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Trademark Appeal Case

不使用取消審判

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2024300703
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

理 由

第1 本件商標

本件登録第6433603号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、令和2年2月10日に登録出願、第9類「写真用機器専用ケース,ビデオカメラ,電子出版物,電線及びケーブル,乗物用後方確認用カメラ,盗難警報器,ラップトップ型コンピューター用保護ケース,赤外線熱画像探知カメラ,家庭用テレビゲーム機用プログラム,全地球測位装置(GPS),火災報知機,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル,携帯情報端末,記録済みCD-ROM,光学機械器具,電子看板,コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),写真機械器具,盗難防止警報装置,盗難防止用電気式設備,コンピュータ用モニター,スマートフォン用保護フィルム,イヤホン,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,セキュリティートークン(暗号化装置),ガス漏れ警報器,一般家庭用のペット探索用電気通信機械器具,自撮り棒(手持用一脚),一般家庭用のペット探索用電気通信機械器具の部品及び附属品,防犯用監視ロボット,一般家庭用のペット探索用電子応用機械器具(「ガイガー計数器・高周波ミシン・サイクロトロン・産業用X線機械器具・産業用ベータートロン・磁気探鉱機・磁気探知機・地震探鉱機械器具・水中聴音機械器具・超音波応用測深器・超音波応用探傷器・超音波応用探知機・電子応用扉自動開閉装置・電子顕微鏡」を除く。),一般家庭用のペット探索用電子応用機械器具及びその部品,一般家庭用のペット探索用電子計算機用プログラム,一般家庭用のペット探索用コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),一般家庭用のペット探索用コンピュータ周辺機器,バーチャルリアリティ用ヘッドセット,一般家庭用のペット探索用スピーカー,スマートフォン」のほか、第35類、第42類及び第45類に属する商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同3年8月25日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

そして、本件審判の請求の登録日は、令和6年10月15日である。

なお、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である令和3年(2021年)10月15日から同6年(2024年)10月14日までを、以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張

請求人は、本件商標の指定商品及び指定役務中、第9類「ラップトップ型コンピューター用保護ケース,携帯情報端末,記録済みCD-ROM,電子看板,コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),コンピュータ用モニター,スマートフォン用保護フィルム,セキュリティートークン(暗号化装置),自撮り棒(手持用一脚),一般家庭用のペット探索用電子応用機械器具(「ガイガー計数器・高周波ミシン・サイクロトロン・産業用X線機械器具・産業用ベータートロン・磁気探鉱機・磁気探知機・地震探鉱機械器具・水中聴音機械器具・超音波応用測深器・超音波応用探傷器・超音波応用探知機・電子応用扉自動開閉装置・電子顕微鏡」を除く。),一般家庭用のペット探索用電子応用機械器具及びその部品,一般家庭用のペット探索用電子計算機用プログラム,一般家庭用のペット探索用コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),一般家庭用のペット探索用コンピュータ周辺機器,バーチャルリアリティ用ヘッドセット,スマートフォン」(以下「請求に係る商品」という。)についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書及び審判事件弁駁書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。

1 請求の理由

本件商標は、その指定商品及び指定役務中、請求に係る商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

2 答弁に対する弁駁

(1)乙号証について

ア 乙第1号証ないし乙第3号証について

乙第1号証ないし乙第3号証は、被請求人によれば、本件商標に関するサービスサイトのコピーであるとされる。

しかしながら、同号証中にウェブサイト運営者の記載は一切確認することができないため、被請求人とどのような関係があるウェブサイトであるのか特定することができない。また、同号証中に本件要証期間内に当該ウェブサイトが提供されたことが客観的に明らかとなる日付等の記載は見当たらない。

イ 乙第4号証について

乙第4号証は、被請求人によれば、被請求人自社HPのコピーであるとされる。

しかしながら、同号証中には本件商標の記載は確認することができない。また、同号証中には「ペットの位置情報送信見守りサービス」との記載が確認できるが、これは請求に係る商品に該当しない、無関係なものである。

同号証中では2020年2月23日に「「Petra」の特設サイトオープン!」の見出しで記事が投稿されていることが確認できるが、当該ウェブサイトのURLの記載等はなく、どのウェブサイトに関する記載であるのか特定することができない。

