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Trademark Appeal Case

記述的商標の使用による識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2023000698
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

理 由

1 手続の経緯

本願は、平成29年7月20日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成30年 3月 8日付け:拒絶理由通知書

平成30年 4月23日 :意見書の提出

平成30年 8月 1日付け:物件提出指示書

平成30年 9月14日差出:物件提出書の提出

平成30年12月26日付け:物件提出指示書

平成31年 2月18日差出:物件提出書の提出

平成31年 3月14日付け:物件提出指示書

平成31年 4月26日 :上申書の提出

令和 2年 4月10日付け:物件提出指示書

令和 4年10月13日付け:拒絶査定

令和 5年 1月16日 :審判請求書の提出

令和 6年 4月12日付け:審尋

令和 6年 8月21日 :回答書の提出

2 本願商標

本願商標は、別掲1の構成よりなり、商標法第5条第6項ただし書きの適用を受けようとするものであり、第3類「クレンジングオイル」を指定商品として登録出願されたものである。

3 原査定の拒絶の理由(要旨)

(1)商標法第3条第1項第3号該当性について

本願商標は、別掲1の構成よりなるところ、近時、各種のレタリング文字が広く使用され、様々なデザイン化が行われている現状にあっては、文字に枠を付す表現方法は、文字を強調するために通常行われている表現方法のひとつにすぎないものであり、需要者の注意を格別にひくものとなっているとは認められないから、本願商標の構成態様は、いまだ普通に用いられる方法の域を脱しない方法で表示してなるものといえる。

また、その構成中の「DEEP」の文字は、「深いさま」程の意味を表し、「CLEANSING OIL」の文字は、「化粧品の1。化粧や肌の汚れを落とすのに使う、オイル状の洗浄剤。」程の意味を表すものであり、本願の指定商品「クレンジングオイル」の欧文字表記と認識されるものである。さらに、化粧品を取り扱う業界では、毛穴の奥深くの汚れまで落とすクレンジングオイルが製造・販売されており、そのような商品を表すものとして、「DEEP CLEANSING OIL」を片仮名表記した「ディープクレンジングオイル」の文字が使用されている実情がある。

そうすると、本願商標を、その指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者は、「毛穴の奥深くの汚れまで落とすクレンジングオイル」であることを認識するにとどまり、本願商標は、単に商品の品質、効能を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものというべきである。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

(2)商標法第3条第2項に規定する要件を具備するか否かについて

出願人の主張及び提出した各号証により、出願人は、1995年12月以降現在に至るまで、本願商標を指定商品に使用していると認められるとしても、現在においては、出願人以外の者が、「DEEP CLEANSING OIL」の文字と社会通念上同一の商標と認められる「ディープクレンジングオイル」、「DEEP CLEANSING OIL」及び「Deep Cleansing Oil」の各文字が、「毛穴の奥深くの汚れまで落とすクレンジングオイル」程度の意味合いで、本願の指定商品に使用しているから、もはや、本願商標と社会通念上同一の商標と認められる「ディープクレンジングオイル」、「DEEP CLEANSING OIL」及び「Deep Cleansing Oil」の商標の使用された商品に接した取引者・需要者にとって、それが出願人の業務に係る商品を表示するものとして認識されるとは言い難いものである。

そうすると、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものになっているとはいえない。

したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備しない。

4 当審における審尋(要旨)

当審において、令和6年4月12日付け審尋により、別掲2及び別掲3に掲げる事実を提示した上で、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当し、また、同条第2項に規定する要件を具備しない旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、請求人に対し、意見を求めた。

5 審尋に対する請求人の回答(要旨)

請求人は、上記4の審尋に対し、令和6年8月21日に回答書を提出し、要旨以下のとおりの意見を述べた。

(1)商標法第3条第1項第3号該当性について

ア 本願商標は、「白色の背景」を構成要素とすることで、「横長長方形の図形部分」は輪郭として一般的に用いられる図形として把握されるべきではなく、「黒色の太枠」「白色の背景」「黒色の太文字」、即ち、「黒白黒」という明度差が最も大きい配色を用いて、極限までにコントラストを高めたロゴ商標として把握されるべきであり、ロゴ商標である以上、自他商品の識別力を有しているものである。また、審尋で示されたラベルのうち、本願商標のように「白色の横長の長方形」かつ「黒色の太字の枠」という2つの要素を満たすラベルは一例もない。

