結論テキスト
本件審判の請求は、成り立たない。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2024001082 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本願は、平成31年3月25日の出願であって、その手続の経緯は、以下のとおりである。
令和4年11月22日付け:拒絶理由通知
令和5年 1月24日 :意見書、手続補正書の提出
同年 4月25日付け:拒絶理由通知(最後)
同年 7月10日 :意見書、手続補正書の提出
同年10月17日付け:令和5年7月10日の手続補正についての補正の却下、拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同月20日 :原査定の謄本の送達)
令和6年 1月22日 :審判請求、手続補正書の提出
令和7年 8月26日付け:拒絶理由通知
同年10月27日 :意見書、手続補正書(以下、この手続補正書による手続補正を「本件補正」という。)の提出
本願の請求項1~4に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~4に記載された事項に特定されるとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「収容部とスパウトとを備えた包装袋であって、
収容部が積層体により構成されており、
前記積層体は、少なくとも、基材と、シーラント層と、前記基材と前記シーラント層との間に設けられた蒸着膜および遮光性印刷層と、を備え、
前記基材および前記シーラント層は、ポリエチレンにより構成されており、
前記シーラント層は、少なくとも、ラミネート層と、中間層と、ヒートシール層とを備え、
前記中間層は中密度ポリエチレンまたは高密度ポリエチレンの少なくとも一方を含み、前記ヒートシール層は直鎖状低密度ポリエチレンを含み、
前記基材は、延伸処理または電子線照射処理の少なくとも一方が施されており、
前記スパウトが、ポリエチレンにより構成されていることを特徴とする、スパウト付き包装袋。」
令和7年8月26日付けで当審が通知した拒絶理由通知のうち、理由1は、次のとおりのものである。
(進歩性)本願発明は、以下の引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:特表2018-536591号公報
引用文献1には、以下の事項が記載されている(下線は当審において付した。「・・・」は摘記の省略を示す。以下同様。)。
「【請求項11】
第1の多層フィルム及び第2の多層フィルムであって、各多層フィルムがシール層を備え、前記多層フィルムは、前記シール層が互いに対向し、前記第2の多層フィルムが前記第1の多層フィルムの上に重なるように配置される、第1の多層フィルム及び第2の多層フィルムと、
前記第1の多層フィルムと前記第2の多層フィルムとの間に挟まれた付属部品であって、前記付属部品は、一対の対向する側壁を備えるベースと、前記側壁に沿って延びる少なくとも1つのシーリングリブとを有し、前記シーリングリブはエチレン/α-オレフィン多元ブロックコポリマーを含む、付属部品と、を備え、
前記ベースが、前記第1の多層フィルム及び前記第2の多層フィルムにシールされる、可撓性容器。」
「【0002】
付属部品を備えた可撓性パウチが知られている。
付属部品は、可撓性パウチから流動性材料を送出するための硬質の注ぎ口である
。このようなパウチは多くの場合、「注ぎ口付きパウチ」と称される。」
「【0027】
1.付属部品
一実施形態において、付属部品10は、図1及び2に示すように提供される。付属部品10は、上部分12及びベース14を有する。付属部品10は、1つ以上の(すなわちブレンドの)ポリマー材料で構成される。好適なポリマー材料の非限定的な例としては、エチレン系ポリマー、プロピレン系ポリマー、及びこれらの組み合わせが挙げられる。ベース14は、以下で詳細に説明する通り、対向する可撓性フィルムの間に配置するように構成し、シールして、可撓性容器を形成する。上部分12は、上部分にクロージャーを固定するためのねじ山16または他の構造を含んでよい。
・・・
【0029】
チャネル18は、上部分12及びベース14を通って延びる。チャネル18によって、流動性材料が付属部品10を通って通過する、または他の方法で流れることができる。」
「【0032】
