結論テキスト
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2024300191 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本件登録第2722884号商標(以下「本件商標」という。)は、「GEA」の欧文字を上段に「ジーイーエー」の片仮名を下段に書してなり、平成3年10月22日に登録出願、第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同9年8月29日に設定登録され、同19年6月19日に存続期間の更新登録がされた後、同21年2月25日に書換登録がなされた。
その後、第17類「電気絶縁材料」を指定商品とし、平成29年8月22日に存続期間の更新登録がされたものであり、令和5年2月24日受付で「日立化成株式会社」から「株式会社レゾナック」とする登録名義人の表示の変更がなされている。
そして、本件審判請求の登録日は、令和6年4月9日であり、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、令和3年(2021年)4月9日ないし同6年(2024年)4月8日である(以下「要証期間」という。)。
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を、被請求人の提出した令和6年6月28日付けの審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同年9月10日付けの審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)において、要旨次のように述べた。また、証拠方法として甲第1号証ないし甲第21号証を提出した。
なお、証拠の記載については、以下、「甲第1号証」を「甲1」のように省略して記載することがあり、枝番号の全てを示すときは枝番号を省略する場合がある(乙各号証についても以下同じ。)。
本件商標はその指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから商標法第50条第1項の規定によりその登録は取り消されるべきものである。
(1)被請求人の使用商標について
被請求人は、本件商標を使用している証拠(乙1~乙6)を提出し、要旨、これらにおいて使用されている使用商標「GEA-705G」「GEA-770G」「GEA770G」等(以下、これらをまとめて「使用商標」という。)は本件商標と社会通念上同一であると述べているが、使用商標は欧文字「GEA」と「3桁のアラビア数字と欧文字1字(若しくは2字)とを組み合わせたもの」を結合させ、かつ、同書体・同大文字にて一連に表示されており、全体として一体感・まとまりのある態様となっていることからすると、被請求人が主張するように、「GEA」部分が独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすというよりはむしろ、使用商標全体が一つの商標として認識され得るとみるのが相当である。
次に、本件商標は、欧文字「GEA」及び片仮名文字「ジーイーエー」を上下二段に書してなるのに対して、被請求人の使用商標はいずれも下段の片仮名文字「ジーイーエー」に相当する部分がない。
この点、被請求人は、乙第7号証を提出して、要旨、「ジーイーエー」は、「G」「E」及び「A」のアルファベットそれぞれの読みを表したものであるから、上段の欧文字部分と下段の片仮名部分は同一の観念を有しているといえ、本件商標と使用商標とは社会通念上同一である旨を主張しているが、欧文字「GEA」は辞書等に掲載されている成語ではなく造語であって、特定の観念を生じるものではなく、そもそも、被請求人が主張する「同一の観念を有している」という状態を想定できるものではない。仮に、当該主張が「ジーイーエー」からは、「G」「E」及び「A」のアルファベット3文字という観念が生じるとの趣旨であれば、全ての造語からいわば文字の羅列という観念が生じ得ることにもなりかねず、妥当でないことは明らかである。
また、本件商標の欧文字部分又は使用商標の一部である「GEA」からは常に「ジーイーエー」の称呼のみが生じるとは限らず、その構成文字のローマ字読みに即して「ゲア」の称呼も極めて自然に生じる。つまり、本件商標と使用商標とは常に同一の称呼を生じるとは限らない。
さらに、使用商標には「ジーイーエー」に相当する表示がなく、一方、本件商標には、「-705G」「-770G」「770G」等に相当する表示がなく、両者には明確な外観上の差異がある。
以上からすると、使用商標はいずれも「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標」(商標法第38条第5項)に該当しないことはもちろん、「その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標」(同条同項)として審判便覧(乙7)に例示されており、「登録商標が二段併記等の構成からなる場合であって、上段及び下段等の各部が観念を同一とするときに、その一方の使用」にも該当しないことは明らかであり、本件商標と社会通念上同一とは到底言えない。
(2)審決例
本件商標と使用商標が社会通念上同一の商標とは認められないことは、他の取消審判において、欧文字と片仮名文字とを上下二段に横書きしてなる登録商標と、欧文字のみからなる使用商標とが、社会通念上同一の商標ではないとの審決がなされていることからもいえる(甲3~甲5)。