イ 「GU」に係る審決例は、青色の正方形と、黄色の文字という2つの色彩を構成要素とし、青色の背景が図形部分と文字部分とを繋ぎ合わせる要素となり、一体的なデザインとして判断されたため、第3条第2項の適用を受けずに登録されたことから、本願商標も全体としてまとまりよい、一体的なデザインとして認識されるべきであり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものである。

ウ 以上のことからすると、本願商標は、その商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標ではなく、商標法第3条第1項第3号に該当しない。

(2)商標法第3条第2項に規定する要件を具備するか否かについて

ア 本件に関連した無効2012-890026号事件についての知的財産高等裁判所平成25年(行ケ)第10011号判決(以下「参考判決」という。)では、「DEEP CLEANSING OIL」等の文字部分から称呼・観念は生じず、外観上非類似であるとして商標の類否を判断したものと考えられるから、本願商標と、他社が使用している図形要素を伴わない「DEEP CLEANSING OIL」等の文字商標とは、外観上類似しないことになるため、請求人以外の者が本願商標と同一又は類似する標章を使用している事実はない。

イ 本願商標と同一又は類似する標章が、請求人以外の者によって使用されている事実はない理由としては、他社が本願商標と同一又は類似の商標を使用すれば、不正競争防止法によって差止請求等の対象になるからである。

ウ 提出した資料やデータ等から、本願商標は、現在に至るまで指定商品「クレンジングオイル」について継続的、かつ、全国的に使用され続けており、本願商標を付した本件商品は、販売数量、販売金額、シェアなどにおいて現在でも極めて高い販売実績を示している。

エ 以上のことからすると、本願商標は、使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものであるといえ、商標法第3条第2項の要件を具備するといえる。

6 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号該当性について

本願商標は、別掲1のとおり、横長の長方形内に「DEEP」「CLEANSING」及び「OIL」の各文字を、その中心をそろえて上下三段に横書きしてなり(以下「文字部分」という場合がある。)、横長の長方形内の色彩は、「白色」である旨を表示した商標法第5条第6項ただし書きの適用を主張した出願である。

そして、その構成中、「DEEP CLEANSING」又は「CLEANSING OIL」を片仮名で表した「ディープクレンジング」又は「クレンジングオイル」の文字は「毛穴の汚れや古い角質など皮膚の深部の汚れを落とすこと。また、その洗浄剤。」又は「化粧品の1。化粧や肌の汚れを落とすのに使う。オイル状の洗浄剤。」の意味(いずれも「コンサイスカタカナ語辞典第4版」株式会社三省堂)をそれぞれ表す語であるから、「ディープクレンジングオイル」を英語で表した本願商標の文字部分からは「毛穴の汚れや古い角質など皮膚の深部の汚れを落とすオイル状の洗浄剤」の意味合いを容易に認識し得るものである。

また、本願の指定商品である「クレンジングオイル」を取り扱う分野では、本願商標に通ずる「Deep」「Cleansing」及び「Oil」の文字を上下三段に横書きしたもの、「DEEP CLEANSING OIL」、「Deep Cleansing Oil」及び「ディープクレンジングオイル」の文字が、「毛穴の汚れや古い角質など皮膚の深部の汚れを落とすオイル状の洗浄剤」ほどの意味合いで一般に使用されている実情が確認できる(原審における用例及び別掲2)。

さらに、商取引において標章のデザイン化は一般に広く行われるところ、その構成中、欧文字部分を囲っている横長長方形の枠線部分は、ごく普通に用いられる一般的なデザインであり、加えて、本願の指定商品を含む「化粧品」を取り扱う分野では、白地の長方形内又は白地の長方形に配した長方形の枠線内に商品名等を表したラベル様のものを商品の包装容器に付して若しくは描いて販売することが一般に行われている実情も確認できる(別掲3)。

