結論テキスト
登録第6882598号商標の商標登録を維持する。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2025900053 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本件登録第6882598号商標(以下「本件商標」という。)は、「Created.co」の文字を標準文字で表してなり、令和6年4月15日に登録出願、第21類「飲料用食器,台所用品(「ガス湯沸かし器・加熱器・調理台・流し台」を除く。)」を指定商品として、同年12月11日に登録査定、同7年1月7日に設定登録されたものである。
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件異議申立てにおいて需要者の間に広く認識されていると主張する商標は、「Created Co.」の文字(以下「申立人商標」という。)からなり、申立人の業務に係る商品「飲料用食器等」を表示するものとして、取引者及び需要者の間に広く認識されているとするものである。
申立人は、本件商標は、商標法第3条第1項柱書に違反し、同法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものであるとして、要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第28号証(枝番号を含む。なお、「甲第1号証」及び「甲第10号証」については、「甲第1号証の1」及び「甲第10号証の1」と読み替える。また、枝番号を全て表示する場合は枝番号は省略して記載する。)を提出した。
(1)申立人商標について
ア 申立人商標
申立人は米国カリフォルニアを拠点とした企業であり、2015年に「Created Co.」という商標を用いて事業を開始した(甲1の1)。
2016年には米国の非営利団体「charity:water」と提携し、安全な飲料水を必要とする開発途上国への支援を開始する等、積極的に社会貢献活動に従事し、米国だけでなく世界各国で認知されるに至った。
2017年にはブランド「Created Co.」のブランドイメージを明確にするため、ブランドガイドラインを策定し、ロゴデザインの新規検討を行っている(甲1の2)。
2018年には、独自に設計・開発したコーヒーカップラインを展開し、世界中のカフェで使用され、米国メディアでも紹介されるに至った(甲1の3、甲1の4)。
これを機に、2018年2月27日、第21類(カップ類等)において商標「CREATED CO.」の商標登録を受け、そのブランド価値を高めるため一層の保護を求めてきた(甲2)。
我が国では2020年6月11日に日本に出店したコーヒーショップ「スタンプタウン・コーヒー・ロースターズ」(京都)において、申立人の商品が販売されるに至り、各種媒体で紹介される等、今日までに消費者、需要者において広く認知されるものとなっているものであり、当該認知は現在においても同様である(甲3~甲7)。
また、出願人(決定注:「申立人」の誤記と認める。)は、現在、日本においても、カップを含む第21類に属する商品について、新たに商標出願を行っている(甲8)。
イ 申立人商標の著名性
申立人は2015年の事業開始以来、様々な媒体を通じて事業を周知・アピールし、ブランド価値を高めており、その詳細は以下のとおりである。
まず、2018年3月には、ブランドをリニューアルし、カフェを対象とした新しい陶器カップ類のラインを展開した。これにより、米国内の主要な都市で数多くの店舗を展開するカフェチェーン「スタンプタウン・コーヒー・ロースターズ」に、その製品を卸売り、各店舗にて取り扱うまでに至っている(甲9、甲10の1)。一連の請求書(甲10の1)から、申立人が実際に、2020年から2024年の間に、2,000個、3,000個等まとまった数量の商品をスタンプタウン・コーヒー・ロースターズへ定期的に販売していることが確認でき、また、コーヒーマシン等を日本で長年販売しているブルーマチックジャパン株式会社に対しても、2017年及び2019年にそれぞれ300個ほどの商品を販売した実績がある(甲10の2)。
さらに、商品の内容については商品紹介パンフレット(甲11、甲12)から確認できるとおり、「CREATED CO.」等の商標が明示されている。
加えて、2022年にはプロバスケットボール選手であるJ氏のYoutubeチャンネルにおいて申立人の商品が取り上げられ、その知名度はさらに高まることとなる。J氏は80.4万人のチャンネル登録者を有する著名インフルエンサーであることから、申立人の商品が紹介された動画の再生回数は今日までに5.5万回以上となり、世界中の多くの需要者に認識されるに至っていることが分かり(甲13)、さらに、J氏の立ち上げたカフェ「BIGFACE」において、申立人のグラス類、飲料用食器類を採用することが決まっており、著名人の注目度の高い事業であるため、申立人の商品及び「Created Co.」ブランドの著名性は現在もなお衰えておらず、今後も益々高まっていくと考えられる(甲14、甲15)。
