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Trademark Appeal Case

特許請求の範囲の訂正の適否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2024700706
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
特許第7422808号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1及び2〕について訂正することを認める。
特許第7422808号の請求項1及び2に係る特許を維持する。

理由テキスト

理 由

第1 手続の経緯

特許第7422808号(以下「本件特許」という。)の請求項1及び2に係る特許についての出願は、平成30年1月29日に出願された特願2018-12356号の一部を令和4年5月25日に新たな特許出願としたものであって、令和6年1月18日に特許権の設定登録がされ、同年1月26日に特許掲載公報が発行された。

その後、特許異議申立人末久真弘(以下「申立人」という。)による特許異議の申立てがされた。

本件特許についての申立人による本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。

令和6年 7月26日 :特許異議の申立て(全請求項)

同年 9月26日付け:手続補正指令書(方式)

同年10月17日 :手続補正書(方式)

令和7年 3月25日付け:取消理由通知書

同年 5月23日 :特許権者より意見書・訂正請求書の提出

同年10月 2日 :申立人より意見書の提出

なお、令和6年10月17日に提出された手続補正書(方式)により補正された特許異議申立書を以下「申立書」という。

第2 本件訂正の適否

1 訂正の内容

令和7年5月23日に提出された訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)は、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1及び2について訂正することを求めるものであり、その訂正の内容は以下のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示す。

(1)訂正事項1

請求項1に

「前記発光部と対向し前記板部から突出するように設けられたレンズと、」

とあるのを

「前記発光部と対向

するとともに前記基板部上の電線の上に配置されず

前記板部から突出するように設けられたレンズと、」

に訂正し(以下「訂正事項1-1」という。)、さらに、請求項1に

「前記板部に開口が形成されたレンズ固定部と、」

とあるのを

前記発光部から見た平面視で前記突設部と離れた位置に配設され

前記板部に開口が形成されたレンズ固定部と、」

に訂正し(以下「訂正事項1-2」という。)、さらに、請求項1に

「前記基板部を間にして前記レンズユニットと前記ベースとを固定する固定部材と;」

とあるのを

一部が

前記基板部

と当接し、他部が前記板部の底面と当接する固定部を有し、

前記レンズユニットと前記ベースとを固定する固定部材と;」

に訂正する(以下「訂正事項1-3」という。)。

請求項1の記載を引用する請求項2も同様に訂正する。

(2)訂正事項2

願書に添付した明細書の段落【0006】に

「本発明に係る照明器具は、発光部と;一方側に発光部が配置された基板部と;基板部の他方側に配置されたベースと;板部と、発光部と対向し板部から突出するように設けられたレンズと、板部から基板部へ突出するように設けられた突設部と、基板部の外周縁を囲むように形成された脚部と、板部に開口が形成されたレンズ固定部と、を有し、基板部を覆うレンズユニットと;レンズ固定部の開口に挿通し、基板部を間にしてレンズユニットとベースとを固定する固定部材と;を備え、基板部は、レンズユニットがベースに固定された状態において、突設部および脚部と当接しており、基板部とレンズ固定部とが当接していないものである。」

とあるのを

「本発明に係る照明器具は、発光部と;一方側に発光部が配置された基板部と;基板部の他方側に配置されたベースと;板部と、発光部と対向

するとともに基板部上の電線の上に配置されず

板部から突出するように設けられたレンズと、板部から基板部へ突出するように設けられた突設部と、基板部の外周縁を囲むように形成された脚部と、

発光部から見た平面視で突設部と離れた位置に配設され

板部に開口が形成されたレンズ固定部と、を有し、基板部を覆うレンズユニットと;レンズ固定部の開口に挿通し、

一部が

基板部

と当接し、他部が板部の底面と当接する固定部を有し、

レンズユニットとベースとを固定する固定部材と;を備え、基板部は、レンズユニットがベースに固定された状態において、突設部および脚部と当接しており、基板部とレンズ固定部とが当接していないものである。」

に訂正する。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び、特許請求の範囲の拡張・変更の存否

(1)訂正事項1-1について

訂正事項1-1は、請求項1において、「前記発光部と対向

するとともに前記基板部上の電線の上に配置されず

」との構成を追加することで、「レンズ」の配置関係をより具体的に特定し、限定するものである。

したがって、訂正事項1-1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)に記載した事項との関係を検討すると、「以上のように、照明器具1は、板部81が、貫通孔72bと対向する位置において、レンズ82が配置されている側と反対側の面からカバー90側に膨出する膨出部86を有し、

電線32が、膨出部86内に配置されている

ものである。膨出部86は、電線32を収容して覆うことで、

電線32はレンズ82の上に配置されず

、電線32がカバー90に影となってあらわれないように、また透けてみえないように電線32の存在を隠している。」(【0034】)(下線は当審で付した。以下同様。)との記載、及び【図8】をみると、電線32の上にレンズが配置されていないことが図示されている。

そうすると、レンズは、基板部上の電線の上に配置されないものであることが、本件明細書等に記載されていると認められる。

したがって、訂正事項1-1は、本件明細書等の記載により導かれる事項との関係において新たな技術的事項を導入するものでないから、本件明細書等に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項において準用する第126条第5項の規定に適合する。

そして、訂正事項1-1は特許請求の範囲の減縮を行うものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項において準用する第126条第6項の規定に適合する。

(2)訂正事項1-2について

訂正事項1-2は、請求項1において、「

前記発光部から見た平面視で前記突設部と離れた位置に配設され

」との構成を追加することで、「レンズ固定部」の配置関係をより具体的に特定し、限定するものである。

したがって、訂正事項1-2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

また、本件明細書等に記載した事項との関係を検討すると、【図4】~【図8】には、レンズ固定部83が、発光部71から見た平面視で突設部84と離れた位置に配設されていることが図示されている。

そうすると、レンズ固定部は、発光部から見た平面視で突設部と離れた位置に配設されるものであることが、本件明細書等に記載されていると認められる。

したがって、訂正事項1-2は、本件明細書等の記載により導かれる事項との関係において新たな技術的事項を導入するものでないから、本件明細書等に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項において準用する第126条第5項の規定に適合する。

そして、訂正事項1-2は特許請求の範囲の減縮を行うものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項において準用する第126条第6項の規定に適合する。

(3)訂正事項1-3について

訂正事項1-3は、訂正前の請求項1において「前記基板部を間にして前記レンズユニットと前記ベースとを固定する固定部材」とあったのを、「

一部が

前記基板部

と当接し、他部が前記板部の底面と当接する固定部を有し、

前記レンズユニットと前記ベースとを固定する固定部材」とすることで、「固定部材」が、「固定部」と「基板部」及び「板部」との当接関係を備えた「固定部」を有することを具体的に特定し、限定するものである。

したがって、訂正事項1-3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

また、本件明細書等に記載した事項との関係を検討すると、「

固定部材87の第二固定部87bは

第二筒孔部83b2内に配置されるとともに

端面87b1が発光基板70と当接

する。また

固定部材87の第三固定部87cは

、第一筒孔部83b1に配置され、

第一筒孔部83b1の底面83cと当接

する。」(【0032】)との記載、及び【図6】、【図7】をみると、固定部材87が備える第二固定部87bと第三固定部87cは、第二固定部87bの端面87b1が発光基板70と当接し、第三固定部87cが板部81の第一筒孔部83b1の底面83cと当接することが図示されている。

そうすると、一部が基板部と当接し、他部が板部の底面と当接する固定部を固定部材が備えることが、本件明細書等に記載されていると認められる。

したがって、訂正事項1-3は、本件明細書等の記載により導かれる事項との関係において新たな技術的事項を導入するものでないから、本件明細書等に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項において準用する第126条第5項の規定に適合する。

そして、訂正事項1-3は特許請求の範囲の減縮を行うものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項において準用する第126条第6項の規定に適合する。

(4)訂正事項2について

訂正事項2は、訂正事項1に係る訂正に伴う、特許請求の範囲の記載と明細書の記載の整合を図るための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。

また、訂正事項2は、本件特許明細書等に記載された事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第120条の5第9項において準用する第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(5)申立人の主張について

申立人は、令和7年10月2日提出の意見書(以下「意見書」という。)において、訂正事項1-1に関し、概略、以下のような主張をしている。

(意見書15ページ)

「前記基板部上の電線の上に配置され(ない)・・・レンズ」は、本件明細書等には記載されていない。

上記主張について検討する。

本件明細書等の【0034】及び【図8】によれば、電線32は、膨出部86内に配置されており、膨出部86は、「板部81の発光基板70側の面が開口している凹み形状に形成されている。」(【0026】)もので、レンズ82が配置されていない部分である。

