結論テキスト
特許第7595327号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、3、5~12〕、2、4、13、14、15について訂正することを認める。
特許第7595327号の請求項1~16に係る特許を維持する。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2025700583 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
特許第7595327号の請求項1~16に係る特許についての出願は、令和5年3月2日に出願され、令和6年11月28日にその特許権の設定登録がされ、同年12月6日に特許掲載公報が発行された。
その後、令和7年6月3日に特許異議申立人 馬場 真理乃(以下、「申立人」という。)より請求項1~16に対して特許異議の申立てがされ、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和7年 8月14日 取消理由通知書(起案日)
令和7年 9月30日 訂正請求書・意見書の提出(特許権者)
令和7年10月 9日 手続補正書(方式)の提出(特許権者)
令和7年11月 4日 通知書(特許法第120条の5の通知)
令和7年11月28日 意見書の提出(申立人)
特許第7595327号の特許請求の範囲を、令和7年9月30日に提出された本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~15について訂正することを求める。
なお、以下、本訂正請求書でする訂正を「本件訂正」という。
(1)一群の請求項1~13について
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「求職者、または求人企業が求めている人物像のいずれか一方を含み他方を含まない対象人材に関して記述されたテキスト情報を取得する手段」と記載されているのを、「求人企業が求めている人物像である対象人材に関して記述されたテキスト情報を取得する手段」に訂正する。
イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に「前記テキスト情報を取得する手段は、前記対象人材の履歴書ファイルもしくは職務経歴書ファイル、または人材マッチングプラットフォーム上で入力された前記対象人材の求職者情報の少なくとも一方を取得する、請求項1に記載のプログラム。」と記載されているのを、「コンピュータを、求職者である対象人材に関して記述されたテキスト情報として、前記対象人材の履歴書ファイルもしくは職務経歴書ファイル、または人材マッチングプラットフォーム上で入力された前記対象人材の求職者情報の少なくとも一方を取得する手段、前記テキスト情報から第1特徴量を抽出する手段、前記第1特徴量に収入予測モデルを適用することで、前記対象人材の収入ベンチマークを予測する手段、前記対象人材の収入ベンチマークの予測結果を出力する手段、として機能させ、前記収入予測モデルは、学習済みモデルである、プログラム」に訂正する。
請求項2の記載を引用する請求項3及び9~12も同様に訂正する。
ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項4に「前記対象人材の収入ベンチマークは、前記求人企業が求めている人物像に合致する人物の収入の相場、または当該求人企業が採用を行う場合に採用される求職者に提示すべき収入であり、前記テキスト情報を取得する手段は、人材マッチングプラットフォーム上で入力された前記求人企業が求める人物像に関する求人情報を取得する、請求項1に記載のプログラム。」と記載されているのを、「コンピュータを、求職者、または求人企業が求めている人物像のいずれか一方を含み他方を含まない対象人材に関して記述されたテキスト情報を取得する手段、前記テキスト情報から第1特徴量を抽出する手段、前記第1特徴量に収入予測モデルを適用することで、前記対象人材の収入ベンチマークを予測する手段、前記対象人材の収入ベンチマークの予測結果を出力する手段、として機能させ、前記収入予測モデルは、学習済みモデルであり、前記対象人材の収入ベンチマークは、前記求人企業が求めている人物像に合致する人物の収入の相場、または当該求人企業が採用を行う場合に採用される求職者に提示すべき収入であり、前記テキスト情報を取得する手段は、人材マッチングプラットフォーム上で入力された前記求人企業が求める人物像に関する求人情報を取得する、プログラム。」に訂正する。
請求項4の記載を引用する請求項5~8も同様に訂正する。
エ 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項13に「前記収入予測モデルは、学習データを用いた教師あり学習により構築され、前記学習データは、学習用の第1特徴量と、当該学習用の第1特徴量に対応する正解データとを含み、前記学習用の第1特徴量は、前記求職者と同一または異なる求職者が過去の求職活動において用いた求職者情報から抽出され、当該学習用の第1特徴量に対応する正解データは、当該過去の求職活動において求人側が提示した収入の値である、請求項1に記載のプログラム。」と記載されているのを、「コンピュータを、求職者、または求人企業が求めている人物像のいずれか一方を含み他方を含まない対象人材に関して記述されたテキスト情報を取得する手段、前記テキスト情報から第1特徴量を抽出する手段、前記第1特徴量に収入予測モデルを適用することで、前記対象人材の収入ベンチマークを予測する手段、前記対象人材の収入ベンチマークの予測結果を出力する手段、として機能させ、前記収入予測モデルは、学習済みモデルであり、前記収入予測モデルは、学習データを用いた教師あり学習により構築され、前記学習データは、学習用の第1特徴量と、当該学習用の第1特徴量に対応する正解データとを含み、前記学習用の第1特徴量は、前記求職者と同一または異なる求職者が過去の求職活動において用いた求職者情報から抽出され、当該学習用の第1特徴量に対応する正解データは、当該過去の求職活動において求人側が提示した収入の値である、プログラム。」に訂正する。
オ 別の訂正単位とする求め
訂正後の請求項2、4及び13のそれぞれについては、これら請求項の訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求める。
(2)請求項14について
ア 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項14に「求職者、または求人企業が求めている人物像のいずれか一方を含み他方を含まない対象人材に関して記述されたテキスト情報を取得するステップと、」と記載されているのを、「求職者である対象人材に関して記述されたテキスト情報として、前記対象人材の履歴書ファイルもしくは職務経歴書ファイル、または人材マッチングプラットフォーム上で入力された前記対象人材の求職者情報の少なくとも一方を取得するステップと、」に訂正する。
(3)請求項15について
ア 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項15に「求職者、または求人企業が求めている人物像のいずれか一方を含み他方を含まない対象人材に関して記述されたテキスト情報を取得する手段と、 前記テキスト情報から第1特徴量を抽出する手段と、 前記第1特徴量に収入予測モデルを適用することで、前記対象人材の収入ベンチマークを予測する手段と、前記対象人材の収入ベンチマークの予測結果を出力する手段とを具備し、前記収入予測モデルは、学習済みモデルである、情報処理装置。」と記載されているのを、「第1情報処理装置としての情報処理装置であって、求職者、または求人企業が求めている人物像のいずれか一方を含み他方を含まない対象人材に関して記述されたテキスト情報を第2情報処理装置から取得する手段と、前記テキスト情報から第1特徴量を抽出する手段と、前記第1特徴量に収入予測モデルを適用することで、前記対象人材の収入ベンチマークを予測する手段と、前記対象人材の収入ベンチマークの予測結果を前記第2情報処理装置へ出力する手段とを具備し、前記収入予測モデルは、学習済みモデルである、情報処理装置。」に訂正する。
3-1 一群の請求項1~13について
(1)一群の請求項についての説明
ア 一群の請求項1~13についての説明
訂正前の請求項1~13について、請求項2~13はそれぞれ請求項1を直接的に又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1~13に対応する訂正後の請求項1~13は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
(2)訂正事項1について
ア 訂正の目的について
訂正前の請求項1は、「求職者、または求人企業が求めている人物像のいずれか一方を含み他方を含まない対象人材に関して記述されたテキスト情報を取得する手段」を特定している。
そして、本件訂正により、訂正後の請求項1を、「求人企業が求めている人物像である対象人材に関して記述されたテキスト情報を取得する手段」とすることで、「対象人材」の選択肢である(i)「求職者」と(ii)「求人企業が求めている人物像」との2つのうち一方の選択肢の(ii)「求人企業が求めている人物像」を削除することから、「対象人材」の対象を減縮するものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ 事実上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項1は、上記アのとおり、訂正前の請求項1の「対象人材」の選択肢である(i)「求職者」と(ii)「求人企業が求めている人物像」との2つのうち一方の選択肢の(i)「求職者」を削除するものである。
したがって、訂正事項1は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項1は、訂正前の請求項1における「対象人材」の選択肢である(i)「求職者」と(ii)「求人企業が求めている人物像」との2つのうち一方の選択肢の(ii)「求人企業が求めている人物像」を削除するものであるから、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
したがって、訂正事項1は、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
エ 独立特許要件が課されないこと
本件においては、訂正前の全ての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正事項1に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(3)訂正事項2について
ア 訂正の目的について
訂正事項2は、訂正前の請求項2の記載が訂正前の請求項1の記載を引用する記載であったものを、本件訂正により、独立形式の請求項とし、さらに、「対象人材」の選択肢である(i)「求職者」と(ii)「求人企業が求めている人物像」との2つのうち一方の選択肢の(ii)「求人企業が求めている人物像」を削除することで、「対象人材」の対象を減縮するものである。
したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」、及び、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ 事実上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項2は、上記アのとおり、訂正前の請求項2の記載が訂正前の請求項1の記載を引用する記載であったものを、独立形式の請求項とし、さらに、「対象人材」の選択肢である(i)「求職者」と(ii)「求人企業が求めている人物像」との2つのうち一方の選択肢の(ii)「求人企業が求めている人物像」を削除するものである。
したがって、訂正事項2は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項2は、訂正前の請求項2の記載が訂正前の請求項1の記載を引用する記載であったものを、独立形式の請求項とし、さらに、「対象人材」の選択肢である(i)「求職者」と(ii)「求人企業が求めている人物像」との2つのうち一方の選択肢の(ii)「求人企業が求めている人物像」を削除するものであるから、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
したがって、訂正事項2は、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
エ 独立特許要件が課されないこと
本件においては、訂正前の全ての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正事項2に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(4)訂正事項3~4について
事案に鑑み、訂正事項3~4をまとめて検討する。
ア 訂正の目的について
訂正事項3~4は、それぞれ、訂正前の請求項4、13の記載が訂正前の請求項1の記載を引用する記載であったものを、本件訂正により、独立形式の請求項とする訂正である。
したがって、訂正事項3~4は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとする」ものである。
イ 事実上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項3~4は、それぞれ、訂正前の請求項4、13の記載が訂正前の請求項1の記載を引用する記載であったものを、独立形式の請求項とする訂正である。
したがって、訂正事項3~4は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項3~4は、それぞれ、訂正前の請求項4、13の記載が訂正前の請求項1の記載を引用する記載であったものを、独立形式の請求項とする訂正である。
したがって、訂正事項3~4は、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
エ 独立特許要件が課されないこと
特許法第120条の5第9項により読み替えて適用される同法126条第7項に規定する要件について、訂正事項3~4は、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものであるから、訂正事項3~4による訂正後の請求項4~8、13に係る発明については課されない。
3-2 請求項14について(訂正事項5について)
ア 訂正の目的について
訂正前の請求項14は、「求職者、または求人企業が求めている人物像のいずれか一方を含み他方を含まない対象人材に関して記述されたテキスト情報を取得するステップ」を特定している。
そして、本件訂正により、訂正後の請求項14を、「求職者である対象人材に関して記述されたテキスト情報として、前記対象人材の履歴書ファイルもしくは職務経歴書ファイル、または人材マッチングプラットフォーム上で入力された前記対象人材の求職者情報の少なくとも一方を取得するステップ」とすることで、「テキスト情報」を、選択肢の一方である「求人企業が求めている人物像」を含まないこととし、さらに、「テキスト情報」を「前記対象人材の履歴書ファイルもしくは職務経歴書ファイル、または人材マッチングプラットフォーム上で入力された前記対象人材の求職者情報の少なくとも一方」とすることから、「テキスト情報」を減縮するものである。
よって、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 事実上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項5は、上記アのとおり、訂正前の請求項14の「テキスト情報」を、選択肢の一方である「求人企業が求めている人物像」を含まないこととし、さらに、「テキスト情報」を「前記対象人材の履歴書ファイルもしくは職務経歴書ファイル、または人材マッチングプラットフォーム上で入力された前記対象人材の求職者情報の少なくとも一方」にするものである。
したがって、訂正事項5は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
明細書等の段落【0100】、【0159】等には、「求職者、または求人企業が求めている人物像のいずれか一方を含み他方を含まない対象人材に関して記述されたテキスト情報を取得する」ことが記載され、また、段落【0053】には、「図8に示すように、求職側端末10は、情報の取得(S110)を実行する。具体的には、求職側端末10は、求職者(「対象人材」の一例)であるユーザから求職者情報を取得する。求職者情報は、求職者に関して記述されたテキスト情報を含む。情報の取得(S110)の第1例として、求職側端末10は、作成済みの履歴書ファイルまたは職務経歴書ファイルをアップロードする指示をユーザから受け付ける。これら履歴書ファイルおよび職務経歴書ファイルは求職者情報の例である。」と記載されている。
したがって、訂正事項5は、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
エ 独立特許要件が課されないこと
本件においては、訂正前の全ての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正事項5に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
3-3 請求項15について(訂正事項6について)
ア 訂正の目的について
