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Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2025900116
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
登録第6912366号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

理 由

第1 本件商標

本件登録第6912366号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和6年8月7日に登録出願、第29類「保存処理をしたミルク」及び第30類「菓子及びパン,緑茶・紅茶・中国茶・ハーブティーその他の茶及びコーヒー,ティーバッグ入りの緑茶・紅茶・ハーブティー・中国茶その他の茶及びコーヒー,個包装入りの緑茶・紅茶・ハーブティー・中国茶その他の茶及びコーヒー,粉末状の緑茶・紅茶・ハーブティー・中国茶その他の茶及びコーヒー,インスタントコーヒー及びインスタントティー,コーヒー用砂糖,インスタントコーヒー用砂糖,インスタントティー用砂糖,紅茶・中国茶・ハーブティーその他の茶用砂糖」を指定商品として、同7年2月25日に登録査定、同年3月26日に設定登録されたものである。

第2 申立人が引用する商標

1 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)の理由において引用する登録第5296558号商標(以下「引用商標」という。)は、「CANTAFE」(「E」にはアクサンテギュが付されている。以下同じ。)の欧文字と「カンタフェ」の片仮名を上下二段に書してなる別掲2のとおりの構成からなるものであり、平成21年2月27日に登録出願、第29類「コーヒー用クリーム,乳製品,乳飲料,豆乳,食用油脂,冷凍野菜,冷凍果実,加工野菜及び加工果実,食用たんぱく,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,焼きのり」、第30類「コーヒー及びココア,コーヒー豆,代用コーヒー,茶,氷,コーヒー用砂糖(シロップ状のものを含む。),コーヒー抽出液,コーヒーエキス,コーヒーゼリー,コーヒーを主原料とする粉状・カプセル状・粉末状・顆粒状・ブロック状・棒状又は液状の加工食品,食品香料(精油のものを除く。),菓子及びパン,調味料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,穀物の加工品,アーモンドペースト,即席菓子のもと,香辛料」及び第32類「ミネラルウォーター,飲料水,清涼飲料,乳清飲料,清涼飲料のもと,乳清飲料のもと,果実飲料,飲料用野菜ジュース,ビール」を指定商品として、同22年1月22日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

2 申立人、ブルックスグループ及び株式会社ブルックスホールディング(以下、これらをまとめて「申立人ら」という場合がある。)が、コーヒー等の商品に使用し、需要者に広く認識されていると主張する商標は、別掲3のとおりの構成からなる商標(以下「使用商標」という。)である。

以下、引用商標及び使用商標をまとめて、「申立人商標」という。

第3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第16号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、取り消されるべきものであると要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第24号証(枝番号を含む。)を提出した。

1 本件商標及び申立人商標の各構成について

(1)本件商標の構成について

本件商標は、図形部分と文字部分からなるが、これらを分離して観察することが取引上不自然とはいえない。以下それぞれについて検討する。

ア 本件商標の図形部分について

本件商標の図形部分は、四隅にやや装飾が施された枠の中に、(ア)手動式のコーヒーミル、(イ)コーヒー豆と、(ウ)コーヒーが入ったカップ&ソーサーが描かれている。上記(ア)のホッパー(豆を入れる部分)には上記(イ)のコーヒー豆が描かれ、上記(ア)の引き出しには、上記(イ)のコーヒー豆が粉砕された後のコーヒーの粉が描かれている。加えて、上記(ウ)のコーヒーからは湯気や香りを表す曲線が描かれている。

上記(ア)~(ウ)の表現を総合すると、本件商標の図形部分から、「コーヒー豆を焙煎してひいたもの。また、その粉を使っていれるコーヒー」の意味を看取でき、これは「レギュラーコーヒー」を意味するものとして辞書(甲3の1)に掲載されている。

したがって、本件商標の図形部分は「レギュラーコーヒー」に関連する商品を端的に表したにすぎないものである。

イ 本件商標の文字部分について

本件商標の「KANTAFEONE」の文字部分は、やや冗長で、視覚上、後半部分の「ONE」の文字を容易に看取できるばかりか、これと前半部分の「KANTAFE」の文字との観念的な結び付きも強固といえない。

加えて、下記2の本件商標等の手続の経緯、下記3の取引の実情及び下記4の申立人商標の周知性を併せ考えると、本件商標は、「KANTAFE」の文字に、「ONE」の文字を結合させたものであり、「KANTAFE」の文字に相応して「カンタフェ」の称呼が生じ、「ONE」の文字に相応して「ワン」の称呼が生じる。

このように本件商標の構成を把握することは、「KANTAFE」の文字からなる参考商標1(商願2024-3991)、参考商標2(商願2024-7281)、参考商標3(商願2024-7282)の3件の商標(以下、これらをまとめて「参考商標」という場合がある。)が、「カンタフェ」の称呼が生じる引用商標と類似するとして拒絶査定(拒絶理由:商標法4条1項11号該当)がされたことからも明らかである。

また、「KANTAFE(カンタフェ)」の文字は、特定の観念が生じない造語であるのに対し、「ONE(ワン)」の文字は、「一つの、算用数字の1」等を意味する極めて平易な英語であり、それ自体自他商品識別標識としての機能が極めて弱いか無いものである。特に、本件商標の指定商品「ティーバッグ入りの...(省略)」「個包装入りの...(省略)」「粉末状の...(省略)」との関係では、「1袋」「1個」「1回」「1人」「1杯」「1本」「1包」「1セット」等と認識でき、さらに、指定商品「コーヒー」との関係では、本件商標の図形部分から生じる「レギュラーコーヒー」の意味合いを看取できることと併せ考えると、「ONEDRIP(ワンドリップ)」を略したものと認識できるもので、いずれの場合も独占適応性がないと考えるべきである。

ウ 本件商標の全体の構成について

以上のように、本件商標の図形部分は「レギュラーコーヒー」に関連する商品を端的に表わしたにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ず、また、文字部分については、「ONE」部分は、図形部分の意味合い及び指定商品との関係で自他商品識別機能を発揮し得ないため、本件商標の要部は「KANTAFE」の文字部分であるとするのが相当である。

(2)申立人商標の構成について

引用商標は、上段に「CANTAFE」の文字と、下段に「カンタフェ」の文字を表し、構成各文字に相応して、「カンタフェ」の称呼を生ずるものであり、特定の観念が生じない造語である。

使用商標は、上段に「Cantafe」(「e」にはアクサンテギュが付されている。以下同じ。)の文字を表し、下段に「かんたフェ」の文字を表し、上段下段の両文字にやや装飾が施されているが、目立つ態様のものではなく、構成各文字に相応して、「カンタフェ」の称呼を生ずるものであり、特定の観念が生じない造語である。

2 本件商標及び参考商標の手続の経緯

本件商標の権利者は、本件商標の図形部分とほぼ同一の図形と「KANTAFE」の文字からなる参考商標1を、2024年1月17日付けで出願をし、同様の図形及び文字からなる参考商標2及び3を同月26日付けで出願をしているが、参考商標1は同年7月12日付けで、参考商標2及び参考商標3は同月19日付けで、「カンタフェ」の称呼が生じる登録第5296558号商標(本件異議申立ての引用商標)を引用して商標法第4条第1項第11号に基づく拒絶理由が通知されており、その通知直後である同年8月7日付けで、本件商標が出願されている。

