Trademark Appeal Case
POLO結合商標の要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成10年審判第19751号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別紙(1)に表示したとおりの構成よりなり、第25類「洋服、コート、セーター類、ワイシャツ類、寝巻き類、下着、水泳着、水泳帽、和服、エプロン、えり巻き、靴下、ゲートル、毛皮製ストール、ショール、スカーフ、足袋、足袋カバー、手袋、布製幼児用おしめ、ネクタイ、ネッカチーフ、マフラー、耳覆い、ずきん、すげがさ、ナイトキャップ、ヘルメット、帽子、ガーター、靴下止め、ズボンつり、バンド、ベルト、靴類(「靴合わせくぎ、靴くぎ、靴の引き手、靴びょう、靴保護金具」を除く。)、靴合わせくぎ、靴くぎ、靴の引き手、靴びょう、靴保護金具、げた、草履類、運動用特殊衣服、運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)、乗馬靴」を指定商品として、平成4年12月8日登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、アメリカ合衆国ニューヨーク州在の『ザ ポロ ローレン カンパニー』が商品『被服、ネクタイ』に使用して本願の出願時には既に著名となっている商標『POLO』の文字を有してなるものであるから、このような商標を本願の指定商品に使用するときには、これが恰も上記会社或いはこれと何等かの関係を有する者の取り扱いに係る商品であるかの如く、その出所について混同を生じさせるおそれがある。したがって、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定して、本願を拒絶したものである。
3 請求人の主張
本願商標は、その構成中に「POLO」の文字を含むものであるが、本類をはじめ用品雑貨の業界においては、「POLO」或いはその音訳である「ポロ」の文字を含む結合商標がいずれも非類似の商標として多数別個に登録されている事実があり、その登録に基づき「POLO」又は「ポロ」の文字を含む結合商標が競合する同業者間で並存して大々的に使用されている事実が存在する。
これらの事実は、もはや「POLO」及び「ポロ」そのものの語に特別強い顕著性がないことを意味しており、「POLO」又は「ポロ」の前後に何らかの語を組み合わせて、一連でひとつの熟語を形成するか、何らかの観念が生じる場合、並びに「POLO」又は「ポロ」の前後に何らかの語を組み合わせることによって「POLO」又は「ポロ」の観念が埋没してしまった場合は、結合前の各語とは非類似のものと判断されていることを意味していると共に、「POLO」又は「ポロ」を含む数多くの結合商標を付した商品が実際取引市場において併存しているところから、取引者、需要者においても、もはや出所が異なる商品であることを充分認識するに至っているものといえる。
このように、「POLO」又は「ポロ」の語を含む結合商標が、各々非類似として、競合する同業者間で並存して登録され用いられた結果、もはや需要者は、これら「POLO」又は「ポロ」の語を含む結合商標から形式的に「POLO」又は「ポロ」のみの文字を抽出し、取引のよすがとすることはありえないことであり、それら商標の全体からみて、不可分一体に結合して観念、称呼され、取り引きされているのが現状である。このような事実よりみて、「POLO」と「LEAGUE」が組み合わされることにより、「4人一組で馬に乗って棒でボールを打ち、相手のゴールに入れて得点を争う競技の連盟」すなわち「ポロの競技連盟」との特定の観念を有し、単なる「POLO」又は「ポロ」とはまた異なった熟語を形成して不可分一体の語と理解、認識され得る本願商標「POLO LEAGUE」は、引用の「POLO」とはもはや非類似の商標であるといわざるをえない。
ザ ポロ ローレン カンパニーは、単に「POLO」又は「ポロ」のみの登録を得ているわけではなく、「POLO」又は「ポロ」のみの態様で使用しているわけでもない。すなわち、ザ ポロ ローレン カンパニーは、各商品群において「POLO BY RALPH LAUREN」(旧第17類・登録第2049413号商標、旧第21類・登録第2622079号商標)、「ポロバイラルフローレン」(旧第21類・登録第2449369号商標)というように「POLO ポロ」の文字を含んだ結合商標の登録を得ているものであって、その実際の使用態様も「POLO」又は「ポロ」単独での使用は見当たらず、それはたえず「マレットを持った人と馬の図形」の左右に「POLO」と「RALPH LAUREN」の文字を不可分一体的に書した態様か、あるいは「POLO」の文字を長方形の枠で囲み、その下に「by Ralph Lauren」の文字を配した態様で使用されているものである。
仮に、「POLO」が商標及び商号の略称として著名であったとしても、それは例えば旧第17類では他人が保有する「POLO」商標が存在するにもかかわらず、使用がなされたものであって、『違法な使用』に基づくものといわざるをえない。かかる『違法な使用』に基づき『著名』に至ったとしても、それは法律の保護を受けるに値しないことはいうまでもない。
ましてや、上述したように、ザ ポロ ローレンカンパニーは「POLO」単独ではなく、「POLO」と少なくとも「RALPH LAUREN」の文字との結合により使用されているものであり、これら商標とは全く異なった不可分一体で、一つの熟語を形成している本願商標「POLO LEAGUE」をその指定商品に使用しても、ザ ポロ ローレン カンパニーの「POLO」又は「ポロ」の文字を含む標章と混同を起こすおそれは全くないものである。
4 当審の判断
(1)(株)講談社昭和53年7月20日発行「男の一流品大図鑑」、サンケイマーケティング昭和58年9月28日発行「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」の記載によれば、以下の事実が認められる。
アメリカ合衆国在住のデザイナーであるラルフ・ローレンは1967年に幅広ネクタイをデザインして注目され、翌1968年にポロ・ファッションズ社(以下「ポロ社」という。)を設立、ネクタイ、シャツ、セーター、靴、カバンなどのデザインを始め、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服デザインにも進出、服飾界の名誉ある賞「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞するとともに、数々の賞を受賞。1974年に映画「華麗なるギャツビー」の主演俳優ロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当したことから、アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。その頃からその名前は我が国服飾業界においても知られるようになり、そのデザインに係る商品には「Polo」の文字とともに「by RALPH LAUREN」の文字及び馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形の各標章(以下、一括して「引用標章」という。)が用いられ、これらの標章は「ポロ」と略称されている。
