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Trademark Appeal Case

称呼類似と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成1年審判第5760号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1.本件登録第2101274号商標(以下「本件商標」という。)は、別紙(イ)に示した構成よりなり、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、昭和61年2月18日に登録出願、同63年12月19日に登録されたものである。

2.請求人の引用する登録第633578号商標(以下「引用商標」という。)は、別紙(ロ)に示した構成よりなり、第17類「被服(但し帽子、ナイトキャップ、ずきん、ヘルメット、すげがさ、頭から冠る防虫網を除く)布製身回品、寝具類、」を指定商品として、昭和36年5月24日に登録出願、同39年1月10日に登録、その後昭和49年10月30日、同59年3月21日及び平成6年1月28日の三回に亘り商標権存続期間の更新登録がなされたものである。

3.請求人は、「登録第2101274号商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」と申し立て、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証乃至同第45号証を提出している。

(1)本件商標は、別紙(イ)に示した通り、ローマ字を小文字で「el international」と書してなるものである。「el」はスペイン語の冠詞として我が国でも「エル」として知られているものであり、「international」は、「国際的なあるいは「国際労働者同盟」の意味をもつ英語又はフランス語(スペイン語ではない)として良く知られているところである。「international」の発音は「インターナショナル(英語)」又は「アンテルナショナル(仏語)」であり、いずれも7音又は8音からなり、 これに前述の「el」の「エル」が加わると、本件商標は9音又は10音から構成されることとなり、迅速を尊ぶ取引界にあっては冗長にすぎるものである。そのうえ、前述の通り、本件商標の前半の「el」はスペイン語であり、後半の「international」は、英語又は仏語である。それに加えて、さらに、両者の間に間隙を設けていることから、看者は本件商標をrel」と「international」の二つの部分に区別して認識するものと考えざるを得ない。

ところで、第17類には、「international」の文字を含む商標は、例えば登録第2076682号、同第2028907号商標等々の如く極めて多数あり、これらの既登録商標に照らし、当該類においては、ローマ字「international」は、顕著性のない標章と認められているものと言わざるを得ない。それ故、前述の通り、その構成からみても「international」の文字を含む多数の既登録商標の存在に照らしても、本件商標中の「international」の部分は顕著性のないものと認めざるを得ない。

よって、看者は本件商標を「el」と認識するものと認められ、「el」の前述の発音から考えて、「エル」の称呼を生ずるものと考えるのが自然であるから、本件商標から「エル」の称呼が生ずるものと認められる。

一方、引用商標は、別紙(ロ)に示した通り、「ELLE」と認識される構成文字よりなるものであり、「エル」の称呼を生ずるものである。

従って、本件商標は、引用商標と称呼上類似するものであり、その指定商品も同一または類似する関係にあるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(2)請求人は、フランスに所在する法人であり、世界的に著名な女性向けのファッション雑誌「ELLE」の出版を主たる業務とし、 これを中心に各種商品のファッションをリードしているものである(甲第2ないし5号証)。

雑誌「ELLE」は、被服、身回品、化粧品、家具、食品等に関する記事を掲載する女性向けファッション週刊誌(甲第5号証)であり、第2次大戦前から発行されていたが、1987年3月現在までに2149号を数えており、発行部数は、フランス語版が毎週555,000冊に達し、さらにアメリカ合衆国、イギリス、スペイン、アラブの各国企業とライセンス契約をして姉妹誌「ELLE」を発行している。また、発行部数は不明であるが、イタリー版、ホンコン版、スエーデン版も発行されている(甲第9ないし12号証)。これらのうち、フランス版、アメリカ版、イギリス版は日本国内においても販売されており(甲第5ないし7号証)、更に、我が国でも、(株)マガジンハウスが昭和57年以来雑誌「ELLE」の日本語版(甲第8号証)を発行している。

これらの雑誌に掲載されるファッションは、現代感覚にあふれた「ELLE」誌独自の特徴を有し、「ELLE」ファッション、「ELLE」カラーと呼ばれて前世界の女性間に広く支持者を持っている。

このように、雑誌「ELLE」は、ファッションの世界的中心地たるフランスにおいて発行され世界各国に輸出されており、日本においても「ELLE」誌及び「ELLE」ファッションは、古くから広く知られ、我が国のファッションに多大な影響を与えている(甲第2ないし4号証)。

(3)請求人は、(株)マガジンハウス(旧称平凡出版株式会社)とも提携し、前記日本語版「ELLE」の発行前から日本における「ELLE」誌及び「ELLE」ファッションの紹介を積極的にしてきた。すなわち、(株)マガジンハウスは、請求人の承諾を得て昭和45年3月に雑誌「アンアン(an.an)」を日本語版「ELLE」誌と位置づけて創刊し、以来昭和57年に至るまで「アンアン」には毎号本国版「ELLE」誌の記事を一部そのまま掲載するなど「ELLE」ファッションの紹介、普及を図り、その表紙には必ず「ELLE JAPON」の商標を附してきた。

また、(株)マガジンハウスは「アンアン」誌のみに止まらず、その発行に係る「クロワッサン」誌等他の出版物にも多数「ELLE」誌の記事を「ELLE」の名の下に記載したが、昭和57年4月に至り、ついに(株)マガジンハウスから雑誌「ELLE」の発刊にふみきり、現在に至るまで、日本における女性向け雑誌の中でも最も人気の高い雑誌となっていることは周知の事実である。ちなみに、我が国における雑誌「ELLE」は、昭和57年4月から昭和60年4月までは月に1回、以後は現在に至るまで月2回刊行しているが、毎号の発行部数は20万冊から24万冊に達しており、いわゆる「ELLE」ブランド、「エル」ブランドの国内における源流となっている。

