結論テキスト
本件審判の請求は、成り立たない。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2024008208 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本願は、2016年(平成28年)10月13日を国際出願日とする外国語特許出願(特願2018-518969号)の一部を、令和3年11月11日に新たな特許出願としたものであって(パリ条約による優先権主張外国庁受理2015年10月13日、米国)、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和4年11月 1日付け:拒絶理由通知書
令和5年 2月27日 :意見書、手続補正書の提出
同年 5月 9日付け:拒絶理由通知書(最後)
同年11月 2日 :意見書、手続補正書の提出
令和6年 1月 4日付け:補正の却下の決定
同日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同月16日 :原査定の謄本の送達)
同年 5月16日 :審判請求書、手続補正書の提出
以下、2015年(平成27年)10月13日を「優先日」という。
[補正の却下の決定の結論]
令和6年5月16日にされた手続補正を却下する。
[補正の却下の決定の理由]
令和6年5月16日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の補正をするものであって、本件補正により、次の(1)に示す本件補正前(令和5年2月27日にされた手続補正後のものをいう。以下同じ。)の特許請求の範囲の請求項1の記載は、後記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正された。下線は補正箇所を示す。
(1) 本件補正前
「光硬化性材料を硬化させるために、少なくとも第1の次元に沿ったばらつきを有する強度プロファイルを含む光を、基材上の光硬化性材料の層の少なくとも一部に照射するステップを開始して、前記基材の近位の前記光硬化性材料の硬化を開始するステップと、
前記光硬化性材料の層への照射ステップを停止して、前記光硬化性材料の層内で、硬化済みの光硬化性材料を、空気または水といった流体による抗力を低減すべく微細構造パターンに形成するステップであって、前記硬化済みの光硬化性材料は、前記基材に対し、ばらつきのある硬化高さプロファイルを有し、前記微細構造パターンの微細構造にわたる、ばらつきのある硬化高さプロファイルを含むステップと、
前記微細構造パターンを外面に適用して、前記流体による前記外面の抗力を低減するステップと
を含む方法。」
(2) 本件補正後
「光硬化性材料を硬化させるために、
光の干渉パターンによって形成される、
少なくとも第1の次元に沿ったばらつきを有する強度プロファイルを含む光を、基材上の光硬化性材料の層の少なくとも一部に照射するステップを開始して、前記基材の近位の前記光硬化性材料の硬化を開始するステップと、
前記光硬化性材料の層への照射ステップを停止して、前記光硬化性材料の層内で、硬化済みの光硬化性材料を、空気または水といった流体による抗力を低減すべく微細構造パターンに形成するステップであって、前記硬化済みの光硬化性材料は、前記基材に対し、ばらつきのある硬化高さプロファイルを有し、前記微細構造パターンの微細構造にわたる、ばらつきのある硬化高さプロファイルを含むステップと、
前記微細構造パターンを外面に適用して、前記流体による前記外面の抗力を低減するステップとを含
み、
前記照射するステップは、
前記光硬化性材料の前記層と当接していないフォトマスクを介して、前記光硬化性材料に光を照射するステップ、若しくは、前記強度プロファイルを含む前記光をフォトマスクなしで照射するステップ、を含む
方法。」
(1) 本件補正のうち請求項1についてする補正は、次のア及びイの限定をすることから構成される。
ア 本件補正前の請求項1に記載された「少なくとも第1の次元に沿ったばらつきを有する強度プロファイルを含む光」を「光の干渉パターンによって形成される」ものに限定すること。
イ 本件補正前の請求項1に記載された「照射するステップ」を「前記光硬化性材料の前記層と当接していないフォトマスクを介して、前記光硬化性材料に光を照射するステップ、若しくは、前記強度プロファイルを含む前記光をフォトマスクなしで照射するステップ、を含む」ものに限定すること。
(2) そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
(3) したがって、本件補正により請求項1についてする補正は、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。
本件補正は、前記2のとおり、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当するから、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討する。
(1) 本件補正発明
ア 本件補正発明の認定と分説
本件補正発明は、前記1(2)に摘記した本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。
ここで、検討の便宜上、本件補正発明の構成を次のとおり構成Xと構成A~Dに分説する。また、参考図として、本願の【図9】を掲載する。
<本件補正発明の分説>
A 光硬化性材料を硬化させるために、光の干渉パターンによって形成される、少なくとも第1の次元に沿ったばらつきを有する強度プロファイルを含む光を、基材上の光硬化性材料の層の少なくとも一部に照射するステップを開始して、前記基材の近位の前記光硬化性材料の硬化を開始するステップと、
B 前記光硬化性材料の層への照射ステップを停止して、前記光硬化性材料の層内で、硬化済みの光硬化性材料を、空気または水といった流体による抗力を低減すべく微細構造パターンに形成するステップであって、前記硬化済みの光硬化性材料は、前記基材に対し、ばらつきのある硬化高さプロファイルを有し、前記微細構造パターンの微細構造にわたる、ばらつきのある硬化高さプロファイルを含むステップと、
C 前記微細構造パターンを外面に適用して、前記流体による前記外面の抗力を低減するステップとを含み、
D 前記照射するステップは、前記光硬化性材料の前記層と当接していないフォトマスクを介して、前記光硬化性材料に光を照射するステップ、若しくは、前記強度プロファイルを含む前記光をフォトマスクなしで照射するステップ、を含む
X 方法。
参考図(【図9】)
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93
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イ 課題・作用効果等に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載
本願明細書の発明の詳細な説明の記載のうち、発明が解決しようとする課題及び作用効果等に関連する記載を抜粋すると、次の記載がある。
(ア) 技術分野・背景技術
「【技術分野】
【0001】
本開示は、微細構造を表面上にパターン形成するための方法およびシステムに関する。より具体的には、本開示は、微細構造を外面上にパターン形成することに関する。一構成では、本発明は、微細構造パターンを乗り物の外面上の上塗り上に設ける。
【背景技術】
【0002】
現代の航空機による燃料消費量は、航空機が経験する抗力にかなり依存する。類似の考慮事項は、船舶および自動車に関して当てはまる。空気力学表面の抗力が微細構造パターンを表面上に作製することにより低減することができることは周知である。
...(中略)...