(3)使用に係る商品について
被請求人は、乙第1号証ないし乙第6号証及びそれらを補足する乙第8号証ないし乙第14号証をもって使用商標が「プリプレグ」について使用されており、また、「プリプレグ」は本件の取消請求対象商品である第17類「電気絶縁材料」の範ちゅうに属すると主張するが、乙第1号証ないし乙第6号証に示される「プリプレグ」は第17類「電気絶縁材料」の範ちゅうに属するとはいえない。
被請求人は、乙第1号証ないし乙第6号証において示される使用商品は「プリプレグ」であること、乙第7号証ないし乙第13号証に示されるように、「プリプレグ」はプリント配線板用の絶縁材料として使用されることをもって、使用商品は第17類「電気絶縁材料」の範ちゅうに属すものであると主張する。
ここで、本件の使用に係る商品について検討すると、本件の使用に係る商品である「プリプレグ」(以下「使用商品」という。)は「プリント配線板用銅張積層板」(プリント配線に用いられる基礎材料としての銅張積層板)に使用される商品であることが、乙第1号証のカタログの表紙から確認することができ、また、乙第6号証からは、本件の使用に係る商品が「プリント配線板材料」として扱われていることを確認することができる。さらに、乙第1号証のカタログの第18頁の「成形後のうねりが・・・」、「成形後の表面観察結果」等との記載より、使用商品が、需要者によって成形が必要な、いわゆる「半加工品」であることが確認できる。また、乙第1号証のカタログの第49頁に「プリプレグ樹脂」と表記されているように、本件使用に係る商品は、樹脂(プラスチック)としての性質を強く持つ商品であると考えられる。実際に、乙第9号証においても、「このプリプレグは、半硬化状態まで硬化させた樹脂シートです。これを当社の成形プレス装置で加熱・加圧すると、樹脂が再溶融し銅箔と接着します。」との記載があることから、本件の使用に係る商品のみならず、「プリプレグ」は、広く一般的に、成形が必要な半加工品であり、また、樹脂(プラスチック)製品として取り扱われていることがうかがえる。
これらからすると、「プリント配線に用いられる基礎材料としての銅張積層板」(類似群コード34A01)の構成材料である本件の使用に係る商品は、当然「プリント配線に用いられる基礎材料としての銅張積層板」の範ちゅうに属する商品であること、本件の使用に係る商品は「プリント配線板材料」として扱われ、樹脂(プラスチック)としての性質を持つことから、「プリント配線用プラスチック基礎製品」(類似群コード34A01)の範ちゅうに属する商品であること、本件の使用に係る商品は成形が必要な半硬化状態であり、樹脂(プラスチック)としての性質を強く持つことから、「半加工プラスチック」又は「プラスチック基礎製品」(類似群コード34A01)の範ちゅうに属する商品であることが明らかである。
なお、被請求人は本件の使用に係る商品は絶縁機能を持った材料であり、そうすると、本件の使用に係る商品は「電気絶縁材料」の範ちゅうに入ると主張している。
しかしながら、本件の使用に係る商品が絶縁性を有するものであることを理由に、そこから直ちに本件の使用に係る商品が「電気絶縁材料」の範ちゅうに属するとは言えない。例えば、乙第8号証に示されるように、一般的に「プリプレグ」は、プリント基板を作成する際の、コア層の接着材としての役割も持ち、実際に、被請求人の商品カタログである乙第1号証の第49頁等において、「多層化接着における注意事項」との記載や、「プリプレグ樹脂の溶融温度」、「樹脂が柔らかくなる製品温度」といった記載があるように、本件の使用に係る商品も、樹脂の溶融性を利用した接着材として使用することを目的とした商品であることが確認できる。つまり、本件の使用に係る商品は、プリント基板において絶縁を確保するためのものである一方で、その溶融性を利用した接着材としての機能も有する商品でもある。ここで、プラスチックを使用した基礎製品は世に多く流通しており、そのような商品は少なからずプラスチックの持つ溶融性、熱硬化性、耐熱性、絶縁性等の性質を利用又は目的としたものであると考えられるが、それら全ての商品が直ちに電気絶縁材料や接着材等の範ちゅうに属する商品とはいえず、その商品が指定商品のいずれに属するかの認定・判断は、使用商品の取引の実情を考慮するのが相当である。そして、プラスチックの持つ溶融性・絶縁性を利用してプリント基板のコア層の接着や、プリント基板の各層間の絶縁を確保する機能を有する本件の使用に係る商品「プリプレグ」は、プラスチックの持つ複数の性質の一つにすぎない絶縁性だけに着目して「電気絶縁材料」(類似群コード11D01)であるとするよりもむしろ、プラスチックの持つ複数の性質を利用してプリント基板を構成するための基礎製品であるとして、「プリント配線用プラスチック基礎製品」(類似群コード34A01)の範ちゅうに属するとするのが相当である。
(4)登録例
本件の使用に係る商品が、「プラスチック基礎製品」(類似群コード34A01)の範ちゅうに属することは、登録事例において、本件の使用に係る商品と同様の指定商品が、「電気絶縁材料」の類似群コード11D01が付されずに登録されていることからも明らかである(甲6~甲21)。
(5)結語
以上から、乙第1号証ないし乙第15号証をもっては、本件商標と社会通念上同一の商標が、取消請求対象商品について使用したことを証明する証拠とはなり得ない。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を答弁書及び令和7年6月17日付けの審尋に対する同年7月23日付け回答書(以下「回答書」という。)において、要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第38号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)使用に係る商標
