結論テキスト
登録第6923894号商標の商標登録を維持する。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2025900147 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本件登録第6923894号商標(以下「本件商標」という。)は、「ONE Viewer」の欧文字を横書きしてなり、令和6年9月30日に登録出願、第9類、第35類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和7年4月17日に登録査定され、同月28日に設定登録されたものである。
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する登録商標であり、いずれも現に有効に存続している。
なお、これらの商標をまとめていうときは「引用商標」という。
商標の態様:TEAMVIEWER
登録出願日:平成28年11月29日
設定登録日:平成29年11月17日
指定商品及び指定役務:第9類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務
商標の態様:別掲1のとおり
登録出願日:平成28年11月29日
設定登録日:平成29年7月28日
指定商品及び指定役務:第9類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務
商標の態様:別掲2のとおり
登録出願日:平成28年11月29日
設定登録日:平成29年11月17日
指定商品及び指定役務:第9類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務
商標の態様:TEAMVIEWER PILOT
登録出願日:平成31年1月23日
優先権主張日:2018年(平成30年)9月3日(欧州連合知的財産庁)
設定登録日:令和元年8月30日
指定商品及び指定役務:第9類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務
商標の態様:別掲3のとおり
登録出願日:平成31年1月23日
優先権主張日:2018年(平成30年)9月3日(欧州連合知的財産庁)
設定登録日:令和元年8月30日
指定商品及び指定役務:第9類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務
商標の態様:TEAMVIEWER TENSOR
登録出願日:平成31年2月28日
設定登録日:令和2年5月11日
指定商品及び指定役務:第9類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務
商標の態様:TEAMVIEWER REMOTE MANAGEMENT
登録出願日:平成31年3月14日
優先権主張日:2019年(平成31年)2月26日(欧州連合知的財産庁)
設定登録日:令和2年6月18日
指定商品及び指定役務:第9類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務
商標の態様:別掲4のとおり
登録出願日:平成31年3月14日
優先権主張日:2019年(平成31年)2月26日(欧州連合知的財産庁)
設定登録日:令和2年6月18日
指定商品及び指定役務:第9類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務
商標の態様:TEAMVIEWER BACKUP
登録出願日:平成31年3月14日
優先権主張日:2019年(平成31年)2月26日(欧州連合知的財産庁)
設定登録日:令和2年6月18日
指定商品及び指定役務:第9類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務
商標の態様:別掲5のとおり
登録出願日:平成31年3月14日
優先権主張日:2019年(平成31年)2月26日(欧州連合知的財産庁)
設定登録日:令和2年6月18日
指定商品及び指定役務:第9類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務
商標の態様:TEAMVIEWER ENDPOINT PROTECTION
登録出願日:平成31年3月14日
優先権主張日:2019年(平成31年)2月26日(欧州連合知的財産庁)
設定登録日:令和2年6月18日
指定商品及び指定役務:第9類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務
商標の態様:別掲6のとおり
登録出願日:平成31年3月14日
優先権主張日:2019年(平成31年)2月26日(欧州連合知的財産庁)
設定登録日:令和2年6月18日
指定商品及び指定役務:第9類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務