「エチレン/α-オレフィン多元ブロックコポリマー」という用語は、重合形態で、エチレン及び1つ以上の共重合性α-オレフィンコモノマーを含むコポリマーであり、化学的または物理的性質が異なる2つまたはそれ以上の重合モノマー単位の多元ブロックまたはセグメントを特徴とする。・・・。」
「【0035】
好ましくは、エチレンは、ブロックコポリマー全体の大部分のモル分率を占める、すなわちエチレンは、ポリマー全体の少なくとも50モルパーセントを占める。より好ましくは、エチレンは、少なくとも60モルパーセント、少なくとも70モルパーセント、または少なくとも80モルパーセントを占め、ポリマー全体の実質的な残部は、好ましくは3つ以上の炭素原子または4つ以上の炭素原子を有するα-オレフィンである他のコモノマーを少なくとも1つ含む。・・・。」
「【0076】
3.可撓性容器
本開示は、可撓性容器を提供する。一実施形態において、可撓性容器が提供され、第1の多層フィルム及び第2の多層フィルムを含む。各多層フィルムは、シール層を含む。多層フィルムは、シール層が互いに対向し、第2の多層フィルムが第1の多層フィルムに重なるように配置される。付属部品は、第1の多層フィルム及び第2の多層フィルムの間に挟まれる。・・・。
・・・
【0078】
一実施形態において、各多層フィルムは、同一の構造及び同一の組成を有する可撓性多層フィルムである。
【0079】
各可撓性多層フィルムは、(i)共押出し多層構造体、または(ii)積層品、または(iii)(i)と(ii)の組み合わせであってよい。一実施形態において、
各可撓性多層フィルムは、シール層、外層、及び間の結合層の少なくとも3層を有する。結合層は、シール層を外層に結びつける。可撓性多層フィルムは、シール層と外層との間に配置された1つ以上の任意の内層を含んでよい。
・・・
【0081】
シール層用の好適なポリマー材料の非限定的な例としては、オレフィン系ポリマー(任意の直鎖または分枝鎖のエチレン/C
3
-C
10
α-オレフィンコポリマーを含む)、プロピレン系ポリマー(プラストマーとエラストマー、ランダムプロピレンコポリマー、プロピレンホモポリマー、及びプロピレンインパクトコポリマーを含む)、エチレン系ポリマー(プラストマーとエラストマー、高密度ポリエチレン(「HDPE」)、低密度ポリエチレン(「LDPE」)、
直鎖状低密度ポリエチレン(「LLDPE」)
、中密度ポリエチレン(「MDPE」)、エチレンアクリル酸またはエチレンメタクリル酸ならびに亜鉛、ナトリウム、リチウム、カリウム、マグネシウム塩とのそれらのイオノマー、エチレンビニルアセテートコポリマー、ならびにこれらのブレンドを含む)が挙げられる。
【0082】
外層用の好適なポリマー材料の非限定的な例としては、
積層体用の二軸または一軸延伸フィルム
ならびに共押出しフィルムを作製するために使用される材料が挙げられる。非限定的なポリマー材料の例のいくつかは、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(OPET)、一軸延伸ナイロン(MON)、二軸延伸ナイロン(BON)、及び二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)である。構造的メリットがあるフィルム層の作成に有用なその他のポリマー材料は、ポリプロピレン(例えばプロピレンホモポリマー、ランダムプロピレンコポリマー、プロピレンインパクトコポリマー、熱可塑性ポリプロピレン(TPO)など、プロピレン系プラストマー(例えばVERSIFY(商標)またはVISTAMAX(商標)))、ポリアミド(例えばナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,66、ナイロン6,12、ナイロン12など)、ポリエチレンノルボルネン、環状オレフィンコポリマー、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、コポリエステル(例えばPETG)、セルロースエステル、
ポリエチレン
及びエチレンのコポリマー(例えばDOWLEX(商標)などのエチレンオクテンコポリマーに基づいたLLDPE)、これらのブレンド、ならびにこれらの組み合わせの多層である。
・・・
【0084】
可撓性多層フィルムは、構造的完全性に寄与し得る、または特定の性質をもたらし得る追加の層を含んでよい。
追加の層は