訂正事項6は、訂正前の請求項15の「情報処理装置」を、本件訂正により、「第1情報処理装置としての情報処理装置であって、」とするものであり、これに連動して、訂正前の請求項15の「テキスト情報を取得する」ことを、本件訂正により、「テキスト情報を第2情報処理装置から取得する」とし、さらに、訂正前の請求項15の「予測結果を出力する」を、本件訂正により、「予測結果を前記第2情報処理装置へ出力する」とするものであるから、「情報処理装置」を減縮するものである。
したがって、訂正事項6は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ 事実上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項6は、訂正前の請求項15の「情報処理装置」を、本件訂正により、「第1情報処理装置としての情報処理装置」とし、これに連動して、訂正前の請求項15の「テキスト情報を取得する」を、本件訂正により、「テキスト情報を第2情報処理装置から取得する」とし、訂正前の請求項15の「予測結果を出力する」を、本件訂正により、「予測結果を前記第2情報処理装置へ出力する」とするものであってカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項6に関して、明細書等には次の記載がある。なお、下線は、当審で付与した。
「【0012】
図1に示すように、
情報処理システム1は、求職側端末10と、サーバ30と、求人側端末50を備える
。求職側端末10及びサーバ30は、ネットワーク(例えば、インターネット又はイントラネット)NWを介して接続される。求人側端末50及びサーバ30は、ネットワークNWを介して接続される。
【0013】
求職側端末10は、サーバ30にリクエストを送信する情報処理装置の一例である。
求職側端末10は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、又は、パーソナルコンピュータである。求職側端末10のユーザは、転職活動または(再)就職活動を行っている者、またはこれらの活動に興味のある者である。
【0014】
サーバ30は、クライアント装置(図1の例では、求職側端末10または求人側端末50)から送信されたリクエストに応じたレスポンスを当該クライアント装置に提供する情報処理装置の一例である。
サーバ30は、例えば、サーバコンピュータである。サーバ30は、求職側端末10のユーザおよび求人側端末50のユーザが参加する人材マッチングプラットフォームを管理する。人材マッチングプラットフォームは、求職者と求人企業とを結びつける場に相当する。本明細書において、求職者とは、求職の意思のある者を含み、少なくとも人材プラットフォーム上に求職者情報を登録、または登録の準備(例えば、履歴書ファイルもしくは職務経歴書ファイルのアップロード、または求職者情報の入力)をする者を含む。同様に、求人企業とは、求人の意思のある法人または個人を含み、少なくとも人材プラットフォーム上に求人情報を登録、または登録の準備をする者を含む。」
「【0043】
図5に示すように、
ユーザUS1は、求職側端末10を介して、求職者情報をサーバ30へ送信する。
他方、ユーザUS2は、求人側端末50を介して、求人情報をサーバ30へ送信する。
【0046】
本実施形態のサーバ30は、図6に示すように、ユーザUS1から取得した求職者情報に基づいて当該ユーザUS1の収入ベンチマークを予測してもよい。すなわち、かかる
求職者情報は、ユーザUS1に関して記述されたテキスト情報に相当する
が、サーバ30は当該テキスト情報から特徴量を抽出する。テキスト情報として、例えば自由記述式のテキストが想定されるが、選択式のテキスト、またはこれらの組み合わせであってもよい。
サーバ30は、抽出した特徴量に収入予測モデルを適用することで、ユーザUS1の収入ベンチマークを予測し、予測結果を求職側端末10へ送信する。
これにより、ユーザUS1は、自身が採用された場合の適正収入を把握できるので、希望する収入に満たなかった場合には求職者情報の内容をブラッシュアップしたり、応募先を選択する際の判断材料として収入ベンチマークを活用したりすることができる。」
このように、明細書等には、テキスト情報の取得元と予測結果の出力先が、第1情報処理装置(サーバ30)とは異なる第2情報処理装置(求職側端末10)であることが記載されているから、訂正事項6は、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
エ 独立特許要件が課されないこと
本件においては、訂正前の全ての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正事項6に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
上記のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号又は第4号を目的とするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合し、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されないので、本件特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~15について訂正することを認める。
そして、訂正事項2~4によって独立形式に改めた請求項2、4、13は、上記のとおり訂正が認められるので別の訂正単位とすることを認める。
上記のとおり、本件訂正は認められるので、本件訂正後の請求項1~16に係る発明(以下、それぞれ、「本件訂正発明1」~「本件訂正発明16」といい、これらをまとめて「本件訂正発明」という。)のうち、本件訂正発明1~16は、訂正特許請求の範囲の請求項1~16に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。なお、下線は、訂正請求人(特許権者)が付与した。
「【請求項1】
コンピュータを、
求
人企業が求めている人物像
である
対象人材に関して記述されたテキスト情報を取得する手段、
前記テキスト情報から第1特徴量を抽出する手段、
前記第1特徴量に収入予測モデルを適用することで、前記対象人材の収入ベンチマークを予測する手段、
前記対象人材の収入ベンチマークの予測結果を出力する手段、
として機能させ、
前記収入予測モデルは、学習済みモデルである、
プログラム。
【請求項2】
コンピュータを、
求職者である対象人材に関して記述されたテキスト情報として、
前記対象人材の履歴書ファイルもしくは職務経歴書ファイル、または人材マッチングプラットフォーム上で入力された前記対象人材の求職者情報の少なくとも一方を
取得する手段、
前記テキスト情報から第1特徴量を抽出する手段、
前記第1特徴量に収入予測モデルを適用することで、前記対象人材の収入ベンチマークを予測する手段、
前記対象人材の収入ベンチマークの予測結果を出力する手段、
として機能させ、
前記収入予測モデルは、学習済みモデルである、
プ
ログラム。
【請求項3】
前記コンピュータを、前記対象人材がイシュー管理サービスにおいて関与したリポジトリに関する情報を取得する手段、として機能させ、
前記対象人材の収入ベンチマークを予測する手段は、前記リポジトリに関する情報に基づく第2特徴量と前記第1特徴量とに前記収入予測モデルを適用することで、前記対象人材の収入ベンチマークを予測する、
請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
コンピュータを、
求職者、または求人企業が求めている人物像のいずれか一方を含み他方を含まない対象人材に関して記述されたテキスト情報を取得する手段、
前記テキスト情報から第1特徴量を抽出する手段、
前記第1特徴量に収入予測モデルを適用することで、前記対象人材の収入ベンチマークを予測する手段、
前記対象人材の収入ベンチマークの予測結果を出力する手段、
として機能させ、
前記収入予測モデルは、学習済みモデルであり、
前記対象人材の収入ベンチマークは、前記求人企業が求めている人物像に合致する人物の収入の相場、または当該求人企業が採用を行う場合に採用される求職者に提示すべき収入であり、
前記テキスト情報を取得する手段は、人材マッチングプラットフォーム上で入力された前記求人企業が求める人物像に関する求人情報を取得する、
プ
ログラム。
【請求項5】
前記テキスト情報は、前記求人情報のうち求職者が採用された場合に提供を予定されている処遇に関する情報を含む、
請求項4に記載のプログラム。
【請求項6】
前記テキスト情報は、前記求人情報のうち前記求人企業が求めている人物像の必須要件または歓迎要件の少なくとも1つに関する情報を含む、
請求項4に記載のプログラム。
【請求項7】
前記コンピュータを、
前記求人情報において採用される求職者に対して提示を予定されている収入を特定する手段、
前記採用される求職者に対して提示を予定されている収入が前記対象人材の収入ベンチマークと乖離している場合に、前記求職者が採用された場合に提供を予定されている処遇または前記求人企業が求めている人物像の要件の少なくとも1つの変更を推奨する手段、
として機能させる、請求項4に記載のプログラム。
【請求項8】
前記コンピュータを、前記人材マッチングプラットフォームにおいて前記求人情報にマッチするユーザの集団に関する情報を取得する手段、として機能させ、
前記対象人材の収入ベンチマークを予測する手段は、前記求人情報にマッチするユーザの集団に関する情報に基づく第3特徴量と前記第1特徴量とに前記収入予測モデルを適用することで、前記対象人材の収入ベンチマークを予測する、
請求項4に記載のプログラム。
【請求項9】
前記テキスト情報は、前記対象人材が過去の経歴で所属したチームに関する情報を含む、
請求項2または請求項3に記載のプログラム。
【請求項10】
前記テキスト情報は、前記対象人材が過去に担当した業務に関する情報を含む、
請求項2または請求項3に記載のプログラム。
【請求項11】
前記テキスト情報は、前記対象人材の技術スキルに関する情報を含む、
請求項2または請求項3に記載のプログラム。
【請求項12】
前記テキスト情報は、前記対象人材のマネジメント経験に関する情報を含む、
請求項2または請求項3に記載のプログラム。
【請求項13】
コンピュータを、
求職者、または求人企業が求めている人物像のいずれか一方を含み他方を含まない対象人材に関して記述されたテキスト情報を取得する手段、
前記テキスト情報から第1特徴量を抽出する手段、
前記第1特徴量に収入予測モデルを適用することで、前記対象人材の収入ベンチマークを予測する手段、
前記対象人材の収入ベンチマークの予測結果を出力する手段、
として機能させ
、
前記収入予測モデルは、学習済みモデルであり、
前記収入予測モデルは、学習データを用いた教師あり学習により構築され、
前記学習データは、学習用の第1特徴量と、当該学習用の第1特徴量に対応する正解データとを含み、
前記学習用の第1特徴量は、前記求職者と同一または異なる求職者が過去の求職活動において用いた求職者情報から抽出され、当該学習用の第1特徴量に対応する正解データは、当該過去の求職活動において求人側が提示した収入の値である、
プ
ログラム。
【請求項14】
コンピュータが、
求職者
である
対象人材に関して記述されたテキスト情報として、
前記対象人材の履歴書ファイルもしくは職務経歴書ファイル、または人材マッチングプラットフォーム上で入力された前記対象人材の求職者情報の少なくとも一方
を取得するステップと、
前記テキスト情報から第1特徴量を抽出するステップと、
前記第1特徴量に収入予測モデルを適用することで、前記対象人材の収入ベンチマークを予測するステップと、
前記対象人材の収入ベンチマークの予測結果を出力するステップと
を実行し、
前記収入予測モデルは、学習済みモデルである、
方法。
【請求項15】
第1情報処理装置としての情報処理装置であって、
求職者、または求人企業が求めている人物像のいずれか一方を含み他方を含まない対象人材に関して記述されたテキスト情報を
第2情報処理装置から
取得する手段と、
前記テキスト情報から第1特徴量を抽出する手段と、
前記第1特徴量に収入予測モデルを適用することで、前記対象人材の収入ベンチマークを予測する手段と、
前記対象人材の収入ベンチマークの予測結果を
前記第2情報処理装置へ
出力する手段と
を具備し、
前記収入予測モデルは、学習済みモデルである、
情報処理装置。
【請求項16】
第1情報処理装置と、第2情報処理装置とを具備するシステムであって、
前記第1情報処理装置は、
求職者、または求人企業が求めている人物像のいずれか一方を含み他方を含まない対象人材に関して記述されたテキスト情報を前記第2情報処理装置から取得する手段と、
前記テキスト情報から第1特徴量を抽出する手段と、
前記第1特徴量に収入予測モデルを適用することで、前記対象人材の収入ベンチマークを予測する手段と、
前記対象人材の収入ベンチマークの予測結果を前記第2情報処理装置へ出力する手段と
を備え、
前記収入予測モデルは、学習済みモデルである、
システム。」
理由1.請求項1~3、9~12、14~15に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物1に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~3、9~12、14~15に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
<引用文献等一覧>
1.特開2022-85338号公報(甲第1号証)
異議申立人は、次の甲第1号証~甲第5号証(以下、それぞれ、「甲1」~「甲5」という。)を証拠として提出している。
甲第1号証(甲1):特開2022-85338号公報
甲第2号証(甲2):Zhongsheng Wang,et al., Salary Prediction using Bidirectional- GRU- CNN Model, 言語処理学会第25回年次大会発表論文集, 2019年03月, 掲載日, Pages.292-295, [検索日:2025年12月18日], <URL:https://www.anlp.jp/proceedings/annual_meeting/2019/pdf_dir/F3-1.pdf>
甲第3号証(甲3):C. -C. Hung and E. -P. Lim, On Aggregating Salaries of Occupations From Job Post and Review Data, IEEE Access, 2021年, 掲載日, vol. 9, Pages. 43422-43433, [検索日:2025年12月18日],<URL:https://ieeexplore.ieee.org/document/9380460>
甲第4号証(甲4):Tiasa Mukherjee,et al, Emp1oyee's Salary Prediction, International Journal of Advance Research, Ideas and Innovations In Technology, 2022年, 掲載日, Vol.8, Issue3, Pages.356-359, [検索日:2025年12月18日], <URL:https://ijariit.com/manuscripts/v8i3/V8I3-1357.pdf>
甲第5号証(甲5):特許第7231782号公報
(1)引用文献1
ア 引用文献1記載事項、引用文献1に記載された発明
引用文献1には次の事項が記載されている。なお、下線は、当審が付与した。
「【0015】
<概要>
以下、本開示に係る想定年収提示システムについて説明する。この想定年収提示システムは、エンジニアのスキル、経験に応じた想定年収を提示するためのシステムである。ここで、年収とは、本開示における収入の一形態である。収入とは、エンジニアとしてユーザが受ける対価のことであり、例えば当該ユーザが企業等に雇用されている会社員である場合、給与および賞与の金額であり、個人事業主、いわゆるフリーランスのエンジニアである場合、支払いを受ける報酬であるが、1年間の給与および賞与お総額、または報酬の総額である年収とは限られず、時間単価、日額、週単位の金額、月額を含む概念である。以下、本開示では、収入の例として年収を用いて説明する。また、本開示において、特定する収入は、特定の具体的な金額だけでなく、一定の金額幅を持った収入も含む。例えば、ユーザの収入として、年収700万と特定するだけでなく、年収700万~800万と特定することも含まれる。
【0016】
本開示に係る想定年収提示システムは、エンジニアとしてのユーザの情報として、当該ユーザが活動した結果に応じて算出されたスキルパラメータ(第1のパラメータ)と、当該ユーザが指定したキャリア情報とを受け付ける。また、想定年収提示システムは、他の(過去の)各ユーザのキャリア情報、企業の求人情報に示される当該求人の年収または各ユーザから入力を受け付けた年収の情報をデータベースとして蓄積している。想定年収システムは、これら情報に基づき、キャリア情報の指定を受け付けた当該ユーザの想定年収を特定する。
【0017】
本開示に係る想定年収提示システムは、スキルパラメータを算出するため、例として、ソフトウェア開発のプラットフォームであるGitHub(登録商標)にアクセスし、ユーザのエンジニアとしての成果を示す各種パラメータ(第2のパラメータ)を取得する。GitHubは、ソースコードホスティングサービスであり、ソースコードのバージョン管理を行うためのソースコードリポジトリを有し、ある時点におけるソースコードの一覧を管理している。また、GitHubは、エンジニアのローカル環境(ローカルリポジトリ)で作成、修正を行ったソースコードをリモート環境(リモートリポジトリ)へアップロードするプッシュ、プッシュがされたことを通知してレビュー依頼するプルリクエスト、レビューの際にコメント、レビュー結果を確定させるマージ等の機能を備えている。なお、ここで、ソースコードとは、Pythonのようなプログラミング言語、JavaScript(登録商標)のようなプログラミング言語の一種であるスクリプト言語を含む概念である。
