結論テキスト
国際商標登録第1415306号商標の指定商品中、第33類「Spirits」についての商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2024670025 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由
本件国際登録第1415306号商標(以下「本件商標」という。)は、「UKIYO」の文字を横書きしてなり、2018年6月20日に英国(GB)においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、同月25日に国際商標登録出願、第33類「Spirits;gin;vodka;rum;whisky.」を指定商品として、令和2年(2020年)1月17日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和6年(2024年)6月4日である。
なお、本件審判において、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、令和3年(2021年)6月4日ないし令和6年(2024年)6月3日である(以下「要証期間」ということがある。)。
請求人は、本件商標の指定商品中、第33類「Spirits」(訳:スピリッツ(蒸留酒))についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を審判請求書及び審判事件弁駁書において要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第8号証(以下、証拠の記載に当たっては「甲(乙)〇」と表記する。)を提出した。
本件商標は、その指定商品(第33類「Spirits」(訳:スピリッツ(蒸留酒)、以下「請求に係る指定商品」という場合がある。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(1)乙11ないし乙13について
ア 商標の使用者
本件商標権者は、審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)において、乙11ないし乙13をもって、「DKGグループは、ウェブサイト「kirkergree.com」(審決注:「kirkergreer.com」の誤記と認める。以下、「kirkergreerサイト」という。)において、遅くとも2020年9月21日より現在に至るまで、本件商標を、日本で製造されたスピリッツ(蒸留酒)に、使用をしている。」と主張している。
しかしながら、kirkergreerサイトには、所有者について「ABOUT US Kirker Greer Spirits was founded in 2009 and is 100% independently owned.」、すなわち「2009年に設立され、100%独立経営のKirker Greer Spirits」と記載されているから(甲1及びその抄訳文)、本件商標を使用した「ジン」及び「ウォッカ」を販売しているのはKirker Greer Spiritsであり、本件商標権者ではない。
なお、本件商標権者は答弁書において、当該ウェブサイトについて、KIRKER GREER & COLTD(2022年10月28日設立)(以下「KIRKER&CO社」という。)のサイトであると述べているが、乙11及び当該ウェブサイトの各ページには、Kirker Greer SpiritsとKIRKER&CO社が同一法人であることを示す記載はない。仮に、Kirker Greer SpiritsとKIRKER&CO社が同一法人であったとしても、答弁書において本件商標権者及びKIRKER&CO社が共に「DKGグループに属する法人」と一言説明されているだけで、両者の間に本件商標について使用許諾契約が存在することを示す証拠は何ら提出されていない。
したがって、乙11ないし乙13は、「本件商標権者による使用証拠」とは認められない。
イ 日本国内での使用
ウェブサイトは、アクセス制限をかけない限り、世界のいずれにおいてもアクセス可能であり、日本からでも検索可能であるため、「日本における需要者・取引者」を対象としたものでなければ、日本における使用とは認められない。この点について、知的財産高等裁判所平成17年(行ケ)第10095号(PAPAJOHN’S事件)では、「ウェブページによる広告」に関し、「上記ウェブページは,米国サーバーに設けられたものである上,その内容もすべて英語で表示されたものであって,日本の需要者を対象としたものとは認められない。上記ウェブページは日本からもアクセス可能であり,日本の検索エンジンによっても検索可能であるが,このことは,インターネットのウェブページである以上当然のことであり,同事実によっては上記ウェブページによる広告を日本国内による使用に該当するものということはできない」として、日本における使用と認められなかった(甲2)。
本件商標権者が使用を主張しているkirkergreerサイトは、英国に設置されたサーバー上にあり(甲3)、全て英語で記載されていることから、日本の需要者・取引者を対象にしていないことは明らかである。kirkergreerサイトに本件商標を使用した商品を掲載したとしても、日本国内での使用には該当しない。
また、本件商標権者は、乙11の記載を根拠に「遅くとも2020年9月21日より現在に至るまで、本件商標を、日本で製造されたスピリッツ(蒸留酒)に、使用をしている」と主張しているが、当該ウェブページに「Ukiyo Japanese spirits are born in Chiba,east Tokyo,and are made with rice that is masterfully distilled into our Gin and Vodka expressions.」、すなわち「東京の東に当たる千葉で誕生したUkiyo Japanese spiritsは、米を原料とし、巧みに蒸留されてジンとウォッカに仕上げられている。」と記載されているだけでは、本件商標を使用した商品が日本で製造されていたことの証明にはならない。
したがって、乙11ないし乙13は、「日本における使用証拠」とは認められないものである。
(2)乙14ないし乙17について
ア 商標の使用者
本件商標権者は、答弁書において、乙14ないし乙17をもって、kirkergreerサイトに表示されている商品は、例えばウェブサイト「masterofmalt.com」(以下「MMサイト」という場合がある。)において、遅くとも2021年9月24日より、販売をされている。」と主張している。
しかしながら、「Master of Malt」(MMサイト)は、イギリスのウイスキーショップが運営する酒類の販売サイトであり、本件商標権者とは何ら関係のないウェブサイトである。また、乙14ないし乙17には、商標「UKIYO」が付された容器で「ジン」及び「ウォッカ」が販売されていることが示されているが、本件商標権者がそれらの商品を製造・販売したことを示す記載はどこにもない。
唯一、MMサイトで販売されている「ジン」及び「ウォッカ」のラベルに「浮世 スピリッツ株式会社」という会社名が記載されているが、日本にはこのような名前の会社は実在していない(甲4)。