乙第1号証及び乙第2号証は、被請求人が製造及び販売するプリント配線板用銅張積層板の製品カタログの抜粋であり、当該カタログ中には、銅張積層板を製造する際に絶縁材料として用いられる「プリプレグ」の製品名として「GEA-705G」「GEA-770G」が記載されている。このほか、「GEA-795G」「GEA-705G」「GEA-700G」「GEA-679FG」の表示も確認できる。このように、被請求人はプリプレグの品名として「GEA-○○○」の表示を使用しており、「○○○」の部分は製品の性能やバージョンを表す数字やアルファベットを付加したすぎないものである。
乙第3号証は、被請求人の旧社名である昭和電工マテリアルズ株式会社(Showa Denko Materials Co.,Ltd.)宛てに、中国の取引先企業が2022年2月22日に発行した注文書(PURCHASE ORDER)の写しである。当該書類の「Item Description」の欄に「GEA770G」の記載がある。
乙第4号証及び乙第5号証は、乙第3号証の発注書を受けて昭和電工マテリアルズ株式会社が2022年4月12日に発行した請求書(INVOICE)(中国向け貨物に添付する「無木質包装声明(非木材梱包声明書)」を含む)、及び、梱包明細書(PACKING LIST)の写しである。これら取引書類中の「DESCRIPSION」の欄には「GEA770G」が記載され、さらに請求書には品名として「GLASS EPOXY PREPREG」が記載されている。
請求書(乙4)の「ORDER NO」(注文番号)の欄に記載された「VBP0007513」は、注文書(乙3)の「Document No.」の欄に記載された番号と一致しており、梱包明細書(乙5)に記載された「INVOICE NO F220411014」は、請求書(乙4)に記載された請求書番号(I/V NO.)と一致している。このことから、被請求人は、中国企業から注文を受け、2022年4月にプリプレグ「GEA770G」を輸出したことが分かる。
乙第6号証は、被請求人が製品を販売する際の段ボールや包装箱に添付するラベルの写真であり、うち上段2点は被請求人の旧名称「昭和電工マテリアルズ株式会社」が表示されており、2022年10月出荷された商品に付されたラベルである。他の写真は要証期間外である2024年6月に撮影されたものであるが、使用商標が現在に至るまで継続的にラベルに表示され貼付されていることを示すものとして提出する。
なお、乙第6号証に記載した「外ラベル」「集合ラベル」は、いずれも製品を大量に梱包した段ボールに貼付するラベルを指す語であり、「内ラベル」「出荷ラベル」「製品ラベル」は、いずれも小分けにした製品パッケージに貼付するラベルを指す語である。
また、本件商標は、欧文字「GEA」と片仮名「ジーイーエー」を二段に書してなる態様であるところ、上記資料では欧文字「GEA-705G」「GEA-770G」のように使用されているが、かかる使用商標は本件商標と社会通念上同一といえるものである。
例えば、使用商標「GEA-770G」は、欧文字3文字からなる「GEA」と、数字とローマ字1字からなる「770G」とをハイフンを介して結合させた態様からなり、視覚上、「GEA」と「770G」とに分離して把握できる。そして、数字の次にローマ字の1を組み合わせた「770G」は、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章と理解されるものであるから、使用商標の前半部分である「GEA」部分が独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすものである。したがって、「GEA」部分が本件使用商標の要部であることは明らかである。
そして、本件商標は欧文字「GEA」の下に片仮名「ジーイーエー」を小さく併記してなる態様であるが、不使用取消審判に関する審査便覧53-01において、「登録商標が二段併記等の構成からなる場合であって、上段及び下段等の各部が観念を同一とするときに、その一方の使用」については、社会通念上同一と認められる商標であると例示されている(乙7)。そこで本件商標について検討すると、「ジーイーエー」は、「G」「E」及び「A」のアルファベットそれぞれの読みを表したものであるから、上段の欧文字部分と下段の片仮名部分は同一の観念を有しているといえる。そして、使用商標の要部である「GEA」は、本件商標の欧文字部分とそのつづりを共通にするものであるから、その使用は、本件商標と社会通念上同一といえるものである。
以上のことから、本件使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められるものである。
(2)使用に係る商品
乙第1号証ないし乙第6号証は、使用商標が「プリプレグ」について使用されたことを示すものである。プリプレグとは、樹脂を含浸させたガラス繊維の層で、プリント基板の構成材料であるコア層や金属箔の各層を接着し、各層間の絶縁を確保するために用いられる絶縁体であり(乙8)、プリプレグを製造・販売する複数の会社から「絶縁体シート」「絶縁材料」として販売されている(乙9、乙10)。実際、被請求人のウェブサイトにおいても同社のプリプレグについて「配線板材料用絶縁シート」と説明しているほか(乙11)、製品カタログ(乙1)においても、製品の特長として「絶縁層厚み16μmが実現できます」との記載があり、絶縁機能を持った材料であることが分かる。
