結論テキスト
登録第6918191号商標の商標登録を維持する。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2025900133 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本件登録第6918191号商標(以下「本件商標」という。)は、「富士山のまあるい水」の文字を標準文字で表してなり、令和6年6月6日に登録出願、第32類「飲料水,ミネラルウォーター,清涼飲料,炭酸水,フレーバーを加えた飲料水」を指定商品として、同年12月16日に登録査定、同7年4月11日に設定登録されたものである。
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は取り消されるべきである旨申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第24号証を提出した。
商標制度は、商標を通じて商品やサービスの出所を明確にし、消費者の利益を守るとともに、正当な事業活動を保護する制度である。
本件異議申立ては、先に正当な事業活動のもと商品名として使用されてきた「富士山のまあるい水」という商品名称に対して、出願時及び登録時に商標を使用していない実態のない個人による出願が行われ、登録に至った事案であり、本件異議申立ては出願の不正性、混同のおそれ、商標制度の趣旨に反する点を明らかにし、商標登録の取り消しを求めるものである。
(1)申立人の正当な事業実態とブランド活動
申立人であるGLOBAL ROUND株式会社は、2023年8月に新たに設立された法人であるが、その代表者及び共同経営者は、設立以前には株式会社AVINTI(以下「AVINTI社」という。)において役員として活動していた。
「富士山のまあるい水」は、もともとAVINTI社により企画・開発・販売が行われていた商品であり、当時より「まあるい」という名称を中心としたブランド構築がなされていたが、申立人の設立に伴い、当該商標に関する使用権及び関連権利は正式にAVINTI社より申立人へ移転されている。
このように、「まあるい水」は、申立人関係者による一貫した使用実態と商標の継承のもとに展開されてきたものであり、本件商標権者による不正な商標取得とは全く異なる実績と正当性を有している。
OEM製造元としては、株式会社富士山の天然水、その後、多摩岡産業株式会社(以下「多摩岡産業」という。)と製造委託契約をし、製造から販売まで一貫した事業活動を行ってきた。
また、ブランド戦略として「まあるい」シリーズを計画し、令和5年2月13日に「まあるい」を第32類で商標出願し、同年10月17日に登録査定(登録第6745528号)されており、この「まあるい」という語は、商品名の中核的な識別部分を形成し、事業戦略上の重要な位置づけを有している。
(2)「富士山のまあるい水」の先使用実績と周知性
AVINTI社は、令和5年3月31日公式にプレスリリースを発行、「富士山のまあるい水」の販売告知をし、同年6月よりネット及び店頭販売を開始、さらに「富士山のまあるい水」は、下記の実績を通じて、同名称は国内外に広く流通し、販売、ブランド戦略において、すでに露出をしており、消費者に認知されている。
ア 販売場所
東急ストア、羽田空港第2ターミナル売店、虎ノ門ヒルズURBAN FAMIMA(期間限定)、Amazon(ネット販売)、Stores(ネット販売)、メルカリショップ(ネット販売)
イ 展示会出展による展示とサンプル配布
(ア)令和5年6月21~23日 日本の食品輸出EXPO2023(ビッグサイト)
(イ)令和5年10月3日 地方銀行フードセレクション2023(ビッグサイト)
(ウ)令和5年11月5日~10日 第6回中国国際輸入博覧会(上海)
(エ)令和6年3月21日~23日 第49回中国北京国際礼品、贈品及び家庭用品展(JETROブース 北京)
(オ)令和6年6月19日~21日 日本の食品輸出EXPO2024(ビッグサイト)
ウ その他露出
(ア)令和6年1月 能登半島地震被災地支援「富士山のまあるい水」1,080本寄贈
(イ)令和6年3月 スカパー及びひかりTVでのテレビショッピング20回放映
(ウ)令和6年8月 成城学園高等学校及び成城大学女子バスケットボール部240本寄贈
これらの実績により、「富士山のまあるい水」の名称は、単なる表現を超え、申立人の商品を特定する標章として機能している。
(3)引用商標との類似性と混同のおそれ(商標法第4条第1項第11号及び同項第15号)
本件商標「富士山のまあるい水」は、引用商標と主要構成部分が同一であり、指定商品も完全に一致している。
両商標は類似し、需要者の間で混同を生じるおそれが極めて高いといえ、本件商標がこのまま登録維持されれば、既に販売実績を有する申立人の商品との間で出所混同が生じる危険があり、また、ブランド価値の毀損、顧客の信頼失墜、商品混同による損失が発生するおそれが極めて高い状態である。
(4)本件商標権者の実態と不正目的による出願(商標法第4条第1項第19号)
申立人が「富士山のまあるい水」の名称で継続的に販売している事実は、国内外展示会、商談会、インターネット上、及び流通現場にて周知されており、本件商標権者がこれを認識した上であえて同一名称の商標を出願したことは明白である。
