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Trademark Appeal Case

同称呼商標の類否と周知性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2025900079
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
登録第6892026号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

理 由

1 本件商標

本件登録第6892026商標(以下「本件商標」という。)は、「CASCADE」の欧文字を標準文字で表してなり、令和6年5月22日に登録出願、第7類「金属加工機械器具並びにその部品及び付属品,アーク溶接装置並びにその部品及び付属品,溶接用トーチ並びにその部品及び付属品,溶接用部品,溶接用ノズル」を指定商品として、同7年1月29日に登録査定、同年2月3日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議の申立ての理由において引用する商標(以下、これらをまとめていうときは、「引用商標」という。)は、以下のとおりであり、いずれの商標権も現に有効に存続している。

(1)登録第753470号商標(以下「引用商標1」という。)

商標の構成:cascade

指定商品:第12類「フォークリフトカーおよびその附属品、ただし、フォークリフトカー用掛布を除く」

登録出願日:昭和41年4月14日

設定登録日:昭和42年8月31日

書換登録日:平成20年11月5日

(2)登録第2164870号商標(以下「引用商標2」という。)

商標の構成:別掲のとおり

指定商品:第12類「フォークリフトカー,その他の自動車並びにその部品及び附属品」

登録出願日:昭和62年2月12日

設定登録日:平成元年8月31日

書換登録日:平成21年11月25日

(3)登録第669415号の2商標(以下「引用商標3」という。)

商標の構成:CASCADE

指定商品:第7類「リフトトラックカーに装着して使用し油圧シリンダー付で荷物を持ち上げたり横に押したり回転させるためのフォーク締付機及びその附属部品」及び第6類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品

登録出願日:昭和38年10月17日

設定登録日:昭和40年3月5日

書換登録日:平成18年2月8日

3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第19号証を提出した。

(1)申立人及び引用商標の周知著名性について

ア 申立人は、米国オレゴン州を本拠とするフォークリフト用アタッチメント及びコンポーネント・アクセサリーの専門メーカーであり、1943年の設立当時は、小さな機械工場であったが、いまや国際的なプレゼンスを誇るグローバル企業へと成長し、従業員数は3千人以上を数え、その地域は、30か国以上にわたる(甲6)。申立人の製造販売に係るフォークリフト用アタッチメントは、フォークリフトに装着される荷役用油圧省力機械で、代表的なものとして、ペーパーロールクランプ、ベールクランプ、カートンクランプ、サイドシフター、フォークポジショナー、プッシュプル、ローテーター、シングルダブルハンドラー等があり、標準仕様のものから特別仕様のものまで、あらゆる分野の流通、マテリアルハンドリングの合理化に最適なモデルを提供する。申立人の提供するアタッチメントは、品質、仕様、規格において、国際物流を支える国際標準品となっている。フォークやシリンダー、ホースリール、各種油圧制御部品などの申立人が提供するフォークリフト用コンポーネント及びアクセサリーは、世界中のフォークリフトメーカーで標準採用されている。申立人グループの生産・販売ネットワークは、世界各地を網羅しており、かかるネットワークを通じて、世界各国のフォークリフトメーカーやディーラー、その他ユーザーをグローバルにサポートしている(甲7~甲9)。なお、申立人の日本法人である「カスケード(ジャパン)リミテッド」(以下「申立人日本法人」という。)は、1967年に設立され、申立人製品の輸入販売を行うとともに、各産業界の用途に対応すべく、標準・特殊仕様アタッチメントの設計・製造及びアフターサービスを行っている(甲7、甲8)。

イ 2012年、申立人は、買収により株式会社豊田自動織機の子会社となっており、フォークリフト用アタッチメントメーカーで世界最大手である(甲10)。このようにフォークリフト用アタッチメント業界で世界最大手である申立人の名称の要部を構成する「cascade」の欧文字や、当該文字と図形を組み合わせた引用商標が、例えば、申立人日本法人のウェブページの左上に表示してある(甲7~甲9)。また、金属加工工場で使用するコイル・ブーム(鉄製コイルを取り扱うためのアタッチメント)を示すものに、引用商標が付してある(甲11)。

