結論テキスト
本件審判の請求は、成り立たない。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2024021079 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本願は、令和6年3月22日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和6年 5月10日付け:拒絶理由通知書
令和6年 7月19日 :意見書、手続補正書の提出
令和6年10月 3日付け:拒絶査定
令和6年12月27日 :審判請求書の提出
令和7年 2月27日 :手続補正書の提出
令和7年 9月11日付け:審尋
本願商標は、「しろくま」の文字を標準文字で表してなり、第44類に属する、願書記載のとおりの役務を指定役務として登録出願されたものであり、その後、指定役務については、令和6年7月19日提出及び同7年2月27日提出の手続補正書により、最終的に、第44類「美容,理容,入浴施設の提供,庭園樹の植樹,庭園又は花壇の手入れ,肥料の散布,雑草の防除,有害動物の防除(農業・水産養殖業・園芸又は林業に関するものに限る。),あん摩・マッサージ及び指圧,カイロプラクティック,きゅう,柔道整復,整体,はり治療,栄養の指導,栄養に関する助言,動物の飼育,動物の治療,動物の美容,介護,植木の貸与,農業用機械器具の貸与,医療用機械器具の貸与,漁業用機械器具の貸与,美容院用又は理髪店用の機械器具の貸与,芝刈機の貸与,健康管理に関する指導及び助言」に補正されたものである。
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第5972337号商標は、「老人ホーム相談所 シロクマ」の文字を標準文字で表してなり、平成29年1月12日に登録出願、第42類及び第44類に属する、願書記載のとおりの役務を指定役務として、同年8月10日に設定登録され、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
引用商標の商標権は、商標登録原簿の記載によれば、その指定役務の一部について商標登録を取り消すべき旨の審決が確定し、その確定審決の登録が令和7年8月20日にされている。その結果、引用商標の指定役務は、第42類及び第44類に属する、別掲のとおりの役務となったものである。
本願商標は、引用商標と同一又は類似の商標であって、引用商標の指定役務と同一又は類似の役務について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
審判請求書において、請求人は、引用商標について不使用取消審判が請求されている旨、及び、当該不使用取消審判の審決次第で、拒絶の理由が解消される可能性がある旨を述べている。
そして、上記4のとおり、請求人の主張する、引用商標に対する不使用取消審判(取消2025-300054)については、その指定役務の一部について商標登録を取り消すべき旨の審決が確定し、その確定審決の登録が令和7年8月20日にされている。
しかしながら、本願指定役務中には、いまだ、前記審決が確定した後の引用商標の指定役務と同一又は類似の役務が含まれている。
そのため、当審において、上記1の審尋により、商標法第4条第1項第11号の拒絶の理由に関し、本願指定役務について補正を行う意思がある場合又は意見がある場合には、手続補正書又は回答書若しくは両方を提出するよう、相当の期間を指定して請求人に求めた。
請求人は、当該審尋に対し、指定した期間を経過するも、何ら補正を行わず、回答もしていない。
(1)結合商標の類否判断について
複数の構成部分を組み合わせた結合商標については、その構成部分全体によって他人の商標と識別されるから、その構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは原則として許されないが、取引の実際においては、商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない商標は、必ずしも常に構成部分全体によって称呼、観念されるとは限らず、その構成部分の一部だけによって称呼、観念されることがあることに鑑みると、商標の構成部分の一部が需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などには、商標の構成部分の一部を要部として取り出し、これと他人の商標とを比較して商標そのものの類否を判断することも、許されると解するのが相当である(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁、最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁、最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事228号561頁参照)。
(2)本願商標について