商標の態様:TEAMVIEWER MONITORING & ASSET MANAGEMENT
登録出願日:平成31年3月14日
優先権主張日:2019年(平成31年)2月26日(欧州連合知的財産庁)
設定登録日:令和2年6月18日
指定商品及び指定役務:第9類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務
商標の態様:別掲7のとおり
登録出願日:平成31年3月14日
優先権主張日:2019年(平成31年)2月26日(欧州連合知的財産庁)
設定登録日:令和2年6月18日
指定商品及び指定役務:第9類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務
商標の態様:TEAMVIEWER MEETING
登録出願日:令和元年5月17日
優先権主張日:2019年(平成31年)3月13日(欧州連合知的財産庁)
設定登録日:令和2年6月18日
指定商品及び指定役務:第9類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務
商標の態様:TEAMVIEWER IOT
登録出願日:令和2年8月11日
優先権主張日:2020年(令和2年)8月3日(欧州連合知的財産庁)
設定登録日:令和3年12月2日
指定商品及び指定役務:第9類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務
商標の態様:TEAMVIEWER ENGAGE
登録出願日:令和3年4月26日
優先権主張日:2021年(令和3年)4月7日(欧州連合知的財産庁)
設定登録日:令和4年3月29日
指定商品及び指定役務:第9類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務
商標の態様:TEAMVIEWER ASSIST AR
登録出願日:令和3年4月26日
優先権主張日:2021年(令和3年)4月9日(欧州連合知的財産庁)
設定登録日:令和4年5月19日
指定商品及び指定役務:第9類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務
申立人は、本件商標は、商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第16号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第58号証を提出した。
(1)本件商標について
本件商標は、「ONE」と「Viewer」の欧文字を結合してなり、第9類、第35類、第42類を指定して令和6年(2024年)9月30日に登録出願、令和7年(2025年)4月28日に設定登録されたものである(甲1)。
(2)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本件商標の構成中「ONE」の文字は、代名詞(数詞)として「一つ、一人、一個」等の意味が、名詞として「1、1の数字、1つのもの」等の意味がある非常に基本的で平易な英単語であり、我が国における広く一般的な英語の水準を考慮すれば、取引者、需要者の間に広く理解されている語である。
また、「Viewer」の文字は、「テレビなどの視聴者、検査官」などを意味する英語の名詞であり(甲2)、コンピュータソフトウェアを取り扱う業界において「コンピュータ上のデータやファイル、あるいは何らかの外部の対象物を表示・閲覧するための機器やソフトウェア」を表す用語として「Viewer」「ビューワ」「ビューア(ー)」が普通に使用されている実情がある(甲2及び甲3)。更に、本件商標が指定する医療業界においても、医療用画像を表示するためのソフトウェアのことを「ビューア」と称している事実がある(甲4)。
そうすると、本件商標は、全体として「一つのソフトウェア」程の意味合いを表す語を平易な英語で表したものと認められ、「コンピュータソフトウェア」に関連する指定商品・指定役務に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、「一つのソフトウェア」の意味合いを容易に理解、認識するにとどまるものである。
実際に、インターネットにおいて「ワンビューア」をキーワード検索すると、ソフトウェア会社のウェブページにおいて、「3次元モデルと2次元図面を無料ビューアで表示・・・1つのビューアで表示できます。・・・」(甲5証)、「無料のオンラインONEビューア」「ONEビューアを使用すると・・・」「無料のオンラインONEビューアーアプリを使用する理由」(甲6)等の記載が認められる。
このような事実を考慮すれば、本件商標は、単に商品の用途、数量等並びに役務の効能、用途等を普通に用いられる方法で記してなるから、自他商品(役務)の識別標識としての機能を果たし得ず、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。