ウ 小括

このように、申立人は、創業80年以上の歴史を持ち、フォークリフト用アタッチメントの分野において世界最大手のメーカーであり、申立人製品は、我が国のみならず世界各国で販売されている。そして、申立人名称の要部である引用商標が、申立人及び申立人日本法人のウェブページ、あるいは、申立人製品などに顕著に目立つ態様で表示してある(甲6~甲9、甲11)。

以上より、引用商標は、遅くとも本件商標の登録出願時までには、フォークリフト業界及びフォークリフトを使用する業界・分野において、申立人製品を表示するものとして、取引者・需要者の間で広く知られていた。そして、申立人のたゆまぬ営業努力により、引用商標は、本件商標の登録査定時においても継続して、我が国の取引者・需要者の間において広く知られていた。

(2)申立人製品が金属加工分野で使用されること

申立人製品が使用される業種・分野は多岐にわたる。例えば、農業・飲料・化学・建設・食品・金属・包装などの業種・分野で、申立人製品は使用されている(甲12)。金属分野で使用される申立人製品に関するパンフレット(甲13)には、3ページ目の上段左上に、申立人製品の「Forging Manipulators(鋳造物遠隔操作機)」の写真が掲載してある。このように、申立人製品は、金属加工の分野において、フォークリフトのアタッチメント・附属品として使用されていることが分かる。

(3)商標法第4条第1項第11号該当性について

ア 本件商標

本件商標は、「CASCADE」の欧文字を標準文字で横一列に書してなる。本件商標を構成する文字は、「滝」を意味する英単語であり(甲14)、本件商標からは、構成文字に相応して「カスケード」との称呼が生じる。

イ 引用商標

(ア)引用商標1は、「cascade」の欧文字を横一列に書してなる。当該構成文字は統一的な態様で若干の図案化が施されているが、「cascade」の欧文字を容易に看取できる程度のものである。上述のとおり、「cascade」は、「滝」を意味する英単語であり、引用商標1からは、構成文字に相応して「カスケード」の称呼が生じる。

(イ)引用商標2は、鷲をモチーフにしたデフォルメ黒色図形の中央部(左右の翼及び胴体に相当する部分)に、白抜きで「cascade」の欧文字を横一列に表示してなる。引用商標2の中央部の文字部分は統一的な態様で若干の図案化が施されているが、「cascade」の欧文字を容易に看取できる程度のものである。引用商標2は、鷲のモチーフ図形と「cascade」の欧文字とが、取引上分離して観察することが不自然と思われるほど不可分的に結合しているものではなく、引用商標2からは、構成文字から、「滝」ほどの観念が生じ、「カスケード」の称呼が生じる。

(ウ)引用商標3は、「CASCADE」の欧文字を横一列に書してなる。当該構成文字は同書・同大・同間隔で表示してなる。上記引用商標1及び2と同様に、引用商標3からは、構成文字に相応して、「滝」ほどの観念が生じ、「カスケード」の称呼が生じる。

ウ 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否

申立人製品であるフォークリフト用アタッチメントは、上記(2)のとおり、金属加工分野において使用されている(甲12、甲13)。そして、引用商標における各指定商品は、このような金属加工分野において使用されるフォークリフト用アタッチメント、すなわち、申立人製品を包摂するものである。

さらに、本件商標の指定商品(第7類「金属加工機械器具」及びこれに包摂される「アーク溶接装置」などの商品)の分野と、引用商標の指定商品(第7類及び第12類のフォークリフトカー用附属品)の分野との間に密接な関連性がある。

コンベアー及び粉末・液体管理システムの開発メーカーであるPRAB社が、金属加工処理作業中における、事故・けが・病気の防止について述べた論考(甲15)では、金属加工処理の現場におけるフォークリフトの存在の危険性について何度も言及されているが、これは、金属加工処理の現場においては、フォークリフトの存在がそれだけありふれたものであり、金属加工処理とフォークリフト(及びその附属品)が、非常に密接した関係にあることを示している。つまり、金属加工処理に従事する作業員にとって、現場で金属加工処理用の装置とフォークリフト及びその附属品を同時に目にすることは通常であり、金属加工処理用装置及びフォークリフト用附属品の両方に同一・類似の商標が付されていると、両商品の出所について誤認混同が生じてしまうことを意味する。