そうすると、上記(1)で説示したとおり、本件明細書等には、【0034】及び【図8】から、電線32の上にレンズが配置されていないことが記載されているといえる。

したがって、申立人の主張を採用することはできない。

3 一群の請求項について

訂正前の請求項1及び2は、請求項2が請求項1の記載を引用する関係にあるから、本件訂正は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項〔1及び2〕について請求されたものである。

4 訂正についてのむすび

以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

したがって、本件特許の明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1及び2〕について訂正することを認める。

第3 本件発明

上記第2のとおり本件訂正は認められたから、本件訂正後の本件特許の請求項1及び2に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」等という。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定される、以下のとおりのものであると認められる。

「【請求項1】

発光部と;

一方側に前記発光部が配置された基板部と;

前記基板部の他方側に配置されたベースと;

板部と、前記発光部と対向するとともに前記基板部上の電線の上に配置されず前記板部から突出するように設けられたレンズと、前記板部から前記基板部へ突出するように設けられた突設部と、前記基板部の外周縁を囲むように形成された脚部と、前記発光部から見た平面視で前記突設部と離れた位置に配設され前記板部に開口が形成されたレンズ固定部と、を有し、前記基板部を覆うレンズユニットと;

前記レンズ固定部の前記開口に挿通し、一部が前記基板部と当接し、他部が前記板部の底面と当接する固定部を有し、前記レンズユニットと前記ベースとを固定する固定部材と;

を備え、

前記基板部は、前記レンズユニットが前記ベースに固定された状態において、前記突設部および前記脚部と当接しており、前記基板部と前記レンズ固定部とが当接していない照明器具。

【請求項2】

前記突設部は、前記板部の平面視において前記脚部と前記レンズ固定部との間に配置された請求項1に記載の照明器具。」

第4 取消理由の概要

本件訂正前の請求項1及び2に係る特許に対して令和7年3月25日付け取消理由通知で通知した取消理由の要旨は次のとおりである。

取消理由1(サポート要件)本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。

取消理由2(進歩性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、当該請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。

1 取消理由と対象請求項及び証拠との関係

<取消理由1について>

・請求項1及び2

<取消理由2について>

・請求項1及び2

・甲第1号証、及び、甲第3、6~9号証

<証拠一覧>

甲第1号証:特開2016-162705号公報

甲第3号証:特開2017-208364号公報

甲第6号証:特開2009-123601号公報

甲第7号証:特開2010-165683号公報

甲第8号証:特開2016-171039号公報

甲第9号証:特開2014-154230号公報

以下、甲第○号証を「甲○」という。

第5 取消理由についての当審の判断

1 取消理由1(サポート要件)について

特許請求の範囲の記載が、サポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断するのが相当である。

上記観点に沿って、以下、検討する。

本件特許の発明の詳細な説明には、発明が解決しようとする課題として以下のように記載されている。

「【発明が解決しようとする課題】

【0004】

特許文献1の照明器具は、配光制御部材を覆うカバーを備えている。照明器具は、このカバーを配光制御部材に近接して配置すると、基板の電線、あるいは、電線を保持する部材がカバーにうつり込み、カバーに光ムラが生じてしまうおそれがある。

【0005】

本発明は、上記のような課題を解決するためのものであり、カバーに光ムラが生じることを抑制した照明器具を提供するものである。」

「【0034】

以上のように、照明器具1は、板部81が、貫通孔72bと対向する位置において、レンズ82が配置されている側と反対側の面からカバー90側に膨出する膨出部86を有し、電線32が、膨出部86内に配置されているものである。膨出部86は、電線32を収容して覆うことで、電線32はレンズ82の上に配置されず、電線32がカバー90に影となってあらわれないように、また透けてみえないように電線32の存在を隠している。その結果、照明器具1は、カバー90に光ムラが生じることを抑制することができる。」

以上によれば、本件特許の発明が解決しようとする課題は、上記【0004】、【0005】に記載される「カバーを配光制御部材に近接して配置すると、基板の電線、あるいは、電線を保持する部材がカバーにうつり込み、カバーに光ムラが生じてしまうおそれがあり、上記のような課題を解決するために、カバーに光ムラが生じることを抑制した照明器具を提供する」ことであるところ、上記【0034】に記載される「

電線32はレンズ82の上に配置されず

、電線32がカバー90に影となってあらわれないように、また透けてみえないように電線32の存在を隠している。」ことを課題解決手段として、「照明器具1は、カバー90に光ムラが生じることを抑制することができる。」ものであることが、発明の詳細な説明に記載されているといえる。

一方、本件発明1は、上記第3に示したとおりのものであり、上記課題解決手段である「前記発光部と対向するとともに前記基板部上の

電線の上に配置されず

前記板部から突出するように設けられたレンズ」が反映されている。

そうすると、本件発明1が上記課題を解決できることは、発明の詳細な説明の記載から認識できるものといえる。

本件発明1を引用する本件発明2も同様である。

したがって、本件発明1及び2は、発明の詳細な説明に記載したものであり、特許法第36条第6項第1号に規定する要件に適合するから、取消理由1によっては、本件特許の請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。

2 取消理由2(進歩性)について

(1)甲1について

ア 甲1に記載された事項

甲1には、以下の事項が記載されている。

「【0012】

照明器具10

は、照明ユニット11、この照明ユニット11を取り付けた筐体12、および照明ユニット11に電力を供給する電源装置13を備えている。

【0013】

図1ないし図4に示すように、照明ユニット11は、複数の発光モジュール16、複数の絶縁シート17、放熱器18、および複数のカバー19を備えている。

【0014】

図1、図3および図4に示すように、

発光モジュール16は、基板22

、この

基板22の一面に実装された

複数の

発光素子23

およびコネクタ24

を備えている

。さらに、基板22の一面には、各発光素子23に接続されるチップ形の複数のコンデンサ25が実装されている。

【0015】

基板22は

、一面が部品を実装する実装面22aであり、

他面が放熱器18に接触する

接触面22bである。・・・」

「【0020】

また、図1ないし図4に示すように、

放熱器18は、本体部29

、この本体部29の上面からそれぞれ上方へ向けて突出する複数の放熱フィン部30、および本体部29の一方向に対して直交する両側にそれぞれ設けられた取付部31

を備えている

。」

「【0022】

本体部29は、略正方形で、厚みが放熱フィン部30よりも厚く形成されている。

本体部29の下面に発光モジュール16を取り付ける

平坦状の取付面32が形成されている。取付面32の4つの角部に対応した4箇所に4つの発光モジュール16を取り付ける取付位置33がそれぞれ設けられている。各取付位置33には、各基板22の孔部22cと同軸となる位置に固定孔18aがそれぞれ貫通形成されている。取付面32の中心でかつ4つの取付位置33の間には、給電線が通る配線孔18bが形成されている。」

「【0025】

また、図1ないし図5に示すように、カバー19は、例えばポリカーボネート等の透光性を有する樹脂材料によって一体に形成されている。

カバー19は、発光モジュール16の前面に対向するカバー部37、およびこのカバー部37の周辺部に設けられ発光モジュール16の周辺部を覆う側壁部38を備えている

【0026】

カバー部37は

、基板22と同様に略正方形の

平板状に形成され

、1つの角部には基板22の配線溝26に対向するとともにカバー部37の外側に膨出する配線カバー部39が形成されている。

【0027】

カバー部37には

、複数のねじ40で

カバー19を放熱器18に固定するための

複数の

固定部41が形成され

ている。

固定部41は、円筒状で、カバー部37の内面から突出され、先端に基板22に当接する当接部42が形成されているとともに基板22の孔部22cに嵌り込む突出部43が形成され、突出部43の中心にねじ40が挿通する取付孔44が形成され

ている。そして、突出部43と基板22の孔部22cとの嵌合によりカバー19と基板22とが位置決めされ、

ねじ40を

固定部41から放熱器18の固定孔18aに

螺着することにより固定部41

(当接部42)

で基板22

の内側部

を放熱器18に押し付けた状態にカバー19が放熱器18に固定される

【0028】

側壁部38には、カバー部37の周辺部の全周に亘って設けられている。側壁部38の先端側には、基板22の外周部を嵌合する嵌合部45、および絶縁シート17の外周部を嵌合する嵌合部46が形成されている。

側壁部38には

、ねじ40によってカバー19が放熱器18に締め付け固定されることにより嵌合部45に嵌合された

基板22の外周部を放熱器18に押し付ける押付部47が設けられている

。配線カバー部39の部分において、側壁部38は外側に膨出されており、その側壁部38の部分の内側には嵌合部45,46等が設けられずに配線空間48が形成され、その側壁部38の部分に配線空間48に連通する配線溝49が形成されている。

【0029】

さらに、カバー部37には、各発光素子23から入射する光の配光を制御する複数のレンズ部51が一体に形成されている。

レンズ部51は、各発光素子23に対向してカバー部37の内面から

山状または円錐状に

突出され

、その頂部に発光素子23に対向する凹部52が形成されている。凹部52の内面が発光素子23からの光を入射する入射面53に形成され、レンズ部51の外側面が入射面53から入射した光を前方へ向けて全反射させる反射面54に形成され、カバー部37の前面が出射面55に形成されている。」

