結論テキスト
本件審判の請求は、成り立たない。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2025004029 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本願は、令和5年11月17日の商標登録出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和6年 7月 1日付け:拒絶理由通知書
令和6年 9月13日 :意見書、手続補正書の提出
令和6年12月10日付け:拒絶査定
令和7年 3月13日 :審判請求書の提出
本願商標は、「池田レンズ工業」の文字を標準文字で表してなり、第9類及び第35類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、商標登録出願され、その後、指定商品及び指定役務については、上記1の手続補正により、別掲1に記載のとおりの商品及び役務に補正されたものである。
原査定は、「本願商標は、「池田レンズ工業」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「池田」の文字は、我が国において「ありふれた氏」に該当するものといえる。また、本願商標構成中の「レンズ工業」の文字は、眼鏡や光学器械器具の部品であるレンズの製造業者の業種名を表す語として一般に認識されるというべきであり、本願商標は、「池田の氏姓を有する者が創業又は経営するレンズ工業」というほどの意味合いを有する、ありふれた名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であると判断するのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
(1)商標法第3条第1項第4号の趣旨について
商標法第3条は商標登録の要件を規定するものであり、同条第1項柱書及び同項第4号によると、「ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」は、商標登録を受けることができないものとされている。これは、ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する標章は、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、多くの場合、自他商品・役務識別力を欠くと考えられることから、このような標章のみからなる商標については、登録を許さないとしたものと解される。そして、ありふれた氏に業種名や会社の種別、屋号に慣用的に用いられる文字等を結合し、普通に用いられる方法で表示したものは、当該ありふれた氏を称する者等が取引をするに際して、商標として使用することを欲するものと考えられ、同様に特定人による独占的使用になじまず、かつ、その表示だけでは自他識別力を欠くものというべきであるから、特段の事情のない限り、「ありふれた名称」に当たると解するのが相当である。(令和5年(行ケ)第10031号 同年9月7日判決)
(2)本願商標の商標法第3条第1項第4号該当性について
本願商標は、「池田レンズ工業」の文字を標準文字で表してなり、「池田」の文字と「レンズ工業」の文字からなる結合商標である。
ア 「池田」の文字について
「池田」の文字は、原審で示した証拠(別掲2(1)及び(2))のとおり、「姓氏の一」としてデジタル大辞泉に掲載されており、「名字由来net」のウェブサイトには、「池田」の名字の全国順位は23位であり、全国人数はおよそ43万5千人程度であることが記載されている。
このような、「姓氏の一」というデジタル大辞泉への掲載並びに「池田」の名字の全国順位及び全国人数によれば、「池田」の文字は、「ありふれた氏」に当たると判断するのが相当である。
このことは、「池田」の文字が、別掲2(3)から(6)のとおり、我が国の代表的な国語辞典である広辞苑にも「姓氏の一つ」として掲載されていること、「全国名字大辞典」に「全国=24位」との記載があること、「日本の苗字ベスト3000」と題する書籍に、「順位 24位、平均件数 108345」との記載があること、「全国の苗字(名字)12万種」のウェブサイトに、「全国順位は22位、世帯数は113017」との記載があることからも、裏付けられるものである。
イ 「レンズ工業」の文字について
「レンズ工業」の文字は、別掲3(1)のとおり、「光学装置に使用される光の屈折作用を示す透明体」ほどの意味合いを表す「レンズ」の文字に、「原料や粗製品を加工して有用なものとする産業」を意味する「工業」の文字が付されたものであり、全体として「レンズを製造する産業」といった業種名を認識させるものである。
このことは、別掲3(2)から(5)のとおり、眼鏡、プリズム及び光学機械器具等の製造・販売を行う業界において、「レンズ工業」の文字が、「理研レンズ工業」、「福井県医療レンズ工業会」、「桜レンズ工業」及び「レンズ工業協同組合」のように、レンズの製造販売業者を表す業種名の一部に用いられている実情からもうかがい知ることができる。
さらに、原審で示した証拠(別掲4(1)から(4))のとおり、「有限会社小林レンズ工業」、「加藤レンズ工業所」、「岸和田レンズ工業株式会社」及び「日本レンズ工業株式会社」のように、「○○レンズ工業」(○○には、ありふれた氏又は著名な地理的名称が入る。以下同じ。)の文字及びこれと近似した名称である「○○レンズ工業株式会社」又は「○○レンズ工業所」の文字が、レンズの製造販売業者を表す業種名の一部及びレンズの製造販売業者を表す名称として用いられている実情が認められる。
このことは、別掲4(5)から(11)のとおり、「東京レンズ工業協同組合」、「井川レンズ工業所」、「柳原レンズ工業所」、「小林レンズ工業所」、「若松レンズ工業所」、「富士レンズ工業」及び「有限会社奥羽レンズ工業」のように、「○○レンズ工業」の文字及びこれと近似した名称である「○○レンズ工業協同組合」又は「○○レンズ工業所」の文字が一般に用いられていることからも、裏付けられるものである。
以上からすると、本願の指定商品及び指定役務の取引者、需要者は、「レンズ工業」の名称について、レンズの製造販売業者を表す業種名の一部として、慣用的に用いられているものと認識、理解するものと認められ、また、ありふれた氏又は著名な地理的名称と「レンズ工業」の文字を組み合わせた名称が、本願の指定商品及び指定役務に関連する分野において、一般に採択されているものとみるのが相当である。
ウ 本願商標について
上記ア及びイを踏まえると、本願商標は、ありふれた氏である「池田」の文字と、レンズの製造販売業者を表す業種名の一部として慣用的に用いられている「レンズ工業」の文字を組み合わせた「池田レンズ工業」の文字を標準文字で表したものであり、「「池田」氏又は「池田」の名を有する法人等が運営するレンズの製造販売業」ほどの意味合いを認識させる「池田レンズ工業」というありふれた名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当する。
(3)請求人の主張について
請求人は、「過去の審決において示されたように、商標が商標法第3条第1項第4号の「ありふれた氏(又は名称)」に該当するか否かは、その商標全体として「ありふれた氏(又は名称)」に該当するか否かによって判断すべきであるところ、商標「池田レンズ工業」全体と同一・類似の商標の使用は発見されなかった」旨、主張する。
しかしながら、商標法第3条第1項第4号の文言上、「ありふれた名称」であると認めるために当該名称が現に多数存在することは要件とはされておらず、ありふれた氏である「池田」の文字と、レンズの製造販売業者を表す業種名の一部として慣用的に用いられている「レンズ工業」の文字とを結合し、普通に用いられる方法で表示した本願商標は、前記(1)のとおり、当該ありふれた氏を称する者等が取引をするに際して、商標として使用することを欲するものと考えられ、同様に特定人による独占的使用になじまず、かつ、その表示だけでは自他識別力を欠くものというべきであるから、「ありふれた名称」に当たると判断するのが相当であり、これを覆すに足る特段の事情は見いだせない。
したがって、請求人の主張は、採用することができない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当するものであるから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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