ここで、「商品及び役務の区分解説」によれば、第17類「電気絶縁材料」について、「この商品は、電気機械器具の部品で、器具とはいえないものであって、「絶縁テープ」や「絶縁用紙製品」等の絶縁用の電気材料が該当します。絶縁用の商品は、原則、本類に属し、例えば、「絶縁塗料」は第2類「塗料」に属さず、本類に属します。」とある(乙12)。すなわち、電気絶縁用の商品は、その形状や材質にかかわらず、原則として「電気絶縁材料」の範ちゅうに属するものであって、プリント基板の製造において絶縁材料として用いられる「プリプレグ」は、「電気絶縁材料」の範ちゅうに属することは明白である。このことは、「プリント配線板用絶縁樹脂材料」が「電気絶縁材料」と同じ類似群コード11D01に分類されていることからも裏付けられる(乙13)。
なお、「プリプレグ」が樹脂を含むシート状の商品であることに着目して、例えば「プラスチック基礎製品」のような商品の側面を有すると考えられる可能性もあるかもしれないが、「ある商品が指定商品のいずれに属するかの認定・判断は難しい場合があり、二つの指定商品に属する二面性を有することすらあり得る」のであり、「その判断に当たっては、使用商品の名称、表示、原材料、機能、用途、使用実態等のほか、取引者・需要者の認識・・・等の取扱いを含む取引の実情を考慮するのが相当」と過去に判示されているように(東京高裁平成12年(行ケ)第447号:乙14)、ある商品が複数の側面を持つことは十分に考えられることである。そして、本件使用商品であるプリプレグは、絶縁用に用いられるものであり、実際の取引において絶縁体として扱われているのであるから、「電気絶縁材料」の範ちゅうに属することは明白である。
(3)使用時期
乙第1号証のカタログは、その裏表紙の注意事項欄において、「本カタログの記載内容は2024年1月現在のものです。」と記載され、また、同頁の最下部に、「THE DATE OF ISSUE 2024-01」「PRINTED IN JAPAN」と記載されている。また、英語版のカタログ(乙2)には、同じく裏表紙に「The contents of this brochure are as of October 2023」(訳:本カタログの記載内容は2023年10月現在のものです)と記載され、最下部には「THE DATE OF ISSUE 2023.10」「PRINTED IN JAPAN」の表示が確認できる。これらの記載から、乙第1号証のカタログは2024年1月に、乙第2号証のカタログは2023年10月に発行、頒布されたことを示している。
また、乙第4号証には、INVOICEの発行日を示す「B/L DATE」の欄に「2022/4/12」の記載があるほか、乙第3号証ないし乙第5号証には、それぞれ、アマノセキュアジャパン株式会社により生成されたタイムスタンプ「2022/02/25 06:31:03 JST」「2022/04/12 10:21:47 JST」「2022/04/12 10:21:56 JST」が押されている。これらの事実から、被請求人は、2022年2月25日に本件商標に係る商品の注文を受け、2022年4月12日に取引先である中国企業に商品を発送したことが分かる。
さらに、乙第6号証において、「昭和電工マテリアルズ株式会社」が表示された内ラベルには、「製造年月日:2022/09/13」「出荷日:2022/10/13」の日付が記載されている。
以上の記載はいずれも本件の要証期間内であり、本件審判の請求の予告登録前3年以内の使用ということができる。
(4)使用者
乙第1号証及び乙第2号証のカタログは、いずれもその裏表紙の下段において、「株式会社レゾナック」「Resonac Corporation」の記載があり、被請求人が本件商標を使用していることが認められる。
なお、乙第3号証及び乙第4号証には「Showa Denko Materials Co.,Ltd」が表示されているが、被請求人は2023年1月1日付で「昭和電工マテリアルズ株式会社」から「株式会社レゾナック」に社名を変更しているので(甲15)、被請求人に係る取引書類であることは明らかである。
(5)使用態様・使用場所
乙第1号証及び乙第2号証のカタログは、日本国内及び外国の取引先に頒布されるものであり、商標の「使用」について定義する商標法第2条第3項第8号の「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当する。
また、乙第3号証ないし乙第6号証は、本件商標を付した商品が、中国へ輸出されていたことを示すものであるから、当該行為は、商標法第2条第3項第2号に規定する商標の使用に該当する。
(6)小括
上述のとおり、被請求人は、要証期間内に、取消請求に係る指定商品「電気絶縁材料」の範ちゅうに属する商品について、本件商標と社会通念上同一の商標を付した商品を輸出し(商標法第2条第3項第2号)、また、当該商品に関する広告に商標を付して頒布した(商標法第2条第3項第8号)ことは明らかである。
(1)被請求人のカタログの頒布について
被請求人が作成する製品カタログは、基本的に、顧客への手渡しや、展示会においてブース訪間者が自由に手に取れるような形式で配布している。
ア 製品カタログ(乙16~乙19)
2018年に発行された製品カタログ(日本語版、英語版)、2019年及び2020年に発行された製品カタログ(英語版)の抜粋であり、いずれも「GEA-705G」「GEA-770G」等が記載されている。