【0018】
ユーザのエンジニアとしての成果を示す各種パラメータとして、GitHubで管理している、GitHubにおけるソースコードの行数、プッシュ数、プルリクエスト数、レビュー数、コメント数等の値を取得し、これらの値を解析することにより、エンジニアとしての成果、スキルを推定することが可能であると考えられる。例えば、作成ソースコードの行数やプッシュ数、プルリクエスト数が多いエンジニアは、実際にソースコードを作成、修正をする作業者として活動することが多いエンジニアであり、レビュー数(他のエンジニアからの依頼によりレビューを行う件数)、コメント数が多いエンジニアは、開発プロジェクトのマネジメントを行う管理者として活動することが多いエンジニアであると推定される。そして、これらの数の多少により、それぞれの役割としてのスキルを推定できると考えられる。
【0019】
そのため、本開示に係る想定年収提示システムでは、GitHubにおける各種パラメータの値を取得し、これらの値を解析することによりユーザのエンジニアとしてのスキルを評価したスキルパラメータを算出する。このスキルパラメータと、当該ユーザの職種から、他の各ユーザのキャリア情報、企業の求人情報や各ユーザから受け付けた年収の情報に基づき、当該ユーザの想定年収を特定している。このような構成により、より客観的な想定年収をユーザに提示することが可能になる。」
「【0022】
<1 想定年収提示システム1の全体構成>
図1は、想定年収提示システム1の全体の構成を示す図である。図1に示すように、
想定年収提示システム1は、複数の端末装置(図1では、端末装置10Aおよび端末装置10Bを示している。以下、総称して「端末装置10」ということもある)と、サーバ20と、リポジトリサーバ30とを含む。
端末装置10と、サーバ20と、リポジトリサーバ30とは、ネットワーク80を介して相互に通信可能に接続されている。ネットワーク80は、有線または無線ネットワークにより構成される。
【0023】
端末装置10は、各ユーザが操作する装置である。
ここで、
ユーザとは、端末装置10を使用して想定年収提示システム1による想定年収の提示を受ける者である
が、上記のようにGitHubの各種パラメータからユーザのスキルパラメータを算出する構成であるため、GitHubによりソースコードの開発を行っている者である。端末装置10は、据え置き型のPC(Personal Computer)、ラップトップPC等により実現される。この他、端末装置10は、例えば移動体通信システムに対応したタブレットや、スマートフォン等の携帯端末であるとしてもよい。
【0024】
端末装置10は、ネットワーク80を介してサーバ20およびリポジトリサーバ30と通信可能に接続される。端末装置10は、4G、5G、LTE(Long Term Evolution)等の通信規格に対応した無線基地局81、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11等の無線LAN(Local Area Network)規格に対応した無線LANルータ82等の通信機器と通信することにより、ネットワーク80に接続される。図1に端末装置10Bとして示すように、端末装置10は、通信IF(Interface)12と、入力装置13と、出力装置14と、メモリ15と、記憶部16と、プロセッサ19とを備える。」
「【0027】
サーバ20は、ネットワーク80に接続されたコンピュータである。サーバ20は、通信IF22と、入出力IF23と、メモリ25と、ストレージ26と、プロセッサ29とを備える。」
「【0040】
ユーザ情報161は、端末装置10を使用して想定年収提示システム1の機能である想定年収の提示を受けるユーザの情報である。ユーザ情報としては、ユーザを識別する情報(ユーザID)、ユーザの氏名や名称、ユーザが所属している企業等の組織情報、GitHubにサインインするためのID情報やパスワード等が含まれる。」
「【0047】
<1.2 サーバ20の機能的な構成>
図3は、実施の形態1の想定年収提示システム1を構成するサーバ20の機能的な構成を示す図である。図3に示すように、
サーバ20は、通信部201と、記憶部202と、制御部203としての機能を発揮する。」
は、リポジトリデータベース2021と、企業求人データベース2022と、ユーザスキルデータベース2023と、収入予測モデルデータベース2024等を記憶する。
・・・(途中省略)・・・
【0054】
制御部203は、
サーバ20のプロセッサがプログラムに従って処理を行うことにより、各種モジュールとして受信制御モジュール2031、送信制御モジュール2032、
リポジトリ管理モジュール2033、スコアリングモジュール2034、ユーザ職種受付モジュール2035、想定年収特定モジュール2036、および想定年収提示モジュール2037に示す機能を発揮する。
・・・(途中省略)・・・
【0057】
リポジトリ管理モジュール2033は、各ユーザについてネットワーク上に記録されている情報を取得する処理を制御する。想定年収提示システム1のユーザは、GitHubによりソースコードの開発を行っているため、GitHubにおいて作成したソースコードの行数、ソースコードのプッシュ数、プルリクエスト数、リポジトリにおける他者からの評価を示すスター数、フォロワー数等の各種パラメータ(第2のパラメータ)がリポジトリサーバ30に記録されている。そのため、
リポジトリ管理モジュール2033は、
各ユーザからリポジトリサーバ30にアクセスするためのIDおよびパスワードを取得し、
リポジトリサーバ30にアクセスして当該ユーザの各種パラメータを取得する。
」
「【0059】
スコアリングモジュール2034は、リポジトリ管理モジュール2033が取得した各種パラメータに基づき、各ユーザのエンジニアとしてのスキルを評価した値であるスキルパラメータ
(第1のパラメータ)
を算出する処理を制御する。
ここで、
スキルパラメータとは、個々のエンジニアに対して、職種ごとに必要なスキルや、職種の経験年数を評価して数値化したものであり
、絶対評価により数値化した値でもよく、所定のユーザの中で相対評価した値でもよい。さらに、ITエンジニアの場合における、使用経験のあるプログラミング言語、ソフトウェアフレームワーク、およびこれらの経験期間(年数)を評価して数値化したものでもよい。ここで、プログラミング言語とはソフトウェア開発に用いられる言語であり、具体的にはHTML、CSS、JavaScript、Java(登録商標)、Scala、PHP、Ruby、Python、Go、C#、Node.jsなどがある。また、ソフトウェアフレームワークとはソフトウェア開発に利用するソフトウェアプラットフォームであり、具体的には、jQuery、React、Vue.js、Angular、Nuxt.js、Next.js、ReactNative、Spring Framework、Play Framework、Laravel、CakePHP、RubyonRails、Django、Flask、TensorFlow、gin、Unity、Expressなどがある。
【0060】
例えば、一定期間における、GitHubにおいて作成したソースコードの行数、ソースコードのプッシュ数をカウントすることで、当該ユーザがエンジニアとして一定量のソースコードを作成する期間が分かるので、当該ユーザのエンジニア(プログラマ)としてのスキルを推定することが可能である。そのため、スコアリングモジュール2034は、リポジトリ管理モジュール2033が取得した各種パラメータから、各ユーザのそれぞれのパラメータを取得し、上記のような観点に基づいてスキルパラメータを算出する。このスキルパラメータは、プログラミング言語ごとに算出してもよく、複数のプログラミング言語の使用経験があるユーザの場合には、それぞれのプログラミング言語ごと、ソフトウェアフレームワークごとに算出してもよい。なお、一定期間における、GitHubにおいて通知されたプルリクエスト数、ソースコードのレビュー数(他のエンジニアからの依頼によりレビューを行う件数)、ソースコードに対するコメント数により、当該ユーザのエンジニア(チームリーダーまたはマネージャ)としてのスキルを推定してもよい。スキルパラメータの算出にあたっては、例えば、これらの各種パラメータ(第2のパラメータ)からスキルパラメータを算出するように機械学習を行った学習済みモデルを事前に作成しておき、これを用いて算出することができる。具体的には、例えばGitHubにおけるリポジトリの数値を教師データとして機械学習を行い、またはディープラーニング等による学習を行うことで生成される機械学習モデル(ニューラルネットワーク、SVR(Support Vector Regression:サポートベクター回帰)など)である。
【0061】
また、
スコアリングモジュール2034が算出するユーザの技術力を評価したスキルパラメータは、ビジネス力や発信力などをスコア化したビジネススコアや発信力スコアも加味したパラメータとすることとしてもよい。
例えば、
ユーザが利用するSNSと連携し、SNSの自己紹介文、フォロワー数、SNSでの投稿に対するコメント数などから、ビジネス力や発信力としてビジネススコアや発信力スコアを算出し、第1のパラメータに含めることとしてもよい。
ビジネススコアとは、例えば、会社経営、リーダーシップおよび会計等、ビジネスで必要とされる属性についてのユーザのスキルを数値化したものである。発信力スコアとは、例えば、インターネットに公開された情報そのものの数や読者数が多い、および、他のユーザから評価された数が多い等、外部へ積極的に発信することや他のユーザに影響を与えることに関する属性についてのユーザのスキルを数値化したものである。
具体的には、SNSの自己紹介文と、後述する職種および経験期間の情報とからビジネススコアを算出し、SNSへの投稿数と、フォロワー数と、SNSでの投稿に対するコメント数から発信力のスコアを算出してもよい。さらに、スライドショーの公開サービス等におけるスライド数およびダウンロード数、SNSの投稿に対する他者の反応(いわゆる「いいね」を得た数)数から発信力のスコアを算出してもよい。
個々のエンジニアの評価を、技術力、ビジネス力、発信力の観点で絶対値として評価してもよく、他のユーザの評価と比較した相対評価としてスコア化してもよく、技術力、ビジネス力、発信力それぞれの値に対して所定の重み付けを行ってもよい。
【0062】
ユーザ職種受付モジュール2035は、想定年収提示システム1により想定年収の提示を受けるユーザのキャリア情報として、職種の指定を受け付ける処理を制御する。ユーザの職種とは、単に「会社員」や「エンジニア」のような雇用形態等の分類によるものではなく、具体的な業務内容や職務内容、役割が分かるような分類によるものであり、例えば、「フロントエンドエンジニア」、「AIプログラマ」等のソフトウェアエンジニアの具体的な職種を示したものである。なお、ユーザ職種受付モジュール2035は、当該ユーザが想定年収提示システム1に登録する際に指定した職種の情報を、指定した職種として受け付けてもよい。また、ユーザ職種受付モジュール2035は、ユーザの職種の指定とともに、当該職種の所属期間(従事期間)、現時点で当該職種に従事していない場合は現時点での空き(ブランク)期間、現時点での年収を受け付けてもよい。これらの入力値は、後述の想定年収特定モジュール2036で使用される。さらに、ユーザ職種受付モジュール2035は、各ユーザのキャリア情報として、各ユーザのスキルに関する情報、例えばプログラミング言語の使用経験期間、ソフトウェアフレームワークの使用経験期間等の情報を取得してもよい。さらに、ユーザ職種受付モジュール2035は、各ユーザのキャリア情報として、各ユーザについてネットワーク上に記録されている当該ユーザに関するオープンソースの情報、例えばOSS(オープンソースソフトウェア)に投稿して一定の評価を得ていることを示す情報を取得してもよい。OSSにおける一定の評価を得ていることを示す情報とは、例えば、オープンソース成熟度モデル(OSMM)、オープンビジネス品質評価(OpenBQR)等の客観的な評価モデルによる評価値でもよく、他者からのコメント等による評価でもよい。
【0063】
上記のように、キャリア情報は、エンジニアとしての職種に関する経験、具体的には「フロントエンドエンジニア」、「AIプログラマ」等の経験の情報のみならず、エンジニアの上位スキルとして、チームでプロジェクトを進めるためにチームを運営するマネジメント経験の情報、顧客との交渉の経験の情報、(顧客または企業上層部と)要件定義を決定する経験の情報を含む概念である。マネジメント経験の情報とは、具体的にはユーザの役職名またはプロジェクト内での役割を示す情報であり、「○○マネージャ」「CTO」等の記載である。さらに、キャリア情報は、エンジニアとしてのスキルに関する経験、具体的にはプログラミング言語、ソフトウェアフレームワークの経験の情報を含む概念である。さらに、ネットワーク上に記録されている当該ユーザに関するオープンソースの情報を含む概念である。
【0064】
想定年収特定モジュール2036は、ユーザ職種受付モジュール2035にてユーザにより指定されたキャリア情報と、当該ユーザについて、スコアリングモジュール2034にて算出したスキルパラメータと、当該ユーザの職種から、収入予測モデルを用いて、当該ユーザについて想定される年収を特定する処理を制御する。
想定年収提示システム1では、ユーザ職種受付モジュール2035が受け付けたユーザのキャリア情報として、職種の所属期間およびその時点での年収の情報、(想定年収提示システム1により想定年収の提示を受けない)一般ユーザの職種の所属期間およびその時点での年収の情報、企業の求人情報等により、各ユーザの職種の経験と、その経験を有するユーザの年収との関係を示す情報を収入予測モデルとして記憶している。また、各ユーザの職種の経験に対するスキルパラメータを算出している。ただし、想定年収特定モジュール2036は、これらの情報を必ずしも記憶部202に記憶されている情報として取得して年収を特定する必要はなく、収入予測モデルにより年収を特定してもよい。なお、一般ユーザの職種の所属期間およびその時点での年収の情報は、自己申告による情報でもよく、他の手法により取得した客観的なデータでもよい。想定年収特定モジュール2036は、各ユーザの職種の経験から算出されるスキルパラメータとそのスキルパラメータを有するユーザの年収との関係に基づき、当該ユーザについて想定される年収を特定する。また、職種の情報に関連して、当該ユーザが経験したプログラミング言語やソフトウェアフレームワーク等に基づいて、年収を特定してもよい。さらに、プログラミング言語ごとに年収を特定してもよく、複数のプログラミング言語の使用経験があり、複数のプログラミング言語についてスキルパラメータが算出されているユーザの場合には、これらのスキルパラメータに基づいて総合的に年収を特定してもよい。
【0065】
さらにまた、想定年収特定モジュール2036は、各ユーザのスキルパラメータと、当該スキルの前提となる職種の情報(上記のような「フロントエンドエンジニア」等)、当該職種の経験期間(年数)の情報に基づき、当該ユーザについて想定される年収を特定してもよい。一定の経験年数がないとスキルとして認定するのが困難な場合もあり、年収も異なることが多いからである。さらに、想定年収特定モジュール2036は、キャリア情報として各ユーザが保有するスキルの情報(自己推薦スキル)に基づき、当該ユーザについて想定される年収を特定してもよい。ユーザの自己推薦スキルは、例えば、ユーザ職種受付モジュール2035にてユーザから取得したスキルに関する記載、またはSNSまたはOSSへの投稿情報から推定することが可能である。例えば、想定年収特定モジュール2036は、SNSへの投稿に対し、いわゆる「いいね」を得た数、当該ユーザが上記のようなOSSにおける一定の評価を得ていることを示す情報、SNSへの投稿内容に含まれる所定のキーワード(プログラミング言語やソフトウェアフレームワークの具体的な名称等)から推定する。
・・・(途中省略)・・・
【0067】
想定年収特定モジュール2036が参照する収入予測モデルは、各ユーザの職種の経験とその経験を有するユーザの年収との関係を示すものであり、各ユーザの職種の経験(年数)から算出されたスキルパラメータごとに集計した年収の最小値と最大値とを示す統計データでもよく、平均値、中央値、最頻値等を示すものでもよい。例えば、
想定年収特定モジュール2036は、これらの情報が格納されているデータベースを対応表として、ユーザの想定年収を特定してもよく、これらの情報を教師データとして機械学習が行われた機械学習モデルからユーザの想定年収を特定してもよい。すなわち、スキルパラメータやユーザのキャリア情報から収入予測を行うための収入予測モデルを予め作成しておき、これを用いて収入予測を行う。
収入予測モデルとしては、後述する図5に示すようなデータベースや、各ユーザの職種の経験とその経験を有するユーザの年収との関係を示す対応表または関数、さらに、事前に各ユーザの職種の経験とその経験を有するユーザの年収の情報を教師データとして機械学習を行い、またはディープラーニング等による学習を行うことで生成される機械学習モデル(ニューラルネットワーク、SVR(Support Vector Regression:サポートベクター回帰)など)を用いることができる。
・・・(途中省略)・・・
【0069】