そうすると、本願商標をその指定商品である「クレンジングオイル」に使用する場合、これに接する取引者・需要者に、請求人の取り扱いに係る商品であることを認識させるよりも、その文字部分より「毛穴の汚れや古い角質など皮膚の深部の汚れを落とすオイル状の洗浄剤」という商品の品質を表示したものと認識、理解させるにとどまるというのが相当である。

また、本願商標の文字部分は、特異な態様からなるものとはいい難く、一見して「DEEP」「CLEANSING」及び「OIL」の文字からなるものと視認し得るものであるから、普通に用いられる方法の域を脱しない方法で表示されたものというのが相当である。

加えて、上記実情を踏まえれば、本願商標の横長長方形部分は、特異な態様からなるものとはいい難く、指定商品を取り扱う業界では、一般的に使用される文字部分の輪郭枠及び白色の背景色を表したものと認識されるもので、自他商品の識別標識の機能を果たすものとはいえない。

してみると、本願商標は、その構成全体をもってしても、殊更特異なものとはいえないものであり、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから商標法第3条第1項第3号に該当する。

(2)商標法第3条第2項に規定する要件を具備するか否かについて

請求人は、令和5年1月16日付け審判請求書及び同6年8月21日提出の回答書において、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するとしても、本願商標を「クレンジングオイル」(以下「請求人商品」という。)について長年にわたり使用した結果、本願商標は知名度の高い商標となっており、需要者が出願人の業務に係る商品であることを認識することができる商標であることは明らかであり、同法第3条第2項の要件を具備するものである旨主張し、審査段階で提出した甲第1号証ないし甲第281号証を援用し、当審において、甲第282号証ないし甲第330号証を提出している(以下、表記に当たっては「甲○」(「○」部分は数字)のように省略して記載する。)。

そこで、提出された資料及びそれに基づく請求人の主張を検討するに、請求人が本願商標を継続的かつ、全国的に使用していると主張する請求人商品は、遅くとも1995年12月から2024年7月にかけて、全国紙である新聞への広告の掲載,女性向け雑誌への広告の掲載,原告の販売製品の愛用者向けの月刊会報誌への広告の掲載,新聞への折り込みチラシによる広告の掲載等が行われている(甲1~甲222、甲228~257、甲261~281、甲293~324)。

また、2019年から2023年までの請求人商品の販売数量、販売金額及び市場シェアに関しての資料(販売金額と市場シェアは、2024年までの見込みの数字)が提出されており、請求人商品の売上げは、その販売数量が、2019年は1,828,478本、2020年は1,157,754本、2021年は1,153,450本、2022年は1,061,964本、2023年は995,146本である。また、その販売金額は、2019年が41億円、2020年が31億円、2021年が29億円、2022年が28.5億円、2023年が26.9億円、2024年が27.4億円(見込み)であり、さらに、その市場シェアは、2019年が10.0%、2020年が8.3%、2021年が7.8%、2022年が7.5%、2023年が6.3%、2024年が6.0%(見込み)であるとされている

(甲325~甲330)。

上記で認定した事実によれば、請求人商品は、1995年12月に販売開始され、現在に至るまで長年にわたって継続的に使用し、新聞、雑誌、月刊会報誌及び折り込みチラシ等による広告で紹介されており、また、その販売数量及び販売金額は一定程度あることが推認できる。

しかしながら、クレンジングオイル部門での請求人の販売数量、販売金額及び市場シェアについては減少傾向にあり、2023年の化粧品業界における市場シェアも全体の6.3%にすぎない。

加えて、上記(1)のとおり、請求人以外の多数の化粧品メーカーが、「毛穴の汚れや古い角質など皮膚の深部の汚れを落とすオイル状の洗浄剤」の意味合いの表示として、「DEEP CLEANSING OIL」、「Deep Cleansing Oil」及び「ディープクレンジングオイル」の文字を使用し、それを使用した商品が販売されていることからすれば、商品の品質表示として一般に広く使用されている文字を一般的なデザインで普通に用いられる方法の域を脱しない方法で表示された本願商標が、我が国の需要者の間において、請求人の業務に係る商品を表示する商標として、広く認識されるに至っているものとは認められない。