本願商標は、「しろくま」の文字を標準文字で表してなるところ、この文字は「ホッキョクグマの別称」(広辞苑第七版 株式会社岩波書店)を指す語である、「白熊」を平仮名で表したものとして広く一般に知られているものであるから、本願商標からは、「シロクマ」の称呼を生じ、「ホッキョクグマの別称」の観念を生じるものである。
(3)引用商標について
引用商標は、「老人ホーム相談所 シロクマ」の文字を標準文字で表してなるものであるところ、引用商標は、その構成中、「老人ホーム相談所」及び「シロクマ」の各文字部分が重なることなく、一文字分の間隔を空けて配置されていることから、各文字部分が視覚上、分離して看取、把握され得るものであり、外観上、各文字部分が、それらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合している事情は見いだせない。
また、引用商標の構成中、左側に配された「老人ホーム相談所」の文字部分についてみるに、このうち、「老人ホーム」の文字は、「老人が入所して日常生活や健康面のサービスを受けながら生活する専用施設」の意味を、「相談」の文字は、「互いに意見を出して話しあうこと。談合。また、他人に意見を求めること」の意味を、「所」の文字は、「ところ」(いずれも前掲書)の意味を有する、いずれも我が国において広く一般に親しまれている語であることからすれば、当該文字部分は「老人ホームに関して相談するところ」ほどの意味合いを容易に認識されるものである。
そうすると、当該文字部分は、引用商標の指定役務中、第44類に属する指定役務(特に、「介護に関する情報の提供,介護」)との関係において、需要者に、役務の質(内容)又は提供の場所を表したものと認識させることから、当該文字部分は自他役務の識別標識としての機能を有しないか、極めて弱いものというのが相当であって、これよりは、自他役務の識別標識としての称呼及び観念は生じないものである。
他方、構成中、右側に配された「シロクマ」の文字は、「ホッキョクグマの別称」を意味する「白熊」の語を片仮名で表したものと容易に理解することができるものであるから、当該文字部分からは、「シロクマ」の称呼及び「ホッキョクグマの別称」の観念を生じるものであるから、引用商標を構成する前記の各文字部分の間には、観念的にも密接な関連性を見いだすことはできない。
そうすると、引用商標は、その構成中の「シロクマ」の文字部分が、独立して需要者に対し役務の出所識別標識としての機能を果たし得るものといえる。
以上から、引用商標からは、その構成中、「シロクマ」の文字部分を要部として抽出し、この部分(以下「要部」という。)を他人の商標と比較して商標の類否を判断することが許されるというべきである。
してみれば、引用商標からは、「ロウジンホームソウダンジョシロクマ」の一連の称呼のほか、要部に相応して、「シロクマ」の称呼を生じ、「ホッキョクグマの別称」の観念を生じるものである。
(4)本願商標と引用商標の類否について
本願商標と引用商標は、構成全体の比較において外観上相違するものである。また、本願商標と引用商標の要部との比較においても、両者の外観は、文字種について差異を有するものである。
しかしながら、商標の使用においては、商標の構成文字を同一の称呼を生じる範囲内で文字種を相互に表記することが一般に行われている取引の実情があるところ、本願商標である「しろくま」の文字と、引用商標の要部である「シロクマ」の文字部分は、両者とも、「白熊」の語の読みを特定するものと理解されることに鑑みれば、両者における文字種の差異が、看者に対し強い印象を与えるとまではいえない。
そして、称呼においては、「シロクマ」の称呼を共通にするものである。
また、観念においては、「ホッキョクグマの別称」の観念を共通にするものである。
したがって、本願商標と引用商標とは、「シロクマ」の称呼及び「ホッキョクグマの別称」の観念を共通にし、外観における文字種の差異は、前記のとおり、強い印象を与えるものとはいえず、称呼及び観念の同一性をしのぐほどの差異として需要者に認識されるものとはいえないことから、これらの外観、称呼及び観念によって需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して考察すれば、本願商標と引用商標は、相紛れるおそれのある類似の商標というのが相当である。
(5)本願商標の指定役務と引用商標の指定役務の類否について
本願商標の指定役務中、第44類「美容,理容,入浴施設の提供,あん摩・マッサージ及び指圧,カイロプラクティック,きゅう,柔道整復,整体,はり治療,栄養の指導,栄養に関する助言,介護,医療用機械器具の貸与,健康管理に関する指導及び助言」は、引用商標の指定役務中、第44類の役務と同一又は類似のものである。
(6)小括
以上のとおり、本願商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、その指定役務も引用商標の指定役務と同一又は類似のものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。