結論テキスト
本件審判の請求は、成り立たない。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2025011670 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本願は、令和6年2月6日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和6年10月24日付け:拒絶理由通知書
令和7年 1月10日 :意見書、手続補正書の提出
令和7年 4月18日付け:拒絶査定
令和7年 7月25日 :審判請求書の提出
本願商標は、願書に記載のとおりの構成からなる立体商標として、第30類「菓子(肉・魚・果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。),アイスクリーム,シャーベット等の氷菓,フルーツゼリー」を指定商品として登録出願されたものである。
そして、本願商標は、原審における上記1の手続補正書により、別掲のとおりの構成からなる立体商標に補正されたものである。
本願商標は、別掲のとおりの構成からなるところ、本願商標と類似した立体的形状の菓子などが販売されている実情があることから、本願商標の立体的形状は、本願商標の指定商品を取り扱う業界において通常採用し得る形状の範囲を超えているとはいえないものであって、本願の指定商品との関係においては、その商品の包装容器の一形態を表したものとして理解されるにとどまり、自他商品識別機能として認識され得ないというのが相当である。
また、本願の指定商品を取り扱う業界において、包装容器の蓋又は側面に原材料又は風味を表す果実等の図形を配することは一般的に行われていることである。
そうすると、本願商標を構成する立体的形状及び図形のいずれもが、自他商品識別標識として認識されないものであるから、これらを組み合わせた本願商標全体としても、自他商品識別機能を発揮するものとはいえず、これに接する取引者、需要者は、本願の指定商品の包装の一形態及び品質を表したものと認識するにすぎず、本願商標は、単に商品の包装の形状及び品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
ア 立体商標における商品の形状について商標法は、商標登録を受けようとする商標が、立体的形状(文字、図形、記号若しくは色彩又はこれらの結合との結合を含む。)からなる場合についても、所定の要件を満たす限り、登録を受けることができる旨規定する(商標法第2条第1項、同法第5条第2項参照)。
しかしながら、以下の理由により、立体商標における商品の形状は、通常、自他商品の識別機能を果たし得ず、商標法第3条第1項第3号に該当するものと解される。
(ア)商品の形状は、多くの場合、商品に期待される機能をより効果的に発揮させたり、商品の美感をより優れたものとするなどの目的で選択されるものであって、商品の出所を表示し、自他商品を識別する標識として用いられるものは少ないといえる。このように、商品の製造者、供給者の観点からすれば、商品の形状は、多くの場合、それ自体において出所表示機能ないし自他商品識別機能を有するもの、すなわち、商標としての機能を有するものとして採用するものではないといえる。また、商品の形状を見る需要者の観点からしても、商品の形状は、文字、図形、記号等により平面的に表示される標章とは異なり、商品の機能や美感を際立たせるために選択されたものと認識し、出所表示識別のために選択されたものとは認識しない場合が多いといえる。
そうすると、商品の形状は、多くの場合に、商品の機能又は美感に資することを目的として採用されるものであり、客観的に見て、そのような目的のために採用されたと認められる形状は、特段の事情のない限り、商品の形状を普通に用いられる方法で使用する標章のみからなる商標として、商標法第3条第1項第3号に該当すると解するのが相当である。
(イ)また、商品の具体的形状は、商品の機能又は美感に資することを目的として採用されるが、一方で、当該商品の用途、性質等に基づく制約の下で、通常は、ある程度の選択の幅があるといえる。しかし、同種の商品について、機能又は美感上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものであれば、当該形状が特徴を有していたとしても、商品の機能又は美感に資することを目的とする形状として、商標法第3条第1項第3号に該当するものというべきである。その理由は、商品の機能又は美感に資することを目的とする形状は、同種の商品に関与する者が当該形状を使用することを欲するものであるから、先に商標出願したことのみを理由として当該形状を特定の者に独占させることは、公益上の観点から必ずしも適切でないことにある。
(ウ)さらに、商品に、需要者において予測し得ないような斬新な形状が用いられた場合であっても、当該形状が専ら商品の機能向上の観点から選択されたものであるときには、商標法第4条第1項第18号の趣旨を勘案すれば、商標法第3条第1項第3号に該当するというべきである。その理由として、商品が同種の商品に見られない独特の形状を有する場合に、商品の機能の観点からは発明ないし考案として、商品の美感の観点からは意匠として、それぞれ特許法・実用新案法ないし意匠法の定める要件を備えれば、その限りにおいて独占権が付与されることがあり得るが、これらの法の保護の対象になり得る形状について、商標権によって保護を与えることは、商標権は存続期間の更新を繰り返すことにより半永久的に保有することができる点を踏まえると、特許法、意匠法等による権利の存続期間を超えて半永久的に特定の者に独占権を認める結果を生じさせることになり、自由競争の不当な制限に当たり公益に反することが挙げられる。
(以上、知的財産高等裁判所、平成18年(行ケ)第10555号同19年6月27日判決、平成19年(行ケ)第10215号同20年5月29日判決及び平成22年(行ケ)第10253号同23年6月29日判決参照。)