すなわち、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、商品自体が取引上誤認混同のおそれがあるものではないかもしれないが、両商品は、同一作業現場で同時に使用されるものであるから、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品は、類似の商品に当たる。

上述した本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との間で商品の出所について誤認混同のおそれがあることについては、例えば、米国に本拠を置くCaterpillar Inc.(以下「キャタピラー社」という。)は、建設機械、鉱山機械などを製造するメーカーであるが(甲16)、フォークリフトトラックを製造販売していると同時に(甲17)、金属加工用器具・装置(甲18)や溶接用保護具等(甲19)の製造販売も行っていることからも裏付けられる。

このように、現に、本件商標の指定商品に該当する商品と、引用商標の指定商品に該当する商品とが、同一企業により製造販売されている取引の実情が認められる。かかる事情の下で、本件商標の指定商品と、引用商標の指定商品とに同一又は類似の商標を使用する場合、両商品は、同一営業主の製造又は販売に係る商品であると誤認されるおそれがある。したがって、仮に商品自体が誤認混同を生じるおそれがないとしても、類似の商品に当たるとするのが妥当である。

以上を踏まえると、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、作業現場における実際の使用状況、取引の実情等を総合考慮した場合に、商品の出所について誤認混同を生じるおそれのあるものであり、万一仮に商品自体が互いに誤認混同を生じるおそれがないものであったとしても、商品の生産部門・販売部門の共通性、需要者の範囲の共通性などにより、類似と判断すべき商品である。

エ 本件商標と引用商標の類否

(ア)本件商標と引用商標1及び3の類否

本件商標と引用商標1及び3は、フォントにおいて異なるものの構成文字を共通にし、フォントによる差異も全体の印象に大きな影響を与えるものではない。また、本件商標と引用商標1及び3から生じる観念及び称呼は、いずれも「滝」及び「カスケード」で共通している。

したがって、本件商標と引用商標1及び3は、外観、観念、称呼のいずれにおいても相紛れるおそれのある類似の商標である。

(イ)本件商標と引用商標2の類否

本件商標と引用商標2とは、図形要素の有無において差異を有し、構成文字のフォントにおいても差異を有する。しかしながら、引用商標2における図形要素と文字要素とは、これらを分離して観察することが取引上不自然といえるほど不可分的に結合しているものではなく、引用商標2から文字部分「cascade」を分離抽出して本件商標との類否を判断することが許されるものである。

そうすると、本件商標と引用商標2とは、外観上近似する印象を与えるものであり、観念及び称呼については、いずれも「滝」及び「カスケード」が生じるので共通する。

したがって、本件商標と引用商標2は、外観、観念、称呼のいずれにおいても相紛れるおそれのある類似の商標である。

オ 小括

以上より、本件商標と引用商標とは、互いに類似する商標であり、両商標を、それぞれ本件商標の指定商品及び引用商標の指定商品に使用した場合には、商品の出所について誤認混同を生じるおそれのあるものである。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(4)商標法第4条第1項第15号該当性について

ア 本件商標と引用商標との類似性の程度について

上記(3)エのとおり、本件商標と引用商標とは、いずれも商品の出所につき誤認混同の生じるおそれのある類似商標である。すなわち、本件商標と引用商標は類似性の程度が非常に高い。

イ 引用商標の周知度について

上記(1)のとおり、引用商標は、創業以来80年以上の長きにわたり使用されてきたものであり、申立人製品の出所を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、フォークリフト業界及びフォークリフトを使用する業界・分野において、我が国の取引者、需要者に広く認識されていた。

ウ 引用商標の独創性等について

引用商標を構成する「cascade」の文字は、通常の英語辞書等に載録されている既成語ではあるものの、申立人製品であるフォークリフト用アタッチメント等との関係においては、強い識別力を発揮する語であり、申立人製品の分野において「cascade」の文字を採択すること自体、強い独創性を備えているといえる。

エ 引用商標がハウスマークであるかについて

引用商標を構成する「cascade」の文字は、申立人名称の要部をなす部分であり、申立人のハウスマークである。

オ 申立人における多角経営の可能性

フォークリフトトラックを製造販売する企業が、同時に金属加工用器具・装置や溶接用保護具等の製造販売を行っている実情が発見されているとおり(甲17~甲19)、金属加工分野とフォークリフトには、取引の実情として強い親和性がある。したがって、フォークリフト用アタッチメントを製造販売する申立人において、金属加工分野へとビジネスの範囲を拡大する可能性は十分にある。