、直接的手段によって、または隣接するポリマー層に適切な結合層を用いることによって追加してよい。
剛性や不透明性などの追加の性能を提供し得るポリマーや、同様にガスバリア性または耐化学性を提供し得るポリマーを、構造に追加することができる。
【0085】
任意の
バリア層用の好適な材料の非限定的な例としては
、塩化ビニリデンとメチルアクリレート、メチルメタクリレートまたは塩化ビニルのコポリマー(例えばThe Dow Chemical Companyから入手可能なSARAN(商標)樹脂)、ビニルエチレンビニルアルコール(EVOH)、金属箔(例えばアルミホイル)が挙げられる。あるいは、例えば
アルミニウム
または
酸化ケイ素をBON、OPET、またはOPPなどのフィルム上に蒸着した改質高分子フィルムを、積層多層フィルムで使用する場合
、バリア性を得るために使用できる。
【0086】
一実施形態において、可撓性多層フィルムは、LLDPE(商標名DOWLEX(商標)(The Dow Chemical Company)にて販売)、
シングルサイトLLDPE(例えば実質的に直鎖、または直鎖のオレフィンポリマーで、商標名AFFINITY(商標)またはELITE(商標)(The Dow Chemical Company)にて販売されるポリマー
、エチレンビニルアセテート(EVA)、エチレンエチルアクリレート(EEA)、プロピレン系プラストマーまたはエラストマー、例えばVERSIFY(商標)(The Dow Chemical Company)、グラフト化オレフィン系ポリマー(グラフト化MAH)、及びこれらのブレンドを含む)から選択されるシール層を含む。任意の結合層は、エチレン系オレフィンブロックコポリマーPE-OBC(INFUSE(商標)として販売)またはプロピレン系オレフィンブロックコポリマーPP-OBC(INTUNE(商標)として販売)のどちらかから選択される。外層は、25°Cから30°C、または40°Cまたはシール層中のポリマーの融点より高い融点Tmを有する50重量%超の樹脂を含み、
外層ポリマーは、樹脂、例えば
AFFINITY(商標)、
LLDPE(DOWLEX(商標))
、VERSIFY(商標)またはVISTAMAX、
ELITE(商標)
、MDPE、HDPE、またはプロピレン系ポリマー、例えばプロピレンホモポリマー、プロピレンインパクトコポリマー、もしくはTPOから選択される。」
「【0103】
本発明の
可撓性容器90は
、ボックスパウチ、ピローパウチ、スパウトk-シールパウチ、スパウトサイドガセットパウチ、または
スタンドアップパウチであり得る
。可撓性容器中に取り付けられた付属部品の位置は、2つの対向するフィルム間にシールが存在するところであればどこでもあり得る、すなわち、例えば、フロントパネルへの底部ガセットのシールの上部、側部、または底部上であり得る。言い換えると、付属部品シール102は、2つのフィルムが合わさり、一緒にヒートシールされる可撓性容器上のどこにでも配置され得る、または他の方法で形成され得る。
付属部品シール102にとって好適な位置の非限定的な例としては、可撓性容器の上部
、底部、側部、角部、ガセット部
が挙げられる。
」
「【0110】
一実施形態において、
本発明の可撓性容器は、90重量%~100重量%のエチレン系ポリマーから作製される
。重量パーセントは、可撓性容器(内容物なし)の総重量を基準とする。
90重量%~100重量%のエチレン系ポリマーで作製された可撓性容器は、速やかにリサイクルできる点で有利である。
【0111】
本発明の可撓性容器は、食べられる液体(例えば飲料)、油、塗料、グリース、化学物質、液体中の固形分の懸濁液、及び固体微粒子物質(粉末、粒子、粒状の固体)を含むがこれらに限定されない、流動性のある物質の保管に好適である。好適な液体の非限定的な例としては、液体パーソナルケア製品、例えばシャンプー、コンディショナー、液体石鹸、ローション、ジェル、クリーム、バーム、及び日焼け止め剤が挙げられる。他の好適な液体には、家庭用ケア/掃除用製品及び自動車ケア製品が挙げられる。他の液体には、液体食品、例えば香辛料(ケチャップ、マスタード、マヨネーズ)及びベビーフードが挙げられる。」
「【0114】
付属部品は、
以下の表1に記載されているフィルム構造を備えた、作り置きの
スタンドアップパウチに取り付けられる
。
【0115】
【表1】
81
153
0001433474000001.jpg
【0116】