したがって、乙11ないし乙17は、「本件商標権者による使用証拠」とは認められないものである。
イ 日本国内での使用
ウェブサイトヘの掲載の場合、「日本における需要者・取引者」を対象としたものでなければ、「日本における使用」とは認められない(甲2)。
また、MMサイトの所有者はイギリスのウイスキーショップで、各ウェブページは全て英語で表記されている。この点について、本件商標権者は、乙17をもって、「商品の購入者は、MMサイトで販売されている商品を、日本円で購入することができて、日本国内で受け取ることができる。」と主張しているが、乙17として提出されたウェブページの写しには、印刷年月日の記載がなく、どの時点での情報か不明である。
そして、MMサイトには、「The prices currently being shown in JPY(change) are approximate,and should be used for illustrative purposes only.All prices are in GBP and all orders are charged in GBP.The order total - the amount you will actually be charged - will be displayed in GBP before you place your order.」、すなわち「現在日本円で表示されている価格はおおよそのものであり、説明の目的のみにご利用ください。すべての価格はイギリスポンドで表示され、すべての注文はイギリスポンドで請求されます。ご注文の合計金額(実際に請求される金額)は、ご注文前にイギリスポンドで表示されます。」と記載されており(甲5)、「日本円で購入することができる」という本件商標権者の主張は失当である。また、2024年10月4日現在、MMサイトでは、日本への配送を扱っているが、個人輸入の扱いとなるため、関税手続き等は購入者が行う必要があり、日本における一般の需要者・取引者が日常的に利用するサイトではない。実際、本件商標権者から、本件商標が付された商品について、日本国内からの注文実績等の証拠は提出されていない。
したがって、乙17は、要証期間内における「日本における使用証拠」とは認められないものである。
(3)乙18ないし乙20について
ア 商標の使用者
本件商標権者は、答弁書において、乙18ないし乙20をもって、「DKGグループは、ウェブサイト「ukiyospirits.com」(以下「UKIYOサイト」という場合がある。)において、遅くとも2021年1月24日より現在に至るまで、本件商標を日本で製造されたスピリッツ(蒸留酒)に、使用をしている。」と主張している。
しかしながら、乙18ないし乙20には、前述した「浮世 スピリッツ株式会社」という実在しない架空の会社名(甲4)が記載されているだけで、当該サイトの所有者に関する表示も、本件商標権者に関する記載もない。そして、当然ながら、架空会社である「浮世 スピリッツ株式会社」と本件商標権者との間に、本件商標について使用許諾契約が存在することを示す証拠は何ら提出されていない。
このように、所有者も不明で、架空の会社名が大きく表示されており、需要者や取引者が「浮世 スピリッツ株式会社」のサイトであると誤認する可能性が高いウェブサイト「ukiyospirits.com」は、信憑性が低く、商標の使用の証拠として不適格である。
したがって、乙18ないし乙20も、「本件商標権者による使用証拠」とは認められないものである。
(4)乙21ないし乙31について
本件商標権者は、答弁書において、乙21ないし乙31をもって、「本件商標権者は、DKGグループ内の法人を通じて、日本国内に所在するTL Enterprises株式会社(以下「TL社」という場合がある。)に、本件商標が付された商品の製造を委託(注文)して、本件商標が付された商品の引渡を受けている。本件商標権者の上記行為は、商標法第2条第3項第1号の「商品又は商品の包装に標章を付する行為」や同項第2号の「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡する行為」に該当する。」と主張している。
しかしながら、乙21及び乙22として提出されたウェブページは、「TLピアス蒸留所(TL PEARCE DISTILLERY)」の紹介であり、本件商標の使用を証明するものではない。
また、乙23として提出された書類の写しは、大部分が黒塗りされており、本件商標権者による「UKIYO SPIRITS LIMITED(以下「UKIYO社」という。)は、本件商標が付された商品の製造の委託に関する契約(以下「本製造委託契約」という。)を、TL社との間で、締結している。本製造委託契約は、UKIYO社が第三者を通じて注文や支払うことを、規定する。」という主張を裏付ける記載は何ら確認できない。かろうじて確認できる内容は、ア 締結日が2023年10月24日であること、イ 千葉県野田市に事業所を有するTL社と、北アイルランドで法人登記されたUKIYO社との契約であること、ウ UKIYO社がTL社に製品の製造を委託すること、エ UKIYO社は、発注や支払いを行う第三者を指定できることのみであり(甲6)、乙23によっては、TL社に製造を委託している商品に本件商標が付された商品であることを証明することはできない。
そもそも、契約の当事者に本件商標権者は含まれていない。また、乙8によれば、契約当事者であるUKIYO社は、「Dormant Company(休眠会社)」であり(甲7)、実際に営業しているのか不明である。仮に、UKIYO社が営業活動を行っていたとしても、UKIYO社と本件商標権者は別法人であり、両者の間に本件商標について使用許諾契約が存在することを示す証拠は何ら提出されていない。
さらに、乙25ないし乙28には、TL社から、契約外の第三者であるDrinksology Kirker Greer(以下「Drinksology社」という。)宛に請求書が発行され、Drinksology社が支払いを行ったことが示されているが、Drinksology社は、支払いの代理人又は仲介者にすぎず、本件商標の使用者ではない。そして、Drinksology社についても、本件商標権者との間に本件商標の使用許諾契約が存在することを示す証拠は何ら提出されていない。
それに加えて、乙25に記載されている商品は「Gin Base(75% ABV)」であり、乙11、乙14及び乙18において、本件商標を使用していると示されている「ジン(40% ABV)」ではない。そうすると、TL社が製造を委託されているのは、本件商標が付された商品としての「ジン(40% ABV)」ではなく、その原料となる「Gin Base(75% ABV)」であり、「ジン(40% ABV)」への加工(商品としてのジンの製造)及び商標が付された容器への充填は、英国国内で行っていると考えられる。その場合、日本国内においては、「商品又は商品の包装に標章を付する行為」や「商品又は商品の包装に標章を付したものを輸出する行為」は行っていないことになるため、日本国内における本件商標の使用には該当しない。
なお、乙24で提出された黒塗りのメールは、中身が全くわからないため、証拠として意味がない。