図1 「

54

80

0001434112000001.jpg

図3 「

98

43

0001434112000002.jpg

イ 甲1の記載等から認められる事項

甲1の記載等から、以下の事項が認定できる(なお、括弧内に主な参照箇所を示す。以下同様。)。

(ア)「放熱器18は、本体部29・・・を備えている」(段落【0020】)、「本体部29の下面に発光モジュール16を取り付ける」(段落【0022】)、「発光モジュール16は、基板22・・・を備えている」(段落【0014】)、「基板22は、・・・他面が放熱器18に接触する・・・」(段落【0015】)との記載、及び、図3から、

基板22の他面側に放熱器18の本体部29が配置される

と認められる。

(イ)「カバー部37の周辺部に設けられ発光モジュール16の周辺部を覆う側壁部38」(段落【0025】)、「発光モジュール16は、基板22・・・を備えている」(段落【0014】)との記載、及び、図1から、側壁部38は具体的には基板22の周辺部を覆うこと、すなわち、

カバー部37の周辺部に設けられ基板22の周辺部を覆う側壁部38

であると認められる。

(ウ)「カバー19は、発光モジュール16の前面に対向するカバー部37、およびこのカバー部37の周辺部に設けられ発光モジュール16の周辺部を覆う側壁部38を備えている」(段落【0025】)、「発光モジュール16は、基板22・・・を備えている」(段落【0014】)との記載、及び、図1、図3から、

カバー19は基板22を覆う

ものと認められる。

(エ)図1から、カバー19の

側壁部38は、カバー部37から基板22側に突出している

ことが看取できる。

ウ 甲1に記載された発明

上記ア及びイを総合すると、甲1には次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。

「発光素子23と、

一面に発光素子が実装された基板22と、

基板22の他面側に配置される放熱器18の本体部29と、

平板状に形成されるカバー部37と、各発光素子23に対向してカバー部37の内面から突出されるレンズ部51と、カバー部37から基板22側に突出し基板22の周辺部を覆う側壁部38と、カバー19を放熱器18に固定するためのカバー部37に形成された固定部41であって、円筒状で、カバー部37の内面から突出され、先端に基板22に当接する当接部42が形成されているとともに基板22の孔部22cに嵌り込む突出部43が形成され、突出部43の中心にねじ40が挿通する取付孔44が形成される固定部41と、を有し、基板22を覆うカバー19と、

固定部41の取付孔44に挿通し、カバー19を放熱器18に固定するねじ40と、

を備え、

カバー19は、固定部41で基板22を放熱器18に押し付けた状態で固定され、側壁部38には基板22の外周部を放熱器18に押し付ける押付部47が設けられている、

照明器具10。」

(2)本件発明1について

ア 対比

本件発明1と甲1発明とを対比する。

(ア)発光部、基板部、ベースについて

後者の「発光素子23」は、前者の「発光部」に相当し、同様に、「基板22」は「基板部」に、「放熱器18の本体部29」は「ベース」に、それぞれ相当する。

そして、後者の「発光素子23と、一面に発光素子が実装された基板22と、基板22の他面側に配置される放熱器18の本体部29と」の構成は、前者の「発光部と; 一方側に前記発光部が配置された基板部と; 前記基板部の他方側に配置されたベースと;」の構成に相当する。

(イ)レンズユニットについて

a 後者の「平板状に形成されるカバー部37」は前者の「板部」に相当する。

b 後者の「各発光素子23に対向してカバー部37の内面から突出されるレンズ部51」と、前者の「前記発光部と対向するとともに前記基板部上の電線の上に配置されず前記板部から突出するように設けられたレンズ」とは、「前記発光部と対向し前記板部から突出するように設けられたレンズ」の点で共通する。

c 後者の「カバー部37から基板22側に突出し基板22の周辺部を覆う側壁部38」は、前者の「前記基板部の外周縁を囲むように形成された脚部」に相当する。

d 後者の「カバー19を放熱器18に固定するためのカバー部37に形成された固定部41」と、前者の「前記発光部から見た平面視で前記突設部と離れた位置に配設され前記板部に開口が形成されたレンズ固定部」とは、「板部に形成されたレンズ固定部」の点で共通する。

e 上記a~dの限りにおいて、後者の「カバー19」は、「レンズユニット」に相当する。

f 上記a~eを踏まえると、後者の「平板状に形成されるカバー部37と、各発光素子23に対向してカバー部37の内面から突出されるレンズ部51と、カバー部37から基板22側に突出し基板22の周辺部を覆う側壁部38と、カバー19を放熱器18に固定するためのカバー部37に形成された固定部41」「と、を有し、基板22を覆うカバー19」と、前者の「板部と、前記発光部と対向するとともに前記基板部上の電線の上に配置されず前記板部から突出するように設けられたレンズと、前記板部から前記基板部へ突出するように設けられた突設部と、前記基板部の外周縁を囲むように形成された脚部と、前記発光部から見た平面視で前記突設部と離れた位置に配設され前記板部に開口が形成されたレンズ固定部と、を有し、前記基板部を覆うレンズユニット」とは、「板部と、前記発光部と対向し前記板部から突出するように設けられたレンズと、前記基板部の外周縁を囲むように形成された脚部と、前記板部に形成されたレンズ固定部と、を有し、前記基板部を覆うレンズユニット」の点で共通する。

(ウ)固定部材について

後者の「固定部41の取付孔44に挿通し、カバー19を放熱器18に固定するねじ40」は、「カバー19は、固定部41で基板22を放熱器18に押し付けた状態で固定され」るものであるから、ねじ40のねじ頭は、固定部41の取付孔44の底面に当接していることが明らかである。

そうすると、上記(イ)も踏まえれば、後者の「固定部41の取付孔44に挿通し、カバー19を放熱器18に固定するねじ40」と、前者の「前記レンズ固定部の前記開口に挿通し、一部が前記基板部と当接し、他部が前記板部の底面と当接する固定部を有し、前記レンズユニットと前記ベースとを固定する固定部材」とは、「前記レンズ固定部に挿通し、他部が前記板部の底面と当接する固定部を有し、前記レンズユニットと前記ベースとを固定する固定部材」の点で共通する。

(エ)当接状態について

後者の「カバー19は、固定部41で基板22を放熱器18に押し付けた状態で固定され、側壁部38は、基板22の外周部を放熱器18に押し付ける押付部47が設けられている」構成と、前者の「前記基板部は、前記レンズユニットが前記ベースに固定された状態において、前記突設部および前記脚部と当接しており、前記基板部と前記レンズ固定部とが当接していない」構成とは、「前記基板部は、前記レンズユニットが前記ベースに固定された状態において、前記脚部と当接している」構成の点で共通する。

(オ)照明器具について

以上の限りにおいて、後者の「照明器具10」は前者の「照明器具」に相当する。

(カ)以上を総合すると、本件発明1と甲1発明は、次の点で一致する。

「発光部と;

一方側に前記発光部が配置された基板部と;

前記基板部の他方側に配置されたベースと;

板部と、前記発光部と対向し前記板部から突出するように設けられたレンズと、前記基板部の外周縁を囲むように形成された脚部と、前記板部に形成されたレンズ固定部と、を有し、前記基板部を覆うレンズユニットと;

前記レンズ固定部に挿通し、他部が前記板部の底面と当接する固定部を有し、前記レンズユニットと前記ベースとを固定する固定部材と;

を備え、

前記基板部は、前記レンズユニットが前記ベースに固定された状態において、前記脚部と当接している照明器具。」

(キ)また、両者の相違点は、次のとおりである。

〔相違点1〕

本件発明1は、レンズ固定部が「前記発光部から見た平面視で前記突設部と離れた位置に配設され前記板部に開口が形成された」ものであり、固定部材が「前記レンズ固定部の前記開口に挿通し、一部が前記基板部と当接し、他部が前記板部の底面と当接する固定部を有」するものであって、レンズユニットがベースに固定された状態において、「前記基板部と前記レンズ固定部とが当接していない」のに対し、甲1発明の固定部41は「円筒状で、カバー部37の内面から突出され、先端に基板22に当接する当接部42が形成されているとともに基板22の孔部22cに嵌り込む突出部43が形成され、突出部43の中心にねじ40が挿通する取付孔44が形成され」たものであり、ねじ40が「固定部41の取付孔44に挿通し、カバー19を放熱器18に固定する」ものであって、カバー19を固定した状態において「固定部41で基板22を放熱器18に押し付けた」ものである点。

〔相違点2〕

本件発明1は、レンズユニットが「前記板部から前記基板部へ突出するように設けられた突設部」を有し、レンズユニットがベースに固定された状態において、「前記基板部は」「前記突設部」「と当接して」いるのに対し、甲1発明は、このような突設部を有しない点。