請求人は、日本において「ELLE」ファッションの普及を図るため、昭和39年以来、帝人株式会社に対し、商標「ELLE」の独占的使用を許諾した。帝人株式会社は、自ら「ELLE」ファッションに係る洋服を製造、販売する一方、その独占的使用権に基づき、婦人服につきイトキン株式会社、スカーフ・ハンカチ類につき川辺株式会社、水着につき株式会社岸田、エプロンにつき中西縫製株式会社、寝装寝具類につき西川産業株式会社、手袋につき株式会社三大の各社に引用商標の再使用権を許諾し、これら各社は共同して「ELLE」ファッションの宣伝、販売、普及に努め、その製造、販売に係る商品に商標「ELLE」または「エル」を使用していた。

(4)以上述べたように、商標「ELLE」は、フランス本国の「ELLE」誌の世界的著名性、イギリス、アメリカ等諸外国における雑誌「ELLE」の各発行、日本における使用、(株)マガジンハウスによる「アンアン」誌あるいは「ELLE」誌の頒布により、本件商標の登録出願以前に我が国において著名な商標になっていたことは疑う余地がない。

しかして、「ファッション」という言葉が今や単に服飾、化粧品、身回品等の日用品に止まらず、住居(インテリア・エクステリア)、料理、スポーツ等様々な生活様式一般に及んでいることから、そのような広い意味のファッションの騎手たる「ELLE」誌を源泉とする商標「ELLE」は、その指定商品の類似範囲を越えた強力な指標力を有していると解される。

本件商標に係る指定商品は、「被服、布製身回品、寝具類」であるから女性志向の商品であり、前記雑誌「ELLE」における記事、広告にも多く取扱われている商品である(甲第5号証)。しかも「ELLE ファッション」が被服を中心として著名なものとなっており、また、商標「ELLE」が被服をはじめ身回品、日用品について著名性を得ている状況並びに引用商標がしばしば他の単語と並べて表示される事実(例えば、甲第13号証におけるELLEGOLF の如く)からすれば、本件商標がその指定商品に使用されるときは、その商品が請求人の業務との関係で出所の混同を生ずる可能性は極めて高いというべきである。

従って、本件商標は、商標法第4条第1項第15号にも該当する。

4.被請求人は、何等答弁するところがない。

5.そこで、本件商標の登録を無効とすべき理由の有無について判断するに、本件商標は別紙(イ)に示すとおり「el international」の文字よりなるところ、構成各文字は、同じ書体、同じ大きさにて外観上まとまりよく一体的に表現されていて、しかも、これが格別冗長な構成からなるものでもなく、全体より生ずると認められる「エルインターナショナル」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。

そして、請求人が主張するように、本件商標は、たとえ構成中の「el」の文字部分がスペイン語の冠詞であり、「international」の文字部分が英語又は仏語であるとしても、かかる構成において、これを殊更分離し、「el」の文字部分を捉えて称呼、観念しなければならない特段の事由は見出せないものであり、むしろ構成全体をもって一体不可分のものと認識し、把握されるとみるのが自然である。

また、請求人は、本類(第17類)においてはローマ字の「international」は、顕著性のない標章と認められる旨を述べ、この文字を含む多数の既登録商標を挙げているが、「international」の文字を含む既登録商標が多数存在することをもって、直ちに該文字が顕著性のないものとはいい難く、他にこれを認めるに足る証左の提出もないものであるから、この点に関する請求人の主張は、前記判断を左右するものではない。

してみれば、本件商標は、その構成文字に相応して「エルインターナショナル」の称呼のみを生ずるものと判断するのが相当である。

他方、引用商標は、別紙(ロ)に示すとおり「ELLE」の文字よりなるから、その構成文字に相応して「エル」の称呼を生ずるものと認められる。

そこで、本件商標と引用商標とを比較するに、それぞれの構成態様は前記したとおりであって、外観及び観念において両者を類似とすべき要素は見当たらないばかりでなく、称呼においても上記したとおり、その音数、音構成において明らかな差異が認められるものであるから、相紛れるおそれのないものであり、結局、両商標は、外観、称呼及び観念のいずれよりしても非類似の商標といわなければならない。

さらに、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するものか否かについて検討するに、

両商標は、それぞれの構成態様の差異はもとより、称呼上も、その構成中に「el」の文字を有するものであっても、該文字部分が独立して認識されないこと前記認定のとおりであるから、両者は、その音数、音構成において顕著な差異を有する別異の商標といわなければならない。

してみれば、たとえ、請求人の商標「ELLE」がファッション誌として世界的に著名であり、日本における女性向けの雑誌として広く知られているとしても、「el international」の文字からなる本件商標を、被請求人がその指定商品に使用した場合、請求人の業務に係る商品であるかのごとく、出所について混同を生ずるおそれがあったものとは認め難い。

したがって、本件商標の登録は商標法第4条第1項第11号及び同15号の規定に違反してされたものでなく、同法第46条第1項第1号の規定により、その登録を無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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