付属部品は、Sommer Automatic GP260シーリング装置を使用して、64N/cm
2
のシーリング圧力または960Nの封止力(シーリングバー表面積=15cm
2
)、185°Cの温度、及び1秒のシーリングサイクル時間にて取り付ける。第2の冷却バーによる40N/cm
2
または600N、27°Cで、0.5秒の冷却サイクルがある。
【0117】
図5は、HDPEで形成された付属部品を備えた液体石鹸SUPの従来の商業サンプルを示す。硬質のHDPEシーリングリブは、シーリングプロセスの間にフィルムに相対して圧縮され、色素で着色されたフィルムが透明になり、図5の領域Cにおいて見られる通り、フィルム内層の劣化を示す。
【0118】
図6は、フィルム1に相対してシールされた
HDPEで作製された付属部品
のシール領域の左側を示す。シーリングプロセスは、特定のパウチ形状及び公称100マイクロメートルのフィルム構造のために設計され寸法決めされた標準装置で行う。図6は、多層フィルム及びシーリングリブを圧縮すると、フィルム構造が損傷して、漏れとなり得る弱点Dとなることを示す。」
「
92
153
0001433474000002.jpg
92
153
0001433474000003.jpg
」
引用文献1には、可撓性容器について次の(1)、(2)の事項が記載されていると認められる。
(1) 付属部品は、可撓性パウチから流動性材料を送出するための硬質の注ぎ口であり、スタンドアップパウチにおける注ぎ口といえるから、スパウトである。(【0002】、【0029】、【0114】、【図1】~【図8】)
(2) 多層フィルム中の「ヒートシール層(Affinity(商標)1146)」は、実質的に直鎖、または直鎖のオレフィンポリマーであるシングルサイトLLDPEからなるものである。(【0086】)
上記1、2の事項からみて、特に【0115】の表1の多層フィルムの構造を備えた実施例に着目すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認める。
「スタンドアップパウチであって、
前記スタンドアップパウチは多層フィルムとスパウトを含み、
前記多層フィルムは、シール層、外層、及び間の結合層の少なくとも3層を有し、シール層と外層との間に配置された1つ以上の任意の内層を含み、
前記多層フィルムは、LLDPE(Dowlex(商標)2049)/HDPE(Elite(商標)5960G)/LLDPE(Elite(商標)5400G)/粘着層(ポリウレタン溶剤非含有粘着剤(例えば、Morfree970/CR137))/HDPE(Elite(商標)5960G)/HDPE(Elite(商標)5960G)/ヒートシール層(Affinity(商標)1146)で構成され、
前記ヒートシール層(Affinity(商標)1146)は、実質的に直鎖、または直鎖のオレフィンポリマーであるシングルサイトLLDPEからなり、
前記スパウトは、HDPEで作製された、スタンドアップパウチ。」
(1) 特開2019-6421号公報(当審において新たに提示する文献)の記載
「【0029】
[遮光印刷層]
遮光印刷層32は、積層体30が遮光性を有するように構成された層である
。遮光印刷層32は、顔料及びバインダーを含むインクを有する。・・・
【0030】
遮光印刷層32を含む積層体30の全光線透過率は、少なくとも20%以下であり、好ましくは15%以下であり、更に好ましくは10%以下である。全光線透過率が20%以下である場合、通常の使用条件下において袋10に入射する300nmから800nmの波長域の外光からなる可視光と紫外線とを効果的に遮断することができ、袋10に収容した内容物が外光によって劣化することを効果的に抑制することができる。」
「【0055】
透明蒸着層35は、第1基材31又は第2基材33に以下の形成方法を用いて形成することができる。
透明蒸着層35の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、およびイオンプレ-ティング法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、および光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等を挙げることができる。」
「
78
151
0001433474000004.jpg
」
