sokuhyo

Trademark Appeal Case

周知商標の類似性判断

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2024900204
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
登録第6829795号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

理 由

1 本件商標

本件商標登録第6829795商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和5年8月3日に登録出願、第32類「清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,スムージー,フルーツジュース,果実又は果汁入りシャーベット水,アルコール分1パーセント未満含有する果実飲料,果実を使用したアルコール分を含まない飲料,乳精飲料」を指定商品として、同6年6月19日に登録査定、同年8月1日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりである。

(1)登録第5379390号商標(以下「引用商標1」という。)

商標の態様 MONSTER(標準文字)

指定商品 第32類に属する商標登録原簿に記載の商品

登録出願日 平成22年7月8日

設定登録日 平成22年12月24日

(2)登録第5057229号商標(以下「引用商標2」という。)

商標の態様 別掲2のとおり

指定商品 第32類に属する商標登録原簿に記載の商品

登録出願日 平成18年6月9日

設定登録日 平成19年6月22日

(3)登録第5393681号商標(以下「引用商標3」という。)

商標の態様 MONSTER ENERGY(標準文字)

指定商品 第32類に属する商標登録原簿に記載の商品

登録出願日 平成22年7月8日

設定登録日 平成23年2月25日

なお、引用商標1ないし3に係る商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。

また、引用商標1ないし3をまとめていうときは、以下「引用商標」という。

(4)申立人主張の全趣旨から合議体が認めたもの

ア 「MONSTER」の欧文字からなる商標(以下「使用商標1」という。)

イ 「モンスター」の片仮名からなる商標(以下「使用商標2」という。)

なお、使用商標1は引用商標1と外観上同一視し得るものであるが、申立人主張の趣旨に鑑み、引用商標1とは別に使用商標1とすることとした。

また、使用商標1及び2をまとめていうときは、以下「使用商標」という。

3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第7号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は、同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第534号証(枝番号を含む。)を提出した。

(1)申立人のMONSTERブランドの周知著名性

ア MONSTERブランドの創設及び「MONSTER」の使用

申立人は、2002年に「MONSTER」なるエナジードリンクのブランドを創設し、これ以降、現在に至るまで、「MONSTER」及びその音訳「モンスター」をMONSTERブランドのエナジードリンク(以下「申立人商品」という。)の出所識別標識として使用している。

申立人商品は、2002年に米国でMONSTERブランドの第1号の個別製品「MONSTER ENERGY」を発売後、世界各国における販売も開始し、現在は日本を含む世界130以上の国及び地域で販売中である。

2002年以降現在まで継続して、申立人商品には、一貫して「MONSTER」の文字を基調とする個別商品名(例えば、「MONSTER ENERGY」「MONSTER ASSAULT」「MONSTER KHAOS」「MONSTER M-80」「MONSTER RIPPER」など)が採用されている。

また、これらの個別製品の包装容器(缶、瓶)は同じデザインで統一され、特徴的な書体で大きく表示した「MONSTER」の文字(甲416)を独立して見る者の目をひきつける態様で顕著に表示している(異議申立書の別紙1及び2。以下、別紙○のように標記する。)。

このように、規則的なネーミング法(すなわち「MONSTER」に他の語を結合する方法)で命名された個別製品名と特徴的な書体で表示した「MONSTER」の文字を顕著に表示した統一的デザインの包装容器を特徴とする申立人商品は、需要者の間でたちまち人気となり、申立人のMONSTERブランドのエナジードリンク事業は急速に業績を拡大し、その成功は経済界で高い評価を受けている(甲2~甲33、甲51~甲58、甲391~甲393)。

国内では、2012年5月のMONSTERブランド初上陸以降、現在までに、2012年5月8日発売の「MONSTER ENERGY」(モンスターエナジー 缶355ml)及び「MONSTER KHAOS」(モンスターカオス 缶355ml)発売以降、現在まで30種類以上(リニューアル商品を含む。)の申立人商品を発売し、販売を継続している(別紙1)。

