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Trademark Appeal Case

地名と普通名称の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2023650060
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

理由

本願は、2021年(令和3年)8月4日に国際商標登録出願(事後指定)されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。

2022年(令和4年) 6月 2日付け :暫定拒絶通報

2022年(令和4年)10月18日 :意見書、手続補正書の提出

2023年(令和5年) 3月28日付け :拒絶査定

2023年(令和5年) 7月14日 :審判請求書、手続補正書の提出

2023年(令和5年) 9月 5日効力発生:所有権移転通報

2024年(令和6年) 9月27日付け :審尋

2025年(令和7年) 1月31日 :回答書の提出

2 本願商標

本願商標は、「CASA BLANCA」の欧文字を横書きしてなり、日本国を指定する国際登録において指定された第3類、第18類及び第25類に属する商品を指定商品として、2021年(令和3年)8月4日に国際商標登録出願(事後指定)されたものであり、その後、指定商品については、原審及び当審における上記1の手続補正書により、最終的に第3類、第18類及び第25類に属する別掲1に記載のとおりの商品に補正されたものである。

3 原査定の拒絶の理由(要旨)

原審において、「本願商標は、「CASA BLANCA」の欧文字を普通に表してなるところ、当該文字及びその片仮名表記である「カサブランカ」の文字は、スペイン語で「白い家」の意味を持つ、アフリカ北西部、モロッコ中部大西洋岸の重要な湾岸都市として、我が国において一般に知られている。また、「カサブランカ」の名は、上述した都市が舞台である1942年放映の映画の主演女優がかぶっていたことから広まった帽子の名称や、ユリ科の花の名称の由来としても知られている実情も見受けられることからすれば、本願商標を補正後の指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、「カサブランカ産の商品」や「カサブランカに関連する商品」程の意味合いを容易に理解、認識するというべきである。したがって、本願商標は、単に商品の産地及び品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、また、前記品質の商品以外に使用する場合は、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあることから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、拒絶したものである。

4 当審における審尋(要旨)

当審において、2024年(令和6年)9月27日付け審尋により、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、請求人に対し、意見を求めた。

5 審尋に対する請求人の回答(要旨)

請求人は、上記4の審尋に対し、2025年(令和7年)1月31日に回答書を提出し、要旨以下のとおりの意見を述べた。

請求人が提出した日本の販売代理店から受注された商品及び個数、一回の受注における商品の合計個数や合計額を記載した受注書、受注者向けの商品カタログ、オンラインストア等で本願商標を使用した請求人の商品(以下「請求人商品」という。)を掲載するウェブページ及び有名人が請求人商品を着用している姿の画像を掲載したウェブページやインスタグラムの資料からは、請求人商品が国内において紹介、販売等された事実が多数認められるから、本願商標が、その商品の需要者によって、何人かの一定の業務に係る商品を示す表示として広く認識されていることを示すものであって、商標法第3条第2項の適用が認められる。

6 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について

本願商標は、「カサブランカ(モロッコ北西部の都市)」(出典:「ジーニアス英和辞典第6版」株式会社大修館)、「(スペイン語で「白い家」の意)1 アフリカ北西部、モロッコ中部大西洋岸の重要な港湾都市。」「2 アメリカの映画。カーティス(M.Curtiz1888~1962)監督。1942年作。第二次大戦中の親独政権下にあった仏領モロッコを舞台にしたメロドラマで、ナチズム反対を標榜。」の意味を有する「カサブランカ(Casablanca)」(出典:「広辞苑第7版」株式会社岩波書店)を認識させる「CASA BLANCA」の欧文字を一般的な書体であるセリフ体で横書きしてなるものであり、普通に用いられる方法で表示してなるものである。

そして、「CASABLANCA(カサブランカ)」が、モロッコ王国北西部に位置する同国最大の都市であり、我が国においても人気の観光地として知られていることは、例えば、別掲2よりうかがえる。

そうすると、本願商標からは、モロッコ北西部に位置する人気の観光地であることを認識するにとどまるというのが相当であるから、本願商標をその指定商品に使用する場合、これに接する取引者、需要者に「カサブランカで製造若しくは販売された商品」という商品の産地、販売地を表示したものと認識、理解させるにすぎないものである。

したがって、本願商標は、商品の産地、販売地を普通に用いられる方法で表示してなる標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用する場合は、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。