また、乙29及び乙30として提出されたR氏の搭乗券及び写真が表示された端末のスクリーンショットも、本件商標の使用を証明するものではない。
さらに、乙31として提出された写真も、撮影日が不明であるから、TLピアス蒸留所において、要証期間内に、本件商標が付された商品が生産されていたことは証明できない。
したがって、乙21ないし乙31は、「本件商標権者により、本件商標が、要証期間内に、日本国内において、請求に係る指定商品(第33類 Spirits)について使用されていた証拠」とは認められないものである。
(5)その他
本件商標権者が、答弁書において、本件商標に係る商品の製造を委託していると述べているTLピアス蒸留所は、酒類製造免許の取得が2022年6月17日(甲8)であり、UKIYO社と本製造委託契約を結んだのが2023年10月24日である。
一方、本件商標権者は、「遅くとも2020年9月21日より、本件商標を、日本で製造されたスピリッツ(蒸留酒)に使用している。」及び「浮世スピリッツは千葉で誕生した」と主張している。これらの主張によれば、本件商標権者は、TL社に製造を委託する以前にも、千葉県内において本件商標を付した「ジン」や「ウォッカ」を製造していたことになるが、本件商標権者からはそれらを示す証拠が提出されていない。
したがって、「遅くとも2020年9月21日より、日本国内において、本件商標を使用している。」という本件商標権者の主張には信憑性がない。
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、との審決を求め、答弁書、当審からの令和6年12月12日付け及び同7年3月7日付け審尋に対する同年2月17日付け及び同年4月16日付け回答書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙1ないし乙50(枝番号を含む。枝番号を全て引用する場合は、枝番号は省略する。)を提出した。
本件商標権者は、本件商標をその指定商品「Class 33 Spirits(第33類 スピリッツ(蒸留酒))」について、要証期間内に、日本国内において使用をしている。
(1)本件商標権者について
ア 本件商標権者は、2017年10月5日に設立された英国に所在する法人であり、住所は、13 Lombard Street,Belfast,Northern Ireland,BT1 1RB(13 ロンバードストリート、ベルファスト、北アイルランド、BT1 1RB)である(乙1)。そして、Drinksology Kirker Greer Group(以下「DKGグループ」という。)に属する。
イ 本件商標権者の取締役はS氏とR氏である(乙2)。DKGグループに属する各社は、複数のブランドの下、ジン、ウォッカ、ラム、ウイスキーなどのスピリッツ(蒸留酒)の製造・販売をしている(乙3~乙5)。
ウ DKGグループは、同グループに属する法人として、本件商標権者のほかに、Drinksology社、KIRKER&CO社、UKIYO社を含む(乙6~乙8)。
(2)UKIYO社について
UKIYO社は、2020年8月4日に設立された法人で、住所は本件商標権者の住所と同じである(乙8)。
UKIYO社の取締役は、S氏とR氏の2人のみであり(乙33)、本件商標権者の取締役と同じである。同取締役それぞれは、UKIYO社と本件商標権者のそれぞれにおいて、株式の25%以上50%以下と、議決権の25%以上50%以下を有している(乙32、乙34)。
ア UKIYO社(乙8)の事業内容の項の「Dormant Company(休眠会社)」について
(ア)北アイルランドが属する英国の法律「2006年会社法」では、以下の規定がある。
第1169条[1]会社法の目的上、会社は、重要な会計取引がない期間中は「休眠状態」にある。
同条[2]「重要な会計取引」とは、第386条により会社の会計記録に記載することが義務付けられている取引を意味する(乙40の1)。
第386条[1]すべての会社は、適切な会計記録を保持する必要がある。
同条[2]「適切な会計記録」とは、次の十分な記録を意味する。(a)会社の取引を表示し、説明するもの (b)いつでも、その時点での会社の財務状況を合理的な正確さで開示するもの (c)作成が必要な勘定科目が本法の要件に準拠していることを取締役が確認できるようにするもの
同条[3]会計記録には、特に、次の事項を記載しなければならない。(a)会社が受領し支出したすべての金額の日々の記録、並びに受領及び支出 が行われた事項 (b)当該会社の資産及び負債に関する記録」(乙41の1)。
(イ)英国政府のウェブサイトにおいて、「休眠会社」は、「通常報告するような「重要な」取引が会計年度中になかった会社は、登記所(Companies House)によって「休眠」と呼ばれる」と説明されている(乙42の1)。
(ウ)このように、UKIYO社が設立された北アイルランドが属する英国において、「休眠会社」は会計年度中に重要な会計取引がなかった会社であり、営業活動を事実上廃止している会社ではない。
また、上記(ア)の法律には、「休眠会社」として存続可能な期間や「みなし解散」などの規定はないから、英国において「休眠会社」は、取引も再開することができ、契約もできるものである。
(3)Drinksology社について
Drinksology社は、2017年10月6日に設立された法人で、同社の住所は、本件商標権者の住所と同じある(乙6)。
Drinksology社の取締役は、S氏とR氏と、P氏の3人のみであり、P氏は2024年11月4日にDrinksology社の取締役に任命されているから(乙36)、2024年11月3日まで、Drinksology社の取締役は、本件商標権者の取締役と同じである。
Drinksology社の取締役のS氏とR氏は、株式の25%以上50%以下と、議決権の25%以上50%以下とを有する(乙37)。また、本件商標権者は、2023年12月4日まで、Drinksology社の株式75%以上と、議決権の75%以上とを有しており、2023年12月4日まで、Drinksology社の経営は、実質的に、本件商標権者に支配されていた(乙37)。
(4)ウェブサイトの使用について
ア (ア)本件商標権者は、ウェブサイト「kirkergreer.com」(kirkergreerサイト)において、遅くとも2020年9月21日より現在に至るまで、本件商標を、日本で製造されたスピリッツ(蒸留酒)に使用をしている(乙11~乙13)。
(イ)ウェブサイトMMサイトにおいて、kirkergreerサイトに表示されている商品は、遅くとも2021年9月24日より、販売をされている(乙14~乙16)。商品の購入者は、MMサイトで販売されている商品を、日本円で購入することができて、日本国内で受け取ることができる(乙17)。
イ 「ukiyospirits.com」(UKIYOサイト)について
(ア)本件商標権者は、UKIYOサイトにおいて、遅くとも2021年1月24日より現在に至るまで、本件商標を、日本で製造されたスピリッツ(蒸留酒)に使用をしている(乙18~乙20)。
UKIYOサイトには、同スピリッツ(蒸留酒)が日本で製造されたことを示す情報として、日本語の「日本製」の文字や、英語の「MADE IN JAPAN」の文字などが、表示されている。これらの文字は、日本国内の日本人その他日本語を読むことができる者に、同スピリッツ(蒸留酒)が日本で製造されたことを把握させる。