イ 広告宣伝活動

申立人商品に関する広告宣伝活動は、幅広く継続的なものであり、国際的に活躍する多数の有名アスリート・チーム及びイベントに対するスポンサー活動を中核として、ウェブサイト及びプレスリリースによる広告、申立人商品サンプルの配布、大手コンビニエンスストアやイベント主催者と提携した大規模な販売キャンペーン(景品・賞品のプレゼントを含む。)、スポーツイベント等の開催、契約アスリート等の動画・画像の公開、MONSTERブランドのライセンス商品の開発及び販売、ビデオゲーム会社と提携したMONSTERブランドを使用したビデオゲームの開発及び共同販売促進活動の実施など極めて多彩な内容である。こうした広告宣伝活動は、「MONSTER」の文字(特徴的な書体で表示したものを含む。)、爪の図柄と特徴的な書体で表示した「MONSTER」の文字と活字体で表示した「ENERGY」の文字からなるロゴマーク、「MONSTER ENERGY」の文字(以下、これらを併せて「MONSTERブランドマーク」という。)を使用して、本件商標の登録出願日前から継続的かつ頻繁に全国規模で実施されている(別紙3~7)。

また、申立人は、申立人商品の中心的需要者層である10~30代の若い世代(特に男性)に人気が高いF1自動車レース、ドリフト、モトクロスなどのモータースポーツ、スノーボード、スケートボードなどのエクストリームスポーツの分野を中心にスポンサー活動を行うとともに、全16の異なるウェブサイト及びソーシャルメディアのアカウント(別紙9)を開設して、こうした若い世代が多く利用するインターネットメディアによる大規模な情報発信を通じてMONSTERブランドを需要者に強くアピールするための効果的な広告を実施している。

ウ ライセンス商品の輸入差止

需要者におけるMONSTERブランドのライセンス商品の人気の高さに便乗して、海外で製造された申立人の商標権侵害物品が日本の税関で輸入差止される事案が遅くとも2013年7月から度々発生している(別紙8)。

エ 国内外における商標登録

MONSTERブランドマークについて、申立人は、引用商標をはじめとして、国内外において多数の商標登録を取得している(甲515~甲530)。

オ ブランド認知度及び市場占有率

複数の第三者が実施したエナジードリンクに関する市場調査及び消費者アンケート調査によれば、既に2013年時点で申立人商品の国内市場占有率は25%を超えており、一般消費者におけるブランド認知度も第2位であったことが明らかである。

2013年以降も、申立人商品は着実に売上を伸ばしており、若い世代の男性を中心とした従来の主要需要者層に止まらず、美しいカラフルな色使いのボトル缶に大きく目立つ態様で表示された爪の図柄が人目をひきつけ、男性のみでなく女性の間でもMONSTERブランドの認知度を高めてきた。

2018年には、申立人商品の販売実績は1千万ケースに近づき、それまで首位の「レッドブル」を超えて市場占有率トップに立った(甲311~甲322、甲383~甲385、甲433)。

申立人商品は、2018年に国内エナジードリンク市場でトップシェアを獲得後は、首位を独走状態であり(甲448、甲476、甲479、甲489、甲505、甲514)、第三者の市場調査では2022年時点における申立人商品の市場占有率は約40%であった(甲450)。

カ 上記のような販売実績を通じて、申立人商品は、飲料業界で「モンスター」と称され、「MONSTER」「モンスター」と表示され、「MONSTER(モンスター)」のブランドとして認識されている(甲10、甲16、甲17、甲34、甲42等)。

この点に関しては、特許庁の審査においても、「モンスター」は、申立人が飲料等について使用する商標「MONSTER ENERGY(モンスターエナジー)」の略称として需要者の間で広く認識されていると認定されている(甲433、甲447)。

キ 小括

以上の事柄に照らせば、本件商標の登録出願時及び登録査定時には、申立人の製造販売に係るMONSTERブランドのエナジードリンク並びに当該申立人商品に使用される「MONSTER」及びその音訳(モンスター)の文字が申立人の製造販売に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間で広く認識されていたことが明らかである。

(2)商標法第4条第1項第15号該当性

申立人は「MONSTER(モンスター)」の文字を個別製品名に使用して本件商標の登録出願日までに全19種(18種類の異なるフレーバー)、本件商標の登録査定日までに全22種(21種類の異なるフレーバー)の申立人商品を販売し、これらの全個別製品名に「MONSTER(モンスター)」の文字を使用している(別紙1)。