(2) 特開2000-25148号公報(当審において新たに提示する文献)の記載
「【0003】
【発明が解決しようとする課題】・・・そこで本発明は、
酸素ガス
あるいは水蒸気等
に対するバリア性等に優れ、更に、遮光性を有し、
例えば、飲食品、医薬品、化粧品、化学品、その他等の種々の物品、特に、菓子、スナック食品等に対する充填包装に
有用な積層材
を提供することである。」
「【0007】まず、本発明にかかる
積層材1は、
図1に示すように、少なくとも、
基材フィルム層2、無機酸化物の蒸着膜層3、無機酸化物の蒸着膜層4、および、ヒートシール性樹脂層5の順で順次に積層した構成
からなるものである。更に、本発明にかかる積層材1aは、図2に示すように、上記の図1に示す積層材1において、無機酸化物の蒸着膜層3と無機酸化物の蒸着膜層4との間に、ラミネート用接着剤層6を設けて積層した構成からなるものである。あるいは、本発明にかかる積層材1bは、図3に示すように、上記の図1および図2に示す積層材1、1aにおいて、無機酸化物の蒸着膜層3と無機酸化物の蒸着膜層4との間に、印刷絵柄層7を設けて積層した構成からなるものである。更にまた、本発明にかかる積層材1cは、図4に示すように、上記の図1~3に示す積層材1、1a、1bにおいて、例えば、
無機酸化物の蒸着膜層3と無機酸化物の蒸着膜層4
との層間等のように、積層材1、1a、1bを構成するいずれかの層間に、
着色樹脂層8
を介在させて積層した構成からなるものである。・・・」
「【0021】本発明において、上記のような
着色樹脂層は、本発明にかかる積層材を構成する各素材の上に、
前述のコーティング組成物、あるいは、
インキ組成物を、
任意にコーティングないし
印刷することにより、
あるいは、その素材のいずれかの層間に、前述の着色樹脂のフィルムないしシ-トを任意に介在させて積層することにより、
構成することができる。
而して、
上記のような着色樹脂層を積層材を構成するいずれかの層間に設けることにより、例えば、太陽光等を遮光するという利点を有し、
これにより、光の透過による内容物の劣化、変質等を防止することができるものである。」
「
100
153
0001433474000005.jpg
」
(3) 特開平7-286263号公報(当審において新たに提示する文献)の記載
「【0013】このような樹脂フィルム3の厚さは、包装材の使用目的に応じて適宜設定することができるが、例えば5~30μm程度とすることができる。
遮光層2を構成する白インキ層4a、黄インキ層4bおよび赤インキ層4cは、その積層順序に特に制限があるものではなく、任意の順序で積層されてよい。
・・・」
「【0015】上記の
白インキ層4a、黄インキ層4bおよび赤インキ層4cは
、例えば
グラビア印刷、フレキソ印刷等により各色のインキを重ね刷りすることにより形成することができる
。
【0016】包装材1を構成する
バリアー層5は、樹脂フィルム6上に無機蒸着膜7を形成したものである
。使用する樹脂フィルム6としては、2軸延伸樹脂フィルムが好ましく、具体的にはポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン/ビニルアルコール共重合体、ポリスチレン樹脂等の樹脂を2軸延伸してなるフィルムを用いることができる。特に、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂等の耐熱性を有する樹脂を2軸延伸してなるフィルムが好ましい。」
「
88
146
0001433474000006.jpg
」
(4) 特開2003-144110号公報(当審において新たに提示する文献)の記載
「【0006】
【発明の実施の形態】つぎに本発明を図1と図2に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。図中1は本発明に係る食品の保存方法において用いる包装材料の一例で、該包装材料1は製袋したときに袋内方となる側にシーラント2を位置させており、このシーラント2の層を相対させた状態で包装材料1を重ね合わせて所要の辺部をヒートシールすることで、その包装材料1にて食品を包んで封止した包装容器が得られるようにしている。そして、この包装材料1は袋内方となる側から袋外方となる側にかけて前記
シーラント2、中間基材層3、遮光印刷層4、基材フィルム層5とが積層した層構成を有している
。
【0007】・・・基材フィルム層5は