参考商標は、同理由により2025年2月13日付けで拒絶査定がされたが、本件商標は、同年3月26日付けで登録された(甲1の2~4)。

以上により、本件商標「KANTAFEONE」の「ONE」部分は、本件商標の権利者が別途出願した参考商標の手続の経緯により、「KANTAFE」の文字に、「ONE」の文字を結合させたものと看取できる。

3 本件商標の指定商品に係る取引の実情

(1)「ONE」部分から「ONE DRIP」の意味を生じる可能性

ア レギュラーコーヒーとインスタントコーヒーについて

上記1で述べたように、本件商標の図形部分は、指定商品との関係では「レギュラーコーヒー」に関連する商品を端的に表わしたにすぎない。加えて、同辞書によれば、「レギュラーコーヒー」は「コーヒー豆を焙煎してひいたもの。また、その粉を使っていれるコーヒー。」とされ、インスタントコーヒーは「コーヒー豆から成分を抽出した液を乾燥させたもの。湯を加えて飲む。」とされる。

したがって、レギュラーコーヒーは、一般に、コーヒー豆又はこれを粉砕した状態で販売されるものであり、需要者が飲む際においては、「抽出器具で濾したりすることが必要で、そのままお湯には溶けません」とされる。一方、インスタントコーヒーは、本件商標の図形部分に描かれた「コーヒーミル」のような器具を使わずに、「お湯に溶け」、直ぐに飲むことが可能である(甲4の1、2)。そして、取引の実情では、需要者が、インスタントコーヒーと間違えてレギュラーコーヒーを購入する事態が発生しており、複数のメーカーが、レギュラーコーヒーとインスタントコーヒーとを需要者が適切に区別できるよう工夫している(甲4の3)。

イ レギュラーコーヒーにおけるドリップコーヒー等について

ドリップコーヒーの「ドリップ(drip)」とは、「コーヒーの入れ方の一。ネルや濾紙でコーヒーを濾し出すもの」で(甲3の1)、例えば、大手コーヒーメーカーチェーン・サイトでは、「ドリップコーヒーとは、ドリッパーという器具を使用して、レギュラーコーヒーの粉に熱湯を注ぎながら抽出した状態を指します。つまり、レギュラーコーヒーを飲めるようにしたものが、ドリップコーヒーというわけです」などと説明される(甲3の2)。

近時は、レギュラーコーヒー分野で、抽出器具を使わずに、「一人分」又は「コーヒーカップ一杯分」に相当する量を「個包装」にしたタイプのものが流通するようになっている。これらは「ドリップコーヒー」「ドリップバッグ(パック)コーヒー」又は「ドリップバッグ(パック)」等と称されており、スーパーやコーヒー専門店等の実店舗のほか、ネット通販サイトで、多数のメーカーから販売されている(甲5の1、2)。例えば、「家庭用レギュラーコーヒー市場」について、2023年3月28日付「食品新聞」の記事は、UCC上島珈琲社員のコメントとして「見事な二極化が起こっており、大容量・低価格のコモデティ商品も伸びる一方、プレミアム商品は豆・粉・ワンドリップ(ドリップコーヒー)で構成比が高まっている」旨掲載等している(甲5の3)。

このようにレギュラーコーヒー分野では、コーヒー豆や粉末を個包装にしたワンドリップのコーヒーが流通している。

ウ 「ワンドリップ」「ONE DRIP」という名称について

(ア)「ワンドリップ」「ONE DRIP」自体の意味について

取引の実情において、本件商標の「ONE」の文字部分は、「レギュラーコーヒー」に関連する商品を端的に表わしたにすぎない本件商標の図形部分と相侯って「ONE DRIP(ワンドリップ)」を認識でき、「1杯分のドリップコーヒー用のコーヒー」などであること(商品の品質等)を表示したものと認識される可能性が高い。

この点、「ワンドリップ」の文字からなる商標が、「紅茶、茶、コーヒー、コーヒー豆、ココア、菓子、パン、調味料」等を指定商品として、ユーシーシーホールディングス株式会社名義で出願され(2021年3月18日出願、商願2021-32352)、WEBサイト上のドリップコーヒーの各情報(同旨の情報:甲7の1~7)を引用し、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとした(甲6の1、2)

なお、以上に加え、「ワンドリップ」からなる商標は、商標法第3条第1項各号によって拒絶査定されている。

以上から、「ONE DRIP(ワンドリップ)」の文字は「紅茶、茶、コーヒー、コーヒー豆、ココア、菓子、パン、調味料」等との関係で、長年、出所識別機能を発揮せず又は商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるものと扱われてきたことは明らかである(甲6の2)。

また、上記拒絶理由通知に記載の引用情報(甲6の1)以外にも、個包装にしたタイプの「ドリップコーヒー」について「ONE DRIP」「ワンドリップ」と称して商品を販売している事例は他に複数存在する(甲7の8~18)。

なお、「ONE DRIP」「ワンドリップ」の言葉は、個包装にした「ドリップコーヒー」のみならず、レギュラーコーヒー全般についても、一般に用いられている。例えば、コーヒーを淹れる器具等との関係では「一杯のコーヒーをハンドドリップで淹れるため...」のポットを「ワンドリップポット」と名付けたり(甲7の19)、「一杯のコーヒー」を作るための食器を「ワンドリップコーヒーメーカー」と称したり(甲7の20)、「1杯抽出用ドリップコーヒーフィルター」を「ワンタッチドリップコーヒーフィルター」と称したり(甲7の21)する例等がある。

(イ)「ワンドリップ」「ONE DRIP」の表示態様について

上記証拠(甲7の1~18)において、「ワンドリップ」又は「ONE DRIP」の商品の包装等における使用態様を見ると、その商品等に係る商標・その他の出所識別標識とともに使用されている場合が多い。例えば「上島珈琲店ワンドリップコーヒー」(甲7の3)、「珈琲倶楽部田のワンドリップ」(甲7の5)、「ROYAL KONA COFFEE(ロイヤルコナコーヒー) バニラマカダミアナッツ ワンドリップバッグ」(甲7の6)、「MARUWA(上部)/ONE DRIP(下部)」(甲7の8)、「アダチコーヒー」の看板を掲げたサイトにおいて「自家焙煎珈琲ワンドリップバッグ...」(甲7の11)、「...四季ブレンド 冬ブレンド「醸」1パック×10g入 100杯分 ワンドリップ ドリップ...」(甲7の13)、「四海ロースト ワンドリップコーヒー」(甲7の14)、「KOMEKAFFEE・コメコーヒー(上部)/ワンドリップコーヒー(下部)」(甲7の15)、「エメラルドマウンテンブレンドワンドリップコーヒー」「炭火焼『焚』ワンドリップコーヒー」等(甲7の16)、「Mikiyaワンドリップカフェ」(甲7の17)、「ウエシマコーヒー ワンドリップコーヒー」(甲7の18)等が挙げられる。

(2)「ONE」部分から「ワンカップ」「ワンポット」等の意味を生じる可能性

本件商標の「ONE」の文字部分は、以下の取引の実情から、指定商品のうち、緑茶、紅茶・その他の茶、インスタントコーヒー等の飲料(コーヒーや茶等を主原料とした粉末飲料等含む)との関係では、「ONE CUP(ワンカップ)」「ONE POT(ワンポット)」「3in1(ONE)」等の意味を認識でき、「1杯分の飲料」等であること(商品の品質等)を表示したものと認識される可能性が高い。