なお、被請求人は、新型コロナウイルスの影響等により2021年から2023年までカタログの作成、改訂作業を一時的に中断していたため、2024年1月に新たなカタログ(乙1、乙2)が発行されるまでは、乙第19号証を含め2020年に発行されたカタログが営業活動等において使用されていた。
イ 「納品書及び検収票兼納品書(控)」(乙20)
当該資料は、カタログ制作業者から被請求人の前身である日立化成株式会社に対し、「配線板総合カタログ(日本語版)」及び「配線板総合カタログ(英語版)」がそれぞれ1,600部ずつ、2019年6月20日に被請求人に配送、納品されたことを示すものである。
ウ カタログ配送費用に関する見積書の写し(乙21)
カタログ制作業者が被請求人の支社・支店へ直接カタログを配送した場合の配送費用に関する見積書であり、カタログ制作業者から被請求人の前身である日立化成株式会社宛てに発行されている。
乙第16号証ないし乙第21号証は要証期間外に作成されたものであるが、乙第1号証及び乙第2号証も併せれば、被請求人が、長年にわたり、継続的に本件商標に関するカタログを作成、頒布していたことは十分推認できるものである。
(2)被請求人が「GEA」に係る製品を販売していたことについて
被請求人は、新たに2021年9月から2024年2月の間に納入された商品に関する製品納入時の受領書(乙22)を提出する。
被請求人の使用商品は、通常、プリント配線板やその関連商品を扱う専門の商社を介して顧客に納入されており、当該受領書においては、左上(枠線の外)に記載された会社が商社であり、同企業が被請求人に製品を発注し、「御注文主名」欄に記載された企業に最終的に納品している。
そして、被請求人から商社に製品が納品され、商社を介して「御注文主」である企業に納品された後に、当該商社は、商品が納入されたことを証明するために当該受領書に押印し、それを被請求人宛てに送付している。
これらの資料から、要証期間内に、被請求人は取引先からの注文を受け、「GEA」に係る製品を納入していたことが明らかであり、かかる行為は、商標法第2条第3項第2号に規定する商標の使用に該当する。
(3)被請求人の「GEA」が継続的に使用されていたことについて
ア 日立化成テクニカルレポート(乙23)
被請求人が定期的に発行しているテクニカルレポートであり、「GEA」が紹介されている。当該レポートは2019年に発行されたものであるが、現在もウェブサイト上で閲覧・ダウンロード可能となっている。
イ 「JPCA Show 2018」(第48回国際電子回路産業展)のウェブサイト
2018年6月6日から6月8日にかけて東京ビッグサイトで開催された「電子機器 トータルソリューション展 2018」における「第48回 国際電子回路産業展(JPCA Show 2018)」にて、被請求人の製品「GEA」が出展ブースの中でも優れたものに与えられるJPCA賞を受賞した旨が記載されている。当該イベントのウェブサイト、及び、結果報告書(抜粋)を提出する(乙24、乙25)。
(4)まとめ
以上述べたとおり、被請求人の製品カタログは顧客への手渡しや展示会での配布による頒布を行っているが、2018年、2019年、2020年、2024年にカタログを制作しており(乙1、乙2、乙16~乙21)、カタログ制作業者からカタログの納入を受けていることから、カタログを頒布していたことは明白である。そして、2021年から2024年の要証期間において「GEA」に係る商品が取引先に納入されており(乙3~乙5、乙22)、かかる行為は、商標法第2条第3項第2号に規定する商標の使用に該当する。
(1)使用商標について
請求人は、使用商標「GEA-705G」等は全体として一体感があり、「GEA」部分が独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすというよりは全体が一つの商標として認識され得ること、使用商標はいずれも本件商標中の下段の片仮名文字「ジーイーエー」に相当する部分がないこと、本件商標には「-705G」等に相当する表示がなく両者には明確な外観上の差異があることなどを主張している。
しかし、本件使用商標中の「705G」等に当たる部分は、商品の規格、形式、品番等を表示するための記号として機械部品等を取り扱う業界において一般に採択、使用されている数字とローマ字の1字を組み合わせたものであり、自他商品の識別機能がない。
したがって、本件使用商標の識別機能を有する部分は「GEA」であるとみるべきであり、本件商標において、「-705G」等に相当する表示がないことは、使用商標と本件商標との比較において特段考慮されるべきものではない。
また、本件商標は欧文字「GEA」と片仮名「ジーイーエー」を上下二段に書してなるところ、欧文字「GEA」は、辞書に掲載のない造語であり、文字どおり、欧文字「GEA」であるとの観念以外に特定の観念は生じないものであるから、「GEA」と「ジーイーエー」は、観念において相違するものではない。そうすると、使用商標の識別機能を有する部分である「GEA」は、本件商標の欧文字部分とつづりを共通にするものであり、本件商標が二段併記の構成からなる場合であって上段及び下段の各部が観念を同一とするときの一方の使用に当たるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標というべきである。
本件商標と使用商標が社会通念上同一と認められることは、取消審判において、欧文字と片仮名文字を上下二段に横書きしてなる登録商標と、欧文字からなる商標、又は欧文字からなる商標に識別力のない要素が結合された商標が、社会通念上同一の商標であると判断されていることからも明白である(乙26~乙28)。
