結論テキスト
原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2024014037 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理 由
本願は、令和5年2月14日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年 6月12日付け:拒絶理由通知書
令和5年 8月30日 :意見書の提出
令和6年 5月28日付け:拒絶査定
令和6年 9月 2日 :審判請求書の提出
令和6年12月23日 :上申書の提出
令和7年 5月27日付け:審尋
令和7年12月16日 :手続補正書、上申書、物件提出書の提出
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第30類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として登録出願されたものであり、その後、指定商品については、当審における上記第1の手続補正書により第30類「マルチパック入りのコーン充填タイプのアイスクリーム」に補正されたものである。
本願商標は、「ヨーロピアン」の文字と「シュガーコーン」の文字を二段に横書きしてなるものであるところ、その書体及び構成等は、商品の取引上、一般に用いられる範囲にとどまるものである。
そして、本願の指定商品に係る業界において、「ヨーロピアン」の文字が、「ヨーロッパスタイル」や「ヨーロッパ風」ほどの意味合いで使用されている実情があり、「シュガーコーン」の文字が、「シュガーコーン」や「シュガーコーンを使用したアイスクリーム」に使用されている実情があることから、本願商標をその指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者は、その商品が「ヨーロッパ風のシュガーコーン」又は「ヨーロッパ風のシュガーコーンを使用したアイスクリーム」であること、すなわち、商品の品質を表示したものと理解するにすぎないというのが相当である。
したがって、本願商標は、商品の品質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というべきであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
また、上記認定によれば、本願商標を上記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。
当審において、上記第1の審尋により、請求人に対し、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当し、また、本願商標は、その指定商品との関係において、使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができものに至っているとは認められないことから、同条第2項に規定する要件を具備しない旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、請求人に対し、意見を求めた。
請求人は、本願の指定商品を上記第2のとおりに補正するとともに、本願商標は、商標法第3条第2項に規定する要件を具備する旨主張した。
本願商標は、別掲1のとおり、「ヨーロピアン」及び「シュガーコーン」の文字を茶色の手書き様フォントで、やや右上がりに上下二段で表してなるところ、その書体及び構成等は、商品の取引上、一般に用いられる範囲にとどまるといえるものであるから、普通に用いられる方法の域を脱しない方法で表示してなるものとみるべきである。
そして、本願商標を構成する「ヨーロピアン」の文字は「多く複合語の形で用い、ヨーロッパ人の、ヨーロッパ風の、の意を表す。」(出典:デジタル大辞泉 株式会社小学館)を、「シュガーコーン」の文字は「アイスクリームを乗せるコーン。」(出典:英辞郎on the WEB「sugar cone」の項目)を、意味する語である。
また、本願の指定商品が含まれる菓子を取り扱う分野において、「ヨーロピアン」の語は、原審で提示した証拠及び別掲2のとおり、上記の意味合いを表示するものとして使用されている語であり、また、「シュガーコーン」の語は、原審で提示した証拠及び別掲3のとおり、「シュガーコーンを使用したアイスクリーム」のように一般に使用されている事実が見受けられる。
そうすると、本願商標は、本願の指定商品が含まれる菓子を取り扱う分野において使用されている「ヨーロピアン」及び「シュガーコーン」の語を組み合わせたものであると認識されるものであるから、これをその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、「ヨーロッパ風のシュガーコーンを使用したアイスクリーム」であることを認識するにとどまり、本願商標は、その商品の品質を表示するものというのが相当である。
したがって、本願商標は、その商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
請求人は、補正後の指定商品の需要者は、本願商標をみて、何人かの業務に係る商品であることを認識できることから、本願商標は、商標法第3条第2項に規定する要件を具備する旨主張し、証拠方法として当審において甲第5号証ないし甲第46号証、「マルチタイプアイスに関する認知度調査」及び「「ヨーロピアンシュガーコーン」広告レポート」を提出している。