本件商標の登録出願時における申立人商品の市場占有率は約40%であったから、本件商標の登録出願時及び登録査定時に市場で取引されていた全エナジードリンクの約40%の製品名に申立人商品であることを表示する「MONSTER(モンスター)」の文字が使用されていたことが明らかである。

本件商標の構成中の「金博家」、「JINBO SELECTION」、「ICE」、「MONSTER」の各文字部分及び擬人化された図形部分は、それぞれが独立の出所識別標識として機能し得るものであるから、本件商標はその登録出願時及び登録査定時に申立人商品のブランドを表示するものとして広く認識されていた「MONSTER」の文字を包含するものであって、出所識別標識としての「モンスター」の称呼及び観念を生じることが明らかである。

また、本件商標は、その登録出願時に申立人商品に使用されていた少なくとも19種類(18種類のフレーバー)の個別製品名と同一のネーミング規則、すなわち、「MONSTER」に他の語(文字)を結合する方法で構成されている。

よって、本件商標は申立人の使用に係る商標と類似性の程度が極めて高いということができる。

本件商標は、申立人商品と同一又は類似の商品、さらには、申立人商品と原材料、用途、効能、販売場所、需要者層を共通にするその他の飲料及びその原材料に使用されるものである。

したがって、本件商標が使用された場合には、申立人のMONSTERエナジードリンクの個別製品のひとつであると誤信され、あるいは、当該商品が申立人との共同開発商品ないしライセンス商品等であると誤信されて、出所混同を生じるおそれが極めて高い。

加えて、本件商標の使用は、申立人商品の出所識別標識として広く認識されている「MONSTER(モンスター)」の出所表示力を希釈化するものであり、また、その名声、顧客吸引力にフリーライドするものといわざるを得ない。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

(3)商標法第4条第1項第11号該当性

本件商標は、その構成中の「MONSTER」の文字部分が独立の出所識別標識として機能するから、「MONSTER」の文字からなる引用商標1と類似のものである。

また、本件商標は、その登録出願時及び登録査定時に申立人商品を表示するものとして需要者に広く認識された引用商標1を構成中に含むものであり、引用商標1の部分が既成の語の一部となっているものではないから、この観点からも引用商標1と類似のものである。

本件商標の指定商品は、引用商標1の指定商品と同一又は類似のものである。

また、引用商標1は、本件商標よりも先に登録出願されたものである。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(4)商標法第4条第1項第19号該当性

本件商標は、その登録出願時に申立人商品を表示するものとして広く認識されていた「MONSTER(モンスター)」と類似のものであって、申立人商品と同一又は類似の商品及びこれらと極めて関連性の深い飲料関連商品に使用されるものである。

本件商標の使用は、申立人商品のブランド「MONSTER(モンスター)」の出所識別力を著しく希釈化し、また、申立人のMONSTERブランドの顧客吸引力にフリーライドするものといわざるを得ないから、不正の目的をもって使用するものに該当する。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

(5)商標法第4条第1項第7号該当性

本件商標は、社会一般道徳及び公正な取引秩序の維持を旨とする商標法の精神並びに国際信義に反するものであり、公の秩序を害するおそれがある。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

4 当審の判断

申立人は、商標「MONSTER(モンスター)」の文字が申立人の製造販売に係る商品(エナジードリンク)を表示するものとして需要者の間で広く認識されているなどとして、本件商標が商標法第4条第1項第7号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当する旨主張しているが、申立人主張の全趣旨から、申立人は商標「MONSTER」(使用商標1)及び商標「モンスター」(使用商標2)の周知性を前提として主張しているものと認め、以下検討する。

(1)使用商標の周知性

ア 申立人提出の甲各号証、同人の主張及び職権調査(インターネット情報、新聞記事情報など。)によれば、次のとおりである。

(ア)申立人は、米国の飲料メーカーであって、我が国においてはアサヒ飲料株式会社を通じて2012年5月にエナジードリンク「MONSTER ENERGY(モンスターエナジー)」及び「MONSTER KHAOS(モンスターカオス)」の販売を開始し、その後、2022年まで毎年、新製品やリニューアル商品を合計25種類以上販売した(甲7~甲13、甲59、甲60、甲101、甲127、甲130、甲253、甲256、甲257、甲291、甲323、甲324、甲354~甲361、甲434~甲442、甲445、甲446、甲451、甲452、甲460、ほか)。

