結論テキスト
特許第7219217号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~3、19~25〕、〔4~18〕について、訂正することを認める。
特許第7219217号の請求項1~6、9、12~18、21、23~25に係る発明についての特許を無効とする。
特許第7219217号の請求項7、8、10、11、19、20、22に係る発明についての本件審判の請求を却下する。
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2023800067 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理 由
特許第7219217号の特許請求の範囲の請求項1~25に記載された発明についての特許を無効とする、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求める。
(1)訂正を認める。
(2)本件審判の請求は成り立たない。
(3)審判費用は請求人の負担とする。
との審決を求める。
(1) 本件特許の出願から設定登録までの経緯
本件無効審判の請求に係る特許第7219217号に係る発明についての、出願から本件無効審判請求の前までの手続の経緯の概略は、次のとおりである。
平成29年 9月 6日 :出願
(2017年(平成29年)9月6日(パリ条約による優先権主張:2016年(平成28年)9月6日(AU)オーストラリア)を国際出願日とする出願)
令和 3年 7月29日付け:拒絶理由通知
令和 4年 1月17日 :意見書、手続補正書の提出
同年 6月 7日付け:拒絶理由通知
同年 9月 9日 :意見書、手続補正書の提出
同年12月27日付け:特許査定
令和 5年 1月30日 :設定登録
同年 2月 7日 :特許掲載公報発行
(2) 本件無効審判の手続の経緯
ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー(以下「請求人」という。)から、特許権者であるトリスコ アイキャップ プロプライアタリー リミティド(以下「被請求人」という。)を被請求人とする、本件特許の請求項1~25に係る発明の特許についての本件無効審判における手続の経緯の概略は、以下のとおりである。
令和5年10月26日 :審判請求書(以下「請求書」という。)の提出
同年12月15日 :請求書に対する手続補正書の提出
同年12月15日 :証拠説明書(2)(請求人)の提出
令和6年 4月17日 :訂正請求書、及び審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)の提出
同年 5月30日 :訂正請求書、及び答弁書に添付の証拠説明書に対する手続補正書の提出
同年 5月30日 :証拠説明書(2)(被請求人)の提出
同年 7月19日付け:審理事項通知
同年 8月19日 :口頭審理陳述要領書の提出(被請求人)
同年 8月19日 :口頭審理陳述要領書の提出(請求人)
同年 9月 9日 :第1回口頭審理
同年10月 3日付け:審決の予告
令和7年 1月29日 :訂正請求書、及び上申書の提出
同年 4月18日 :弁駁書の提出
なお、令和6年4月17日付けの訂正請求は、特許法第134条の2第6項の規定により取り下げられたものとみなす。また、本審決において、記載箇所を行により特定する場合、行数は空行を含まない。また、「・・・」は記載の省略を意味する。
特許第7219217号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~25について訂正することを求めるものである。
令和7年1月29日の訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下の訂正事項1~24からなるものである(下線は訂正箇所を示す。)。
(1) 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1の「前記ディスペンサが、前記容器内の前記組成物の乾燥を抑制又は防止するための弁を含む、ポンプディスペンサとを含み、」を、「前記ディスペンサが、
ディスペンサ先端部と流体連通するディスペンサシャフトと、
前記容器内の前記組成物の乾燥を抑制又は防止するための弁
機構と
を含む、ポンプディスペンサとを含
み、前記弁機構は、(i)前記ディスペンサシャフト内の、前記ポンプディスペンサの上端部に配置された第1ボール弁と、(ii)前記ディスペンサシャフト内の、前記ポンプディスペンサの下端部に配置された第2ボール弁と、(iii)前記ディスペンサ先端部の開いた遠位端部に第3弁とを含み、前記第3弁は、閉鎖位置に付勢されており、前記ポンプディスペンサに力を加えると開位置へ作動され、前記組成物が強制的に前記第3弁を通流するようにする、セルフシーリング弁であり、
」に訂正する。
(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2、3、21及び23~25も同様に訂正する。)
(2) 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1の「・・・安定液体組成物のための貯蔵及び送達システム。」を、「・・・
前記安定液体組成物の安定性は、色、風味、分離、微生物学的腐敗、粘度及び透明度の一つ又は複数の安定性である、
安定液体組成物のための貯蔵及び送達システム。」に訂正する。
(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2、3、21及び23~25も同様に訂正する。)
(3) 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項2の「・・・ように構成されている、請求項1に記載のシステム。」を、「・・・ように構成されて
おり、前記第1ボール弁及び前記第2ボール弁の一方又は両方は金属材料を含む、
請求項1に記載のシステム。」に訂正する。
(請求項2の記載を直接的又は間接的に引用する請求項3、21及び23~25も同様に訂正する。)
(4) 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4の「前記ディスペンサが、前記容器内の前記組成物の乾燥を抑制又は防止するための弁を含む、」を、「前記ディスペンサが、
ディスペンサ先端部と流体連通するディスペンサシャフトと、
前記容器内の前記組成物の乾燥を抑制又は防止するための弁
機構と
を含
み、前記弁機構は、(i)前記ディスペンサシャフト内の、前記ポンプディスペンサの上端部に配置された第1ボール弁と、(ii)前記ディスペンサシャフト内の、前記ポンプディスペンサの下端部に配置された第2ボール弁と、(iii)前記ディスペンサ先端部の開いた遠位端部に第3弁とを含み、前記第3弁は、閉鎖位置に付勢されており、前記ポンプディスペンサに力を加えると開位置へ作動され、前記組成物が強制的に前記第3弁を通流するようにする、セルフシーリング弁である、
」に訂正する。
(請求項4の記載を直接的又は間接的に引用する請求項5、6、9及び12~18も同様に訂正する。)
(5) 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項4の「・・・送達する工程とを含む、方法。」を、「・・・送達する工程とを含
み、前記安定液体組成物の安定性は、色、風味、分離、微生物学的腐敗、粘度及び透明度の一つ又は複数の安定性である、
方法。」に訂正する。
(請求項4の記載を直接的又は間接的に引用する請求項5、6、9及び12~18も同様に訂正する。)
(6) 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項5の「・・・非線形の関係が存在する、請求項4に記載の方法。」を、「・・・非線形の関係が存在
し、前記第1ボール弁及び前記第2ボール弁の一方又は両方は金属材料を含む、
請求項4に記載の方法。」に訂正する。
(請求項5の記載を直接的又は間接的に引用する請求項6、9及び12~18も同様に訂正する。)
(7) 訂正事項7
特許請求の範囲の請求項7を削除する。
(8) 訂正事項8
特許請求の範囲の請求項8を削除する。
(9) 訂正事項9
特許請求の範囲の請求項9の「前記弁が、クロススリット弁、ボール弁、フラッパ弁、アンブレラ弁、ダックビル弁、リード弁、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、」を「前記
第3
弁が、クロススリット弁、ボール弁、フラッパ弁、アンブレラ弁、ダックビル弁、リード弁、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、」に訂正する。
(請求項9の記載を直接的又は間接的に引用する請求項12~18も同様に訂正する。)
(10) 訂正事項10
特許請求の範囲の請求項9の引用請求項を「請求項6~8のいずれか一項」から「請求項
6
」に訂正する。
(11) 訂正事項11
特許請求の範囲の請求項10を削除する。
(12) 訂正事項12
特許請求の範囲の請求項11を削除する。
(13) 訂正事項13
特許請求の範囲の請求項12の引用請求項を「請求項6~11のいずれか一項」から「請求項6
又は9
」に訂正する。
(14) 訂正事項14
特許請求の範囲の請求項14の引用請求項を「請求項6~13のいずれか一項」から「請求項6
、9、12及び
13のいずれか一項」に訂正する。
(15) 訂正事項15
特許請求の範囲の請求項15の引用請求項を「請求項5~14のいずれか一項」から「請求項5
、6、9及び12~
14のいずれか一項」に訂正する。
(16) 訂正事項16
特許請求の範囲の請求項16の引用請求項を「請求項4~15のいずれか一項」から「請求項4~
6、9及び12~
15のいずれか一項」に訂正する。
(17) 訂正事項17
特許請求の範囲の請求項17の引用請求項を「請求項4~16のいずれか一項」から「請求項4~
6、9及び12~
16のいずれか一項」に訂正する。
(18) 訂正事項18
特許請求の範囲の請求項19を削除する。
(19) 訂正事項19
特許請求の範囲の請求項20を削除する。
(20) 訂正事項20
特許請求の範囲の請求項21の「前記弁が、クロススリット弁、ボール弁、フラッパ弁、アンブレラ弁、ダックビル弁、リード弁、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、」を「前記
第3
弁が、クロススリット弁、ボール弁、フラッパ弁、アンブレラ弁、ダックビル弁、リード弁、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、」に訂正する。
(請求項21の記載を直接的又は間接的に引用する請求項23~25も同様に訂正する。)
(21) 訂正事項21
特許請求の範囲の請求項21の引用請求項を「請求項1~3、19及び20のいずれか一項」から「請求項1~
3の
いずれか一項」に訂正する。
(22) 訂正事項22
特許請求の範囲の請求項22を削除する。
(23) 訂正事項23
特許請求の範囲の請求項23の引用請求項を「請求項1~3及び19~22のいずれか一項」から「請求項1~3及び
21
のいずれか一項」に訂正する。
(24) 訂正事項24
特許請求の範囲の請求項21の引用請求項を「請求項1~3及び19~23のいずれか一項」から「請求項1~3
、21及び
23のいずれか一項」に訂正する。
(1) 訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項1に係る特許発明に、「ディスペンサ」が「ディスペンサ先端部と流体連通するディスペンサシャフト」を更に含むという構成を付加し、「前記容器内の前記組成物の乾燥を抑制又は防止するための弁」について、「前記容器内の前記組成物の乾燥を抑制又は防止するための弁機構とを含む、ポンプディスペンサとを含み、前記弁機構は、(i)前記ディスペンサシャフト内の、前記ポンプディスペンサの上端部に配置された第1ボール弁と、(ii)前記ディスペンサシャフト内の、前記ポンプディスペンサの下端部に配置された第2ボール弁と、(iii)前記ディスペンサ先端部の開いた遠位端部に第3弁とを含み、前記第3弁は、閉鎖位置に付勢されており、前記ポンプディスペンサに力を加えると開位置へ作動され、前記組成物が強制的に前記第3弁を通流するようにする、セルフシーリング弁であり、」という弁の具体的な構造を特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項1は、本件特許明細書の【0043】の「図2から分かるように、貯蔵容器と流体連通するディスペンサシャフト106が、ポンプディスペンサ100の下端部102から蓋105を通って上端部101へ長手方向に延びている。ディスペンサシャフト106は、ばねに基づくポンプエレメント107を有している。ポンプエレメント107は、ポンプディスペンサ100が作動すると、ディスペンサシャフト107を通して液体組成物を引き上げ、移動させるように構成されている。ディスペンサシャフト106内には、ポンプディスペンサ100の上端部101に第1ボール弁110がさらに配置されており、そしてポンプディスペンサ100の下端部102に第2ボール弁120が配置されている。」との記載、同【0045】の「図2を参照すると、ポンプディスペンサ100は、ディスペンサシャフト106と流体連通するディスペンサ先端部103を更に含む。ディスペンサ先端部103は可撓性ゴムのダックビル(duck bill)型第3弁109を、ディスペンサ先端部103の開いた遠位端部108に含んでいる。」及び「従って、第3弁109は、ポンプディスペンサ100が使用されていないときには閉鎖位置に付勢されるように構成されているが、しかしながら、ポンプディスペンサ100に力を加えると開位置へ作動され、上記組成物が強制的に第3弁109を通流するようになる。」との記載、同【0046】の「本発明のために当業者に知られている他の弁を使用してもよい。このために、弁又は弁機構(例えば本明細書中に記載された第1、第2及び/又は第3弁)は、セルフシーリング弁であることが好ましい。」との記載、並びに図2の記載から導き出される構成であるから、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)に記載された事項の範囲内においてするものであり、本件訂正前の請求項1に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(2) 訂正事項2
訂正事項2は、訂正前の請求項1に係る特許発明に、「前記安定液体組成物の安定性は、色、風味、分離、微生物学的腐敗、粘度及び透明度の一つ又は複数における安定性である」という構成を付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項2は、本件特許明細書の【0075】の「本発明の液体組成物の経時的な安定性は、液体組成物の(もしあれば)色、(もしあれば)風味、(もしあれば)分離、(もしあれば)微生物学的腐敗、粘度及び/又は透明度によって示すことができる。」との記載から導き出される構成であるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、本件訂正前の請求項1に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(3) 訂正事項3について
訂正事項3は、訂正前の請求項2に係る特許発明に、「前記第1ボール弁及び前記第2ボール弁の一方又は両方は金属材料を含む、」という構成を付加するものであるから、当該訂正事項3は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項3は、本件特許明細書の【0044】の「一つの好ましい実施態様では、弁110,120の一方又は両方が、ディスペンサ100内に含むのに適した金属材料、例えばステンレス鋼又はこれに類するものを含む。」との記載から導き出される構成であるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、本件訂正前の請求項2に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(4) 訂正事項4について
訂正事項4は、訂正前の請求項4に係る特許発明に、「ディスペンサ」が「ディスペンサ先端部と流体連通するディスペンサシャフト」を更に含むという構成を付加し、「前記容器内の前記組成物の乾燥を抑制又は防止するための弁」について、「前記容器内の前記組成物の乾燥を抑制又は防止するための弁機構とを含み、前記弁機構は、(i)前記ディスペンサシャフト内の、前記ポンプディスペンサの上端部に配置された第1ボール弁と、(ii)前記ディスペンサシャフト内の、前記ポンプディスペンサの下端部に配置された第2ボール弁と、(iii)前記ディスペンサ先端部の開いた遠位端部に第3弁とを含み、前記第3弁は、閉鎖位置に付勢されており、前記ポンプディスペンサに力を加えると開位置へ作動され、前記組成物が強制的に前記第3弁を通流するようにする、セルフシーリング弁である、」という弁の具体的な構造を特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項4は、本件特許明細書の【0043】の「図2から分かるように、貯蔵容器と流体連通するディスペンサシャフト106が、ポンプディスペンサ100の下端部102から蓋105を通って上端部101へ長手方向に延びている。ディスペンサシャフト106は、ばねに基づくポンプエレメント107を有している。ポンプエレメント107は、ポンプディスペンサ100が作動すると、ディスペンサシャフト107を通して液体組成物を引き上げ、移動させるように構成されている。ディスペンサシャフト106内には、ポンプディスペンサ100の上端部101に第1ボール弁110がさらに配置されており、そしてポンプディスペンサ100の下端部102に第2ボール弁120が配置されている。」との記載、同【0045】の「図2を参照すると、ポンプディスペンサ100は、ディスペンサシャフト106と流体連通するディスペンサ先端部103を更に含む。ディスペンサ先端部103は可撓性ゴムのダックビル(duck bill)型第3弁109を、ディスペンサ先端部103の開いた遠位端部108に含んでいる。」及び「従って、第3弁109は、ポンプディスペンサ100が使用されていないときには閉鎖位置に付勢されるように構成されているが、しかしながら、ポンプディスペンサ100に力を加えると開位置へ作動され、上記組成物が強制的に第3弁109を通流するようになる。」との記載、同【0046】の「本発明のために当業者に知られている他の弁を使用してもよい。このために、弁又は弁機構(例えば本明細書中に記載された第1、第2及び/又は第3弁)は、セルフシーリング弁であることが好ましい。」との記載、並びに図2の記載から導き出される構成であるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、本件訂正前の請求項4に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(5) 訂正事項5について
訂正事項5は、訂正前の請求項4に係る特許発明に、「前記安定液体組成物の安定性は、色、風味、分離、微生物学的腐敗、粘度及び透明度の一つ又は複数における安定性である」という構成を付加するものであるから、当該訂正事項5は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項5は、本件特許明細書の【0075】の「本発明の液体組成物の経時的な安定性は、液体組成物の(もしあれば)色、(もしあれば)風味、(もしあれば)分離、(もしあれば)微生物学的腐敗、粘度及び/又は透明度によって示すことができる。」との記載から導き出される構成であるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、本件訂正前の請求項4に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(6) 訂正事項6について
訂正事項6は、訂正前の請求項5に係る特許発明に、「前記第1ボール弁及び前記第2ボール弁の一方又は両方は金属材料を含む、」という構成を付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項6は、本件特許明細書の【0044】の「一つの好ましい実施態様では、弁110,120の一方又は両方が、ディスペンサ100内に含むのに適した金属材料、例えばステンレス鋼又はこれに類するものを含む。」との記載から導き出される構成であるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、本件訂正前の請求項5に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(7) 訂正事項7及び8について