想定年収提示モジュール2037は、想定年収特定モジュール2036により特定された年収の情報を、当該ユーザに提示する処理を制御する。
想定年収提示モジュール2037は、当該ユーザの端末装置10へ特定された年収の情報を、通信部201を介して送信する。」
「【0089】
項目「必要スキル」は、当該求人情報に係る業務において必要とされる(必須の)スキルに関する情報である。
【0090】
項目「想定年収」は、ユーザに掲示される求人情報に採用された場合に想定される(当該企業が支払う予定の)年収を示す情報であり、当該企業に雇用される場合の1年間に支払いを受ける給与および賞与の総額、または個人事業主として業務委託をする場合の1年間に支払いを受ける報酬の総額である。」
「【0140】
<第2の実施の形態>
以下、想定年収提示システム1の他の実施の形態について説明する。
【0141】
<1 想定年収提示システム1の全体構成>
図11は、実施の形態2の想定年収提示システム1を構成するサーバ20の機能的な構成を示す図である。第2の実施の形態における想定年収提示システム1の全体の構成、端末装置10の構成は、第1の実施の形態と同様であるので、繰り返して説明しない。サーバ20の構成については、図11に示すように、新たにキャリアレコメンドモジュール2038の機能を備える以外、第1の実施の形態と同様である。以下、第2の実施の形態におけるキャリアレコメンドモジュール2038の機能について説明する。
【0142】
キャリアレコメンドモジュール2038は、想定年収提示モジュール2037により想定年収が提示されたユーザについて、特定された年収とは異なる年収となるために必要なスキルパラメータ、または必要な経験職種の情報を特定してユーザへ提示(レコメンド)する処理を制御する。このとき、キャリアレコメンドモジュール2038は、ユーザスキルデータベース2023に格納されている各種パラメータについて解析を行い、解析結果を出力し、この結果に基づいてレコメンドを行う。」
「【0155】
また、図13に示すように、
端末装置10のディスプレイ132には、求人検索ボタン1035eが配置され、
当該
ユーザが指定した経験を希望する職種について、企業求人データベース2022の求人情報を検索できるように構成されている。これにより、当該ユーザは、年収を上げたいと希望する場合に経験すべき具体的な職種に対して、実際に応募することが可能になる。
また、求人情報の検索にあたっては、当該ユーザのスキルや希望条件とのマッチング度合いの高い求人情報を優先的に提示するため、ユーザのスキルパラメータやユーザのキャリア情報に基づいて、求人情報を抽出し提示することとしてもよい。例えば、ユーザのスキルパラメータをプログラミング言語やソフトウェアフレームワークごとに算出しておき、当該ユーザのスキルパラメータが高いプログラミング言語やソフトウェアフレームワークのスキルを求めている求人情報を優先的に抽出することとしてもよい。さらに、ユーザのキャリア情報として過去の職種、経験年数、自己推薦スキルを取得しておき、当該ユーザの中で経験年数の高い求人情報を優先的に抽出したり、当該ユーザの自己推薦スキルを含む求人情報を優先的に抽出したりすることとしてもよい。」
「【0159】
図14に示すように、端末装置10のディスプレイ132には、ユーザが希望職種の入力を行った後、再度の想定年収を算出する指示操作をユーザから受け付けることに応答して、図13に示す希望職種入力欄1035cおよび想定経験期間入力欄1035dに加えて、希望職種入力欄1035gおよび想定経験期間入力欄1035hが同一画面上に設けられている。図14に示す例では、希望職種入力欄1035cおよび想定経験期間入力欄1035dには、エンジニアとしての技術スキルの経験について入力するように構成され、希望職種入力欄1035gおよび想定経験期間入力欄1035hには、エンジニアの上位スキルとして、例えばマネジメントスキルの経験について入力するように構成されている。例えば、ユーザのスキルパラメータに基づき、当該ユーザについて想定される年収を特定し、当該ユーザの職種および経験年数に応じて重み付けを行い、年収を加算する際、技術スキルの経験による重み付けと、マネジメントスキルの経験による重み付けを異なる値や割合で加算してもよい。具体的には、技術スキルの経験による重み付けより、マネジメントスキルの経験による重み付けを高い割合で乗算して加算するように設定してもよい。」
「【0177】
(付記10)プログラムは、さらに、当該ユーザについて、特定される収入とは異なる収入となるために必要な第1のパラメータ、または必要な経験職種の情報を特定して当該ユーザへ提示するステップ(S324)を実行させる、(付記1)から(付記9)のいずれかに記載のプログラム。
【0178】
(付記11)特定される収入とは異なる収入に到達する、第1のパラメータを上げるために必要な行動(1033c)を特定し、ユーザに提示する、(付記10)に記載のプログラム。」
イ 引用文献1に記載されているといえる事項
(ア)段落【0022】、【0023】の記載事項を踏まえると、引用文献1には、「想定年収の提示を受けるユーザが操作する端末装置10と、サーバ20と、リポジトリサーバ30とを含む想定年収提示システム1」との事項が記載されているといえる。
(イ)段落【0047】、【0054】の記載事項を踏まえると、引用文献1には、「サーバ20は、通信部201と、記憶部202と、制御部203としての機能を発揮し、制御部203は、リポジトリ管理モジュール2033、スコアリングモジュール2034、ユーザ職種受付モジュール2035、想定年収特定モジュール2036、および想定年収提示モジュール2037等に示す機能を発揮する」との事項が記載されているといえる。
(ウ)段落【0057】の記載事項を踏まえると、引用文献1には、「リポジトリ管理モジュール2033は、リポジトリサーバ30にアクセスしてユーザの各種パラメータを取得する」との事項が記載されているといえる。
(エ)段落【0059】の記載事項を踏まえると、引用文献1には、「スコアリングモジュール2034は、リポジトリ管理モジュール2033が取得した各種パラメータに基づき、各ユーザのエンジニアとしてのスキルを評価した値であるスキルパラメータを算出する処理を制御する」との事項が記載されているといえる。
(オ)段落【0064】の記載事項を踏まえると、引用文献1には、「想定年収特定モジュール2036は、各ユーザの職種の経験とその経験を有するユーザの年収との関係に関する情報を教師データとして機械学習が行われた機械学習モデルからユーザの想定年収を特定してもよい」との事項が記載されているといえる。
(カ)段落【0059】、【0061】の記載事項を踏まえると、引用文献1には、「スキルパラメータとは、個々のエンジニアに対して、職種ごとに必要なスキルや、職種の経験年数を評価して数値化したものであり、ビジネス力や発信力などをスコア化したビジネススコアや発信力スコアも加味したパラメータであってもよく、ビジネススコアは、SNSの自己紹介文と、職種および経験期間の情報とから算出され、発信力のスコアはSNSへの投稿数と、フォロワー数と、SNSでの投稿に対するコメント数から算出される」との事項が記載されているといえる。
ウ 引用文献1に記載されている発明
上記(1)及び(2)によれば、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
(引用発明)
「想定年収の提示を受けるユーザが操作する端末装置10と、サーバ20と、リポジトリサーバ30とを含む想定年収提示システム1におけるサーバ20であって(上記(ア))、
サーバ20は、通信部201と、記憶部202と、制御部203としての機能を発揮し、制御部203は、リポジトリ管理モジュール2033、スコアリングモジュール2034、ユーザ職種受付モジュール2035、想定年収特定モジュール2036、および想定年収提示モジュール2037等に示す機能を発揮し(上記(イ))、
リポジトリ管理モジュール2033は、リポジトリサーバ30にアクセスしてユーザの各種パラメータを取得し(上記(ウ))、
スコアリングモジュール2034は、リポジトリ管理モジュール2033が取得した各種パラメータに基づき、各ユーザのエンジニアとしてのスキルを評価した値であるスキルパラメータを算出する処理を制御し(上記(エ))、
想定年収特定モジュール2036は、ユーザ職種受付モジュール2035にてユーザにより指定されたキャリア情報と、当該ユーザについて、スコアリングモジュール2034にて算出したスキルパラメータと、当該ユーザの職種から、収入予測モデルを用いて、当該ユーザについて想定される年収を特定する処理を制御し(段落【0064】)、
想定年収特定モジュール2036は、各ユーザの職種の経験とその経験を有するユーザの年収との関係に関する情報を教師データとして機械学習が行われた機械学習モデルからユーザの想定年収を特定してもよく(上記(オ))、
想定年収提示モジュール2037は、想定年収特定モジュール2036により特定された年収の情報を、当該ユーザに提示する処理を制御し(段落【0069】)、
スキルパラメータとは、個々のエンジニアに対して、職種ごとに必要なスキルや、職種の経験年数を評価して数値化したものであり、ビジネス力や発信力などをスコア化したビジネススコアや発信力スコアも加味したパラメータであってもよく、ビジネススコアは、SNSの自己紹介文と、職種および経験期間の情報とから算出され、発信力のスコアはSNSへの投稿数と、フォロワー数と、SNSでの投稿に対するコメント数から算出される(上記(カ))、
サーバ20」
エ 引用文献1に記載されている技術的事項
段落【0155】の記載事項を踏まえると、引用文献1には、以下の技術的事項(以下、「技術的事項1」という。)が記載されているといえる。
「端末装置10のディスプレイ132には、求人検索ボタン1035eが配置され、ユーザが指定した経験を希望する職種について、企業求人データベース2022の求人情報を検索できるように構成され、ユーザは、年収を上げたいと希望する場合に経験すべき具体的な職種に対して、実際に応募できること」
(2)甲2に記載されている事項
甲2には、次の事項が記載されている。
「2.3 RNN―CNN
Though, CNN's efficiency and sophisticated feature extraction mechanism are appealing, the inability to incorporate context information is obvious. Since the context information is very important on NLP problems, if it is possible to add context feature into CNN models, a better performance can be expected. Lai et al. proposed a RNN-CNN for text classification model [10], which first use RNN to learn context features and then feed those context-aware vectors into CNN. 」(第292頁右欄)
(当審訳)
2.3 RNN-CNN
CNNの効率性と洗練された特徴抽出メカニズムは魅力的だが、コンテキスト情報を組み込むことができないのは明らかである。コンテキスト情報はNLP問題において非常に重要であるため、CNNモデルにコンテキスト特徴を追加できれば、より良いパフォーマンスが期待できる。Laiらは、テキスト分類モデルとしてRNN CNN[10]を提案した。これは、まずRNNを用いてコンテキスト特徴を学習し、そのコンテキストを考慮したベクトルをCNNに入力するものである。
「3 Proposed Model
In this section, we propose a deep neural model for the prediction of annual salary by job description data posted on web. Figure 1 shows the front part of our network. As an input, the network receives a job description post, which includes title, contents, requirements, working time, job location, and job type and salary. The output of the front network contains context elements. Figure 2 shows the network structure back part of our model. We use a combination deep learning regression model to predict test job posting salary. In the following subsections, we explain our proposed model in detail.」(第293頁左欄)
(当審訳)
本節では、Webに掲載された求人情報データから年収を予測するディープラーニングモデルを提案する。図1は、ネットワークのフロント部分を示している。入力として、ネットワークは求人情報の投稿を受け取る。これには、タイトル、内容、要件、勤務時間、勤務地、職種、給与が含まれる。フロントネットワークの出力には、コンテキスト要素が含まれる。図2は、モデルのネットワーク構造のバック部分を示している。テスト求人情報の給与を予測するために、ディープラー手ング回帰モデルを組み合わせたモデルを使用する。以下のサブセクションでは、提案モデルについて詳細に説明する。
(3)甲3に記載されている事項
甲3には、次の事項が記載されている。
「B. SALARY PREDICTION
Salary prediction is also a popular research topic. Past research on salary prediction often used survey data from third parties and domain knowledge of experts. Using salary survey data, Lazar developed a prediction model using support vector machine to determine whether a person has an annual salary over $50K [3]. Jackman and Reid proposed to use maximum-likelihood regression, lasso regression, artificial neural networks and random forests to predict job salaries using text-only features in job descriptions [4]. The past salary prediction research focuses on salaries corresponding to job positions instead of occupations. Using an employment website which includes company and salary information, Lin proposed a collaborative topic regression model to predict job salaries by modeling both textual (e.g., reviews) and numerical information (e.g., salaries and ratings) collaboratively [10]. Meng modeled salaries in a job-company matrix with missing salary values. Meng then proposed a matrix-factorization method to predict the missing salaries [5]. Kenthapadi and others proposed a system to analyze salary insights of job titles for different geographic regions, companies of different sizes, and for job seekers of different education background using the knowledge graph internally constructed by LinkedIn as well as the large amount of LinkedIn user data [11]. Authors in [6] proposed a two-step framework to analyze the company transition data of Linked members to derive company embeddings. The pairwise similarities between companies can be then computed based on these embeddings. Then the proposed Bayesian statistical model is used to predict insights at the company level.
