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Trademark Appeal Case

証券ウェルスマネジメントの識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2025006186
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

理 由

1 手続の経緯

本願は、令和6年4月4日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和6年11月14日付け:拒絶理由通知書

令和6年12月18日 :意見書、手続補正書の提出

令和7年 2月 5日付け:拒絶査定

令和7年 4月23日 :審判請求書の提出

令和7年 6月20日 :上申書の提出

令和7年 9月 1日付け:拒絶理由通知書

令和7年10月 7日 :意見書の提出

令和7年11月 4日 :上申書の提出

2 本願商標

本願商標は、「証券ウェルスマネジメント」の文字を標準文字で表してなり、第35類及び第36類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、令和6年4月4日に登録出願され、その後、指定役務については、同年12月18日提出の手続補正書により、第35類及び第36類に属する別掲1のとおりの役務に補正されたものである。

3 原査定の拒絶の理由の要点

本願商標は、「証券ウェルスマネジメント」の文字を標準文字で表してなるところ、構成中「ウェルスマネジメント」の文字は、本願商標の指定役務に係る分野において、「個人が保有する資産を包括的に管理するサービスの総称」の意味を有する語として、広く使用されているものである。そして、「証券」の文字は、「財産法上の権利・義務に関する記載のされた紙片。有価証券と証拠証券とがある。」を意味する語であって、資産というべきものである。そうすると、本願商標をその指定役務に使用しても、これに接する取引者・需要者は、その役務が、個人が保有する証券等の資産の包括的な管理に関する役務であると理解するにとどまるというのが相当であるから、本願商標は、役務の質を普通に用いられる方法で表示したものとして認識するにすぎないものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

4 当審における拒絶理由通知

当審において、請求人に対し、令和7年9月1日付けで、別掲2及び別掲3の事実を示した上で、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標であるから、商標法第3条第1項第6号に該当する旨の拒絶理由を通知し、相当の期間を指定して、これに対する意見を求めた。

5 当審における拒絶理由通知に対する請求人の意見(要旨)

(1)本願指定役務において、請求人(並びに請求人が本願商標の使用を許諾した者)以外には、誰も、本願商標を使用していない。また、本願商標は、請求人らによる使用によって、請求人らに係る商標として多くの関係者によって認知されている。

(2)本願商標は、請求人によって初めて造語されたものであり、かつ、不特定多数の者によって広く使用されている訳ではないから、特別な意味合いは未だ生まれていない。

(3)本願商標は、「証券ウェルスマネジメント」の文字を一体不可分に表したものである。

(4)本願商標を「証券」及び「ウェルスマネジメント」の各語に分離・分割したとしても、各語の有する意味からは、本願商標全体として「紙片(財産法上の権利・義務に関する記載をした紙片)の主に富裕層を対象とした資産管理」、「主に富裕層を対象とした紙片(財産法上の権利・義務に関する記載をした紙片)の資産管理」と言った意味合いが生じるにすぎず、これが何を指すのか不明である。

(5)本願商標は、商標審査基準に記載された、出願された商標が商標法第3条第1項第6号に該当するとしたいずれの例にも該当しない。

(6)一般的に使用された標章だったとしても、自他商品・役務の識別力を有するとして、登録になっている事例が多数存在する。その他、過去の審決例、異議決定の例及び登録例を鑑みれば、本願商標はこれらに係る商標と同様に登録されるべきである。

(7)以上から、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当しない。

6 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第6号の趣旨について

商標法は、「商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする」ものであるところ(同法第1条)、商標の本質は、自己の業務に係る商品又は役務と識別するための標識として機能することにあり、この自他商品の識別標識としての機能から、出所表示機能、品質保証機能及び広告宣伝機能等が生じるものである。同法第3条第1項第6号が、「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」を商標登録の要件を欠くと規定するのは、同項第1号ないし第5号に例示されるような、識別力のない商標は、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、自他商品の識別力を欠くために、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである(知財高裁平成24年(行ケ)第10323号参照)。

(2)本願商標の商標法第3条第1項第6号該当性について

本願商標は、「証券ウェルスマネジメント」の文字を標準文字で表してなるところ、別掲2によれば、その構成中「証券」の文字は、「財産法上の権利・義務に関する記載をした紙片」を意味する語であり、「証券」には「有価証券(株券・債券など)」が含まれ、例えば「証券アナリスト」、「証券会社」、「証券業」、「証券市場」、「証券投資」のように、他の語と結合して、主に有価証券に関する業務を行う者や、有価証券に関する行為等を指す複合語となることが少なくないものである。また、本願商標の構成中、「ウェルス」の文字は、「富」、「財産」及び「富裕」を意味する英語「wealth」の表音を表したものであり、「マネジメント」の文字は、「管理」、「処理」及び「経営」の意味を有する語である。