訂正事項7及び8は、それぞれ、請求項7及び8を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。また、訂正事項7及び8は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、それぞれ本件訂正前の請求項7及び8に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(8) 訂正事項9について
訂正事項9は、訂正前の請求項9の「クロススリット弁、・・・からなる群から選択される、」「弁」が、「前記第3弁」であることを特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項9は、本件特許明細書の【0046】の「このために、弁又は弁機構(例えば本明細書中に記載された第1、第2及び/又は第3弁)は、セルフシーリング弁であることが好ましい。具体的な実施態様では、弁はクロススリット弁、ボール弁、フラッパ弁、アンブレラ弁、ダックビル弁、リード弁、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。」との記載から導き出される構成であるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、本件訂正前の請求項9に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(9) 訂正事項10について
訂正事項10は、訂正前の請求項9が「請求項6~8のいずれか一項」を引用する記載であったものを、「請求項6」を引用するものに限定する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするもの、または訂正前の請求項9が請求項7、8の記載を引用するものであったのを、訂正事項7、8により請求項7、8が削除されたことに伴い、請求項9が請求項7、8の記載を引用しないものとし、請求項間の記載を整合させるための訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。また、訂正事項10は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、本件訂正前の請求項9に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(10) 訂正事項11及び12について
訂正事項11及び12は、それぞれ、請求項10及び11を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。また、訂正事項11及び12は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、それぞれ本件訂正前の請求項10及び11に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(11) 訂正事項13について
訂正事項13は、訂正前の請求項12が「請求項6~11のいずれか一項」を引用する記載であったものを、「請求項6又は9」を引用するものに限定する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするもの、または訂正前の請求項12が請求項7、8、10の記載を引用するものであったのを、訂正事項7、8、11により請求項7、8、10が削除されたことに伴い、請求項12が請求項7、8、10の記載を引用しないものとし、請求項間の記載を整合させるための訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。また、訂正事項13は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、本件訂正前の請求項12に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(12) 訂正事項14について
訂正事項14は、訂正前の請求項14が「請求項6~13のいずれか一項」を引用する記載であったものを、「請求項6、9、12及び13のいずれか一項」を引用するものに限定する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするもの、または訂正前の請求項14が請求項7、8、10、11の記載を引用するものであったのを、訂正事項7、8、11、12により請求項7、8、10、11が削除されたことに伴い、請求項14が請求項7、8、10、11の記載を引用しないものとし、請求項間の記載を整合させるための訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。また、訂正事項14は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、本件訂正前の請求項14に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(13) 訂正事項15について
訂正事項15は、訂正前の請求項15が「請求項5~14のいずれか一項」を引用する記載であったものを、「請求項5、6、9及び12~14のいずれか一項」を引用するものに限定する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするもの、または訂正前の請求項15が請求項7、8、10、11の記載を引用するものであったのを、訂正事項7、8、11、12により請求項7、8、10、11が削除されたことに伴い、請求項15が請求項7、8、10、11の記載を引用しないものとし、請求項間の記載を整合させるための訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。また、訂正事項15は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、本件訂正前の請求項15に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(14) 訂正事項16について
訂正事項16は、訂正前の請求項16が「請求項4~15のいずれか一項」を引用する記載であったものを、「請求項4~6、9及び12~15のいずれか一項」を引用するものに限定する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするもの、または訂正前の請求項16が請求項7、8、10、11の記載を引用するものであったのを、訂正事項7、8、11、12により請求項7、8、10、11が削除されたことに伴い、請求項16が請求項7、8、10、11の記載を引用しないものとし、請求項間の記載を整合させるための訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。また、訂正事項16は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、本件訂正前の請求項16に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(15) 訂正事項17について
訂正事項17は、訂正前の請求項17が「請求項4~16のいずれか一項」を引用する記載であったものを、「請求項4~6、9及び12~16のいずれか一項」を引用するものに限定する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするもの、または訂正前の請求項17が請求項7、8、10、11の記載を引用するものであったのを、訂正事項7、8、11、12により請求項7、8、10、11が削除されたことに伴い、請求項17が請求項7、8、10、11の記載を引用しないものとし、請求項間の記載を整合させるための訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。また、訂正事項17は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、本件訂正前の請求項17に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(16) 訂正事項18及び19について
訂正事項18及び19は、それぞれ、請求項19及び20を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。また、訂正事項18及び19は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、それぞれ本件訂正前の請求項19及び20に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(17) 訂正事項20について
訂正事項20は、訂正前の請求項21の「クロススリット弁、・・・からなる群から選択される、」「弁」が、「前記第3弁」であることを特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項20は、本件特許明細書の【0046】の「このために、弁又は弁機構(例えば本明細書中に記載された第1、第2及び/又は第3弁)は、セルフシーリング弁であることが好ましい。具体的な実施態様では、弁はクロススリット弁、ボール弁、フラッパ弁、アンブレラ弁、ダックビル弁、リード弁、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。」との記載から導き出される構成であるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、本件訂正前の請求項21に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(18) 訂正事項21について
訂正事項21は、訂正前の請求項21が「請求項1~3、19及び20のいずれか一項」を引用する記載であったものを、「請求項1~3のいずれか一項」を引用するものに限定する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするもの、または訂正前の請求項21が請求項19及び20の記載を引用するものであったのを、訂正事項18及び19により請求項19及び20が削除されたことに伴い、請求項21が請求項19及び20の記載を引用しないものとし、請求項間の記載を整合させるための訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。また、訂正事項21は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、本件訂正前の請求項21に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(19) 訂正事項22について
訂正事項22は、請求項22を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。また、訂正事項22は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、それぞれ本件訂正前の請求項22に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(20) 訂正事項23について
訂正事項23は、訂正前の請求項23が「請求項1~3及び19~22のいずれか一項」を引用する記載であったものを、「請求項1~3及び21のいずれか一項」を引用するものに限定する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするもの、または訂正前の請求項23が請求項19、20及び22の記載を引用するものであったのを、訂正事項18、19及び22により請求項19、20及び22が削除されたことに伴い、請求項23が請求項19、20及び22の記載を引用しないものとし、請求項間の記載を整合させるための訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。また、訂正事項23は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、本件訂正前の請求項23に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(21) 訂正事項24について
訂正事項24は、訂正前の請求項24が「請求項1~3及び19~23のいずれか一項」を引用する記載であったものを、「請求項1~3、21及び23のいずれか一項」を引用するものに限定する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするもの、または訂正前の請求項24が請求項19、20及び22の記載を引用するものであったのを、訂正事項18、19及び22により請求項19、20及び22が削除されたことに伴い、請求項24が請求項19、20、及び22の記載を引用しないものとし、請求項間の記載を整合させるための訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。また、訂正事項24は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、本件訂正前の請求項24に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(22) 一群の請求項について
訂正事項1に係る訂正前の請求項1~3、19~25について、請求項2、3、及び19~25はそれぞれ請求項1を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであり、訂正前の請求項1~3、19~25は、一群の請求項である。
訂正事項4に係る訂正前の請求項4~10及び12~18について、請求項5~10及び12~18はそれぞれ請求項4を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項4によって記載が訂正される請求項4に連動して訂正されるものであり、訂正前の請求項4~10及び12~18は、一群の請求項である。また、請求項11~18について、請求項12~18はそれぞれ請求項11を直接的又は間接的に引用しているものであるから、同様に、訂正前の請求項11~18は、一群の請求項である。そして、共通する請求項12~18を有するこれらの一群の請求項は組み合わされ、訂正前の請求項4~18は、一群の請求項である。
そうすると、本件訂正の請求は、一群の請求項〔1~3、19~25〕、〔4~18〕について請求されたものである。
上記3のとおり、本件訂正は、特許法134条の2第1項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものに該当し、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、本件訂正後の請求項〔1~3、19~25〕、〔4~18〕について訂正することを認める。
上記第3のとおり、本件訂正の請求による請求項1~25の訂正は認められるから、本件特許の請求項1~6、9、12~18、21、23~25に係る発明(以下、それぞれを「本件発明1~6」、「本件発明9」、「本件発明12~18」、「本件発明21」、「本件発明23~25」といい、総称して「本件発明」という。)は、それぞれ訂正特許請求の範囲の請求項1~6、9、12~18、21、23~25に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、次のとおりである。
「【請求項1】
安定液体組成物のための貯蔵及び送達システムであって、前記システムは:
(a)前記安定液体組成物を含む、容器であって、前記組成物が、水性液体食料又は水性液体固体混合食料の粘度を増大させるために用いられ、そして2000cP未満の粘度と95%超の水分活性とを有しており、前記組成物が、(i)寒天、アルギン酸、カラギナン、グアーガム、トラガカントガム、ガティガム、微結晶性セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルエチルセルロース、カラヤガム、ローカストビーンガム、タラガム、サイリウムシードガム、クインスシードガム、ペクチン、フルセララン、ジェランガム、こんにゃく、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1種又は複数種の増粘剤と、(ii)スクレログルカン、デキストラン、エルシナン、大豆多糖類、レバン、アラビノガラクタン、アルテルナン、イヌリン、グルコオリゴ糖、プルラン、アラビノキシラン、カードラン、低粘度カルボキシメチルセルロース(CMC)、アカシアガム、西洋カラマツ多糖類抽出物、アメリカカラマツ多糖類抽出物、ヨーロッパカラマツ多糖類抽出物、シベリアカラマツ多糖類抽出物、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1種又は複数種の多糖類又は多糖類の抽出物とを含み、前記多糖類又は多糖類の抽出物は、10~100,000超のサッカリド単位を含み、前記多糖類又は多糖類の濃度は、重量で15%~25%である、容器と;
(b)前記容器に封止状態で取り付けられた、ポンプディスペンサであって、前記ディスペンサが、ディスペンサ先端部と流体連通するディスペンサシャフトと、前記容器内の前記組成物の乾燥を抑制又は防止するための弁機構とを含む、ポンプディスペンサと
を含み、前記弁機構は、
(i)前記ディスペンサシャフト内の、前記ポンプディスペンサの上端部に配置された第1ボール弁と、
(ii)前記ディスペンサシャフト内の、前記ポンプディスペンサの下端部に配置された第2ボール弁と、
(iii)前記ディスペンサ先端部の開いた遠位端部に第3弁と
を含み、前記第3弁は、閉鎖位置に付勢されており、前記ポンプディスペンサに力を加えると開位置へ作動され、前記組成物が強制的に前記第3弁を通流するようにする、セルフシーリング弁であり、
前記安定液体組成物の安定性は、色、風味、分離、微生物学的腐敗、粘度及び透明度の一つ又は複数の安定性である、安定液体組成物のための貯蔵及び送達システム。
【請求項2】
前記組成物が、前記食料に所定の体積からなる1回分又は2回分以上の用量で送達されるように構成されており、前記第1ボール弁及び前記第2ボール弁の一方又は両方は金属材料を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記組成物の所定の体積からなる1回分、2回分、及び3回分の用量が、前記食料の粘度をそれぞれ第1粘度レベル、第2粘度レベル、及び第3粘度レベルまで増大させ、そして前記第1粘度レベル、第2粘度レベル、及び第3粘度レベルの間に非線形の関係が存在する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
水性液体食料又は水性液体固体混合食料に安定液体組成物を送達する方法であって、前記方法は:
(a)前記安定液体組成物を含有する容器を用意する工程であって、前記組成物が、前記食料の粘度を増大させるために用いられ、そして2000cP未満の粘度と95%超の水分活性とを有しており、前記組成物が、(i)寒天、アルギン酸、カラギナン、グアーガム、トラガカントガム、ガティガム、微結晶性セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルエチルセルロース、カラヤガム、ローカストビーンガム、タラガム、サイリウムシードガム、クインスシードガム、ペクチン、フルセララン、ジェランガム、こんにゃく、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1種又は複数種の増粘剤と、(ii)スクレログルカン、デキストラン、エルシナン、大豆多糖類、レバン、アラビノガラクタン、アルテルナン、イヌリン、グルコオリゴ糖、プルラン、アラビノキシラン、カードラン、低粘度カルボキシメチルセルロース(CMC)、アカシアガム、西洋カラマツ多糖類抽出物、アメリカカラマツ多糖類抽出物、ヨーロッパカラマツ多糖類抽出物、シベリアカラマツ多糖類抽出物、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1種又は複数種の多糖類又は多糖類の抽出物とを含み、前記多糖類又は多糖類の抽出物は、10~100,000超のサッカリド単位を含み、前記多糖類又は多糖類の濃度は、重量で15%~25%であり、前記容器がさらにポンプディスペンサに封止状態で取り付けられており、前記ディスペンサが、ディスペンサ先端部と流体連通するディスペンサシャフトと、前記容器内の前記組成物の乾燥を抑制又は防止するための弁機構とを含み、前記弁機構は、
(i)前記ディスペンサシャフト内の、前記ポンプディスペンサの上端部に配置された第1ボール弁と、
(ii)前記ディスペンサシャフト内の、前記ポンプディスペンサの下端部に配置された第2ボール弁と、
(iii)前記ディスペンサ先端部の開いた遠位端部に第3弁と