For job search, career planning career counselling applications, it is more useful to group jobs of the same kind as an occupation. Our work therefore focuses on determining occupation salaries. Moreover, occupation level salaries should be derived by some aggregation of job salaries, which has not been studied in the past. Finally, our work addresses biases in salary reports and posted salaries shared by web users and companies.」(第43424頁右欄~43425頁左欄)
(当審訳)
B.給与予測
給与予測もまた、人気の高い研究テーマです。過去の給与予測研究では、第三者による調査データや専門家の専門知識がしばしば活用されてきました。給与調査データを用いて、Lazarはサポートベクターマシンを用いた予測モデルを開発し、ある人物の年収が5万ドルを超えるかどうかを判定しました[3]。JackmanとReidは、職務記述書に合まれるテキストのみの特徴を用いて、最尤回帰、Lasso回帰、人エニューラルネットワーク、ランダムフォレストを用いて給与を予測することを提案しました[4]。過去の給与予測研究は、職業ではなく、職位に対応する給与に焦点を当てています。Linは、企業情報と給与情報を含む求人ウェブサイトを用いて、テキスト情報(レビューなど)と数値情報(給与や評価など)の両方を協調的にモデル化することで、給与を予測する協調トピック回帰モデルを提案しました[10]。Mengは、給与値が欠落している職種・企業マトリックスで給与をモデル化した。そして、欠落している給与値を予測するためのマトリックス分解法を提案した[5]。KenthapadiらはLinkedlnが内部的に構築したナレッジグラフと大量のLinkedlnユーザーデータを用いて、異なる地理的地域、異なる規模の企業、異なる学歴の求職者について、職種の給与に関する洞察を分析するシステムを提案した[11]。[6]の著者らは、Linkedlnメンバーの企業遷移データを分析して企業の埋め込みを導出するための2段階のフレームワークを提案した。これらの埋め込みに基づいて、企業間のペアワイズ類似度を計算することができる。そして、提案されたベイズ統計モデルを用いて、企業レベルでの洞察を予測する。
求職活動、キャジアプランエン久キャリアカウンセリングといった用途では、同じ種類の仕事を職業としてグループ化する方が有用である。したがって、本研究は職業の給与を決定することに焦点を当てている。さらに、職業レベルの給与は、職務給与の何らかの集計によって算出されるべきであるが、これはこれまで研究されてこなかった。最後に、本研究は、ウェブユーザーや企業が共有する給与レポートや掲載給与におけるバイアスについて論じる。
(4)甲4に記載されている事項
甲4には、次の事項が記載されている。
「1. INTRODUCTION
In today’s employee are changed their company very frequently is the salary of the company. Employee changed their company one of the causes is not getting desired salary, sometimes company also loss their own for giving desired salary of the employee. Actual today’s world is full of competition world and all of them has higher expectations and goal in their own. But can’t ab le to give everyone’s expected salary because we should be a system to calculate the capability of their employee to expected salary.
In this paper the main aim is predicting the salary of the employee based on their year of experience and hard works. In this system we are mainly working on the linear regression algorithm in supervised learning in machine learning.
In supervised learning the name denoted that a supervisor or a teacher. Mainly supervised learning algorithms are working on the labelled data means that some input data are already give the correct output. Supervised learning algorithm is the procedure which is providing input data as well as the correct output data.
Linear regression is an algorithm in machine learning which is based on supervised learning. Linear regression algorithm is mainly defining the linear relationship between a dependent variable and the one or more independent variable is basically a linear regression. The linear regression model represents the sloped straight line representing relationship between the variables.」(第356頁)
(当審訳)
今日の従業員にとって、転職は給与の問題で現従業員が転職する理由の一つは、希望する給与が得られないことである。また、従業員が希望する給与を得ることがでず、企業側も従業員の期待する給与を得られないことで、損失を被ることもある。現代の社会は競争が激しく、誰もが高い期待と目標を持っている。しかし、従業員一人ひとりの希望する給与を提示することはできない。従業員の能力と期待される給与を計算できるシステムが必要だからである。
本論文の主な目的は、従業員の経験年数と努力に基づいて、従業員の給与を予測することにある。このシステムでは、機械学習における教師あり学習における線形回帰アルゴリズムを主に扱う。教師あり学習とは、教師または監督者を指す。現教師あり学習アルゴリズムは主に、ラベル付きデータを対象とする。ラベル付きデータとは、一部の入カデータが既に正しい出力を与えていることを意味する。教師あり学習アルゴリズムとは、入カデータと正しい出カデータの両方を提供する手順である。
線形回帰は、教師あり学習に基づく機械学習アルゴリズムである。線形回帰アルゴリズムは主に、従属変数と1つ以上の独立変数間の線形関係を定義するもので、基本的には線形回帰で筑線形回帰モデルは、変数間の関係を表す傾斜した直線を表す。
(5)甲5に記載されている事項
甲5には、次の事項が記載されている。
「【0068】
また、採用競合情報は、第2の組織の人材に対する待遇を示す情報であってもよい。人材に対する待遇とは、例えば、年収(給与)、労働条件、評価制度、昇進制度及び福利厚生等である。競合情報出力部117は、複数の組織が第2の組織として特定され、かつ、年収のように待遇が数値で表される場合、それらの複数の組織の待遇の統計量を採用競合情報として出力してもよい。統計量とは、データから計算できる平均値等の値又はその計算方法を表す関数のことである。
【0069】
人材管理システム1においては、ユーザとして登録されている組織の従業員(人材)に対する待遇に関する情報(年収等)が記憶されているものとする。競合情報生成部116は、例えば、A34において特定された第2の組織における従業員の年齢及び年収の情報を読み出して、読み出した年収に基づいて年齢別の年収の目安を示すグラフを採用競合情報として生成する。以下では、人材に対する待遇が、その人材の年収である場合を例に挙げて説明する。
【0070】
図9は、生成された採用競合情報の一例を示す図である。図9では、縦軸が年収を示し、横軸が年齢を示すグラフF2が示されている。グラフF2には、第2の組織の従業員の年齢別の年収を示す点と、それらの点の回帰直線L1とが示されている。回帰直線L1は、複数の第2の組織の各年齢における年収という待遇の値を示す統計量である。競合情報生成部116は、例えば、読み出した年齢及び年収に基づいて最小二乗法を用いて回帰直線L1を算出し、図9に示すグラフF2を採用競合情報として生成する。」
(1)本件訂正発明15について
ア 対比
本件訂正発明15と引用発明とを対比する。
(ア)「第1情報処理装置としての情報処理装置」について
引用発明の「サーバ20」は、「第1情報処理装置としての情報処理装置」と称し得るものであって、以下(イ)~(カ)の機能を有するものである。
よって、引用発明の「サーバ20」は、後述する相違点は別にして、本件特許発明15の「第1情報処理装置としての情報処理装置」に相当する。
(イ)「求職者、または求人企業が求めている人物像のいずれか一方を含み他方を含まない対象人材に関して記述されたテキスト情報を第2情報処理装置から取得する手段」について
引用発明の「SNSの自己紹介文」は、ユーザに関して記述された文章(テキスト)といえるから、本件訂正発明15と「対象人材に関して記述されたテキスト情報」である点で一致する。
また、引用発明が「SNSの自己紹介文」に関する情報を取得する手段を備えていることは自明である。
そうすると、本件訂正発明15と引用発明は、「対象人材に関して記述されたテキスト情報を取得する手段」を有している点で共通し、一方、以下の点で両者は相違する。
本件訂正発明15は、「対象人材」が「求職者、または求人企業が求めている人物像のいずれか一方を含み他方を含まない対象人材」であるのに対し、引用発明は、「対象人材」が「想定年収の提示を受けるユーザ」である点。
本件訂正発明15は、テキスト情報を「第2情報処理装置から」取得するものであるのに対し、引用発明にはそのような特定がなされていない点。
(ウ)「前記テキスト情報から第1特徴量を抽出する手段」について
引用発明の「スキルパラメータ」は、職種ごとに必要なスキルや、職種の経験年数を評価して数値化したものであり、また、SNSの自己紹介文の情報等から算出されるビジネススコア等を加味したものである。
すなわち、「スキルパラメータ」は、SNSの自己紹介文の情報等そのものではなく、それら情報を評価して数値化することで算出されるものであるところ、情報を評価して数値化することは、当該情報からその情報が有する特徴を抽出することといえる。
そうすると、引用発明の「スキルパラメータ」は、本件訂正発明15の「第1特徴量」に相当する。
したがって、引用発明において、「SNSの自己紹介文」を含む情報を評価して数値化することで「スキルパラメータ」を「算出する」ことは、本件特許発明15の「テキスト情報」から「第1特徴量」を「抽出する」ことに相当する。
よって、引用発明において「スキルパラメータ」を算出する「スコアリングモジュール2034」は、本件訂正発明15の「前記テキスト情報から第1特徴量を抽出する手段」に相当する。
(エ)「前記第1特徴量に収入予測モデルを適用することで、前記対象人材の収入ベンチマークを予測する手段」について
本件訂正発明15の「収入ベンチマーク」について、明細書等には次の事項が記載されている。
「【0048】
本明細書において、収入ベンチマークは、以下の少なくとも1つ意味で用いられる。
・求職者の求職者情報から予測される、当該求職者の適正収入(収入の相場)
・求職者が採用された場合に提示されるべき収入
・求人企業が求める人物像に合致する人物の適正収入(収入の相場)
・求人企業が採用を行う場合に採用される求職者に提示すべき収入」
このように、本件特許明細書には、「収入ベンチマーク」には、人物の「適正収入(収入の相場)」が含まれることが記載されている。
引用発明の「想定年収特定モジュール2036」は、「ユーザ職種受付モジュール2035にてユーザにより指定されたキャリア情報と、当該ユーザについて、スコアリングモジュール2034にて算出したスキルパラメータと、当該ユーザの職種から、収入予測モデルを用いて、当該ユーザについて想定される年収を特定する処理を制御」するものである。
ここで、引用発明の「ユーザについて想定される年収」は、スキルパラメータ等から収入予測モデルを用いて特定されるものであり、ユーザの年収(収入)の指標といえ、本件特許明細書に記載された人物の「適正収入(収入の相場)」に対応するものといえるから、「対象人材」についての上記(イ)の相違点を除いて、本件訂正発明15の「対象人材の収入ベンチマーク」に相当する。
また、引用発明の「収入予測モデル」は、スキルパラメータ等を入力とし、ユーザについて想定される年収を出力とするものであり、本件訂正発明15の「収入予測モデル」とその入出力が同一であるから、本件訂正発明15の「収入予測モデル」に相当する。
そうすると、上記(イ)のとおり、引用発明の「スキルパラメータ」が本件訂正発明15の「第1特徴量」に相当することを踏まえると、引用発明の「スキルパラメータ等から、収入予測モデルを用いて、当該ユーザについて想定される年収を特定する処理」は、「対象人材」についての上記(イ)の相違点を除いて、本件訂正発明15の「前記第1特徴量に収入予測モデルを適用することで、前記対象人材の収入ベンチマークを予測する」ことに相当するといえる。