酸化けい素、或いは酸化アルミニウムなどの無機物を蒸着させてガスバリヤ性(酸素透過の防止、防湿)を有する透明な基材フィルム
からなるものであり、厚さは12~20μm程度の範囲である。基材フィルムには、透明蒸着フィルムの他に、エバールフィルム、PVDCフィルムなどのバリア性を有するフィルム、およびバリア性を有するコーティング層を設けたバリアコートフィルムなどの透明ガスバリアフィルムを用いることができる。そして、前記基材フィルム層5を構成する基材フィルムの袋内方となる片面に対して印刷手法を用いて前記遮光印刷層4を印刷形成し、前記中間基材層3を構成している樹脂およびシーラントとなるヒートシール性を備えた前記無延伸ポリプロピレンフィルムを順次接着剤を介在させながら、例えばドライラミネート法などで積層にしてこの包装材料1が得られている。」
「
124
153
0001433474000007.jpg
」
(5) 周知技術1
上記(1)~(4)より以下の事項は周知技術(以下「周知技術1」という。)である。
「ガスバリア性と不透明性の向上のため、積層体に蒸着膜および遮光性印刷層を備えること。」
本願発明と引用発明を対比すると、各構成の相当関係は次の(1)~(10)のとおりである。
(1) 引用発明の「スパウト」は本願発明の「スパウト」に相当し、以下同様に、「多層フィルム」は「積層体」に、「スタンドアップパウチ」は「包装袋」に、「スパウトを含」む「スタンドアップパウチ」は、「スパウト付き包装袋」にそれぞれ相当する。
(2) 引用発明の「スタンドアップパウチ」は内容物を収容することは明らかであるから、本願発明の「収容部」を備えるものである。また、引用発明の「スタンドアップパウチ」は「多層フィルム」で形成されていることから、引用発明の「スタンドアップパウチ」は本願発明の「収容部が積層体により構成されて」いるといえる。
(3) 引用発明の「多層フィルム」のうち、「ヒートシール層(Affinity(商標)1146)」は、本願発明の「ヒートシール層」に相当する。
(4) 引用発明の多層フィルムは、「シール層、外層、及び間の結合層の少なくとも3層を有し、シール層と外層との間に配置された1つ以上の任意の内層を含」むものであるから、「LLDPE(Dowlex(商標)2049)/HDPE(Elite(商標)5960G)/LLDPE(Elite(商標)5400G)」の3層は、「粘着層(ポリウレタン溶剤非含有粘着剤(例えば、Morfree970/CR137))」を挟んで、「ヒートシール層(Affinity(商標)1146)」の反対側に位置するものであり、「外層」といえ、本願発明の「基材」に相当する。
(5) 同様に、引用発明の「粘着層(ポリウレタン溶剤非含有粘着剤(例えば、Morfree970/CR137))」に隣接する「HDPE(Elite(商標)5960G)/HDPE(Elite(商標)5960G)」は「結合層」及び「内層」といえ、その「HDPE(Elite(商標)5960G)」、「HDPE(Elite(商標)5960G)」は、それぞれ本願発明の「ラミネート層」、「中間層」に相当する。
(6) 引用発明の「HDPE(Elite(商標)5960G)/HDPE(Elite(商標)5960G)/ヒートシール層(Affinity(商標)1146)」を合わせたものは、本願発明の「シーラント層」といえるとともに、「前記シーラント層は、ラミネート層と、中間層と、ヒートシール層とを備え」る態様である。
(7) 引用発明の「多層フィルムは、LLDPE(Dowlex(商標)2049)/HDPE(Elite(商標)5960G)/LLDPE(Elite(商標)5400G)/粘着層(ポリウレタン溶剤非含有粘着剤(例えば、Morfree970/CR137))/HDPE(Elite(商標)5960G)/HDPE(Elite(商標)5960G)/ヒートシール層(Affinity(商標)1146)で構成され」は、本願発明の「積層体は、少なくとも、基材と、シーラント層と、前記基材と前記シーラント層との間に設けられた蒸着膜および遮光性印刷層と、を備え、」と、「積層体は、少なくとも、基材と、シーラント層と、を備え、」の限りにおいて相当する。
(8) 引用発明の「ヒートシール層(Affinity(商標)1146)」に隣接する「HDPE(Elite(商標)5960G)」は、本願発明の「中間層」に相当し、本願発明の「前記中間層は中密度ポリエチレンまたは高密度ポリエチレンの少なくとも一方を含」む構成を備える。