関連して、2025年2月のものではあるが、起業家やビジネスリーダー向けの情報を提供する米国メディアにおいて、申立人事業が成功体験としてインタビューされている記事もあり(甲16、甲17)、このように申立人事業が現在もなお事業を拡大していること、またその事実が多くの需要者の目に触れていることも申し添える。
一方日本では、2020年に「スタンプタウン・コーヒー・ロースターズ」が京都に出店したことから注目度が高まり、各種Webサイトで紹介されている(甲3~甲7)。
女優のインスタグラムにも取り上げられ(14.3万人のフォロワーを有する著名インスタグラマーでもある。)、申立人の商品マグカップの写真が確認できるが(甲7)、同投稿写真には本件商標の権利者(以下「本件商標権者」という。)の商品も確認でき、双方の商品が同じ陳列スペースに並べられていることから、仮に本件商標権者が申立人商標と酷似する本件商標を使用した場合、需要者・取引者における混同が生じる可能性は極めて高いといえる。
以上のように、申立人は申立人商標を付したカップ類(第21類に属する商品)を日本において継続して販売している企業であり、本件商標の出願前から当該商品が属する業界において取引者及び需要者の間に広く認識されている商品であるといえる。
(2)本件商標について
ア 本件商標権者について
本件商標権者は米国シアトルを拠点とする企業であり、「MiiR」(ミアー)というブランドのもと、タンブラーやボトルなどの飲料用商品を展開しており(甲18)、有限会社サンウエストという日本企業を通して、日本でも商品販売を行っているようである(甲19)。
なお、本件商標「Created.co」を使用している実績は、調べる限り確認できない。
イ その他の事情(本件商標権者の悪意について)
申立人は、上記のとおり、2018年2月27日に米国で商標登録を行い、更に「create.co」というドメインネーム登録を2018年12月19日に行い、公式ウェブサイトとして運用している。
これらは、本件商標の日本での商標登録出願日(2024年4月15日)よりはるかに前である。
加えて、本件商標権者と申立人が拠点を置く米国では、定期的に米国各地でコーヒーやカフェ関連製品の大規模なイベント(展示会)が催されているところ、両者は長い間同イベントに継続して出展している(甲21~甲24)。
両者の出展ブースは、フロアマップ(甲21~甲24)に示すとおり近接しており、互いに取扱製品や使用ブランド名を把握する機会があった。また、出展者に配布される出展者リストからも、両者が出展することは互いに把握できるため、本件商標権者が申立人の使用商標の存在を関知していなかったとは考え難く、本件商標権者による今回の日本の商標登録出願における悪意性は明白である。
以上の経緯を踏まえると、本件商標が申立人商標と偶然に類似したとは考え難いものであるから、本件商標を本件商標権者が自己の商標として出願、登録及び使用をすることは、申立人商標の名声や顧客吸引力に便乗して不正の利益を得る等の目的をもって使用をするものと考えられる。
(3)本件商標と申立人商標の同一・類似性
本件商標は、「Created.co」というアルファベット表記の文字列を、標準文字にて表したものであり、申立人の使用商標は「Created Co.」「Created C」(ロゴ)(甲1の1)、「CREATED」(甲25)等である。これらのうち、「Created Co.」については、本件商標と文字列において一致しており、外観において極めて近似している。
また、「Created」には「創造した」、「Co」には「companyの略」ほどの意味合いが生じ得ると考えられるが、本件指定商品及び申立人の商標使用商品(食器類等)との関係においては、商標全体として、特定の観念を生じない造語と理解でき、この点も両商標は共通する。
加えて、文字列が一致しているために、称呼も「クリエーテッドコー」等共通する。
以上から、本件商標と申立人商標の類似性は極めて高いといえる。
また、申立人の他の使用商標についても、要部は前半の「Created」・「CREATED」であるといえ、本件商標の要部「Created」と比較した場合、類似性の高い商標というべきである。
(4)本件商標と申立人商標の指定商品(役務)の類似性
本件商標の指定商品は、申立人商標が使用されている「コーヒーカップ」「タンブラー」(いずれも第21類・類似群コード19A03該当)、「水筒」(第21類・類似群コード19A04該当)等と同一・類似であることは明らかである。
これら商品は、用途や需要者の範囲、生産・販売部門等ことごとく一致するため、本件商標権者が本件商標を指定商品に使用すると、申立人の商品又は申立人に関連した商品であるとの誤認が生ずるおそれがある。
(5)商標法第3条第1項柱書
商標法第3条第1項柱書の趣旨について、平成23年10月28日 東京地方裁判所、平成22年(ワ)第1232号がある。
上記判決を本件へ当てはめると、以下のとおりである。
本件商標権者は、何ら使用実績のない本件商標について、日本における商標登録出願を行っている。