(イ)なお、UKIYOサイトにおいて「Ukiyo Spirits Limited」を「浮世スピリッツ株式会社」と訳すことは、一般的及び恒常的な取引の実情の範疇である。また、UKIYOサイトのドメイン名は、UKIYO社の名称である「UKIYO SPIRITS LIMITED」の一部である「UKIYO SPIRITS」が使用されている(乙18~乙20)。さらに、UKIYOサイトのプライバシーポリシーには、「Ukiyo Spirits」とその住所が記載されており(乙35)、その住所はUKIYO社の住所と同じである。
(ウ)UKIYOサイトにおいて記載されている商品「スピリッツ(蒸留酒)」の購入の手続きを進めると、販売サイトに移り、同販売サイトで上記商品を購入する者は、購入画面において、上記商品の配達先の国・地域として、日本を選択可能であり、日本円を表示可能である。すなわち、同販売サイトで、上記商品を購入する者は、本件商品を日本円で購入して日本国内で受け取ることができる(乙43)。
(5)UKIYO社の商標使用許諾契約について
UKIYO社は、本件商標権者との間で、商標使用許諾契約(以下「本商標契約」という。)を締結している(乙39)。本商標契約において、本件商標権者は、UKIYO社に対して、商標「Ukiyo」(以下「Ukiyo商標」という。)を商品「spirit alcohol products(蒸留酒製品)」(以下「契約商品」という場合がある。)について使用する非独占的な権利を許諾している。本商標契約の対象地域は、日本国を含む全世界であり、契約期間は、2022年3月1日から10年間である。Ukiyo商標は、本件商標と社会通念上同一の商標であり、また、契約商品は、請求に係る指定商品と同一の商品である。
このように、UKIYO社が「本件商標権者から、要証期間において、日本国内における請求に係る指定商品についての本件商標の使用について、使用許諾を受けた通常使用権者」であることは、明らかである。
(6)TRIPS協定19条2項について
WTO加盟国である日本国を拘束し、法律に反映しなければならないとされている多国間協定であるTRIPS協定19条2項は、「他の者による商標の使用が商標権者の管理の下(subject to the control of its owner)にある場合には、当該使用は、登録を維持するための使用として認められる。」と規定している。
本件商標権者と同じ取締役のみにより経営されるUKIYO社の経営は、本件商標権者の管理の下にあるから、UKIYO社による商標の使用は、TRIPS協定19条2項に規定されている、登録を維持するための使用としても認められる。
(7)世界知的所有権機関(WIPO)の一般総会において採択された「インターネット上の商標及びその他の標識に係る工業所有権の保護に関する共同勧告」(以下「当該勧告」という場合がある。)について
ア 当該勧告には、以下の規定がある。
第2条 インターネット上の標識の使用は、その使用が、第3条で書かれているようにメンバー国で商業的効果を有する場合に限り、これらの規定の適用上、当該メンバー国における使用を構成する。
第3条 メンバー国における商業的効果を決定するための要因
[1]インターネット上の標識の使用がメンバー国において商業的効果を有するか否かを決定するに当たっては、権限ある当局はすべての関連する状況を考慮する。関連され得る状況は、以下を含むが限定されない。
(c)インターネット上における商品・サービスの提供とそのメンバー国との関係(以下を含む)i オファーされている商品又はサービスが、そのメンバー国において合法的に提供され得るか否か、 ii 価格が、そのメンバー国の公式通貨で表示されているか否か
(d)インターネット上における標識の使用の方法とそのメンバー国との関係(以下を含む) i その標識が、そのメンバー国のインターネット利用者にアクセス可能な双方向の通信手段に関連して使用されているか否か
(e)インターネット上における標識の使用とそのメンバー国における当該標識に係る権利との関係(以下を含む) i その使用が、当該権利に裏付けられているか否か
イ 本件商標権者とUKIYO社との間で締結された本商標契約において、本件商標権者は、UKIYO社に対して、Ukiyo商標を契約商品について使用する権利を許諾している(乙39)。
UKIYO社は使用許諾を受けて、合法的に契約商品を提供できるため、当該勧告の第3条[1](c)iの規定を満たし、また、UKIYOサイトに記載されている契約商品の説明が日本語で表示されていなくても、配達先として日本を選択可能であり、かつ、日本の公式通貨である日本円(JPY)で契約商品を購入可能であるから、UKIYOサイトにおける本件商標の使用は、当該勧告の第3条[1](c)ii の規定を満たすものである。
また、本件商標は、双方向の通信手段により日本のインターネット利用者がアクセス可能なUKIYOサイトに関連して使用されているから、UKIYOサイトにおける本件商標の使用は、当該勧告の第3条[1](d)iの規定を満たす。
さらに、UKIYOサイトにおいて本件商標の使用をするUKIYO社は、日本国内における契約商品についての本件商標の使用について使用許諾を受けた通常使用権者であるから、UKIYOサイトにおける本件商標の使用は、当該勧告の第3条[1](e)iの規定を満たす。
以上を考慮すると、UKIYOサイトにおける本件商標の使用は、日本で商業的効果を有するため、日本における使用を構成する。
このように、UKIYOサイトにおいて、UKIYO社による契約商品についての本件商標の使用は、日本国内における使用である。
(8) UKIYO社とTL社の商品の製造の委託に関する契約(本製造委託契約)について
ア UKIYO社は、TL社(千葉県に所在(乙21、乙22))との間で本製造委託契約締結している(乙23、乙38、乙44)。
本製造委託契約(乙38)に記載のとおり、「当事者(Parties)」に記載のとおり、TL社は製造業者であり、UKIYO社は顧客である。
「3.注文(Orders)」の「3.1」ないし「3.3」に記載のとおり、UKIYO社は第三者(代理人や制作パートナーなど)を通じてTL社に注文や支払いをすることができ、各注文書では、注文された商品の種類や注文番号などが記載され、TL社は各注文の確認書を、電子メールで受領して確認する。
「4.製造・品質(Manufacture and quality)」の「4.4」に記載のとおり、TL社は、商品を製造および供給するために、すべてのライセンスを取得する。
「6.検査(Inspections)」の「6.1」に記載のとおり、UKIYO社は、TL社が本製造委託契約に定める義務を遵守していることを監視するために、TL社の記録を検査することができる。
「14.支払い条件(Terms of payment)」の「14.1」に記載のとおり、TL社は、1つの注文に対して、2つの請求書をUKIYO社宛てに発行し、1つ目の請求書は、TL社が注文を確認した後に発行され、注文された商品の代金の50%を請求するものである。2つ目の請求書は、TL社が商品を引渡した後に発行され、残りの50%を請求するものである。