そして、(株)洋品界昭和55年3月発行「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」「ポロ/Polo」の項及びボイス情報(株)昭和59年9月発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85」の「ポロ・バイ・ラルフローレン」の項の記述及び昭和63年10月29日付け日経流通新聞の記事によれば、我が国においては、西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け、同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。
また、ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、(株)スタイル社1971年7月発行「dansen男子専科」を始め、前出「男の一流品大図鑑」、(株)講談社昭和54年5月発行「世界の一流品大図鑑’79年版」、(株)チャネラー昭和54年9月発行別冊チャネラー「ファッション・ブランド年鑑’80年版」、「男の一流品大図鑑’81年版」(昭和55年11月発行)、「世界の一流品大図鑑’80年版」(昭和55年5月発行)、婦人画報社昭和55年12月発行「MEN’S CLUB 1980,12」、「世界の一流品大図鑑’81年版」(昭和56年5月発行)、前出「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」、(株)講談社昭和60年5月発行「流行ブランド図鑑」のそれぞれにおいて、眼鏡については、前出「世界の一流品大図鑑’80年版」、同「ファッション・ブランド年鑑’80年版」、同「男の一流品大図鑑’81年版」、同「世界の一流品大図鑑’81年版」のそれぞれにおいて、「POLO」「ポロ」「Polo」「ポロ(アメリカ)」「ポロ/ラルフローレン(アメリカ)」等の標章の下に紹介されていることが認められる。
他に、これを覆すに足りる証拠はない。
なお、ラルフ・ローレンの「POLO」「Polo」「ポロ」の標章について、上記認定事実とほぼ同様の事実を認定した東京高等裁判所の判決(平成2年(行ケ)第183号、平成3年7月11日言渡)がある。
以上の事実を総合し、上記判決をも併せ考慮すると、引用標章は、我が国においては、遅くとも本願出願時までにはラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして、被服類、眼鏡等のいわゆるファッション関連の商品分野の取引者、需要者の間において広く認識され、かつ著名となっていたものと認められ、その状態は現在においても継続しているというのが相当である。
(2)本願商標は、前記のとおり、馬に乗ったポロ競技のプレイヤーの図形を表すとともに、その右に「POLO LEAGUE」の文字を横書きしてなるものである。
そして、該構成中の文字部分についてみると、「POLO」の文字は「ポロ競技(馬に乗り、スティックでボールを打って相手のゴールに入れ、得点数を競うもの)」を、「LEAGUE」の文字は「連盟」をそれぞれ意味する英語であることから、これらの語の結合よりなる構成文字全体をもって「ポロ競技連盟」の意味合いが認識される場合があるとしても、我が国においてポロ競技が盛んに行われて一般に親しまれているとはいえないばかりでなく、「POLO LEAGUE」の文字が、特定のポロ競技連盟などを表示するものとして具体的に知られているとの証左は認められない。
請求人は、本願商標は「ポロの競技連盟」との特定の観念を有し、単なる「POLO」又は「ポロ」とは異なった熟語を形成して不可分一体の語と理解、認識され得るものである旨主張するが、請求人のいう「ポロの競技連盟」なる観念の語句が我が国において通用している事実は認められず、一般に馴染まれたものとはいえないから、たとえ上記観念が生じる場合があるとしても、その故をもって本願商標中の「POLO LEAGUE」の文字を常に不可分一体のものとして捉えられなければならないというものでもない。
また、図形部分について言えば、該図形とラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして広く知られている馬に乗ったポロ競技のプレイヤーの図形とは、その両者を対比すると、全体の描き方、プレイヤーの姿勢、マレットの位置・角度等が相違するが、ともにマレットをもってポロ競技に興じているプレイヤーを表したものという共通した印象を受けるものである。
(3)そうすると、本願商標をその指定商品である被服等のファッションに関連する商品に使用した場合には、前記実情からして、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「POLO」の文字と「馬に乗ったポロ競技のプレイヤー」の図形に着目し、前記周知になっているラルフ・ローレンに係る引用標章を連想、想起し、該商品がラルフ・ローレン又は同人と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く出所の混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。
(4)請求人は当庁における審査例、審判例を挙げて、種々主張するところあるも、過去にされた審査例等は具体的、個別的な判断が示されているのであって、必ずしも確立された統一的な基準によっているものとはいえず、仮にその中に矛盾や誤りがあるとしても、具体的事案の判断においては、過去の審査例等の一部の判断に拘束されることなく検討されるべきものであるから、請求人の主張は採用することができない。
(5)以上のとおり、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、これを取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
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