(イ)申立人商品のほとんどの種類の商品(の容器)には、爪痕のような図形、デザイン化された「MONSTER」の文字(以下「MONSTERロゴ」という。)及び「ENERGY」の文字からなる別掲2のとおりの商標(色彩が異なるものを含む。以下「別掲2商標」という。)が表示され、また、全ての申立人商品(の容器)には、MONSTERロゴが大きく表示されている(甲7~甲13など上記(ア)と同じ。)。

(ウ)有限会社飲料総研の調査によれば、我が国における2013年のエナジードリンクの出荷数は約950万ケース(1ケース30本換算)であり、首位のレッドブルが550万ケース、2位のモンスターエナジーは240万ケースであった(甲317、甲318、甲320)。

(エ)日本経済新聞社の2019年3月29日付け「(飲料HOT&COOL)モンスターエナジー、レッドブル超え」をタイトルとするウェブページには、「日経MJ」として、「飲料総研によると2018年の販売実績は1千万ケースに近づき、それまでカテゴリーの首位を走っていた「レッドブル」を超えた。」の記載がある(職権調査:https://www.nikkei.com/article/DGKKZO43024750Y9A320C1HE4A00/)。

(オ)2022年5月7日付け「モンスターエナジー、レッドブルを駆逐しトップ独走状態の秘密・・・周到な販売戦略」をタイトルとするウェブページには、「全国のドラッグストアのPOSデータをもとにした買物指数によると、エナジードリンクの火付け役だった「レッドブル・エナジードリンク」を抑え、モンスターエナジーの売り上げが独走状態になっている。今や日本国内のトップシェアを獲得しているのだ。」の記載がある(甲448)。

(カ)2022年10月25日付け「日経 XTREND」と称するウェブページには、「エナジードリンク飛躍、販売額4年で3倍増 日本コカは苦戦」のタイトルのもと、「エナジードリンク、メーカー別販売金額シェアの推移」の図があり、それには2018年9月ないし2022年9月として、「モンスターエナジージャパン」がいずれも40%前後でトップシェアとされている(甲450)。

(キ)ジャストシステムによるエナジードリンクに関する調査(2014年4月)によれば、認知度が高い商品の1位は82.8%の「RedBull」、2位は47.6%の「MONSTERENERGY」であった(甲319)。

(ク)JMR生活総合研究所による消費者調査No.196「エナジードリンク(2014年7月版)」によれば、ブランド認知率の1位は「レッドブル・エナジードリンク」で45%、2位が「モンスターエナジー」で31%であり、同消費者調査No.232「エナジードリンク(2016年8月版)」によれば、ブランド認知率の1位は「レッドブル・エナジードリンク」、2位は「モンスターエナジー」であったと推認できる(甲311、甲312)。

(ケ)JMR生活総合研究所による消費者調査データNo.269「エナジードリンク(2018年5月版)」には、「モンスター、レッドブル、リアルゴールド 寡占化すすむエナジードリンク市場」のタイトルのもと、「今回の調査では、「リアルゴールド(日本・コカコーラ)」「レッドブル・エナジードリンク(レッドブル・ジャパン)」「モンスターエナジー(アサヒ飲料)」の3ブランドがほとんどの項目で上位3位を独占した。」の記載があり、同消費者調査データNo.293「エナジードリンク(2019年5月版)」には、「リアルゴールド、レッドブル、モンスターエナジー。3強上位独占」のタイトルのもと、「今回の調査でも、前回(2018年5月版)と同様、「リアルゴールド(日本・コカコーラ)」「レッドブル・エナジードリンク(レッドブル・ジャパン)」「モンスターエナジー(アサヒ飲料)」の3ブランドが複数の項目で上位3位を独占した。」の記載がある(職権調査:https://www.jmrlsi.co.jp/trend/mranking/02-drink/mranking269.html https://www.jmrlsi.co.jp/trend/mranking/02-drink/mranking293.html)。