ウ 乙第5号証ないし乙第7号証について

乙第5号証ないし乙第7号証は、被請求人によれば、被請求人自社HPのコピーであるとされる。

しかしながら、同号証中にウェブサイト運営者の記載は一切確認することができないため、被請求人とどのような関係があるウェブサイトであるのか特定することができない。また、同号証では、本件商標の記載はどこからも確認することができず、また、同号証の内容も請求に係る商品に該当しない、無関係なものである。

エ 乙第8号証について

乙第8号証は、公益財団法人東京都中小企業振興公社が運営する創業助成事業の過去の採択情報についてのページのコピーと思われるが、同号証では本件商標の記載はどこからも確認することができない。また、同号証の内容も請求に係る商品とは無関係なものである。

オ 乙第9号証について

乙第9号証は、公益財団法人東京都中小企業振興公社が運営する令和5年度第2回創業助成事業の採択者のリストのコピーと思われるが、同号証には、本件商標の記載はどこからも確認することができない。また、同号証中の被請求人に係る助成事業概要の欄には「IoT技術を利用したペット迷子防止サービス」と記載されているが、これは請求に係る商品に該当しない、無関係なものである。

カ 乙各号証の総合判断

乙各号証をもって本件要証期間内に日本国内における本件商標の使用の事実が立証されたということはできない。その理由は以下のとおりである。

(ア)商標権者等による使用に該当しない。

乙第1号証ないし乙第3号証中のウェブサイトにおいて、欧文字のPをモチーフにしたロゴ及び「Petra」の文字からなる商標が確認できるが、乙各号証からは当該ウェブサイトの運営者の記載は一切確認することができないため、当該ウェブサイトが被請求人とどのような関係にあるのか特定することができない。したがって、本件商標が商標権者等により使用されたとはいえない。

(イ)要証期間における使用に該当しない。

乙第1号証ないし乙第3号証中のウェブサイトにおいて、欧文字のPをモチーフにしたロゴ及び「Petra」の文字からなる商標(以下「使用商標」という。)が確認できるが、乙各号証からは当該ウェブサイトが本件要証期間内に提供されたことが客観的に明らかとなる日付等の記載は見当たらない。したがって、本件商標が本件要証期間内に使用されたとはいえない。

(ウ)指定商品についての登録商標の使用に該当しない。

商標法は、標章の「使用」に当たる行為について、商標法第2条第3項で、「この法律で標章について「使用」とは、次に掲げる行為をいう。」と規定し、同項第8号は、「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」を挙げている。

そして、商標法における「商品」とは、市場において独立して商取引の対象として流通に供される物と解されており、また、商標法第50条における「指定商品についての登録商標の使用」があったというためには、その「商品」は原則として現に日本国内において流通している商品と解される。

乙各号証をみると、乙第1号証ないし乙第3号証中のウェブサイトにおいて、欧文字のPをモチーフにしたロゴ及び「Petra」の文字からなる商標が確認できる。

しかしながら、乙第5号証ないし乙第7号証並びに答弁書によれば、被請求人が本件商標を使用したと主張する「コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの)」は、2024年7月現在、発売されていない。また、請求人が確認したところによれば、2025年1月現在においても被請求人商品は未だ発売されていない(甲3)。

被請求人が本件商標を使用したと主張する「コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの)」は、市場において独立して商取引の対象として流通に供される物といえるとしても、2024年7月現在、発売されていないものであるから、現に日本国内において流通している商品とはいえない。

したがって、被請求人が主張するように「コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの)」について本件商標を使用していたとしても、かかる本件商標の使用は、現に日本国内において流通している商品についての使用とはいえないから、商標法第50条における「指定商品についての登録商標の使用」には該当しない。

以上より、乙各号証を総合してみても、本件要証期間内に、日本国内において、商標権者等により本件商標が請求に係る商品のいずれかについて使用された事実が立証されたとは到底いえない。

(2)商標の使用の事実

被請求人は、PetraHPにて、本件商標にかかる使用を行っている、としているが、乙第1号証ないし乙第3号証中にウェブサイト運営者の記載は一切確認することができないため、同HPが被請求人とどのような関係があるウェブサイトであるのか特定することができない。

被請求人は、サービスサイトにて、2020年2月頃より使用を継続しているとしているが、乙第4号証中では2020年2月23日に「「Petra」の特設サイトオープン!」の見出しで記事が投稿されているのみであり、当該サイトのURLの記載等はなく、どのウェブサイトに関する記載であるのか特定することができない。