【0010】
本開示は、航空機、船舶、および自動車などの、空気または水などの流体中を進む乗り物の上塗り上などの、外面上に微細構造パターンを設ける際の技法に関する。」
(イ) 課題
「【0017】
図5に示すように、ウェブ22は、所望のパターンのネガを有し、したがって、基材27上のフォトポリマー32をその所望のパターンに形成する。UVランプ21からのUV放射33は、ウェブ22を通過し、フォトポリマー32を、硬化済みのフォトポリマー28により形成される所望のパターンに固める。このように、装置が基材27に対して矢印29により示される方向に動くにつれて、所望のパターンの硬化済みのフォトポリマー28が、基材27上に形成される。
【0018】
この方法では、ローリングマスクマトリクス材料は、非常に低い表面エネルギーと、特定の狭い範囲内のショア硬さとを必要とする。加えて、液体コーティング26は、露光後に基材27に付着しなければならないが、ウェブ22が除去された後に流れ、または別の方法で形状を変えてはならない。さらに、ウェブ22は、生産するのが高価であり、ローリング接触プロセスを通じて劣化する。」
「【図5】
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130
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」
(ウ) 作用効果
「【0019】
マスクベースの構成
これより図6および7に目を転じて、本開示のある構成について説明する。装置は、装置を覆い、装置を周囲UV光から保護するフードまたはシュラウド41の形をとる。シュラウド内には、装置が基材43にわたって動くことを可能にする一対のローラー42がある。
...(中略)...
【0021】
図7で最もよく見えるように、マスク49は、フォトポリマー44に当接しないが、その代わりに、約10~100センチメートルの小さい隙間51だけフォトポリマー44から離間している。」
「【図7】
87
108
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」
「【0022】
図6に概略的に例示するように、光源50からのUV放射へ露光されたフォトポリマー44の部分は、現像剤ノズル46およびリンス液ノズル47の下を通った後も、基材43に付着した状態にとどまる。コンピュータマイクロチップフォトリソグラフィの近接プリント技法を利用する本構成は、解像度を1~2マイクロメートルまで下げることを達成でき、これは、表面摩擦抗力などの空気力学を低減する微細構造にとって十分過ぎるものである。記載の構成は、図4および5に関連して上述した
マスク密着プリントの厳格な要件なしに、異なるフォトポリマー/現像剤の組み合わせを可能にする
。加えて、異なる円筒状マスク49を容易に代用して、異なる微細構造構成を、例えば単一の航空機の外装の異なる区域に塗布することを可能にすることができる。
【0023】
基材43をエッチングすることにより微細構造を形成するように、図6および7の構成を使用することも可能である。これは、追加のエッチングノズルを使用することにより、またはパネル全体をエッチング液内浸すことにより、行うことができる。」
「【図6】
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128
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」
...(中略)...