したがって、本願商標は、請求人により使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものとはいえず、商標法第3条第2項の要件を具備しない。

(3)請求人の主張について

ア 本願商標は、参考判決の引用商標1にはない「白色の背景」を構成要素とすることで、「黒色の太枠」「白色の背景」「黒色の太文字」、即ち、「黒白黒」という明度差が最も大きい配色を用いて、極限までにコントラストを高めたロゴ商標として把握されるべきであり、また、審尋で示された証左では、本願商標のように「白色の横長の長方形」かつ「黒色の太字の枠」という2つの要素を満たすラベルは1例もない旨主張している。

しかしながら、上記(1)のとおり、本願商標の構成中、欧文字部分を囲っている横長長方形の枠線部分は、ごく普通に用いられる一般的なデザインであり、また、本願の指定商品を含む「化粧品」を取り扱う分野において、白地の長方形内又は白地の長方形に配した長方形の枠線内に商品名等を表したラベル様のものを商品の包装容器に付して若しくは描いて販売することが一般に行われている実情にあることに照らせば、本願商標の構成態様は特殊なものとはいい得ないものであり、本願商標に接する取引者・需要者は、本願商標をロゴ商標として認識するというよりは、「DEEP」、「CLEANSING」及び「OIL」の各文字を普通に用いられる方法の域を脱しない方法で表されたものと認識するというのが相当である。

イ 拒絶査定不服審判2024-1492に係る過去の審決例(甲285)と同様に、本願商標についても全体としてまとまりよい、一体的なデザインとして認識されるべきであり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものである旨主張している。

しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かの判断は、当該登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と指定商品との関係や、その商品の分野における取引の実情をも踏まえて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の挙げた審決例は、その構成態様が、極めて簡単、かつ、ありふれた標章とはいえないとして商標法第3条第1項第5号に該当しないと判断されたものであり、本願とは、事案を異にするものというべきであり、また、過去の審決例が存在することをもって、上記判断が左右されるものではない。

ウ 参考判決では、「DEEP CLEANSING OIL」等の文字部分から称呼・観念は生じず、外観上非類似であるとして商標の類否を判断したものと考えられるから、本願商標と、他社が使用している図形要素を伴わない「DEEP CLEANSING OIL」等の文字商標とは、外観上類似しないことになるため、請求人以外の者が本願商標と同一又は類似する標章を使用している事実はない旨主張している。

しかしながら、請求人以外の多数の化粧品メーカーが、「毛穴の汚れや古い角質など皮膚の深部の汚れを落とすオイル状の洗浄剤」の意味合いの表示として、「DEEP CLEANSING OIL」、「Deep Cleansing Oil」及び「ディープクレンジングオイル」の文字を使用していることは、上記(1)のとおりである。そうとすると、本願商標構成中の「DEEP CLEANSING OIL」の文字は、これに接する取引者・需要者に、商品の品質を表示したものとして認識されるとみるのが相当である。

エ したがって、請求人の上記アないしウの主張は、いずれも採用することができない。

なお、請求人は、令和6年8月21日提出の回答書において、今回提出する「使用事実を示す証拠」によって、使用による識別力の獲得を十分に立証できるものと考えるが、万一、不足している証拠があれば具体的に示してほしい旨述べているところ、本件の審理に当たり、合議体は請求人の求めに応じて面接を実施し、請求人に意見及び反論の機会を与え、審理を十分に尽くしてきたものであり、また、請求人は、既に相当数の証拠を提出済みであり、提出された証拠を確認するも、本願商標は、これがその指定商品に使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っていると認めることはできないことから、証拠が追加提出されたとしても、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当し、かつ、同条第2項の要件を具備するものではないとする認定、判断に影響を及ぼすとは考え難いため、更なる資料の提出を求めることなく審理を進めた。

(4)まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであって、また、商標法第3条第2項に規定する要件を具備するものともいえないから、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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