カ 商品間の関連性、商品等の需要者の共通性について

金属加工処理の現場において、作業員が金属加工処理用の装置とフォークリフト及びその附属品を同時に目にすることは通常であり、金属加工処理用装置及びフォークリフト用附属品の両方に同一・類似の商標が付されると、両商品の出所について誤認混同が生じてしまうことは、上記(3)ウで説明したとおりである。したがって、本件商標の指定商品と申立人製品とは類似の商品とされるべきものである。よって、両商品間の関連性は高い。

また、本件商標の指定商品は、金属加工処理の現場で使用されるものであり、その一方で、申立人製品も、上述したとおり、金属加工処理の現場で頻繁に使用されるものである。したがって、本件商標の指定商品の需要者には金属加工処理を行う業者等が想定されるところ、申立人製品の需要者にも、金属加工処理を行う業者が含まれることは明らかである。このように、両商品の需要者には一定程度の重複がみられるので、両商品の需要者は共通する場合が相当程度あるといえる。

キ 小括

以上をまとめると、本件商標は、上記アないしカの全ての要件において、商品の出所について誤認混同を生じるおそれが肯定される方向にある。そうすると、本件商標に接した取引者、需要者は、本件商標に係る商品について、申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、商品の出所について混同するおそれがある。

したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断

(1)引用商標の周知性について

ア 申立人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。

(ア)申立人の「ABOUT CASCADE」のウェブサイトには、トップページ左上方に引用商標2が表示され、「OUR BRANDS.」の項には、その一つに「Cascade Corporation」の表示とともに、引用商標2が表示され(甲6)、また、同人の「COIL BOOM」のウェブサイトには、引用商標2が付された「COIL BOOM」が掲載されている(甲11)。

(イ)申立人日本法人のウェブサイトには、トップページ左上方に引用商標2が表示され、社屋の画像(甲8)の外壁部分には引用商標1が表示され、また、同ウェブサイトによると、申立人日本法人は、申立人を親会社として1967年に設立されており、申立人については、「フォークリフト用アタッチメント及びコンポーネント・アクセサリーの専門メーカー」及び「カスケード製アタッチメントはフォークリフトに装着される荷役用油圧省力機械で、代表的なものとしてペーパーロールクランプ、ベールクランプ、カートンクランプ、サイドシフター、フォークポジショナー、プッシュプル、ローテーター、シングルダブルハンドラー等が有り」等と紹介されている(甲7~甲9)。

(ウ)「豊田自動織機の市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析」のウェブサイトには、「M&A情報」の項に、「2012年 米国のフォークリフト用アタッチメントの製造・販売の世界最大手のカスケード社を買収」の記載があるものの、引用商標に係る記載は認められない(甲10)。

(エ)申立人ウェブページのスクリーンショットとするものには、左上方に引用商標2が表示され、「Industries」の項目に、「Agriculture」、「Beverage」、「Chemical」等と業種・分野を示す文字(語)が記載されている(甲12)。

(オ)申立人製品についてのパンフレット(英語版)写しには、右下方に引用商標1と文字態様を同じくした「casacde」が表示され、その下に「corporation」を表示し、左上方に引用商標2及び「METALS」の表示の下、各種アタッチメントが掲載されている(甲13)。

しかしながら、上記パンフレットの頒布数、頒布範囲等については不明である。

イ 上記アからすると、申立人及び申立人日本法人は、フォークリフトアタッチメントに引用商標1及び2を使用していることが認められる。

そして、申立人は、2012年に豊田自動織機に買収されているが、引用商標に係る申立人製品の売上高、市場シェア等の販売実績、広告の方法・範囲、等の具体的な事実を確認できる証拠の提出は確認できない。

そうすると、申立人の提出に係る証拠をもって、引用商標が本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係るフォークリフト用アタッチメントを表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間において広く認識されているものとはいえない。