(コ)JMR生活総合研究所による消費者調査No.365「エナジードリンク(2022年5月版)」によれば、ブランド認知率の1位は「リアルゴールド」、2位が「レッドブル」で57.6%、3位が「モンスターエナジー」で55.4%であった(甲449)。

(サ)申立人及びアサヒ飲料株式会社(以下、両者をあわせて「申立人等」という。)は、本件商標の登録出願の日前から、申立人商品に係るニュースリリース、ポスターなどで申立人商品を「モンスターエナジー」(「モンスター」及び「MONSTER」と表示し、また、申立人等以外のウェブページにおいても、申立人商品は「モンスターエナジー」「MONSTER」及び「モンスター」と表されている(甲58、甲63、甲69、甲71、甲79、甲101~甲103、甲113、甲115、甲118、甲119、甲124、甲132、甲162、甲163、甲165、甲241、甲251、甲256、甲258~甲260、ほか)。

イ 上記アからすれば、以下のとおり判断できる。

(ア)申立人等は、我が国において、2012年5月からエナジードリンク「MONSTER ENERGY」及び「MONSTER KHAOS」の販売を開始し、その後現在まで25種類以上の申立人商品を販売してきた。

そして、2013年にはエナジードリンクの出荷数約950万ケースのうち、申立人商品の出荷数は240万ケースでエナジードリンクの販売シェア第2位であり、その後、申立人商品は2018年に1千万ケースに近づいた頃に販売シェア第1位となり、それ以後2022年まで毎年販売シェアの40%前後を有し、継続して第1位であると推認することができる。

また、エナジードリンクのブランド認知度の調査において、申立人商品「モンスターエナジー」は、2014年にジャストシステムが行った調査において47.6%、JMR生活総合研究所が行った調査において31%で、いずれも第2位の認知度がある結果であり、その後、JMR生活総合研究所の2016年、2018年及び2019年の調査では「リアルゴールド」「レッドブル」とともに上位3位を占めており、同調査の2022年では55.4%で第3位であったことが認められる。

そうすると、申立人商品は、本件商標の登録出願日(令和5年(2023年)8月3日)以前から、登録査定日(令和6年(2024年)6月19日)においても、我が国のエナジードリンクの需要者の間に広く認識されているものといえるものである。

(イ)次に、申立人商品の商標の使用について検討すると、申立人商品は、いずれの商品の容器に「MONSTERロゴ」が使用されていることが認められるが、ほとんどの容器において爪痕のような図形及び「ENERGY」の文字を「MONSTERロゴ」の上下に伴うもの、すなわち、引用商標2の構成及び態様からなるものであることから、引用商標2が申立人商品の容器に使用される商標として需要者に強く印象を与えるといえるものである。

そして、申立人商品は、上記ア(ウ)ないし(カ)の各メディアの情報及び(キ)ないし(コ)の調査結果において、いずれも「モンスターエナジー」(「MONSTER ENERGY」の表示を含む。)と表示されており、さらに、上記(サ)のとおり、申立人等自身が商品の広告においても「モンスターエナジー」の文字を多用していることから、「MONSTER ENERGY」及び「モンスターエナジー」の文字は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、いずれも申立人等の業務に係る商品(エナジードリンク)を表示するものとして、エナジードリンクの需要者の間に広く認識されているものというのが相当であるとしても、その他の商品及び役務については需要者の間に広く認識されているものとは認められない。

なお、申立人等は、申立人商品のニュースリリース、ポスター、ウェブサイト等において、「MONSTER」の文字又は「モンスター」の文字を用いていることが認められるものの、申立人商品については、引用商標2、「MONSTER ENERGY」及び「モンスターエナジー」の文字の使用が圧倒的であり、加えて、「MONSTER」及び「モンスター」の文字は、「怪物。化物。」(広辞苑第七版 株式会社岩波書店)を意味する我が国で親しまれた成語であることを考慮すると、「MONSTER」及び「モンスター」の文字が申立人商品を表すものとして需要者の間に広く知られた商標であるということはできない。

(ウ)したがって、「MONSTER」の文字からなる使用商標1、及び「モンスター」の文字からなる使用商標2は、申立人商品(エナジードリンク)を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものとは認められない。