ア 紅茶、緑茶・その他の茶飲料の個包装化とその表示態様等

「茶」の分野でも、茶葉や粉末状等の飲料が、ティーバッグやスティック状等の個包装によって販売されている。それらの商品には「ワンカップ」「ONE CUP」及び「ワンポット」「ONE POT」等の言葉が用いられている。

例えば、「大三+図形」標章の下で半ばされる「ONE CUP TYPE TEABAG/ワンカップ用」、(甲8の1)、古賀製茶本舗の「ワンカップ用煎茶ティーバッグ」(甲8の2)、株式会社小谷穀粉の「ロングセラー商材のワンカップ用煎茶、玄米茶、ほうじ茶」、同社製造の「甜茶 ワンカップ用ティーバッグ」、同社の「OSK」標章の下で販売される「有機ルイボスティー ワンカップ用ティーバッグ」及び「池田園茶舗」ブランドの下で販売される「黒烏龍茶 Teabag for One-Cup」(メーカー:OSK小谷穀粉)、同小谷穀粉の「ハーモニーメイト」プランドの下で販売されている「ハーモニーメイト・紅茶100p・ワンカップ用」(他に数種の飲料でワンカップ用が展開)(甲8の3)、「お茶の沢田園」サイトで販売される「知覧茶 ワンカップ用ティーバッグ」(甲8の4)、有限会社お茶の秋月園提供サイトで「ワンカップ用飲みやすいサイズ...」等と紹介される健康茶「「八の力」ワンカップ用TB」(甲8の5)、DozoFreesh(ドーゾフリーシュ)販売の「HOT FRUIT TEA SET OF 4BAGS・ONE CUP」(甲8の6)、「自然健康社」の「よもぎ茶ワンカップ」(甲8の7)等を示すことができる。

以上の他、「イギリスで最も人気のある紅茶ブランドのひとつ」、「イギリスでは庶民的紅茶ナンバーワンとして長年愛されている商品」である「PG Tips」ブランドの下で「PG Tips One Cup」「PGTipsワンカップ用」が我国でも販売されており、同様に「イギリス人に愛飲されているリーズナブルな紅茶ブランド」として「Typhoo」があり、「TYPHOO ONE CUP 紅茶」が販売されている(甲8の8、9)。

「ワンポット」「ONE POT」等の言葉については、ポット等のお湯出し又は水出し用のティーバッグとして、「一保堂茶舗」の「One-Pot Teabags」(甲8の10)、「伊藤園 ワンポット」(甲8の11)等を示すことができる。

イ インスタントコーヒーの個包装化とその表示態様等

近年、インスタントコーヒーの分野においても、「1杯分」を「スティック状」等の個包装にしたものが多く販売されている(甲9の1)。

株式会社クロス・マーケティング提供の「クロス・マーケティング」サイトの記事によれば「1杯分ごとにドリップコーヒーを詰めたパーソナルレギュラーコーヒーも伸びており、コーヒー市場はパーソナル化が進んでいる...」とされる(甲9の2)。2019年1月19日付食品産業新聞社サイトの記事によれば、「スティック飲料市場が300億円突破」等と紹介されるほか、「スティックとは、もともと、インスタントコーヒー・クリーミングパウダー・砂糖が一袋になったスティックタイプのコーヒーのことを指していた」が、「紅茶やココア、フレーバーティーを展開し、現在ではスティックタイプの嗜好飲料全体を指している」と説明される。また「同カテゴリーの好調要因は、1杯ずつ個包装になっていることと、豊富なメニューにあ」るなどと説明される(甲9の3)。

上記「インスタントコーヒー・クリーミングパウダー・砂糖が一袋になったスティックタイプのコーヒー」を「3in1」と称する場合もある。例えば、株式会社澤井珈琲では、「混ぜるだけで本格カフェ スティックカフェ」のことを「3in1/SAWAI STICK COLECTION」と称して販売し、「名探偵コナン」漫画と提携したシリーズもある(甲9の4)。UCC上島珈琲株式会社は、「UCCが誇る独自のブレンド技術をプレミックスコーヒーでも活用」した「UCC.3in1.Stick」を販売し、「3in1」とは、「日本以外で使用されているプレミックスコーヒーの呼び名」で、「コーヒー・ミルク・シュガーの3つを1つに詰めたプレミックスコーヒーを指します。」と説明される(甲9の5)。

株式会社ファインダーが提供するサイトでは、ベトナムは、コーヒーの年間生産量が世界第2位で「...おみやげでは、手軽に飲める個装されたインスタントコーヒーが人気」とされる。そして「ベトナムをはじめ東南アジアのコーヒーブランドの定番となっているのが、コーヒー、クリーム、砂糖の3つが一緒に入っている「3in1」タイプ」がお土産として人気であると説明される(甲9の6)。同サイトでは、「チェン・グエン・コーヒー」の「G7」ブランド、「Mac Coffeeブランドの3in1シリーズ」及び「MR.VIET(ミスターベト)」の「インスタントではブラックコーヒー、2in1(+砂糖)、3in1(+ミルク・砂糖)など」が紹介されている。この他、「CAPHE VINZ(カフェ ヴィーンズ)3in1コーヒー」「Jacobs 3in1...」等があり、以上は、日本でも種々の通販サイト(甲9の7~11)等で購入可能である。

以上のように「3in1」「2in1」は、「コーヒー・ミルク・シュガーの3つ」(又は2つ)を、「1つ」に詰めたこと(まとめたもの)を意味するものとして、少なくとも東南アジア(例えば、ベトナム以外に、インドネシアやフィリピン(甲9の12、13))では需要者にとって一般的であるといえ、本件商標の「ONE」部分は、個包装の「1つ」を意味するものと把握される可能性は十分にある。

(3)「ONE」部分から、商品の量・個数・形状等の意味を生じる可能性

指定商品全体との関係では、商品の量(一人用、一杯用等)、個数(1個、1袋、1包等)又は、包装の形状(スティックやティーバッグ等の個包装)等と認識される可能性が高いこと、かかる単位は、特に通販サイトでの買物は、需要者が、実際に商品を手に取りレジで支払う方式ではなく、注文数を入力して対価を支払う方式が採用されることが多く、需要者が「ONE」の文字部分を頼りに購入する可能性もある。

甲第9号証の1のように、多くのメーカーが、スティック状等の個包装入りのインスタントコーヒーを販売し、そのパッケージや広告等に「1セット」「1杯分」「1袋」「1パック」「スティック1本」等が記載されている。また、ドリップコーヒーの分野では「1杯分」等として販売するものもある(甲9の13)。

上記(1)及び(2)であげた飲料のほか、個包装のパッケージの表面に、「ティーバッグ1包入」「一煎パック」「1/TEABAG(二段書き)」「1BAG」(甲9の14~16)等と記載されているものが多数ある。

以上の他、本件商標に係る「保存処理をしたミルク」「菓子及びパン」「コーヒー用砂糖」「紅茶・中国茶・ハーブティーその他の茶用砂糖」等に係る分野においても、個包装のものが多い(甲10の1~3)。

飲料や食品の個包装は、飲食のパーソナル化に対応するのみならず、社会におけるコミュニケーション促進にも役立ち、各メーカー等が種々の商品を出し、かつ、その紹介サイトが種々存在する。例えば、甲第10号証の1で、「カルディで買える「ばらまき菓子」おすすめ10選」との記事があり、「1本あたり○○円で購入できます。」等の記載がある。