を含み、前記第3弁は、閉鎖位置に付勢されており、前記ポンプディスペンサに力を加えると開位置へ作動され、前記組成物が強制的に前記第3弁を通流するようにする、セルフシーリング弁である、工程と;
(b)前記ポンプディスペンサに力を加えることにより、前記組成物の所定の体積からなる1回分又は2回分以上の用量を前記食料に送達する工程と
を含み、
前記安定液体組成物の安定性は、色、風味、分離、微生物学的腐敗、粘度及び透明度の一つ又は複数の安定性である、方法。
【請求項5】
前記組成物の所定の体積からなる1回分、2回分、及び3回分の用量が、前記食料の粘度をそれぞれ第1粘度レベル、第2粘度レベル、及び第3粘度レベルまで増大させ、そして前記第1粘度レベル、第2粘度レベル、及び第3粘度レベルの間に非線形の関係が存在し、前記第1ボール弁及び前記第2ボール弁の一方又は両方は金属材料を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記組成物による前記食料の粘度の増大を促進するように前記食料及び前記組成物に低剪断混合を施す工程を更に含む、請求項4又は5に記載の方法。」
「【請求項9】
前記第3弁が、クロススリット弁、ボール弁、フラッパ弁、アンブレラ弁、ダックビル弁、リード弁、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項6に記載の方法。」
「【請求項12】
前記低剪断混合が、前記食料の最大粘度を達成するために30秒間以下にわたって施される、請求項6又は9に記載の方法。
【請求項13】
前記低剪断混合が、前記食料の最大粘度を達成するために10~30秒間にわたって施される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記低剪断混合が、10rpm~40rpmの速度で前記組成物を攪拌することを含む、請求項6、9、12及び13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記食料の粘度が95cP超まで増大させられる、請求項5、6、9及び12~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記組成物が室温で少なくとも6ヶ月にわたって安定である、請求項4~6、9及び12~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
粘度が増大させられた前記食料が、咀嚼及び/又は嚥下の疾患、障害、又は状態を有する対象者に供給するために使用される、請求項4~6、9及び12~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記咀嚼及び/又は嚥下の疾患、障害、又は状態が、嚥下障害であるか又は嚥下困難を含む、請求項17に記載の方法。」
「【請求項21】
前記第3弁が、クロススリット弁、ボール弁、フラッパ弁、アンブレラ弁、ダックビル弁、リード弁、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
前記組成物が室温で少なくとも6ヶ月にわたって安定である、請求項1~3及び21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
粘度が増大させられた前記食料が、咀嚼及び/又は嚥下の疾患、障害、又は状態を有する対象者に供給するために使用される、請求項1~3、21及び23のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項25】
前記咀嚼及び/又は嚥下の疾患、障害、又は状態が、嚥下障害であるか又は嚥下困難を含む、請求項24に記載のシステム。」
請求書に添付して甲第1号証、甲第2-1号証、甲第2-2号証、甲第3号証~甲第20号証を提出し、証拠説明書(2)に添付して甲第7-1号証、甲第8-1号証、甲第9-1号証を提出し、請求人口頭審理陳述要領書に添付して甲第21号証、甲第22号証を提出し、弁駁書に添付して甲第23号証~甲第30号証を提出し、以下の無効理由を主張する。
以下、甲第1号証等を「甲1」等と略記する。
(1) 無効理由1(明確性)
本件特許の請求項1、4、11、16、23には「安定」という特定事項があるが、この「安定」という用語を「物質が分解・反応・壊変しにくい」、「粘度が一定である」、「品質が保持される」のいずれの意味と解すべきか不明である。
したがって、本件請求項1、4、11に係る発明及び本件請求項1、4、11を直接又は間接的に引用する請求項2~3、5~10、12~25に係る発明は明確でない。
よって、本件発明1~25は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願にされたものであり、同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきである。
(2) 無効理由2(甲2-1を主引用例とする進歩性欠如)
本件発明1~25は、甲2-1に記載された発明及び甲3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。
(3) 無効理由3(甲3を主引用例とする進歩性欠如)
本件発明1~25は、甲3に記載された発明及び甲2-1に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。
請求人が提出した証拠方法は以下のとおりである。
甲1:特許第7219217号公報
甲2-1:“Precise THICK-N INSTANT”(General Flyer)及び“Precise THICK-N INSTANT INFORMATION NOTE”、[online]、2016年3月3日、Precise社、インターネット<URL:https://web.archive.org/web/20160303125804/http://www.precisethickn.com.au/wp-content/uploads/2016/02/Precise_GeneralFlyer_Artwork_R_lores-1.pdf>及び<URL: https://web.archive.org/web/20160303125819/http://www.precisethickn.com.au/wp-content/uploads/2016/02/Precise_ThickN_Instant_InfoSheet_lores-1.pdf>
甲2-2:“THICK-N INSTANT Liquid”、[online]、Precise社、[2023年6月14日(入手日)]、インターネット<URL:https://precisethickn.com.au/pdfs/Thick-N-INSTANT-Flyer.pdf>
甲3:米国特許第6455090号明細書
甲4:新村出(編)、「広辞苑」、第6版、株式会社岩波書店、2008年1月11日、P114
甲5:“食品期限表示の設定のためのガイドライン” 、厚生労働省・農林水産省、2005年2月
甲6:大木道則、外3名(編)、「化学大辞典」、第1版、株式会社東京化学同人、2005年7月1日、P1351
甲7:“Federal Register of Legislative Instruments F2016C00165”、オーストラリア政府、2016年3月1日、P1
甲7-1:“Federal Register of Legislation”、[online]、オーストラリア政府、[2023年12月6日(入手日)]、インターネット<URL:https://web.archive.org/web/20230803074524/https://www.legislation.gov.au/Series/F2015L00396>
甲8:“Federal Register of Legislative Instruments F2016C00194”、オーストラリア政府、2016年3月1日、P1、P18
甲8-1:“Federal Register of Legislation”、[online]、オーストラリア政府、[2023年12月6日(入手日)]、インターネット<URL:https://web.archive.org/web/20230130073153/https://www.legislation.gov.au/Series/F2015L00439>
甲9:“NEW ZEALAND GAZETTE、No.50”、ニュージーランド政府、2015年5月8日、P1、P3
甲9-1:“gazette.govt.nz”、[online]、ニュージーランド政府、[2023年12月6日(入手日)]、インターネット<URL:https://gazette.govt.nz/notice/id/2015-gs1941>
甲10:國崎直道(当審注:「崎」は、「大」及び「可」からなる部分が、「立」及び「可」からなるものを示す。)、外1名、「食品多糖類-乳化・増粘・ゲル化の知識」、第1版、株式会社幸書房、2015年9月30日、P77-79、P92
甲11:“IDDSIフレームワーク(最終版)詳細な定義”、IDDSI Internationl Dysphagia Diet Standardisation Initiative、2016年10月10日
甲12:“LABORATORY REPORT on LIQUID CONCENTRATE”、NATA ACCREDITED LABORATORY社、2022年4月2日 (作成日)
甲13:“水分活性について”、Japan Food Research Laboratories、Vol.2 No.38 Oct. 2003、2003年10月
甲14:“技術解説「水分活性と微生物の生育について」”、愛産研食品工業技術センターニュース、愛知県産業技術研究所食品工業技術センター、2011年12月16日、2011年12月号、P1、P2
甲15:“DISPENSING PRODUCTS RS30”、[online],Rieke Packaging Systems社、[2012年4月14日(入手日)]、インターネット<URL:https://web.archive.org/web/20120414054657/http://www.riekepackaging.com/dispensing-products-print/6>
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甲25:特許第4458894号公報
甲26:特許第3112636号公報
甲27:特許第3710165号公報
甲28:“Expert’s declaration - Nancy Ingalls、Nestle(当審注:「e」は「e」の上部に「’」があるものを示す。) Health Science”、2024年9月12日(作成日)
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被請求人は、訂正請求書を提出し、訂正を請求するとともに、答弁書、証拠説明書(2)、被請求人口頭審理陳述要領書、及び上申書を提出し、請求人の主張する無効理由1~3はいずれも理由がない旨主張する。
被請求人が提出した証拠方法は以下のとおりである。以下、乙第1号証等を「乙1」等と略記する。
乙1:“Water Content and Water Activity: Two Factors That Affect Food Safety”、[online],Province of Manitoba、[2024年4月12日(入手日)]、インターネット<URL:https://www.gov.mb.ca/agriculture/food-safety/at-the-food-processor/water-content-water-activity.html>
乙2:“Food Standards Australia New Zealand”、オーストラリア・ニュージーランド食品基準局(FSANZ)、2015年4月10日、表紙、P1
乙2-1:“Federal Register of Legislation”、[online]、オーストラリア政府、[2024年5月21日(入手日)]、インターネット<URL:https://www.legislation.gov.au/F2015L00389/asmade/text>
乙3:Alan Imeson(編)、「Food Stabilisers, Thickeners and Gelling Agents」、WILEY-BLACKWELL、2010年、第2章~第6章、第8章~第13章、第15章~第17章
乙4:Martin Glicksman、「Gum Techno1ogy in the Food Industry」、ACADEMIC PRESS、1969年、第4章、第7章、第8章、第12章
乙5-1:“Monin Syrup Pump”、[online]、Amazon.com、[2024年8月16日(入手日)]、インターネット<URL:https://www.amazon.com/Monin-Syrup-750ml-Glass-Bottle/dp/B000BGZNXW/ref=cm_cr_arp_d_product_top?ie=UTF8>
乙5-2:“Monin Syrup Pump”、[online]、2016年4月13日、Amazon.com、インターネット<URL: http://web.archive.org/web/20160413005959/https://www.amazon.com/Monin-Syrup-750ml-Glass-Bottle/dp/B000BGZNXW/>
乙6-1:“TERA PUMP TRPMW200”、[online]、Amazon.com、[2024年8月16日(入手日)]、インターネット<URL:https://www.amazon.com/TeraPump-TRPMW200-Universal-Drinking-Excluding/dp/B00APU2XAK>
乙6-2:“TERA PUMP TRPMW200”、[online]、2013年7月2日、Amazon.com、インターネット<URL: https://web.archive.org/web/20130702081042/https://www.amazon.com/TeraPump-TRPMW200-Universal-Drinking-Excluding/dp/B00APU2XAK>
乙7:Michael Tristram、“DECLARATION OF MICHAEL TRISTRAM”、2025年1月21日(作成日)
甲2-1:“Precise THICK-N INSTANT”(General Flyer)及び“Precise THICK-N INSTANT INFORMATION NOTE”、[online]、2016年3月3日、Precise社、インターネット<URL:https://web.archive.org/web/20160303125804/http://www.precisethickn.com.au/wp-content/uploads/2016/02/Precise_GeneralFlyer_Artwork_R_lores-1.pdf>及び<URL: https://web.archive.org/web/20160303125819/http://www.precisethickn.com.au/wp-content/uploads/2016/02/Precise_ThickN_Instant_InfoSheet_lores-1.pdf>(上記請求人が提出した甲2-1)
甲3:米国特許第6455090号明細書(同甲3)
甲6:大木道則、外3名(編)、「化学大辞典」、第1版、株式会社東京化学同人、2005年7月1日、P1351(同甲6)
甲23:国際公開2016/063027号(同甲23、周知技術を示す文献)
甲25:特許第4458894号公報(同甲25、周知技術を示す文献)
甲26:特許第3112636号公報(同甲26、周知技術を示す文献)
甲27:特許第3710165号公報(同甲27、周知技術を示す文献)
引用文献1:特開2008-99670号公報(当審において職権で調査した、周知技術を示す文献)
引用文献2:実願平3-107725号(実開平5-54308号)のCD-ROM(当審において職権で調査した、周知技術を示す文献)
(1) 甲2-1
ア 甲2-1の記載
甲2-1には以下の記載がある(翻訳は請求人の示した翻訳をふまえて当審で作成し、下線は当審において付した。)。
(ア) 「
113
153
0001433466000001.jpg
」
(翻訳)
「Precise Thick-N INSTANTは、世界をリードする増粘ソリューションです。この革新的な
液体増粘濃縮物は、嚥下障害のある患者や入居者のために飲料及び食品を増粘するために使用されます。
この革新的な製品は、利便性、正確さ、分散しやすさ、ダマにならないことで安心を提供することを含む多くの利点を提供します。これは費用対効果の高いソリューションです。
Precise Thick-N INSTANTは、1、2、または3回のポンプ操作で簡単に使用でき、30秒以内に増粘し、
最低48時間は安定しています。
Precise Thick-N INSTANTは、
温かい飲み物や冷たい飲み物、アルコール飲料、炭酸飲料など、幅広い種類の飲料を増粘することができます。
」(第1ページ第1行~第15行)
(※行数については、図、表を含めず、見出しも本文も1行として計上した。以下同様。)
(イ) 「
104
140
0001433466000002.jpg
」
(翻訳)
「利点:
・すべての
ポンプノズルに衛生的なシール
があります。
・使用が簡単です。
激しい攪拌は必要ありません。スプーンを使うだけです。
液体なので簡単に分散し、散らかりがなく、ダマや気泡ができません。
・一貫性に対する精密なコントロール。
ポンプは必要な正確な量を投与します。
・待ち時間なし。Precise Thick-N INSTANTは瞬時に粘度を発達させます。
使用方法:
1.増粘する液体の正しい量を計測します。
2.
必要な濃度に応じて必要な回数のポンプを加えます。
ポンプが自然に完全にストロークの最上部まで戻ることを確認してください。(目印のラインを探します)
3.
濃縮液を混ぜるために、スプーンで30秒間優しくかき混ぜた後、提供します。
ベネフィット:
・ストレスフリーな準備。
・コスト効率が良い - Precise Thick-N INSTANTは、市場に出回っている主要な粉末増粘剤と競合する価格で、既に増粘された飲み物の信頼性とコントロールを提供します。
・もう粉っぽい散らかりはありません。
・個別のカップを作るためのシングルサーブと、キッチンで大量に作るためのバルク調製が利用可能です。
・幅広い食品、飲料、サプリメントを増粘します。
・グルテンフリー
・ラクトースフリー
・冷凍/解凍安定」(第2ページ左欄第1行~右欄第15行)
(ウ) 「
78
153
0001433466000003.jpg
」
(翻訳)
「Precise Thick-N INSTANTとは何ですか?
以下の特徴を有する液体増粘濃縮物です。
1.“1、2、3のように簡単に”で、必要なのは、
レベル150の薄いとろみを作るのに1ポンプ、レベル400の中間のとろみを作るのに2ポンプ、レベル900の濃いとろみを作るのに3ポンプのみです。
2.非常に濃縮されています。(例えば、3Lのボトルで、レベル150のわずかに濃い液体を650×100mL分作ることができます)
3.粘度が瞬時に発生します-混合に必要なのは30秒以内
4.Movicol、TwoCal、Fortsip、ワイン、スピリッツなどを含む、様々な食物、飲料、サプリメントにとろみをつけます。
5.
ノズルに衛生的なシールがあり、使用と使用の間製品を保護します。
6.使いやすさ-
ポンプによる単純で正確な投与と穏やかな撹拌による容易な混合-スティックでの混合又は激しい撹拌を必要とせず、空気の混入及び塊を避けます。
7.正確な投与量により、正確で一貫性のある増粘が保証されます。
8.混合後の長期安定性-48時間(必要に応じて冷蔵)
9.中立的な味
10.熱い飲み物と冷たい飲み物を、正確かつ一貫して増粘します。
11.糖尿病患者に適しており、ラクトースフリー、グルテンフリー、増粘後は冷凍-解凍安定です。」(第3ページ第5行~第21行)
(エ) 「
71
101
0001433466000004.jpg
」
(翻訳)
「Precise Thick-N INSTANTの2つのタイプは何ですか?
Precise Thick-N INSTANTには、次の2種類のパッケージがあります。
1.シングルサーブ:給仕のために、単にPrecise Thick-N Instantシングルサーブを100mlの温かい又は冷たい飲料に加えます。
用意された飲料はすぐに出せるので、ドリンクワゴンから出すお茶やコーヒーには最適です。
2.バルク調製は、特に大量の増粘液体を作るために設計されており、温かいものでも冷たいものでも対応可能です。単にPrecise Thick-N Instant バルクサーブを700mlの液体に加えるだけです。より大量は事前の準備、例えばキッチンで事前に作られる飲み物のために使用されます。」(第3ページ第22行~第32行)
(オ) 「