また、「コンピュータソフトウェア」に関連する指定商品・指定役務以外の商品・役務に使用する場合には、商品の用途又は役務の効能等について誤認混同を生じさせるおそれがあるものといわなければならず、商標法第4条第1項第16号に該当するものである。
(1)各引用商標について
引用商標1は、欧文字「TEAMVIEWER」を横一列に表してなり、その外観は、同書・同大・等間隔に表されているものであって、視覚上、全体としてまとまりよく一体的に看取されるものである。また、「TEAM」の語は「〔スポーツの〕チーム、〔共同で仕事をする〕チーム・班・団、団体の」等を意味する平易な英単語であり、「VIEWER」の語は上記1(2)にて述べたとおりであるから、引用商標1全体で「チームビューワー」の称呼が生じ、「チーム/団体のソフトウェア」の観念が生ずる。
引用商標2及び3の外観は、四角形の内側に白い円が配置され、その円の内側に左右両方に矢印が描かれた線を配した図形と、当該図形の右隣に太字の「TEAM」と細字の「VIEWER」の欧文字を横一列に配置してなる。なお、文字部分の称呼・観念は、同じ単語で構成されている引用商標1と同一である。
引用商標4、6、7、9、11、13、15ないし18は、引用商標1に「PILOT」「TENSOR」等の語を追加してなるから、引用商標1のシリーズ展開であることが理解でき、「チームビューワー○○(○○には、パイロット,テンサー等の追加した語の称呼が入る)」の称呼が生じる。
引用商標5、8、10、12及び14は、引用商標2及び3の「TeamViewer」部分と同一の構成の欧文字を配し、その下段に「Pilot」等の語を配置し、文字列2段の左側に図形を配置してなる。なお、図形部分は、四角形の内側に白い円が配置され、引用商標5、8、10及び12の円の内側には矢印を含む図形が、引用商標14の円の内側にはパソコン画面を想起させる図形が配置されており、引用商標2及び3と共通の構成を採るものである。これらのことから、引用商標2及び3のシリーズ展開であることが理解でき、「チームビューワー○○(○○には、文字列2段目に記載されたパイロット,バックアップ等の追加した語の称呼が入る)」の称呼が生じる。
(2)各引用商標の周知性について
申立人(以下「TeamViewer社」という場合がある。)は、2005年にドイツにて創業したソフトウェア会社を由来とする(甲25)、リモート接続ソリューションのリーディンググローバルプロバイダーである。
2018年には、60カ国以上で700人以上の従業員を擁するグローバル企業となり、東京に初の日本オフィスを開設した(甲26)。なお、日本オフィスには、2022年12月に、経験豊富なITスペシャリストであるF氏をマネージングディレクターに迎えてもいる(甲27)。
2019年6月21日は、「創業10周年を迎えた2015年10月には、TeamViewerは10億台のデバイスで有効化され、設立以来、TeamViewerのソフトウェアは世界中で20億台以上のデバイスにインストール、20億個の固有IDが使用されている」ことが公表された(甲28)。
また、2019年9月24日に発表されたプレスリリースには、ドイツのフランクフルト証券取引所への上場決定が発表された(甲29)。なお、上場時の新規公開株式額(IPO)は22億ユーロであって、これは2000年代初頭以来のドイツのテクノロジー企業によるIPOとしては最大規模であり、2019年のヨーロッパにおけるIPOとしても最大規模となった(甲30)。
更に、2019年12月に中国湖北省武漢市から発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行時においては、ロックダウンにより世界中の人々の外出が制限されたため、リモートワークへのシフトが急務となり、TeamViewer社のソフトウェアが大いに寄与することとなった(甲31)。また、厳格な緊急事態宣言による行動規制を行った日本においても、TeamViewer社のリモート接続サービスの需要は大幅に拡大し、2020年3月13日配信の「日経クロステック」(甲30)によると、「日本での有料ユーザー数は1万6000以上」と報道されている。なお、コロナ終息宣言後においても、働き方改革の一環として企業等はリモートワークを継続しており、「2024年版ベスト・リモートアクセスソフトウェア&ツール17選」(甲32)によると、申立人のソフトウェアがお勧めの2番目にリストアップされるほど、日本でも格段に認知度が上がっている。
また、2021年3月には、世界屈指の人気・規模を誇るサッカークラブであるマンチェスター・ユナイテッドより「TeamViewer社とシャツスポンサー契約を締結した」ことが発表され、契約金は5年間(2021-2022及び2023-2024シーズン)で2億7500万ユーロ相当と報道され話題となった(甲33)。このことは日本でも2023年10月24日付の「日刊工業新聞」(甲34)や「マイナビニュース」(甲35)等でも大きく報道されている。