〔相違点3〕

本件発明1は、「レンズ」が、前記発光部と対向「するとともに前記基板部上の電線の上に配置されず」前記板部から突出するように設けられているのに対して、甲1発明は、レンズ部51と電線の位置関係が不明な点。

イ 判断

相違点1と相違点2は、基板部とベースとレンズユニットを固定するための、レンズ固定部と突設部と固定部材の位置関係及び当接関係に関する相違点であり、密接に関連するものであるから、まとめて検討する。

本件発明1は、「一部が前記基板部と当接し、他部が前記板部の底面と当接する固定部を有」する「固定部材」を用いることで、レンズユニットがベースに固定された状態において、「前記基板部と前記レンズ固定部とが当接していない」ものとすることができ、「前記基板部と前記レンズ固定部とが当接していない」代わりに、「前記板部から前記基板部へ突出するように設けられた突設部」が「前記基板部」「と当接して」いることで、「前記レンズユニットが前記ベースに固定された状態」とすることができるものである。

一方、甲1発明は、「固定部41の取付孔44に挿通し、カバー19を放熱器18に固定する」ねじ40を用いて、カバー19を固定した状態において「固定部41で基板22を放熱器18に押し付けた」ものである。

そうすると、「固定部41で基板22を放熱器18に押し付けた」ものである甲1発明は、基板22(基板部相当)と固定部41(レンズ固定部相当)を当接していないものとすることの阻害事由があるといえるし、少なくとも、当接していないものとすることの動機付けがない。

そして、照明器具の基板部とベースとレンズユニットの固定構造において、基板部とレンズ固定部とが当接していないものとするために、一部が基板部と当接し、他部が板部の底面と当接する固定部を有する固定部材を用いること、及び基板部とレンズ固定部とが当接していない代わりに、基板部と当接し、発光部から見た平面視でレンズ固定部と離れた位置に配設された突設部を設けることは、甲1に記載も示唆もされていないし、甲3、6~9を含め、他の証拠にも記載や示唆がない。

したがって、甲1発明において、相違点1及び2に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たものといえない。

<その他の証拠一覧>

甲2:特開2017-16955号公報

甲4:特開2015-2032号公報

甲5:特開2012-201115号公報

甲10:特開2016-189285号公報

甲11:特開2017-208364号公報

甲12:特開2017-45733号公報

甲13:特開2017-107640号公報

甲14:特開2017-21993号公報

ウ 申立人の主張について

相違点1及び2に関し、申立人は、意見書において、概略、以下のような主張をしている。

(意見書10~11ページ)相違点に係る構成は、いずれも周知技術である。

上記主張について検討する。

上記イで説示したとおり、「固定部41で基板22を放熱器18に押し付けた」ものである甲1発明は、基板22(基板部相当)と固定部41(レンズ固定部相当)を当接していないものとすることの阻害事由があるといえるし、少なくとも、当接していないものとすることの動機付けがないから、仮に、相違点1及び2に係る本件発明1の構成が周知技術であるとしても適用することができない。

さらに、相違点1及び2に係る本件発明1の構成である、照明器具の基板部とベースとレンズユニットの固定構造において、基板部とレンズ固定部とが当接していないものとするために、一部が基板部と当接し、他部が板部の底面と当接する固定部を有する固定部材を用いること、及び基板部とレンズ固定部とが当接していない代わりに、基板部と当接し、発光部から見た平面視でレンズ固定部と離れた位置に配設された突設部を設けることは、甲3、6~9を含め、他の証拠にも記載や示唆がないから、これを周知技術ということはできない。

したがって、申立人の主張を採用することはできない。

エ 小括

以上のとおり、本件発明1は、甲1発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(2)本件発明2について

本件発明2は、本件発明1の構成を全て含み、さらに限定したものであるから、上記(1)と同様の理由により、甲1発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(3)まとめ

以上のとおり、本件発明1及び2は、甲1発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、特許法第29条第2項に該当するものではなく、請求項1及び2に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものということはできない。

したがって、取消理由2によっては、本件特許の請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。

第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について

1 特許異議申立理由

申立人は、申立書及び意見書において、取消理由通知で採用しなかった以下の特許異議申立理由を主張している。

申立理由1(進歩性)

本件特許発明1及び2は、甲14発明及び周知技術(甲1、甲4、甲7)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

申立理由2(明確性要件)

申立理由2-1

請求項1の「板部と、......レンズ固定部と、を有(する)......レンズユニット」との規定では、「板部」とは別に「レンズ固定部」が規定されているのに対して、「前記板部に開口が形成されたレンズ固定部」との規定では、「レンズ固定部」が「板部」の一部であることが規定されており、発明特定事項同士の関係が整合していないため、本件特許発明1が不明確となる。

申立理由2-2

請求項2の「前記突設部は、前記板部の平面視において前記脚部と前記レンズ固定部との間に配置された」との規定は、板部の平面視において、様々な方向が存在するため、いずれの方向で、突設部が脚部とレンズ固定部との間に配置されているのか、明確でない。

申立理由2-3

請求項1の「前記基板部上の電線の上に配置され(ない)・・・レンズ」つまり「レンズが電線上に配置されない」とは、どのような状態を規定しているのか不明である。

申立理由3(サポート要件)

申立理由3-1

請求項1の「前記板部に開口が形成されたレンズ固定部」は、それ以外の他の構造も含むものであるのに対して、発明の詳細な説明には、レンズ固定部が板部から基板へ突出するように設けられた構造が記載されているのみであるから、出願時の技術常識に照らしても、本件特許発明1の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。

申立理由3-2

請求項1の「前記基板部は、前記レンズユニットが前記ベースに固定された状態において、前記突設部および前記脚部と当接しており、前記基板部と前記レンズ固定部とが当接していない」は、どのようにして基板部とレンズ固定部とが当接しないようにしているのか不明であるのに対して、発明の詳細な説明には、固定部材87の構造及び形状を限定し、レンズ固定部83が基板部72に当接しないように、固定部材87の第二固定部87bが基板部72に当接するようにしていることが記載されているのみであるから、出願時の技術常識に照らしても、本件特許発明1の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。

申立理由3-3

請求項1の「前記基板部は、前記レンズユニットが前記ベースに固定された状態において、前記突設部および前記脚部と当接しており」は、基本的に突設部と脚部とで基板部を支えることによって、レンズ固定部が基板部に触れないようにするものであり、基板部自体がベース側に押されていることを鑑みると、突設部と脚部は基板部に平行な端面にて支えるように構成されてしかるべきである。

したがって、出願時の技術常識に照らしても、本件特許発明1の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。

申立理由3-4

本件特許発明1は、レンズ固定部及び突設部の位置関係によっては、レンズ固定部によってレンズユニットがベースに固定された際に、発光部が配置された基板部が突設部によって強く押され、基板部が撓み、光ムラが発生する恐れがあるから、発明の詳細な説明に記載された、発明の課題を解決するための手段が反映されていない。

2 当審の判断

事案に鑑み、申立理由2及び3から検討する。

(1)申立理由2(明確性要件)について

ア 申立理由2-1について

請求項1の「前記板部に開口が形成されたレンズ固定部」との記載によれば、「開口」は、「板部」に形成されている。

また請求項1の「前記レンズ固定部の前記開口」との記載によれば、「開口」は、「レンズ固定部」が備えるものである。

以上の記載によると、「レンズ固定部」は、「板部」に形成された「開口」を有するものであることが特定されている。

そして、請求項1には、「前記板部から突出するように設けられたレンズ」、「前記板部から前記基板部へ突出するように設けられた突設部」、「前記基板部の外周縁を囲むように形成された脚部」とも記載されているから、「レンズ固定部」は、「レンズ」、「突設部」、「脚部」と同様に「板部」の一部に設けられたものであることが理解できる。

以上の理解を踏まえれば、請求項1の「板部と、前記発光部と対向するとともに前記基板部上の電線の上に配置されず前記板部から突出するように設けられたレンズと、前記板部から前記基板部へ突出するように設けられた突設部と、前記基板部の外周縁を囲むように形成された脚部と、前記発光部から見た平面視で前記突設部と離れた位置に配設され前記板部に開口が形成されたレンズ固定部と、を有し、前記基板部を覆うレンズユニットと;」の記載は、「レンズユニット」が「板部」と、「板部」の一部に設けられた「レンズ」、「突設部」、「脚部」、「レンズ固定部」を備えることを特定していることが理解できる。

したがって、本件発明1は、明確である。

イ 申立理由2-2について

請求項2の「前記突設部は、前記板部の平面視において前記脚部と前記レンズ固定部との間に配置された」とは、「前記板部の平面視」という平面内において、「前記突設部」が「前記脚部と前記レンズ固定部との間に配置された」ものであることを特定している。