118
146
0001433466000005.jpg
」
(翻訳)
「どのように使うのですか?
・・・
単に、増粘される液体の正しい量を測定し、そして、
上述の粘度となるようにPrecise Thick-N INSTANT濃縮物をポンプの数加えます。ポンプのプランジャーをゆっくり押し下げ、プランジャーを離して、完全に上に戻るようにします。
ポンププランジャのシャフトには、ポンプが完全に戻ったことを認識できるように黒い線が印刷されています-“線を探してください”。
正しい数のポンプを追加したら、スプーンで30秒ほどかき混ぜて飲料に混ぜます。スティックでの混合又は激しい撹拌は必要ありません。かき混ぜている間、飲み物がどんどん濃くなり、かき混ぜにくくなるのを感じるでしょう。Precise Thick-N INSTANTの濃縮液が混ざり合ったら、すぐに提供する準備ができています。
」(第3ページ第35行、第4ページ第1行~第8行)
(カ) 「
16
153
0001433466000006.jpg
」
(翻訳)
「日持ちはどうですか?
Preciseは
一度開封しても冷蔵する必要がありません。
現在の
貯蔵寿命は12ヶ月
です。」(第4ページ第13行~第14行)
(キ) 「
42
153
0001433466000007.jpg
」
(翻訳)
「中身は何ですか?
Preciseは、特許、商標、機密情報、および営業秘密を含む登録済みおよび未登録の権利を通じて、そのブランド、製剤、および製造プロセスを保護しています。Precise Thick-N Instantの成分の正確な割合は秘密です。
増粘剤系は、食品に一般的に使用される4つの植物性ガム、すなわち、キサンタンガム、ペクチン、ジェランガム、及びグアーガムの独特なブレンドから製造されます。Precise Thick-N Instantの他の成分は、食用酸(クエン酸及びクエン酸ナトリウム)、無機塩(塩化カルシウム)、可溶性植物多糖類及び防腐剤(ソルビン酸カリウム)などのFSANZが承認した食品成分を含みます。
」(第4ページ第20行~第26行)
(ク) 「
108
115
0001433466000008.jpg
」
イ 甲2-1に記載された発明
上記アに記載した事項を総合すると、甲2-1には、以下の発明が記載されていると認められる。
a 甲2-1発明1
「嚥下障害のある患者や入居者のために飲料及び食品を増粘するために使用される液体増粘濃縮物を、ポンプが設置されるボトルに封入した製品であって、
液体増粘濃縮物は、増粘剤系として食品に一般的に使用される4つの植物性ガム、すなわち、キサンタンガム、ペクチン、ジェランガム、およびグアーガムの独特のブレンドから製造され、他の成分として食用酸(クエン酸及びクエン酸ナトリウム)、無機塩(塩化カルシウム)可溶性植物多糖類及び防腐剤(ソルビン酸カリウム)などのFSANZが承認した食品成分を含み、
ポンプノズルは、使用と次の使用との間において製品を保護する衛生的なシールを有しており、
当該ポンプは、レベル150の薄いとろみを作るのに1ポンプ、レベル400の中間のとろみを作るのに2ポンプ、レベル900の濃いとろみを作るのに3ポンプの投与量となるようにされており、
一度開封しても冷蔵する必要はなく、貯蔵寿命が12ヶ月である製品。」
b 甲2-1発明2
「嚥下障害のある患者や入居者のための飲料及び食品を増粘するために使用される液体増粘濃縮物を、ポンプが設置されるボトルに封入し、当該ポンプを通じて飲料及び食品に追加する方法であって、
液体増粘濃縮物は、増粘剤系として食品に一般的に使用される4つの植物性ガム、すなわち、キサンタンガム、ペクチン、ジェランガム、およびグアーガムの独特のブレンドから製造され、他の成分として食用酸(クエン酸及びクエン酸ナトリウム)、無機塩(塩化カルシウム)可溶性植物多糖類及び防腐剤(ソルビン酸カリウム)などのFSANZが承認した食品成分を含み、
ポンプノズルは、使用と次の使用との間において製品を保護する衛生的なシールを有しており、
一度開封しても冷蔵する必要はなく、貯蔵寿命が12ヶ月であり、
当該ポンプが、レベル150の薄いとろみを作るのに1ポンプ、レベル400の中間のとろみを作るのに2ポンプ、レベル900の濃いとろみを作るのに3ポンプの投与量を飲料及び食品に追加する方法。」
(2) 甲3
ア 甲3の記載
甲3には以下の記載がある。
(ア) 「
61
122
0001433466000009.jpg
」
(翻訳)
「1.発明の分野
本発明は、
目的物(液体または液体固形物混合物)に添加して簡単に粘性溶液やゲルを形成することができる液体状の増粘用添加液に関するもの
である。特に、本発明は、
グレイビー、ドレッシング、ソース、ムース、ゼリー等の食品を簡単に増粘させるのに適した液体状の増粘用添加液に関し、さらには摂食障害により咀嚼・嚥下困難を有する患者の食品に添加して簡単に粘性溶液やゲルを形成するのに適した液体状の増粘用添加液
に関する。」(第1欄第5~15行)
(イ) 「
57
120
0001433466000010.jpg
」
(翻訳)
「発明の実施の形態の詳細な説明
以下に、本発明の実施形態について説明する。
この発明において用いられる
糊料は、グアーガム、ローカストビーンガム、タラガム、キサンタンガム、タマリンドガム、トラガントガム、カラヤガム、コンニャクマンナン、CMCナトリウム、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、アゾトバクタービネランジガム、カラギナン、化工澱粉、カシアガム、サイリュームシードガム、CMC、メチルセルロースの中から選ばれた少なくとも一種
である。」(第3欄第29~36行)
(ウ) 「
143
148
0001433466000011.jpg
」
(翻訳)
「上述の
糊料を低粘性を保持した液体として調製
する第2の方法は、
低粘性多糖類と併用して水に溶解することである。ここで低粘性の多糖類は、アラビアガム、プルラン、大豆多糖類、アラビアガラクタンの中から選ばれた少なくとも一種
である。これらの多糖類は、水に高濃度に溶解しても粘性が低く流動性に優れた液体となり、取り扱いが容易であるという特性を有する。これらの多糖類を糊料溶液に高濃度で共存させると、あたかも第1の方法における貧溶媒と同様の役割を果たすことが本発明者等により初めて見出された。
第2の方法で効果が得られるのは、多糖類を高濃度にすることにより、多糖類の持つ親水性基が水との間でより多く水素結合して水分子を取り込み、見かけ上疎水基が多くなって、糊料が溶解して水素結合するための自由になる水分子が少なくなるためと推定される。このため糊料は粉末状態よりは溶解しているが、分子が自由に広がったランダム状態になることができず、一部結晶様の分子のまま止まり、この結果溶液粘性が低く抑えられるものと考えられる。
特に
これらの多糖類が効果を示すのは高濃度溶解液であり、例えばアラビアガムの場合、3~50%の濃度、より望ましくは、8~30%の濃度とする。
これ以下の濃度であると、糊料を加えたときに粘性が発現して流動性が悪くなり、増粘用添加液として好ましい低粘性状態に保つことができない。勿論糊料の濃度を低くすれば流動性を保つ液体が得られるが、水分を含む目的物に添加して粘性を発現させるという機能に劣ることになる。また上記濃度範囲を超えると、アラビアガム自身の粘性が大きくなる。
以下、この第2の方法による実施例を示す。
アラビアガム10重量部を水85重量部に溶解してアラビアガムの溶液を作った。得られた溶液は、十分大きな流動性を持つ。この溶液の粘度を先の実施例と同じ条件(ローターNo.1)で測定したところ、10.5cPであった。このアラビアガム溶液にキサンタンガム5重量部を加えて溶解して液体状糊料を作った。この液体状糊料の粘度は648cP(ローターNo.3で測定)であった。
このアラビアガム溶液にキサンタンガム5重量部を加えて溶解して液体状糊料を作った。この液体状糊料の粘度は648cP(ローターNo.3で測定)であった。
得られた液体状糊料20重量部を水100重量部に溶解したところ、直ぐに粘性を発現し、粘度を測定したところ、412cPであった。このとき、時間経過と粘度の関係を測定した結果を図2に示した。この結果から、粘度発現の立ち上がりは極めて速いことが確認される。
キサンタンガムからなるこの液体状糊料を、ミルクやコンソメスープ、サラダドレッシングに溶解したところ、同様に粘性を発現した。これはキサンタンガムが塩等との反応性が低い糊料であるためである。これによりこの液体状糊料が多くの用途に適用して有効であることが分かる。
アラビアガム溶液の濃度を種々変えて、上記と同様の濃度でキサンタンガムの液体状糊料を作った。それらの液体状糊料の粘度を測定した結果を図3に示す。図から、アラビアガム溶液を用いることにより、水だけのキサンタンガムの液体状糊料の場合より粘度が低く、明らかにアラビアガムが液体状糊料に対して流動性を与えることが確認される。
」(第4欄第26行~第5欄第31行)
(エ) 「
39
120
0001433466000012.jpg
」
(翻訳)
「更に、この発明による得られる液体添加増粘剤は好ましくは、咀嚼・嚥下困難者用の食品に対して誤嚥防止のために添加する用途に用いられる。そしてこの様な用途のためには、
液体添加増粘剤は、ポーション容器、小袋のいずれかに小分けされていることが、使用上好ましい。
」(第7欄第20~26行)
イ 甲3に記載された発明
上記アより、特に第2の方法に注目すると、甲3には以下の発明及び事項が記載されている。
(ア) 甲3発明1
「咀嚼・嚥下困難を有する患者のための液体又は液体固形物混合物である食品に添加して簡単に粘性溶液やゲルを形成するのに適した液体状の増粘用添加液であって、
当該増粘用添加液は、糊料として、グアーガム、ローカストビーンガム、タラガム、キサンタンガム、タマリンドガム、トラガントガム、カラヤガム、コンニャクマンナン、CMCナトリウム、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、アゾトバクタービネランジガム、カラギナン、化工澱粉、カシアガム、サイリュームシードガム、CMC、メチルセルロースの中から選ばれた少なくとも一種を含み、
当該糊料に、アラビアガム、プルラン、大豆多糖類、アラビアガラクタンの中から選ばれた少なくとも一種の低粘性多糖類を併用し、水に溶解することで糊料の低粘性を保持した液体として調整され、
ポーション容器、小袋のいずれかに小分けされた増粘用添加液。」
(イ) 甲3発明2
「咀嚼・嚥下困難を有する患者のための液体又は液体固形物混合物である食品に液体状の増粘用添加液を添加して、簡単に粘性溶液やゲルを形成する方法であって、
当該増粘用添加液は、糊料として、グアーガム、ローカストビーンガム、タラガム、キサンタンガム、タマリンドガム、トラガントガム、カラヤガム、コンニャクマンナン、CMCナトリウム、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、アゾトバクタービネランジガム、カラギナン、化工澱粉、カシアガム、サイリュームシードガム、CMC、メチルセルロースの中から選ばれた少なくとも一種を含み、
当該糊料に、アラビアガム、プルラン、大豆多糖類、アラビアガラクタンの中から選ばれた少なくとも一種の低粘性多糖類を併用し、水に溶解することで糊料の低粘性を保持した液体として調整され、
当該増粘用添加液をポーション容器、小袋のいずれかに小分けし、
当該増粘用添加液を食品等に対して添加して増粘を生じさせる方法。」
(ウ) 甲3記載事項
a 「咀嚼・嚥下困難を有する患者の食品に添加して簡単に粘性溶液やゲルを形成するのに適した液体状の増粘用添加液であって、当該増粘用添加液を液体または液体固形物混合物に対して添加すること」
b 「増粘用添加液において、アラビアガム10重量部を水85重量部に溶解して作製したアラビアガムの溶液に、キサンタンガム5重量部を加えて溶解した液体状糊料の粘度が648cPであること」
c 「増粘用添加液は、糊料と多糖類とを含み、当該多糖類として、アラビアガム、プルラン、大豆多糖類、アラビアガラクタンの中から選ばれた少なくとも一種の低粘性多糖類を併用すること」
(3) 甲6
ア 甲6の記載
甲6には以下の記載がある。
「
多糖(類) [polysaccharidc(s)] グリカン(glycan),ポリグリコース(polyglycose)ともいう.単糖類(グリコース,その置換・誘導体も含む)がポリグリコシル化した高分子化合物(重合度10以上)の総称
で,構成糖の種類が1種の場合ホモ多糖(homopolysaccharide,ホモグリカン;homoglycan),2種以上のものをヘテロ多糖(hetelopolysaccharide,ヘテログリカン;heteroglycan)と大別される.」(第1351ページ第12行~第18行)
(※行数については、図を含めずに本文を1行として計上した。)
イ 甲6記載事項
上記アより、甲6には以下の事項が記載されている。
「多糖(類)は、単糖類(グリコース、その置換・誘導体も含む)がポリグリコシル化した高分子化合物(重合度10以上)の総称であること。」
(4) 引用文献1
ア 引用文献1の記載
引用文献1には以下の記載がある。
(ア) 「【0015】
本発明の他の目的は、ゲルでありながら流動性に優れ、パサツキ感がなく、口腔及び咽頭に付着せず、
嚥下食に適したゲルを調製可能なゲル形成性組成物
、その組成物を用いたゲル及びその調製方法を提供することにある。」
(イ) 「【0041】
本発明のゲルは、食品、医薬品、飼料などの用途に応じた活性成分、例えば、生理活性成分、薬理活性成分などを含んでいてもよい。さらに、活性成分に加えて、慣用の添加剤、例えば、結合剤、結着剤、強化剤、小麦粉改良剤、糊料、殺菌料、
安定剤(酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、耐熱安定剤など)
、醸造用剤、消泡剤、食品製造用剤、着香料、着色料、抽出剤、粘着防止剤、発酵調整剤、発色剤、被膜剤、漂白剤、酵素、品質改良剤、
品質保持剤、保水乳化安定剤、保存料、防虫剤、膨張剤、離型剤、緩衝剤、防腐剤、抗菌剤
、金属イオン封鎖剤などを含んでいてもよい。これらの基材及び添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。」
イ 周知の技術と認められる事項
上記アより、以下の事項は周知の技術(以下「周知技術1」という。)であると認められる。
「嚥下食に適したゲルを調製可能なゲル形成性組成物に関して、その機能や品質を維持するために、安定剤や品質保持剤、保存料等を添加して、製品としての機能や人が摂取する際の安全性の維持を図ること。」
(5) 引用文献2及び甲23
ア 引用文献2の記載
引用文献2には以下の記載がある。
(ア) 「【0007】
【作用】
本考案の吐出装置を用いて内容物の吐出操作を行うにあたって、
加圧操作を行うと内容物の吐出圧によって吐出口を閉塞していた可動片が押し開かれる結果、吐出口が開放して内容物が外部に吐出される。そして、加圧操作が停止され、内容物の吐出圧が低下するとそれまで吐出圧によって押し開かれていた可動片が復元力によって原状復帰し、吐出口が再び閉塞されるものである。
つまり、可動片が原状に復帰する動作が吐出口に残存する内容物を拭い取る動作を兼ねているので、吐出口近傍は常に内容物の残存、付着はなく、残存した内容物が外気に触れて結晶化、或いは固化することもない。更に、前記可動片を、この可動片の端面が前記吐出口の内壁に摺接するように構成することによって、この可動片の復元動作の際、可動片の端面と吐出口の内壁端面とが最初に擦れ合い、吐出口にはみ出るように残っていた内容物は擦り切られ、更に、この可動片の端面は吐出口の内壁を摺るように復元動作がなされるので内容物は余すところなく確実にノズル内に押し戻される。
【0008】
又、可動片に対する吐出圧が掛かっていない原状態では、可動片の端面は吐出口の内壁に密着して吐出口を完全に覆い、
ノズル内と外部とを確実に遮断し外気の侵入を阻止して内容物の固化を防止する
ものである。」
(イ) 「【0013】
14は、例えばラバー、エラストマー等の可撓性素材で構成された舌片であり、図4に示されるようにこの舌片14の基端部14aは吐出ノズル3a先端の吐出口15の基端部15aに固着されるものである。そして、
液体洗剤Dの吐出圧によって先端側14bが外方に押し開かれるように撓む結果、吐出口15が開放され液体洗剤Dの吐出が行なわれるように構成されるものである。又、液体洗剤Dの吐出圧から解除され、舌片14が原状に復帰するのである
が、この時、舌片14の先端側14bの端面14cは吐出口15の内壁面15bに対して摺動可能な形状に構成する。
【0014】
尚、舌片14に適した可撓性素材としては、液体洗剤Dが付着し難くく、例え付着しても剥離し易い性質を有する素材であれば良く、前述の素材以外にシリコンゴム、天然ゴム、プロピレンゴム等が適している。
上記の如く構成されたポンプ式吐出装置1の作用について説明する。
先ず、液体洗剤Dが所定量充填された容器本体2にポンプ式吐出装置1を装着し、キャップ1aによって固定する。
【0015】
そして、
この状態で、頭部3の加圧操作を行うと
・・・
図5に示すようにその吐出圧でもって吐出口15から舌片14を押し開くようにして吐出される。一方、所定量の液体洗剤Dの吐出が終了し、舌片14に対する吐出圧がなくなると可撓性を有する舌片14は原状復帰する
のであるが、この時、舌片14の復元力によって舌片14の端面14cと吐出口15の内壁面15bとは相互に擦り切るので液体洗剤Dの切れは良く、しかもこの舌片14の端面14cは吐出口15の内壁面15bを摺るように動作するから吐出口15端近傍に残っていた液体洗剤Dは確実に吐出ノズル3aの内奥に押し戻されることになる。
【0016】
以上詳細に説明した如く、液体洗剤Dの吐出操作終了後における、舌片14が原状に復帰する動作が即ち、吐出口15に残存する液体洗剤Dを拭い取る動作を兼ねており、吐出口15に液体洗剤Dが付着、残存することもない。従って残存した液体洗剤Dが外気に触れて結晶化、或いは固化することもない。又、
吐出操作が行なわれていない状態では舌片14の端面14cが吐出口15の内壁面15cに摺接状態で密着し、吐出ノズル3a内と外部とを確実に遮断する為に液体洗剤Dを固化させる原因となる外気の侵入を阻止する結果、常に安定した吐出作業が行なえる。
」
イ 甲23の記載
甲23には以下の記載がある。
(ア) 「
125
108
0001433466000013.jpg
」
(翻訳)
「
液体製品用のディスペンサは、ポンプ機構、突出ノズル、および突出ノズルの分注端部にある出口弁を含む。出口弁は、製品の分注を効率的に制御するように構成され配置されている
。
・・・これらの2つの
出口弁コンポーネントは、協働するサブアセンブリとして一緒にスナップされ、静的または休止状態では通常閉じた状態にあります。製品の流れが出口弁サブアセンブリに供給されると、その製品によって生成される流体力が、1つの弁コンポーネントを他の弁コンポーネントに対して移動させることにより、実質的に独自の流れの開口部を作り出します
。参照される流体力は、さまざまなポンプ機構のいずれか、またはスクイーズ容器の使用によって生成される可能性があります。例示的な実施形態では、この流体力はポンプ機構によって生成されます。ポンプ機構は、容器内から製品を引き出し、その製品をノズルを通して出口弁に導き、製品の流れが1つの出口弁コンポーネントの表面に接触するように指示され、その結果、製品を分配するために出口弁を通る流体経路が開かれます。」(第4ページ第1~23行)
(イ) 「
57
137
0001433466000014.jpg
」
(翻訳)
「“ポンプ機構”は、ノズル26と出口弁28を除いて、図6に示されているすべての構成要素と構造を含む。ノズル26のアクチュエータ端部34は、中空ステム36の上端38にリブ付きスナップフィットで取り付けられている。
ノズル26は、ステム36の上端38から出口弁28まで分注される液体製品を導く導管である。“出口弁”は、ノズル26の遠位の分注端部40にスナップフィットで取り付けられる、ヒンジ付きの2部品構成要素である。
」(第7ページ第32行~第8ページ第7行)
(ウ) 「
129
39
0001433466000015.jpg
」
(図6)
(エ) 「
62
129
0001433466000016.jpg
」(図11A)
ウ 周知の技術と認められる事項
上記ア及びイの記載を踏まえれば、以下の事項は周知の技術(以下「周知技術2」という。)であると認められる。
「ポンプ式吐出装置のノズルにおいて、通常閉じた状態にあり、ポンプに加圧操作を行うと、液体の流体力により液体が吐出される出口弁を備え、ポンプ式吐出装置の容器内の液体の乾燥を抑制又は防止するもの。」
(6) 甲25~27
ア 甲25の記載
甲25には以下の記載がある。
(ア) 「【0006】
このような
従来から多用される縦型の往復動ポンプの一般的な例としては、
図8に示すように、
容器本体32の口頸部32aに螺着した蓋体33により容器内に垂設する合成樹脂でできたシリンダ35の下端部に形成された弁座35bに金属製のボール35c(当審注:35aは35cの誤記と判断。)が密着するように設けて吸い込み弁を形成し、また、前記シリンダ内に上下動可能に嵌合した筒状ピストン36aを有する合成樹脂製ステム36の上端部に形成された弁座36bに金属製ボール36cが密着するように設けて吐出弁を形成してポンプ本体を形成する
