sokuhyo

Trademark Appeal Case

指定商品の類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2024016506
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

理 由

第1 手続の経緯

本願は、令和5年2月8日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和5年7月11日付け:拒絶理由通知書

令和5年9月7日 :意見書の提出

令和6年7月5日付け :拒絶査定

令和6年10月16日 :審判請求書の提出

令和7年6月16日付け:審尋

令和7年9月3日 :意見書及び手続補正書の提出

第2 本願商標

本願商標は、「MOMENTUM」の欧文字を標準文字で表してなり、第10類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として登録出願されたものであり、その後、指定商品については、上記第1の手続補正書により、第10類「皮膚治療用レーザー発生装置,ヒトの肌の疾患の治療に用いる光ファイバーを利用したレーザー発生装置」に補正されたものである。

第3 原査定の拒絶の理由(要旨)

原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した国際登録第1321614号商標(以下「引用商標」という。)は、「MOMENTUM」の欧文字を横書きしてなり、2016年(平成28年)4月1日に米国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張し、同年9月29日に国際商標登録出願、第10類「Implantable cardiac rhythm management devices, namely, electrical pulse generators.」を指定商品として、平成31年1月18日に設定登録され、その商標権は、現に有効に存続しているものである。

第4 当審における審尋

当審において、令和7年6月16日付けの審尋により、本願商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、本願の指定商品と引用商標の指定商品は、同一又は類似の商品であるから、商標法第4条第1項第11号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、これに対する意見を求めた。

第5 審尋に対する請求人の回答

請求人は、上記第4の審尋に対し、令和7年9月3日に意見書及び手続補正書を提出し、要旨、以下のとおりの意見を述べた。

1 本願の補正後の指定商品である「皮膚治療用レーザー発生装置,ヒトの肌の疾患の治療に用いる光ファイバーを利用したレーザー発生装置」(以下「本願の皮膚治療用レーザー発生装置」という。)と、引用商標の指定商品である「Implantable cardiac rhythm management devices, namely, electrical pulse generators.」(以下「引用商標の電気式パルス発生器」といい、本願の補正後の指定商品と引用商標の指定商品をまとめて「両商品」という場合がある。)は、以下のとおりその販売部門、用途、品質、需要者の範囲のいずれも異なる。

2 医療機器はその特性上、専門的又は個別的なニーズに応える必要があるため、大手販売事業者を除くほとんどの医療機器販売事業者は、それぞれ得意とする専門分野を有していると考えるべきであり、両商品はそれぞれ異なる流通経路を経て販売されることも多いというのが相当であるから、一部の大手販売事業者によって両商品の販売がなされているとしても、直ちに両商品の販売部門が共通するとはいえない。

また、特殊な医療機器が販売代理店を介して医療機関や医療従事者に供給されるという流通形態であれば、医療機関や医療従事者はメーカー側と継続的に意思疎通を図る必要があることや、一般の需要者が直接購入することはないこと等から、両商品を代理販売する販売事業者が少数存在していたとしても、商品の出所について混同を招くおそれはない。

3 レーザーによる診療技術は、医療においてはあらゆる面で活用されており、レーザー技術を利用した医療機器であっても、その用途・品質において明確な相違があり、本願の皮膚治療用レーザー発生装置は皮膚治療用の用途のみに使われる商品であるから、「本願の皮膚治療用レーザー発生装置」と「引用商標の電気式パルス発生器」は、その用途において共通するとはいえない。

4 両商品は、それぞれ、その用途や、治療の目的、使用される分野、対象とする疾患において異なるものであり、品質においては単純に比較ができないか、品質が異なるというべきである。

5 「本願の皮膚治療用レーザー発生装置」の需要者は「医療機関や医療従事者」であるが、「引用商標の電気式パルス発生器」の需要者は「心臓疾患の患者」であるから、両商品は、需要者の範囲が異なるというべきである。

第6 当審の判断

1 商標法第4条第1項第11号該当性について

(1)商標の類否

ア 本願商標について

本願商標は、「MOMENTUM」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、「はずみ,勢い,推進力」(出典:新英和中辞典第7版(株式会社研究社))の意味を有する文字(語)であることから、その構成文字に相応して、「モメンタム」の称呼及び「はずみ、勢い」等の観念が生じるものである。