そこで、請求人提出の証拠の内容に照らし、本願商標が、使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているか否か(本願商標の商標法第3条第2項該当性)について、以下検討する。
なお、以下、証拠の表示については、甲第1号証を「甲1」のように省略して表示する場合があり、枝番号を有する証拠において、枝番号の全てを示すときは、枝番号を省略する。
(1)商標の使用態様
請求人(その前身である会社を含む。以下同様。)は、1986年に「ヨーロピアンシュガーコーン」と称する「コーンアイスクリーム」(以下「使用商品」という。)を発売し(甲5)、1986年ないし2023年に発売された使用商品の包装には、手書き様フォントで、やや右上がりに上下二段で表された「ヨーロピアン」及び「シュガーコーン」の文字(以下「使用商標」という。別掲4)が表示されている(甲6)。
(2)商標の使用数量(生産数、販売数等)、使用期間及び使用地域
使用商標を付した使用商品は、2004年ないし2023年の20年間において、累計販売数量は3億4,200万個を超え(甲8)、年間販売金額は25億円ないし54億円で推移し、2013年以降の「マルチパックタイプで販売されているコーンアイス」の商品カテゴリーにおけるシェア(販売金額ベース。以下同じ。)は40%以上(甲14)である。また、2014年ないし2019年にかけてコーンアイスの販売高年次推移によれば、販売高は350億円前後で推移しているところ(甲15)、同時期における使用商品の年間販売金額(甲14)を勘案すると、使用商標を付した使用商品は過去10年以上「コーンアイス」全体の商品カテゴリーにおけるシェアは10%台であるといえる。
さらに、使用商標を付した使用商品は、全国各地の総合スーパー、食品スーパー、ディスカウントショップ、ドラッグストア、ホームセンター、コンビニエンスストア、生協等において、一般消費者向けに店内販売されており、2023年に同商品を配荷した店数は16,217店である(請求人の主張、甲9)。
(3)宣伝広告の方法、期間、地域及び規模
請求人は、使用商標を付した使用商品のテレビCMを、1987年ないし1992年、2013年、2017年ないし2019年及び2022年に行い、いずれのCMにおいても、使用商品のパッケージには使用商標が付されており(甲12)、2018年3月ないし5月に放映されたテレビCMは、日本テレビ放送網、フジテレビジョン、テレビ朝日、新潟放送、テレビ信州、山梨放送を通じて放映され、2022年2月ないし9月に放映されたテレビCMは、全国的に、合計1,018回放映された(「「ヨーロピアンシュガーコーン」広告レポート」)。
また、使用商標を付した使用商品に係るプレスリリースは、請求人のウェブサイト等において、2015年ないし2024年にかけて37回行っており(甲36)、商品購入者を対象とした、景品が当たるキャンペーンを継続的に行っていた(甲36、37)。
(4)第三者による使用商標を付した使用商品の紹介
ア 一般消費者を対象として実施された、好きな「箱アイスクリーム」ランキングについて(甲16~甲21)
(ア)「第7回フローズン・アワード「冷凍男子冷凍女子 総選挙2019」/アイクリーム部門「箱」みんなで楽しく部門」 第1位(甲16)
(イ)「第8回フローズン・アワード「冷凍男子冷凍女子 総選挙2020」/アイクリーム「箱」部門ランキング」 第3位(甲17)
(ウ)「第9回フローズン・アワード「冷凍男子冷凍女子 総選挙2021」/アイクリーム「箱」部門ランキング」 第5位(甲18)
(エ)「フローズンアワード2023「冷食・アイスの総選挙」/アイスクリーム箱部門」 第7位(甲19)
(オ)「macaroniランキング/箱アイスのおすすめランキング!」 第3位(甲20)
(カ)「みんなのランキング/【人気投票1~30位】箱アイスランキング」 第2位(甲21)
イ 使用商標を付した使用商品に関する第三者による記事掲載及び商品紹介について
(ア)一般社団法人日本アイスクリーム協会が2022年4月に発行した書籍「アイスクリームの本」には、「ロングセラーな逸品カタログ」として13品が掲載されており、そのうちの一つに、1986年発売の「ヨーロピアンシュガーコーンバニラ」が挙げられており、「マルチパックのロングセラーといえばこれ。」の記載とともに、使用商標を付した商品包装用の箱が掲載されている(甲22)。
(イ)辰巳出版株式会社が2019年に発行した書籍「タツミムック 日本アイスクロニクル」には、「ヨーロピアンシュガーコーン」について、「シンプルながらほかにない不動の人気コーンアイス」、「ファミリー向けマルチパックの人気商品。」の記載とともに、使用商標を付した商品包装用の箱が掲載されている(甲23)。
(ウ)上智大学経済学部教授・新井範子氏の著書「変革のアイスクリーム」(2015年発行)では、「ヨーロピアンシュガーコーン」について、「四半世紀を超えて愛され続ける「主婦の友」」、「主婦層を中心に支持されたヨーロピアンシュガーコーンは、ロングセラー商品となり、発売後25年間で約4億箱(20億本)を販売し、発売から30年近く経ったいまも根強い人気を誇っている。」の記載とともに、使用商標を付した商品包装用の箱が掲載されている(甲24)。