そして、2021-2022及び2022-2023シーズンのマンチェスター・ユナイテッドのユニフォームの前面には、引用商標2が大きくプリントされており(甲36~甲38)、申立人の商標がリモートワークに馴染まない職種の人々の目にも入るようになった。マンチェスター・ユナイテッドは「SNSのフォロワーが多いクラブTOP10」で第3位にランクインするほど、世界中で愛されているクラブの一つであり(甲39)、日本でもファンは多く、歴代のユニフォームは現在でも多数売買されているほどの人気を誇る(甲40)。
更に、2021年5月には、メルセデスAMGペトロナスF1チームが、TeamViewer社との5年間のパートナーシップを締結したことを発表した(甲41)。TeamViewer社は、メルセデスAMGペトロナスF1チーム及びメルセデスEQフォーミュラEチームと提携し、両チームとも車両とドライバーのレーシングスーツにTeamViewer社のブランドを使用した(甲41~甲43)。なお、メルセデスAMGペトロナスF1チームも出場した、2024年4月5~7日に三重県の鈴鹿サーキットで開催された2024年F1第4戦『MSC CRUISES JAPANESE GRAND PRIX』の観客動員数は、3日間で22万9000人を数えた(甲44)。この期間内には、玩具メーカーのレゴジャパンが、メルセデスF1の2023年型マシン『W14 E PERFORMANCE』の実物大モデルをレゴブロックで制作・世界初披露したことでも話題になっており、レゴブロックの車体にも引用商標2が描かれているのが分かる(甲45)。
その他、2021年の時点において、トヨタのドイツ法人向けにAR技術ソリューション技術を、オーストリアの大手銀行向けにビデオ通話やチャットでの顧客対応を実現する技術の導入に協力している。また、日本国内においても、環境シミュレーション研究所とさくらインターネット、京セラ、リコージャパンなど多数の顧客とのパートナーシッププログラムを締結した(甲46及び甲47)。なお、日本におけるパートナーシッププログラム締結企業数は、2020年の56社から2021年には144社に増加、遠隔制御や拡張現実等の分野における成長率は、2020年と比べて55%もの増加となった(甲48)。
また、2024年2月には、韓国自動車大手ヒュンダイと提携していることもニュースになっている(甲49)。
これらの結果、設立以来、TeamViewer社のソフトウェアは世界中で25億台以上のデバイスにインストールされ、世界中で1,500名以上の従業員を雇用し、世界中のあらゆる産業に660,000人もの顧客を抱えることとなった(甲25)。
このように、申立人は、申立人の業務(IT領域、デバイス間の接続や遠隔制御、ワークフロー支援、拡張現実などによる現場支援に関する商品・サービス等)に各引用商標を使用している(甲48)。また、日本国内だけでも多数の企業にサービスを提供しており、それらの事実は「アイティメディア株式会社」のニュースサイト「ITmedia」だけでも140回近くにわたり報道されている(甲50)。
なお、申立人は長年にわたり、数々の賞や表彰を受けていることも申し添える:
テクノロジーを社会貢献の力にするというコミットメントが認められ、HGインサイト傘下のTrustRadius社より「2025年 Tech Cares賞(教育支援部門)」を受賞(甲51)、2024年Microsoft Apps & Solutions for Microsoft Teamsパートナー・オブ・ザ・イヤー賞を受賞(甲52)、TrustRadius社より、リモートサポート、リモートデスクトップ、ビデオ会議の各カテゴリーで、2024年に複数の賞を受賞、G2の2024年春季レポートにおいて、「最速実装」賞を受賞(甲53)、アメリカの老舗ウェブサイト「SourceForge」より、好意的なレビューを受けた上位5%にランクされたとして、リモート接続部門で「2024年夏季リーダー賞」を受賞(甲54)、XR Todayより「XRアワード2024」を受賞(甲55)、マイクロソフト社より「2024年度Teamsパートナー・オブ・ザ・イヤー」を受賞(甲56)、アイティクラウド株式会社のレビュープラットフォーム「ITreview」より、「リモートアクセスツール部門」の「ITreview Grid Award 2024 Winter」をTeamViewerジャパンが受賞(甲57)。
したがって、申立人の商標は、本件商標の出願時(令和6年9月30日)及び査定時(令和7年4月22日)において、申立人の業務に係る商品・役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているというのが相当である。
(3)出所の混同について
上述のとおり、各引用商標は本件商標の出願時及び査定時において我が国において周知されており、その周知性は、現在においても継続しているものと認められる。なお、本件商標と各引用商標は非類似の商品・役務も含まれるが、申立人の商標中「Viewer」の語が共通し、かつ、「Team」の反意語である「ONE」の語を「Viewer」の前に結合した構成をとっている(甲58)。