本件商標は、一般的でない「まあるい水」という独自表現であり、偶然の一致とは考え難く、申立人の信用、ブランド戦略、顧客吸引力に便乗する目的で行われた不正な出願であり、商標の取得目的が不正な利益を得ることにあると判断されると考えられる。
本件商標権者は、法人でも事業者でもなく、商標出願時点で「富士山のまあるい水」に関する製造・販売の実態は一切確認されていない。
特に注目すべきは、申立人が令和6年6月5日にOEM先である多摩岡産業に「富士山のまあるい水」のサンプルとラベルデータを提供した翌日、令和6年6月6日に本件商標が出願された点であり、さらに、出願後の6月7日以降、多摩岡産業から当該商品のデザイン案・修正・最終入稿のやり取りが継続して行われており、実際の使用主体は本件商標権者ではなく、多摩岡産業であると強く推認される。
また、多摩岡産業から申立人に対して「商標権が無いなら損害賠償請求をする」との発言があり、商標の支配を目的とした圧力行為が行われていることも確認されている。
さらに、甲第24号証のメールのやり取りからも、多摩岡産業が実質的に当該商標の支配を意図している実態が明らかであり、上記メールの文面からも明らかなように、多摩岡産業は、申立人に対し「商標権の所在」を執拗に確認しつつ、「権利がなければ契約違反」「生産中止を伝えた」といった発言を繰り返しており、本件商標権者ではなく、多摩岡産業が主導して商標の支配・交渉を行っている構図が如実に表れている。
これは明らかに、商標制度の本旨である「業としての使用意思」に基づかないものであり、形式上は個人の出願であるものの、実質的には第三者企業(多摩岡産業)による不正な商標取得の試みであると強く推認される。
申立人の信用やブランド戦略を悪用する不正なものであり、商標の使用目的が不正な利益を得ることにある。
特に本件商標権者は実際に商標を使用しておらず、第三者(多摩岡産業)が事実上の利得を得ようとしているため、本件商標は商標法第4条第1項第19号「不正の目的をもって使用をする商標」に明確に該当するものであり、本件商標の登録は取消されるべきものと考える。
(5)結論
以上のとおり、本件商標は先使用者である申立人の「まあるい」ブランドの実績を無視した不正出願であり、かつ混同の危険性をはらんだ登録である。このような不正出願は制度の信頼を損なうものである。
申立人は、今後も「まあるい」ブランドを第32類で継続・拡大する計画であり、商標法の趣旨及び条文に則り、正当な事業者が築き上げたブランドと信用を守るため、また、商標制度の健全な運用のためにも、本件商標の登録取り消しを強く求める。
申立人の主張及び提出に係る証拠によれば、申立人は、コーヒー事業、水事業及び酵素事業を事業内容とする、令和5年(2023年)8月4日に設立された法人であり、その主な製品の一つが、「富士山のまあるい水」の文字を使用した天然ミネラルウォーター(以下「申立人商品」という。)であって(甲4)、申立人商品は、2023年(令和5年)3月31日のAVINTI社によるプレスリリース(甲6)後の同年6月から販売が開始され、2023年(令和5年)6月~2024年(令和6年)6月に展示会に出展されたこと(甲7~甲11)、スカパー・ひかりTVのテレビショッピングで申立人商品が放映されたこと(甲13)、及び複数の店舗及びオンラインストアで販売され(甲14)、申立人商品のチラシ(甲5)や製品提案用プレゼン資料(甲20)が作成されたことがうかがえる。
しかしながら、申立人商品の販売期間は、本件商標の登録出願日(令和6年6月6日)までに約1年と短いものであり、また、展示会の出展者数、来場者数等の規模は明らかでなく、スカパー・ひかりTVのテレビショッピングでの放映期間は1週間であり、その1週間に20回放映されたにすぎないものであって、当該放映により申立人商品が需要者に広く知られたとはいい難いものである。さらに、申立人商品のチラシ(甲5)及び製品提案用プレゼン資料(甲20)は、作成日、配布部数やプレゼン回数等も不明である。
また、申立人商品の周知性の度合いを客観的に判断するための資料、すなわち、申立人商品の売上高や市場シェアなどの販売実績等の具体的な証拠が提出されていないから、本件商標の登録出願時及び登録査定時における使用商標の周知性の程度を推し量ることはできない。
その他、申立人の提出に係る証拠を総合してみても、使用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めるに足りる事実は見いだせない。
そうすると、使用商標「富士山のまあるい水」は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品を表すものとして、需要者の間に広く認識されるに至っていたと認めることができない。
(1)本件商標
本件商標は、「富士山のまあるい水」の文字を同書、同大、等間隔でまとまりよく一体的に書してなるものであり、その構成文字に相応して「フジサンノマアルイミズ」の称呼を生じるものである。