被請求人は、自社HPにて本件要証期間内にニュース記事を投稿しており、その使用は宣伝広告的機能としての使用であるとしているが、上記で述べたとおり、被請求人の本件商標の使用は、現に日本国内において流通している商品についての使用とはいえず、宣伝広告的機能としての使用に該当しない。

被請求人は、公益財団法人東京都中小企業振興公社の公的な支援を受けてサービス運営を行っている、としているが、これは商標の使用の事実を何ら立証するものではない。

以上より、本件要証期間内に日本国内において商標権者等が請求に係る商品について本件商標の使用をしたとの事実が立証されたということはできない。

(3)使用商標

被請求人は、自社HPでの本件商標の使用は被請求人のサービス利用を需要者に対して誘引する行為であり、かつ、宣伝広告的使用であることに疑いはない、としている。

しかしながら、上記のとおり、かかる本件商標の使用は、現に日本国内において流通している商品についての使用とはいえず、宣伝広告的使用に該当しない。

したがって、本件要証期間内に日本国内において商標権者等が請求に係る商品について本件商標の使用をしたとの事実が立証されたということはできない。

(4)その他

被請求人は、公益財団法人東京都中小企業振興公社が運営する創業助成事業の補助金を持って本サービスを運営している、としているが、公益財団法人東京都中小企業振興公社から補助金を受けていること自体は何ら本件商標の使用の事実を立証するものではない。

また、上述のとおり、公益財団法人東京都中小企業振興公社が運営する創業助成事業に係る乙第8号証及び乙第9号証には、本件商標の記載はなく、また、同号証の内容も請求に係る商品に該当しない、無関係なものである。

したがって、これをもって本件要証期間内に日本国内において商標権者等が請求に係る商品について本件商標の使用をしたとの事実が立証されたということはできない。

(5)不使用についての正当な理由は存在しない。

被請求人は本件商標を使用していないことについて正当な理由があることは何ら主張立証していない。

第3 被請求人の主張

被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を審判事件答弁書及び令和7年5月15日付け審尋に対する同年6月18日付け回答書において要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第13号証(枝番号を含む。)を提出した。

1 答弁書における主張

(1)商標の使用の事実

ア 商標権者は、PetraHPにて、本件商標にかかる使用を行っている(乙1~乙3)。この点、サービスサイトにて、2020年2月頃より使用を継続している事実がある(乙4)。

イ 商標権者は、自社HPにて要証期間内にニュース記事も投稿しており、その使用は宣伝広告的機能としての使用である(乙5~乙7)。

ウ 商標権者は、公益財団法人東京都中小企業振興公社が運営する令和5年度第2回の創業助成事業採択者に選出されており、公的な支援を受け、このサービス運営を行っている(乙8、乙9)。

(2)使用商標

ア 本件商標は、欧文字のPをモチーフにしたロゴ及び「Petra」の文字からなる結合商標である。使用商標は緑地に白文字からなる商標であり、登録商標は白地に緑文字からなるため、色の違いはあるものの、色彩を登録商標と同一にすれば登録商標と同一(商標法70条)の、色違い類似商標である。

本件商標はサービスページのトップ画面の1ページ目に中央部に大きく表示されており、使用されていること自体は疑いようのない事実である。

イ 自社HPの中ほどには本商標に関連する商品の説明文がある。そこでは、ペット探知関連サービスである旨の言及がある。「いつでもどこでもペットを見守る!ペットに装着するだけでアプリを通して居場所がわかる」の記載もあるように、本商品はアプリを通じてペットの居場所を確認することができるサービスであり、指定商品との使用もはっきりと明記されている。この使用は被請求人のサービス利用を需要者に対して誘引する行為であり、かつ、宣伝広告的使用であることに疑いはない。

ウ 被請求人は商品サービス提供の遅れについて、サービスHPのポップアップ表示にて情報の発信を行っており、かつ、ニュース一覧にもサービス提供の状況説明をしている。そのニュース記事の掲載が2024年7月であり、最近の使用であることがその日付表示より認識できる。

なお、この使用時期は不使用取消審判の三月前であり、期間としてはいわゆる駆け込み使用期間にはなり得る。しかしながら、被請求人は本審判の提起について認識しておらず、また請求人もいわゆる駆け込み使用であることの証明をしていない。つまり、被請求人の使用は駆け込み使用ではない。