してみると、引用発明の「想定年収特定モジュール2036」は、「対象人材」についての上記アの相違点を除いて、本件訂正発明15の「前記第1特徴量に収入予測モデルを適用することで、前記対象人材の収入ベンチマークを予測する手段」に相当する。
(オ)「前記対象人材の収入ベンチマークの予測結果を前記第2情報処理装置へ出力する手段」について
引用発明の「想定年収提示モジュール2037」は、「想定年収特定モジュール2036により特定された年収の情報を、当該ユーザに提示する処理を制御」するものである。
ここで、上記(エ)を踏まえると、引用発明の「想定年収特定モジュール2036により特定された年収の情報」は、本件訂正発明15の「対象人材の収入ベンチマークの予測結果」に相当するものといえる。
また、引用発明において、年収の情報をユーザに「提示する」ことは、当該情報をユーザが操作する端末10(サーバ20とは異なる端末)に「出力する」ことといえる。
そうすると、引用発明の「想定年収特定モジュール2036により特定された年収の情報を、当該ユーザに提示する処理」は、本件特許発明15の「前記対象人材の収入ベンチマークの予測結果を第2情報処理装置へ出力する」ことに相当するといえる。
してみると、引用発明の「想定年収提示モジュール2037」は、本件特許発明15と、「前記対象人材の収入ベンチマークの予測結果を第2情報処理装置へ出力する手段」という点で共通し、一方、以下の点で相違する。
本件訂正発明15は、前記対象人材の収入ベンチマークの予測結果を「前記」第2情報処理装置、すなわち、テキスト情報の取得元である第2情報処理装置に出力するものであるのに対し、引用発明にはそのような特定がなされていない点。
(カ)「前記収入予測モデルは、学習済みモデルである」について
引用発明において、ユーザの想定年収を特定するために用いられる「収入予測モデル」は、「機械学習モデル」でもよいものである。
そして、引用発明の「機械学習モデル」は、教師データとして機械学習が行われたものであるから、「学習済みモデル」といえる。
そうすると、引用発明は、本件特許発明15と、「前記収入予測モデルは、学習済みモデルである」点で一致する。
イ 一致点及び相違点
上記(1)で対比した事項を踏まえると、本件訂正発明1と甲1発明は、
「第1情報処理装置としての情報処理装置であって、
対象人材に関して記述されたテキスト情報を取得する手段と、
前記テキスト情報から第1特徴量を抽出する手段と、
前記第1特徴量に収入予測モデルを適用することで、前記対象人材の収入ベンチマークを予測する手段と、
前記対象人材の収入ベンチマークの予測結果を第2情報処理装置へ出力する手段と
を具備し、
前記収入予測モデルは、学習済みモデルである、
情報処理装置。」
という点で一致し、以下の点で相違している。
(相違点15-1)
本件訂正発明15は、「対象人物」が「求職者、または求人企業が求めている人物像のいずれか一方を含み他方を含まない対象人材」であるのに対し、引用発明は、「対象人材」が想定年収の提示を受けるユーザ」である点。
(相違点15-2)
本件訂正発明15は、テキスト情報を「第2情報処理装置から」取得するものであるのに対し、引用発明にはそのような特定がなされていない点。
(相違点15-3)
本件訂正発明15は、前記対象人材の収入ベンチマークの予測結果を「前記」第2情報処理装置、すなわち、テキスト情報の取得元である第2情報処理装置に出力するものであるのに対し、引用発明にはそのような特定がなされていない点。
ウ 判断
(ア)相違点15-1について
引用文献1には、上記「3(1)エ」のとおりの技術的事項1が記載されており、ここで、「求人情報を検索する者」は、本件特許発明15の「求職者」に相当する。
そして、引用発明の「ユーザ」は、「端末装置10を使用して想定年収提示システム1による想定年収の提示を受ける者」であるが、技術的事項1のとおり、当該ユーザが操作する端末装置10によって求人情報を検索できることから、引用発明において、「想定年収の提示を受けるユーザ」を「求職者」とすることに格別の困難性は認められない。
よって、相違点15-1に係る発明は、引用発明及び技術的事項1に基づいて、当業者が容易になし得たものである。
(イ)相違点15-2、相違点15-3について
本件訂正発明15は、テキスト情報を取得する先である第2情報処理装置に対して、対象人材の収入ベンチマークの予測結果を出力するものである。
すなわち、本件訂正発明15において、「テキスト情報」は、予測結果の出力先である第2情報処理装置から取得されるものである。
一方、引用発明において、「SNSの自己紹介文」(テキスト情報)は、端末装置10から取得されるものではない。
また、SNS上の情報は、SNSを管理するサーバが保有することが出願時の技術常識であり、引用発明において、端末装置10から当該情報を取得する構成とする技術的合理性や動機付けは認められない。
また、甲2~5には、上記「第4の3(2)~(5)」に示したとおりの記載があるのみで、上記相違点15-2及び相違点15-3に係る構成は記載されていない。
そして、上記相違点15-2及び相違点15-3に係る構成が本件特許の出願時の技術常識に鑑みて、周知技術であった又は当業者であれば自明であるとの合理的な理由もない。
したがって、本件訂正発明15は、引用発明及び甲2~甲5に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
エ 異議申立人の主張について
異議申立人は、令和7年11月28日に提出された意見書において、本件訂正発明15に関して、以下のとおり主張している。
「引用文献1(甲第1号証)の段落「0021」~「0026」には、端末装置10は、想定年収提示システム1による想定年収の提示を受けるユーザの操作を受け付け、サーバ20は、ユーザからキャリア情報を受け付け、当該ユーザについて想定される年収を特定し、当該ユーザヘ提示することが記載されている。
また、引用文献1(甲第1号証)の段落「0128」には、訂正特許発明15の「求職者、または求人企業が求めている人物像のいずれか一方を含み他方を含まない対象人材に関して記述されたテキスト情報を第2情報処理装置から取得する手段」に相当する事項が記載されている。
また、引用文献1(甲第1号証)の段落「0047」~「0069」には、訂正特許発明15の「テキスト情報から第1特徴量を抽出する手段」、「第1特徴量に収入予測モデルを適用することで、対象人材の収入ベンチマークを予測する手段」、「対象人材の収入ベンチマークの予測結果を第2情報処理装置(端末装置10)へ出力する手段」、「収入予測モデルは、学習済みモデルである」に相当する事項が記載されている。
従って、引用文献1(甲第1号証)のサーバ20は、訂正特許発明15の第1情報処理装置に相当し、引用文献1(甲第1号証)の端末装置10は、訂正特許発明15の第2情報処理装置に相当する。
このため、訂正後の請求項15 (訂正特許発明15)に係る発明は、依然として、引用文献1(甲第1号証)に記載の発明により進歩性を有さず、取り消されるべきものである。」(意見書第6~7頁)
上記主張について検討する。
本件訂正発明における「テキスト情報」について、明細書等には段落【0046】の「テキスト情報として、例えば自由記述式のテキストが想定されるが、選択式のテキスト、またはこれらの組み合わせであってもよい。」、段落【0067】の「特徴量の抽出(S131)の第1例として、サーバ30は、自然言語系の学習済みモデルに求職者情報またはその少なくとも一部に相当するテキスト情報を入力として与えることで求職者特徴量を取得する。かかる学習済みモデルとして、例えばBERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)などの深層学習モデル(自然言語処理モデル)が利用可能である。」、段落【0068】の「特徴量の抽出(S131)の第2例として、サーバ30は、求職者情報またはその少なくとも一部に相当するテキスト情報をルールベースで解析することで、求職者特徴量を生成する。例えば、サーバ30は、求職者情報に「チームをリード」、「後輩を指導」などのフレーズが含まれている場合に、マネジメント経験に関する特徴量を増加させてもよい。或いは、サーバ30は、求職者情報に「k8s」、「Rust」等のキーワードが含まれている場合に、最新の技術スキルに関する特徴量を増加させてもよい。」との記載がある。
そうすると、本件訂正発明における「テキスト情報」は、単なる数値や単語ではなく、履歴書などに記載された文章(文字列)を指すと解される。
他方、甲1には、「キャリア情報」として、【0062】や【0155】に職種の所属期間(従事期間)等が例示されているものの、上記「テキスト情報」の解釈を踏まえると、本件訂正発明15の「求職者、または求人企業が求めている人物像のいずれか一方を含み他方を含まない対象人材に関して記述されたテキスト情報」に相当するものは、「キャリア情報」として明示も示唆もされていない。
したがって、引用発明の「キャリア情報」は、本件訂正発明15の「職者、または求人企業が求めている人物像のいずれか一方を含み他方を含まない対象人材に関して記述されたテキスト情報」に相当するものとはいえない。
このため、甲1には「求職者、または求人企業が求めている人物像のいずれか一方を含み他方を含まない対象人材に関して記述されたテキスト情報を第2情報処理装置から取得する手段」、「テキスト情報から第1特徴量を抽出する手段」、「第1特徴量に収入予測モデルを適用することで、対象人材の収入ベンチマークを予測する手段」、「対象人材の収入ベンチマークの予測結果を第2情報処理装置(端末装置10)へ出力する手段」に相当する手段は記載されていない。
なお、上記ア(イ)のとおり、引用発明の「SNSの自己紹介文」は、ユーザに関して記述された文章(テキスト)といえるから、本件訂正発明15と「対象人材に関して記述されたテキスト情報」である点で一致するものである。
してみると、異議申立人の上記主張は採用できない。
なお、仮に、引用発明の「キャリア情報」が、本件訂正発明15の「求職者、または求人企業が求めている人物像のいずれか一方を含み他方を含まない対象人材に関して記述されたテキスト情報」に相当するものとしても、本件訂正発明15には、「前記テキスト情報」から「第1特徴量を抽出する手段」が特定されているところ、甲1には、「キャリア情報」から何かしらの特徴量を抽出することについて記載されていない。
そして、甲2~甲5にも、「キャリア情報」に対応する情報から特徴量を抽出することは記載されていないから、甲2~甲5の技術事項を踏まえても、当業者であっても、引用発明において、キャリア情報から特徴量を抽出する構成とすることが容易であったとはいえない。
オ 小括
上記ウ~エより、本件訂正発明15は、引用発明及び甲2~甲5に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(2)本件訂正発明1について
ア 引用発明A
上記「3(1)ウ」における引用発明は、サーバ20に係る発明であるが、サーバ20が実行する処理は、当該処理をサーバ20に実行させるためのプログラムにより実行されることは自明であるから、引用文献1には、引用発明をプログラムの発明として表現した、以下の引用発明Aが記載されているといえる。
(引用発明A)
「想定年収の提示を受けるユーザが操作する端末装置10と、サーバ20と、リポジトリサーバ30とを含む想定年収提示システム1におけるサーバ20を、
リポジトリサーバ30にアクセスしてユーザの各種パラメータを取得する手段、
取得した各種パラメータに基づき、各ユーザのエンジニアとしてのスキルを評価した値であるスキルパラメータを算出する処理を制御する手段、
ユーザにより指定されたキャリア情報と、当該ユーザについて算出したスキルパラメータと、当該ユーザの職種から、収入予測モデルを用いて、当該ユーザについて想定される年収を特定する処理を制御する手段、
特定された年収の情報を、当該ユーザに提示する処理を制御する手段、
として機能させ、
各ユーザの職種の経験とその経験を有するユーザの年収との関係に関する情報を教師データとして機械学習が行われた機械学習モデルからユーザの想定年収を特定してもよく、
スキルパラメータとは、個々のエンジニアに対して、職種ごとに必要なスキルや、職種の経験年数を評価して数値化したものであり、ビジネス力や発信力などをスコア化したビジネススコアや発信力スコアも加味したパラメータであってもよく、ビジネススコアは、SNSの自己紹介文と、職種および経験期間の情報とから算出され、発信力のスコアはSNSへの投稿数と、フォロワー数と、SNSでの投稿に対するコメント数から算出される、
プログラム」
イ 対比
本件訂正発明1と引用発明Aを対比する。
(ア)「求人企業が求めている人物像である対象人材に関して記述されたテキスト情報を取得する手段」について
上記「(1)ア(イ)」を踏まえると、本件訂正発明1と引用発明Aは、「対象人材に関して記述されたテキスト情報を取得する手段」を有している点で共通し、一方、以下の点で相違する。
本件訂正発明1は、「対象人材」が「求人企業が求めている人物像である対象人材」であるのに対し、引用発明は、「対象人材」が「想定年収の提示を受けるユーザ」である点。
(イ)本件訂正発明1に係るその余の記載について
上記「(1)ア(ウ)~(カ)」を踏まえると、本件訂正発明1と引用発明Aは、「コンピュータを、前記テキスト情報から第1特徴量を抽出する手段、前記第1特徴量に収入予測モデルを適用することで、前記対象人材の収入ベンチマークを予測する手段、前記対象人材の収入ベンチマークの予測結果を出力する手段、として機能させ、前記収入予測モデルは、学習済みモデルである、プログラム。」である点で一致する。
ウ 一致点及び相違点
上記イを踏まえると、本件訂正発明1と引用発明Aは、以下の相違点1-1で相違し、その他の点で一致する。
(相違点1-1)
本件訂正発明1は、「対象人材」が「求人企業が求めている人物像である対象人材」であるのに対し、引用発明Aは、「対象人材」が「想定年収の提示を受けるユーザ」である点。
エ 判断
引用文献1には、対象人材として「求人企業が求めている人物像である対象人材」を対象とすることは記載も示唆もされていない。
そして、上記「3(1)エ」の「引用文献1に記載されている技術的事項」を踏まえると、引用発明Aは、求人情報を検索する側の者を対象とするものと認められるのであって、引用発明Aを、求人企業側を対象とするものし、相違点1-1に係る構成とする動機付けは認められない。
