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Trademark Appeal Case

位置商標の機能的形状

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2024016202
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

理 由

1 手続の経緯

本願は、令和5年5月10日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和6年 2月29日付け:拒絶理由通知書

令和6年 4月12日 :意見書、手続補正書の提出

令和6年 4月15日 :手続補足書の提出

令和6年 7月 9日付け:拒絶査定

令和6年10月 9日 :審判請求書の提出

令和6年10月10日 :手続補足書の提出

令和7年10月27日付け:審尋

2 本願商標

本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、商標法第5条第4項に基づく「商標の詳細な説明」を願書記載のとおりに記載して、第16類「画びょう」を指定商品として、位置商標として登録出願されたものである。その後、原審における令和6年4月12日提出の手続補正書により、商標の詳細な説明については、別掲2のとおりに補正されたものである。

3 原査定の拒絶の理由(要旨)

原査定は、「本願商標は、別掲1のとおりの商標記載欄の記載、位置商標である旨の記載及び商標の詳細な説明の記載から把握されるものであるところ、インターネット情報によれば、本願の指定商品を取り扱う業界において、頭部に針が位置する画びょうが一般に販売されている実情が見受けられる。そうすると、本願商標は、その指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、商品の美感や機能を発揮するために採用し得る商品の形状の一部を表したものと理解、認識するにとどまるといえるものであるから、商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と判断するのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。また、出願人(請求人)が提出した意見書及び手続補足書により提出した資料によっても、商標法第3条第2項の要件を具備するものということもできない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

4 当審における審尋

当審において、令和7年10月27日付け審尋により、別掲3に掲げる事実を提示した上で、本願商標が、商標法第3条第1項第3号に該当し、また同条第2項の要件を具備しないとの暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、請求人に対し、意見を求めた。

請求人は、当該審尋に対し、指定した期間を経過するも、何ら回答していない。

5 当審の判断

(1)本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について

ア 商標法第3条第1項第3号の趣旨について

商標法第3条第1項第3号については、「同号掲記の標章のうち商品等の形状は、多くの場合、商品等に期待される機能をより効果的に発揮させたり、商品等の美観をより優れたものとするなどの目的で選択されるものであって、その反面として、商品・役務の出所を表示し自他商品・役務を識別する標識として用いられるものは少なく、需要者としても、商品等の形状は、文字、図形、記号等により平面的に表示される標章とは異なり、商品の機能や美観を際立たせるために選択されたものと認識するものであり、出所表示識別のために選択されたものとは認識しない場合が多いといえる。また、商品等の機能又は美観に資することを目的とする形状は、同種の商品等に関与する者が当該形状を使用することを必要とし、その使用を欲するものであるから、先に商標出願したことのみを理由として当該形状を特定の者に独占させることは、公益上の観点から適切でないといえる。したがって、商品等の形状は、同種の商品が、その機能又は美観上の理由から採用すると予測される範囲を超えた形状である等の特段の事情のない限り、普通に用いられる方法で使用する標章のみからなる商標として、商標法第3条第1項第3号に該当すると解するのが相当である。」とされているものである(知財高判令和2年12月15日判決 令和2年(行ケ)第10076号参照)。

イ 本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について

本願商標は、別掲1及び別掲2のとおり、画びょうの頭部に付された針部分の位置を特定した位置商標であって、第5図(針の先端側)からみた針の形状がV字であり、針部分の1/3程の先端部はテーパーした先鋭形状になった立体的形状からなるものである。

そして、別掲3によれば、画びょうの頭部に針が付されていることは一般的であって、画びょうを抜いた際にできる針部分の跡が目立たないように針の形状に工夫を施した画びょうが販売されていること、及び針の形状を工夫し針を差し込みやすくした意匠が創作されている実情が認められる。

加えて、本願商標を構成する立体的形状及びそれを付す位置についても、請求人の有していた意匠登録(登録第1289862号)の記載である「・・・取付強度が高く、写真等が壁面に沿って回転してしまうことはなく・・・画鋲を外した後の壁面や写真等の部分は、取付脚部のV字断面形状の痕跡がスリット状に形成されるだけであるので殆ど目立たない。」、及び提出に係る請求人の商品の記載内容である「ピンを抜いたあとの穴が気になる。そんな人はピン部分がV字になった、このピンを。柄などのある壁であれば、ピン跡を探してもなかなか見つけられない。」(甲1)、「V字型のピンを採用して挿し跡が目立たない/ピンの断面がV字状になっていることで壁との接触面積が少なくなり、挿した跡が目立たないアイデア商品。もちろん穿孔能力は通常のピンと変わらず、しっかりと挿して使える。クリアカラーのデザインも秀逸。」(甲3)、「壁に刺しても、刺し跡が目立たない画びょう。針の先端が従来の円錐形ではなくV字のくさび形になっており、ピン跡を残したくない場所に使うのが最適だ。」(甲4)等によれば、針部分の跡が目立たないという機能上の理由から採用されていることが記載されている。

以上のような取引の実情を踏まえると、本願商標の形状及び位置は、その指定商品である画びょうとの関係において、「刺し跡が目立たない」という、商品の機能上の観点から選択されたことは明らかであり、針の形状は画びょうの機能に直結したものであることを踏まえると、取引者、需要者に、機能向上のための形状であるとの印象を与えるにとどまるものというのが相当である。