と共に、前記ステム上端部に押圧ヘッド部38aと噴射ノズル37とを有する合成樹脂製の噴射ヘッド38を嵌合、固定して注出ポンプ31を形成したものがある。
【0007】
上記のような構造をした注出ポンプ31は、その押圧ヘッド部38aをシリンダ内の金属スプリング39の弾性力に抗して押し下げる操作を行うと、ステム36が下方へ変位してシリンダー35内に充満している内容液を加圧すると共に、吸い込み弁のボール35cがシリンダー下端の開口部を閉じるので、加圧された内容液は吐出弁のボール36cを押し上げて開口して噴射ノズル37から吐出される。
次いで、押圧ヘッド部38aの押圧操作を停止すると、噴射ヘッド38はスプリングの弾性復元力により元の位置に復帰して、吐出弁のボール36cがステム上端部の吐出路を閉じるので、シリンダー35内が負圧となって容器内の溶液をシリンダ内に吸い上げて、次の噴射操作に備える構成になっている。」
(イ) 「【図8】
93
70
0001433466000017.jpg
」
イ 甲26の記載
甲26には以下の記載がある。
(ア) 「【0004】前記泡生成ポンプ式流体分与容器は、以下のように作用する。すなわち、前記ポンプ式送出機構において、前記ピストンを引動させると、前記ボール弁が開放する。そうすると、前記容器内の流体が前記シリンダー内に吸引される。前記ピストンを押動させると、前記ボール弁が閉鎖する。前記シリンダー内に吸引されていた流体が吐出され、前記気液混合室に送出される。」
(イ) 「【0026】図1に示されるように、この発明の一実施例である
泡生成ポンプ式流体分与容器1は、ピストン体2と、シリンダー体3と、容積可変部材100と、上蓋60と、容器80と、ノズルヘッド70とを有してなる。
【0027】
前記ピストン体2は、筒部材10と気液混合部材20と蓋部材30とを有してなる。
」
(ウ) 「【0031】・・・なお、気液混合部材20における、ボール弁脱落防止部材24とテーパー面22とにより囲まれる空間が気液混合室である。この
気液混合室内には第2ボール弁B2が収容されている。この実施例において第2ボール弁は金属球である。
」
(エ) 「【0038】ピストン体収容部40は、一端開口部の内径が小さくなっている円筒状の部材で形成される。ピストン体収容部40における前記一端開口部側には、環状支持体41が装着固定される。この環状支持体41には、互いに直交する十字状の切り欠き部が形成されている。この環状支持体41と前記一端開口部との間の空間が弁室45である。この
弁室45内には、球形の第1ボール弁B1が収容されている。この実施例において第1ボール弁は金属製である。
」
(オ) 「【図1】
103
77
0001433466000018.jpg
」
ウ 甲27の記載
甲27には以下の記載がある。
(ア) 「【0007】
このような構造のポンプ式排出機構においては、手動により付勢部材の付勢力に抗して前記ピストンを押し下げると、前記ボール弁は前記排出開口部を閉塞し、シリンダー内の充填物を排出する。その後に付勢力により前記ピストンを上昇させると、シリンダー内が負圧になり、これによってボール弁が排出開口部を開放し、排出開口部を通じて容器本体内の内容物がシリンダー内に浸入する。ピストンが上昇し切ると、容器本体内の内容物がシリンダー内に排出開口部を通じて浸入するのが停止する。そして、それまで排出開口部上に浮き上がっていたボール弁が排出開口部に向かって下降し、排出開口部はボール弁で閉塞される。
【0008】
このような従来のポンプ式流体分与容器にあっては、前記ポンプ式排出機構におけるシリンダー内に、容器本体内の内容物を、収容した後に、排出開口部上に浮き上がっているボール弁が直ちに下降して排出開口部が閉鎖状態にならないと言う問題点があった。特に容器本体内に充填されている内容物が粘稠物、粘度の高い液状物あるいは発泡物であるときには、シリンダー内に内容物が完全に収容された後に、排出開口部から浮き上がっているボール弁と排出開口部の間には前記のような内容物が介在するので、浮き上がっているボール弁が排出開口部に向かって容易に、かつ迅速に下降しなかった。浮き上がっているボール弁が排出開口部に向かって容易に下降しないという事態、換言すると、シリンダー内に内容物が完全に収容された後においても、ボール弁が排出開口部よりも上側に浮き上がった状態になっているという事態は、次のような問題点を引き起こす。
すなわち、シリンダー内に収容された内容物を排出するべく、ピストンを強制的に下降させても、ボール弁が排出開口部を閉塞していないので、シリンダー内の所定量の内容物を容器本体外に排出することができなくなるという問題を引き起こす
。」
(イ) 「【0018】
図1に示されるように、この発明の一実施例である
ポンプ式流体分与容器1は、容器本体10と、上蓋20と、ノズルヘッド30と、ポンプシリンダー40、ピストン体50、コイルスプリングS、環状支持体90、および第1ボール弁B1を備えるポンプ式排出機構100と、摺動遊動底(図示せず。)とを有する
。」
(ウ) 「【0023】
ポンプシリンダー40の先端部内には、
環状支持体90が装着固定され、この環状支持体90と前記排出開口部41との間に
弁室43が形成される。この弁室43内には、球形の第1ボール弁B1が収容される。
」
(エ) 「【0031】
このピストン体50は、第1ステム60と第2ステム70と弾性摺動弁部材80とを有する。
【0032】
第1ステム60は、貫通孔を有する管状体であり、上蓋20を貫通し、かつ上下動可能に上蓋20に装着される。この第1ステム60の上部には第2ボール弁B2が設けられ、かつこの第1ステム60の上端部にノズルヘッド30が装着される
。なお、このノズルヘッド30には流体流出口31が形成され、この流体流出口31と第1ステム60の貫通孔61と連通している。」
(オ) 「【図1】
103
73
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」
エ 周知の技術と認められる事項
上記ア~ウから、以下の事項は周知の技術(以下「周知技術3」という。)であると認められる。
「ポンプ式流体分与容器において、シリンダー下端部の弁座に吸い込み弁の金属製ボール弁を備え、シリンダー上端部の弁座に吐出弁の金属製ボール弁を備え、シリンダー内の所定量の内容物を容器本体外に排出するもの。」
発明が明確であるか否かは、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願当時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきものである。以下検討する。
本件特許の請求項1、4における「安定」との発明特定事項については、本件訂正により訂正特許請求の範囲1、4において「前記安定液体組成物の安定性は、色、風味、分離、微生物学的腐敗、粘度及び透明度の一つ又は複数の安定性である」ことが特定された。これは、本件特許の課題が「液状又は半液状食料の粘度を増大させるのに適した、増粘剤と多糖類とを含む安定液体組成物のための貯蔵及び送達システム」(【0001】)の提供であることを踏まえれば、製品を添加した食品を人が摂取した際の安全性や、食品に添加して増粘させるという製品としての機能が維持できる程度に、液体組成物の色、風味、分離、微生物学的腐敗、粘度及び透明度の一つ又は複数が、経時的に変化しないということを示すものと、当業者であれば通常理解するものである。
また、「安定」は、製品を添加した食品を人が摂取した際の安全性や、食品に添加して増粘させるという製品としての機能が維持できる程度に、液体組成物の色、風味、分離、微生物学的腐敗、粘度及び透明度の一つ又は複数が、経時的に変化しないということを示すものと、当業者であれば通常理解するものである。そして、本件発明1、4の「安定液体組成物」が、生鮮食品のような扱いを要するのか、加工食品のような扱いで足るのか、または要冷蔵なのか常温保存で足るのか等については明らかではないものの、「安定液体組成物」が一般摂取用に供されることは明らかであるから、技術常識として、冷蔵及び常温のいずれの保存状態も含めた一般家庭の通常の取り扱いでの経時的安定性が想定されていると解することが相当である。
そうすると、本件発明1、4、及びこれらを引用する本件発明2、3、5、6、9、12~18、21、23~25について、特許請求の範囲の記載は明確であるから、特許請求の範囲の記載が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえない。
また、以上のとおりであるから、この点に関する請求人の主張は採用できない。
よって、訂正特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たすものである
(1) 本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲2-1発明1とを、その構成や機能、及び技術上の意義を考慮して対比する。
本件発明1の「安定液体組成物」は、「水性液体食料又は水性液体固体混合食料の粘度を増大させるために用いられ」るものであるから、甲2-1発明1の「飲料及び食品を増粘するために使用される液体増粘濃縮物」と、本件発明1の「水性液体食料又は水性液体固体混合食料の粘度を増大させるために用いられ」る「安定液体組成物」とは、「食料の粘度を増大させるために用いられる」「液体組成物」である限りにおいて一致する。
甲2-1発明1の「ボトル」には「液体増粘濃縮物」を封入して保存し、「ポンプ」によって「液体増粘濃縮物」を「飲料及び食品」に添加するよう送達するものであるから、甲2-1発明1の「液体増粘濃縮物を、ポンプが設置されるボトルに封入した製品」は、本件発明1の「液体組成物のための貯蔵及び送達システム」である限りにおいて一致する。
甲2-1発明1の「増粘剤系として食品に一般的に使用される4つの植物性ガム、すなわち、キサンタンガム、ペクチン、ジェランガム、およびグアーガムの独特のブレンド」は、本件発明1の「(i)寒天、アルギン酸、カラギナン、グアーガム、トラガカントガム、ガティガム、微結晶性セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルエチルセルロース、カラヤガム、ローカストビーンガム、タラガム、サイリウムシードガム、クインスシードガム、ペクチン、フルセララン、ジェランガム、こんにゃく、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1種又は複数種の増粘剤」に相当する。
甲2-1発明1の「可溶性植物多糖類」は、本件発明1の「(ii)スクレログルカン、デキストラン、エルシナン、大豆多糖類、レバン、アラビノガラクタン、アルテルナン、イヌリン、グルコオリゴ糖、プルラン、アラビノキシラン、カードラン、低粘度カルボキシメチルセルロース(CMC)、アカシアガム、西洋カラマツ多糖類抽出物、アメリカカラマツ多糖類抽出物、ヨーロッパカラマツ多糖類抽出物、シベリアカラマツ多糖類抽出物、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1種又は複数種の多糖類又は多糖類の抽出物」と比較して、「多糖類」である限りにおいて一致する。
甲2-1発明1の「ポンプが設置されるボトル」は、本件発明1の「ポンプディスペンサ」が「封止状態で取り付けられた」「容器」に相当する。
甲2-1発明1の「ポンプが設置されるボトル」は、「ポンプノズル」によって「ボトルに封入した」「液体増粘濃縮物」を「飲料及び食品」に添加するよう送達するものであるから、甲2-1発明1の「ポンプノズル」は、本件発明1の「ディスペンサ先端部」に相当する。また、甲2-1発明1の「ポンプが設置されるボトル」は、「ボトルに封入した」「液体増粘濃縮物」を「ポンプノズル」に流通させていることは明らかであるから、本件発明1の「ディスペンサ先端部と流体連通するディスペンサシャフト」を備えているといえる。そうすると、甲2-1発明のディスペンサ先端部と流体連通するディスペンサシャフトを備える「ポンプが設置されるボトル」は、本件発明1の「ポンプディスペンサであって、前記ディスペンサが、ディスペンサ先端部と流体連通するディスペンサシャフトと、前記容器内の前記組成物の乾燥を抑制又は防止するための弁機構とを含む、ポンプディスペンサ」と、「ポンプディスペンサであって、前記ディスペンサが、ディスペンサ先端部と流体連通するディスペンサシャフトを含む、ポンプディスペンサ」である限りにおいて一致する。
イ 一致点
したがって、本件発明1と甲2-1発明1とは、以下の点で一致している。
「液体組成物のための貯蔵及び送達システムであって、前記システムは:
(a)前記液体組成物を含む、容器であって、前記組成物が、食料の粘度を増大させるために用いられ、前記組成物が、(i)寒天、アルギン酸、カラギナン、グアーガム、トラガカントガム、ガティガム、微結晶性セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルエチルセルロース、カラヤガム、ローカストビーンガム、タラガム、サイリウムシードガム、クインスシードガム、ペクチン、フルセララン、ジェランガム、こんにゃく、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1種又は複数種の増粘剤と、(ii)多糖類を含む、容器と;
(b)前記容器に封止状態で取り付けられた、ポンプディスペンサであって、前記ディスペンサが、ディスペンサ先端部と流体連通するディスペンサシャフトを含む、ポンプディスペンサ
とを含む
液体組成物のための貯蔵及び送達システム。」
ウ 相違点
一方、本件発明1と甲2-1発明1とは、以下の点で相違している。
【相違点1-1】
本件発明1の「液体組成物」は「安定液体組成物」であり、その「安定」性は、「色、風味、分離、微生物学的腐敗、粘度及び透明度の一つ又は複数の安定性」であるのに対して、甲2-1発明1の「液体増粘濃縮物」は安定性を有するかどうかを特定しない点。
【相違点1-2】
本件発明1は、「安定液体組成物」が「水性液体食料又は水性液体固体混合食料の粘度を増大させるために用いられ」るのに対して、甲2-1発明1は「液体増粘濃縮物」が「飲料及び食品を増粘するために使用される」点。
【相違点1-3】
本件発明1の「安定液体組成物」が「2000cP未満の粘度と95%超の水分活性とを有して」いるのに対して、甲2-1発明1は、「液体増粘濃縮物」の粘度と水分活性とを特定しない点。
【相違点1-4】
本件発明1は、「多糖類又は多糖類の抽出物」が「(ii)スクレログルカン、デキストラン、エルシナン、大豆多糖類、レバン、アラビノガラクタン、アルテルナン、イヌリン、グルコオリゴ糖、プルラン、アラビノキシラン、カードラン、低粘度カルボキシメチルセルロース(CMC)、アカシアガム、西洋カラマツ多糖類抽出物、アメリカカラマツ多糖類抽出物、ヨーロッパカラマツ多糖類抽出物、シベリアカラマツ多糖類抽出物、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1種又は複数種」であり、「10~100,000超のサッカリド単位を含み、多糖類又は多糖類の濃度は、重量で15%~25%である」のに対して、甲2-1発明1は、具体的な多糖類の種類と、サッカリド単位と濃度とを特定しない点。
【相違点1-5】
本件発明1の「ポンプディスペンサ」が「前記容器内の前記組成物の乾燥を抑制又は防止するための弁機構」を含み、「弁機構は、(i)前記ディスペンサシャフト内の、前記ポンプディスペンサの上端部に配置された第1ボール弁と、(ii)前記ディスペンサシャフト内の、前記ポンプディスペンサの下端部に配置された第2ボール弁と、(iii)前記ディスペンサ先端部の開いた遠位端部に第3弁とを含み、前記第3弁は、閉鎖位置に付勢されており、前記ポンプディスペンサに力を加えると開位置へ作動され、前記組成物が強制的に前記第3弁を通流するようにする、セルフシーリング弁であ」るのに対して、甲2-1発明1の「ポンプが設置されるボトル」は、容器内の組成物の乾燥を抑制又は防止するための弁機構を含むことと、当該弁機構が、(i)ディスペンサシャフト内の、ポンプディスペンサの上端部に配置された第1ボール弁と、(ii)ディスペンサシャフト内の、ポンプディスペンサの下端部に配置された第2ボール弁と、(iii)ディスペンサ先端部の開いた遠位端部に第3弁とを含み、第3弁は、閉鎖位置に付勢されており、ポンプディスペンサに力を加えると開位置へ作動され、前記組成物が強制的に第3弁を通流するようにする、セルフシーリング弁であることを特定しない点。
エ 判断
(ア) 相違点1-1について
甲2-1発明1の液体増粘濃縮物は、「一度開封しても冷蔵する必要がなく、貯蔵寿命が12ヶ月」とされたものである。この「貯蔵寿命」とは、液体増粘濃縮物が食品を増粘する機能や、食品に添加して人が摂取する際の安全性が、12ヶ月間は担保されるものと当業者であれば通常理解するから、甲2-1発明1の液体増粘濃縮物は、少なくとも分離や粘度(製品としての機能を維持)、色、風味、透明度、微生物学的腐敗(人が摂取する際の安全性)の要素に関して、安定性を有するといえるものである。そうしてみると、相違点1-1は実質的な相違点ではない。
仮に、甲2-1の記載のみからでは、液体増粘濃縮物に安定性があるかどうか不明であるとしても、上記2(4)イにおいて周知技術1として示したとおり、嚥下食に適したゲルを調製可能なゲル形成性組成物に関して、その機能や品質を維持するために、安定剤や品質保持剤、保存料等を添加して、製品としての機能や人が摂取する際の安全性の維持を図ることは、周知の技術である。
そうすると、甲2-1発明1に対して上記周知技術1を適用して、液体増粘濃縮物に安定剤や品質保持剤、保存料等を添加して色、風味、分離、微生物学的腐敗、粘度、透明度といった安定性を付与することは、当業者であれば容易に想到し得た事項である。
(イ) 相違点1-2について
上記2(1)ア(ア)には「Precise Thick-N INSTANTは、温かい飲み物や冷たい飲み物、アルコール飲料、炭酸飲料など、幅広い種類の飲料を増粘することができます」と、同(イ)には「幅広い食品、飲料、サプリメントを増粘します」と、同(エ)には「Precise Thick-N Instantシングルサーブを100mlの温かい又は冷たい飲料に加えます。用意された飲料はすぐに出せるので、ドリンクワゴンから出すお茶やコーヒーには最適です」と記載されている。そうすると、甲2-1発明1の「液体増粘濃縮物」を、「水性液体食料又は水性液体固体混合食料の粘度を増大させるために用いられ」ることとすることは、当業者にとって容易に想到し得た事項である。
また、甲3記載事項aでは、「咀嚼・嚥下困難を有する患者の食品に添加して簡単に粘性溶液やゲルを形成するのに適した液体状の増粘用添加液であって、当該増粘用添加液を液体または液体固形物混合物に対して添加すること」が特定されている。
そして、甲2-1発明1と甲3記載事項aとは、咀嚼・嚥下困難者の食品に添加される増粘剤及び多糖類を含むものであり、食品に添加して短時間で所望の粘度を得ることができるという点で、両者の技術分野と課題、作用・機能が共通するものであるから、甲2-1発明1の液体増粘濃縮物を、甲3記載事項aにならって液体又は液体固形物混合物に添加することとし、相違点1-2に係る本件発明1の構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得た事項である。
(ウ) 相違点1-3について
甲2-1に記載される液体増粘濃縮物は、ボトルに封入されてポンプにより定量を提供するものであり、「正しい数のポンプを追加したら、スプーンで30秒ほどかき混ぜて飲料に混ぜます。スティックでの混合又は激しい撹拌は必要ありません。かき混ぜている間、飲み物がどんどん濃くなり、かき混ぜにくくなるのを感じるでしょう。」(第4ページ)との記載から、ボトルに封入されている時点では、ポンプで容易に提供ができる程度の取り扱いやすい粘度とする課題を包含するものである。
そして、甲2-1発明1の液体増粘濃縮物における粘度と水分活性は、当業者であれば適宜決定し得た事項にすぎない。また、その具体的な値については、甲2-1発明1と同様の増粘用添加液(液体増粘濃縮物)に関する甲3記載事項bのとおり、その数値範囲が特別なものとも認められない。
(エ) 相違点1-4について
上記(イ)において検討したとおり、甲2-1発明1と甲3記載事項とは、咀嚼・嚥下困難者の食品に添加される増粘剤及び多糖類を含むものであり、食品に添加して短時間で所望の粘度を得ることができるという点で、両者の技術分野と課題、作用・機能が共通するものである。
そうすると、甲2-1発明1の多糖類として、甲3記載事項cの「アラビアガム、プルラン、大豆多糖類、アラビアガラクタンの中から選ばれた少なくとも一種の低粘性多糖類」を選択することは、当業者であれば容易に想到し得た事項である。
そして、「多糖類」とは甲6記載事項のとおり「単糖類(グリコース、その置換・誘導体も含む)がポリグリコシル化した高分子化合物(重合度10以上)の総称」であるから、甲2-1発明1の多糖類も甲3記載事項cの「アラビアガム、プルラン、大豆多糖類、アラビアガラクタンの中から選ばれた少なくとも一種の低粘性多糖類」も、いずれも10~100,000超のサッカリド単位を含むものである。