「23.注意事項(Notices)」の「23.1(b)」に記載のとおり、TL社の連絡先は、TL社の代表取締役M氏のメールアドレスを含み、UKIYO社の連絡先はS氏とR氏それぞれの連絡先を含む。
イ 本製造委託契約(乙44)の「1.1 定義」の「開始日」に記載のとおり、本製造委託契約の開始日は、本製造委託契約締結日(2023年10月24日)である。
「20.一般」の「20.2」に記載のとおり、本製造委託契約は、開始日に開始して、最低3年間継続するから、契約期間は2023年10月24日から最低2026年10月23日までである。
「19.留保」に記載のとおり、TL社は、UKIYO社に契約期間における「TL Pearce Distillery」の使用を許可している。
(9)請求書及び送金確認書について(乙25~乙28)
ア UKIYO社とTL社とは、本製造委託契約に規定されたメールアドレス(TL社の代表取締役であるM氏、UKIYO社の連絡先であるS氏とR氏)、これらのメールアドレスを用いて通信をしている(乙24)。
イ TL社は、2023年4月12日のDrinksology社からのメールによる注文番号004146の注文について、同年4月14日と同年7月10日に、注文された商品「Ukiyo ジャパニーズ ジン ベース(75% ABV)」(審決注:乙25の1及び乙27の1では「76%」と記載されているが「75%」の誤記と認める。)の代金を請求するための請求書(Invoice)を発行している(乙25、乙27)。
請求書それぞれの宛先は、Drinksology社であり、UKIYO社は、本製造委託契約の規定により、第三者であるDrinksology社を通じて、TL社に商品「Ukiyo ジャパニーズ ジン ベース(75% ABV)」の注文や支払いをする。請求書それぞれには、本件商標と社会通念上同一の商標「Ukiyo」と、同注文番号が記載されている(乙25、乙27)。
ウ Drinksology社から2023年4月20日及び同年9月15日に送金確認書(Transaction Confirmation)を発行している(乙26、乙28)。
送金確認書に記載されている注文番号は請求書に記載されている注文番号と同じである。
すなわち、UKIYO社がTL社に注文した商品の代金の支払に関して、代金の50%は注文後(商品の引渡前)に支払い、残りの50%を商品の引渡後に支払っている。
エ 以上より、TL社が、2023年4月14日から、同年7月10日までの間に、UKIYO社から注文された商品「Ukiyo ジャパニーズジンベース(75% ABV)」を日本から輸出していたことは明らかである。
(10)TL社について
ア TL社は、2024年12月25日に「本店又は主たる事務所の所在地」を「千葉県松戸市上本郷2387番地の2」(以下「松戸市住所」という。)から「千葉県野田市七光台181番地6」(以下「野田市住所」という。)に変更している(乙45、乙46)。松戸市住所は、2020年4月13日に、国税局の管理する法人番号データベースに登録されており(乙45)、会社が2以上の住所を有すること、会社が「本店又は主たる事務所の所在地」を変更することは一般的である。
松戸市住所は、TL社からDRINKSOLOGY社宛ての請求書(Invoice)に記載され(乙25、乙27)、野田市住所は、本製造委託契約書に記載されている(乙23、乙38、乙44)。
以上のとおり、TL社は松戸市住所と野田市住所とに住所を有する会社である。
イ ウェブサイト「tlpearce.com」(以下「TL社サイト」という場合がある。)には、野田市住所と、TL社のロゴと、TL社の代表取締役であるM氏の写真及び氏名の記載があり、TL社名は記載されていない(乙21、乙22)が、上記アのとおり、野田市住所は本製造委託契約書に記載されており、TL社のロゴは、請求書に記載されている(乙25、乙27)。
さらに、TL社の代表取締役であるM氏の署名は、本製造委託契約書に記載されている(乙23、乙38、乙44)。
ウ TL社のロゴの文字部分は、TL社の名称の一部である「TL」と、M氏の氏名の一部である「PEARCE」と、日本語で「蒸留酒製造所」と訳される「DISTILLERY」とが結合された「TL PEARCE DISTILLERY」である。
エ TL社は酒類等製造免許を取得しており(乙47、令和4年(2022年)6月17日)に、TL社の表記以外に「TL Pearce Distillery」を「製造者氏名又は名称」として、同免許の申請をしている(乙47)。
以上より、「TL Pearce Distillery」を含むTL社のロゴはTL社を示すものである。
また、TL社サイトは、TL社の記載がないものの、野田市住所とTL社のロゴとが記載されているからTL社のウェブサイトである。
(11)本製造委託契約の修正書(乙48)
ア 本件商標権者およびUKIYO社と、TL社それぞれは、2024年4月1日に、本製造委託契約を修正することを同意した(乙48)。
イ 本製造委託契約の修正により、本製造委託契約により製造される「本製品」はジンとスピリッツ(乙49)であり、本製造委託契約において定義される付属書1に記載の「本製品」に関する知的財産権に関する明示的な商標使用許諾契約(以下「修正契約」という。)が、本製造委託契約に含まれる。
ウ 修正契約は、本件商標権者及びUKIYO社が、TL社との間で締結している契約であり、本件商標権者及びUKIYO社は、TL社に対して、本件商標を本製品について使用する非独占的な権利を許諾している。
修正契約に記載のとおり、TL社は、2023年10月24日から、本件商標権者とUKIYO社それぞれに代わり、本製品に本件商標を適用することを確認している。本製品は、請求に係る指定商品と同一の商品である。
また、修正契約の「知的財産権」に記載のとおり、「知的財産権」は、「商標権」を含むすべての知的財産権であり、世界のいずれかの地域で存続する権利を含むから、修正契約の対象地域は、日本国を含む全世界である。
エ 修正契約は、本製造委託契約(乙44)の「25.準拠法および裁判管轄」の「20.1」に記載のとおり、英国法(the law of England)に準拠して、英国法にしたがって解釈される。英国法において、契約の当事者により署名される修正書は、契約の修正について、契約の当初の契約日から有効になる法的拘束力を有する(乙50)。
以上のとおり、修正契約によりTL社に許諾された非独占的な権利は、本製造委託契約の開始日から同一期間効力を有する。
したがって、TL社が「本件商標権者とUKIYO社から、要証期間において、日本国内における本製品についての本件商標の使用について、使用許諾を受けた通常使用権者」であることは、明らかである。
(12)TL社の使用について
ア TL社は、1回目の請求書が発行された2023年4月14日から、2回目の請求書が発行された同年7月10日までの間に、UKIYO社から注文された本製品(ジンとスピリッツ)を、日本国内から輸出している(乙24~乙28)。
イ UKIYOサイトでは、本製品が千葉県で製造されていることを示す情報や、本製品の包装に本件商標を付したものが掲載されている(乙18)。
ウ R氏は、2023年11月1日に、TL社を訪問して、M氏がTL社内で本製品の包装に本件商標を付したものを製造する様子を、撮影している(乙29~乙31)。R氏によりTL社内で撮影された、本製品の包装に本件商標を付したものは、UKIYOサイトに掲載されているものと同じである。