そして、本件商標は、その構成中の「富士山」の文字は、「日本の最高峰で、標高3776メートル」の山の名称(デジタル大辞泉:https://kotobank.jp/word/%E5%AF%8C%E5%A3%AB%E5%B1%B1-124424#E3.83.87.E3.82.B8.E3.82.BF.E3.83.AB.E5.A4.A7.E8.BE.9E.E6.B3.89)を表す語であり、また、「まあるい」の文字は、辞書に記載は無いものの、「円または球の形をしている。」を意味する「まるい(丸い/円い)」(デジタル大辞泉:https://kotobank.jp/word/%E4%B8%B8%E3%81%84-636070)に通ずる語として一般に使用されている語であって、これらの語を格助詞「の」を介して連結し、語尾に「水」の文字を配した構成からなるものであり、いずれも親しまれている語であるから、各語の意味から漠然とした意味合いを理解させることがあるとしても、その構成文字全体から特定の意味合いを想起させるとはいえないものである。
そうすると、本件商標からは、「フジサンノマアルイミズ」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
(2)引用商標
引用商標は、「まあるい」の文字からなり、辞書に記載は無いものの、「円または球の形をしている。」を意味する「まるい(丸い/円い)」に通ずる語として親しまれているものであるから、その構成文字に相応して、「円又は球形」程の観念を生じるものである。
(3)本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標を比較してみると、両者は「まあるい」の文字を共通にするとしても、その構成文字全体が異なるから、外観において明確に区別でき、称呼において構成音及び音数が異なるから明瞭に聴別でき、観念においては、本件商標からは観念が生じないのに対し、引用商標からは「円又は球形」程の観念が生じるから、観念において相紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標である。
(4)小括
以上のとおり、本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品が同一又は類似の商品であるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
前記2のとおり、引用商標は本件商標とは非類似の商標である。そして、引用商標については、その周知性を判断するための客観的な証拠の提出はなく、具体的な使用状況等について確認することができないから、引用商標が申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
そうすると、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者をして、引用商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が、他人(申立人)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係がある者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標について、出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
申立人は、申立人が「富士山のまあるい水」の名称で継続的に商品を販売していることを認識した上で、本件商標権者が同一名称を出願したことは明白で、当該出願は申立人の信用やブランド戦略を悪用する不正なものであり、商標の使用目的が不正な利益を得ることにある。特に、本件商標権者は本件商標を使用しておらず、第三者(多摩岡産業)が事実上の利益を得ようとしていると推認できるため、「不正の目的をもって使用する商標」に該当する旨主張している。
しかしながら、申立人の提出した証拠からは、申立人と多摩岡産業が取引関係にあったことは確認できるものの、本件商標権者と多摩岡産業の関係を確認できるものは見いだせず、さらに、本件商標権者が申立人の販売する商品を認識した上で本件商標を出願したことを客観的に裏付ける証拠も確認できないから、上記申立人の主張は憶測の域を出ないものといわざるを得ない。
また、申立人は、申立人が令和6年6月5日にOEM先である多摩岡産業に「富士山のまあるい水」のサンプルとラベルデータを提供した翌日、令和6年6月6日に本件商標が出願されており、実際の使用主体は本件商標権者ではなく、多摩岡産業であると推認される旨主張しているが、上記のとおり、申立人の提出した証拠からは、本件商標権者と多摩岡産業の関係を確認できるものは見いだせないものであるから、当該主張を採用することはできない。
そして、前記1のとおり、使用商標は申立人(他人)の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標とは認められないものであり、本件商標権者が使用商標にただ乗りするなど不正の目的をもって本件商標を使用するものであると認めるに足りる証拠の提出はなく、本件商標権者が、本件商標を不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用をするものということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものではなく、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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