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Trademark Appeal Case

原材料表示と商標の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2025007928
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

理 由

1 手続の経緯

本願は、令和6年5月13日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和6年 7月 8日付け:拒絶理由通知書

令和6年11月 1日 :意見書、手続補正書の提出

令和7年 2月25日付け:拒絶査定

令和7年 5月22日 :審判請求書の提出

令和7年 7月15日付け:審尋

令和7年 9月30日 :回答書の提出

2 本願商標

本願商標は、「アカシアポリフェノール」の文字を標準文字で表してなり、第5類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、登録出願されたものである。

そして、本願の指定商品は、原審における上記1の手続補正書により、第5類「アカシア樹皮抽出物を成分として含むサプリメント,アカシア樹皮抽出物を成分として含む栄養補助食品」と補正されたものである。

3 原査定の拒絶の理由(要旨)

(1)商標法第3条第1項第3号について

本願商標は、マメ科アカシア属の常緑樹を表す「アカシア」の文字と植物中に広く存在する抗酸化作用を有する物質の一つである「ポリフェノール」の文字を「アカシアポリフェノール」と普通に用いられる方法で書してなるものであり、アカシア由来のポリフェノールとの意味合いを容易に理解させるものである。

そうすると、本願商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、アカシア由来のポリフェノールを含有するものと理解するにとどまるので、本願商標は、単に、商品の品質、原材料等を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものといえる。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

(2)商標法第3条第2項について

出願人が提出した資料において示されているのは、本願商標が独立した出所識別標識と認識されるとはいいがたい使用態様のものであり、その商品に「アカシアポリフェノール」が含まれているという、商品の含有成分を表示するものとして理解されるというのが相当であるから、本願商標は、出願人による継続した使用によって、その業務に係る商品として、我が国の需要者の間において広く認識されるに至っているものとはいうことはできない。

したがって、本願商標が、商標法第3条第2項の要件を具備するということはできない。

4 当審における審尋

当審において、令和7年7月15日付け審尋により、別掲2及び別掲3に掲げる事実を提示した上で、本願商標が、商標法第3条第1項第3号に該当し、また、商標法第3条第2項の要件を具備するということはできない旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、請求人に対し、意見を求めた。

5 審尋に対する請求人の回答

請求人は、上記4の審尋に対し、要旨以下のとおりの意見を述べた。

(1)(ア)「アカシア」自体が一般需要者に食品原料として広く認知された語ではなく(はちみつ・園芸種・樹脂等の多義的連想を生じる)、これに「ポリフェノール」を結合しても、本願の指定商品における原材料・品質を直ちに、かつ具体的に表示する語として理解されないこと、(イ)学術分野、公的データベース、成分事典・辞典及び取引実務の各層で、「アカシアポリフェノール」が成分名として広く使用・認識されていないこと、並びに、(ウ)SNS上の自発的投稿において、「購入」「届く」等の用法で「アカシアポリフェノール」が商品の名称として言及されていること等を踏まえれば、本願商標は、その指定商品について品質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみとはいえず、むしろ、特定の出所に係る商品を示す自他商品識別標識として十分に機能する。

(2)仮に、本願商標が、商標法第3条第1項第3号に該当するとしても、長年の使用・販売・広告実績(甲第6号証~甲第84号証)に、取引者証明(甲第96号証~98号証)および需要者側の識別性を示すSNS実例(甲第99号証)を加味すれば、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を充足する。

6 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号該当性について

本願商標は、「アカシアポリフェノール」の文字を標準文字で表してなるものである。

そして、その構成中、「アカシア」の文字は「マメ科アカシア属の植物(その学名)。」などを、「ポリフェノール」の文字は「多価フェノール。同一ベンゼン環上に複数のヒドロキシ基が結合した化合物の総称。」を、それぞれ意味する語であって(出典:「広辞苑 第七版」株式会社岩波書店)、これらはいずれも我が国において広く一般的に使用され、理解されている語であり、また、上記2のとおり、本願の補正後の指定商品は、いずれも「アカシア樹皮抽出物を成分として含む」ものであることも踏まえれば、本願商標は、「アカシア」と「ポリフェノール」の2語を結合してなるものと、容易に理解できるものである。

また、「ポリフェノール」は、「カテキンなどのフラボノイド、タンニンなど植物中に広く存在」する「抗酸化物質の一つ」(出典:同上)であるところ、別掲の情報にあるように、本願の指定商品を含む、栄養補助食品(健康食品)を取り扱う分野においては、「植物や果実等からの抽出物であるポリフェノール」を含有する商品が広く製造、販売されており、当該ポリフェノールが含有された商品であることを紹介、説明等するための語として、特定の植物や果実等の名称(○○)と「ポリフェノール」の文字とを結合させた「○○ポリフェノール」の表示が、広く一般的に使用されている実情が認められる。

そうすれば、本願商標を、その補正後の指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者において、その商品が「アカシア樹皮抽出物由来のポリフェノールを含有する商品」であるという、商品の品質、原材料を表したものと容易に認識されるというべきである。

したがって、本願商標は、その商品の品質、原材料を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といえるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。

(2)商標法第3条第2項の要件を具備しないことについて

請求人は、原審における令和6年11月1日受付の意見書、同7年5月22日受付の審判請求書、及び、同年9月30日受付の回答書において、本願商標は、その指定商品の分野において使用された結果、需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものである旨主張し、証拠方法として、甲第6号証ないし甲第84号証及び甲第96号証ないし甲第99号証(枝番号を含む。以下、表記に当たっては「甲○」(「○」部分は数字)のように省略して記載する。)を提出している。