撮影された写真の一部は、請求書とTL社サイトそれぞれに記載されているロゴがTL社の内壁に表示されている様子を示している。
以上のとおり、TL社は、少なくとも2023年4月14日から同年7月10日までの間に本製品の包装に本件商標を付したものを日本国内から輸出している。
通常使用権者であるTL社の上記行為は、商標法第2条第3項第1号の「商品又は商品の包装に標章を付する行為」と、同項第2号の「商品又は商品の包装に標章を付したものを輸出する行為」に該当する。
(13)UKIYO社の使用について
UKIYO社は、UKIYOサイトにおいて、遅くとも2021年1月24日から現在に至るまで本製品の包装に本件商標を付したものを広告、掲載、販売している(乙18~乙20)。そして、UKIYOサイトは、日本の需要者を対象とするものであるから、通常使用権者であるUKIYO社の上記行為は、商標法第2条第3項第2号の「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡する行為」と、同項第8号の「商品に関する広告に標章を付して頒布する行為」、「商品に関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当する。
(1)本件商標権者について
本件商標権者の代表取締役とUKIYO社の代表取締役はS氏とR氏であり、Drinksology社の代表取締役も2024年11月3日まではS氏とR氏であり、2023年12月4日までは本件商標権者が75%株を所有し実質的に支配していた。そして、3社は同じ住所である(乙1、乙2、乙6、乙8、乙32~乙34、乙36、乙37)。
(2)商標使用許諾契約書及び商品製造委託契約書について
ア 2022年3月1日付けで、本件商標権者は、UKIYO社に対して、Ukiyo商標を蒸留酒製品について使用する権利を許諾する商標使用許諾契約を締結している。契約期間は2022年3月1日から10年間である(乙39)。
イ (ア) TL社(野田市住所)とUKIYO社は、2023年10月24日に、「本製品」すなわちジン及びスピリッツの製造を委託する契約(本製造委託契約」)を交わした(乙23、乙38、乙44、乙49 )。
当該契約に、UKIYO社は第三者を通じてTL社に注文や支払いをすることができる(乙38の「3.1」)との記載がある。
2024年4月1日に、本件商標権者とUKIYO社及びTL社は、本製造委託契約を修正することに同意し(乙48)、修正契約の中で、本件商標権者とUKIYO社は2023年10月24日にジン及びスピリッツ(本製品)の製造に関する製造契約を締結し、製造契約に基づく本製品は、販売準備状態でTL社により提供され、本件商標の使用権は、本件商標権者及びUKIYO社の許諾を得て、使用権に基づいてTL社が行った行為とするために、本製造委託契約に付随された。
修正契約の知的財産権については、商標権を含むすべての知的財産権について、世界のいずれかの地域で存続する権利を含むものである(乙49)。
(イ)TL社は、2023年10月24日から、本件商標権者とUKIYO社それぞれに代わり、本製品に本件商標を適用することを確認している(乙48)。
(ウ)修正契約の契約書は、英国法(the law of England)に準拠して、英国法にしたがって解釈されるから、契約の当事者により署名される修正書は、契約の当初の契約日(2023年10月24日)から有効になる法的拘束力を有する(乙50)。そのため、修正契約によりTL社に許諾された権利は、本製造委託契約の開始日から同一期間効力を有する。
(3)ウェブサイトについて
ア 「ukiyospirits.com」 ウェブサイト(UKIYOサイト )について(乙18~乙20、乙35)
(ア)UKIYOサイト(乙18)には、「浮世」「日本製 浮世スピリッツ株式会社」の日本語の記載があり、その他の商品説明等は全て英語で記載されている。また、「4/10」ページに飲料のボトルが掲載されており、そのボトルのラベルには、上から「浮世」「UKIYO」「TOKYO」「DRY GIN」の文字が記載されており、そのボトルの写真の横に縦書きで「40% ABV」と記載されている(以下「使用商品1」という。)。「5/10」ページ及び「6/10」ページにも飲料のボトルの写真が掲載されており、それらのボトルのラベルには、上から「浮世」「UKIYO」「JAPANESE」「BLOSSOM GIN」の文字、同じく上から「浮世」「UKIYO」「JAPANESE」「YUZU GIN」の文字が記載されており、それらのボトルの写真の横には縦書きで「40% ABV」と記載されている(以下それぞれを「使用商品2」及び「使用商品3」という。)。
(イ)UKIYOサイトは、2021年1月24日及び2023年6月5日には存在していた(乙19、乙20)。
(ウ)UKIYOサイトの「Privacy&Cookie Policy」(乙35)の「CONTROLLING YOUR PERSONAL INFORMATION(個人情報の管理)」の項には、「If you would like a copy of the information held on you please write to Ukiyo Spirits,Kirker Greer Spirits,13 Lombard Street Belfast,BT1 1RB,Northern Ireland.(日本語訳 あなたに関する情報のコピーが必要な場合は、ウキヨ スピリッツ、カーカーグリアスピリッツ・・・までご連絡ください。)」の記載がある。
(エ)「SPIRITLY/FINE SPIRITS & WINES」(乙43)を表題とするウェブサイトは、被請求人がUKIYOサイトから商品の購入の手続を進めると遷移される販売サイトと主張するものであるところ、その写しには、「Delivery」「Japan」「¥6,200」の記載がある。
イ 「kirkergreer.com」ウェブサイト(kirkergreerサイト)について(乙11~乙13)
(ア)kirkergreerサイト(乙11)において、「1/6」ページには、写真の中央の上側に白抜きの文字で「浮世」「UKIYO」の文字が記載され、「2/6」ページに使用商品1、「3/6」ページに使用商品2、「4/6」ページに使用商品3、「5/6」ページに、上から「浮世」「UKIYO」「JAPANESE」「RICE VODKA」の文字が記載されたラベルの飲料のボトル(以下「使用商品4」という。)が掲載されている(以下「使用商品1」ないし「使用商品4」をまとめて「使用商品」という場合がある。また、使用商品に付された「UKIYO」を「使用商標」という場合がある。)。そして、kirkergreerサイトでは、上記「浮世」の漢字以外は全て英語で記載されている。
(イ)kirkergreerサイトは、2020年9月21日及び2022年9月28日には存在していた(乙12、乙13)。
(ウ)kirkergreerサイトは、「ABOUT US Kirker Greer Spirits was founded in 2009 and is 100% independently owned.」(甲1)との記載から、「Kirker Greer Spirits」が所有するものと推認できる。