(3)その他

被請求人は公益財団法人東京都中小企業振興公社が運営する創業助成事業の補助金をもって本サービスを運営している。商標的使用としてはやや証拠能力に乏しいものの、このPetra事業継続について令和5年の時点でも継続していることがうかがえる公益な証明書類である。

2 回答書における主張

(1)新たな証拠について

被請求人は、本件商標を、要証期間内において、指定商品「コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの)」に関連する広告告知行為として使用していた。この点を裏付ける証拠として、以下の資料を新たに提出する。

ア 令和2年(2020年)2月28日付け及び令和6年3月27日付けの使用証拠

本証拠は、過去のウェブページを閲覧できるウェイバックマシンにより保存された、被請求人が運営するサービス「Petra」のウェブサイトのアーカイブ記録である。

これにより、令和2年(2020年)2月28日付けのページが確認される。また、令和6年3月27日付けのウェブページも確認できる(乙10の1及び2)。

そして、当該ページには、本件商標と社会通念上同一の商標(Petraロゴ)が明確に掲載されており、さらに、指定商品に該当する「コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの)」であることを示す「アプリを通じてペットの居場所を確認する」との記載が含まれている。

イ 商標の使用者が商標権者であることの証拠

また、当該ウェブサイトの使用者が被請求人であることについては、当時の運営主体の所在地が、国税庁法人番号公表サイトに記録された商標権者の過去の本店所在地と一致することから確認される。現時点の住所とは異なるが、当時の運営主体が被請求人自身であることが客観的に裏付けられる(乙11)。

また、当該ウェブサイトは日本国内(東京都台東区)に居所を有する商標権者のウェブサイトであり、日本語で作成されているため、日本国内における商標使用と解するのが相当である。

(2)弁駁書に対する意見

ア 請求人は「商標権者等による使用に該当しない。」と主張している。

しかしながら、被請求人が今回新たに提出した証拠により、商標権者による使用が明らかとなった。したがって、請求人の当該主張は、現時点においては成立しない。

イ 請求人は「要証期間における使用に該当しない。」と主張している。

しかしながら、新たに提出した証拠により、要証期間内における使用が確認することができる。したがって、請求人の当該主張は、現時点においては成立しない。

ウ 請求人は「2025年1月現在においても被請求人商品は未だ発売されていない(甲3)から、指定商品についての登録商標の使用に該当しない。」と主張している。

しかしながら、「令和3年(行ケ)第10004号審決取消請求事件」において、裁判所は以下の判断を示している(乙12)。

「商標の使用があるとするためには、指定商品との具体的関係において使用されることが必要である(最高裁昭和43年2月9日第二小法廷判決民集22巻2号159頁)が、本件においては、上記アのとおり、指定商品との具体的関係において使用されていると認められるのであって、広告がされた当時、実際に商品が販売されていないことや商品を販売する計画や予定の有無は、この判断を左右するものではない。」

したがって、2025年1月現在において商品が未発売であることは、登録商標の使用の成否を左右する事情ではなく、請求人の主張は失当である。

なお、念のため申し添えるが、請求人は、本件アプリケーションが無償で提供されるものである可能性があることを理由に、商標法上の「商品」に該当しないと考えるかもしれない。

しかしながら、平成30年(行ケ)第10059号において、裁判所は以下のとおり判断している(乙13)。

「商標法上の商品というためには、商取引の対象となり得ることが必要であり、そのためには、必ずしも当該商品が有償で譲渡される必要はなく、当該商品自体は無償で譲渡されるものであっても、当該商品の譲渡によって利益を得る仕組みがあり、その仕組みの一環として、当該商品が無償で譲渡されるのであれば、当該商品は交換価値を有し、商取引の対象となっていると認めることができるというべきである。」

本件についても、仮にアプリケーションが無償で提供されるとしても、それはビジネスモデル上の設計によるものであり、商取引の対象とならないことを意味するものではない。被請求人は、ウェブサイト上でも明示しているとおり、主たる事業として「システム開発事業」を行っており、本件アプリケーションもその事業の一環として提供されるものである。