(4)本件商標に係る指定商品における「ONE」について

本件商標は、「KANTAFE」の文字と「ONE」の文字からからなり、「KANTAFE」部分は造語であることを考えると、上記のような取引の実情から、「KANTAFE」部分が商標で、「ONE」部分が「ONE DRIP(ワンドリップ)」を意味すると認識される可能性は非常に高い。本件商標の各指定商品、特に「レギュラーコーヒー」との関係で、「ONE」単体の文字は出所識別機能を発揮しないばかりか、独占適応性もない。

また、本件商標の「ONE」の部分は、「1個」「1袋」「1パック」等の商品の個数を表すものと認識される可能性があり、特に商品選択の1個当たりの価格や、購入時の数量の入力において「算用数字の1」等は需要者にとって関心事となる。例えば「1個だけ買うつもりでしたが...」といった失敗談に対し返品できないかといった話が記事になるほどである(甲11)。

以上の状況で、本件商標の各指定商品(保存処理をしたミルク・菓子・パン・茶(緑茶、紅茶等含む)・コーヒー・砂糖)との関係で、「一つの、算用数字の1」等を意味する「ONE」単体の文字は出所識別機能を発揮しないばかりか、独占適応性がないことは明らかである。

例えば、甲第5号証の1に挙げられたメーカーの標章と、これに「ONE」を付した商標、例えば、「Blendy」と「BLENDYONE」、「AGF」と「AGFONE」、「DOUTOR」と「DOUTORONE」、「NESCAFE」と「NESCAFEONE」が、それぞれ非類似とし併存登録させ、両商標の併存使用を認めた場合、取引者・需要者の混同を招くことは必須である。

4 申立人商標の周知性

(1)申立人商標の権利者又は使用者とその事業等について

ア 申立人らについて

(ア)引用商標の権利者である株式会社ブルックスホールディングスは、ブルックスグループを構成する持株会社である。1968年10月に同グループの前身である幸修園は、お茶・乾物を扱う小売店として開業され、2023年10月に、同グループは設立55周年を迎えている。

(イ)申立人らは、現在、「ウェルライフ事業」と「製造販売事業・通信販売事業」に力を入れている。前者については、近時、例えば、神奈川県、大井町及び運営主体である株式会社ブルックスホールディングスの三者が協働連携し、2018年に「未病」改善体験ができる神奈川県西部地域の中核拠点施設「BIOTOPIA」(神奈川県足柄上郡大井町)をオープンした。2024年6月にはヘルスケア用品や健康・自然食品を販売することができるプラットフォーム「ビオトピアマルシェ セレクトモール」をオープンした。後者については、コーヒー・紅茶・緑茶・その他の飲料、菓子・加工食品・健康食品等の製造販売事業を営み、近時、「ウェルライフサプリ」のコンセプトを掲げ、機能性表示食品や栄養機能食品など、数多くの健康、美容関連商品を自社開発し販売等している(甲12の1~3)。

(ウ)申立人らの主力商品であるコーヒーについては、数多くの銘柄を用意し、それぞれのコーヒー豆は世界各地から輸入し、各国の様々な基準をクリアした高品質の豆を使用している。食品衛生法で定められた品質検査項目に加え、独自の検査項目を設けており、また、安全性を重視した品質検査を徹底して、国内自社工場で焙煎・粉砕・包装まで一貫管理等している。コーヒーの品質は輸入前後で検査し、さらに商品化に当たり、焙煎後と包装後の二度に渡って味覚検査および焙煎度・粒度について品質検査を行っている。各商品はサンプルを保管し、その後の追跡検査が出来る体制を整えている(甲12の2)。

(エ)申立人らは「コーヒーのドリップバック通販の先駆け」(甲13)と評価されることもある。

(2)本件商標に対する申立人について

ア 申立人は、ブルックスグループの主要な構成員の一社であり、同グループの国内自社工場で焙煎.粉砕・包装までを一貫管理して製造したコーヒーをはじめ、粉末飲料(申立人商標を使用した「かんたフェ/Cantafe」(「e」はアクサンテギュが付されている。以下同じ。)商品を含む。)・日本茶・日本食材などの厳選商品を通信販売している(甲12の4)。

イ また、本格的なレギュラーコーヒーを、需要者が器具を使用せずに、ドリップコーヒーを淹れることができる個包装タイプの「ドリップバッグ」商品を通信販売するビジネスモデルを確立し、「1杯19円...」のキャッチコピー(甲13、甲16、甲21の1及び2、甲22の1~15)とともに販売・宣伝広告・PR等して現在に至っており、国内外に販売網を拡大してきた(甲13、甲12の1)。2015年時点で、同グループの国内会員数は約700万人、海外では5万人の会員を抱えている旨取材されている(甲13)。

ウ 申立人らは、個包装のドリップコーヒーをはじめ、様々な商品を、同社が提供する以下の各媒体を介して商品紹介及び通信販売への導線設計を行っている。すなわち、商品を各媒体に掲載してお客様に情報を届け、お客様は商品を選択し、インターネット、電話、FAX、郵便等で同社に注文し、同社が注文を受けて商品を配送する。

なお、下記通販サイトでは、商品を閲覧.選択・購入等ができるほか、「川柳かふぇサイト」、各種「ゲーム」サイトなどで楽しむことができ、かつ、ポイント獲得の機会も提供され、例えば、申立人商標を使用した商品と交換できる(甲12の4)。また「スイーツカフェレシピサイト」で申立人商標を使用した商品を使用したレシピを紹介したり(甲12の5)、季節イベント等に即した色調やデザインを通販サイトに施す(甲12の6)などして、商品を購入しなくても閲覧するだけでも楽しめるものとなっている。

(ア)通販サイト

(イ)フェイスブック

(ウ)インスタグラム

(エ)ライン

(オ)X(旧ツィッター)

(カ)ダイレクトメール(DM):毎月郵送。

(キ)定期刊行物「ブルックスタイムズ(BROOK’S TIMES)」:季刊、原則4回/年発行

(ク)総合カタログ:通年発行、年に2~4回改訂

(ケ)メールマガジン「ブルックスコーヒー通信」:3通/週

また、申立人ら以外の以下の他社サイトでも販売している。

(コ)楽天市場サイト

(サ)Amazonサイト

(シ)YAHOO!ショッピングサイト等

(3)「ドリップバッグコーヒー」の通信販売

ア 申立人らの主力商品であるドリップバッグコーヒーは、1999年10月に販売を開始し、2000年に、ブランド「ヨーロピアンブレンド」が発売され、その後、種類が増加していった。その後、例えば、ドリップバッグコーヒーのブランド「U-TIMECoffee」が発売されるとともに、「1杯19円」と称して需要者に訴求された。さらに、2002年12月に発売された「モカ」についても「1杯19円」と訴求された。2004年2月に発売された「カフェサプリ サラシア」は、以後、健康コーヒーとしてシリーズ展開されている(甲14の1)。

以上の各商品は、1997年1月~1997年12月の間に発行されていた総合カタログ、2000年1月~12月の間に発行されていた総合カタログ、2001年6月30日有効期限の総合カタログ(甲15の1~3)に掲載されている。

イ 2005年には、Yahoo!ショッピングの「2005年下半期ベストストア・カスタマーケア賞」を「ブルックス」のショッピングサイトが受賞した。当時のYahoo!ショッピングの受賞情報には、「お客様から大好評いただいております1杯19円!ブルックスコーヒーは、産地より良質な豆を直輸入・自社焙煎(ばいせん)・直送で低価格を実現しました。ぜひ本物のおいしさと安さを実感してください!」との内容が掲載されている(甲16)。