(2)商標法第4条第1項第11号該当性

ア 本件商標

本件商標は、別掲1のとおり、上部に「金博家」及び「JINBO SELECTION」の文字(以下「上部文字部分」という。)を二段書きしてなり、その下に「×」の記号らしき図形をはさみ、黒の四角形内に白抜きで「ICE」の文字を書してなり、その右側に「MONSTER」の文字(以下「下部文字部分」という。)を横書きしてなり、その右側に何らかのキャラクターを表した図形(以下「キャラクター図形部分」又は「キャラクター図形」という。)を配した構成からなるものである。

そして、本件商標は、その構成文字中、「SELECTION」の文字は「選択。選抜。淘汰。」等、「ICE」の文字は「氷」など、「MONSTER」の文字は「怪物、化物」(広辞苑第7版 株式会社岩波書店)を意味する、いずれも我が国で一般に親しまれた英語あるとしても、「金博家」及び「JINBO」の文字は辞書に掲載がない語であり、また、キャラクター図形部分は我が国において特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないため、特定の称呼及び観念は生じないものである。

そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して「キンハクカジンボセレクションアイスモンスター」の称呼を生じ、特定の意味を有する文字を有しているものの、その構成全体からは特定の観念を生じないものである。

また、上部文字部分、下部文字部分及びキャラクター図形部分のそれぞれは、その構成からすれば、視覚的に分離して把握され得るものであり、また、これらを常に一体のものとして把握しなければならない特段の事情を見いだすことはできないから、それぞれが独立して自他商品の出所識別標識の機能を果たし得るものであるといえる。

してみると、本件商標は、下部文字部分のみを要部の一つとして抽出して、これを引用商標及び使用商標と比較して商標の類否を判断することは許されるというべきである。

そして、本件商標の下部文字部分は、上記のとおり、黒の四角形内に白抜きで「ICE」の文字を書してなり、その右側に「MONSTER」の文字を横書きしてなるところ、「ICE」の文字が黒地に白抜きで表されているとしても、「MONSTER」の文字と近接しており、同じ書体で表してなるものであることから、視覚的に一体のものとして把握することできるものであり、さらに、該構成文字に相応して生ずる「アイスモンスター」の称呼は、淀みなく一連に称呼し得るものである。

また、上記のとおり、「ICE」の文字は「氷」など、「MONSTER」の文字は「怪物、化物」を意味する、いずれも我が国で一般に親しまれた英語であることからすれば、「ICE MONSTER」の文字一連で「氷の怪物」ほどの観念を生じるものである。

したがって、本件商標は、その要部の一つである下部文字部分の構成文字に相応して「アイスモンスター」の称呼を生じ、「氷の怪物」の観念を生じるものである。

イ 引用商標1

引用商標1は、上記2(1)のとおり、「MONSTER」の文字を標準文字で表してなり、該文字に相応して「モンスター」の称呼を生じ、「怪物、化物」の観念を生じるものである。

ウ 本件商標と引用商標1との類否

上記アのとおりの構成からなる本件商標と上記イのとおりの構成からなる引用商標1との類否を検討すると、両者は、外観において、構成全体の文字数や図形部分の有無等の差異があり、明確に区別できるものである。

次に、本件商標の下部文字分との引用商標1の類否を検討すると、両者は、外観において、「ICE」の文字の有無に差異があることから、明確に区別できるものである。

また、両者は、称呼において、本件商標における「アイス」の音の有無の差異を有していることからすれば、明瞭に聴別できるものである。

さらに、観念において、本件商標より生じる「氷の怪物」の観念と引用商標1より生じる「怪物、化物」の観念は相違する。

そうすると、両商標は、外観、称呼、観念のいずれの点においても相紛れるおそれのないものであるから、これらを総合勘案すれば、非類似の商標である。

エ 申立人の主張

(ア)申立人は、本件商標は、その構成中の「MONSTER」の文字部分が独立の出所識別標識として機能するから、「MONSTER」の文字からなる引用商標1と類似のものであると主張する。

しかしながら、本件商標は、上記アのとおり、下部文字部分が独立して自他商品の出所識別標識の機能を果たし得るものといえるものの、「ICE」と「MONSTER」の文字を分離して把握されるものとはいえない。