(エ)そして、使用商品は、MMサイトにおいて、日本円で決済することで購入が可能である(乙14、乙17、被請求人主張)。
(4)請求書等(乙25~乙28)について
ア 請求書(乙25)は、Drinksology社宛てのものであり、「2023年04月14日」「千葉県松戸市上本郷(松戸市住所)」「TL Enterprises株式会社」の記載、その横には、鬼の上に乗った人のような図形とその下に「TL PEARCE」「DISTILLERY」の文字を二段に表したマーク(以下「TLロゴマーク」という場合がある。)があり、「商品コード/商品名」として「Ukiyoジャパニーズジンベース(75% ABV)」「PO 004146の50%の支払」の記載がある(主として訳文の記載である。以下本項において同じ。)。
乙26(送金確認書)には、左上に「Drinksology社」の記載、取引概要の項目に「決裁日2023年4月20日」「受取人の詳細」の項目に「名前:ティーエルエンタープライズ」「送金情報 PO 004146 Drinksology」の記載がある。
イ 請求書(乙27)は、Drinksology社宛てのものであり、「2023年07月10日」「千葉県松戸市上本郷(松戸市住所)」「TL Enterprises株式会社」の記載、その横にはTLロゴマークがあり、「商品コード/商品名」として「Ukiyoジャパニーズジンベース(75% ABV)」「PO 004146の50%の支払」の記載がある。
乙28(送金確認書)には、左上に「Drinksology社」の記載、取引概要の項目に「決済日2023年9月15日」、「受取人の詳細」の項目に「名前:ティーエルエンタープライズ」「送金情報 PO 004146」の記載がある。
(5)乙30及び乙31について
ア 乙30は、「Noda―Nanakodai」「1 November 2023」の記載があり、上記(4)の請求書のTLロゴマークと思しきものが壁にある工場の内部のような写真が掲載されている。当該写真の撮影者は被請求人の主張によればR氏である。
イ 乙31は、使用商品と同じものと推測される商品の飲料ボトルに何らかの商品を瓶詰めしている作業の様子が撮影されている。これらの写真の撮影者は被請求人の主張によればR氏であり、撮影場所はTL社内とのことであるが、撮影日の記載はない。
上記1によれば、以下のように判断できる。
(1)ウェブサイトにおける商標の使用について
ア UKIYOサイトは、上記1(3)ア(ウ)によれば、UKIYO社が関わっているウェブサイトであることがうかがえるものであり、上記1(2)によれば、UKIYO社は2022年3月1日から10年間、本件商標権者からUkiyo商標の使用許諾を受けた通常使用権者と認められるところ、UKIYOサイトにおいて使用商標を付した使用商品1ないし使用商品3に関する広告を内容とする情報を2023年6月5日には掲載しており、使用商品1ないし使用商品3は「GIN」の表示からアルコール飲料の「ジン」であることが認められる。
しかしながら、UKIYOサイトは、上記1(3)ア(ア)のとおり、商品の説明等が英語で表示されていることから、英語によるウェブサイトであるとみるのが相当である。また、「浮世」「日本製 浮世スピリッツ株式会社」の日本語表記が縦書きでやや大きな文字でウェブサイト内の各ページの同じ箇所に配置されているところ、これらの日本語表記は、日本の需要者向けというよりは、日本の会社による日本製の商品であることをうかがわせるために、外国の需要者向けにウェブサイトのデザイン的に記載されているというのが相当であるから、UKIYOサイト内のこれら広告を内容とする情報は、一部に日本語の表示があるとしても、日本の需要者を対象としたものとは認められない。
また、「SPIRITLY/FINE SPIRITS & WINES」を表題とする上記1(3)ア(エ)のウェブサイト(乙43)がUKIYOサイトから上記乙43のウェブサイトの購入画面に遷移することについて、この画面の遷移に関する具体的な証拠の提出はされていない。そして、たとえUKIYOサイトから上記乙43のウェブサイトの購入画面に遷移することができたとしても、UKIYOサイトが英語のウェブサイトであることに加え、この購入画面についても、英語を用いた商品の購入サイトであって、「Delivery」(配送先)の「Country/Region」(国/地域)に「Japan」(日本)が選択可能であり、「日本」を指定した際は、日本円で商品の価格が表示されるのかもしれないが、ここに表示されている「Japan」(日本)は、当該購入画面において、複数の「Country/Region」(国/地域)を対象とする中で、その提供される国の一つとして日本が選択可能であることを証明しているにすぎないものであるから、日本の需要者に向けたウェブサイトということはできない。
イ kirkergreerサイトには、使用商品が掲載され、当該ラベルの「GIN」「VODKA」の表示からアルコール飲料の「ジン」「ウォッカ」であるといえるものであり、kirkergreerサイトを通じて、2022年9月28日には使用商品の広告を行っていたといえるのかもしれないが、kirkergreerサイトは英語のページであることから、日本の需要者を対象にしたものとは認められない。そして、kirkergreerサイトは、「Kirker Greer Spirits」の所有であるといえるものであり、本件商標権者が使用をするものということはできない。
また、使用商品について、被請求人はMMサイトにおいて日本円で購入可能であると主張しているが、このウェブサイトは英語のサイトであり、甲5の英語記載の抄訳によれば、「日本円で表示されている価格はおおよそのものであり、説明の目的のみにご利用ください。すべての価格はイギリスポンドで表示され、全ての注文はイギリスポンドで請求されます。」と記載されているものであるから、日本円で購入可能ということはできず、日本の需要者を対象とした商品の購入ウェブサイトということはできない。
ウ 上記ア及びイのとおり、使用商標を付した使用商品の広告を内容とする情報がUKIYOサイト及びkirkergreerサイトに掲載されていたとしても、これらウェブサイト情報が我が国において広告的な効果を発生させたものということはできず、日本国内において「商品に関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」を行ったことを認めることはできない。
(2)請求書等の取引書類(乙25~乙28)及び写真(乙30、乙31)について
上記1(2)イによれば、TL社は、2023年10月24日から、本件商標権者とUKIYO社とジン及びスピリッツの製造の委託契約及び本件商標の使用許諾に関する契約を締結していたものである。
また、上記1(4)によれば、TL社からDrinksology社に対し、商品名を「Ukiyoジャパニーズジンベース(75% ABV)」とする商品の代金が、2023年4月14日及び同年7月10日に請求され、同年4月20日及び同年9月15日を決済日としてDrinksology社からTL社にその代金が支払われたことがうかがえる。