そうすると、「前記板部の平面視」という平面内における「前記脚部と前記レンズ固定部との間」であればよく、平面内の方向を問わないものであることが理解できる。

したがって、本件発明2は、明確である。

ウ 申立理由2-3について

請求項1の「前記発光部と対向するとともに前記基板部上の電線の上に配置されず前記板部から突出するように設けられたレンズ」とは、レンズが、板部から突出するように設けられたもので、発光部と対向する位置にあることを特定している。

そして、「前記基板部上の電線」とは、基板部を特定の方向から視認した場合を特定しているものでなく、基板部の上と言える箇所にある電線の、当該「上」方向を意味しており、「前記基板部上の電線」とは、基板部の上といえる箇所にある電線全てを意味することが理解できる。

そうすると、「前記基板部上の電線の上」とは、基板部の上といえる箇所にある電線の当該「上」方向を意味していることが分かる。

以上を総合すると、「前記発光部と対向するとともに前記基板部上の電線の上に配置されず前記板部から突出するように設けられたレンズ」とは、レンズが、板部から突出するように設けられ、且つ発光部と対向する位置にあるものであって、基板部の上といえる箇所にある電線全ての当該「上」方向には配置されないものであることを特定していることが理解できる。

したがって、本件発明1は、明確である。

エ 申立理由2のまとめ

以上のとおりであるから、本件発明1及び2は明確であり、特許法第36条第6項第2号に規定する要件に適合するから、申立理由2によっては、本件特許の請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。

(2)申立理由3(サポート要件)について

上記第5の1で取消理由1(サポート要件)について説示したとおり、本件発明1及び2は、本件特許の発明が解決しようとする課題を解決する手段が反映されており、本件発明1及び2が課題を解決できることは、発明の詳細な説明の記載から認識できるものといえる。

以下、申立理由3における申立人の主張について検討する。

ア 申立理由3-1について

請求項1には、「レンズ固定部」について、「前記発光部から見た平面視で前記突設部と離れた位置に配設され前記板部に開口が形成されたレンズ固定部」であること、「前記レンズユニットと前記ベースとを固定する固定部材」が「前記レンズ固定部の前記開口に挿通」することが特定されている。

そうすると、「レンズ固定部」は、「板部」に形成された「開口」を有するものであって、当該「開口」に固定部材を挿通することによって、レンズユニットとベースとを固定する機能を有するものであることが分かる。

一方、発明の詳細な説明には、「レンズ固定部83は、板部81において、レンズ82が配置されている側と反対側の面に開口が形成された

第一筒孔部83b1

を有する。また、レンズ固定部83は、板部81に形成された第一筒孔部83b1と連通して板部81を貫通する

第二筒孔部83b2を形成する円筒部83a

を有する。」(【0023】)と記載されているけれども、これは、「固定部材87は、例えば、ねじである。固定部材87は、図6に示すように

第一固定部87a

と、

第二固定部87b

と、

第三固定部87c

とを一体に有している。」(【0032】)のように、ねじである固定部材87に合わせた形状としたレンズ固定部83の形状の実施例として記載されているものである。

そして、「レンズユニット80及び発光基板70が固定部材87によりヒートシンク50に取り付けられると、固定部材87の第一固定部87aがベース固定孔52aに螺合する。

固定部材87の第一固定部87aをベース固定孔52aに螺合させることで、発光基板70とレンズユニット80とをヒートシンク50に簡単に取り付けることができる

。このとき、発光基板70は、第二固定部87bの端面87b1によってベース52側に押圧されている。また、

このときレンズユニット80は、突設部84及び脚部85が基板部72に当接しているが、レンズ固定部83は基板部72に当接しない

。」(【0033】)と記載されているから、発明の詳細な説明の記載に接した当業者であれば、本件発明1の「レンズ固定部」は、ねじである固定部材87に合わせた第一筒孔部83b1及び第二筒孔部83b2を有する形状に限定されるものではなく、その開口に固定部材を挿通することによって、基板部と当接しないようにレンズユニットとベースとを固定する機能を有するものであればよいものであって、その形状は、固定部材の形状に合わせて定めればよいことが理解できる。

したがって、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載された発明といえる。

イ 申立理由3-2について

請求項1には、「前記板部から前記基板部へ突出するように設けられた突設部と、前記基板部の外周縁を囲むように形成された脚部」、及び「前記基板部は、前記レンズユニットが前記ベースに固定された状態において、前記突設部および前記脚部と当接しており」と記載されているから、板部から基板部へ突出している「突設部」と「脚部」が「基板部」と当接していることが特定されている。

また、請求項1は、「前記基板部は、前記レンズユニットが前記ベースに固定された状態において、」「前記基板部と前記レンズ固定部とが当接していない」と記載されているから、「レンズ固定部」が板部から基板部へ突出しているとしても、その突出長さは、「突設部」と「脚部」の突出長さよりも短いことが分かる。

一方、発明の詳細な説明には、上記アに示した【0023】及び【0032】の記載があるけれども、これは、ねじである固定部材87に合わせた形状としたレンズ固定部83の形状の実施例として記載されているものであって、発明の詳細な説明の記載に接した当業者であれば、「突設部」と「脚部」が「基板部」と当接し、「レンズ固定部」が「基板部」と当接していないものであればよく、それぞれの形状や大きさは、固定部材の形状や大きさ等に合わせて定めればよいことが理解できる。

したがって、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載された発明といえる。

ウ 申立理由3-3について

請求項1には、「前記板部から前記基板部へ突出するように設けられた突設部と、前記基板部の外周縁を囲むように形成された脚部」、及び「前記基板部は、前記レンズユニットが前記ベースに固定された状態において、前記突設部および前記脚部と当接しており」と記載されているから、板部から基板部へ突出している「突設部」と「脚部」が基板部と当接していることが特定されている。

そして、本件発明1の「突設部」と「脚部」における基板部と当接する端部の形状は特定されていないから、「突設部」と「脚部」の端部は、基板部と当接するものであればよく、その形状を問わないことが分かる。

一方、発明の詳細な説明には、「突設部」と「脚部」における基板部と当接する端部の形状を特定する記載はないから、その端部は、適宜の形状であればよいことが理解できる。

したがって、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載された発明といえる。

エ 申立理由3-4について

請求項1には、「前記基板部は、前記レンズユニットが前記ベースに固定された状態において、前記突設部および前記脚部と当接しており、前記基板部と前記レンズ固定部とが当接していない」とあるから、「前記基板部と前記レンズ固定部とが当接していない」ことによって、基板部とレンズ固定部とが当接している場合に比して、基板部の撓みを抑制することができるものであり、これによって光ムラの発生という課題を解決している。

そして、レンズ固定部及び突設部の位置関係によっては、レンズ固定部によってレンズユニットがベースに固定された際に、発光部が配置された基板部が突設部によって強く押されることがあるとしても、基板部とレンズ固定部とが当接している場合に比して、基板部の撓みを抑制することができるといえる。

したがって、本件発明1は、発明の課題を解決するための手段が反映されているといえる。

オ 申立理由3のまとめ

以上のとおり、本件発明1及び2は、発明の詳細な説明に記載したものであり、特許法第36条第6項第1号に規定する要件に適合するから、申立理由3によっては、本件特許の請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。

(3)申立理由1(進歩性)について

ア 甲14について

(ア)甲14に記載された事項

甲14には、以下の事項が記載されている。

「【0008】

【図1】実施形態における照明器具の分解斜視図である。

【図2】実施形態におけるグローブ、及びアダプタを省略した照明器具の下面図である。

【図3】実施形態における回路基板の下面図である。

【図4】実施形態における電源カバーが取り付けられた回路基板の下面図である。

【図5】実施形態における照明器具の図2のA-A断面図である。

【図6】実施形態における照明器具の図2のB-B断面図である。」

「【0010】

(実施形態)

本実施形態の照明器具1の分解斜視図を図1、下面図を図2に示す。

本実施形態の照明器具1は、発光ダイオード51を光源とし天井9に取り付けられる照明器具であり、器具本体2、回路基板3、光源部5、電源回路部4、電源カバー6、光源カバー7、及びグローブ16を主構成とする。

以下に、本実施形態の照明器具1の構成について、詳細に説明する。なお、本実施形態では、照明器具1に対して天井9側を上方向、床側を下方向として説明する。」

「【0014】

器具本体2の下面には、光源部5及び電源回路部4が設けられた回路基板3が取り付けられている。

図3に示すように、回路基板3は、角が円弧状に湾曲した略矩形板状に形成されており、略中央部には保護カバー15を通す略円形の貫通孔31が設けられている。具体的には、回路基板3の外側端面32は、4つの平坦面321と4つの円弧面322とが交互に隣り合うことで構成されている。また、回路基板3の下面の領域は、外側領域33と内側領域34と中間領域35とで構成されている。図3において、外側領域33、内側領域34、及び中間領域35それぞれの境界を二点鎖線で示す。外側領域33は、回路基板3における周辺部の領域である。なお、本実施形態における「回路基板3における周辺部の領域」とは、回路基板3における縁側の領域であり、本実施形態では回路基板3の外側端面32に沿って設けられた略矩形の環状の領域である。内側領域34は、外側領域33よりも内側において貫通孔31の縁に沿って設けられた円環状の領域である。中間領域35は、外側領域33と内側領域34との間の領域である。」