そして、別掲3によれば「ウェルス」の文字と「マネジメント」の文字を結合してなる、「ウェルスマネジメント」の文字は、本願指定役務に係る分野において、「主に富裕層を対象とした資産管理」及び同資産管理に関するサービスを意味する語として広く使用されている実情がある。

加えて、前記サービスの一つとして、資産運用等の、有価証券に関する業務が提供されている実情がある(別掲3)。

そうすると、本願商標の各構成文字の意味及び前記の実情に照らせば、本願商標は、これを補正後の指定役務(特に、有価証券に関する役務)に使用しても、その需要者に、「有価証券に関する、主に富裕層を対象とした資産管理(サービス)」の意味合いを容易に認識させるにとどまるものであり、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、自他役務の識別力を欠くために商標としての機能を果たし得ないものというべきである。

してみれば、本願商標を、補正後の指定役務に使用しても、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものというのが相当である。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。

(3)請求人の主張について

ア 請求人は、本願商標は、全体として一体不可分の、請求人による造語であって、本願指定役務において、請求人(並びに請求人が本願商標の使用を許諾した者)以外には、誰も、本願商標を使用していない。また、本願商標は、請求人らによる使用によって、請求人らに係る商標として多くの関係者によって認知されている旨を主張する。

しかしながら、前記(1)のとおり、商標法第3条第1項第6号が、「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」を商標登録の要件を欠くと規定するのは、同項第1号ないし第5号に例示されるような、識別力のない商標は、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、自他商品又は役務の識別力を欠くために、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである。そして、本願商標を構成する各文字の意味並びに別掲2及び別掲3の実情に照らせば、本願商標は、これをその指定役務(特に、有価証券に関する役務)に使用しても、これに接する需要者に、「有価証券に関する、主に富裕層を対象とした資産管理(サービス)」ほどの意味合いを認識させるにとどまるものであり、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、自他役務の識別力を欠くために商標としての機能を果たし得ないものというべきであることは前記(2)のとおりである。

また、請求人が、本願商標が請求人らに係る商標として多くの関係者によって認知されていることを示す証拠として、令和7年11月4日提出の上申書において、甲第1号証ないし甲第5号証(枝番含む)を提出しているが、このうち、甲第1号証ないし甲第4号証(請求人らに係るウェブサイトの写し)に表示されている「証券ウェルスマネジメント」の文字は、いずれも、単に、項目名又はウェブサイト内の他のページへのリンクを表したものと認識されるものであって、これらに接する取引者・需要者は、これを自他役務識別標識を有する商標と認識するものということはできず、むしろ、「有価証券に関する資産管理サービス」を請求人らが行っていると認識するにとどまるものというのが相当である。加えて、請求人及び請求人に係るグループ会社のウェブサイトの閲覧数とされる表(甲第5号証)も、この表に記載された閲覧数が、請求人らに係るウェブサイトのうち、いかなるページの閲覧数であるのかが判然としない。かつ、請求人からは、自らのウェブサイト以外の、例えば、第三者による紹介記事等の証拠は提出されていないことからすると、本願商標が請求人らの業務に係る商標と認識されているということはできない。

イ 請求人は、本願商標は、商標審査基準(商標法第3条第1項第6号)に例示された、識別力のない商標の態様に合致するものではない旨主張する。

しかしながら、本願商標は、これをその指定役務(特に、有価証券に関する役務)に使用しても、これに接する需要者に、「有価証券に関する、主に富裕層を対象とした資産管理(サービス)」ほどの意味合いを認識させるにとどまるものであり、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、自他役務の識別力を欠くために商標としての機能を果たし得ないものというべきであることは前記(2)及び(3)アのとおりである。

ウ 請求人は、過去の審決例等を挙げ、これらを鑑みると、本願商標も登録されるべきである旨主張する。

しかしながら、登録出願に係る商標が、商標法第3条第1項第6号に該当するものであるか否かの判断は、当該登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と指定商品又は役務の取引の実情等に基づいて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、本願については前記(2)のとおり判断するものであるから、請求人の挙げた審決例等があることをもって、本願の判断を左右するものではない。

エ したがって、請求人の前記主張は、いずれも採用することができない。

(4)まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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