加えて、本件商標権者と申立人は複数の展示会で近接した位置関係でブース出展をしており、本件商標権者が申立人のブランド、商品を十分把握する機会があった。
このような状況において、本件商標権者の拠点である米国では権利化をせずに、あえて日本で商標登録を行うといった行為は、申立人が米国で権利を得ている以上、本件商標権者の事業展開においても好ましいものではないと考えられ、経済的合理性、必要性が感じられない。
自国(米国)で権利化したのち、各国へ展開するのが通常であるところ、本件商標権者のメインブランド「MiiR」については、これに倣い米国で2011年に、日本で2016年に、それぞれ順を追って出願していることが確認でき(甲26、甲27)、仮に、米国でも権利化を検討したものの申立人の登録商標の存在を理由に断念したのだとすれば、それは申立人の権利を明確に確認していることの証左となる。
このような本件商標権者が、米国における申立人の登録商標について関知しておらず、偶然に日本のみを選択して商標登録を行ったと考えるのはあまりに不自然であり、本件は申立人の先使用や既存の権利を認めつつも、日本で未だ出願されていないことを奇貨とした、濫用的な商標登録出願であるといわざるを得ない。
なお、本件商標権者は本件商標の他にも「Created Co」(登録第6882599号)、「Created」(登録第6853338号)といった、申立人使用商標と極めて類似する商標を複数パターン出願し、登録を得ている(甲28)。
本件商標含め、これらの出願日はいずれも2024年4月15日であり、上記(2)イの展示会「Coffee Fest New York March 2024」及び「2024 Specialty Coffee Expo in Chicago」が3月、4月と立て続けに実施された直後であることも付言する。
仮に他者に使用させることを目的とする出願であったとしても、本件商標権者と、本件商標をその出願時よりはるかに前から使用している申立人との間には業務上の関係性はなく、またその他に、該当する使用者は見あたらない。
以上の事実からすると、本件商標権者は、登録査定時における商標権者の使用意思を認め難いというべきである。
したがって、本件商標は「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標」に該当せず、本件商標の登録は、商標法第3条第1項柱書に違反するものである。
(6)商標法第4条第1項第7号
ア 本件商標の出願の経緯について
上記(1)ア及びイのとおり、本件商標と同一又は類似の商標(申立人商標)が、本件商標権者の拠点である米国において、本件商標の日本での出願前に商標登録されていること、同商標が申立人商品について使用されてきたこと、上記(3)のとおり、申立人が考案した造語であること、並びに(5)のとおり、本件商標権者は申立人の使用商標及びその使用対象である商品を認識する機会が十分あり、かつ、本件商標の権利取得について、自国である米国ではなく敢えて日本での出願を実行したことなどを併せ考慮すれば、本件商標は、本件商標権者が偶然に本件商標を採択したというより、むしろ、米国で本件商標と同一と認められる商標が商標登録され、米国各地で主に「飲料用食器」等について使用されていることをあらかじめ知った上で、我が国において商標登録されていないことを奇貨として、本来の権利者である申立人に高額で買い取らせたり、申立人の国内参入を阻止するなど不正の目的で先取り的に登録出願したものとみるのが自然である。
イ 近年の裁判例において、剽せつ的な商標登録出願について、令和5年1月19日 知的財産高等裁判所、令和4年(行ケ)第10073号がある。
上記判断を踏まえても、本件商標権者のこの度の出願は、先願主義の利益のみを得て、商標権が本来持つべき出所識別機能とは関係なく、剽せつ的に行われたものであるから、単なる当事者間の私的問題とはいえず、公正な取引秩序そのものに関する重大な違反というべきである。
そうすると、本件商標は、その登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に該当する。
以上のことから、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号に該当すると判断されるべきである。
(7)商標法第4条第1項第10号
ア 申立人商標の周知性について
申立人商標は、申立人のブランド「Created Co.」のブランドネーム(ハウスマーク)であり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人が販売する飲料用食器等を示す商標として、米国のみならず日本の取引者、需要者において広く知られているから、申立人商標は我が国で広く認識されているといえる。
イ 本件商標と申立人商標の類似性
上記(3)のとおり、本件商標と申立人商標が同一又は類似であることは明らかである。
ウ 本件商標と申立人商標に係る商品の類似性
上記(4)のとおり、本件商標と申立人商標の指定商品は、同一又は類似関係にある。