「【0016】

外側領域33には、光源部5が設けられている。光源部5は、一群の発光ダイオード51、及び一群の発光ダイオード51それぞれを電気的に接続する導体を備えて構成されている。発光ダイオード51は、例えば発光色が白色であり、表面実装型の発光ダイオードである。なお、発光ダイオード51の発光色は、白色に限定する趣旨ではなく、例えば電球色などであってもよい。また、光源部5の導体は、プリント基板である回路基板3の導体の一部で構成されている。

光源部5を構成する一群の発光ダイオード51は、外側領域33において、回路基板3の周方向(回路基板3の外側端面32に沿った方向)に並べて環状に配置されている。

本実施形態では、一群の発光ダイオード51は、二重の環状となるように配置されている。」

「【0026】

光源カバー7は、略中央部に電源カバー6を通す貫通孔71が設けられた円盤状に形成されている。

光源カバー7は、底壁から上に向かって突出して形成された4つのスペーサ72によって光源カバー7の底壁の上面と回路基板3との間隔が確保され、発光ダイオード51と接触しないように光源部5を下側から覆うように設けられる(図2,6参照)。

また、光源カバー7は、貫通孔71の縁から突出しケース43を覆う受光カバー部73が一体に設けられている。受光カバー部73は、リモートコントローラの赤外線信号を透過させる材質で構成されており、受光部42は、受光カバー部73を介してリモートコントローラからの赤外線信号を受光することができる。」

「【0029】

電源カバー6の位置決めは、フランジ61に設けられた凸部64と、回路基板3に設けられた位置決め孔37とでなされる(図5参照)。フランジ61には、上に向かって突出した半球状の4つの凸部64が設けられている。

また、回路基板3には、内側領域34と外側領域33との間の中間領域35に、円状に貫通した4つの位置決め孔37が設けられている。そして、電源カバー6のフランジ61に設けられた4つの凸部64それぞれが、回路基板3の位置決め孔37に嵌め込まれることで、電源カバー6と回路基板3との位置決めがなされる。

【0030】

光源カバー7の位置決めは、スペーサ72に設けられた凸部74と、回路基板3に設けられた位置決め孔38とでなされる(図6参照)。光源カバー7が備える4つのスペーサ72のうち2つには、先端(上端)から上に向かって突出して形成された凸部74が設けられている。

また、回路基板3には、外側領域33に、円状に貫通した2つの位置決め孔38が設けられている。

また、器具本体2には、回路基板3の位置決め孔38それぞれと対向する位置に凹部23が設けられている。

そして、光源カバー7のスペーサ72に設けられた凸部74それぞれが、回路基板3の位置決め孔38に嵌め込まれることで、光源カバー7と回路基板3との位置決めがなされる。

【0031】

また、

光源カバー7は、電源カバー6のフランジ61と対向するフランジ75を有している。そして、光源カバー7のフランジ75、電源カバー6のフランジ61、回路基板3の中間領域35、及び器具本体2には、それぞれ、挿通孔76、挿通孔65、挿通孔39、及びねじ孔24(図5参照)が4つずつ設けられている。そして、ビス8が、挿通孔76、挿通孔65、及び挿通孔39に挿通し、ねじ孔24に結合することで、回路基板3と電源カバー6と光源カバー7とが器具本体2に固定される。

具体的には、ビス8は、いわゆる半ねじであり、頭部81とフランジ82と軸部83と結合部84とで構成されている。フランジ82は、頭部81の上端に設けられている。軸部83は、頭部81の上面から突出した円柱である。結合部84は、軸部83の上端から突出した円柱であり、周面にねじ溝が設けられている。また、結合部84の径は、軸部83の径よりも小さい。そして、ビス8が挿通孔76、挿通孔65、及び挿通孔39を通してねじ孔24に結合される。

これにより、ビス8の軸部83の上端と器具本体2とで、電源カバー6及び回路基板3が挟み込まれ、回路基板3及び電源カバー6が器具本体2に固定される。さらに、ビス8のフランジ82と器具本体2とで、回路基板3及び光源カバー7が挟み込まれ、光源カバー7が器具本体2に固定される。

ビス8の軸部83の上端が電源カバー6に接触し、結合部84が器具本体2に接触することで、金属製のビス8を介して電源カバー6と器具本体2とが電気的に接続される。また、フランジ82の上面には、セレートが設けられており、フランジ82が光源カバー7に接触することで、ビス8の緩み止めがなされる。」

図1「

102

52

0001434112000003.jpg

図2「

72

68

0001434112000004.jpg

図5「

36

92

0001434112000005.jpg

図6「

41

49

0001434112000006.jpg

(イ)甲14の記載等から認められる事項

甲14の記載等から、以下の事項が認定できる。

a 「本実施形態の照明器具1は、発光ダイオード51を光源とし天井9に取り付けられる照明器具であり、器具本体2、回路基板3、光源部5、電源回路部4、電源カバー6、光源カバー7、及びグローブ16を主構成とする。」(段落【0010】)との記載、及び、図1から、照明器具1は、発光ダイオード51と、回路基板3と、器具本体2と、光源カバー7を備えるものであると認められる。

b 「光源部5を構成する一群の発光ダイオード51は、外側領域33において、回路基板3の周方向(回路基板3の外側端面32に沿った方向)に並べて環状に配置されている。」(段落【0016】)との記載、及び、図1から、光源部5を構成する発光ダイオード51は、回路基板3の下面側に配置されているものであると認められる。

c 「器具本体2の下面には、光源部5及び電源回路部4が設けられた回路基板3が取り付けられている。」(段落【0014】)との記載、及び、図1から、器具本体2は、回路基板3の上面側に配置されているものであると認められる。

d 「光源カバー7は、底壁から上に向かって突出して形成された4つのスペーサ72によって光源カバー7の底壁の上面と回路基板3との間隔が確保され、発光ダイオード51と接触しないように光源部5を下側から覆うように設けられる(図2,6参照)。」(段落【0014】)、「そして、光源カバー7のスペーサ72に設けられた凸部74それぞれが、回路基板3の位置決め孔38に嵌め込まれることで、光源カバー7と回路基板3との位置決めがなされる。」(段落【0030】)との記載、及び、図2、図6から、光源カバー7は、底壁と、底壁から上に向かって突出して形成され、その先端に凸部74を有するスペーサ72を有するものであると認められる。

e 「また、回路基板3には、内側領域34と外側領域33との間の中間領域35に、円状に貫通した4つの位置決め孔37が設けられている。そして、電源カバー6のフランジ61に設けられた4つの凸部64それぞれが、回路基板3の位置決め孔37に嵌め込まれることで、電源カバー6と回路基板3との位置決めがなされる。」(段落【0029】)との記載によれば、電源カバー6のフランジ61は、回路基板3の中間領域35に位置するといえるから、「光源カバー7は、電源カバー6のフランジ61と対向するフランジ75を有している。」(段落【0026】)との記載、及び、図1、図2、図5から、光源カバー7は、回路基板3の中間領域35に位置する電源カバー6のフランジ61と対向するフランジ75を有するものであると認められる。

f 図5から、フランジ75の両端において、上に向かって突出して形成された膨出部が、回路基板3と当接していることが看取できる。さらに、図5が「実施形態における照明器具の図2のA-A断面図である。」(段落【0008】)であることを勘案すると、当該膨出部は、フランジ75の周囲を囲むように形成されたものであると認められる。

g 「また、回路基板3には、外側領域33に、円状に貫通した2つの位置決め孔38が設けられている。」「そして、光源カバー7のスペーサ72に設けられた凸部74それぞれが、回路基板3の位置決め孔38に嵌め込まれることで、光源カバー7と回路基板3との位置決めがなされる。」(段落【0030】)との記載、及び、図1、図2、図6から、スペーサ72に設けられた凸部74それぞれが、回路基板3の外側領域33に設けられた位置決め孔38に嵌め込まれることで、光源カバー7と回路基板3との位置決めがなされるものであると認められる。

h 「光源カバー7は、底壁から上に向かって突出して形成された4つのスペーサ72によって光源カバー7の底壁の上面と回路基板3との間隔が確保され、発光ダイオード51と接触しないように光源部5を下側から覆うように設けられる(図2,6参照)。」(段落【0030】)との記載、及び、図1、図2から、光源カバー7は、光源部5を下側から覆うように設けられるものであると認められる。