更に、本件商標に係る商品・役務は、申立人の登録商標に係る指定商品・指定役務の一部と共通又は類似し、その需要者はパソコンを使用する者であって、特別の専門的知識を有する者ではない点で共通する。とすれば、本件商標と各引用商標の需要者はともに一般消費者と考えられ、申立人の商標の周知性は、本件商標の指定商品・指定役務の需要者にも及んでいると認められる。
これらの事由を考慮すると、商標権者が本件商標を指定商品・指定役務について使用するときは、これに接した需要者・取引者は、申立人やその日本法人(TeamViewerジャパン)と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務等であると誤認し、その商品等の需要者が商品等の出所について混同するおそれがあると言わざるを得ない。
(4)小括
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反してなされたものである。
上述したように、各引用商標(特に引用商標2)が、我が国及び外国において、本件商標の出願時及び査定時において、申立人の業務に係る商品の出所を表示するものとして需要者の間に広く知られていたことは明らかである。また、周知の引用商標の使用に伴って蓄積された固有かつ強力な識別力を有する。一方、本件商標は、申立人の商標中「Viewer」において共通し、「Team」の反意語である「ONE」の語を「Viewer」の前に結合した構成からなり、申立人の商標と何らかのつながりを連想させる。
してみれば、本件商標は、既に我が国を含む世界中において需要者の間に広く認識されている各引用商標を利用するものであり、それらが有している顧客吸引力へのただ乗り又は希釈化を意識した、不正の目的をもって出願されたものといわざるを得ない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第19号の規定に違反してなされたものである。
以上、本件商標登録に係る商標は、商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第16号、同項第15号及び同項第19号に該当し商標登録を受けることができないものであるから、本件商標登録は商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものである。
本件商標は、前記第1のとおり「ONE Viewer」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成中「ONE」の文字は、「1,1つ(の)」等の意味を有し、「Viewer」の文字は、「(テレビの)視聴者、見る人」等の意味を有する語(いずれも「ジーニアス英和辞典 第5版」株式会社大修館書店)であるところ、それら構成各文字の語義を結合した場合には、その意味合いは漠然とし、具体的な意味合いを認識させるとはいい難いことから、その構成文字全体として一種の造語として把握されるというのが相当である。
そして、申立人は、本件商標の構成中「Viewer」の文字に関し、医療業界において、医療用画像を表示するためのソフトウェアを「ビューア」と称していること(甲4)、及び本件商標に接する取引者、需要者は、本件商標から「一つのソフトウェア」の意味合いを容易に理解、認識させ、本件指定商品及び指定役務に関連するソフトウェア等のウェブページにおいて、「ONEビューア」など(甲5及び甲6)の文字が使用されている事実があることからすると、本件商標は、自他商品役務の識別標識として機能を果たしていない旨、また、本件商標を「コンピュータソフトウェア」に関連する指定商品及び指定役務以外の商品及び役務に使用する場合には、商品の用途又は役務の効能等について誤認を生じさせるおそれがある旨主張している。
しかしながら、申立人の提出する証拠からは、「ONEビューア」の文字は散見されるものの、それが「一つのソフトウェア」程の意味合いで使用されているとはいえず、本件商標の指定商品及び指定役務の具体的な品質又は質を表示するものとして需要者に認識されているというような証拠も見いだせない上、本件商標の指定商品及び指定役務との関係性も確認できないことからすれば、当該証拠によっては、「ONE Viewer」の文字が、需要者に、どのように看取されるのかを具体的に把握することができない。
そうすると、本件商標を指定商品及び指定役務について使用した場合、これに接する取引者、需要者がその指定商品及び指定役務の具体的な品質又は質等を表すものとして認識するとはいえず、むしろ、特定の意味合いを認識させることのない一種の造語として認識し、把握されるとみるのが相当である。