また、甲3には「特にこれらの多糖類が効果を示すのは高濃度溶解液であり、例えばアラビアガムの場合、3~50%の濃度、より望ましくは、8~30%の濃度とする。これ以下の濃度であると、糊料を加えたときに粘性が発現して流動性が悪くなり、増粘用添加液として好ましい低粘性状態に保つことができない。勿論糊料の濃度を低くすれば流動性を保つ液体が得られるが、水分を含む目的物に添加して粘性を発現させるという機能に劣ることになる。また上記濃度範囲を超えると、アラビアガム自身の粘性が大きくなる。」(第4欄第52行~第63行)と記載されており、当該記載を踏まえれば、多糖類の濃度は、増粘用添加液の流動性の程度を考慮して当業者が適宜定め得た事項にすぎない。
(オ) 相違点1-5について
a 第3弁について
上記2(5)ウにおいて周知技術2として示したとおり、ポンプ式吐出装置のノズルにおいて、通常閉じた状態にあり、ポンプに加圧操作を行うと、液体の流体力により液体が吐出される出口弁を備え、ポンプ式吐出装置の容器内の液体の乾燥を抑制又は防止するものは、周知の技術である。また、周知技術2の「出口弁」は、その機能を踏まえれば、本件発明1の「セルフシーリング弁」に相当する。
そして、甲2-1発明1は、使用と次の使用との間において製品を保護する衛生的なシールをポンプノズルに有するものであり、当該シールは使用時にポンプノズルを解放して製品を供給可能とし、不使用時にノズルを閉塞して製品を保護するものである。してみると、上記周知技術2の出口弁も同様の機能を有するものであるから、甲2-1発明1の「ポンプが設置されるボトル」に上記周知技術2を適用してポンプノズルのシールを出口弁に置き換え、ボトル内の液体増粘濃縮物の乾燥を抑制又は防止するための弁機構としてのセルフシーリング弁を設けることは、当業者が容易に想到し得た事項である。
b 第1ボール弁及び第2ボール弁について
上記2(6)エにおいて周知技術3として示したとおり、ポンプ式流体分与容器において、シリンダー下端部の弁座に吸い込み弁の金属製ボール弁を備え、シリンダー上端部の弁座に吐出弁の金属製ボール弁を備え、シリンダー内の所定量の内容物を容器本体外に排出するものは、周知の技術である。また、周知技術3の「シリンダー」、「吸い込み弁の金属製ボール弁」及び「吐出弁の金属製ボール弁」は、それぞれ本件発明1の「ディスペンサシャフト」、「第1ボール弁」及び「第2ボール弁」に相当する。
そして、甲2-1には、上記2(1)ア(イ)に示したとおり「一貫性に対する精密なコントロール。ポンプは必要な正確な量を投与します」と記載され、上記2(1)ア(ウ)に示したとおり「ポンプによる単純で正確な投与と穏やかな撹拌による容易な混合」と記載されていることから、甲2-1発明1の「ポンプが設置されるボトルに封入」された「液体増粘濃縮物」は、ポンプにより所定量が「飲料及び食品」に添加されるといえる。してみると、上記周知技術3のポンプ式流体分与容器も同様の機能を有するものであるから、甲2-1発明1の「ポンプが設置されるボトル」に対して、上記周知技術3の下端部の弁座に吸い込み弁の金属製ボール弁を備え、上端部の弁座に吐出弁の金属製ボール弁を備えたシリンダーを適用し、弁機構としての第1ボール弁及び第2ボール弁を設けることは、当業者が容易に想到し得た事項である。
c 相違点1-5についてのまとめ
上記a及びbで検討したとおり、甲2-1発明1の「ポンプが設置されるボトル」に、弁機構としてのセルフシーリング弁並びに第1ボール弁及び第2ボール弁を設けることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
そして、セルフシーリング弁並びに第1ボール弁及び第2ボール弁を含む構成を、「前記容器内の前記組成物の乾燥を抑制又は防止するための弁機構」とすることも、当業者であれば容易に想到し得たことである。
(カ) 本件発明1の奏する効果について
本件発明1の効果は、当業者が、甲2-1発明1、甲3記載事項、及び周知技術から容易に想到する本件発明1の構成を前提として、予測し難い顕著なものであるかという視点で検討することを要するものであるが、本件発明1の効果は、甲2-1発明1、甲3記載事項、及び周知技術に照らせば予測し難い顕著なものであるということはできない。
オ まとめ
以上のとおり、甲2-1発明1に甲3記載事項、及び周知技術を適用して、相違点1-1~1-6に係る本件発明1の構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
カ 被請求人の主張について
(ア) 甲2-1から引用発明を認定することについて
被請求人は「甲2-1は単なる製品チラシであり、液状増粘剤の製造方法、正確な成分や配合の詳細が記載されておらず、むしろ、「中身は何ですか?」の欄には、「Precise Thick-N Instantの成分の正確な割合は秘密です。」と記載されています。これは、製品の製造方法や各成分の詳細は、第三者がメーカーの知的財産を侵害するのを防ぐため、甲2-1では意図的に開示していないと考えられます。すなわち、甲2-1の開示は、当業者に製造方法や各成分の詳細を教示するものではなく、製品の潜在的な使用者に製品を紹介することを目的としているからです。」(口頭審理陳述要領書の第3ページ)として、甲2-1から引用発明を認定することは適切ではない旨主張する。
しかしながら、甲2-1は、「Precise THICK-N INSTANT(General Flyer)」と「Precise THICK-N INSTANT INFORMATION NOTE」から構成されており、これらの2つの資料はウェブページ上(URL:https://web.archive.org/web/20160303123315/http://www.precisethickn.com.au/precise-thickn-instant/)で並列して掲載されており(2016年3月3日)、「Precise THICK-N INSTANT INFORMATION NOTE」が「Precise THICK-N INSTANT(General Flyer)」の「Detailed Information」として掲載されていたものである。そして、「Precise THICK-N INSTANT INFORMATION NOTE」には、製品の各成分の詳細や使用方法について当業者がみて技術的に理解し得るに充分な記載がされており、甲2-1から引用発明として上記2(1)イの甲2-1発明1及び甲2-1発明2を認定することに何の障害もない。
また、被請求人は「甲2-1の“Precise Thick-N INSTANT General Flyer”は、被請求人のトリスコ アイキャップ プロプライアタリー リミティド社の関連事業体でありライセンシーであるトリスコ・フーズ プロプライアタリー リミティド社の販促チラシであるところ、甲2-1記載の製品と本件発明との関係について、被請求人は、同社のCEOでありかつ発明者の一人であるマイケル・トリストラムの宣誓書を提出いたします。
宣誓書に記載されているように、甲2-1に記載されている製品は、本件特許の優先日前において市場から一般に入手可能な製品ではなく、本件発明1及び4の3つの弁を有する弁機構を備えた製品は、確かに、本件特許の優先日において販売、開示、またはその他の方法で一般に提供されていませんでした(宣誓書、項目3~6)。」(上申書の第11ページ)と主張する。
しかしながら、甲2-1に記載されている製品が実際に提供されていたか否かに関わらず、甲2-1の記載から、当業者であれば甲2-1発明1及び甲2-1発明2を認識することができることは上記のとおりである。
よって、被請求人の主張を採用することはできない。
(イ) 甲2-1に対して甲3を適用する動機付けについて
被請求人は「甲3では、増粘用添加液の使用量が少なくなるように、増粘用添加液をポーション容器、小袋のいずれかに小分けすることを強く推奨しており、このことは、甲2-1に記載されるような大型の繰り返し使用される容器及びポンプディスペンサに収容することとは逆の教示であるといえます。よって、当業者が、甲2-1に記載されるような大型の繰り返し使用される容器及びポンプディスペンサに、甲3の増粘用添加液を収容しようとしたはずであるという示唆等がなく、そのように収容する動機が全くありません。」(口頭審理陳述要領書の第5ページ)と、甲2-1に対して甲3を適用する動機付けが無い旨主張する。
また、被請求人は「甲3は、「第2の方法」において、特定の増粘剤と多糖類とを組み合わせた増粘用添加液を記載しますが、これを「ポーション容器、小袋のいずれかに小分けされ」ることを強く推奨しており(第7欄第20~26行)、当業者が、甲2-1の容器及びポンプディスペンサに、甲3の「第2の方法」の増粘用添加液を収容したはずであるとする示唆等はありません。たとえ収容したとしても、甲3は、当該粘性抑制液体増粘剤の微生物学的及び物理的不安定の課題を記載も示唆もしていないところ、この不安定性の課題は、後知恵なくして当然に認識されるとは限りません」(上申書の第9ページ)と主張する。
しかしながら、甲2-1発明1と甲3記載事項とは、咀嚼・嚥下困難者の食品に添加される増粘剤及び多糖類を含むものであり、食品に添加して短時間で所望の粘度を得ることができるという点で、両者の技術分野と課題、作用・機能が共通している。また、いずれも食品に対して定量を添加するという共通の機能を有するものであるから、甲2発明1に甲3記載事項を適用する動機付けがあるといえる。
さらに、甲3の増粘用添加液が封入されたポーション容器、小袋についても、対象食品に添加する必要量に応じて複数個用いるものであるし、甲2-1に記載されるポンプディスペンサも適切な一回の吐出量となるように設計されるものであるから、甲2-1に記載されるポンプディスペンサに収容することが逆の教示であるとはいえず、この適用を阻害する要因はない。
よって、被請求人の主張を採用することはできない。
(ウ) 甲2-1の「衛生的なシール」と「弁」との差異、及び、甲2-1のポンプディスペンサに「弁」を備えるよう改変する点について
被請求人は「このような「衛生的なシール」は、流体の流れを制御することができず、分注時に取り外さなければならないため、本件訂正発明1及び4における「弁」に該当しないことは、当業者にとって明らかです。このため、このような「衛生的なシール」は、容器及びポンプディスペンサを繰り返し使用することで容器内の液体組成物(および先端カバー自体)を空気にさらすことになり、組成物の乾燥を抑制又は防止することができません。
したがって、甲2-1に記載されている「衛生的なシール」は、本件訂正発明1及び4に規定する「前記容器内の前記組成物の乾燥を抑制又は防止するための弁」とは機能的にも構造的にも全く異なるものです。」(口頭審理陳述要領書の第9ページ)と、甲2-1の衛生的なシールと弁とは、機能的・構造的に全く異なるものである旨主張する。
また、被請求人は「当業者が、甲2-1の容器及びポンプディスペンサに本件訂正発明1及び4における「弁」を備えるよう改変するためには、その前提として、甲3の増粘用添加液を甲2-1の容器及びポンプディスペンサに収容し、その不安定性を課題として認識することが必要です。・・・甲2-1及び甲3には、その具体的な解決手段として、「前記容器内の前記組成物の乾燥を抑制又は防止するための弁」を採用したはずであるとする示唆等はありません。また、当該技術分野において、増粘用添加液をそのような「弁」を備えるポンプディスペンサに収容することは本件特許の優先日前に知られておらず、単なる設計事項でもありません。」(口頭審理陳述要領書の第10ページ)と、甲2-1のポンプディスペンサに弁を設けることが容易ではない旨主張する。
加えて、被請求人は「甲2-1は、「増粘用添加液」が、本件発明1及び4の特定の組成を有することを開示していないため(相違点1-3及び1-4)、当業者は、粘性抑制液体増粘剤の微生物学的及び物理的不安定の課題を認識することができません。したがって、当業者にとって、甲2-1に記載の「衛生的なシール」を、本件発明1及び4の特定の「弁機構」に置き換える動機づけはありません」、「さらに、たとえ課題を認識しえたとしても、本件発明1及び4の「弁機構」は、優先日における技術常識ではありません。よって、当業者にとって、甲2-1発明1及び2の「衛生的なシール」を、本件発明1及び4の特定の「弁機構」に置き換えることは容易ではありません」(上申書の第9ページ)、「審判長殿は、上記審決の予告において、引用文献2を引用し、「容器内の組成物の乾燥を抑制又は防止するための弁をノズルに有するポンプは、引用文献2記載事項のように周知技術である」から、「甲2-1発明1に対して上記周知技術を適用してポンプノズルのシールを弁に置き換えることは、当業者が容易に想到し得た事項である。」とのご見解です。しかしながら、引用文献2の弁機構は、ディスペンサシャフト内にボール弁を一つだけ有するものであり、本件発明1及び4における3つの弁を有する特定の弁機構ではありません。したがって、引用文献2を参照しても、甲2-1発明1の「衛生的なシール」を、本件発明1及び4の特定の「弁機構」に置き換えることは容易ではありません」(上申書の第10ページ)と主張する。
しかしながら、上記エ(オ)で検討したとおり、甲2-1の「衛生的なシール」は、使用時に内容物が吐出できるようにポンプノズルを解放し、保管時に内容物の乾燥を抑制又は防止するためにポンプノズルを閉塞する機能を有するものであるから、周知技術2のような同様の機能を有する弁に置き換えることも、当業者であれば容易になし得たことである。
よって、被請求人の主張を採用することはできない。
(エ) 有利な効果について
被請求人は本件発明1が、「a 増粘剤の強化された安定性により、長期間、確実かつ一貫した粘度上昇を生じさせることができる安定液体組成物の提供。b ポンプディスペンサによる、液体食料への安定液体組成物の正確な送達。」(口頭審理陳述要領書の第10ページ及び第11ページ)といった、甲2-1及び甲3から予測することのできない有利な効果を奏する旨主張する。
また、被請求人は本件発明1が、「より一貫した且つ正確な増粘を提供することができるという効果は、本件特許の優先日当時、当該粘性抑制液体増粘剤の微生物学的及び物理的不安定の課題が知られていなかったことに照らせば、当業者の予測することのできない顕著な効果である」(上申書の第9ページ、第10ページ)と、上記aと同様の効果を奏する旨主張する。
しかしながら、上記エ(ア)のとおり甲2-1発明1の液体増粘濃縮物は、少なくとも分離や粘度(製品としての機能を維持)、色、風味、透明度、微生物学的腐敗(人が摂取する際の安全性)の要素に関して、安定性を有するといえるものであるし、食品に添加して用いる増粘剤に関して、その機能や品質を維持するために、安定剤や品質保持剤、保存料等を添加することで製品としての機能や、人が摂取する際の安全性の維持を図ることは、上記2(4)イにおいて周知技術1として示したとおり、周知技術であることから、「a」については、当業者が甲2-1または周知技術から予測し得る効果である。同様に、甲2-1にはポンプディスペンサにより液体増粘濃縮物を定量的に飲料及び食品に追加するものであるから、「b」についても、当業者が甲2-1から予測し得る効果である。
よって、被請求人の主張を採用することはできない。
キ 小括
よって、本件発明1は、甲2-1発明1、甲3記載事項、及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(2) 本件発明2について
ア 対比
甲2-1発明1の「レベル150の薄いとろみを作るのに1ポンプ、レベル400の中間のとろみを作るのに2ポンプ、レベル900の濃いとろみを作るのに3ポンプの投与量となるようにされ」た構成は、本件発明2の「前記組成物が、前記食料に所定の体積からなる1回分又は2回分以上の用量で送達されるように構成されて」いることに相当する。
そうすると、本件発明2、3と甲2-1発明1は、上記相違点1-1~1-5以外に、以下の点で相違する。
【相違点1-6】
本件発明2は「前記第1ボール弁及び前記第2ボール弁の一方又は両方は金属材料を含む」のに対して、甲2-1発明1の「ポンプが設置されるボトル」は、金属材料を含む第1ボール弁及び第2ボール弁を有することを特定しない点。
イ 判断
上記相違点1-6について検討する。
上記2(6)エに示した周知技術3における、「吸い込み弁の金属製ボール弁」及び「吐出弁の金属製ボール弁」を備える構成は、本件発明2の「第1ボール弁及び前記第2ボール弁の一方又は両方は金属材料を含む」構成に相当する。
そして、甲2-1には、上記(1)エ(オ)で検討したとおり、甲2-1発明1のポンプに対して、上記周知技術3を適用することは当業者が容易に想到し得た事項であり、そのようにしたものは、金属材料を含む第1ボール弁及び第2ボール弁を備えたものである。
よって、本件発明2は、甲2-1発明1、甲3記載事項、及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(3) 本件発明3について
甲2-1発明1の「レベル150の薄いとろみを作るのに1ポンプ、レベル400の中間のとろみを作るのに2ポンプ、レベル900の濃いとろみを作るのに3ポンプの投与量となるようにされ」た構成は、本件発明3の「前記組成物の所定の体積からなる1回分、2回分、及び3回分の用量が、前記食料の粘度をそれぞれ第1粘度レベル、第2粘度レベル、及び第3粘度レベルまで増大させ、そして前記第1粘度レベル、第2粘度レベル、及び第3粘度レベルの間に非線形の関係が存在する」ことに相当する。
よって、本件発明2は、甲2-1発明1、甲3記載事項、及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(4) 本件発明4について
ア 対比
本件発明4と甲2-1発明2とを、その構成や機能、及び技術上の意義を考慮して対比する。
甲2-1発明2の「飲料及び食品」は、本件発明4の「水性液体食料又は水性液体固体混合食料」と比較して、「食料」である限りにおいて一致する。
本件発明4の「安定液体組成物」は、「水性液体食料又は水性液体固体混合食料の粘度を増大させるために用いられ」るものであるから、甲2-1発明2の「飲料及び食品を増粘するために使用される」「液体増粘濃縮物」と、本件発明4の「水性液体食料又は水性液体固体混合食料の粘度を増大させるために用いられ」る「安定液体組成物」とは、「食料の粘度を増大させるために用いられる」「液体組成物」である点に限りにおいて一致する。
甲2-1発明2の「飲料及び食品を増粘するために使用される液体増粘濃縮物を、ポンプが設置されるボトルに封入し、当該ポンプを通じて飲料及び食品に追加する方法」は、本件発明4の「安定液体組成物を送達する方法であって」当該方法が、「(a)前記安定液体組成物を含有する容器を用意する工程であって、前記組成物が、前記食料の粘度を増大させるために用いられ」ることと比較して、「液体組成物を含有する容器を用意する工程であって、前記組成物が、食料の粘度を増大させるために用いられ」る限りにおいて一致する。
甲2-1発明2の「増粘剤系として食品に一般的に使用される4つの植物性ガム、すなわち、キサンタンガム、ペクチン、ジェランガム、およびグアーガムの独特のブレンド」は、本件発明4の「(i)寒天、アルギン酸、カラギナン、グアーガム、トラガカントガム、ガティガム、微結晶性セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルエチルセルロース、カラヤガム、ローカストビーンガム、タラガム、サイリウムシードガム、クインスシードガム、ペクチン、フルセララン、ジェランガム、こんにゃく、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1種又は複数種の増粘剤」に相当する。甲2-1発明2の「可溶性植物多糖類」は、本件発明4の「(ii)スクレログルカン、デキストラン、エルシナン、大豆多糖類、レバン、アラビノガラクタン、アルテルナン、イヌリン、グルコオリゴ糖、プルラン、アラビノキシラン、カードラン、低粘度カルボキシメチルセルロース(CMC)、アカシアガム、西洋カラマツ多糖類抽出物、アメリカカラマツ多糖類抽出物、ヨーロッパカラマツ多糖類抽出物、シベリアカラマツ多糖類抽出物、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1種又は複数種の多糖類又は多糖類の抽出物」と比較して、「多糖類」である限りにおいて一致する。
甲2-1発明2の「ポンプが設置されるボトル」は、本件発明4の「ディスペンサ」が「封止状態で取り付けられた」「容器」に相当する。
甲2-1発明2の「ポンプが設置されるボトル」は、「ポンプノズル」によって「ボトルに封入した」「液体増粘濃縮物」を「飲料及び食品」に添加するよう送達するものであるから、甲2-1発明2の「ポンプノズル」は、本件発明4の「ディスペンサ先端部」に相当する。また、甲2-1発明2の「ポンプが設置されるボトル」は、「ボトルに封入した」「液体増粘濃縮物」を「ポンプノズル」に流通させていることは明らかである。そうすると、甲2-1発明2の「ポンプが設置されるボトル」は、本件発明4の「前記ディスペンサが、ディスペンサ先端部と流体連通するディスペンサシャフトと、前記容器内の前記組成物の乾燥を抑制又は防止するための弁機構とを含み」と、「前記ディスペンサが、ディスペンサ先端部と流体連通するディスペンサシャフト含」む限りにおいて一致する。