【0024】
マスクレスの構成
本開示のあるさらなる構成によれば、図8および9に例示するように、マスクレスシステムは、干渉リソグラフィの使用により作製することができる。干渉リソグラフィは、2つのコヒーレントな光源または放射源間の干渉パターンを構築することにより、規則的配列構造の連続パターン形成を可能にする。特徴間の最小間隔は、波長の約半分に等しく、これは、UV放射の場合、約0.2マイクロメートルの最小間隔に対応する。図8に示すように、図6の装置が、円筒状マスク49および光源50の除去、ならびにその代わりとしてのUVレーザー61、空間フィルタ62、ビームスプリッタ63、および一対の鏡64の提供により、変更されている。この構成では、UVレーザーの波長は、364ナノメートルである。鏡64は、角度θを増大または減少させるように、基材43に対して可動性である。これは、干渉構成により生成されるパターン線間の間隔を調節する。
【0025】
前と同じように、本構成を使用して、追加のエッチングノズルの提供により、基材24内にエッチングパターンを形成することができる。」
「【図8】
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【図9】
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」
「【0026】
これより図10に目を転じると、図8および9の構成は、ビームスプリット技法を使用する代わりに回折格子71を(例えば、位相マスクの形で)代わりに利用するように、さらに変更することができる。回折格子71は、UV源(図10に例示せず)から均一に照射され、それにより基材43上に干渉パターンを再び形成する。この構成では、間隔パターンは、調整可能ではなく、その代わりに回折格子の構造により決定される。」
「【図10】
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」
「【0045】
後処理
記載の方法1100は、後処理ステップをさらに含んでもよい。ステップ1106における微細構造パターンの形成後に、方法1100は、硬化済みの光硬化性材料がない基材1154の少なくとも一部分の除去処理ステップまたは付加処理ステップを含んでもよい。図16Aに例示するように、上段の図は、ステップ1106後の方法1100の結果を表す。結果は、硬化済みの光硬化性材料1600により形成される微細構造パターンを、基材1154の上面上に有する。基材1154の上面はまた、硬化済みの光硬化性材料1600がない区域1602を含む。図16Aに例示する除去処理の場合、方法1110は、例えば基材1154の上面にエッチングまたはサンドブラスト加工を行い、その後硬化済みの光硬化性材料1600を除去することにより、基材1154の一部を除去するステップをさらに含む。除去処理の結果は、ステップ1106の結果の微細構造パターンに対応する微細構造パターンを含む、基材のみの材料である。あるいは、図16Bに例示する付加処理の場合、方法1110は、例えば、追加の基材材料を基材1154の上面上に堆積させ、その後硬化済みの光硬化性材料1600を除去することにより、追加の基材材料を添加することをさらに含む。付加処理の結果は、ステップ1106の結果の微細構造パターン(のネガ)に対応する微細構造パターンを含む、基材のみの材料である。」
「【図16】
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130
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」
「【0047】
図6~10に例示するローラー装置の特徴およびその非接触な性質は、ローラー装置を複雑な曲面および航空機の窓に適用し、それにより、より大きい適用範囲および抗力低減を確保することができることである。図14Aに例示するローリング可能なシステム1400、および図14Cに例示し、対応する段落に記載するロボットシステム1450も、類似の特徴を提供する。」
(2) 各引用文献の記載事項及び引用発明等の認定
ア 引用文献1の記載事項及び引用発明の認定
(ア) 引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の優先日前に発行された文献である米国特許第4907765号明細書(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある(括弧内に日本語訳を示す。下線は、後記(ウ)の引用発明の認定に直接用いる記載を示す。)。
a 1欄9~17行(発明の分野)
「FIELD OF THE INVENTION
The invention relates to
a wall with a drag reducing surface
and
to methods for making such a wall.
Walls of this kind are useful for structural components which are exposed to a relative movement between a fluid and the structural component. Aircraft, spacecraft, watercraft, and land vehicles, for example railway cars, especially magnetically levitated railway cars, may have such walls. Fluid ducts may also have such walls.」
(発明の分野
本発明は、
抗力を低減する表面を有する壁構造
及びそ
の製造方法
に関するもの
である
。この種の壁は、流体と構造部材との間の相対的な運動にさらされる構造部材に有用である。例えば、航空機、宇宙船、水上船舶、陸上車両(特に磁気浮上式鉄道車両)などがこのような壁を有することがある。また、流体ダクトもこのような壁を有することがある。)
b 3欄1~17行(発明の概要)
「SUMMARY OF THE INVENTION
According to the invention,
there is provided a wall having a drag reducing surface configuration to be contacted by a fluid, comprising a wall structure with sharp edged ridges separated by valleys forming an integral part of said wall structure, said sharp edged ridges having an on-center ridge spacing s within the range of about 0.025 ≦s.≦0.25 mm, said valleys having a depth d within the range of about 0.5 s≦d.≦2.0 s
, whereby the depth d and the ridge spacing are interdependent.
Where the wall surface is made of metal, the fine or sharp edged ridges are formed according to the invention by using microchip fine etching techniques
or laser beam burning techniques
for removing the material from the grooves
.」
( 発明の概要
本発明によれば、
流体と接触する抗力低減表面形状を有する壁が提供され
る。
この壁は、谷部によって隔てられた鋭利な縁を持つ隆起部を備える壁構造を含み、これらは、当該壁構造の一体的な構成要素として形成されている
。鋭利な縁を持つ
隆起部の中心間隔(s)は約0.025mm≦s≦0.25mmの範囲にあり、谷部の深さ(d)は約0.5s≦d≦2.0sの範囲にある
。その結果、深さdと隆起間隔sは相互に依存する関係にある。
壁面が金属で構成されている場合、
本発明によれば、
マイクロチップ(製造技術に用いられるような)微細エッチング技術
やレーザー焼成技術
を用いて溝部の材料を除去することにより、鋭利又は微細な縁を有する隆起が形成される
。)
c 7欄44~65行(製造方法1)
「According to the invention
the groove structures can be manufactured in different ways.