しかしながら、使用商品1ないし使用商品3については、「40% ABV」との記載からアルコール度数40%の飲料であるといえるもので、当該取引書類に示されている商品とは商品名及びアルコール度数が相違するものである。
そして、当該取引書類のみでは、商品名に記載の「Ukiyoジャパニーズジンベース(75% ABV)」がいかなる商品であるのか確認することができないことから、使用商標が付された使用商品がTL社からDrinksology社に納品されていたことは証明されていない。
また、乙30の写真は、「1 November 2023」の記載から2023年11月1日に撮影されたものと推認することができるが、「Noda―Nanakodai」については、これが何を表しているものであるのか確認することができず、また、写真の内容は、工場の内部と思われる写真と住宅街の風景の写真であり、これが何を意味するものであるのか判断することができない。乙31の写真は、複数の写真から使用商標が付されたボトルに商品を注入しているといえるのかもしれないが、これらの写真がTL社内であること、全ての写真が同じ場所で撮影されたものであることも不明であるから、要証期間内にTL社内で本件商標を付した使用商品を製造していたことを客観的に証明するものとはいえない。
したがって、請求書等の取引書類については、使用商品に関するものということができず、TL社が使用商標を付した使用商品を取り扱っていることが認められないから、TL社が要証期間内に、使用商標を付した使用商品を輸出したと認めることはできない。
なお、上記1(2)アの本製造委託契約書によれば、UKIYO社(通常使用権者)は第三者を指名してTL社と取引ができる契約となっており、上記取引書類の日付けの当時、UKIYO社とDrinksology社の取締役が同一人であること等も考慮すれば、UKIYO社が第三者としてDrinksology社を介した取引であろうことは推認されるところである。
(3)小括
上記(1)及び(2)より、通常使用権者であるUKIYO社に係る「ukiyospirits.com」ウェブサイト(UKIYOサイト)において、使用商品に関する広告を内容とする情報は、日本国内における商標の広告的使用(商標法第2条第3項第8号)に該当するものということはできない。また、「Kirker Greer Spirits」の所有と認められるkirkergreerサイトにおける使用商品に関する広告を内容とする情報も、日本国内における商標の広告的使用(商標法第2条第3項第8号)に該当するものということはできない。そして、通常使用権者であるTL社が日本国内において「商品又は商品の包装に標章を付する行為」(同条同項第1号)又は「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為」(同条同項第2号)を行った事実を認めることもできない。
したがって、被請求人提出の証拠からは、本件商標の商標権者あるいは通常使用権者が、要証期間に本件商標を付した請求に係る指定商品について使用行為を行った事実を証明したと認めることはできない。
なお、被請求人は、さらなる証拠の提出の準備がある旨述べているが、すでに2回の審尋に対応する機会があり、使用の事実を立証するための十分な期間が与えられているものと考えられるから、これ以上の機会を与えることなく審理を進めるのが適当であると判断した。
(4)被請求人の主張について
ア 被請求人は、世界知的所有権機関(WIPO)の一般総会において採択された「インターネット上の商標及びその他の標識に係る工業所有権の保護に関する共同勧告」を挙げて、当該勧告の規定に基づくと、本件商標は、(ア)UKIYO社は使用許諾を受けて合法的に請求に係る指定商品を提供できること、(イ)UKIYOサイトに記載されている請求に係る指定商品の説明が日本語で表示されていなくても配達先として日本を選択可能であり、かつ、日本の公式通貨である日本円(JPY)で請求に係る指定商品を購入できること、(ウ)双方向の通信手段により日本のインターネット利用者がアクセス可能なUKIYOサイトに関連して使用されていること、(エ)UKIYOサイトにおいて本件商標の使用をするUKIYO社は、日本国内における請求に係る指定商品についての本件商標の使用について使用許諾を受けた通常使用権者であることから、UKIYOサイトにおける本件商標の使用は、日本で商業的効果を有するため、日本における使用を構成する旨主張している。
しかしながら、知的財産高等裁判所の平成17年(行ケ)第10095号(甲2)に、「上記ウェブページは,米国サーバーに設けられたものである上,その内容もすべて英語で表示されたものであって,日本の需要者を対象としたものとは認められない。上記ウェブページは日本からもアクセス可能であり,日本の検索エンジンによっても検索可能であるが,このことは,インターネットのウェブページである以上当然のことであり,同事実によっては上記ウェブページによる広告を日本国内による使用に該当するものということはできない」として、日本における商標の使用が否定されたとおり、UKIYOサイトが日本からのアクセスが可能であることは、インターネットのウェブページである以上当然のことであるところ、UKIYOサイトは、上記2(1)のとおり、日本の需要者に向けたものと認めることはできないから、当該サイトにおける商標の使用は、我が国において広告的な効果を発生させたものということはできない。
そうすると、「(ア)UKIYO社は使用許諾を受けて合法的に請求に係る商品を提供できる」ことが認められ、UKIYO社が運営に関わっているといえるUKIYOサイトに「(ウ)日本のインターネット利用者がアクセス可能」であるとしても、「(エ)UKIYOサイトにおける本件商標の使用は、日本で商業的効果を有する」ということはできないもので、商品の販売サイトにおいて「(イ)配達先として日本を選択可能であり、かつ、日本の公式通貨である日本円(JPY)で請求に係る指定商品を購入できること」としても、当該販売サイトが日本の需要者を対象として提供されているということはできないことから、被請求人の上記主張は採用できない。
イ 被請求人は、TRIPS協定19条2項をあげて、本件商標権者と同じ取締役のみにより経営されるUKIYO社の経営は、本件商標権者の管理の下にあるから、本件商標権者の管理の下にあるUKIYO社による登録商標の使用は、TRIPS協定19条2項に規定されている、登録を維持するための使用としても認められる旨主張している。
しかしながら、UKIYO社が本件商標権者の管理下にある通常使用権者として認められるとしても、上記2(1)のとおり、UKIYOサイトにおける使用は日本の需要者向けとはいえず、日本国内の使用とは認められない。
ウ したがって、上記の被請求人の主張は採用できない。
上記のとおり、被請求人は、その提出証拠によって、要証期間に、日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、請求に係る指定商品について、本件商標を使用していることを証明したということができない。
また、被請求人は、請求に係る指定商品について、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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