また、甲2~5には、上記「第4の3(2)~(5)」に示したとおりの記載があるのみで、上記相違点1-1に係る構成は記載されていない。そのため、引用発明Aに甲2~5に記載された事項を適用しても、上記相違点1-1に係る構成には至らない。
そして、上記相違点1-1に係る構成が本件特許の出願時の技術常識に鑑みて、周知技術であった又は当業者であれば自明であるとの合理的な理由もない。
また、本件訂正発明1は、「求人企業が求めている人物像である対象人材」に関して記述されたテキスト情報に基づいて対象人材の収入ベンチマークを予測することで、「求人企業は、当該求人企業が求めている人物像の収入の相場を把握できるので、作成した求人情報の内容を見直したり、採用計画を立案する際の判断材料として収入ベンチマークを活用したりすることができる。」との効果を奏するものである。
したがって、本件訂正発明1は、引用発明A及び甲2~甲5に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(3)本件訂正発明2について
ア 対比
本件訂正発明2と引用発明Aを対比する。
(ア)「求職者である対象人材に関して記述されたテキスト情報として、前記対象人材の履歴書ファイルもしくは職務経歴書ファイル、または人材マッチングプラットフォーム上で入力された前記対象人材の求職者情報の少なくとも一方を取得する手段」について
上記「(1)ア(イ)」を踏まえると、本件訂正発明1と引用発明Aは、「対象人材に関して記述されたテキスト情報を取得する手段」を有している点で共通し、一方、以下の点で相違する。
本件訂正発明2は、「対象人材」が「求職者」であるのに対し、引用発明Aは、「対象人材」が「想定年収の提示を受けるユーザ」である点。
本件訂正発明2は、「テキスト情報」が「前記対象人材の履歴書ファイルもしくは職務経歴書ファイル、または人材マッチングプラットフォーム上で入力された前記対象人材の求職者情報の少なくとも一方」であるのに対し、引用発明Aにはそのような特定がなされていない点。
(イ)本件訂正発明2に係るその余の記載について
上記「(1)ア(ウ)~(カ)」を踏まえると、本件訂正発明2と引用発明Aは、「コンピュータを、前記テキスト情報から第1特徴量を抽出する手段、前記第1特徴量に収入予測モデルを適用することで、前記対象人材の収入ベンチマークを予測する手段、前記対象人材の収入ベンチマークの予測結果を出力する手段、として機能させ、前記収入予測モデルは、学習済みモデルである、プログラム。」である点で一致する。
イ 一致点及び相違点
上記アを踏まえると、本件訂正発明1と引用発明Aは、以下の相違点2-1及び相違点2-2で相違し、その他の点で一致する。
(相違点2-1)
本件訂正発明2は、「対象人材」が「求職者」であるのに対し、引用発明Aは、「対象人材」が「想定年収の提示を受けるユーザ」である点。
(相違点2-2)
本件訂正発明2は、「テキスト情報」が「前記対象人材の履歴書ファイルもしくは職務経歴書ファイル、または人材マッチングプラットフォーム上で入力された前記対象人材の求職者情報の少なくとも一方」であるのに対し、引用発明Aにはそのような特定がなされていない点。
ウ 判断
事案に鑑み、相違点2-1及び相違点2-2をまとめて判断する。
引用発明Aの「想定年収の提示を受けるユーザ」は、「求職者」ではないため、引用発明Aの「SNSの自己紹介文」を、「前記対象人材の履歴書ファイルもしくは職務経歴書ファイル、または人材マッチングプラットフォーム上で入力された前記対象人材の求職者情報の少なくとも一方」にしようとする動機付けはない。
そして、上記「第4の3(1)エ」の技術的事項1を考慮しても、「想定年収の提示を受けるユーザ」は、「SNSの自己紹介文」などを用いて、「想定年収」を取得して、その結果に基づいて、ユーザは、年収を上げたいと希望する場合に経験すべき具体的な職種に対して、実際に応募できるようにするものであって、実際に応募するときには、正式に履歴書等を用意することが一般的である。
そうすると、引用発明Aにおいて、「想定年収の提示を受けるユーザ」を「求職者」とすることが当業者に容易な事項であるとしても(相違点2-1)、このとき、「SNSの自己紹介文」を、「前記対象人材の履歴書ファイルもしくは職務経歴書ファイル、または人材マッチングプラットフォーム上で入力された前記対象人材の求職者情報の少なくとも一方」としようとする動機付けはない。
また、甲2~5には、上記「第4の3(2)~(5)」に示したとおりの記載があるのみで、上記相違点2-2に係る構成は記載されていない。そのため、引用発明Aに甲2~5に記載された事項を適用しても、上記相違点2-2に係る構成には至らない。
そして、上記相違点2-2に係る構成が本件特許の出願時の技術常識に鑑みて、周知技術であった又は当業者であれば自明であるとの合理的な理由もない。
エ 異議申立人の主張について
異議申立人は、上記意見書において、以下(ア)~(ウ)のとおり主張している。
(ア)「引用文献1(甲第1号証)の段落「0128」には、「ステップS323において、サーバ20の想定年収特定モジュール2036は、ステップS3 2 1で受け付けたユーザのキャリア情報と、ステップS322で算出した当該ユーザについてのスキルパラメータとから、収入予測モデルデータベース2024に格納されている収入予測モデルに基づき、当該ユーザについて想定される年収を特定する。このとき、ユーザにより指定されたキャリア情報として職種が複数ある場合、職種ごとに当該職種の所属期間(従事期間)を受け付け、経験期間(年数)が長い当該ユーザの職種を優先して、当該ユーザについて想定される年収を特定してもよい。」と記載されている。
すなわち、引用文献1では、ユーザの収入を予測する情報として、ユーザのキャリア情報も利用されている。そして、このユーザのキャリア情報は、訂正特許発明2の「対象人材の履歴書ファイルもしくは職務経歴書ファイル、または人材マッチングプラットフォーム上で入力された前記対象人材の求職者情報」に相当する。
従って、特許権者が相違点として述べている「対象人材の履歴書ファイルもしくは職務経歴書ファイル、または人材マッチングプラットフォーム上で入力された対象人材の求職者情報の少なくとも一方であるテキスト情報の特徴量を抽出して収入ベンチマークを予測する点」については引用文献1に開示もしくは示唆がされている。
なお、訂正特許発明2では、「対象人材の履歴書ファイルもしくは職務経歴材の求職者情報」にどのような情報が含まれるかまでは特定しておらず、訂正特許発明2の「対象人材の履歴書ファイルもしくは職務経歴書ファイル、または人材マッチングプラットフォーム上で入力された対象人材の求職者情報」に引用文献1(甲第1号証)の段落「0128」に記載される「ユーザのキャリア情報」が含まれることは明らかである。」(意見書第4~5頁)
(イ)「また、引用文献1(甲第1号証)の段落「0017」~「0019」には、GitHub(登録商標)から各種パラメータからユーザのエンジニアとしてのスキルを評価したスキルパラメータを算出し、このスキルバラメータと、当該ユーザの職種から、他の各ユーザのキャリア情報、企業の求人情報や各ユーザから受け付けた年収の情報に基づき、当該ユーザの想定年収を特定することが記載されている。さらに、GitHubは、本件特許出願以前からエンジニアの採用に利用されていることから、GitHub上の情報は、いわば対象人材の履歴書ファイルもしくは職務経歴書ファイル、または人材マッチングプラットフォーム上で入力された対象人材の求職者情報ということができる。
例えば、引用文献1(甲第1号証)の段落「0098」には、「項目「ログ/キャリア詳細」は、想定年収提示システム1にて特定された年収の提示を受けるユーザの、GitHubにおけるログ情報の各種パラメータから取得された過去の職種に関する情報、および自己申告等による過去の職種に関する情報であり、具体的には、項目「社内/社外」と、項目「プロジェクトID」と、項目「職種名」と、項目「経験年数」と、項目「所属時期」と、項目「年収」等を含む。」と記載されており、GitHubの情報を対象人材の履歴書ファイルもしくは職務経歴書ファイル、または人材マッチングプラットフォーム上で入力された対象人材の求職者情報として利用していることが明示もしくは示唆されている。
そして、上述した通り、訂正特許発明2では、「対象人材の履歴書ファイルもしくは職務経歴書ファイル、または人材マッチングプラットフォーム上で入力された対象人材の求職者情報」にどのような情報が含まれるかまでは何ら特定していないのであるから、訂正特許発明2の「対象人材の履歴書ファイルもしくは職務経歴書ファイル、または人材マッチングプラットフォーム上で入力された対象人材の求職者情報」に引用文献1(甲第1号証)の段落「00 1 7」から「0019」に記載される「GitHub上の情報」も含まれることは明らかである。
なお、特徴量については、パラメータ化することについてまでは特定されておらず、対象人材の履歴書ファイルもしくは職務経歴書ファイル、または人材マッチングプラットフォーム上で入力された対象人材の求職者情報から何らかの特徴を抽出した場合も含まれる記載となっている。」(意見書第5頁)
(ウ)「また、特許権者は、「「『求人情報を検索するユーザ』を対象とした場合、当該ユーザの履歴書等の情報を取得することは自明である。」と認定されているが、引用文献1には、ユーザの履歴書等から取得できるテキスト情報を特徴量に変換して、収入ベンチマークを予測することは開示も示唆もされてない。」と述べているが失当である。
すなわち、収入ベンチマークを予測するために、取得する情報の情報源を置き換えたというに過ぎず、また、置き換えることに阻害要因がなく格別の困難性もない。さらに、置き換えたことによる効果も予測可能な域を出ないものである。
従って、訂正後の請求項2に係る発明(訂正特許発明2)は、依然として、引用文献1(甲第1号証)に記載の発明により進歩性を有さず、取り消されるべきものである。」(意見書第5~6頁)
上記主張について検討する。
(ア)~(ウ)について、上記ウのとおり、上記「第4の3(1)エ」の技術的事項1を考慮しても、「想定年収の提示を受けるユーザ」は、「SNSの自己紹介文」などを用いて、「想定年収」を取得して、その結果に基づいて、ユーザは、年収を上げたいと希望する場合に経験すべき具体的な職種に対して、実際に応募できるようにするものであって、実際に応募するときには、正式に履歴書等を用意することが一般的であるから、引用発明Aにおいて、「SNSの自己紹介文」を、「前記対象人材の履歴書ファイルもしくは職務経歴書ファイル、または人材マッチングプラットフォーム上で入力された前記対象人材の求職者情報の少なくとも一方」としようとする動機付けはないことから、引用文献1には、「対象人材の履歴書ファイルもしくは職務経歴書ファイル、または人材マッチングプラットフォーム上で入力された対象人材の求職者情報の少なくとも一方であるテキスト情報の特徴量を抽出して収入ベンチマークを予測する点」は記載も示唆もされておらず、取得する情報の情報源を置き換えたということもできず(主張(ア)、(ウ))、訂正特許発明2の「対象人材の履歴書ファイルもしくは職務経歴書ファイル、または人材マッチングプラットフォーム上で入力された対象人材の求職者情報」に引用文献1(甲第1号証)の段落「0017」から「0019」に記載される「GitHub上の情報」も含まれるとすることはできない(主張(ア)、(イ))。
なお、GitHub上の情報は、一般的に、公開されたリポジトリやプロジェクトに関するものであり、個々の求職者に関する情報を体系的に履歴書ファイルや職務経歴書ファイルとしてまとめたものではないため、「いわば対象人材の履歴書ファイルもしくは職務経歴書ファイル、または人材マッチングプラットフォーム上で入力された対象人材の求職者情報ということができる。」ということはできない。
してみると、異議申立人の上記主張はいずれも採用できない。
オ 小括
したがって、本件訂正発明2は、引用発明A及び甲2~甲5に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(4)本件訂正発明3、9~12について
本件訂正発明3、9~12は、本件訂正発明2の構成に限定を加えて減縮したものであり、これらの請求項に係る発明は、いずれも、上記(3)ウに示した上記相違点2-1及び相違点2-2に係る構成を有しているから、上記「(3)本件訂正発明2について」で示したのと同様の理由により、引用発明A及び甲2~甲5に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(5)本件訂正発明4について
ア 対比
本件訂正発明4と引用発明Aを対比する。
(ア)「前記対象人材の収入ベンチマークは、前記求人企業が求めている人物像に合致する人物の収入の相場、または当該求人企業が採用を行う場合に採用される求職者に提示すべき収入であり」について
本件訂正発明4の「前記対象人材の収入ベンチマーク」は、「前記求人企業が求めている人物像に合致する人物の収入の相場、または当該求人企業が採用を行う場合に採用される求職者に提示すべき収入」であるのに対し、引用発明Aには、そのような特定がなされていない点で両者は相違する。
(イ)「前記テキスト情報を取得する手段は、人材マッチングプラットフォーム上で入力された前記求人企業が求める人物像に関する求人情報を取得する」について
本件訂正発明4の「前記テキスト情報を取得する手段」は、「人材マッチングプラットフォーム上で入力された前記求人企業が求める人物像に関する求人情報を取得する」ものであるのに対し、引用発明Aには、そのような特定がなされていない点で両者は相違する。
(ウ)本件訂正発明4に係るその余の記載について
上記「(1)ア(イ)~(カ)」を踏まえると、本件訂正発明4と引用発明Aは、「コンピュータを、対象人材に関して記述されたテキスト情報を取得する手段、前記テキスト情報から第1特徴量を抽出する手段、前記第1特徴量に収入予測モデルを適用することで、前記対象人材の収入ベンチマークを予測する手段、前記対象人材の収入ベンチマークの予測結果を出力する手段、として機能させ、 前記収入予測モデルは、学習済みモデルである、プログラム」である点で共通し、一方、以下の点で相違する。
本件訂正発明4は、「対象人材」が「求職者、または求人企業が求めている人物像のいずれか一方を含み他方を含まない者」であるのに対し、引用発明Aは、「対象人材」が「想定年収の提示を受けるユーザ」である点。
イ 一致点及び相違点
上記アを踏まえると、本件訂正発明4と引用発明Aは、以下の相違点4-1~4-3で相違し、その他の点で一致する。