したがって、本件アプリケーションは交換価値を有し、商取引の対象となり得るものであり、商標法上の「商品」に該当することを、あらかじめ申し添えておく。

(3)まとめ

要証期間(例えば、2020年2月、2024年3月)において、日本国内(東京都台東区)において、商標権者が、指定商品「コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの)」に登録商標と社会通念上同一とみなされる商標を宣伝広告的に使用している。

よって、本件審判請求は成り立たない。

第4 当審の判断

1 被請求人の主張及び提出された証拠によれば、以下のとおりである。

(1)被請求人である商標権者は、2019年4月に設立された、東京都台東区に所在する会社であり、ペットの見守りサービス等を行っている(乙10の1及び2、乙11)。

(2)乙第10号証の1は、「ペットの総合見守りサービス「ペトラ」」をタイトルとするウェブページ(以下「本件ウェブページ」という。)の2020年2月28日のアーカイブであり、2葉目に「初めまして/あなたとペットの暮らしをサポートする/「ペットの総合見守りサービス」/Petraです」の記載がある。また、3葉目には「小型端末Petraをペットに装着することで、専用アプリを通していつでもどこでもペットの居場所を確認できます。・・・携帯電話通信網を利用することで、ペットが日本全国どこにいても居場所を特定します。」の記載がある。そして、本件ウェブページの10葉目以降には、「ABOUT US/会社概要」として、商標権者名の記載があり、さらに、本件ウェブページの末尾には、別掲2のとおりの標章(以下「本件使用商標」という。)が掲載されている。

2 上記1によれば、以下のとおり判断できる。

(1)使用商標について

本件商標は、別掲1のとおり、欧文字の「P」を模したような図形と、その下に「Petra」の文字を、いずれも緑色で表してなる。他方、本件使用商標は、別掲2のとおり、欧文字の「P」を模したような図形と、その下に「Petra」の文字を、いずれも黒色で表してなる。

本件商標と本件使用商標とは、色彩が相違するものの、表示されている図形、文字及びそれらの配置を共通にするものである。

よって、本件使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。

(2)使用者について

上記1(2)によれば、本件使用商標を表示した本件ウェブページを運営しているのは商標権者であることがうかがえるから、本件使用商標の使用者は、商標権者といえる。

(3)使用商品について

上記1(2)によれば、本件ウェブページにおいて紹介されている「Petra」は、ペットの見守りサービスを指すとともに、当該サービスにおいて、ペットの居場所を探すためのコンピュータソフトウェア用アプリケーション(以下「使用商品」という。)をも指すものであることがうかがえる。

そして、使用商品は、請求に係る商品中、「コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの)」の範ちゅうに属する商品であることが明らかである。

(4)使用時期について

上記1(2)によれば、本件使用商標が掲載された本件ウェブページは、2020年2月28日時点のものであり、この日付は要証期間内である。

よって、本件使用商標の使用時期は要証期間内である。

(5)使用行為について

本件ウェブページは、使用商品についての広告と認められる。

そうすると、商標権者は、本件ウェブページにおいて使用商品に関する広告を内容とする情報に使用商標を付したといえる。

また、当該行為は、日本国内において行われたことが明らかである。

(6)小括

上記(1)ないし(5)によれば、商標権者は、要証期間に、日本国内において、請求に係る商品中「コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの)」の範ちゅうに属する商品についての広告を内容とする情報に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して電磁的方法により提供した(商標法第2条第3項第8号)と認めることができる。

3 請求人の主張について

請求人は、本件商標を使用したと主張されている商品は、2024年7月現在及び2025年1月現在において未だ発売されておらず、現に日本国内において流通している商品とはいえないから、商標法第50条における「指定商品についての登録商標の使用」には該当しない旨主張する。

しかしながら、仮に本件使用商標を使用した商品が販売されていないとしても、上記2のとおり、本件使用商標は、要証期間内に、使用商品についての広告を内容とする情報に付され、電磁的方法により提供されたものであるから、その時点において、使用商品を販売する意思があったと推認でき、それを疑うべき合理的な理由は見当たらない。

したがって、請求人の上記主張は採用することができない。

4 まとめ

以上のとおり、被請求人は、要証期間に、日本国内において、商標権者が、本件商標と社会通念上同一の商標を、本件商標の指定商品及び指定役務中、請求に係る商品について使用していたことを証明したものと認められる。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。

よって、結論のとおり審決する。

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