For example,
photolithographic methods
may be employed. In the latter method a light sensitive film is applied to the work piece surface such as a fuselage wall section.
The light sensitive film may
, for example,
be a polymer
which is then covered with a photo-mask representing
an image of the groove structure
.
The image will be a plurality of light and dark lines
, for example, or zones. After the mask has been applied,
the light sensitive film will be exposed
through the mask
to cause a curing in the exposed zones
. Thereafter,
the non-exposed zones are washed away
.
The resulting, or rather remaining, ridges of cured polymer may themselves form the groove structure or they may form a mask for a subsequent etching operation
. In this way it is possible to apply groove structures on a shining metal surface or the metal surface may first have been covered with a lacquer. The groove structure or the ridge structure may be reinforced by embedding in the polymer the above mentioned reinforcing fibers and/or powders as will be mentioned in more detail below.」
(本発明によれば、
溝構造はさまざまな方法で製造することが可能である
。例えば、
フォトリソグラフィ法を用いる
ことができる。後者の方法では、
感光性フィルムを
胴体壁セクションなどのワークピース(加工対象)の表面に
塗布する
。
感光性フィルムとしては、
例えば
ポリマーが用いられ
、これに
溝構造の
像を表すフォトマスクを重ねる。この
像は、
例えば
複数の明暗の線
や領域
で構成され
る。マスクが配置された後、
感光性フィルムは
マスクを通して
露光され、露光された領域が硬化する
。
その後、露光されなかった領域は洗浄によって除去され
る。
その結果生じた、より適切には残った硬化ポリマーの隆起部は、それ自体が溝構造を形成する場合もあれば、後工程のエッチング処理のためのマスクとなる場合もある
。この方法により、光沢のある金属表面に溝構造を施すことが可能であり、また金属表面を事前にラッカーで覆っておくこともできる。溝構造または隆起構造は、後述するように、強化繊維や粉末をポリマーに埋め込むことで強化することも可能である。)
d 8欄1~68行(製造方法2)
「Another possibility of forming the groove or ridge structure according to the invention is accomplished with the aid of a laser beam which is guided back and forth along the surface of the structure to form the valleys and ridges. Guiding the laser beam generator can be accomplished with any suitable numerically controlled machine tool. For example, U.S. Pat. No. 3,574,040 discloses an apparatus suitable for manufacturing laminated structural components by a controlled deposition and polymerization of tectonic fiber belts or tapes. The known machine tool is essentially a four-axis portal type of robot in which the machining head is numerically controlled for performing the motions in the required x, y, and z directions and the work piece carrier is tiltable about the z-axis. U.S. Pat. No. 4,060,016 discloses another portal robot numerically controlled for movement along three axes. The stamping tool merely needs to be replaced by a laser beam generator, whereby the beam generator should be tiltable about two axes which extend at right angles to each other and in parallel to the x-y plane. Controls for such tiltability are known in the art. Parameters such as the feed advance speed, the laser beam intensity, the spacing between the laser generator output, and the work piece surface, and the like, can be programmed in a