(エ)その他、アイスクリームに関するメディアのネット記事において、「ヨーロピアンシュガーコーン」は、「箱アイスの王」(甲25)、「箱アイス界No.1」、「「キング・オブ・箱アイス」、「箱アイス界の絶対王者」、つまり“最強”と断言するのが「ヨーロピアンシュガーコーン」である。申し訳ないが、これについては一切の異論を認めない。」(甲26)、「クラシエフーズの人気アイス「ヨーロピアンシュガーコーン」」、「マルチパック(箱アイス)カテゴリーで大人気のロングセラー商品」、「「家に常備しておきたい」と多くのファンに愛されています。」(甲27)、「箱アイス界のパッキャオ的存在「ヨーロピアンシュガーコーン」」(甲28)の記載とともに、使用商標を付した商品包装用の箱が掲載されている
。
(オ)2024年7月8日放送の「日本テレビ「news every.」内「every.特集」東ひんや~りおいしい真夏のアイス舞台裏」では、「ヨーロピアンシュガーコーン」が、「人気のロングセラーアイス」、「コーンタイプ箱アイス 売り上げ1位」、と報じられるとともに、使用商標を付した商品包装用の箱も放映されていた(甲29)。
ウ コラボレーション企画商品について
(ア)「チロルチョコ」とのコラボレーション商品(チョコレート菓子)が、2021年より期間限定で、全国のコンビニエンスストア等で販売され、当該商品の包装袋に使用商標を付したものが使用されていた(甲30~甲32)。
(イ)2024年2月1日ないし29日の期間限定で、オンラインゲーム「グーニャモンスター」とのコラボレーション企画により、プレイヤーのコスチューム(スキン)として、「ヨーロピアンシュガーコーン」のパッケージデザインが描かれたものが配信された(甲33)。
(ウ)使用商標が付された「ヨーロピアンシュガーコーン」のミニチュア・アイテム(カプセルトイ)及び「ヨーロピアンシュガーコーン」の保温保冷バッグが販売された(甲34、甲35)。
(5)アンケート調査
2025年10月7日から9日にかけ、全国各地に住む15歳から79歳の男女で、過去3ヶ月以内(夏場)にマルチパックタイプアイスを買った又は食べたことのある1,000名を対象に、株式会社クロス・マーケティングが実施したインターネット調査によれば、本願商標のみを目にした回答者の74.6%が、当該商品名のマルチパックアイスクリームを知っていると回答した(「マルチタイプアイスに関する認知度調査」)。
(6)判断
上記(1)ないし(5)によれば、請求人は、本願商標と同一視し得る使用商標を付した使用商品を、1986年の発売開始以来40年近く継続して販売しているものと認められる。
また、使用商標を付した使用商品は、全国のスーパーマーケット等において販売され、2004年ないし2023年の20年間において、累計販売数量は3億4,200万個を超え、年間販売金額は25億円ないし54億円で推移していることから、相当程度の売上げがあることがうかがえ、2013年以降の「マルチパックタイプで販売されているコーンアイス」の商品カテゴリーにおけるシェアは40%以上であった。
そして、新聞や雑誌への広告掲載実績等は確認できないものの、請求人は1987年以降、複数回にわたり使用商品に係るテレビCMを行い、いずれのCMにおいても、使用商標を付した使用商品が目立つ態様で放映されており、2022年のCMについては、全国規模で、1,000回以上放映された。
さらに、使用商標を付した使用商品は、一般消費者を対象として実施された「好きな「箱アイス」ランキング」において、複数回にわたり上位にランクインしており、第三者による紹介記事の内容から、一定程度人気のある商品であることがうかがえ、使用商品以外にも、コラボレーション企画商品として、菓子、オンラインゲーム、カプセルトイ、保温保冷バッグなど幅広い分野において使用商標を用いた商品が販売されている。
加えて、株式会社クロス・マーケティングが実施した「マルチタイプアイスに関する認知度調査(インターネット調査)」によると、本願商標のみを目にした回答者の74.6%が、当該商品名のマルチッパックアイスクリームを知っていると回答するなど、請求人商品は、需要者に相当程度知られていると認められる。
以上を総合的に考察すれば、本願商標は、当審における補正後の指定商品である「マルチパック入りのコーン充填タイプのアイスクリーム」について使用をされた結果、需要者が請求人らの業務に係る商品であることを認識するに至ったものというのが相当である。
してみれば、本願商標は、請求人により使用をされた結果、当審における補正後の指定商品の取引者、需要者の間で、何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものと判断するのが相当であるから、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものというべきである。
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものの、同条第2項の要件を具備するものであるから、原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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