(相違点4-1)
本件訂正発明4は、「対象人材」が「求職者、または求人企業が求めている人物像のいずれか一方を含み他方を含まない者」であるのに対し、引用発明Aは、「対象人材」が「想定年収の提示を受けるユーザ」である点。
(相違点4-2)
本件訂正発明4の「前記対象人材の収入ベンチマーク」は、「前記求人企業が求めている人物像に合致する人物の収入の相場、または当該求人企業が採用を行う場合に採用される求職者に提示すべき収入」であるのに対し、引用発明Aには、そのような特定がなされていない点
(相違点4-3)
本件訂正発明4の「前記テキスト情報を取得する手段」は、「人材マッチングプラットフォーム上で入力された前記求人企業が求める人物像に関する求人情報を取得する」ものであるのに対し、引用発明Aには、そのような特定がなされていない点。
ウ 判断
事案に鑑み、相違点4-1及び相違点4-3について検討する。
相違点4-1及び相違点4-3は、上記(3)イの相違点2-1及び相違点2-2と同じ相違点であり、その判断は、同ウのとおりであるから、引用発明Aに甲2~5に記載された事項を適用しても、上記相違点4-3に係る構成には至らない。なお、本件訂正発明4の「対象人材」が「求人企業」の場合について、上記(2)イの相違点1-1と同じ相違点であり、その判断は、同エのとおりであるから、引用発明Aに甲2~5に記載された事項を適用しても、上記相違点4-3に係る構成には至らないことは明らかである。
また、甲2~5には、上記「第4の3(2)~(5)」に示したとおりの記載があるのみで、上記相違点4-3に係る構成は記載されていない。
そして、上記相違点4-3に係る構成が本件特許の出願時の技術常識に鑑みて、周知技術であった又は当業者であれば自明であるとの合理的な理由もない。
したがって、本件訂正発明4は、引用発明A及び甲2~甲5に記載された技術事項に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(6)本件訂正発明5~8について
本件訂正発明5~8、本件訂正発明4の構成に限定を加えて減縮したものであり、これらの請求項に係る発明は、いずれも、上記(5)ウに示した上記相違点4-1~相違点4-3に係る構成を有しているから、上記「(5)本件訂正発明4について」で示したのと同様の理由により、引用発明A及び甲2~甲5に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(7)本件訂正発明13について
ア 対比
本件訂正発明13と引用発明Aを対比する。
(ア)「前記収入予測モデルは、学習データを用いた教師あり学習により構築され、前記学習データは、学習用の第1特徴量と、当該学習用の第1特徴量に対応する正解データとを含み」について
引用発明Aは、「各ユーザの職種の経験とその経験を有するユーザの年収との関係に関する情報を教師データとして機械学習が行われた機械学習モデルからユーザの想定年収を特定」してもよいものである。
ここで、引用発明Aの「教師データ」、「各ユーザの職種の経験」、「その経験を有するユーザの年収」は、それぞれ、本件訂正発明13の「学習データ」、「学習用の第1特徴量」、「当該学習用の第1特徴量に対応する正解データ」に相当する。
そして、引用発明Aにおける機械学習は、各ユーザの職種の経験とその経験を有するユーザの年収との関係に関する情報を教師データとするものであるから、教師あり学習といえる。
してみると、引用発明Aの「機械学習モデル」は、本件訂正発明13と「前記収入予測モデル」と、「学習データを用いた教師あり学習により構築され、前記学習データは、学習用の第1特徴量と、当該学習用の第1特徴量に対応する正解データとを含」むものである点で一致する。
(イ)「前記学習用の第1特徴量は、前記求職者と同一または異なる求職者が過去の求職活動において用いた求職者情報から抽出され、当該学習用の第1特徴量に対応する正解データは、当該過去の求職活動において求人側が提示した収入の値である」について
引用発明Aには、「各ユーザの職種の経験」が、ユーザが過去の求職活動において用いた情報から抽出されることや、「その経験を有するユーザの年収」が、当該過去の求職活動において求人側が提示した収入の値であることは特定されていない点で両者は相違する。
(ウ)本件訂正発明13に係るその余の記載について、
上記「(1)ア(イ)~(カ)」を踏まえると、本件訂正発明13と引用発明Aは、「コンピュータを、対象人材に関して記述されたテキスト情報を取得する手段、前記テキスト情報から第1特徴量を抽出する手段、前記第1特徴量に収入予測モデルを適用することで、前記対象人材の収入ベンチマークを予測する手段、前記対象人材の収入ベンチマークの予測結果を出力する手段、として機能させ、 前記収入予測モデルは、学習済みモデルである、プログラム」である点で共通し、一方、以下の点で相違する。
本件訂正発明13は、「対象人材」が「求職者、または求人企業が求めている人物像のいずれか一方を含み他方を含まない者」であるのに対し、引用発明Aは、「対象人材」が「想定年収の提示を受けるユーザ」である点。
イ 一致点及び相違点
上記アを踏まえると、本件訂正発明13と引用発明Aは、以下の相違点13-1及び相違点13-2で相違し、その他の点で一致する。
(相違点13-1)
本件訂正発明13は、「対象人材」が「求職者」であるのに対し、引用発明Aは、「対象人材」が「想定年収の提示を受けるユーザ」である点。
(相違点13-2)
本件訂正発明13において「前記学習用の第1特徴量は、前記求職者と同一または異なる求職者が過去の求職活動において用いた求職者情報から抽出され、当該学習用の第1特徴量に対応する正解データは、当該過去の求職活動において求人側が提示した収入の値である」のに対し、引用発明Aには、「各ユーザの職種の経験」が、ユーザが過去の求職活動において用いた情報から抽出されることや、「その経験を有するユーザの年収」が、当該過去の求職活動において求人側が提示した収入の値であることは特定されていない点。
ウ 判断
事案に鑑み、相違点13-1及び相違点13-2をまとめて検討する。
相違点13-1は、上記(3)イの相違点2-1と同じ相違点であるから、引用発明Aに基づいて、上記相違点13-1に係る構成とすることは、当業者が容易に想到することができたものである。
しかしながら、上記相違点13-2について、上記「第4の3(1)エ」の技術的事項1および、「想定年収の提示を受けるユーザ」は、「SNSの自己紹介文」などを用いて、「想定年収」を取得して、その結果に基づいて、ユーザは、年収を上げたいと希望する場合に経験すべき具体的な職種に対して、実際に応募できるようにするものであることを勘案しても、引用発明Aにおいて、「各ユーザの職種の経験」を、ユーザが過去の求職活動において用いた情報から抽出されたものであること、「その経験を有するユーザの年収」を、当該過去の求職活動において求人側が提示した収入の値にとしようとする動機付けはない。
また、甲2~5には、上記「第4の3(2)~(5)」に示したとおりの記載があるのみで、上記相違点13-2に係る構成は記載されていない。
そして、上記相違点13-2に係る構成が本件特許の出願時の技術常識に鑑みて、周知技術であった又は当業者であれば自明であるとの合理的な理由もない。
したがって、本件訂正発明13は、引用発明A及び甲2~甲5に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(8)本件訂正発明14について
本件訂正発明14は、本件訂正発明2の「プログラム」に係る発明を、「方法」の発明として表現したものであり、上記「(3)本件訂正発明2について」で検討したのと同様に、引用発明を方法の発明として表現した発明及び甲2~甲5に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(9)本件訂正発明16について
本件訂正発明16は、本件訂正発明15の「情報処理装置」に係る発明を、「システム」として表現したものであり、上記「(1)本件訂正発明15について」で検討したのと同様に、引用発明をシステムの発明として表現した発明及び甲2~甲5に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
申立人がする上記「第4」以外の主張は、次のとおりである。
なお、理由番号は当審で付与した。
請求項1~12及び請求項14~16に係る特許は、発明の詳細な説明において「発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲」を超えるものであるため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
申立人は、特許異議申立書において、「本願明細書の「発明が解決しようとする課題」(明細書段落0006)には、「・・・求職者が自己の適正収入を知りたいという要求や、企業が求める人物像に合致するとして採用される求職者に対して提示を予定している収入が妥当かを知りたいような場合には、一致度による解析では予測精度が十分ではなく、有用な情報を提供できないことがあった。」と記載されており、本願発明が、求職者又は求人に対する妥当な収入を提示する、ことを解決しようとする課題としていることは明らかである。
しかしながら、請求項1には、単に「学習済みモデル」としか記載されておらず、「学習済みモデル」が何を学習したものかが何ら特定されていない。このため、求職者、または求人企業が求めている人物像のいずれか一方を含み他方を含まない対象人材に関して記述されたテキスト情報から抽出される第1特徴量に収入子測モデルを適用した際に予測される対象人材の収入ベンチマークが妥当性を有するものであることを担保することができず、課題を解決しているとは言えない。
したがって、請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明において「発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲」を超えており、請求項1の記載がサポート要件を満たしていないことは明らかである(審査基準第二部 第2章 第2節 2,1)。
また、「学習済みモデル」が何を学習したものかが何ら特定されていない請求項2~12及び請求項14~16に係る発明についても同様である。」と主張している。(特許異議申立書第30頁21行~31頁2行)
上記主張について検討する。
申立人による「「学習済みモデル」が何を学習したものかが何ら特定されていないため、予測される対象人材の収入ベンチマークが妥当性を有するものであることを担保することができない」との主張は、要するに、「学習済みモデル」の具体的な内容や学習データの詳細が発明の詳細な説明に十分に記載されていないと主張するものと解されるところ、当該主張は、発明の詳細な説明の記載が、本願発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものであるとはいえないとする、実施可能要件に対応するものであって、請求項に係る発明が発明の詳細な説明に記載した範囲を超えるものであってはならない旨を規定するサポート要件に対応するものとは認められない。
そのため、申立人の主張に理由はないものの、以下では、本件訂正発明がサポート要件を満たすかについて、請求項に係る発明が、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲を超えているかという観点で検討する。
本件訂正発明が解決しようとする課題は、求職者又は求人に対する妥当な収入を提示することにあるものと認められる。
そして、明細書等には、当該課題を解決するための一実施態様として、例えば、「本実施形態のサーバ30は、図6に示すように、
ユーザUS1から取得した求職者情報に基づいて当該ユーザUS1の収入ベンチマークを予測してもよい。すなわち、かかる求職者情報は、ユーザUS1に関して記述されたテキスト情報に相当するが、サーバ30は当該テキスト情報から特徴量を抽出する。
テキスト情報として、例えば自由記述式のテキストが想定されるが、選択式のテキスト、またはこれらの組み合わせであってもよい。
サーバ30は、抽出した特徴量に収入予測モデルを適用することで、ユーザUS1の収入ベンチマークを予測し、予測結果を求職側端末10へ送信する。
」(【0046】)と記載されている。
加えて、明細書等の段落【0067】~【0068】には、学習済みモデルの具体例が記載されており、段落【0071】、【0095】、【0142】、【0152】には、収入予測モデルの教師あり学習に用いられる学習データの具体例が記載されている。
これらの記載を踏まえれば、明細書等には、学習済みモデルや収入予測モデルについて、上記課題を解決するための具体的な実施形態の説明があると認められる。
そして、本件訂正発明1には、「求人企業が求めている人物像である対象人材に関して記述されたテキスト情報を取得する手段」、「前記テキスト情報から第1特徴量を抽出する手段」、「前記第1特徴量に収入予測モデルを適用することで、前記対象人材の収入ベンチマークを予測する手段」、「前記対象人材の収入ベンチマークの予測結果を出力する手段」が特定されており、発明の詳細な説明に記載された、発明の課題を解決するための手段が反映されているといえる。
上記のとおりであるから、本件訂正発明1は、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲を超えて特許を請求するものとはいえないから、発明の詳細な説明に記載したものである。
本件訂正発明2~16についても同様である。
したがって、本件訂正発明はサポート要件を満たすものである。
以上のとおりであるから、本件特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、本件訂正後の請求項1~16について訂正することを認める。
本件訂正後の請求項1~16に係る特許は、特許異議申立書に記載された申立理由及び取消理由通知に記載した取消理由によっては、取り消すことができない。
また、他に本件訂正後の請求項1~16に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、上記の結論のとおり決定する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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