conventional way. Such an apparatus is essentially a portal robot having five axes or movement directions of which three axes relate to linear movements, while two axes relate to rotational movements. Thus, any desired pattern for the laser beam movement can be programmed, whereby the beam direction may even extend at an angle to the surface plane of the work piece. The laser beam may be used to locally apply material to the surface of the work piece. Known photolithographic methods may be employed to form masks in preparation of an etching step as is known, for example, in connection with the manufacture of silicon chips for integrated circuits. The above mentioned photosensitive or light sensitive film may be exposed by ultraviolet light, whereby the photosensitive layer may be of the negative or positive type. When a positive type film is used, the zones exposed to the ultraviolet radiation will be softened. If the film is of the negative type, the zones will cure and harden. According to the invention, a negative photosensitive layer, for example of a polymer, will be applied to the surface of the work piece and the layer is then hardened in accordance with a desired pattern by an ultraviolet laser beam moved back and forth along the work piece surface with the aid of a five axis portal robot as described above. The zones which shall become ridges are exposed by the ultraviolet laser beam, whereby the respective material hardens. After complete hardening, the nonhardened portions are washed out, for example, with a developer liquid. Reference is made in this respect to "Spektrum der Wissenschaft" June 1983, page 40, disclosing an article "Mikromechanik aus Silizium" by James B. Angell et al. This method has the advantage that the ridge structure can be formed on a shiny metal surface as well as on any synthetic material surface. In other words, the groove and ridge structure may also be formed on lacquered metal surfaces. If such surfaces should require repair, it is quite easy to remove the worn areas by a solvent for the hardened polymer. After removal, new ridges and grooves may be applied as described above. The selection of materials including the materials forming the work piece will be such that the selected solvents will not attack the work piece surface.」
(本発明による溝又は隆起構造の形成の別の可能性としては、レーザー光線を用いる方法もある。レーザー光線を構造表面に沿って往復させることで、谷部と隆起部を形成する。レーザー光線発生装置の操作は、任意の適切な数値制御工作機械によって行うことができる。例えば、米国特許第3,574,040号には、テクトニックファイバーベルト又はテープの制御された堆積及び重合によって積層構造部品を製造するのに適した装置が開示されている。この既知の工作機械は、本質的に4軸のポータル型ロボットであり、加工ヘッドは必要なx、y、z方向の動作を行うため数値制御され、ワークピースの保持台はz軸周りに傾斜可能である。米国特許第4,060,016号には、3軸方向に数値制御された別のポータル型ロボットが開示されている。この場合、打ち抜き工具をレーザー光線発生器に置き換えるだけでよく、レーザー発生器はx-y平面に平行で互いに直交する2軸周りに傾斜可能である必要がある。このような傾斜制御は、当業界では既知である。送り速度、レーザー光の強度、レーザー発生器の出力とワークピース表面との間隔などのパラメータは、従来の方法でプログラム可能である。このような装置は、本質的に5軸のポータル型ロボットであり、そのうち3軸は直線運動に関係し、2軸は回転運動に関係する。