(2)商標法第3条第2項に規定する要件を具備するか否かについて

請求人は、上記回答書において、本願商標は、その指定商品の分野において、需要者によって請求人の業務に係る商品を示す表示として広く認識されていることを示すものである旨主張し、証拠方法として、資料(1)ないし(5)を提出している。

そこで、提出された資料及びそれに基づく請求人の主張を検討するに、請求人は、本願商標と同一視し得る商標を商品「被服」について、遅くとも2018年から現在に至るまで継続的に使用しており(資料(1)、資料(3)及び資料(4))、また、2018年ないし2021年、2023年と2024年に日本における販売代理店から受注された請求人商品及びその個数、一回の受注における請求人商品の合計個数及び合計額については、2018年ないし2021年は、計3,200点の商品、計1億6千168万7,000円、2023年と2024年は、計2,800点の商品、計1億5千986万7,000円の受注があったとされている(資料(1)及び資料(2)、請求人主張)。

また、請求人は、受注者向けの請求人商品のカタログを提供するとともに(資料(3))、オンラインストアでの販売や各種ウェブサイトでの広告掲載や販路活動等を実施し(資料(4))、さらに、請求人商品を着用している著名人の記事が各種ウェブサイトやインスタグラムで確認できる(資料(5))。

上記の請求人主張及び証拠によれば、請求人商品は、2018年から日本における販売代理店への受注が開始され、現在に至るまで継続的に取引され、ウェブサイト等による広告で紹介されており、また、その受注数量及び販売金額は一定程度あることが推認できる。

しかしながら、販売数量(受注数量)や販売額等を証する証拠は提出されているものの、その多寡について、比較すべき客観的な証拠の提出がなく、本願の指定商品を取り扱う業界における市場シェアなども不明である。

また、ウェブサイトにおける広告については、その掲載期間や閲覧数等が不明であり、ウェブサイトへの掲載以外の宣伝広告の方法、期間、地域及び規模等について確認できる証拠も提出されていない。

さらに、本願商標の使用期間も7年あまりと決して長いとはいい難く、本願商標を本願の指定商品中の第25類「clothing(被服)」及び第18類「shoppingbags(買物袋),handbags(ハンドバック)」等の指定商品以外の指定商品に使用している事実を確認することもできない。そして、需要者の認識度を客観的に示す証拠(アンケート結果など)は提出されていない。

そうすると、請求人の提出する証拠からは、本願商標の周知性の程度を推し量ることはできないから、本願商標は、請求人により使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものとはいえず、商標法第3条第2項の要件を具備しない。

(3)請求人の主張について

ア 請求人は、本願商標が、西語で「casa」(家)、「blanca」(白い)の異なる意味を有する単語からなり、間におかれたスペースによって「casa」 と「blanca」に分離して表示されているから、仮に「カサブランカ」の名称が地名として一般に知られるものであったとしても、このように分離された態様で地名が認識されるといった実情はないから、本願商標に接した取引者や需要者がこれを地名等と認識することはない旨主張している。

しかしながら、本願商標は、「CASA」と「BLANCA」の文字間にスペースを有しているものの、そのスペースは半角文字分もないほど狭いものであり、一見して「CASA」と「BLANCA」よりなるものと視認し得るとはいいがたいものである。そして、「CASA」及び「BLANCA」の文字が西語で、それぞれ「家」「白い」を意味する語であったとしても、我が国において、当該意味を有する語として一般に広く親しまれているものとも認められない。

したがって、上記(1)のとおり、本願商標からは、モロッコ北西部に位置する人気の観光地である「カサブランカ」の地名を認識するにとどまるというのが相当である。

イ 請求人は、我が国における過去の審決例及び諸外国での登録例を挙げ、本願商標も同様に登録されるべきである旨主張している。

しかしながら、本願商標が、商標法第3条第1項第3号の規定に該当するか否かは、本願商標自体の具体的な構成とその指定商品との関係から、審決時において、指定商品の取引の実情等を考慮して個別かつ具体的に判断されるべきものであって、他の商標登録の事例あるいは諸外国で登録されている事例の存在によって、本件の判断が左右されるものではない。

ウ したがって、請求人の上記ア及びイの主張は、いずれも採用することができない。

(4)まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、かつ、同法第3条第2項に規定する要件を具備するものではないから、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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