ウ 加えて、例えば、新聞広告出稿量に関する以下のランキング(エム・アール・エス広告調査株式会社調べ。新聞の広告費算出基準は、日本広告業協会発行の「全国新聞広告料金表」における各本社版長期契約一段単価にて算出。)では、「ブルックス」が掲載されている。具体的には、2005年1月~12月合算で「ブルックス」は37位、2006年1月~12月合算で「ブルックス」は52位、2007年1月~12月合算で「ブルックス」は29位、2008年1月~6月合算で「ブルックス」は26位となっている(甲17の1~4)。

エ また、2007年6月26日にインターワイヤード株式会社から出された「コーヒーの飲用」に関するアンケート(調査方法:インターネットを利用した市場調査/調査対象者:DIMSDRIVEモニター8577人/調査期間:2007年5月16日~同年5月24日)(甲18)では、「最も好きな簡易抽出型コーヒーの銘柄」を自由回答で尋ねたところ、申立人らに係る「ブルックス(ブルックス)」(325票)が1位に位置付けられ、2位の「モンカフェ(片岡物産)」(171票)の2倍近くの票が集まった。なお、「簡易抽出(ドリップ)型のコーヒーを飲む理由」として「手軽だから」「おいしいから」「小分けになっているから」「コーヒーメーカー/サイフォンなどが必要ないから」との回答が多く集まっている。

(4)申立人商標を使用した「かんたフェ/Cantafe」商品について

ア 「かんたフェ/Cantafe」商品の発売とシリーズ化

(ア)申立人商標を使用した「かんたフェ/Cantafe」商品(以下、単に「かんたフェ/Cantafe」商品ともいう。)について、以下のようにシリーズ化され、各商品は、ドリップバッグコーヒーで切り開いた販売網にのって、国内外へ販売が拡大され、現在に至っている(2025年時点での商品展開につき、甲19)。

まず、ドリップバッグコーヒーを発売した1999年から約10年後の2009年9月に、(a)「かんたフェ 抹茶カプチーノ」が発売された(甲14の1、2)。なお、上記(a)のパッケージは下記(b)ないし(d)を「かんたフェ/Cantafe」商品のシリーズ化する際に、パッケージをリニューアルしている。

その直後に、(b)「かんたフェカプチーノ」(その後「かんたフェ 珈琲カプチーノ」と称す。)、(c)「かんたフェ ココアラテ」及び、(d)「かんたフェ 紅茶ラテ」が販売され、「かんたフェ/Cantafe」商品のシリーズ化が開始された。例えば、2010年早春号(有効期限2010年3月末日)の「ブルックスタイムズ」(甲20の1)には、上記(a)及び(b)が掲載されており、2010年4月発行のブルックスグループ「総合カタログ」(甲20の2)には、上記(a)ないし(d)が掲載されている。

(イ)「かんたフェ/Cantafe」商品について、上記(a)ないし(d)に加え、以下の商品がシリーズ化されており、2025年の現在も販売されている(甲19)。それぞれ個包装にした商品を10袋、100袋、大袋等のような単位で販売されているほか、春のふんわり5種セット等のように数種がセット販売されている(甲12の6)。

(e)「かんたフェ ジャパネスク」(2012年発売、甲20の10)

(f)「かんたフェ 豆乳カフェ」(2012年11月発売、甲20の3)

(g)「かんたフェ 金ごまカプチーノ」(2013年9月発売、甲20の4)

(h)「かんたフェ 抹茶&檸檬」(2014年5月発売、甲20の6)

(i)「かんたフェ 抹茶&青梅」(2024年4月発売、甲20の7)

(j)かんたフェ マサラチャイ」(2024年11月発売、甲20証の9)

2009年9月に「かんたフェ 抹茶カプチーノ」を発売して以降、申立人商標を使用した「かんたフェ/Cantafe」商品はシリーズ化し、2025年現時点に至る約15年、複数の商品が「かんたフェ/Cantafe」シリーズに加わり、また、リニューアルして、息の長いシリーズとなっている(甲20の10)。

近時発売した「かんたフェ 檸檬&青梅」「かんたフェ マサラチャイ」は「栄養機能食品」と称するなどして、申立人らの「ウェルライフサプリ」のコンセプトに沿うかたちでの商品化に至っている(甲12の3)。

また、初期に発売された「かんたフェ ココアラテ」は、2022年5月末時点で売上1.5憶杯(自社調べ)を突破した「かんたフェ人気No.1」と公表されているところ、2024年に栄養機能食品として販売に至っている(甲20の8)。

イ 「かんたフェ/Cantafe」商品の他社媒体における宣伝広告状況

(ア)販売開始時以降、Yahoo!等の他社サイトで、「1杯19円!」等のキャッチコピーとともに広告が掲載されている(甲21の1~3)。

(イ)新聞広告については、例えば、2012年2月6日付け朝日新聞(夕刊)には「かんたフェ・珈琲カプチーノ」「1杯19円」等の文言とともに、「かんたフェ/Cantafe」商品が掲載され、また、TVCM放映中である旨も掲載されているなど、多数回掲載されている(甲22の1)。

また、2011年2月7日付「朝日新聞」、2011年9月27日付「日本経済新聞」、2012年2月6日付「朝日新聞」、2012年9月24日付「静岡新聞」、2012年10月1日付「朝日新聞」、2012年10月22日付「静岡新聞」、2012年10月29日付「朝日新聞」、2012年11月17日付「日本経済新聞」、2012年11月19日付「毎日新聞」、2012年11月26日付「朝日新聞」、2013年1月15日付「日本経済新聞」、2013年2月4日付「朝日新聞」、2013年2月18日付「読売新聞(夕刊)」、2013年3月18日付「読売新聞」(甲22の2~15)に「1杯19円...」のキャッチコピーとドリップコーヒーの写真等とともに、毎回「かんたフェ/Cantafe」商品の上記アであげたシリーズ商品が掲載され、「かんたフェ」又は「かんたフェ/Cantafe」の文字が一紙面に何度も表示されてきた。

申立人らは、テレビコマーシャル「豆から誕生」編を、2011年~2012年に放映した。申立人らのキャラクター・こひえもん及びコーヒーカップがタブレット端末から抜け出し現実社会に登場するストーリーで、「かんたフェ/Cantafe」商品・その他の同社商品を訴求し、コマーシャルの最後には、注文の詳細な説明を掲載した「新聞広告」「チラシ」「WEB」へと誘導している。「本日の新聞編」「本日のチラシ編」「明日のチラシ編」又は「WEB編」が放映された(甲22の16)。そして、これに呼応し、新聞、チラシ及びWEBで「かんたフェ/Cantafe」商品が広告され販売等された。例えば、新聞広告(甲22の1、甲22の3、4)は、上記テレビコマーシャルと連動して、「かんたフェ/Cantafe」商品の広告とともに「TVCM放映中!」との情報も掲載され、フェイスブックでの情報発信も2011年より開始している(甲20の10)。

以上のように、2009年9月に「かんたフェ/Cantafe」商品を発売し、翌年以降、新たな種類の「かんたフェ/Cantafe」商品を発売しシリーズ化し、2011年~2012年を中心とした新聞広告・テレビコマーシャル又はYahoo!トップページ等(2013年以降も各種媒体で広告を行っている)の社外の媒体と、下記ウの自社媒体とを連動させ、メディアミックスともよべる販促活動等を行っている。