また、引用発明の「ヒートシール層(Affinity(商標)1146)」は、「実質的に直鎖のオレフィンポリマーであるシングルサイトLLDPEからな」るものであり、本願発明の「前記ヒートシール層は直鎖状低密度ポリエチレンを含」むことに相当する。
(9) 引用発明の「LLDPE(Dowlex(商標)2049)/HDPE(Elite(商標)5960G)/LLDPE(Elite(商標)5400G)」は、「LLDPE」が直鎖状低密度ポリエチレンを、「HDPE」が高密度ポリエチレンを意味するから、いずれの層もポリエチレンからなるものである。
また、引用発明の「HDPE(Elite(商標)5960G)/HDPE(Elite(商標)5960G)/ヒートシール層(Affinity(商標)1146)」を合わせたものは、「HDPE」が高密度ポリエチレンを意味し、「ヒートシール層(Affinity(商標)1146)」は「実質的に直鎖、または直鎖のオレフィンポリマーであるシングルサイトLLDPE」、すなわち直鎖状低密度ポリエチレンであるから、ポリエチレンからなるものである。
そうすると、引用発明の「LLDPE(Dowlex(商標)2049)/HDPE(Elite(商標)5960G)/LLDPE(Elite(商標)5400G)」の3層、及び、「HDPE(Elite(商標)5960G)/HDPE(Elite(商標)5960G)/ヒートシール層(Affinity(商標)1146)」を合わせたものが、いずれもポリエチレンからなることは、本願発明の「前記基材および前記シーラント層は、ポリエチレンにより構成されて」いることに相当する。
(10) 引用発明の「スパウトは、HDPEで作製された」は、HDPEがポリエチレンといえるから、本願発明の「スパウトが、ポリエチレンにより構成されていること」に相当する。
そうすると、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は以下のとおりである。
[一致点]
「収容部とスパウトとを備えた包装袋であって、
収容部が積層体により構成されており、
前記積層体は、少なくとも、基材と、シーラント層とを備え、
前記基材および前記シーラント層は、ポリエチレンにより構成されており、
前記シーラント層は、少なくとも、ラミネート層と、中間層と、ヒートシール層とを備え、
前記中間層は中密度ポリエチレンまたは高密度ポリエチレンの少なくとも一方を含み、前記ヒートシール層は直鎖状低密度ポリエチレンを含み、
前記スパウトがポリエチレンにより構成されている、スパウト付き包装袋。」
[相違点1]
本願発明の「積層体」が「前記基材と前記シーラント層との間に設けられた蒸着膜および遮光性印刷層と、を備え」るのに対し、引用発明の「多層フィルム」はそのように特定されていない点。
[相違点2]
基材に関し、本願発明は「延伸処理または電子線照射処理の少なくとも一方が施されて」いるのに対し、引用発明の「LLDPE(Dowlex(商標)2049)/HDPE(Elite(商標)5960G)/LLDPE(Elite(商標)5400G)」はそのようなものか不明である点。
引用発明は、「多層フィルムは、シール層、外層、及び間の結合層の少なくとも3層を有し、シール層と外層との間に配置された1つ以上の任意の内層を含」むものであり、「LLDPE(Dowlex(商標)2049)/HDPE(Elite(商標)5960G)/LLDPE(Elite(商標)5400G)」の3層は、「外層」といえる。
また、引用発明のスタンドアップパウチは、食品等を収容することが想定されている(引用文献1の【0111】)。そして、食品等を収容するパウチについて、多層フィルムを酸素等が透過すること、あるいは、紫外線等が入射することにより、収容される食品等が劣化するのを防ぐことは、従来より当業者が考慮すべき課題である。この課題に関し、引用文献1には、「可撓性多層フィルムは、構造的完全性に寄与し得る、または特定の性質をもたらし得る追加の層を含んでよい。追加の層は、直接的手段によって、または隣接するポリマー層に適切な結合層を用いることによって追加してよい。剛性や
不透明性などの追加の性能を提供し得るポリマー
や、同様にガスバリア性または耐化学性を提供し得るポリマーを、構造に追加することができる。」(【0084】)、「任意のバリア層用の好適な材料の非限定的な例としては、・・・金属箔(例えばアルミホイル)が挙げられる。あるいは、例えば