エ 小括
以上のとおり、本件商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、需要者及び取引者の間に広く認識されている申立人商標に類似する商標であって、かつ、申立人の業務に係る商品又は役務と類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(8)商標法第4条第1項第15号
ア 本件商標と申立人商標の類似性及び混同のおそれ
上記(3)及び(4)のとおり、本件商標と申立人商標は、その外観、観念及び称呼において、同一又は類似する商標であり、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品は同一又は類似であって、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品は、その需要者、取引者を共通にする。
以上のことから、本件商標が、その指定商品において使用された場合、需要者及び取引者において、申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると混同を生じさせるものである。
イ 申立人の著名性について
上記(1)ア及びイのとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人が本件商標の指定商品の分野において、日本の取引者、需要者の間で広く知られていることに疑いはない。
そして、商標法第4条第1項第15号は、周知表示又は著名表示へのただ乗り(いわゆるフリーライド)及び当該表示の希釈化(いわゆるダイリューション)を防止し、商標の自他識別機能を保護することによって、商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り、需要者の利益を保護することを目的とするものであるところ(平成12年7月11日 最高裁判所第三小法廷、平成10年(行ヒ)第85号)、上記(2)イのとおり、本件商標権者は、本件商標を登録出願するにあたり、申立人商標の存在を承知の上で、それと酷似した商標を登録出願したものであり、本件商標が本件商標権者によって使用された場合、申立人商標の周知性へのただ乗り(いわゆるフリーライド)や希釈化(いわゆるダイリューション)といった事態が生じる可能性は極めて高いといえる。
ウ 小括
以上のとおり、本件商標は、国内外において周知著名な申立人商標と、外観、観念及び称呼の点で同一又は類似する商標であって、本件商標がその指定商品において使用された場合、需要者、取引者において、当該使用対象となった商品が、申立人の業務に係る商品であると誤認し、商品の出所について混同が生じるものである。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。
(9)商標法第4条第1項第19号
ア 申立人商標の日本国内又は外国における周知性
申立人商標は、本件商標の登録出願前から現在に至るまで、申立人のブランド「Created Co.」の商品を表示するものとして、需要者、取引者の間に広く認識されている商標である。
イ 本件商標と申立人商標の類似性
上記(3)及び(4)のとおり、本件商標と申立人商標は、その外観、観念及び称呼において、同一又は類似する商標であるため、本件商標に接した需要者、取引者が、申立人のブランド「Created Co.」を想起する可能性は極めて高いといえる。
ウ 不正の目的
上記(2)イの経緯を踏まえると、本件商標が、申立人商標と偶然に類似したとは考え難く、本件商標を、本件商標権者が自己の商標として出願、登録及び使用をすることは、申立人商標の名声や顧客吸引力に便乗して不正の利益を得る等の目的をもって使用をするものと考えられる。
エ 小括
以上のとおり、本件商標は、他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であり、かつ、不正の目的をもって使用するものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(1)申立人商標等の周知性について
ア 申立人の主張及び提出に係る証拠によれば、以下のとおりである。
(ア)申立人は、米国カリフォルニアを拠点とした企業であり、2015年に「Created Co.」に係る事業を開始した(甲1の1、申立人の主張)。
(イ)申立人は、2017年にブランド「Created Co.」についてのロゴデザインの新規検討を行ったことがうかがえる(甲1の2)。
(ウ)ウェブサイト記事(2018年3月20日付け)には、「Created Co.」がブランドをリニューアルし、小売カフェ向けの陶磁器製品を3ライン立ち上げたことが記載されている(甲1の3、甲1の4)。
(エ)申立人に係る、第21類「Mugs」等を指定商品とする「CREATED CO.」商標が、2018年2月27日に米国において登録された(甲2)。