(イ)申立人は、本件商標は、その登録出願時及び登録査定時に申立人商品を表示するものとして需要者に広く認識された引用商標1を構成中に含むものであり、引用商標1の部分が既成の語の一部となっているものではないから、この観点からも引用商標1と類似のものである旨主張する。

しかしながら、「MONSTER」の文字からなる使用商標1が、上記(1)イ(ウ)のとおり、需要者の間に広く認識されているものとは認められないものであると同様に、使用商標1と同じ文字よりなる引用商標1も申立人商品(エナジードリンク)を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものとは認められない。

そうすると、「MONSTER」の文字は、上記アのとおり、我が国で一般に慣れ親しまれた英語であるから、「MONSTER」の文字を含む商標が、すべて引用商標1と類似するものであるとはいえず、本件商標が引用商標1と類似しない商標であることは、上記ウのとおりである。

(ウ)したがって、申立人の主張は採用することはできない。

オ 小括

以上のとおり、本件商標は、引用商標1と非類似の商標であるから、両商標の指定商品が同一又は類似するとしても、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(3)商標法第4条第1項第15号該当性

ア 使用商標の周知性

使用商標は、上記(1)イ(ウ)のとおり、申立人の業務に係る商品(エナジードリンク)を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものとは認められない。

イ 本件商標と引用商標及び使用商標との類似性の程度

(ア)本件商標

本件商標は、別掲1のとおりの構成からなり、上記(2)アのとおり、その要部の一つである下部文字部分の構成文字に相応して「アイスモンスター」の称呼を生じ、「氷の怪物」の観念を生じるものである。(以下、「下部文字部分」を「本件商標の要部」という。)

(イ)引用商標及び使用商標

a 引用商標1

引用商標1は、上記2(1)のとおり、「MONSTER」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字に相応して「モンスター」の称呼を生じ、「怪物、化物」の観念を生じるものである。

そして、「MONSTER」の文字は、「怪物、化物」を意味する慣れ親しまれた語であるといえることから、独創性の程度は高いとはいえない。

b 引用商標2

引用商標2は、別掲2のとおり、爪痕のような図形と文字部分の構成からなるところ、両者は分離し看取する場合もあるといえ、該文字部分は「MONSTER」及び「ENERGY」の文字を二段書きしてなるところ、該文字に相応して、「モンスターエナジー」の称呼を生じ、「MONSTERロゴ」は、特徴的な書体であることから、その独創性は高いといえるものであり、また、「MONSTERロゴ」及び「ENERGY」の文字は、申立人商品(エナジードリンク)を表示するものとして、エナジードリンクの需要者の間に広く認識されているものといえることからすれば、「申立人のブランド」の観念を生じるものである。

c 引用商標3

引用商標3は、上記2(3)のとおり、「MONSTER ENERGY」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字に相応して「モンスターエナジー」の称呼を生じ、該文字部分は、慣れ親しまれた語であるといえる「MONSTER」及び「ENERGY」の文字より構成され、独創性の程度は高いとはいい難いものの、申立人商品(エナジードリンク)を表示するものとして、エナジードリンクの需要者の間に広く認識されているものといえることからすれば、「申立人のブランド」の観念を生じるものである。

なお、引用商標2及び3における「MONSTER」の文字部分は、上記(1)イ(ウ)のとおり、「MONSTER」の文字が申立人等の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標とは認められないため、その構成部分の「MONSTER」の文字部分をのみを捉えて、これより「モンスター」の称呼及び「申立人のブランド」の観念を生じるということはできない。

d 使用商標1

使用商標1は、「MONSTER」の欧文字よりなるところ、上記aのとおり、独創性の程度は高いとはいえず、該文字に相応して「モンスター」の称呼を生じ、「怪物、化物」の観念を生じるものである。

e 使用商標2

使用商標2は、「モンスター」の片仮名よりなるところ、上記aのとおり、独創性の程度は高いとはいえず、該文字に相応して「モンスター」の称呼を生じ、「怪物、化物」の観念を生じるものである。

(ウ)本件商標と引用商標及び使用商標との類似性の程度

a 本件商標と引用商標1及び使用商標との類似性の程度

本件商標と引用商標1は、上記(2)ウのとおり、非類似の商標であって、別異の商標であるから、類似性の程度は低いものである。

また、本件商標と使用商標1とを比較する、使用商標1は、引用商標1と同一の「MONSTER」の文字からなることからすれば、本件商標と引用商標1が非類似の商標であると同様の理由により、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標であるから、類似性の程度は低いものである。