そして、提出された証拠からは、請求人の業務に係る本願の指定商品(以下「請求人商品」という。)について、当該商品の包装や説明文、宣伝広告等に、一般的な書体の「アカシアポリフェノール」の文字が表されている事実は認められる。

しかしながら、当該文字の具体的使用態様をみるに、請求人商品の包装や説明文においては、例えば「ACAPOLI アカポリ」の見出しの下に小さく「奇跡の成分「アカシアポリフェノール」が発揮する健康の力をお届けするサプリメントシリーズです。」との記載があるもの(甲8)、商品の包装の目立つ位置に「ACAPOLIA アカポリア」の表示があり、その周囲に「毎日つづけるアカシアポリフェノール」や「アカシア樹皮ポリフェノール配合」の記載があるもの(甲9)、商品の包装に、「ビタミンA・C・E」「ヒアルロン酸」「コンドロイチン」などのサプリメントの成分を表していると考えられる文字と並んで、「アカシアポリフェノール」の文字が表されているもの(甲14)、商品の包装の目立つ位置に「ACAPOLI アカポリ」や「アカシアのアカポリ」の表示があり、その周辺にやや小さく「アカシアポリフェノールで健康な毎日」や「アカシアポリフェノール(アカシア樹皮由来プロアントシアニン)配合」の記載があるもの(甲16)など、もっぱら請求人商品の成分を表す語として「アカシアポリフェノール」の文字が使用されていると考えられるものばかりであって、同文字が請求人商品の出所識別標識として認識され得る態様で使用されているとはいえないものである。

さらに、請求人が請求人商品の宣伝広告を行ったとして示す雑誌(甲35ほか)の記載内容をみても、商品の成分としての「アカシアポリフェノール」の効能(効果)について説明、紹介等する記事が大半であって、また、一部に請求人商品に係る宣伝広告と考えられる頁はあるものの、その内容は、上述の請求人商品の包装や説明文に係る使用態様と同様、「アカシアポリフェノール」の文字が請求人商品の出所識別標識として認識され得る態様で使用されているとはいえないものである。

そうすると、上記請求人が使用している「アカシアポリフェノール」の文字は、請求人商品の出所識別標識として認識され得る態様ではなく、もっぱらその商品の成分名を表していると考えられる態様で使用されてきたといえるものである。

以上のことからすれば、仮に、請求人商品が、請求人主張のとおり、約16年間、日本全国において販売され続けており、一定程度の販売数量、売上げがあって、上記雑誌のほか、リーフレット、インターネット上等における宣伝広告活動が行われてきたものであるとしても、請求人が主張するそれらの実績のみでは、本願商標が、使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているというべき根拠とはなり得ないものである。

また、請求人が本願の指定商品の取引者によって作成されたとする証明書(甲96~甲98)については、それぞれの書面に記載のあるとおり、その作成者はいずれも健康食品用・サプリメント用の原材料を取り扱う企業であって、本願の指定商品の需要者による証明とはいえない上、その内容も、「アカシアポリフェノール」という名称の成分を取り扱っておらず、かつ、一般にそのような成分が流通していることもないという事実を述べるのみであって、本願商標がその指定商品の需要者において出所識別標識として認識されている事実を推認させるに足るものではない。

加えて、SNSにおける投稿事例(甲99)については、匿名のSNSにおける投稿であって作成者の素性はおよそ不明であり、投稿の内容も作成者の主観にすぎず、その内容の真実性等を客観的に担保できる仕組みがあるともいえないことからすれば、それらの内容は、本願商標に係る需要者の認識度を客観的に示す根拠として、適切とはいえない。

したがって、請求人提出の証拠をもってしては、本願商標が、商標法第3条第2項の要件を具備するに至っているということはできない。

(3)請求人の主張について

請求人は、「アカシア」は食品原料として一般的に知られた語ではなく、様々な内容を想起させ得る語であるから、「アカシアポリフェノール」の文字からなる本願商標は、その指定商品の品質又は原材料を直ちに、かつ具体的に表示する語として理解されることはない旨主張する。

また、請求人は、学術分野、公的データベース、成分事典・辞典及び取引実務の各層で、「アカシアポリフェノール」が成分名として広く使用・認識されていない旨、並びに、請求人はアカシア樹皮抽出物を成分として含む商品に関して複数の特許を取得していること等から、本願商標は、独占適応性を有する旨主張する。

しかしながら、上記(1)のとおり、「アカシア」の文字は、植物名としては一般に広く知られた語であって、また、「ポリフェノール」は、「植物中に広く存在」するものである上、上記2のとおり、本願の補正後の指定商品は、いずれも「アカシア樹皮抽出物を成分として含む」ものである。

そして、別掲の情報にあるように、本願の指定商品を含む、栄養補助食品(健康食品)を取り扱う分野においては、「植物や果実等からの抽出物であるポリフェノール」を含有する商品が広く製造、販売されており、当該ポリフェノールが含有された商品であることを紹介、説明等するための語として、特定の植物や果実等の名称(○○)と「ポリフェノール」の文字とを結合させた「○○ポリフェノール」の表示が、広く一般的に使用されている実情が認められる。

これらのことを総合的に勘案すれば、「アカシアポリフェノール」の文字が商品の品質等を表示する語として現に一般的に使用されておらず、かつ、「アカシア樹皮抽出物を成分として含む」商品も現に一般的に販売されていないとしても、本願商標を、その補正後の指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者において、それが「アカシア樹皮抽出物由来のポリフェノールを含有する商品」であるという、商品の品質、原材料を表したものと容易に理解、認識されるというべきである。

そして、この需要者の認識は、請求人がアカシア樹皮抽出物を成分として含む商品に関して複数の特許を取得しているからといって変わるものではない。

したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。

(4)まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであり、また、商標法第3条第2項の要件を具備するものともいえないから、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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