なお、請求人は、本件商標と使用商標が社会通念上同一でないとする主張の根拠としていくつかの審決例を挙げているが、それらの例は適切ではない。例えば、審決例1(甲3)は、登録商標の欧文字部分が「CEE」であるのに対して使用商標は「Cee」であるところ、「Cee」の第1文字のみが大文字で表されていることが考慮され、当該使用商標はローマ字読みをし難い綴りであり英語風に「シー」の称呼が自然であると判断されている。また、審決例3(甲5)については、登録商標の片仮名部分「スト ラト」は、欧文字部分「St-RAT」の読みを特定すべく併記されたものと理解し得るものの、使用商標「St-RAT」からは構成文字に相応して「エスティーラット」の称呼が生じるのが自然であって、「ストラト」の称呼が自然に生じるとはいえない。また、審決例2(甲4)においても、登録商標の片仮名部分 「ドルチェビッタ」は、欧文字部分「DOLCE VITA」の読みを特定すべく併記されたものと理解し得るものの、使用商標「DOLCE VITA」からは「ドルチェビッタ」ではなく、イタリア語の発音に倣い「ドルチェビータ」の称呼が自然に生じるため、必ずしも同じ称呼が生じるとはいえない。
このように、請求人が挙げた審決例はいずれも、登録商標の欧文字部分から生じ得る称呼が、必ずしも使用商標からは自然に生じるとはいえない文字構成からなるものであり、本件商標「GEA」とは事案が全く異なるものであるから、これらを同列に扱うことは適切ではない。
(2)使用商品について
ア プリント配線板用のプリプレグについて
請求人は、被請求人の使用に係る商品は「プリント配線板材料」として扱われ、樹脂(プラスチック)としての性質を持つことから「プリント配線用プラスチック基礎製品」(類似群コード34A01)の範ちゅうに属する商品であると主張しているが、かかる主張には誤りがある。
まず、プリプレグとは、ガラスクロス等の基材に熱硬化性の樹脂を含浸させ、半硬化状態まで乾燥処理した絶縁体シートであり(乙10)、プリント配線板の分野では絶縁材料とされているものである。プリント配線板用のプリプレグは、銅板積層板の上下に重ねて加熱・加圧処置を行うことで絶縁層を作るもので、加熱により樹脂部分が溶けてプリント配線板の銅箔の凹凸にしみ込むことで鋼箔とプリプレグを密着させ、さらに加熱して硬化させることで最終的な形状が作られ、プリント配線版内に絶縁層が作られる。このように、プリント配線板用のプリプレグは樹脂の可塑性及び硬化性を利用して絶縁層を形成するものであるが、その構成は、ガラス繊維のような基材となる他の素材に樹脂を含侵させたものであって、樹脂そのものではない。
また、プリント配線板の分野において、プリプレグが絶縁材料として認識、取引されていることは、「プリプレグは、絶縁材料。」(乙29)、「4層以上の多層基板になるとプリプレグ(PP)という絶縁材料が必要になります」(乙30)、「プリプレグはPCBの絶縁材料です」(乙31)、「プリプレグは(略)あらゆる電子回路とプリン基板の元になる材料「銅張積層板」の絶縁材料 として用いられています」(乙9)、「プリプレグの基本的な機能は、全ての層を一体化し、各層間の絶縁を確保することです」(乙8)のように、数多くの取引者が説明していることからも明白である。
そして、被請求人の使用に係る商品についても、プリント配線板等において絶縁用に用いられるものであり、現に、プリプレグを「配線板材料用絶縁シート」と称しており(乙11)、製品カタログ(乙1)には「絶縁層厚み16μmが実現できます」という特徴を記載している。
また、請求人は、カタログ(乙1)から、本件の使用に係る商品である「プリプレグ」は「プリント配線板用銅張積層板」に使用される商品であると述べているが、上述のとおり、プリプレグは銅張積層板の上下に重ねて加熱・加圧処理を行うことで絶縁層を作る商品であり、「プリント配線板用鋼張積層板」そのものや、「プリント配線板用銅張積層板」の構成材料ではない。ある製品カタログにおいて、標題に記載された商品だけではなく、それに関連する商品も併せて掲載することはごく一般的であり、カタログの表紙に「プリント配線板用銅張積層板」と記載されているからといって、掲載商品が全てその商品の範ちゅうに属すると判断するのは論理に飛躍があるといわざるを得ない。
さらに、請求人は、被請求人の使用に係る商品が樹脂の性質を強く持ち、成形が必要な半加工品であるから「半加工プラスチック」又は「プラスチック基礎製品」(類似群コード34A01)の範ちゅうに属するとも主張しているが、この主張も妥当ではない。
絶縁材料のうち、例えば「電気絶縁材料」は、樹脂やゴム、紙、ガラスなど様々な材質からなる商品が存在するが、これらはいずれも素材の電気を通さない性質を利用した商品であり、樹脂(プラスチック)製の絶縁材料が樹脂の性質を強く持つことは当然のことである。また、「プラスチック基礎製品」「半加工プラスチック」は、成形等の加工を何ら施さない原料としてのプラスチックが第1類「原料プラスチック」に属するのに対し、板状、管状、シート状のようにある程度の加工を施してはいるが最終製品となってはいない「半加工」状態のプラスチック製品を指すものであって、需要者によるさらなる成形が必要か否かは関係ない。現に、「ゴム系樹脂成形材料からなる電気絶縁材料」「可塑成形材料からなる電気絶縁材料」は、成形が必要となる「成形材料」であるが「電気絶縁材料」(類似群コード11D01)の範ちゅうに属するとされている(乙32)。