甲2-1発明2の「レベル150の薄いとろみを作るのに1ポンプ、レベル400の中間のとろみを作るのに2ポンプ、レベル900の濃いとろみを作るのに3ポンプの投与量を飲料及び食品に追加する」ことは、本件発明4の「(b)ポンプディスペンサに力を加えることにより、組成物の所定の体積からなる1回分又は2回分以上の用量を食料に送達する工程」に相当する。
イ 一致点
本件発明4と甲2-1発明2とは、以下の点で一致している。
「食料に安定液体組成物を送達する方法であって、前記方法は:
(a)前記液体組成物を含有する容器を用意する工程であって、前記組成物が、前記食料の粘度を増大させるために用いられ、前記組成物が、(i)寒天、アルギン酸、カラギナン、グアーガム、トラガカントガム、ガティガム、微結晶性セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルエチルセルロース、カラヤガム、ローカストビーンガム、タラガム、サイリウムシードガム、クインスシードガム、ペクチン、フルセララン、ジェランガム、こんにゃく、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1種又は複数種の増粘剤と、(ii)多糖類を含む容器を有し、前記容器がさらにポンプディスペンサに封止状態で取り付けられており、前記ディスペンサが、ディスペンサ先端部と流体連通するディスペンサシャフトを含む、工程と;
(b)前記ポンプディスペンサに力を加えることにより、前記組成物の所定の体積からなる1回分又は2回分以上の用量を前記食料に送達する工程とを含む、方法。」
ウ 相違点
本件発明4と甲2-1発明2との相違点は、上記(1)ウで提示した相違点1-1~1-5と同一であり、以下のとおりである。
【相違点1-1】
本件発明4の「液体組成物」は「安定液体組成物」であり、その「安定性」は、「色、風味、分離、微生物学的腐敗、粘度及び透明度の一つ又は複数の安定性」であるのに対して、甲2-1発明2の「液体増粘濃縮物」が安定性を有するかどうかを特定しない点。
【相違点1-2】
本件発明4は「水性液体食料又は水性液体固体混合食料」であるのに対して、甲2-1発明2は「飲料及び食品」である点。
【相違点1-3】
本件発明4の「安定液体組成物」が「2000cP未満の粘度と95%超の水分活性とを有して」いるのに対して、甲2-1発明2は、粘度と水分活性とを特定しない点。
【相違点1-4】
本件発明4は、「多糖類又は多糖類の抽出物」が「(ii)スクレログルカン、デキストラン、エルシナン、大豆多糖類、レバン、アラビノガラクタン、アルテルナン、イヌリン、グルコオリゴ糖、プルラン、アラビノキシラン、カードラン、低粘度カルボキシメチルセルロース(CMC)、アカシアガム、西洋カラマツ多糖類抽出物、アメリカカラマツ多糖類抽出物、ヨーロッパカラマツ多糖類抽出物、シベリアカラマツ多糖類抽出物、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1種又は複数種」であり、「10~100,000超のサッカリド単位を含み、多糖類又は多糖類の濃度は、重量で15%~25%である」のに対して、甲2-1発明2は、具体的な多糖類の種類と、サッカリド単位と濃度とを特定しない点。
【相違点1-5】
本件発明4の「ポンプディスペンサ」が「容器内の組成物の乾燥を抑制又は防止するための弁機構」を含み、「弁機構は、(i)前記ディスペンサシャフト内の、前記ポンプディスペンサの上端部に配置された第1ボール弁と、(ii)前記ディスペンサシャフト内の、前記ポンプディスペンサの下端部に配置された第2ボール弁と、(iii)前記ディスペンサ先端部の開いた遠位端部に第3弁とを含み、前記第3弁は、閉鎖位置に付勢されており、前記ポンプディスペンサに力を加えると開位置へ作動され、前記組成物が強制的に前記第3弁を通流するようにする、セルフシーリング弁である」のに対して、甲2-1発明2の「ポンプが設置されるボトル」は、容器内の組成物の乾燥を抑制又は防止するための弁機構とを含み、弁機構は、(i)ディスペンサシャフト内の、ポンプディスペンサの上端部に配置された第1ボール弁と、(ii)ディスペンサシャフト内の、ポンプディスペンサの下端部に配置された第2ボール弁と、(iii)ディスペンサ先端部の開いた遠位端部に第3弁とを含み、第3弁は、閉鎖位置に付勢されており、ポンプディスペンサに力を加えると開位置へ作動され、組成物が強制的に前記第3弁を通流するようにする、セルフシーリング弁であることを特定しない点。
エ 判断
(ア) 相違点1-1~1-5について
上記相違点1-1~1-5については、上記(1)ウの相違点1-1~1-5と同一であるから、その判断についても上記(1)エで記載したものと同一である。
(イ) 本件発明4の奏する効果について
本件発明4の効果は、当業者が、甲2-1発明2、甲3記載事項、及び周知技術から容易に想到する本件発明4の構成を前提として、予測し難い顕著なものであるかという視点で検討することを要するものであるが、本件発明4の効果は、甲2-1発明2、甲3記載事項、及び周知技術に照らせば予測し難い顕著なものであるということはできない。
オ まとめ
以上のとおり、甲2-1発明2に甲3記載事項、及び周知技術を適用して、相違点1-1~1-5に係る本件発明4の構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
カ 小括
よって、本件発明4は、甲2-1発明2、甲3記載事項、及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(5) 本件発明5について
ア 対比
甲2-1発明2は「レベル150の薄いとろみを作るのに1ポンプ、レベル400の中間のとろみを作るのに2ポンプ、レベル900の濃いとろみを作るのに3ポンプの投与量を飲料及び食品に追加する」ものであるから、本件発明5の「前記組成物の所定の体積からなる1回分、2回分、及び3回分の用量が、食料の粘度をそれぞれ第1粘度レベル、第2粘度レベル、及び第3粘度レベルまで増大させ、そして第1粘度レベル、第2粘度レベル、及び第3粘度レベルの間に非線形の関係が存在する」ことに相当する。
そうすると、本件発明5と甲2-1発明2との相違点は、上記相違点1-1~1-5以外に、以下に示す上記(2)アで提示した相違点1-6と同一の点で相違する。
【相違点1-6】
本件発明4は「前記第1ボール弁及び前記第2ボール弁の一方又は両方は金属材料を含む」のに対して、甲2-1発明2の「ポンプが設置されるボトル」は、金属材料を含む第1ボール弁及び第2ボール弁を有することを特定しない点。
イ 判断
上記相違点1-6については、上記(2)アの相違点1-6と同一であるから、その判断についても(2)イで記載したものと同一である。
よって、本件発明5は、甲2-1発明2、甲3記載事項、及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(6) 本件発明6について
甲2-1には「正しい数のポンプを追加したら、スプーンで30秒ほどかき混ぜて飲料に混ぜます。スティックでの混合又は激しい撹拌は必要ありません。かき混ぜている間、飲み物がどんどん濃くなり、かき混ぜにくくなるのを感じるでしょう。Precise Thick-N INSTANTの濃縮液が混ざり合ったら、すぐに提供する準備ができています。」(第4ページ第6行~第8行)とあり、液体増粘濃縮物を添加後、低剪断混合を施すことが記載されている。
そうすると、本件発明6と甲2-1発明2は、上記相違点1-1~1-7以外に相違する点はない。
よって、本件発明6は、甲2-1発明2、甲3記載事項、及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(7) 本件発明9について
上記(1)エ(オ)で検討したとおり、容器内の組成物の乾燥を抑制又は防止する出口弁を備えるノズルは、上記2(5)ウにおいて周知技術2として示したとおり、周知技術であり、出口弁の具体的な弁の種類は、上記適用に際して当業者が適宜選択し得た事項である。
よって、本件発明9は、甲2-1発明2、甲3記載事項、及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(8) 本件発明12~14について
甲2-1には「正しい数のポンプを追加したら、スプーンで30秒ほどかき混ぜて飲料に混ぜます。スティックでの混合又は激しい撹拌は必要ありません。かき混ぜている間、飲み物がどんどん濃くなり、かき混ぜにくくなるのを感じるでしょう。Precise Thick-N INSTANTの濃縮液が混ざり合ったら、すぐに提供する準備ができています。」(第4ページ第6行~第8行)と記載されている。
そして、低剪断混合をどの程度の速度でどの程度の時間実施するかは、液体増粘濃縮物を追加する飲料及び食品の量等に応じて当業者が適宜選択し得た事項である。
よって、本件発明12~14は、甲2-1発明2、甲3記載事項、及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(9) 本件発明15について
液体増粘濃縮物を添加する飲料及び食品の粘度をどの程度まで増加させるかは、当業者が適宜定め得た事項である。
よって、本件発明15は、甲2-1発明2、甲3記載事項、及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(10) 本件発明16について
甲2-1発明2は、「一度開封しても冷蔵する必要がなく、貯蔵寿命が12ヶ月」とされたものである。この「貯蔵寿命」とは、液体増粘濃縮物が食品を増粘する機能や、食品に添加して人が摂取する際の安全性が、12ヶ月間は担保されるものと当業者であれば通常理解するから、甲2-1発明2の液体増粘濃縮物は、少なくとも分離や粘度(製品としての機能を維持)、色、風味、透明度、微生物学的腐敗(人が摂取する際の安全性)の要素に関して、安定性を有するといえるものである。
仮に、甲2-1の記載のみからでは、液体増粘濃縮物に安定性があるかどうか不明であるとしても、食品に添加して用いる増粘剤に関して、その機能や品質を維持するために、安定剤や品質保持剤、保存料等を添加することで製品としての機能や、人が摂取する際の安全性の維持を図ることは、上記2(4)イにおいて周知技術1として示したとおり、周知技術である。そして、安定性をどの程度の期間とするかは、当業者が適宜定め得た事項である。
よって、本件発明16は、甲2-1発明2、甲3記載事項、及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(11) 本件発明17、18について
甲2-1発明2は、嚥下障害のある患者に供給するための飲料及び食品に用いられるものである。
よって、本件発明17、18は、甲2-1発明2、甲3記載事項、及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(12) 本件発明21について
本件発明21の発明特定事項は、本件発明9の発明特定事項と同一であるから、その判断については上記(7)で記載したものと同一である。
よって、本件発明21は、甲2-1発明1、甲3記載事項、及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(13) 本件発明23について
本件発明23の発明特定事項は、本件発明16の発明特定事項と同一であるから、その判断については上記(10)で記載したものと同一である。
よって、本件発明21は、甲2-1発明1、甲3記載事項、及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(14) 本件発明24、25について
本件発明24、25の発明特定事項は、それぞれ本件発明17、18の発明特定事項と同一であるから、その判断については上記(11)で記載したものと同一である。
よって、本件発明24、25は、甲2-1発明1、甲3記載事項、及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(15)小括
以上より、本件発明1~3、21、23~25は、甲2-1発明1、甲3記載事項、及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
また、本件発明4~6、9、12~18は、甲2-1発明2、甲3記載事項、及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(1) 本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲3発明1とを、その構成や機能、及び技術上の意義を考慮して対比する。
甲3発明1の「患者のための液体又は液体固形物混合物である食品に添加して簡単に粘性溶液やゲルを形成するのに適した」「液体状の増粘用添加液」は、本件発明1の「水性液体食料又は水性液体固体混合食料の粘度を増大させるために用い」る「安定液体組成物」と比較して、「水性液体食料又は水性液体固体混合食料の粘度を増大させるために用いる」「液体組成物」である限りにおいて一致する。
甲3発明1の「増粘用添加液」が「ポーション容器、小袋のいずれかに小分けされた」態様は、本件発明1の「安定液体組成物のための貯蔵及び送達システム」と比較して、「液体組成物のための貯蔵システム」である限りにおいて一致する。
甲3発明1の「ポーション容器、小袋のいずれか」は、本件発明1の「容器」に相当する。
甲3発明1の「増粘用添加液は、糊料として、グアーガム、ローカストビーンガム、タラガム、キサンタンガム、タマリンドガム、トラガントガム、カラヤガム、コンニャクマンナン、CMCナトリウム、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、アゾトバクタービネランジガム、カラギナン、化工澱粉、カシアガム、サイリュームシードガム、CMC、メチルセルロースの中から選ばれた少なくとも一種を含」むことは、本件発明1の「組成物が、(i)寒天、アルギン酸、カラギナン、グアーガム、トラガカントガム、ガティガム、微結晶性セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルエチルセルロース、カラヤガム、ローカストビーンガム、タラガム、サイリウムシードガム、クインスシードガム、ペクチン、フルセララン、ジェランガム、こんにゃく、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1種又は複数種の増粘剤」「を含」むことに相当する。
甲3発明1の「糊料に、アラビアガム、プルラン、大豆多糖類、アラビアガラクタンの中から選ばれた少なくとも一種の低粘性多糖類を併用」することは、本件発明1の「組成物が、」「増粘剤と、(ii)スクレログルカン、デキストラン、エルシナン、大豆多糖類、レバン、アラビノガラクタン、アルテルナン、イヌリン、グルコオリゴ糖、プルラン、アラビノキシラン、カードラン、低粘度カルボキシメチルセルロース(CMC)、アカシアガム、西洋カラマツ多糖類抽出物、アメリカカラマツ多糖類抽出物、ヨーロッパカラマツ多糖類抽出物、シベリアカラマツ多糖類抽出物、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1種又は複数種の多糖類又は多糖類の抽出物とを含」むことに相当する。
イ 一致点
本件発明1と甲3発明1とは、以下の点で一致している。
「液体組成物のための貯蔵システムであって、前記システムは:
(a)前記液体組成物を含む、容器であって、前記組成物が、水性液体食料又は水性液体固体混合食料の粘度を増大させるために用いられ、前記組成物が、(i)寒天、アルギン酸、カラギナン、グアーガム、トラガカントガム、ガティガム、微結晶性セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルエチルセルロース、カラヤガム、ローカストビーンガム、タラガム、サイリウムシードガム、クインスシードガム、ペクチン、フルセララン、ジェランガム、こんにゃく、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1種又は複数種の増粘剤と、(ii)スクレログルカン、デキストラン、エルシナン、大豆多糖類、レバン、アラビノガラクタン、アルテルナン、イヌリン、グルコオリゴ糖、プルラン、アラビノキシラン、カードラン、低粘度カルボキシメチルセルロース(CMC)、アカシアガム、西洋カラマツ多糖類抽出物、アメリカカラマツ多糖類抽出物、ヨーロッパカラマツ多糖類抽出物、シベリアカラマツ多糖類抽出物、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1種又は複数種の多糖類又は多糖類の抽出物とを含む、容器;である、
液体組成物のための貯蔵システム。」
ウ 相違点
本件発明1と甲3発明1とは、以下の点で相違している。
【相違点2-1】
本件発明1の「液体組成物」は「安定液体組成物」であり、その「安定性」は、「色、風味、分離、微生物学的腐敗、粘度及び透明度の一つ又は複数の安定性」であるのに対して、甲3発明1の「増粘用添加液」が安定性を有するかどうかを特定しない点。
【相違点2-2】
本件発明1の「安定液体組成物」が「2000cP未満の粘度と95%超の水分活性とを有して」いるのに対して、甲3発明1は、粘度と水分活性とを特定しない点。
【相違点2-3】
本件発明1は、「多糖類又は多糖類の抽出物」が「10~100,000超のサッカリド単位を含み、多糖類又は多糖類の濃度は、重量で15%~25%である」のに対して、甲3発明1は、サッカリド単位と濃度とを特定しない点。
【相違点2-4】
本件発明1は、「容器」には「ポンプディスペンサであって、前記ディスペンサが、ディスペンサ先端部と流体連通するディスペンサシャフトと、前記容器内の前記組成物の乾燥を抑制又は防止するための弁機構とを含む、ポンプディスペンサとを含み、前記弁機構は、(i)前記ディスペンサシャフト内の、前記ポンプディスペンサの上端部に配置された第1ボール弁と、(ii)前記ディスペンサシャフト内の、前記ポンプディスペンサの下端部に配置された第2ボール弁と、(iii)前記ディスペンサ先端部の開いた遠位端部に第3弁とを含み、前記第3弁は、閉鎖位置に付勢されており、前記ポンプディスペンサに力を加えると開位置へ作動され、前記組成物が強制的に前記第3弁を通流するようにする、セルフシーリング弁であ」る「ポンプディスペンサ」が「封止状態で取り付けられ」ており、「液体組成物のための」「送達システム」を構築するのに対して、甲3発明1は、「容器」が「ポーション容器、小袋のいずれかに小分けされた」ものであり、送達システムを構築するものではない点。
エ 判断
(ア) 相違点2-1について
本件発明1の「安定性」は、「色、風味、分離、微生物学的腐敗、粘度及び透明度の一つ又は複数の安定性である」ことから、製品としての機能を維持できたり(分離や粘度)、人が摂取する際の安全性を確保できたり(色、風味、透明度、微生物学的腐敗)することを示すものであると認められる。
そして、食品に添加して用いる増粘剤に関して、その機能や品質を維持するために、安定剤や品質保持剤、保存料等を添加することで製品としての機能や、人が摂取する際の安全性の維持を図ることは、上記2(4)イにおいて周知技術1として示したとおり、周知技術である。
そうすると、甲3発明1に対して上記周知技術1を適用して、液体増粘濃縮物に安定剤や品質保持剤、保存料等を添加して色、風味、分離、微生物学的腐敗、粘度、透明度といった安定性を付与することは、当業者であれば容易に想到し得た事項である。
(イ) 相違点2-2について
甲3に記載される増粘用添加液は、「具体的には、糊料を、その粘性発現を抑制することにより流動性のある液体として調製し、目的物に添加して初めて粘性やゲル化が発現するようにする。或いは、反応性のある糊料を、流動性のある液体となる濃度内で溶解し、目的物に対してこの糊料と反応性のある成分を同時に添加することにより、初めて粘性やゲル化が発現するように調製する。」(第2欄第25行~第41行)ものであり、特に第2の方法では、糊料と低粘性多糖類とを併用することで、上記増粘用添加液を流動性に優れた液体としたものである。
そうすると、甲3発明1の増粘用添加液における粘度と水分活性とは、対象食品に添加する必要量、添加後の攪拌のし易さ等を考慮した所望の流動性の程度に応じて定め得た事項であり、その具体的な値としても甲3記載事項のとおり、通常定め得る範囲に過ぎない。なお、水分活性を95%以上とすることの技術的意義については何ら記載されておらず、95%以上とすることに格別な効果を奏するとも認められない。
(ウ) 相違点2-3について
「多糖類」とは甲6記載事項のとおり「単糖類(グリコース、その置換・誘導体も含む)がポリグリコシル化した高分子化合物(重合度10以上)の総称」であるから、甲3発明1の「多糖類」は、10~100,000超のサッカリド単位を含むものである。