イ 引用商標について

引用商標は、「MOMENTUM」の欧文字を横書きしてなるところ、上記アと同様の理由により、「モメンタム」の称呼及び「はずみ、勢い」等の観念が生じるものである。

ウ 本願商標と引用商標の類否について

本願商標と引用商標とを比較すると、両者は、「MOMENTUM」の文字を一般的な書体で横書きしたものであるから、外観上酷似し、「モメンタム」の称呼及び「はずみ、勢い」等の観念を共通にすることからすれば、両者は互いに相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。

(2)本願の指定商品と引用商標の指定商品の類否

ア 指定商品の類否について

指定商品が類似のものであるかどうかは、商品自体が取引上誤認混同のおそれがあるかどうかにより判定すべきものではなく、それらの商品が通常同一の営業主により製造され又は販売されている等の事情により、それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがあると認められる関係にある場合には、たとえ、商品自体が互いに誤認混同を生ずるおそれがないものであっても、類似の商品に当たると解するのが相当である(最高裁判所昭和33年(オ)第1104号同36年6月27日判決)。

そして、商品の類否判断は、取引の実情、すなわち、商品の生産部門、販売部門、原材料及び品質、用途、需要者の範囲が一致するかどうか、完成品と部品との関係にあるかどうか等を総合的に考慮して判断すべきである(東京高等裁判所平成7年(行ケ)第161号同8年3月21日判決)。

イ 本願の指定商品と引用商標の指定商品について

(ア)「本願の皮膚治療用レーザー発生装置」は、請求人主張のとおり、皮膚治療の目的で医師が使用するレーザーを用いた機械器具であると認められるから、「医療用機械器具」の範ちゅうに含まれるものである。

(イ)一方、「引用商標の電気式パルス発生器」は、請求人主張のとおり、心臓ペースメーカーなど、心臓に電気刺激を与えて心臓のリズムを整えるための機械器具であると認められるから、「医療用機械器具」の範ちゅうに含まれるものである。

(ウ)生産部門

「本願の皮膚治療用レーザー発生装置」と「引用商標の電気式パルス発生器」は、いずれも医療用機械器具のメーカーにより製造されるものであるが、請求人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、両商品の製造メーカーは異なることが認められる。

(エ)販売部門

別掲1のウェブサイトの記載によれば、我が国においては、医療機器を取り扱う販売事業者により、病院などの医療機関に様々な医療機器が供給されているという実情が認められる。

そして、別掲2のウェブサイトの記載のように、皮膚治療用レーザー発生装置などの医療用のレーザー発生装置と電気式パルス発生器の一種であるペースメーカーが同一の事業者により販売されている実情も認められる。

よって、「本願の皮膚治療用レーザー発生装置」を含む医療用レーザー発生装置と「引用商標の電気式パルス発生器」の販売部門は共通する。

(オ)用途

「本願の皮膚治療用レーザー発生装置」と「引用商標の電気式パルス発生器」は、いずれも治療の目的で医師が使用する医療機器である。

ところで、「引用商標の電気式パルス発生器」は、請求人の主張のとおり、心臓外科や循環器内科で使用(処置)される商品であるといえるところ、別掲3のウェブサイトの記載によれば、心臓外科や循環器内科においても、レーザー治療が行われていることが認められる。

そして、「本願の皮膚治療用レーザー発生装置」は、医療用のレーザー発生装置の一種であることから、両商品の用途においては共通又は近似する。

(カ)品質

「本願の皮膚治療用レーザー発生装置」と「引用商標の電気式パルス発生器」は、いずれも「医療機器であって、副作用又は機能の障害が生じた場合において人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあることからその適切な管理が必要なもの」である高度管理医療機器(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第5項)であるから(別掲4参照)、その品質に共通点があるということができる。