ウ 「かんたフェ/Cantafe」商品の自社媒体における販売・宣伝広告状況

上記(2)ウのように、申立人らは、(a)通販サイトに加え、(b)フェイスブック、(c)インスタグラム、(d)ライン、(e)X(旧ツィッター)、(f)ダイレクトメール(DM)、(g)定期刊行物「ブルックスタイムズ(BROOK’S TIMES)」、(h)総合カタログ、(i)メールマガジン「ブルックスコーヒー通信」等で販売・宣伝広告活動等を行っている。

例えば、フェイスブックは、2011年から活用し、「かんたフェ/Cantafe」商品のシリーズを使った情報発信を、2025年の現在に至るまで何度も行っている。2012年3月26日には「ブルックスのブランド「Cantafe(かんたフェ)」はご存じですか?」とし、5種類の「かんたフェ/Cantafe」商品の写真を掲載している。その後「Cantafe(かんたフェ)シリーズ」と称する場合(2012年6月19日、2015年11月13日、2015年2月6日等)も多くなっている(甲20の10)。

例えば、2013年9月発行の総合カタログでは、「インターネットでも購入できます」との記載をし、7種類の「かんたフェ/Cantafe」商品を並べて掲載しており、カタログで見た者がインターネットで購入することも可能なよう連動を図っている(甲23の1)。

例えば、申立人らの通販サイトで販売される商品は、入数の異なるセットが用意された個包装から、お徳用の大袋の商品まで種々の態様で購入することが可能である(甲9の1)。また、ドリップバッグコーヒー等の他の商品も個包装のものが多く、需要者側で選択して購入できる。また、数種の「かんたフェ/Cantafe」商品同士を組み合わせたり、ドリップバッグコーヒー等と「かんたフェ/Cantafe」商品を組み合わせて、1セットとして価格を設定し、販売(甲23の3)等している。この他、例えば、2015年1月発行の総合カタログには、「おすそわけバッグ」を販売等し、商品の使用シーンまで想定した周辺商品の開発と情報発信も行っている(甲23の2)。

以上のような販売・広告等は、現在に至るまで、同様に行われている。

エ 申立人商標の周知性のまとめ

申立人らは、上述のように、1968年10月にブルックスグループの前身である幸修園が、お茶・乾物を扱う小売店として開業されたことからはじまり、その後、海外からコーヒー豆を輸入しコーヒーの販売等を行ってきた。さらに、1990年代に申立人を介してドリップコーヒーを発売し、主に自社の通販サイトを通じて需要者と直接繋がり販売を行い、「1杯○○円」のキャッチコピーとともに、なるべくコストを抑えて購入しやすい価格で良質なコーヒーの提供を努めるとともに、品質管理等にも努め、各種媒体を駆使してコミュニケーション活動にも営業努力を注いだ結果、ドリップバッグコーヒーの販売網が国内外に拡大した。

近時は、神奈川県等とともに「未病」改善体験ができる神奈川県西部地域の中核拠点施設「BIOTOPIA」施設を開設するとともに、これに伴い「ウェルライフサプリ」のコンセプトを掲げ、数多くの健康、美容関連商品を自社開発し販売等するに至っている。かかる営業努力の一つとして、申立人らは、2009年9月の「かんたフェ 抹茶カプチーノ」の発売以来、「かんたフェ 珈琲カプチーノ」「かんたフェ 紅茶ラテ」「かんたフェ ココアラテ」「かんたフェ ジャパネスク」「かんたフェ 豆乳カフェ」「かんたフェ 金ごまカプチーノ」「かんたフェ 抹茶&檸檬」「かんたフェ 抹茶&青梅」「かんたフェ マサラチャイ」の商品を約15年間次々と発売し(リニューアル含む)、申立人商標を使用した「かんたフェ/Cantafe」商品をシリーズ化し、自社のみならず他社媒体でも広告宣伝等行った結果、申立人商標は、引用商標に係る指定商品との関係で、申立人らの業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されるに至った。

(5)本件商標登録が取り消されるべき各理由

ア 商標法第4条第1項第11号違反について

(ア)商標の類否の判断基準について

商標法4条1項11号に係る商標の類否は、同一又は類似の商品又は役務に使用された商標が、その外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきであり、かつ、その商品又は役務に係る取引の実情を明らかにし得る限り、その具体的な取引状況に基づいて判断すべきである(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁)。

しかるところ、商標の構成部分の一部が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などには、商標の構成部分の一部だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許される(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1612頁、最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁、最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事228号561頁)。

(イ)本件商標の要部について

本件商標は、図形部分と文字部分からなるところ、本件商標の図形部分は「レギュラーコーヒー」に関連する商品を端的に表わしたにすぎず、自他商品識別機能を果たしえない。

本件商標の「KANTAFEONE」の文字部分は、冗長で、視覚上、後半部分の「ONE」の文字を容易に看取でき、下記のように「a 本件商標の手続の経緯」、「b 取引の実清」及び「c 引用商標の周知性」を併せ考えると、本件商標の「KANTAFE」の文字と「ONE」の文字は容易に分離できると把握するのが相当である。

a 本件商標等の手続の経緯について、参考資料の商標が、登録第5296558号商標(引用商標)を引用して拒絶されるやいなや、「ONE」の文字を付加した本件商標を出願し登録されていること、

b 取引の実情において、「ONE」部分は、(a)図形部分と相侯ってレギュラーコーヒーとの関係では、「ワンドリップ」を認識でき、「1杯分のドリップコーヒー用のコーヒー」などであること(商品の品質等)を表示したものと認識される可能性が高いこと、(b)指定商品のうち、飲料との関係では「ワンカップ」「ワンポット」「3in1(ONE)」等の意味を認識でき、「1杯分の飲料」等であること(商品の品質等)を表示したものと認識される可能性が高いこと、さらに、(c)指定商品全体との関係では、商品の量(一人用、一杯用等)、個数(1個、1袋、1包等)又は、包装の形状等(スティックやティーバッグ等の個包装)等と認識される可能性が高いこと、かかる単位は、特に通販サイトでの買物は、需要者が、実際に商品を手に取りレジで支払う方式ではなく、注文数を入力して対価を支払う方式が採用されることが多く、需要者が「ONE」の文字部分を頼りに購入される可能性もあること、

c 本件商標の「KANTAFE(カンタフェ)」の文字部分は特定の観念が生じない造語であり、これと同一の文字列からなる参考資料の商標が、登録第5296558号商標(引用商標)を引用して拒絶されているところ、申立人商標は、申立人らを出所とする商品又は営業を表す商標として一定の信用・周知性を獲得していること。

以上aないしcを併せ考えると、本件商標から「ONE」を容易に分離でき、「ONE」の文字部分は、自他商品識別機能を果たしえず、独占適応性もなく、本件商標全体として、「KANTAFE」の文字部分が出所識別機能を発揮する要部と把握するのが相当である。

(ウ)本件商標と引用商標の類似判断について

本件商標に係る第29類の全指定商品及び第30類の全指定商品は、引用商標に係る指定商品、第29類の「コーヒー用クリーム」等、及び、第30類の「茶」「コーヒー及びココア,代用コーヒー,コーヒー抽出液,コーヒーエキス」「菓子及びパン」「調味料(砂糖)」「コーヒー用砂糖(シロップ状のものを含む。)」と同一又は類似の商品に該当する。上記「コーヒー」の指定商品には、レギュラーコーヒーが含まれ、また、いずれの指定商品も個包装により「1袋」「1個」「1回」「1人」「1杯」「1本」「1包」「1セット」等として販売されることが多いことは上述のとおりである。