i 「そして、光源カバー7のフランジ75、電源カバー6のフランジ61、回路基板3の中間領域35、及び器具本体2には、それぞれ、挿通孔76、挿通孔65、挿通孔39、及びねじ孔24(図5参照)が4つずつ設けられている。そして、ビス8が、挿通孔76、挿通孔65、及び挿通孔39に挿通し、ねじ孔24に結合することで、回路基板3と電源カバー6と光源カバー7とが器具本体2に固定される。」「これにより、ビス8の軸部83の上端と器具本体2とで、電源カバー6及び回路基板3が挟み込まれ、回路基板3及び電源カバー6が器具本体2に固定される。さらに、ビス8のフランジ82と器具本体2とで、回路基板3及び光源カバー7が挟み込まれ、光源カバー7が器具本体2に固定される。」(段落【0031】)との記載、及び、図5から、ビス8は、光源カバー7のフランジ75の挿通孔76、電源カバー6のフランジ61の挿通孔65、回路基板3の挿通孔39に挿通し、器具本体2のねじ孔24に結合することで、ビス8の軸部83の上端と器具本体2とで電源カバー6及び回路基板3が挟み込まれて回路基板3及び電源カバー6が器具本体2に固定され、ビス8のフランジ82と器具本体2とで回路基板3及び光源カバー7が挟み込まれて光源カバー7が器具本体2に固定されるものであると認められる。

j 図5から、光源カバー7のフランジ75と回路基板3とが当接していないことが看取できるから、上記g及びiを踏まえると、光源カバー7が器具本体2に固定された状態において、スペーサ72に設けられた凸部74それぞれが、回路基板3の外側領域33に設けられた回路基板3の位置決め孔38に嵌め込まれており、光源カバー7のフランジ75と回路基板3は当接していないものであると認められる。

(ウ)甲14に記載された発明

上記(ア)及び(イ)を総合すると、甲14には次の発明(以下「甲14発明」という。)が記載されていると認められる。

「光源部5を構成する発光ダイオード51と、

下面側に発光ダイオード51が配置された回路基板3と、

回路基板3の上面側に配置された器具本体2と、

底壁と、底壁から上に向かって突出して形成され、その先端に凸部74を有するスペーサ72と、回路基板3の中間領域35に位置する電源カバー6のフランジ61と対向するフランジ75と、フランジ75の周囲を囲むように上に向かって突出して形成され、回路基板3と当接する膨出部と、を有し、スペーサ72に設けられた凸部74それぞれが、回路基板3の外側領域33に設けられた回路基板3の位置決め孔38に嵌め込まれることで、光源カバー7と回路基板3との位置決めがなされ、光源部5を下側から覆うように設けられる光源カバー7と、

光源カバー7のフランジ75の挿通孔76、電源カバー6のフランジ61の挿通孔65、回路基板3の挿通孔39に挿通し、器具本体2のねじ孔24に結合することで、ビス8の軸部83の上端と器具本体2とで電源カバー6及び回路基板3が挟み込まれて回路基板3及び電源カバー6を器具本体2に固定し、ビス8のフランジ82と器具本体2とで回路基板3及び光源カバー7が挟み込まれて光源カバー7を器具本体2に固定するビス8と、

を備え、

光源カバー7が器具本体2に固定された状態において、スペーサ72に設けられた凸部74それぞれが、回路基板3の外側領域33に設けられた回路基板3の位置決め孔38に嵌め込まれており、光源カバー7のフランジ75と回路基板3は当接していない、

照明器具1。」

イ 本件発明1について

(ア)対比

本件発明1と甲14発明とを対比する。

a 発光部について

後者の「光源部5」及び「発光ダイオード51」は、前者の「発光部」に相当する。

b 基板部について

後者の「回路基板3」は、前者の「基板部」に相当するから、後者の「下面側に発光ダイオード51が配置された」態様は、前者の「一方側に前記発光部が配置された」態様に相当する。

c 器具本体について

後者の「器具本体2」は、前者の「ベース」に相当するから、後者の「回路基板3の上面側に配置された」態様は、前者の「前記基板部の他方側に配置された」態様に相当する。

d レンズユニットについて

(a)後者の「底壁」と「フランジ75」は、図5及び図6から板状であることが明らかであるから、前者の「板部」に相当する。

(b)後者の「スペーサ72」が「底壁から上に向かって突出して形成され」ている態様は、前者の「突設部」が「前記板部から前記基板部へ突出するように設けられた」態様に相当するから、後者の「スペーサ72」は、前者の「突設部」に相当するといえる。

(c)後者の「フランジ75」は、「回路基板3の中間領域35に位置する電源カバー6のフランジ61と対向する」ものであるから、「膨出部」が「フランジ75の周囲を囲むように上に向かって突出して形成され」ていることは、「膨出部」が回路基板3の中間領域35の周囲を囲むように形成されているといえる。

そうすると、後者の「膨出部」が「フランジ75の周囲を囲むように上に向かって突出して形成され」ている態様と、前者の「脚部」が「前記基板部の外周縁を囲むように形成され」ている態様とは、「前記基板部を囲むように形成され」ている態様の点で共通する。

以上の限りにおいて、後者の「膨出部」は、前者の「脚部」に相当するといえる。

(d)後者の「フランジ75」は「回路基板3の中間領域35に位置する電源カバー6のフランジ61と対向する」ものであるから回路基板3の中間領域35に位置し、「スペーサ72」は「スペーサ72に設けられた凸部74それぞれが、回路基板3の外側領域33に設けられた回路基板3の位置決め孔38に嵌め込まれる」ものであるから回路基板3の外側領域33に位置するのだから、「フランジ75」と「スペーサ72」は、光源部5から見た平面視で離れた位置にある。

そして、後者の「フランジ75の挿通孔76」は、前者の「前記板部に」「形成された」「開口」に相当する。

そうすると、後者の「挿通孔76」が「回路基板3の中間領域35に位置する電源カバー6のフランジ61と対向するフランジ75」に設けられた態様は、前者の「前記発光部から見た平面視で前記突設部と離れた位置に配設され前記板部に開口が形成された」態様に相当する。

(e)後者の「光源部5を下側から覆うように設けられる光源カバー7」と、前者の「前記基板部を覆うレンズユニット」とは、「前記基板部を覆う光源カバーユニット」の点で共通する。

(f)上記(a)~(e)を踏まえると、後者の「光源カバー7」と、前者の「レンズユニット」とは、「光源カバーユニット」の点で共通するといえる。

そして、上記(d)を踏まえると、後者の「挿通孔76」と、前者の「レンズ固定部」とは、「光源カバーユニット固定部」の点で共通するといえる。

e 固定部材について

後者の「ビス8」は、「ビス8のフランジ82と器具本体2とで回路基板3及び光源カバー7が挟み込まれて光源カバー7を器具本体2に固定する」ものであるから、ビス8のフランジ82は、光源カバー7と当接しているものである。

そうすると、後者の「ビス8のフランジ82」は、前者の「固定部」に相当するといえる。

してみると、後者の「ビス8」が「光源カバー7のフランジ75の挿通孔76、電源カバー6のフランジ61の挿通孔65、回路基板3の挿通孔39に挿通し、器具本体2のねじ孔24に結合することで、ビス8の軸部83の上端と器具本体2とで電源カバー6及び回路基板3が挟み込まれて回路基板3及び電源カバー6を器具本体2に固定し、ビス8のフランジ82と器具本体2とで回路基板3及び光源カバー7が挟み込まれて光源カバー7を器具本体2に固定する」態様と、前者の「固定部材」が「前記レンズ固定部の前記開口に挿通し、一部が前記基板部と当接し、他部が前記板部の底面と当接する固定部を有し、前記レンズユニットと前記ベースとを固定する」態様とは、「前記光源カバーユニット固定部の前記開口に挿通し、他部が前記板部の底面と当接する固定部を有し、前記光源カバーユニットと前記ベースとを固定する」態様の点で共通する。

以上の限りおいて、後者の「ビス8」は、前者の「固定部材」に相当するといえる。

f 当接状態について

(a)後者の「光源カバー7が器具本体2に固定された状態」と、前者の「前記レンズユニットが前記ベースに固定された状態」とは、「前記光源カバーユニットが前記ベースに固定された状態」の点で共通する。

(b)後者の「スペーサ72に設けられた凸部74それぞれが、回路基板3の外側領域33に設けられた回路基板3の位置決め孔38に嵌め込まれて」いる態様は、前者の「前記突設部」が「前記基板部」「と当接して」いる態様に相当する。

(c)後者の「膨出部」が「回路基板3と当接する」態様は、前者の「前記脚部」が「前記基板部」「と当接して」いる態様に相当する。

(d)後者の「フランジ75」は、「光源カバー7のフランジ75と回路基板3は当接していない」ものであるから、「フランジ75」に設けられた「挿通孔76」もまた回路基板3と当接していないものである。