してみれば、本件商標は、その指定商品及び指定役務との関係において、自他商品及び役務の識別標識としての機能を果たし得るものであり、かつ、商品の品質又は役務の質について誤認を生じさせるおそれはないものである。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しない。
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
(ア)甲第27号証によれば、申立人は、2005年にドイツで設立された、リモート接続サービスを行う法人である。
また、申立人のウェブサイト(2019年6月21日)によれば、申立人のソフトウェアは「TeamViewer」の名称で、世界中で20億台以上のデバイスにインストールされ、20億個の固有IDが使用されているとの記載がある(甲28)。
(イ)「日経XTECH」(2020.03.13)によれば、「PC遠隔操作ソフトは新型コロナ対策に役立つ、CTOが明かす意外な活用法」の見出しの下、「リモート接続サービス「TeamViewer」のインストール数は世界で20億超。年間で動いているデバイスは3億2000万台。46万の契約ユーザーを持ち、2019年の売上高は前年比41%増の約3億2500万ユーロ(約390億円)だ。」の記載がある(甲30)。
(ウ)「2024年版ベスト・リモートアクセスソフトウェア&ツール17選」(2024.04.05)と題するウェブサイトによれば、「私たちが選んだ最高のリモートデスクトップソフトウェア」として、申立人のリモートアクセスソフトウェア「TeamViewer」が2番目に記載されている(甲32)。
(エ)イギリスの「ガーディアン紙」(2021年3月19日)によれば、「マンチェスター・ユナイテッド、TeamViewerと2億3500万ポンドのシャツスポンサー契約を締結」の記事が掲載されている(甲33)。また、「日刊工業新聞 電子版」(2025年9月17日)には、「チームビューワー、マンチェスター・ユナイテッドのDXを支援」(甲34)及び「マイナビニュース」(2023.10.24)には、「マンUがTeamViewerのソリューションでデータ分析やコンテンツ活用を強化」(甲35)との記事が掲載されている。
(オ)甲第36号証ないし甲第38号証によれば、マンチェスター・ユナイテッドの2021~2022及び2023~2024の新ユニフォームには、「TeamViewer」の文字がプリントされている。また、メルセデスAMGペトロナスF1チームが、2021年ないし2023年頃に、デジタルトランスフォーメーションを通じ業務効率を向上させるため、「TeamViewer」とのパートナーシップ契約を行った旨の記事が掲載されている(甲41、甲42)。
(カ)申立人は、リコージャパンをはじめとする日本企業と、リモート接続サービス等のパートナーシッププログラムを締結し(甲47及び甲48)、2021年において、パートナーシッププログラムを締結した企業数は、2020年の56社から144社に増加した(甲48)。
(キ)申立人のウェブサイトによれば、「2024年7月24日 TeamViewer、SourceForgeの2024年夏季レポートでリモートサポートリーダーに選出」の見出しの下、「TeamViewerは、世界有数のソフトウェアレビューWebサイトであるSourceForgeのリモート接続部門で2024年サマーリーダー賞を受賞しました。」と記載されている(甲54)。また、「XR TODAY」(2024年11月20日)によれば、「TeamViewerがMicrosoftTeams、Copilot、Azure OpenAIとの統合を実現-Ignite 2024」の見出しの下、「MicrosoftがTeamViewerを2024年度Teamsパートナー・オブ・ザ・イヤーに選出したとのことです。この受賞は、TeamViewerとMicrosoftTeams及びCopilot AIサービスの最近の連携に関連している。」の記事が掲載されている(甲56)。さらに、「ITreview」のウェブサイトによれば、「リモートアクセスツール部門」の見出しの下、5年連続で申立人の「TeamViewer」がITreviewで投稿されたレビューにおいてユーザーが高く評価した製品であるとして、「ITreview Grid Award 2024 Winter」で表彰された内容の記事が掲載されている(甲57)。
イ(ア)上記ア(エ)及び(キ)によれば、申立人は、イギリスのサッカーチーム「マンチェスターユナイテッド」やモータースポーツのF1チーム「メルセデスAMGペトロナス」と複数年にわたり、スポンサー又はパートナーシップ契約を結び、そのことがイギリスの新聞や日本の新聞及びネットニュース等で報道された(甲33~38、甲41及び甲42)。さらに、申立人は、日本の企業との間でリモート接続サービスを行い、その企業数は2021年に144社となった(甲47、甲48)。
そして、申立人の引用商標に係る商品又は役務が、海外のソフトウェアレビューサイトにおいて高評価となり賞を受賞し(甲54)、また、5年連続で法人向けのソフトウェア等に特化した国内のユーザーレビューにおいて高評価を受けている(甲57)旨主張していることからすると、申立人の引用商標は、我が国及び外国のリモート接続サービス分野において、一定程度知られていることがうかがえる。