そうすると、本願商標を構成する立体的形状は、同種の商品が、その機能又は美観上の理由から採用すると予測される範囲のものであり、その範囲を超えた形状であると認めるに足りる特段の事情は存在しないというべきであり、商品等の機能に資することを目的とする形状であって、同種の商品等に関与する者が当該形状を使用することを必要とし、その使用を欲する可能性があるものであるから、先に商標出願したことのみを理由として当該形状を特定の者に独占させることは、公益上の観点から適切でないというべきである。

したがって、本願商標は、商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。

(2) 商標法第3条第2項について

請求人は、審判請求書において、追加の証拠も提出の上、原審における本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備しないとの判断について意見を述べているため以下検討する。

ア 請求人の主張及び提出に係る証拠(甲第1号証ないし甲第22号証(以下「甲○」と表記する。)によれば、以下の事実が認められる。

(ア)証拠の画像が不鮮明であるが、請求人の主張も併せみると、遅くとも2008年3月の雑誌には、「ニンジャピン」とう名称で本願商標と同一視できる立体的形状を有する商品(以下「本件商品」という。)が掲載されている(甲1)。

(イ)年間売上は、請求人の主張によれば、2014年に約48万個、2016年~2021年にはいずれの年も約70~75万個、2022年は約68万個、2023年は約54万個の売上を有し、2014年~2023年の10年間で、累計約670万個、約4.7億円の売上を有している。

(ウ)本件商品は、全国で販売されている雑誌、地方新聞、ラジオ及びテレビ番組で写真とともに商品紹介が掲載、放映されている(甲1~甲21)。それらの商品紹介では、「ピンを抜いたあとの穴が気になる。そんな人はピン部分がV字になった、このピンを。柄などのある壁であれば、ピン跡を探してもなかなか見つけられない。」(甲1)、「V字型のピンを採用して挿し跡が目立たない/ピンの断面がV字状になっていることで壁との接触面積が少なくなり、挿した跡が目立たないアイデア商品。もちろん穿孔能力は通常のピンと変わらず、しっかりと挿して使える。クリアカラーのデザインも秀逸。」(甲3)、「壁に刺しても、刺し跡が目立たない画びょう。針の先端が従来の円錐形ではなくV字のくさび形になっており、ピン跡を残したくない場所に使うのが最適だ。」(甲4)などのように、本件商品の形状について言及している。

(エ)請求人は、本願商標の針の形状を有する意匠登録(登録第1289862号)、存続期間の2006年11月17日から2021年11月16日までの間有していた。意匠に係る物品の説明欄には、「本願意匠に係る物品は、短棒形状の頭部先端面から突出設する取付脚部を、平板をV字断面形状とし、且つ先端部をテーパ部として先鋭形状にした構成で、写真等を壁面にあてがい、取付脚部を差し込んで取り付けるものであり、取付強度が高く、写真等が壁面に沿って回転してしまうことはなく、また写真等を外す場合には、短棒形状の頭部を把持して引き抜くだけでよく、画鋲を外した後の壁面や写真等の部分は、取付脚部のV字断面形状の痕跡がスリット状に形成されるだけであるので殆ど目立たない。」との記載がある。

(オ)本願商標と同様又は類似する針の形状を有する画びょう商品は見当たらない。

イ 検討

上記アによれば、請求人は、遅くとも2008年頃から、本件商品を継続的に使用していることがうかがえる。しかしながら、本願指定商品の画びょうの需要者は、広く一般の需要者であるところ、請求人の主張する本件商品の販売数量及び売上高については、本件商品の分野の市場占有率が確認できないから、本件商品の販売数量及び売上高の多寡を具体的に評価し得ないものの、一般に各種の画びょうが全国的、かつ、量産品の性質を備えた商品であることを踏まえると、本件商品の市場占有率が特別に高いとはいえず、また広く一般の需要者が触れる機会があるほどの販売・提供実績があるとは言い難いものである。

また、別掲3のとおり、画びょうを取り扱う業界においては、一般に画びょうの頭部に針が付されており、画びょうを抜いた際にできる針部分の跡が目立たないように針の形状に工夫を施した画びょうが販売されていること、及び、上記アのとおり本件商品の商品紹介記事においては、針を挿した跡が目立たないという機能上の理由から採用されていることが顕著に記載されており、針の形状は画びょうの機能に直結したものであることを踏まえると、たとえ現状では、この針の形状を採用した商品が請求人にかかるものしか存在しないとしても、本願商標の形状は、需要者等をして、通常は機能向上のための工夫としてのみ認識されるというのが相当である。

加えて、2008年頃から、雑誌、地方新聞、ラジオ及びテレビ番組における商品紹介がされているが、本願指定商品の画びょうの需要者は、広く一般の需要者であるところ、その商品紹介等の規模は明らかでなく、提出された証拠の商品紹介回数等を考慮しても、本願商標の指定商品に係る我が国における一般需要者層に広く行き渡るほどの広告等の実績があるとは評価し難いものである。その上、商品紹介及び商品の包装箱においては、商品名である「ニンジャピン(Ninjapin)」が顕著に表示されているところ、上記のとおり、針の形状は通常は機能向上のための工夫としてのみ認識されることを踏まえると、需要者による商品選択の契機としては、当該商品紹介に表示された「ニンジャピン(Ninjapin)」の文字からなる標章が商品の出所を表示する標識又は自他商品を識別する標識として機能しているとみるのが自然である。

これらを合わせて考慮すると、本願商標は、本願商標に係る立体的形状それ自体のみで請求人に係る固有の商標として本願指定商品に係る全国の一般需要者の間で広く知られており自他商品識別力を獲得するに至っているとは評価できないものである。

したがって、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備しているとは認められない。

(3)まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、また同条第2項の要件を具備しないものであるから、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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