したがって、レーザー光線の任意の動作パターンをプログラム可能であり、光線の方向はワークピース表面に対して角度を持つことも可能である。レーザー光線は、ワークピース表面に局所的に材料を形成するためにも使用できる。既知のフォトリソグラフィ法を用いて、例えば、集積回路用のシリコンチップ製造に関連して知られているように、エッチング工程の準備としてマスクを形成することも可能である。上述の感光性フィルムは、紫外線によって露光することができ、感光層はネガ型又はポジ型のいずれかである。ポジ型フィルムが使用される場合、紫外線に露光された領域は軟化する。フィルムがネガ型の場合、露光された領域は硬化して硬くなる。本発明によれば、例えばポリマー製のネガ型感光層をワークピース表面に塗布し、前述の5軸ポータル型ロボットを用いてワークピースの表面に沿って紫外線レーザー光線を往復させることで、所望のパターンに従って層を硬化させる。隆起部となる領域が紫外線レーザー光線によって露光され、該当する材料が硬化する。完全に硬化した後、硬化していない部分は、例えば現像液によって洗浄除去される。この方法については、1983年6月号の「Spektrum der Wissenschaft」誌40頁に掲載のJames B. Angellらによる記事「Mikromechanik aus Silizium」を参照。この方法には、あらゆる合成材料の表面だけでなく、光沢のある金属表面にも隆起構造を形成できるという利点がある。換言すると、ラッカー塗装された金属表面にも溝及び隆起構造を形成可能である。こうした表面に修理が必要な場合、硬化したポリマー用の溶剤を用いて摩耗した部分を除去することがかなり容易である。除去後は、上述のように新たな隆起及び溝構造を形成することが可能である。材料の選定(ワークピースを構成する材料の選定を含む。)は、選択した溶剤がワークピース表面を侵さないように行われる。)
(イ) 引用文献1の記載から読み取れる事項の認定
前記(ア)cに摘記した「溝構造はさまざまな方法で製造することが可能である。例えば、フォトリソグラフィ法を用いることができる。」との記載によれば、溝構造の形成には、周知のフォトリソグラフィ法であれば、どのような手法であれ用いることができることを理解できる。
そして、前記(ア)dに摘記した「例えばポリマー製のネガ型感光層をワークピース表面に塗布し、前述の5軸ポータル型ロボットを用いてワークピースの表面に沿って紫外線レーザー光線を往復させることで、所望のパターンに従って層を硬化させる。隆起部となる領域が紫外線レーザー光線によって露光され、該当する材料が硬化する。」との記載もあることから、いわゆるマスクレスのフォトリソグラフィ法が読み取れる。
(ウ) 引用発明の認定
前記(ア)に摘記した引用文献1の記載事項及び前記(イ)の引用文献1の記載から読み取れる事項を総合すると、引用文献1には、抗力を低減する表面を有する壁構造の製造方法について、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、認定の根拠となる記載箇所を括弧内に示した。
<引用発明>
「抗力を低減する表面を有する壁構造の製造方法であって、(前記(ア)a)
流体と接触する抗力低減表面形状を有する壁が提供され、
この壁は、谷部によって隔てられた鋭利な縁を持つ隆起部を備える壁構造を含み、これらは、当該構造の一体的な構成要素として形成されており、
隆起部の中心間隔(s)は約0.025mm≦s≦0.25mmの範囲にあり、谷部の深さ(d)は約0.5s≦d≦2.0sの範囲にあり、
壁面が金属で構成されている場合、マイクロチップ(製造技術に用いられるような)微細エッチング技術を用いて溝部の材料を除去することにより、鋭利又は微細な縁を有する隆起が形成され、(前記(ア)b)
溝構造はさまざまな方法で製造することが可能であり、
フォトリソグラフィ法を用い、
感光性フィルムを塗布し、
感光性フィルムとしては、ポリマーが用いられ、
溝構造の像は、複数の明暗の線で構成され、
感光性フィルムは露光され、露光された領域が硬化し、
その後、露光されなかった領域は洗浄によって除去され、
その結果生じた、より適切には残った硬化ポリマーの隆起部は、それ自体が溝構造を形成する場合もあれば、後工程のエッチング処理のためのマスクとなる場合もある、(前記(ア)c)
抗力を低減する表面を有する壁の製造方法。」
イ 引用文献2及び3に記載された事項及び周知技術の認定
(ア) 引用文献2及び3に記載された事項
技術常識を示すために当審において新たに引用する本願の優先日前に発行された文献である特開平10-39125号公報(以下「引用文献2」という。)及び特開2013-26283号公報(以下「引用文献3」という。)には、次の記載がある。
a 引用文献2
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ディスク(レーザディスク,コンパクトディスク),光磁気ディスク,分光器などの種々の分野に用いられる回折格子の作製方法および二光束干渉露光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、二光束干渉法による回折格子の作製方法が知られている。ここで、二光束干渉法は、例えば、文献「光集積回路 オーム社、1985、p216」に示されているように、同一光源(レーザ)からの光束を分離して2つの光束とし、これら2つの光束を干渉させて干渉縞を発生させ、感光材料上に記録して現像して回折格子を得るものである。
【0003】図15には、二光束干渉露光装置の代表的な例が示されている。この二光束干渉露光装置では、レーザ101からの光束をミラー102で反射し、反射した光束をビームスプリッタ103で2つに分離し、分離した2つの光束を、それぞれミラー104,105で反射し、試料基板106上の感光体107に向かわせる。
【0004】ここで、レーザ101には、感光体107の感光波長に合う波長のものが用いられる。例えば、感光体107がレジストであるとすると、レジストは一般的に青色より短い波長に感光するので、レーザ101には、ArレーザやHe-Cdレーザ,色素レーザ等が用いられる。」
「【図15】
79
124
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」
b 引用文献3
「【0002】
次世代の半導体回路の製造に用いられるリソグラフィ製造装置の1つとして、例えばEUV(Extreme Ultra-Violet)露光装置があるが、EUV露光装置は、非常に高価である。そこで、近年、干渉露光技術と呼ばれる手法を用いた低コストのリソグラフィ製造装置が注目を集めている。
【0003】