(オ)申立人は、我が国では、2020年6月11日に出店したホテル内のコーヒーショップ「スタンプタウン・コーヒー・ロースターズ」において申立人の商品が販売され、各種媒体で紹介されている旨主張し、甲第3号証ないし甲第7号証を提出しているところ、提出された証拠には、当該コーヒーショップでマグカップなどの「Stumptown」のオリジナル商品の購入ができる旨の記載はあるが、「申立人の商品」と記載された写真の商品が「Created Co.」の商品であることは確認できず、上記証拠のいずれにおいても、「Created Co.」に係る商品の販売は確認できない。
(カ)「Created Co.」の名称で、陶器2,016個、及びマグカップ3,000個等が、2020年ないし2024年の期間に、米国におけるスタンプタウン・コーヒー・ロースターズに販売された(甲10の1)。
(キ)「Created Co.」の名称で、日本のブルーマチックジャパン株式会社に宛てて、2017年に「288個」、2019年に「300個」の「Stainless Steel Bottle」が輸出された(甲10の2)。
(ク)「申立人取扱商品紹介冊子(2021)」及び「申立人取扱商品紹介冊子(2024)」とされる書面には、マグカップなどの写真があり、その表紙に「CREATED CO.」及び「Created Co.」の文字が表示されている(甲11、甲12)。
(ケ)「2022/12/27」の表示があるJ氏のYoutubeチャンネル(甲13)には、「BIGFACE」の文字が描かれたマグカップ及び「@created.co」の文字が表示され、また、本件商標の登録査定後である2025年1月8日付けのウェブサイト記事(甲14、甲15)には、J氏が、「BIGFACE」ブランドのカフェをオープンする旨の記載及び当該「BIGFACE」がグラスウェアとドリンクウェアで「Created Co.」と提携した旨の記載がある。
イ 上記アによれば、申立人は2015年に米国において、「Created Co.」に係る事業を開始し、2020年ないし2024年に、米国の「スタンプタウン・コーヒー・ロースターズ」に「Created Co.」の名称でマグカップ等の商品が販売されたことなどが認められるものの、当該商品に係る米国を始めとする外国及び我が国における市場シェアは明らかでなく、また、「申立人取扱商品紹介冊子」は、頒布場所及び頒布数も明らかではない。
その他、外国及び我が国における継続的な売上高、広告宣伝の回数や費用等、その周知性を客観的に把握することができる具体的な証拠は提出されていない。
また、2017年及び2019年に日本のブルーマチックジャパン株式会社に宛てて「Stainless Steel Bottle」が輸出されたことが認められるものの、そのことによって直ちに「Created Co.」商標に係る商品が、我が国において販売された事実を把握することはできない。
そうすると、申立人の提出に係る証拠によっては、申立人商標ないしはその他同人の主張に係る商標「Created C」(ロゴ)や「CREATED」を使用した商品の販売実績や広告実績を客観的に把握できないことから、上記申立人商標等が、どの程度の需要者に知られているかを評価することができない。
したがって、提出された証拠からは、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、上記申立人商標等が、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は外国における需要者の間に広く認識されていたものと認めることができない。
(2)商標法第4条第1項第10号該当性について
上記(1)イのとおり、申立人商標及び上記使用商標(以下「申立人商標等」という。)は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたと認めることができないものである。
したがって、本件商標は、他の要件を判断するまでもなく、商標法第4条第1項第10号を適用するための要件を欠くものといわざるを得ないから、同号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
申立人商標等は、上記(1)イのとおり、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されていたとは認められないものであり、周知性を備えていないものであるから、本件商標に接する取引者、需要者が、一般的に申立人の業務に係る申立人商標等を連想又は想起するものということはできない。
そうすると、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者が、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというのが相当である。
その他、本件商標について、出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第19号該当性について