(イ)上記ア(ア)ないし(ウ)によれば、申立人は、2005年以降、「TeamViewer」の文字を使用した申立人の業務に係るリモート接続サービスを、世界中に提供している法人であり、申立人のソフトウェアは、設立以来、世界中で20億台以上のデバイスにインストールされ、20億個の固有IDが使用されていること、及び2019年の売上高が約3億2500万ユーロ(約390億円)になった旨主張されているものの、申立人の業務に係る商品又は役務について、我が国及び外国における販売数量、売上高及び市場占有率(販売シェア等)の詳細などを把握することができる客観的な資料は提出されていない(甲27、甲28及び甲30)。
また、「2024年版ベスト・リモートアクセスソフトウェア&ツール17選」で2番目に申立人のソフトウェアが記載されていたとしても、誰がどのような目的で選定したものなのか明確ではなく、他の比較サイト等における申立人の引用商標に係る商品又は役務の順位など証拠資料の提出はないことからすると、申立人の主張及び同人が提出した証拠によっては、引用商標が使用されている商品及び役務の日本国内又は外国における宣伝広告の回数や費用等の広告実績など、その周知性を数量的に判断し得る客観的、かつ、具体的事実に関する証拠は見いだせない。
(ウ)以上のとおり、申立人の提出した証拠のみによっては、「TeamViewer(TEAMVIEWER)」の文字からなる、又は当該文字を構成中に含む引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、我が国及び海外の需要者の間に、広く認識されていたと認めることはできない。
(2)本件商標と引用商標との類似性の程度について
ア 本件商標
本件商標は、「ONE Viewer」の欧文字を横書きにしてなるところ、当該文字は、上記1のとおり、辞書等に載録されている成語ではなく、直ちに何らかの意味合いを理解させるものではないから、一種の造語として認識され、欧文字からなる造語は、通常、我が国において親しまれたローマ字又は英語の読みに倣って発音するものであるから、当該文字より「ワンビューア」の称呼を生じ、特定の観念は生じない。
イ 引用商標
(ア)引用商標1は、「TEAMVIEWER」の欧文字を横書きにしてなるところ、当該文字は、辞書等に載録されている成語ではなく、その指定商品及び指定役務との関係において直ちに何らかの意味合いを理解させるものではないから、一種の造語として認識され、欧文字からなる造語は、通常、我が国において親しまれたローマ字又は英語の読みに倣って発音するものであるから、当該文字より「チームビューア」の称呼を生じ、特定の観念は生じない。
(イ)引用商標2、引用商標3、引用商標5、引用商標8、引用商標10、引用商標12及び引用商標14(以下「引用商標A」という。)は、別掲1ないし別掲7のとおり、図形と「TeamViewer」の文字からなる構成、もしくはこれらに他の文字を加えた構成からなるところ、いずれも「TeamViewer」の文字を顕著に大きく表してなるものであり、かつ、他の図形や文字と観念上の結びつきが認められるものでもないから、引用商標Aにおいては、構成中の「TeamViewer」の文字部分が、要部として独立して、商品又は役務の出所識別標識としての機能を果たし得るものといえる。
そして、当該「TeamViewer」の文字部分は、上記(ア)と同様に、辞書等に掲載のない語であり、その指定商品及び指定役務との関係において直ちに何らかの意味合いを理解させるものではないから、一種の造語として認識され、欧文字からなる造語は、通常、我が国において親しまれたローマ字又は英語の読みに倣って発音するものであるから、当該文字より「チームビューア」の称呼を生じ、特定の観念は生じない。
(ウ)引用商標4、引用商標6、引用商標7、引用商標9、引用商標11、引用商標13、引用商標15ないし引用商標18(以下「引用商標B」という。)は、上記第2の4、6、7、9、11、13、15ないし18のとおり、いずれも語頭に「TEAMVIEWER」の欧文字を有するが、それに続く文字も、同一の書体、同一の大きさ、等しい間隔で書され、いずれも商標全体として、まとまりのある一体的な構成態様で表されており、特段「TEAMVIEWER」の文字部分が看者の注意を引くような構成とはなっていない。
さらに、これらの引用商標Bの構成中、「TEAMVIEWER」の文字部分は、上記(ア)のとおり、一種の造語として把握されるものであり、それぞれを構成全体としてみても、いずれも特定の意味合いを理解させるものではないから、引用商標Bは、それぞれ一種の造語として認識され、特定の観念は生じない。
ウ 本件商標と引用商標の類似性の程度