干渉露光技術は、複雑な投影光学系が不要であり、またマスクレスであるため製造コストの低コスト化を実現できる。しかしながら、従来の干渉露光では、LS(Line&Space)パターン、格子パターン等のシンプルな周期パターンを形成することはできるが、IC回路などの複雑なレイアウトパターンの形成は困難であるという問題があった。なお、以下では、投影光学系とマスクを用いる従来のリソグラフィ手法を光リソグラフィと呼び、干渉露光技術と区別する。」
(イ) 技術常識の認定
前記(ア)に摘記した引用文献2及び3の摘記事項に例示されるように、次の技術事項は、当業者にとって技術常識であったと認められる。(以下「技術常識A」という。)
<技術常識A>
「マスクレスのフォトリソグラフィー技術としての干渉露光法」
(3) 本件補正発明と引用発明の対比
ア 対比分析
本件補正発明と引用発明を以下に対比する。
(ア) 構成Xの観点(方法)
構成Xは、方法の発明であることを特定するものである。
「方法」の発明である本件補正発明と「抗力を低減する表面を有する壁の製造方法」の発明である引用発明は、「方法」の発明である点において一致する。
(イ) 構成Aの観点(光硬化性材料の硬化を開始するステップ)
a 構成Aは、「光硬化性材料を硬化させるために、光の干渉パターンによって形成される、少なくとも第1の次元に沿ったばらつきを有する強度プロファイルを含む光を、基材上の光硬化性材料の層の少なくとも一部に照射するステップを開始して、前記基材の近位の前記光硬化性材料の硬化を開始するステップ」を含むことである。
b 引用発明における「露光された領域が硬化[する]」「感光性フィルム」は、本件補正発明における「光硬化性材料」に相当する。
c 引用発明は「抗力を低減する表面を有する壁構造の製造方法」であることを踏まえると、引用発明における「感光性フィルム」は、「壁」に「塗布[される]」ものと理解できる。
そうすると、引用発明における「壁」は、本件補正発明における「基材」に相当する。
また、前記(ア)も踏まえると、引用発明が本件補正発明における「基材上の光硬化性材料の層の少なくとも一部に照射するステップを開始[する]」という構成に相当する構成を有することは明らかである。
d さらに、引用発明においては露光により「露光された領域」と「露光されなかった領域」を得るのであるから、本件補正発明でいうところの「少なくとも第1の次元に沿ったばらつきを有する強度プロファイルを含む光を」「光硬化性材料の層の少なくとも一部に照射するステップを開始して、前記基材の近位の前記光硬化性材料の硬化を開始するステップ」に相当する構成を引用発明が備えることは、明らかである。
e 前記bからdまでの検討結果をまとめると、本件補正発明は引用発明と、構成Aの観点に関して、次の(a)の点において共通し、後記(b)の点において相違する。
(a) 構成Aの観点での共通点
「光硬化性材料を硬化させるために、」「少なくとも第1の次元に沿ったばらつきを有する強度プロファイルを含む光を、基材上の光硬化性材料の層の少なくとも一部に照射するステップを開始して、前記基材の近位の前記光硬化性材料の硬化を開始するステップ」を含む点。
(b) 構成Aの観点での相違点
「照射するステップ」における「光」が、
本件補正発明においては、
「光の干渉パターンによって形成される」のに対して、
引用発明においては、
露光光がどのように形成されるか不明である点。
(ウ) 構成Bの観点(光硬化性材料のを微細構造パターンの形成ステップ)
a 構成Bは、「前記光硬化性材料の層への照射ステップを停止して、前記光硬化性材料の層内で、硬化済みの光硬化性材料を、空気または水といった流体による抗力を低減すべく微細構造パターンに形成するステップであって、前記硬化済みの光硬化性材料は、前記基材に対し、ばらつきのある硬化高さプロファイルを有し、前記微細構造パターンの微細構造にわたる、ばらつきのある硬化高さプロファイルを含むステップ」を含むことである。
b 引用発明において「洗浄」の前に「露光」を停止することは明らかであるから、引用発明は、本件補正発明でいう「前記光硬化性材料の層への照射ステップを停止[する]」との構成を含むといえる。
c 引用発明においては「露光されなかった領域は洗浄によって除去され」ており、「その結果生じた、より適切には残った硬化ポリマーの隆起部」は、「中心間隔(s)は約0.025mm≦s≦0.25mmの範囲にあり、谷部の深さ(d)は約0.5s≦d≦2.0sの範囲にあ[る]」から、引用発明における「抗力を低減する表面を有する壁構造」における「隆起部」は、「微細構造パターン」であるといえる。
d そして、引用発明におけるの「抗力を低減する表面を有する壁構造」における「隆起部」は、「流体と接触する抗力低減表面形状」である。
したがって、引用発明における「洗浄」は、本件補正発明における「硬化済みの光硬化性材料を、空気または水といった流体による抗力を低減すべく微細構造パターンに形成するステップ」に相当するといえ、当該「洗浄」は、本件補正発明でいう「前記硬化済みの光硬化性材料は、前記基材に対し、ばらつきのある硬化高さプロファイルを有し、前記微細構造パターンの微細構造にわたる、ばらつきのある硬化高さプロファイルを含む」ステップといえる。
d 以上の検討結果を踏まえると、本件補正発明と引用発明は、構成Bの観点において一致する。
(エ) 構成Cの観点(微細構造パターンを外面に適用するステップ)
a 構成Cは、「前記微細構造パターンを外面に適用して、前記流体による前記外面の抗力を低減するステップ」を含むことである。
b 引用発明は、「結果として残る硬化ポリマーの隆起部は、それ自体が溝構造を形成する場合もあれば、後工程のエッチング処理のためのマスクとなる場合もある」ものであることから、引用発明は、本件補正発明でいう構成Cの「前記微細構造パターンを外面に適用して、前記流体による前記外面の抗力を低減するステップ」を含むといえる。
c 以上の検討結果を踏まえると、本件補正発明と引用発明は、構成Cの観点において一致する。
(オ) 構成Dの観点(照射するステップ)
a 構成Dは、「前記照射するステップは、前記光硬化性材料の前記層と当接していないフォトマスクを介して、前記光硬化性材料に光を照射するステップ、若しくは、前記強度プロファイルを含む前記光をフォトマスクなしで照射するステップ」を含むことである。
b 引用発明は、本件補正発明の構成Dに相当する構成を備えているか特定がないから、本件補正発明は引用発明と、構成Dの点である次の点において相違する。
「前記照射するステップ」について、