また、プラスチックの性質を強く持つからといって直ちに「半加工プラスチック」又は「プラスチック基礎製品」に属するわけではないことは、「電気絶縁用のプラスチックスフィルム生地」(類似群コード11D01)、「農業用プラスチックシート」(類似群コード20D01)、「プラスチック繊維(織物用のものを除く。)」(類似群コード14A05)のように、その用途によって異なる類似群コードが付与されていることからも明らかである(乙33)。
イ 二面性を有する商品について
また、仮に被請求人の使用に係る商品が、その材質及び形状から「プラスチック基礎材料」の一種であると認識されたとしても、当該商品が「電気絶縁材料」ではないということはできない。
答弁書でも述べたとおり、「ある商品が指定商品のいずれに属するかの認定・判断は難しい場合があり、二つの指定商品に属する二面性を有することすらあり得るのであり、「その判断に当たっては、使用商品の名称、表示、原材料、機能、用途、使用実態等のほか、取引者・需要者の認識・・・等の取扱いを含む取引の実情を考慮するのが相当」とされている(東京高裁平成12年(行ケ)第447号平成13年7月12日判決、乙14)。
また、過去の取消審判事件においても、二面性を有する商品について以下のとおり、「いずれの分類に属するか判断の極めて困難な商品や役務もあり、いずれか一つに属するとは決し難い商品や役務が出現した場合、不使用取消審判の場で、商品又は役務は常にいずれか一つの分類に属すべきものであって、二つの分類に属することはありえないとするのは相当でなく、登録商標の使用されている当該商品又は役務の実質に則して、それが真に二つの分類に属する商品又は役務について登録商標が使用されているものと扱って差支えないというべきである」と判断されている(乙34)。
プリント配線板用のプリプレグが絶縁目的で使用される商品であることは既に述べたとおりであり、さらに、プリプレグを取り扱う多くの取引者がこれを「絶縁材料」「絶縁シート」等と説明していることからも、実際の取引において、絶縁材料として扱われていることは明白である。
したがって、仮に、被請求人の使用に係る商品が「プラスチック基礎材料」の一種としての性質を持つとしても、同時に「電気絶縁材料」の性質を持つ、二面性のある商品であると考えるのが自然であり、そうした場合は、二つの商品について本件商標が使用されていると判断されるべきである。
なお、請求人は、過去の登録例を挙げて本件使用商品が類似群コード34A01に属する商品であると主張しているが、本件使用商品がどの範ちゅうに属するものであるかは、被請求人が提出した証拠及び当該商品に係る取引者・需要者の認識などの取引実情に基づき個別に判断すべきものであって、過去の審査例のみをもって使用商品の範囲を特定すべきではない。
(3)小活
以上述べたとおり、本件商標と使用商標は社会通念上同一であるといえる。また、被請求人の使用に係るプリント配線板用のプリプレグは、取引において「絶縁材料」として扱われている実情があることからすれば「電気絶縁材料」の範ちゅうに属すると考えるのが自然であり、たとえ当該商品が「プラスチック基礎材料」の―種としての性質を有するとしても、それは「プラスチック基礎製品」と「電気絶縁材料」の両方に属する二面性を有する商品と考えるべきである。
したがって、本件商標と使用商標が社会通念上同一ではなく、使用商標は「半加工プラスチック」又は「プラスチック基礎製品」(類似群コード34A01)の範ちゅうに属する商品であるとした請求人の主張は失当である。
(1)カタログ(乙1)について
カタログの写し(乙1)の表紙には、「MCL/プリント配線板用銅張積層板/COPPER CLAD LAMINATES」及び「RESONAC」、2葉目には、「・・・基板用プリプレグ/GEA-705G,GEA-770G」(以下「GEA-705G,GEA-770G」を「使用商標」という場合がある。)、「製品形態/●プリプレグ GEA-705G,GEA-770G」、「特長/絶縁層厚み16μmが実現できます。」及び使用商品の写真、裏表紙には、「●本カタログの記載内容は2024年1月現在のものです。」、「株式会社レゾナック」及び「THE DATE OF ISSUE 2024-01」の記載がある。
(2)その他のカタログ(乙2、乙16~乙19、乙35)について
カタログ(乙2)の表紙に「COPPER CLAD LAMINATES(抄訳:銅張積層板)」、2葉目に「(抄訳:製品/プリプレグ GEA-705G,GEA-770G)」、「(抄訳:特長/絶縁層の厚み16μmを実現できます。)」及び使用商品の写真、裏表紙に「(抄訳:●本カタログの記載内容は、2023年10月現在のものです。)」、「(抄訳:株式会社レゾナック)」及び「(抄訳:発行日 2021年10月」の記載がある。
また、カタログ(乙18)の表紙に「COPPER CLAD LAMINATES(抄訳:銅張積層板)」、「(抄訳:●本カタログの記載内容は、2019年6月現在のものです。)」、「(抄訳:日本化成株式会社)」「(抄訳:発行日 2019年6月)」、4葉目に、「(抄訳:GEA-705G,・・・GEA-770G・・・」<プリプレグ>)」、「(抄訳:特長/絶縁層の厚み16μmを実現できます。)」の記載がある。
上記カタログのほか、上記カタログと同様のカタログ名、使用商標、使用商品の写真、商品説明等が記載された2018年6月を発行日とするカタログ(乙16、乙17)及び2020年10月を発行日とするカタログ(乙19)が存在する。
(3)納品書及び検収票兼納品書(控)(乙20)について