そして、本件商標の要部「KANTAFE」の文字部分から「カンタフェ」の称呼が生じる一方、引用商標からも「カンタフェ」の称呼が生じ、両称呼は共通する。本件商標及び引用商標の観念は造語であるから生じないか又は申立人商標の周知性から申立人らの「かんたフェ/Cantafe」商品の観念が生じる。さらに、本件商標の要部「KANTAFE」部分と引用商標の「CANTAFE」は、語頭の「K」と「C」以外共通し、「E」の文字上の記号の有無は外観上微々たる差異にすぎない。

(エ)参考にすべき審決例・拒絶査定例

本件商標の「KANTAFE」部分と引用商標の類似性については、参考商標1の指定商品(類似群コード:29A01 29B01 30A01)、参考商標2の指定商品(類似群コード:31D01)及び参考商標3(類似群コード:31A03)が、特許庁で引用商標と類似と判断され参考資料が拒絶査定されていることからも明らかである。

また、特許庁の判断において共通する類似コードの商品において、「ONE」「ワン」「One」及び「1」の差異を有する商標が類似すると判断した例(甲24の1~8)が存在する。

(オ)むすび

前記したとおり、本件商標は、引用商標と類似のものであり、また、その指定商品も同一又は類似のものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。

イ 商標法第4条第1項第15号違反について

(ア)本件商標の構成

本件商標は、a その図形部分は「レギュラーコーヒー」に関連する商品を端的に表わしたものである一方、b その文字部分「KANTAFEONE」はやや冗長であり、「カンタフェワン」と称呼する場合、前半部分の「カンタフェ」部分が目立つように称呼され、例えば、通信販売を行う場合は、前半部分を目印にして需要者は検索し購入する可能性がある。特に、本件商標の権利者が、本件商標を「カンタフェワン」と片仮名で表示する場合、出所の混同はさらに高まる。

(イ)申立人商標の周知性

申立人らは、多数のドリップコーヒーや「かんたフェ/Cantafe」商品のシリーズを販売しているところ、需要者は「レギュラーコーヒー」を意味する図形部分と相侯って、本件商標は、申立人らの「かんたフェ/Cantafe」商品のシリーズと認識する可能性が高い。

したがって、本件商標を指定商品に使用すると、申立人らの業務に係る商品であると誤認し、その商品等の需要者が商品等の出所について混同するおそれがあり、さらに、申立人らと経済的又は組織的に何等かの関係がある申立人らの構成員の業務に係る商品等であると誤認し、商品等の出所について混同するおそれがある。

(ウ)むすび

以上によると、本件商標が本件指定商品に使用された場合、その商品の需要者が申立人らの業務に係る商品と出所について混同するおそれがある。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものである。

ウ 商標法第4条第1項第16号違反について

(ア)本件商標の図形部分の構成と指定商品の関係

上記1(1)アで述べたように、本件商標の図形部分は「レギュラーコーヒー」に関連する商品を端的に表わしたにすぎないものである。

そして、上記3(1)アで述べたように、需要者がレギュラーコーヒーとインスタントコーヒーとを間違えて購入する事例も指摘されているところであり、需要者が適切に区別できるような各社の努力も報告されている。

そうすると、本件商標の指定商品のうち、レギュラーコーヒー以外の商品(例えば、「インスタントコーヒー及びインスタントティー」「緑茶・紅茶・中国茶・ハーブティーその他の茶」等)に、本件商標を使用すると、需要者が「レギュラーコーヒー」と考えて購入したら「インスタントコーヒー」であった、「コーヒー」と考えて購入したら「紅茶」だったなどとし、商品の品質について誤認を生ずるおそれがある。

(イ)むすび

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当し、商標登録を受けることができないものである。

第4 当審の判断

1 申立人商標の周知性について

(1)申立人の主張及び同人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。

ア 申立人らは、2009年9月に「かんたフェ 抹茶カプチーノ」を発売し、以降、リニューアルを含め、約15年間で、「かんたフェ 珈琲カプチーノ」「かんたフェ ココアラテ」「かんたフェ 紅茶ラテ」「かんたフェ ジャパネスク」「かんたフェ 豆乳カフェ」「かんたフェ 金ごまカプチーノ」「かんたフェ 抹茶&檸檬」「かんたフェ 抹茶&青梅」「かんたフェ マサラチャイ」などを発売、「かんたフェ/Cantafe」商品をシリーズ化し、継続して販売国内外で販売しており、2010年4月頃から上記商品のパッケージ等には、使用商標が表示されている(以下、これらをまとめて「申立人商品」という。)(甲14、甲19、甲20、甲23)。

イ 申立人らは、申立人商品について、2011年及び2012年にウェブサイトに、2011年ないし2013年の間に新聞に広告を掲載し、2011年ないし2012年にテレビCMを行った(甲21、甲22)。

ウ 申立人の2024年2月14日付けニュースリリース記事には、かんたフェシリーズの人気No1商品の「かんたフェ ココアラテ」の売上が、1.5億杯を突破した旨の記載がある(甲20の8)。

(2)上記(1)によれば、申立人らは、2009年9月に申立人商品の販売を開始、以後、シリーズ化し、継続して販売していること、2011年ないし2013年の期間に、ウェブサイト、新聞及びテレビにおいて広告を行ったこと及び申立人商品の人気No1商品が相当数売上があったとしても、申立人商品に関する広告は、本件商標の登録出願日(2024年8月7日)の10年以上前のものしかなく、その他、申立人商品に係る広告・宣伝の方法、広告費等の詳細、及び我が国における申立人商品の売上高、販売数量など販売実績の詳細を客観的に確認できる証拠の提出はない。

その他、申立人の提出に係る証拠を総合してみても、使用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時に我が国の需要者の間において、申立人らの業務に係る商品を表示するものとして広く認識されていたものと認めるに足りる事実は見いだせない。

また、「CANTAFE」の欧文字及び「カンタフェ」の片仮名を二段に表してなる別掲2の構成からなる引用商標については、申立人の提出に係る証拠において、その使用を確認することができない。

そうすると、申立人の提出に係る証拠によっては、別掲2及び別掲3の構成からなる申立人商標が本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人らの業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。

2 商標法第4条第1項第11号該当性について

(1)本件商標について

本件商標は、別掲1のとおり、四隅に装飾を有する中心部の色が薄い茶色のグラディエーションの二重の四角枠線の内部に、コーヒーミル、コーヒー豆、コーヒーカップ等を配した図形(以下「本件図形部分」という。)及びその上部にややデザイン化した「KANTAFEONE」の文字(以下「本件文字部分」という。)を配した構成よりなるところ、本件文字部分と本件図形部分は、それぞれ重なり合うことなく、独立して表されていることから、視覚上分離して看取し得るものである。

そして、本件図形部分は、コーヒーに関連したものを並べた図形であると漠然と看取され、構成全体として、コーヒーミル及びコーヒー豆等を組み合わせたものと認識させ得るとしても、特定の意味合いを認識、理解させるものとはいえないから、これよりは、特定の称呼及び観念を生じるものではない。