アルミニウムまたは酸化ケイ素をBON、OPET、またはOPPなどのフィルム上に蒸着した改質高分子フィルムを、積層多層フィルムで使用する場合、バリア性を得るために使用できる
。」(【0085】)と記載されている。
すなわち、引用文献1には、可撓性多層フィルムにおいて、隣接するポリマー層に適切な結合層を用いることにより、特定の性質をもたらし得る追加の層を追加すること、不透明性などの追加の性能を提供し得るポリマーや、同様にガスバリア性または耐化学性を提供し得るポリマーを、構造に追加すること、任意のバリア層用の好適な材料の非限定的な例として、アルミニウム又は酸化珪素の蒸着膜によりガスバリア性を付与し得ることが開示ないし示唆されている。
そして、上記第4の4(5)で周知技術1として示したように、ガスバリア性と不透明性の向上のため、積層体に蒸着膜および遮光性印刷層を備えることは、周知の技術である。
引用発明の多層フィルムには、ガスバリア性と不透明性の向上を図る動機付けがあり、これらの課題の解決のために引用文献1に記載の事項及び周知技術1を参酌して、相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
引用文献1の【0082】には、基材である外層用のポリマー材料として、「二軸または一軸延伸フィルム」を使用することが記載されており、引用発明において、「LLDPE(Dowlex(商標)2049)/HDPE(Elite(商標)5960G)/LLDPE(Elite(商標)5400G)」に延伸フィルムを用いるようにすることは、当業者が容易に想到し得たものである。また、基材に電子線照射処理を施したフィルムを用いることは、例示するまでもなく周知の技術であり、引用発明の基材として、電子線照射処理を施したフィルムを用いることに格別の困難性はない。
よって、引用発明において、相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
本願発明の効果に関して、これらの各相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術1の奏する作用効果から予測される範囲内のものであり、格別顕著なものということはできない。
(1) 審判請求人の主張
審判請求人は令和7年10月27日提出の意見書において以下のとおり主張する。
「 本願発明と引用発明とを対比すると、少なくとも以下の点で両者は相違いたします。
[相違点1]
本願発明では、スパウト付き包装袋の収容部を構成する積層体が、基材とシーラント層との間に設けられた蒸着膜および遮光性印刷層とを備える構成であるのに対し、引用発明では、このような構成を備えていない点。
上記相違点1について、引用文献1には、可撓性多層フィルムにガスバリア性を付与するために、樹脂フィルム上にアルミニウムや酸化珪素を蒸着した改質高分子フィルムを積層多層フィルムで使用することが記載されていますが(引用文献1の段落[0085])、基材とシーラント層との間に、蒸着膜とともに遮光性印刷層を設ける構成については何ら開示されておりません。そもそも引用文献1には、包装袋に収容される内容物の保存安定性を改善し、包装袋に収容される内容物を隠蔽するという課題については何ら記載されておりません。してみると、引用発明において当業者が、可撓性多層フィルムにガスバリア性を付与するために、シール層と外層との間に、改質高分子フィルムを積層多層フィルムとして積層することはあっても、蒸着膜を設けることまでは考えません。まして、包装袋に収容される内容物の保存安定性の改善し、包装袋に収容される内容物を隠蔽するために、シール層と外層との間に遮光性印刷層を設ける動機付けはありません。
したがって、引用文献1の記載事項に接した当業者であっても、包装袋に収容される内容物の保存安定性の改善し、包装袋に収容される内容物を隠蔽することを目的として、引用発明のシール層と外層との間に蒸着膜や遮光性印刷層を設けようとは考えません。
よって、本願発明は、引用文献1に対して進歩性を有しているものと思料いたします。」
(2) 審判請求人の主張の検討
上記「第6 1」で検討したとおりである。
審判請求人の上記主張は採用できない。
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術1に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。