上記(1)イのとおり、申立人商標等は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は外国の需要者の間で広く認識されている商標とは認めることができないものである。
また、申立人が提出した証拠からは、本件商標が、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用をするものであることを認めるに足りる証左は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(5)商標法第4条第1項第7号該当性について
商標の登録出願が適正な商道徳に反して社会的妥当性を欠き、その商標の登録を認めることが商標法の目的に反することになる場合には、その商標は商標法第4条第1項第7号にいう商標に該当することもあり得ると解される。しかし、同号が「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」として、商標自体の性質に着目した規定となっていること、商標法の目的に反すると考えられる商標の登録については同法第4条第1項各号に個別に不登録事由が定められていること、及び、商標法においては、商標選択の自由を前提として最先の出願人に登録を認める先願主義の原則が採用されていることを考慮するならば、商標自体に公序良俗違反のない商標が商標法第4条第1項第7号に該当するのは、その登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に限られるものというべきである(東京高等裁判所 平成14年(行ケ)第616号、平成15年5月8日判決)。
そこで、本件について検討すると、申立人は、米国で本件商標と同一と認められる商標が商標登録され、米国各地で主に「飲料用食器」等について使用されていることを本件商標権者があらかじめ知った上で、それが我が国において商標登録されていないことを奇貨として、本来の権利者である申立人に高額で買い取らせたり、申立人の国内参入を阻止するなど不正の目的で先取り的に本件商標を登録出願したものとみるのが自然である旨主張している。
しかしながら、上記(1)イのとおり、申立人商標等は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商標を表示するものとして、我が国及び外国の需要者の間で広く認識されていたとは認められないものであり、また、申立人の提出証拠(甲21~甲24)からは、2023年8月、同年11月、2024年3月及び同年4月に開催された展示会に申立人と本件商標権者が共に出展したという事実が把握できるとしても、上記展示会の出展者数はそれぞれ、157、160、161及び604と相当数あるところ、申立人及び本件商標権者は多数存在する一出展者であることからすれば、これをもって直ちに不正の目的をもって本件商標を登録したとは認め難く、その他本件商標権者が不正の目的をもって本件商標を登録したことを裏付ける具体的、かつ、客観的な証拠は見いだすことができない。
そうすると、本件商標は、商標法の先願登録主義を上回るような、その登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものがあるということができないものであり、もとより、その構成自体がきょう激、卑わい、差別的又は他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではなく、その他、本件商標が、商標法第4条第1項第7号にいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当するというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
(6)商標法第3条第1項柱書該当性について
商標法第3条第1項柱書の「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標」とは、少なくとも登録査定時において、現に自己の業務に係る商品又は役務に使用をしている商標、あるいは将来自己の業務に係る商品又は役務に使用する意思のある商標と解される(知的財産高等裁判所平成24年(行ケ)第10019号、平成24年5月31日判決)。
そこで、本件商標についてみるに、申立人の提出に係る証拠によっては、その登録査定時において、本件商標権者が自己の業務に係る商品について使用をしているか又は使用する意思があるかについて合理的疑義があったものとは認められず、他にこれを認めるに足りる事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備しないものとはいえない。
(7)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも該当せず、かつ、同法第3条第1項柱書の要件を具備しないとはいえないから、その登録は同法第3条及び同法第4条第1項の規定に違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。