一方、本件文字部分は、「KANTAFEONE」の文字からなるところ、同じ書体、同じ大きさで、文字間に余分なスペースもなく等間隔に、外観上まとまりよく一体的に表されており、また、該文字は、一般の辞書等に掲載がなく、特定の意味合いを有しない造語と理解される。そして、特定の語義を有しない欧文字からなる商標については、我が国において広く親しまれている英語風又はローマ字風の発音をもって称呼されるのが一般的といえるから、本願商標は、その構成文字に相応して「カンタフェワン」の称呼が生じ、特定の観念は生じないものである。

申立人は、本件図形部分は、「レギュラーコーヒー」に関連する商品を端的に表したにすぎず、自他商品識別標識としての機能を果たし得ず、また、本件文字部分について、その構成中の「ONE」の文字部分は、本件図形部分の上記意味合い及び本件商標の指定商品との関係で自他商品識別機能を発揮し得ないため、本件商標の要部は「KANTAFE」の文字部分である旨主張している。

しかしながら、本件文字部分の構成中、「KANTAFE」の文字は、一般の辞書等に掲載のない造語である一方、「ONE」の文字は「1の,1個の,一人の」等(出典:「新英和中辞典第7版」株式会社研究社)を表す語であるとしても、本件文字部分から生じる「カンタフェワン」の称呼も、格別冗長というべきものでなく、無理なく一連に称呼し得るものであり、本件文字部分のかかる構成においては、殊更に、「KANTAFE」の文字部分のみに着目し、これのみをもって取引に資されるというよりは、むしろ構成全体をもって一体不可分のものとして認識、把握され、取引されるとみるのが自然である。

したがって、本件商標からは、その構成文字に相応して「カンタフェワン」の称呼のみが生じ、特定の観念は生じないものである。

(2)引用商標について

引用商標は、別掲2のとおり、上段に「CANTAFE」の欧文字、下段に「カンタフェ」の片仮名を上下二段に横書きしてなるところ、下段の片仮名は、上段の欧文字の読みを表したものと容易に理解できるものである。

そして、その構成中の「CANTAFE(カンタフェ)」の文字は、一般の辞書等に掲載されている語ではなく、我が国において特定の意味合いを有する語として用いられているという事情も見当たらないことからすると、造語として認識されるというべきものである。

したがって、引用商標からは、その構成文字に相応して「カンタフェ」の称呼が生じ、特定の観念は生じないものである。

(3)本件商標と引用商標の類否について

本件商標と引用商標との比較において、本件商標は上記(1)の構成からなり、引用商標は上記(2)の構成からなるところ、外観において、両商標は、本件商標における「ONE」の欧文字、本件図形部分及び引用商標における「カンタフェ」の片仮名の有無の差異や、本件文字部分と引用商標の語頭の「K」と「C」の差異を有し、これらの差異が看者に与える影響は、決して小さいものとはいえず、両商標は、外観上、明確に区別し得るものである。

次に、称呼において、本件商標から生じる「カンタフェワン」の称呼と引用商標から生じる「カンタフェ」の称呼については、語頭の「カンタフェ」を共通にするものの、「ワン」の音の有無が相違し、語調、語感等が異なり、称呼上、明瞭に聴別できるものである。

さらに、観念において、本件商標及び引用商標は、いずれも特定の観念が生じないから、観念上、比較することができない。

そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較できないとしても、外観において明確に区別し得るものであり、称呼においても明瞭に聴別できるものであるから、両商標が与える印象、記憶、連想等を総合してみれば、商品の出所について誤認混同を生じるおそれはなく、非類似の商標というのが相当である。

(4)小括

上記のとおり、本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから、その指定商品が同一又は類似の商品であるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

3 商標法第4条第1項第15号該当性について

(1)引用商標の周知性の程度

上記1のとおり、申立人商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人らの業務に係る商品を表示するものとして、我が国における需要者の間に広く認識されているとはいえないものである。

(2)本件商標と申立人商標の類似性の程度

上記2(3)のとおり、本件商標と引用商標は、非類似の商標であるから、その類似性の程度は低いものである。

また、本件商標と使用商標を比較するに、本件商標は、上記2(1)のとおりの構成よりなり、使用商標は、別掲3のとおり、「Cantafe」の欧文字をやや湾曲して表し、その下部に、「かんたフェ」の文字とその両側に羽をモチーフにした図形(以下「使用図形部分」という。)を配した構成よりなるところ、外観において、両商標は、本件商標における「ONE」の欧文字、本件図形部分、使用図形部分及び使用商標における「かんたフェ」の文字の有無の差異や、本件文字部分と使用商標の語頭の「K」と「C」の差異、欧文字部分における大文字と小文字の差異を有し、これらの差異が看者に与える影響は、決して小さいものとはいえず、両商標は、外観上、明確に区別し得るものである。

次に、称呼において、本件商標から生じる「カンタフェワン」の称呼と使用商標から生じる「カンタフェ」の称呼については、語頭の「カンタフェ」を共通にするものの、「ワン」の音の有無が相違し、語調、語感等が異なり、両称呼は、称呼上、明瞭に聴別できるものである。

さらに、観念において、本件商標及び使用商標は、いずれも特定の観念が生じないから、観念上、比較することができない。

そうすると、本件商標と使用商標とは、観念において比較できないとしても、外観において明確に区別し得るものであり、称呼においても明瞭に聴別できるものであるから、両商標が与える印象、記憶、連想等を総合してみれば、商品の出所について誤認混同を生じるおそれはなく、非類似の商標であるから、その類似性の程度は低いものである。

(3)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品及び使用商標の使用商品の関連性、需要者の共通性

本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品中、第29類「コーヒー用クリーム,乳製品,乳飲料」、第30類「コーヒー及びココア,代用コーヒー,茶,コーヒー用砂糖(シロップ状のものを含む。),コーヒー抽出液,コーヒーエキス,コーヒーゼリー,菓子及びパン,調味料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと」及び第32類「乳清飲料」、並びに使用商標の使用商品である「コーヒー」と同一又は類似の商品であるから、商品の関連性は高いものであり、また、需要者も共通する。

(4)小括

以上よりすれば、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品及び使用商標の使用商品と関連性が高いものであり、その需要者を共通にするとしても、申立人商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人らの業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているものとはいえず、本件商標と申立人商標との類似性の程度は低いものである。

そうすると、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定商品について使用しても、需要者等が、申立人商標を連想又は想起することはなく、その商品が申立人らあるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないとするのが相当である。

その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

4 商標法第4条第1項第16号該当性について

申立人は、本件商標の図形部分は、「レギュラーコーヒー」に関連する商品を端的に表わしたにすぎないものであるから、本件商標の指定商品中、「レギュラーコーヒー」以外の商品に本件商標を使用すると、商品の品質について誤認を生ずるおそれがある旨主張している。

しかしながら、四隅に装飾を有する中心部の色が薄い茶色のグラディエーションの二重の四角枠線の内部に、コーヒーミル、コーヒー豆、コーヒーカップ等を配した構成からなる本件図形部分からは、上記2(1)のとおり、コーヒーミル及びコーヒー豆等を組み合わせたものと認識させ得るとしても、特定の意味合いを認識、理解させるものとはいえない。

また、申立人提出の証拠において、本件図形部分が、レギュラーコーヒーと認識されるというべき実情は見いだせないから、本件商標をその指定商品に使用しても、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるということはできない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当しない。

5 むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第16号のいずれにも違反してされたものではなく、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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