また、甲3には「特にこれらの多糖類が効果を示すのは高濃度溶解液であり、例えばアラビアガムの場合、3~50%の濃度、より望ましくは、8~30%の濃度とする。これ以下の濃度であると、糊料を加えたときに粘性が発現して流動性が悪くなり、増粘用添加液として好ましい低粘性状態に保つことができない。勿論糊料の濃度を低くすれば流動性を保つ液体が得られるが、水分を含む目的物に添加して粘性を発現させるという機能に劣ることになる。また上記濃度範囲を超えると、アラビアガム自身の粘性が大きくなる。」(第4欄第52行~第63行)と記載されており、当該粘度は流動性の程度を考慮して当業者が適宜定め得た事項であって、15%~25%の範囲とすることに格別の効果はない。
(エ) 相違点2-4について
甲3発明1において、増粘用添加液をポーション容器、小袋のいずれかに小分けすることは、「この発明による増粘用添加液を水分を含む目的物に対して等量以下で添加することが好ましい理由は、目的物の他の機能を損なわないようにするため、例えば食品の場合であれば本来の味が薄まるのを防止するためである。この意味ではできるだけ使用量が少ない方がよい。・・・更に、この発明による得られる液体添加増粘剤は好ましくは、咀嚼・嚥下困難者用の食品に対して誤嚥防止のために添加する用途に用いられる。そしてこの様な用途のためには、液体添加増粘剤は、ポーション容器、小袋のいずれかに小分けされていることが、使用上好ましい。」(第7欄第5行~第26行)の記載を踏まえれば、増粘用添加液を少量、かつ、例えば1回分といった定量で目的物に対して添加するためになされているものと、当業者であれば通常理解する。
そして、甲3発明1と甲2-1発明1とは、咀嚼・嚥下困難者の食品に添加される増粘剤及び多糖類を含むものであり、食品に添加して短時間で所望の粘度を得ることができるという点で、両者の技術分野と課題、作用・機能が共通し、食品を増粘するために使用される組成物を、定量ずつ目的物に対して添加することを目的とするものである点でも、両者の課題と作用・機能とが共通するものである。
そうすると、甲3発明1の増粘用添加液を封入するポーション容器、小袋に代えて、甲2-1発明1のポンプが設置されるボトルを適用することは、当業者であれば容易に想到し得た事項である。
また、上記2(5)ウにおいて周知技術2として示したとおり、ポンプ式吐出装置のノズルにおいて、通常閉じた状態にあり、ポンプに加圧操作を行うと、液体の流体力により液体が吐出される出口弁を備え、ポンプ式吐出装置の容器内の液体の乾燥を抑制又は防止するものは、周知の技術である。また、上記2(6)エにおいて周知技術3として示したとおり、ポンプ式流体分与容器において、シリンダー下端部の弁座に吸い込み弁の金属製ボール弁を備え、シリンダー上端部の弁座に吐出弁の金属製ボール弁を備え、シリンダー内の所定量の内容物を容器本体外に排出するものは、周知の技術である。そして、ポンプの構成の具体化に際し、ディスペンサ先端部と流体連通するディスペンサシャフトを備える上記周知技術2や、容器内の組成物の乾燥を抑制又は防止するための弁機構を備える上記周知技術3は、当業者が適宜選択し得たものである。
(オ) 本件発明1の奏する効果について
本件発明1の効果は、当業者が、甲3発明1、甲2-1発明1、及び周知技術から容易に想到する本件発明1の構成を前提として、予測し難い顕著なものであるかという視点で検討することを要するものであるが、本件発明1の効果は、甲3発明1、甲2-1発明1、及び周知技術に照らせば予測し難い顕著なものであるということはできない。
オ まとめ
以上のとおり、甲3発明1、甲2-1発明1、及び周知技術を適用して、相違点2-1~2-4に係る本件発明1の構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
(2) 本件発明2、3について
上記(1)エ(エ)で検討したとおり、甲3発明1の増粘用添加液を封入するポーション容器、小袋に代えて、甲2-1発明1のポンプが設置されるボトルを適用することは、当業者であれば容易に想到し得た事項である。
そして、甲2-1発明1の「レベル150の薄いとろみを作るのに1ポンプ、レベル400の中間のとろみを作るのに2ポンプ、レベル900の濃いとろみを作るのに3ポンプの投与量となるようにされ」たものは、本件発明2、3の「前記組成物が、前記食料に所定の体積からなる1回分又は2回分以上の用量で送達されるように構成されており」、「前記組成物の所定の体積からなる1回分、2回分、及び3回分の用量が、食料の粘度をそれぞれ第1粘度レベル、第2粘度レベル、及び第3粘度レベルまで増大させ、そして第1粘度レベル、第2粘度レベル、及び第3粘度レベルの間に非線形の関係が存在する」ことに相当するものであるから、上記適用により本件発明2、3の「前記組成物が、前記食料に所定の体積からなる1回分又は2回分以上の用量で送達されるように構成されており」、「前記組成物の所定の体積からなる1回分、2回分、及び3回分の用量が、食料の粘度をそれぞれ第1粘度レベル、第2粘度レベル、及び第3粘度レベルまで増大させ、そして第1粘度レベル、第2粘度レベル、及び第3粘度レベルの間に非線形の関係が存在する」構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
また、上記2(6)エに示した周知技術3における「吸い込み弁の金属製ボール弁」及び「吐出弁の金属製ボール弁」を備える構成は、本件発明2の「第1ボール弁及び前記第2ボール弁の一方又は両方は金属材料を含む」構成に相当するものであるから、本件発明2の「第1ボール弁及び前記第2ボール弁の一方又は両方は金属材料を含む」構成とすることは、当業者が適宜なし得た程度の事項である。
よって、本件発明2、3は、甲3発明1、甲2-1発明1、及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(3) 本件発明4について
ア 対比
本件発明4と甲3発明2とを、その構成や機能、及び技術上の意義を考慮して対比する。甲3発明2の「患者のための液体又は液体固形物混合物である食品に添加して簡単に粘性溶液やゲルを形成する」ことは、本件発明4の「水性液体食料又は水性液体固体混合食料の粘度を増大させるために用い」る「安定液体組成物を送達する」ことと比較して、「水性液体食料又は水性液体固体混合食料の粘度を増大させるために用いる組成物を送達する」ことである限りにおいて一致する。
甲3発明2の「ポーション容器、小袋のいずれか」は、本件発明1の「容器」に相当する。
甲3発明2の「増粘用添加液は、糊料として、グアーガム、ローカストビーンガム、タラガム、キサンタンガム、タマリンドガム、トラガントガム、カラヤガム、コンニャクマンナン、CMCナトリウム、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、アゾトバクタービネランジガム、カラギナン、化工澱粉、カシアガム、サイリュームシードガム、CMC、メチルセルロースの中から選ばれた少なくとも一種を含」むことは、本件発明4の「組成物が、(i)寒天、アルギン酸、カラギナン、グアーガム、トラガカントガム、ガティガム、微結晶性セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルエチルセルロース、カラヤガム、ローカストビーンガム、タラガム、サイリウムシードガム、クインスシードガム、ペクチン、フルセララン、ジェランガム、こんにゃく、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1種又は複数種の増粘剤」「を含」むことに相当する。甲3発明2の「糊料に、アラビアガム、プルラン、大豆多糖類、アラビアガラクタンの中から選ばれた少なくとも一種の低粘性多糖類を併用」することは、本件発明4の「組成物が、」「増粘剤と、(ii)スクレログルカン、デキストラン、エルシナン、大豆多糖類、レバン、アラビノガラクタン、アルテルナン、イヌリン、グルコオリゴ糖、プルラン、アラビノキシラン、カードラン、低粘度カルボキシメチルセルロース(CMC)、アカシアガム、西洋カラマツ多糖類抽出物、アメリカカラマツ多糖類抽出物、ヨーロッパカラマツ多糖類抽出物、シベリアカラマツ多糖類抽出物、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1種又は複数種の多糖類又は多糖類の抽出物とを含」むことに相当する。
イ 一致点
本件発明4と甲3発明2とは、以下の点で一致している。
「水性液体食料又は水性液体固体混合食料に液体組成物を送達する方法であって、前記方法は:
(a)前記液体組成物を含有する容器を用意する工程であって、前記組成物が、前記食料の粘度を増大させるために用いられ、前記組成物が、(i)寒天、アルギン酸、カラギナン、グアーガム、トラガカントガム、ガティガム、微結晶性セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルエチルセルロース、カラヤガム、ローカストビーンガム、タラガム、サイリウムシードガム、クインスシードガム、ペクチン、フルセララン、ジェランガム、こんにゃく、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1種又は複数種の増粘剤と、(ii)スクレログルカン、デキストラン、エルシナン、大豆多糖類、レバン、アラビノガラクタン、アルテルナン、イヌリン、グルコオリゴ糖、プルラン、アラビノキシラン、カードラン、低粘度カルボキシメチルセルロース(CMC)、アカシアガム、西洋カラマツ多糖類抽出物、アメリカカラマツ多糖類抽出物、ヨーロッパカラマツ多糖類抽出物、シベリアカラマツ多糖類抽出物、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1種又は複数種の多糖類又は多糖類の抽出物とを含む、方法。」
ウ 相違点
本件発明4と甲3発明2との相違点は、上記(1)ウで提示した相違点2-1~2-4と同様であり、以下のとおりである。
【相違点2-1】
本件発明4の「液体組成物」は「安定液体組成物」であり、その「安定性」は、「色、風味、分離、微生物学的腐敗、粘度及び透明度の一つ又は複数の安定性」であるのに対して、甲3発明2の「増粘用添加液」が安定性を有するかどうかを特定しない点。
【相違点2-2】
本件発明4の「安定液体組成物」が「2000cP未満の粘度と95%超の水分活性とを有して」いるのに対して、甲3発明2は、粘度と水分活性とを特定しない点。
【相違点2-3】
本件発明4は、「多糖類又は多糖類の抽出物」が「10~100,000超のサッカリド単位を含み、多糖類又は多糖類の濃度は、重量で15%~25%である」のに対して、甲3発明2は、サッカリド単位と濃度とを特定しない点。
【相違点2-4】
本件発明1は、「容器」には「ポンプディスペンサであって、前記ディスペンサが、ディスペンサ先端部と流体連通するディスペンサシャフトと、前記容器内の前記組成物の乾燥を抑制又は防止するための弁機構とを含む、ポンプディスペンサとを含み、前記弁機構は、(i)前記ディスペンサシャフト内の、前記ポンプディスペンサの上端部に配置された第1ボール弁と、(ii)前記ディスペンサシャフト内の、前記ポンプディスペンサの下端部に配置された第2ボール弁と、(iii)前記ディスペンサ先端部の開いた遠位端部に第3弁とを含み、前記第3弁は、閉鎖位置に付勢されており、前記ポンプディスペンサに力を加えると開位置へ作動され、前記組成物が強制的に前記第3弁を通流するようにする、セルフシーリング弁であ」る「ポンプディスペンサ」が「封止状態で取り付けられ」ており、「液体組成物を送達する方法」を構築するのに対して、甲3発明2は、「容器」が「ポーション容器、小袋のいずれかに小分けされた」ものであり、液体組成物を送達する方法を構築するものではない点。
エ 判断
(ア) 相違点2-1~2-4について
上記相違点2-1~2-4については、上記(1)ウの相違点2-1~2-4と同様であるから、その判断についても上記(1)エで記載したものと同様である。
(イ) 本件発明4の奏する効果について
本件発明4の効果は、当業者が、甲3発明2、甲2-1発明2、及び周知技術から容易に想到する本件発明4の構成を前提として、予測し難い顕著なものであるかという視点で検討することを要するものであるが、本件発明4の効果は、甲3発明2、甲2-1発明2、及び周知技術に照らせば予測し難い顕著なものであるということはできない。
オ まとめ
以上のとおり、甲3発明2、甲2-1発明2、及び周知技術を適用して、相違点2-1~2-4に係る本件発明4の構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
カ 小括
よって、本件発明4は、甲3発明2、甲2-1発明2、及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(4) 本件発明5について
上記(1)エ(エ)で検討したとおり、甲3発明1の増粘用添加液を封入するポーション容器、小袋に代えて、甲2-1発明1のポンプが設置されるボトルを適用することは、当業者であれば容易に想到し得た事項であり、甲3発明2に対する甲2-1発明2の適用についても同様に、当業者であれば容易に想到し得た事項である。
そして、甲2-1発明2の「レベル150の薄いとろみを作るのに1ポンプ、レベル400の中間のとろみを作るのに2ポンプ、レベル900の濃いとろみを作るのに3ポンプの投与量を飲料及び食品に追加する」ことは、本件発明5の「前記組成物の所定の体積からなる1回分、2回分、及び3回分の用量が、食料の粘度をそれぞれ第1粘度レベル、第2粘度レベル、及び第3粘度レベルまで増大させ、そして第1粘度レベル、第2粘度レベル、及び第3粘度レベルの間に非線形の関係が存在する」ことに相当するものであるから、上記適用により本件発明5の「前記組成物の所定の体積からなる1回分、2回分、及び3回分の用量が、食料の粘度をそれぞれ第1粘度レベル、第2粘度レベル、及び第3粘度レベルまで増大させ、そして第1粘度レベル、第2粘度レベル、及び第3粘度レベルの間に非線形の関係が存在する」構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
また、上記2(6)エに示した周知技術3における「吸い込み弁の金属製ボール弁」及び「吐出弁の金属製ボール弁」を備える構成は、本件発明5の「第1ボール弁及び前記第2ボール弁の一方又は両方は金属材料を含む」構成に相当するものであるから、本件発明5の「第1ボール弁及び前記第2ボール弁の一方又は両方は金属材料を含む」構成とすることは、当業者が適宜なし得た程度の事項である。
よって、本件発明5は、甲3発明2、甲2-1発明2、及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(5) 本件発明6について
甲2-1には「正しい数のポンプを追加したら、スプーンで30秒ほどかき混ぜて飲料に混ぜます。スティックでの混合又は激しい撹拌は必要ありません。かき混ぜている間、飲み物がどんどん濃くなり、かき混ぜにくくなるのを感じるでしょう。Precise Thick-N INSTANTの濃縮液が混ざり合ったら、すぐに提供する準備ができています。」(第4ページ第6行~第8行)とあり、液体増粘濃縮物を添加後、低剪断混合を施すことが記載されている。
そうすると、甲3発明2に対して甲2-1発明2を適用することで、本件発明6に係る構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得た事項である。
よって、本件発明6は、甲3発明2、甲2-1発明2、及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(6) 本件発明9について
上記3(1)エ(エ)で検討したとおり、容器内の組成物の乾燥を抑制又は防止する出口弁を備えるノズルは、上記2(5)ウにおいて周知技術2として示したとおり、周知技術であり、出口弁の具体的な弁の種類は、上記適用に際して当業者が適宜選択し得た事項である。
よって、本件発明9は、甲3発明2、甲2-1発明2、及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(7) 本件発明12~14について
甲2-1には「正しい数のポンプを追加したら、スプーンで30秒ほどかき混ぜて飲料に混ぜます。スティックでの混合又は激しい撹拌は必要ありません。かき混ぜている間、飲み物がどんどん濃くなり、かき混ぜにくくなるのを感じるでしょう。Precise Thick-N INSTANTの濃縮液が混ざり合ったら、すぐに提供する準備ができています。」(第4ページ第6行~第8行)と記載されている。そして、甲3発明2に対して甲2-1発明2を適用するに際して、低剪断混合をどの程度の速度でどの程度の時間実施するかは、液体増粘濃縮物を追加する飲料及び食品の量等に応じて当業者が適宜選択し得た事項である。
よって、本件発明12~14は、甲3発明2、甲2-1発明2、及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(8) 本件発明15について
液体状の増粘用添加液を添加する食品等の粘度をどの程度まで増加させるかは、当業者が適宜定め得た事項である。
よって、本件発明15は、甲3発明2、甲2-1発明2、及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(9) 本件発明16について
上記(1)エ(ア)で検討したとおり、食品に添加して用いる増粘剤に関して、その機能や品質を維持するために、安定剤や品質保持剤、保存料等を添加することで製品としての機能や、人が摂取する際の安全性の維持を図ることは、上記2(4)イにおいて周知技術1として示したとおり、周知技術である。
そうすると、甲3発明2に対して上記周知技術1を適用して、液体増粘濃縮物に安定剤や品質保持剤、保存料等を添加して色、風味、分離、微生物学的腐敗、粘度、透明度といった安定性を付与することは、当業者であれば容易に想到し得た事項である。
そして、その適用に際して、安定性をどの程度の期間とするかは、当業者が適宜定め得た事項である。よって、本件発明16は、甲3発明2、甲2-1発明2、及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(10) 本件発明17、18について
甲3発明2は、嚥下障害のある患者に供給するための飲料及び食品に用いられるものである。
よって、本件発明17、18は、甲3発明2、甲2-1発明2、及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(11) 本件発明21について
本件発明21の発明特定事項は、本件発明9の発明特定事項と同一であるから、その判断については上記(6)で記載したものと同一である。
よって、本件発明21は、甲3発明1、甲2-1発明1、及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(12) 本件発明23について
本件発明23の発明特定事項は、本件発明16の発明特定事項と同一であるから、その判断については上記(9)で記載したものと同一である。
よって、本件発明21は、甲3発明1、甲2-1発明1、及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(13) 本件発明24、25について
本件発明24、25の発明特定事項は、それぞれ本件発明17、18の発明特定事項と同一であるから、その判断については上記(10)で記載したものと同一である。
よって、本件発明24、25は、甲3発明1、甲2-1発明1、及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(14) 小括
以上より、本件発明1~3、21、23~25は、甲3発明1、甲2-1発明1、及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
また、本件発明4~6、9、12~18は、甲3発明2、甲2-1発明2、及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
以上のとおりであるから、無効理由2(甲2-1を主引用例とする進歩性欠如)及び無効理由3(甲3を主引用例とする進歩性欠如)は理由があり、請求項1~6、9、12~18、21、23~25についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第123条第1項第2号に該当し無効とするべきものである。
請求項7、8、10、11、19、20、22は、訂正により存在しないこととなったため、特許法135条の規定により却下する。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人の負担とする。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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