イ 本願商標は、別掲のとおり、蓋(開口部)側から反対方向にいくにつれ細くなっていく、蓋付きの筒状(棒状)の立体的形状といえるものであって、また、蓋の表面部分にはぶどうの葉及び果実(房)を表したと考えられる図形が1つ、筒部分には多数のぶどうの果実(粒)を表したと考えられる図形が全体的に、それぞれ表されているものである。
そして、本願の指定商品である、菓子・氷菓子などを取り扱う分野において、商品の形状(商品の包装の形状を含む。以下同じ。)の採用、使用にあたり、商品の機能又は美感に資すること以外が目的とされることが一般的に行われているというべき事情は見いだせないものであり、また、原審提示の情報にあるように、同分野においては、筒状(棒状)の商品、特に、蓋(開口部)側から反対方向にいくにつれ細くなっていく立体的形状が、商品の形状としてしばしば採択され、使用されている事実が認められる。
加えて、原審提示の情報にあるように、同分野においては、その商品の原材料を表現するために、当該原材料である果物等を表した図形が、様々な態様によって、商品の包装に装飾的に表されることも、ごく一般的に行われている事実が認められる。
上記実情を踏まえて本願商標の態様を考察すると、その構成中の立体的形状は、その指定商品の包装に採用し得る形状の一形態を表したものと容易に認識されるものであり、これに接する取引者、需要者が、その商品の機能又は美感上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものであるというべきであって、商品の機能又は美感に資することを目的とするために採用されたものといえる。また、同構成中の図形についても、ぶどう(果実)を写実的に表したといえるものであって、これに接する取引者、需要者が、その商品が「原材料としてぶどうを使用していること」を装飾的に表したものであると、容易に理解、認識し得るものといえる。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、その商品の形状として採用し得る形状の一形態、及び、その商品が「原材料としてぶどうを使用しているもの」であるという商品の品質を装飾的に表したものとして理解するにとどまり、自他商品を識別するための標識としては認識し得ないものと判断するのが相当であるから、本願商標は、商品の形状及び品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は、本願商標を構成する立体的形状は、原審提示の情報にあるような円錐(コーン)型ではなく、巷にあふれる商品の中から、特異な形状であると注目されるように差別化できるようにデザインされた形状であり、商品が店舗に並んだときによくある形状のものと相紛れるおそれがないフォルムを採用しているのであって、これに似た魚の尾ひれのような扁平な先端部を有する形状の事例は示されていない旨主張する。
そして、請求人は、本願商標を構成する図形は、単に原材料又は風味を表す果実を表したに留まるものではなく、多数のブドウの粒が重なって一面に配されており、このように大胆に一面にブドウの粒のみを配し、ブドウの葉・果物の断面や余白が一切ないデザインは、原審で挙げられた事例と一線を画すデザインといえるのであって、自他商品識別機能を発揮するものといえる旨、及び、上述のごとき立体的形状と図形からなる本願商標は、商標法第3条第1項第3号にいう「普通に用いられる方法で表示する」ものにも該当しない旨主張する。
しかしながら、上記(1)イのとおり、本願の指定商品の分野においては、他の商品分野と同様に、その商品の形状は、商品の機能又は美感に資することを目的として採択され、使用されると考えられるものであって、実際に、筒状(棒状)の商品、特に、蓋(開口部)側から反対方向にいくにつれ細くなっていく立体的形状が、商品の形状としてしばしば採択され、使用されていること等に鑑みると、本願商標の構成中の立体的形状は、客観的に見て、商品等の機能や美感に資することを目的として採用され得る形状であるから、これをもって他の商品と識別できるとはいい難いものである。
そして、商品の機能や美感に資することを目的として採用され得る形状は、同種の商品に関与する者が当該形状を使用することを欲するものであるから、本願商標の構成中の立体的形状が一定程度の特徴を有しているとしても、本願の指定商品の需要者にとって、商品の機能や美感に資することを目的とする形状の選択であると十分予測し得る範囲内のものというべきである。
さらに、本願商標の構成中の図形についても、上記(1)イのとおり、本願の指定商品の分野においては、その商品の原材料を表現するために、当該原材料である果物等を表した図形が、様々な態様によって、商品の包装に装飾的に表されることが、ごく一般的に行われていること等に鑑みると、これに接する取引者、需要者が、その商品が「原材料としてぶどうを使用していること」を、商品の包装の装飾として表したものであると、容易に理解、認識し得るものといえ、これをもって他の商品と識別できるとはいい難いものである。
以上のことからすれば、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、その商品に採用し得る形状の一形態、及び、その商品が「原材料としてぶどうを使用しているもの」であるという商品の品質を装飾的に表したものとして理解するにとどまり、自他商品を識別するための標識としては認識し得ないものと判断するのが相当であって、また、これが商標法第3条第1項第3号にいう「普通に用いられる方法で表示する」の範囲を脱しているものということもできない。
したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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