本件補正発明においては、「前記光硬化性材料の前記層と当接していないフォトマスクを介して、前記光硬化性材料に光を照射するステップ、若しくは、前記強度プロファイルを含む前記光をフォトマスクなしで照射するステップ」を含むとの限定があるのに対して、
引用発明においては、この点の特定がない点。
イ 一致点及び相違点
前記アの対比分析の結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、次の(ア)に示す一致点において一致し、後記(イ)に示す相違点において相違すると認められる。
(ア) 一致点
「光硬化性材料を硬化させるために、少なくとも第1の次元に沿ったばらつきを有する強度プロファイルを含む光を、基材上の光硬化性材料の層の少なくとも一部に照射するステップを開始して、前記基材の近位の前記光硬化性材料の硬化を開始するステップと、
前記光硬化性材料の層への照射ステップを停止して、前記光硬化性材料の層内で、硬化済みの光硬化性材料を、空気または水といった流体による抗力を低減すべく微細構造パターンに形成するステップであって、前記硬化済みの光硬化性材料は、前記基材に対し、ばらつきのある硬化高さプロファイルを有し、前記微細構造パターンの微細構造にわたる、ばらつきのある硬化高さプロファイルを含むステップと、
前記微細構造パターンを外面に適用して、前記流体による前記外面の抗力を低減するステップとを含む、
方法」の発明である点。
(イ) 相違点
本件補正発明においては、「照射するステップ」における「光」が「光の干渉パターンによって形成され」、「前記照射するステップは、前記光硬化性材料の前記層と当接していないフォトマスクを介して、前記光硬化性材料に光を照射するステップ、若しくは、前記強度プロファイルを含む前記光をフォトマスクなしで照射するステップ、を含む」のに対して、
引用発明においては、「照射するステップ」についてこのような限定がされていない点。
(4) 判断
ア 相違点の想到容易性について
前記(2)イ(イ)において「技術常識A」として認定したとおり、「マスクレスのフォトリソグラフィ技術として干渉露光法」は、技術常識であり、引用発明における「フォトリソグラフィ法」の選択肢の一つとして自明のものである。
したがって、引用発明における「フォトリソグラフィ法」として、「マスクレスの干渉露光法」を適用し、その結果、「照射するステップ」における「光」が「光の干渉パターンによって形成され」、「前記照射するステップは、」「前記強度プロファイルを含む前記光をフォトマスクなしで照射するステップ」を含むこととなるようにして、前記相違点に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、当業者にとっては自明の設計変更にすぎない。
そして、本件補正発明が奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。
したがって、本件補正発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
イ 請求人の主張について
請求人は、引用文献1に記載されたフォトリソグラフィ法は、フォトマスクを用いたもの又はレーザービームを用いたものであり、先のフォトマスクを用いたものは本件補正発明の「光硬化性材料の層と当接していない」との構成を満たしておらず、後のレーザービームを用いたものは本件補正発明の「強度プロファイル(光の干渉パターンによって形成される)を含む光をフォトマスクなしで照射する」との構成を満たさないから、本件補正発明は進歩性を有する旨主張している。
しかしながら、前記(2)イにおいて認定したとおり、「マスクレスのフォトリソグラフィー技術としての干渉露光法」は技術常識にすぎないから、前記相違点をもって進歩性を認めることはできない。
ウ 独立特許要件の判断のまとめ
以上検討のとおり、本件補正発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって、本件補正により請求項1についてする補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合しない。
前記3(4)ウのとおり、本件補正は、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
本件補正は、前記第2のとおり却下したので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1(前記第2の1(1)参照)に記載された事項により特定されるとおりのものである。
原査定の本願発明に対する拒絶の理由である理由1(新規性の欠如)及び理由2(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。
理由1(新規性の欠如) 本願発明は、その優先日前に発行された下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。
理由2(進歩性の欠如) 本願発明は、その優先日前に発行された下記の引用文献1に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1.米国特許第4907765号明細書
引用文献1に記載された事項及び引用発明は、前記第2の3(2)アにおいて示したとおりである。
(1) 本願発明は、前記第2の2において検討したとおり、本件補正発明から次のア及びイの限定を省いたものである。
ア 「少なくとも第1の次元に沿ったばらつきを有する強度プロファイルを含む光」を「光の干渉パターンによって形成される」ものに限定すること。
イ 「照射するステップ」を「前記光硬化性材料の前記層と当接していないフォトマスクを介して、前記光硬化性材料に光を照射するステップ、若しくは、前記強度プロファイルを含む前記光をフォトマスクなしで照射するステップ、を含む」ものに限定すること。
(2) そして、前記限定にかかる技術事項は、第2の3(3)イ(イ)において認定した相違点にかかる技術事項であるから、本件補正発明から前記限定を省いた本願発明と引用発明は、前記第2の3(3)イ(ア)において認定した一致点において一致し、相違はなく同一であると認められる。
したがって、本願発明は、引用発明である、又は引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
以上検討のとおり、本願発明は、特許法29条1項3号に該当するため、又は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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