そうすると、後者の「光源カバー7のフランジ75と回路基板3は当接していない」態様は、前者の「前記レンズ固定部」が「前記基板部」と「当接していない」態様に相当する。

(e)上記(a)~(d)を踏まえると、後者の「光源カバー7が器具本体2に固定された状態において、スペーサ72に設けられた凸部74それぞれが、回路基板3の外側領域33に設けられた回路基板3の位置決め孔38に嵌め込まれており、光源カバー7のフランジ75と回路基板3は当接していない」態様と、前者の「前記基板部は、前記レンズユニットが前記ベースに固定された状態において、前記突設部および前記脚部と当接しており、前記基板部と前記レンズ固定部とが当接していない」態様とは、「前記基板部は、前記光源カバーユニットが前記ベースに固定された状態において、前記突設部および前記脚部と当接しており、前記基板部と前記レンズ固定部とが当接していない」態様の点で共通する。

g 照明器具について

以上の限りにおいて、後者の「照明器具1」は、前者の「照明器具」に相当する。

h 以上を総合すると、本件発明1と甲14発明は、次の点で一致する。

「発光部と;

一方側に前記発光部が配置された基板部と;

前記基板部の他方側に配置されたベースと;

板部と、前記板部から前記基板部へ突出するように設けられた突設部と、前記基板部を囲むように形成された脚部と、前記発光部から見た平面視で前記突設部と離れた位置に配設され前記板部に開口が形成された光源カバーユニット固定部と、を有し、前記基板部を覆う光源カバーユニットと;

前記光源カバーユニット固定部の前記開口に挿通し、他部が前記板部の底面と当接する固定部を有し、前記光源カバーユニットと前記ベースとを固定する固定部材と;

を備え、

前記基板部は、前記光源カバーユニットが前記ベースに固定された状態において、前記突設部および前記脚部と当接しており、前記基板部と前記光源カバーユニット固定部とが当接していない照明器具。」

i また、両者の相違点は、次のとおりである。

〔相違点A〕

本件発明1は、「前記発光部と対向するとともに前記基板部上の電線の上に配置されず前記板部から突出するように設けられたレンズ」を有するがゆえに、「レンズ固定部」を有する「レンズユニット」であるのに対して、甲14発明は、そのように特定されていない点。

〔相違点B〕

本件発明1は、「脚部」が、前記基板部「の外周縁」を囲むように形成されたものであるのに対して、甲14発明は、「膨出部」が「フランジ75の周囲を囲むように上に向かって突出して形成され」ている、すなわち回路基板3の中間領域35の周囲を囲むように形成されている点。

〔相違点C〕

本件発明1は、「固定部材」の「一部が前記基板部と当接し」ているのに対して、甲14発明は、そのように特定されていない点。

(イ)判断

事案に鑑み、相違点Bから検討する。

a 相違点Bについて

甲14発明の「膨出部」は、「フランジ75の周囲を囲むように上に向かって突出して形成され、回路基板3と当接する」ことで、「光源カバー7のフランジ75と回路基板3は当接していない」ように「フランジ75」を支持していることが明らかである。

そうすると、甲14発明の「膨出部」の配置を、回路基板3の外周縁、すなわち回路基板3の外側領域33を囲むような位置に変更すると、「光源カバー7のフランジ75と回路基板3は当接していない」ように「フランジ75」を支持することができなくなるから、「膨出部」の配置を変更することの阻害事由がある。

また、甲14発明の「膨出部」の配置を変えずに、回路基板3の外側領域33を囲むような脚部を新たに追加することについて検討すると、甲14発明の「光源カバー7」は、「底壁から上に向かって突出して形成された4つのスペーサ72によって

光源カバー7の底壁の上面と回路基板3との間隔が確保

され、発光ダイオード51と接触しないように光源部5を下側から覆うように設けられる(図2,6参照)。」(段落【0026】)ものであり、「また、

回路基板3には、外側領域33に

、円状に貫通した2つの

位置決め孔38

が設けられている。また、器具本体2には、回路基板3の位置決め孔38それぞれと対向する位置に凹部23が設けられている。そして、

光源カバー7のスペーサ72に設けられた凸部74それぞれが、回路基板3の位置決め孔38に嵌め込まれる

ことで、光源カバー7と回路基板3との位置決めがなされる。」(段落【0030】)ものであるから、回路基板3の外側領域33に対する支持は「スペーサ72」によってなされており、回路基板3の外側領域33を囲むような脚部を新たに追加することを要しないもので、追加する動機付けがない。

したがって、甲14発明は、「膨出部」の配置を変更することの阻害事由があるし、少なくとも、回路基板3の外側領域33を囲むような脚部を新たに追加する動機付けがないから、仮に「前記基板部の外周縁を囲むように形成された脚部」が周知技術であるとしても、甲14発明において、相違点Bに係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たものといえない。

b 相違点Cについて

「当接」とは、「当」が「あたる。向かい合う。向き合う。」を意味し、「接」が「つぐ。つづける。つらなる。つく。ふれる」を意味する(いずれも新漢語林第二版。)から、「向かい合ってふれる」ことが、一般的な字義である。

そして本件発明1の「固定部材」は、「一部が前記基板部と当接し、他部が前記板部の底面と当接する固定部を有し、前記レンズユニットと前記ベースとを固定する」ものであるから、上記「当接」の字義どおり、固定部材の一部が基板部と向かい合ってふれ、固定部材の他部にある固定部が板部の底面と向かい合ってふれることを特定していると解される。

一方、甲14発明の「ビス8」は、「光源カバー7のフランジ75の挿通孔76、電源カバー6のフランジ61の挿通孔65、回路基板3の挿通孔39に挿通し、器具本体2のねじ孔24に結合することで、ビス8の軸部83の上端と器具本体2とで電源カバー6及び回路基板3が挟み込まれて回路基板3及び電源カバー6を器具本体2に固定し、ビス8のフランジ82と器具本体2とで回路基板3及び光源カバー7が挟み込まれて光源カバー7を器具本体2に固定する」ものであるから、「ビス8」と「回路基板3」が向かい合ってふれるものではないし、「ビス8の軸部83の上端が電源カバー6に接触し、結合部84が器具本体2に接触することで、金属製のビス8を介して電源カバー6と器具本体2とが電気的に接続される。」(【0031】)ものであるから、電源カバー6を廃し、「ビス8」と「回路基板3」が向かい合ってふれるようにすることの阻害事由があるし、少なくともそのように変更することの動機付けがない。

したがって、甲14発明は、「ビス8」と「回路基板3」が向かい合ってふれるようにすることの阻害事由があるし、少なくとも、そのように変更することの動機付けがないから、仮に「固定部材の一部が基板部と当接している」ことが周知技術であるとしても、甲14発明において、相違点Cに係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たものといえない。

(ウ)申立人の主張について

相違点B及びCに関し、申立人は、申立書及び意見書において、概略、以下のような主張をしている。

主張1:相違点Bについて(申立書59ページ)

甲14の光源カバー7は、回路基板3の外周縁を囲むように形成された脚部を有する(図1参照)。

主張2:相違点Cについて(意見書8ページ)

甲14は、軸部83が回路基板3と当接している。

主張1について検討する。

甲14の図1からは、光源カバー7が、回路基板3の外周縁を囲むように形成された脚部を有することを看取することはできないし、上記(イ)aで説示したとおり、回路基板3の外側領域33に対する支持は「スペーサ72」によってなされており、回路基板3の外側領域33を囲むような脚部の存在は、示唆もされていない。

したがって、申立人の主張1を採用することはできない。

主張2について検討する。

甲14発明の軸部83が回路基板3と当接していることは、甲14に記載も示唆もないし、むしろ、図5からは、軸部83が回路基板3とが離間していることが看取できる。

また、上記(イ)bで説示したとおり、本件発明1は、固定部材の一部が基板部と向かい合ってふれ、固定部材の他部にある固定部が板部の底面と向かい合ってふれることで、レンズユニットとベースとを固定するものであるところ、甲14発明は、「ビス8」と「回路基板3」が向かい合ってふれるものではない。

したがって、申立人の主張2を採用することはできない。

(エ)小括

以上のとおりであるから、相違点Aについて検討するまでもなく、本件発明1は、甲14発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

イ 本件発明2について

本件発明2は、本件発明1の構成を全て含み、さらに限定したものであるから、上記アと同様の理由により、甲14発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

ウ まとめ

以上のとおり、本件発明1及び2は、甲14発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、特許法第29条第2項に該当するものではなく、請求項1及び2に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものということはできない。

したがって、申立理由1によっては、本件特許の請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。

第7 むすび

以上のとおりであるから、取消理由通知書に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。

そして、他に本件特許の請求項1及び2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。

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