び「ユーザー登録台数 750台」等の記載がある。

(7)上記のとおり、乙第1号証ないし乙第6号証には、「Citroen(CITROEN。シトロエン。)」や「Picasso(ピカソ)」の記載は認められるが、被請求人の名称の記載は、いずれも確認することができない。

また、乙各号証は、その作成日がいずれも不明である。

3 判断

Stellantis社は、「ステランティス N.V.(英:Stellantis N.V.)」の日本法人であり(乙2)、Stellantis社のウェブサイトにおいて、シトロエン社製の乗用車の認定中古車と称する自動車につき、「Picasso」の欧文字を表示して、広告宣伝のために掲載している(乙1の3)と認められるものの、乙各号証はその作成日(インターネットウェブサイトの写しについては、出力日。)がいずれも不明であり、要証期間に作成若しくは出力されたものとは認められず、要証期間内にこれら内容が掲載されていたかどうかについても不明である。

また、被請求人の主張及び同人の提出に係る全証拠をみても、Stellantis社、「ステランティス N.V.(英:Stellantis N.V.)」社及びシトロエン社のいずれもが、本件商標の専用使用権者又は通常使用権者であることを示す証拠等の提出もないことから、本件商標権者との関係も確認できない。

以上のことからすれば、被請求人である本件商標権者はもとより、本件商標の商標権に係る専用使用権者又は通常使用権者が、要証期間に本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を、本件審判請求に係る指定商品に使用した事実を確認できないことから、商標法第2条第3項各号における本件商標の使用の行為を認めることができない。

4 まとめ

以上のとおり、被請求人提出の証拠によっては、被請求人が、要証期間に日本国内において本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件審判請求に係る指定商品のいずれかの商品について、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)を使用していた事実を証明したものと認めることはできない。

また、被請求人は、本件審判請求に係る指定商品について本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定商品中「結論掲記の指定商品」についての登録を取り消すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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