さらに、本件商標と使用商標2を比較すると、使用商標2は、使用商標1を片仮名で表したにすぎないことから、本件商標と使用商標2は、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標であるから、類似性の程度は低いものである。

b 本件商標と引用商標2の類似性の程度

本件商標と引用商標2とを比較すると、両者は、外観において、構成全体の比較では、文字部分において、「金博家」、「JINBO SELECTION」「ICE」及び「ENERGY」の文字の有無において差異があり、また、図形部分において、本件商標の「×」の記号らしき図形及びキャラクター図形と引用商標2の爪の図柄は明らかに相違するものであり、共通する「MONSTER」の文字においても、本件商標が普通の書体で表されているのに対し、引用商標2が「MONSTERロゴ」であるから、明確に区別できるものである。

また、両者は、称呼において、「キンハクカジンボセレクションアイスモンスター」の称呼と「モンスターエナジー」の称呼の比較においては、全体の構成音数が明らかに異なるものであり、また、「アイスモンスター」と「モンスターエナジー」の称呼の比較においては、「モンスター」の称呼を共通にするものの、「アイス」と「エナジー」の音の差異を有しており、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは明瞭に聴別できるものである。

さらに、両者は、観念において、本件商標は「氷の怪物」の観念であるのに対して、「申立人のブランド」の観念を生じるので相違する。

そうすると、本件商標と引用商標2は、外観、称呼、観念のいずれにおいても、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標であるから、類似性の程度は低いものである。

c 本件商標と引用商標3との類似性の程度

本件商標と引用商標2とを比較すると、両者は、外観において、「MOSTER」の文字部分を共通にするとしても、「金博家」、「JINBO SELECTION」、「ICE」、「ENERGY」の文字、「×」の記号らしき図形及びキャラクター図形の有無において差異があり、明確に区別できるものである

また、両者は、称呼において、「キンハクカジンボセレクションアイスモンスター」の称呼と「モンスターエナジー」の称呼の比較においては、全体の構成音数が明らかに異なるものであり、また、「アイスモンスター」と「モンスターエナジー」の称呼の比較においては、「モンスター」の称呼を共通にするものの、「アイス」と「エナジー」の音の差異を有しており、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは明瞭に聴別できるものである。

さらに、両者は、観念において、本件商標は「氷の怪物」の観念であるのに対して、「申立人のブランド」の観念を生じるので相違する。

そうすると、本件商標と引用商標2は、外観、称呼、観念のいずれにおいても、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標であるから、類似性の程度は低いものである。

ウ 混同のおそれ

上記アのとおり、使用商標は、申立人等の業務に係る商品(エナジードリンク)を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものとは認められず、また、上記イ(イ)のとおり、引用商標及び使用商標の独創性の程度は高いとはいえず、さらに、上記イ(ウ)のとおり、本件商標と引用商標及び使用商標とは、いずれも相紛れるおそれのない非類似の商標であり、別異の商標であるから、類似性の程度は低いものである。

してみると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして使用商標及び引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人等)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。

その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。

エ 小括

以上のとおり、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当しない。

(4)商標法第4条第1項第7号及び同項第19号該当性

本件商標は、上記(3)イ(ウ)のとおり、使用商標と非類似の商標であり、引用商標とも非類似の商標であるから、商標法第4条第1項第19号の要件である類似する商標に該当せず、同号の他の要件を判断するまでもなく同号に該当するということはできない。

また、本件商標は、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激又は他人に不快な印象を与えるような文字ではなく、商標権者がこれを本件商標の指定商品に使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反する場合や国際信義等に反する場合に該当する事情を有するものでもない。そして、本件商標を出願するにあたり、引用商標及び使用商標の名声にフリーライドし、その顧客吸引力を利用する意図があるなど、その登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ない場合に該当するという事情を見いだすこともできない。

そうすると、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標に該当するということはできない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同項第19号のいずれにも該当しない。

(5)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同項第11号、同項第15及び同項第19号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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