本件商標と引用商標1を比較すると、両商標は、その構成中に「Viewer」又は「VIEWER」の文字を含んでいるとしても、他の構成要素において判然とした差異を有しており、この差異が両者の外観に与える影響は大きく、全体から受ける視覚的印象において明らかな差異を有するものであるから、これを時と処を異にして離隔的に観察した場合には、外観上、相紛れるおそれはないものである。
また、本件商標と引用商標1は、上記ア及びイ(ア)のとおり、いずれも全体としてまとまりよく一体的に表されているものであるから、殊更、「Viewer」及び「VIEWER」の文字部分のみを分離抽出して、単に「ビューワ」の称呼をもって取引に供されることはなく、本件商標から「ワンビューア」、引用商標1から「チームビューワ」の構成文字全体に相応した称呼を生ずるとみるのが相当である。
さらに、観念において、本件商標と引用商標1は、いずれも特定の観念を生じないから、観念において比較することができない。
したがって、本件商標と引用商標1は、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきであるから、その類似性の程度は低い。
そうすると、構成中に「TeamViewer」又は「TEAMVIEWER」の文字を含む引用商標A及び引用商標Bについても、本件商標とは非類似のものというべきであり、その他、両商標が類似するというべき理由も見いだせないため、その類似性の程度は低い。
(3)本件商標の指定商品及び指定役務と引用商標の指定商品及び指定役務との関連性の程度並びに取引者及び需要者の共通性について
本件商標の指定商品及び指定役務中、申立てに係る商品及び役務は、上記第2のとおり、第9類及び第42類に属する商品及び役務である。
他方、申立人は、引用商標を使用して、リモート接続サービスに係るソフトウェアの製造、販売等及びそのソフトウェアの提供を行っているものであるから、本件商標の申立てに係る商品及び役務には、申立人の業務に係るリモート接続サービスに係るソフトウェア及びそのソフトウェアの提供の商品及び役務と同一又は類似のものが包含されているといえ、両者は事業者や商品及び役務において、一部関連性があるものといえる。
(4)出所の混同のおそれについて
本件商標と引用商標とは、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、類似性の程度は低い。そして、引用商標は、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているとは認めることはできない。
そうすると、本件商標の指定商品及び指定役務と引用商標に係る指定商品及び指定役務との関連性の程度、需要者の共通性の程度などを合わせ考慮しても、本件商標は、商標権者がこれを申立てに係る商品及び役務について使用した場合、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品及び役務が他人(申立人)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれはない。
したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品及び役務と混同を生ずるおそれがある商標ではないから、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
上記2(1)のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、いずれも申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、我が国及び海外の需要者の間に、広く認識されていたと認めることはできない。
また、本件商標と引用商標とは、事業者やその商品及び役務において、一部関連性があるとしても、上記2(2)のとおり、本件商標は、引用商標と相紛れるおそれのない非類似の商標であって別異の商標であり、上記2(4)のとおり、本件商標は、引用商標を連想又は想起させるものでもない。
さらに、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、商標権者が、引用商標に化体した知名度にフリーライドするなど不正の目的をもって本件商標を使用するものと認めるに足りる証拠は見いだせない。
そうすると、申立人提出に係る証拠からは、商標権者が引用商標に化体した信用、名声、顧客吸引力を利用して不正の利益を得る目的、引用商標に化体した信用、名声、顧客吸引力を毀損させるなど申立人に損害を与える目的その他の不正の目的をもって使用をするものとはいえない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号、同項第15号及び同項第19号に違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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