(キ)需要者の範囲

両商品の需要者は医療機関及び医療従事者であることから、両商品は、需要者の範囲において共通する。

ウ 本願の指定商品と引用商標の指定商品との類否について

以上から、「本願の皮膚治療用レーザー発生装置」と「引用商標の電気式パルス発生器」とは、いずれも医療用機械器具であって、その生産部門を異にするとしても、販売部門、用途、品質、需要者の範囲において共通性があるものであるから、これらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは、同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがあると認められる関係にあるというべきである。

したがって、本願の指定商品と引用商標の指定商品は類似の商品に該当すると認めるのが相当である。

(3)小括

以上のとおり、本願商標は、引用商標と類似する商標であって、引用商標の指定商品と類似する商品について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。

2 請求人の主張について

(1)請求人は、医療機器はその特性上、専門的又は個別的なニーズに応える必要があるため、大手販売事業者を除くほとんどの医療機器販売事業者は、それぞれ得意とする専門分野を有していると考えるべきであり、両商品はそれぞれ異なる流通経路を経て販売されることも多いというのが相当であるから、一部の大手販売事業者によって両商品の販売がなされているとしても、直ちに両商品の販売部門が共通するとはいえない旨主張する。

しかしながら、両商品について、たとえ、それぞれ異なる事業者が販売する場合があるとしても、いずれも医療機器販売事業者により販売されているものであり、また、上記1(2)のとおり同一の事業者により販売されている実情もあることから、営業主の同一性を誤認させるような販売部門における共通性があるものと認めるのが相当である。

(2)請求人は、特殊な医療機器が販売代理店を介して医療機関や医療従事者に供給されるという流通形態であれば、医療機関や医療従事者はメーカー側と継続的に意思疎通を図る必要があることや、一般の需要者が直接購入することはないこと等から、両商品を代理販売する販売事業者が少数存在していたとしても、商品の出所について混同を招くおそれはない旨主張する。

しかしながら、本願商標と引用商標は、いずれも「MOMENTUM」の文字を一般的な書体で横書きしたもので、両者の類似性の程度は非常に高いものであるから、上記1(2)のとおり、販売部門、用途、品質、需要者の範囲において共通性のある本願の指定商品と引用商標の指定商品に両商標が使用された場合には、たとえ、請求人の主張するような事情があるとしても、なお、出所の混同を生ずるおそれがあるというべきである。

(3)請求人は、レーザーによる診療技術は、医療においてはあらゆる面で活用されており、レーザー技術を利用した医療機器であっても、その用途・品質において明確な相違があり、本願の補正後の指定商品は皮膚治療用の用途のみに使われる商品であるから、両商品は、その用途において共通するとはいえないこと、また、両商品はそれぞれ、その用途や、治療の目的、使用される分野、対象とする疾患において異なるものであり、品質においては単純に比較ができないか、品質が異なるというべきである旨主張する。

しかしながら、両商品の治療の目的や分野が、皮膚の治療と心臓の治療という点で異なるとしても、上記1(2)のとおり、いずれも、副作用又は機能の障害が生じた場合において人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあることからその適切な管理が必要なものである高度管理医療機器であることから、品質について共通点があるということができる。

また、両商品は、いずれも治療の目的で医師が使用する商品であって、さらに、「本願の皮膚治療用レーザー発生装置」は皮膚の治療のみに使用される商品であるとしても、上記1(2)及び請求人の主張のとおり、「本願の皮膚治療用レーザー発生装置」を含む医療用のレーザー発生装置は、循環器科等の様々な医療の分野で使用されるものであることからすれば、用途についても共通するというのが相当である。

(4)請求人は、「本願の皮膚治療用レーザー発生装置」の需要者は「医療機関や医療従事者」であるが、「引用商標の電気式パルス発生器」の需要者は「心臓疾患の患者」であるから、両商品は、需要者の範囲が異なるというべきである旨主張する。

しかしながら、「引用商標の電気式パルス発生器」は、心臓疾患の患者に対して使用される医療機器ではあるものの、実際に商品を選択、購入する需要者は「医療機関や医療従事者」であることは明らかであるから、両商品の需要者の範囲は共通するというべきである。

(5)したがって、請求人の主張は、いずれも採用することができない。

3 まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、これを登録することができない。

よって、結論のとおり審決する

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。