(2)商標法第4条第1項第11号該当性について

ア 本件商標

本件商標は、上記1のとおり、「CASCADE」の欧文字を標準文字で表してなり、当該文字に相応して、「カスケード」の称呼を生じ、「滝」の観念を生じるものである。

イ 引用商標

引用商標1及び3は、「cascade(CASCADE)」の欧文字を書してなり、当該文字に相応して、「カスケード」の称呼を生じ、「滝」の観念を生じるものである。

また、引用商標2は、別掲のとおり、鷲をモチーフにした黒色図形の中央部に、白抜きで「cascade」の欧文字を横一列に表示してなるところ、当該図形と「cascade」の文字とが、取引上分離して観察することが不自然と思われるほど不可分的に結合しているものではなく、それぞれが独立して自他商品の出所識別標識としての機能を果たすものであるから、引用商標2の構成文字「cascade」(以下「引用商標2の文字部分」という。)から、「カスケード」の称呼、「滝」の観念が生じる。

ウ 本件商標と引用商標の類否

本件商標と引用商標1及び3並びに引用商標2の文字部分とは、大文字と小文字において差異を有する場合があるとしても文字つづりを同一にするものであって、その外観は類似するものであり、その構成文字に相応して「カスケード」の称呼が共通し、「滝」の観念においても共通するものであるから、本件商標と引用商標は、類似する商標といえる。

エ 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否

(ア)本件商標の指定商品は、上記1のとおりであり、その表示からして、金属を加工するための機械器具やその部品及び付属品であると認められる。また、当該商品は、金属加工機械製造業者によって製造、販売され、金属製品製造業者を主な需要者とする商品といえる。

他方、引用商標の指定商品は、上記2のとおりであり、「フォークリフトカー」等やその部品及び付属品であると認められる。また、当該商品は、産業用運搬車両等の製造業者によって製造、販売され、運搬作業が必要となる各種事業者を需要者とする商品といえる。

そうすると、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、その生産部門、販売部門、用途、需要者の範囲を異にするものである。

してみると、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、これらの商品に同一又は類似の商標を使用しても、同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれはないというべきである。

(イ)申立人は、申立人製品であるフォークリフト用アタッチメントは、金属加工分野において使用され(甲12、甲13)、本件商標の指定商品中、第7類「金属加工機械器具」及び「アーク溶接装置」などの商品の分野と、引用商標の指定商品中、第7類及び第12類の「フォークリフトカー用附属品」の分野との間に密接な関連性がある旨、論考(甲15)において、金属加工処理の現場におけるフォークリフトの存在の危険性について言及されている旨、キャタピラー社が、フォークリフトトラックを製造販売していると同時に(甲17)、金属加工用器具・装置(甲18)や溶接用保護具等(甲19)の製造販売も行っている旨、それぞれ主張している。

しかしながら、商品の類否の判断は、取引の実情、すなわち、商品の生産部門、販売部門、原材料及び品質、用途、需要者の範囲が一致するかどうか、完成品と部品との関係にあるかどうか等を総合的に考慮して判断すべきである(平成7年(行ケ)第161号同8年3月21日判決)。

そして、たとえ、フォークリフト用アタッチメントが金属加工分野において使用され、金属加工処理の現場においてフォークリフトの危険性があり、キャタピラー社がフォークリフトトラックと金属加工用器具・装置等を製造販売しているとしても、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品における生産部門、販売部門、用途、需要者の範囲等を総合的に考慮すれば、上記(ア)のとおり判断するのが相当である。

(ウ)したがって、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、非類似の商品というべきである。

オ 小括

上記アないしエからすると、本件商標と引用商標とは、類似の商標であるとしても、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、類似する商品とはいえないから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(3)商標法第4条第1項第15号該当性について

本件商標と引用商標とは、上記(2)ウのとおり、類似する商標であり、その類似性の程度は高いものである。

しかしながら、引用商標は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係るフォークリフト用アタッチメントを表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間において広く認識されているとはいえない。

また、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、上記(2)エのとおり、非類似の商品であるから、その関連性の程度も低く、さらに、需要者の共通性も低い。

そうすると、本件商標は、これに接する需要者等が引用商標を連想又は想起することはなく、本件商標をその指定商品に使用しても、当該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないとするのが相当である。

その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

(4)むすび

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも該当するとはいえず、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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