乙第20号証は、カタログ(乙18)がカタログ製作業者から本件商標権者に納品されたことを示す納品書及び検収票兼納品書(控)とされるものであり、2葉目の、2019年6月20日付けの印刷業者Aから日立化成株式会社(本件商標権者の表示変更前の権利者)宛ての「納品書及び検収票兼納品書(控)」に「配線板総合カタログ(英語版)」に係る数量、単価及び金額の記載、3葉目及び4葉目の「納品書及び検収票兼納品書(控)」に「配線板総合カタログ発送費」に係る数量、単価及び金額の記載がある。
(4)受領証(乙22)について
乙第22号証は、2021年ないし2024年に送付された本件商標権者から顧客宛ての受領書とされるものであるところ、乙第22号証の4には、「GEA-705G」の商品について、本件商標権者から顧客A宛ての「受領書」に出荷日として「2024年2月8日」、顧客B宛の「受領書」に出荷日として「2024年1月22日」の記載がある。
(5)使用商品「プリプレグ」について
複数のプリプレグを取り扱う企業のウェブサイトにおいて、プリプレグについて、例えば「銅張積層板に絶縁材料として使われている「プリプレグ」・・・電子回路とプリント基板の元になる材料(銅張積層板(Cooper Clad Laminate))の絶縁材料として用いられています。」(乙9)、「プリプレグとは、・・・半硬化状態まで乾燥処理した絶縁体シートです。」(乙10)、「プリプレグは、絶縁材料。」(乙29)、「・・・4層以上の多層基板になるとプリプレグ(PP)という絶縁材料が必要になります。」(乙30)、「プリプレグはPCBの絶縁材料です。」(乙31)と紹介がされている。
(1)本件商標と使用商標の社会通念上の同一性について
本件商標は、「GEA」の欧文字を上段に「ジーイーエー」の片仮名を下段に書してなるところ、「GEA」の文字は、一般の辞書等に載録のないものであるから、特定の観念を生じない造語とみるのが相当であり、下段の「ジーイーエー」の片仮名は、上段の「GEA」の各アルファベットの読みに従い、上段の欧文字の読みを表した文字としてのみ認識され、当該欧文字の読みを超えた特段の観念を有するものでない。
一方、例えば、使用商標「GEA-705G」は、欧文字3文字からなる「GEA」と、数字とローマ字1字からなる「705G」とをハイフンを介して結合させた態様からなり、視覚上、「GEA」と「705G」とに分離して把握できる。そして、「GEA」の文字は、使用商標において共通して使用され、さらに、それに続く「705G」等の文字は、使用商品(プレプレグ)の特長等の製品形態に合わせて、「GEA-705G」や「GEA-770G」のように使用されていることがうかがえる。
してみると、「GEA」に続く「705G」等の文字は、各種使用商品の特長等の製品形態の区分けのための品番等として理解されるとみるのが相当であるから、使用商標は、共通して使用され、自他商品の識別機能を有する「GEA」の文字部分が要部であるといえ、これより生ずる称呼のみをもって、商品の取引に当たる場合も少なくないものといえる。
そうすると、使用商標は、その要部である「GEA」の文字部分に相応して「ジーイーエー」の称呼を生ずるものであって、特定の観念を生じない造語よりなるものであるから、本件商標と使用商標の要部は、「ジーイーエー」の称呼を同じくするものであり、観念上においても相違するところはない。
そして、使用商標の要部である「GEA」の文字部分は、本件商標の上段の「GEA」と欧文字と構成を同じくするものである。
したがって、使用商標は、本件商標の上段の欧文字の書体にのみに変更を加えた同一の文字からなるものといえるから、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
(2)使用商品について
使用商品である「プリプレグ」は、本件商標権者(前身の会社を含む。)が発行したカタログ(乙1、乙2、乙16~乙19)におけるプリプレグに係る記載のほか、複数のプリプレグを取り扱う企業のウェブサイトのプリプレグに係る記載内容(乙9、乙10、乙29~乙31)を踏まえれば、使用商品は、その取引者、需要者に絶縁材料として認識、取引されているといえる。
したがって、仮にプリプレグが「プラスチック基礎材料」としての性質を有するとしても、同時に「電気絶縁材料」としての性質を有することを否定し得ず、二つの指定商品に属する二面性を有する商品であると考えられるから、使用商品「プリプレグ」は「電気絶縁材料」の範ちゅうに属する商品とみて差し支えない。
(3)使用者、使用時期、使用行為について
使用商標が表示されているカタログ(乙1)には、本件商標権者の名称の記載があるから、当該カタログは、本件商標権者の作成に係るカタログであると認められる。
そうすると、使用商標の使用者は、本件商標権者であると認められる。
そして、当該カタログ(乙1)は、使用商品の広告としての体裁が備わっており、頒布されることを目的に作成されたものと推認できるところ、カタログ(乙1)が作成、納品されたことを直接裏付ける証拠は確認できないものの、本件商標権者が作成したカタログ(乙1)と使用商標、使用商品及び商品の特長等の記載事項が一致するカタログ(乙18)が本件商標権者(前身の会社を含む。)によって作成、納品されたことが認められること(乙20)、カタログ(乙1)に掲載された使用商標と受領証における顧客宛ての注文商品「GEA-705G」が一致し(乙22の4)、当該注文商品の出荷日とカタログ(乙1)の発行日は日付けの点においても不自然な点は見いだせないこと、本件商標権者(前身の会社を含む。)は、上記カタログ(乙1、乙18)と同様に2018年6月、2020年10月及び2021年10月にも使用商標、使用商品の写真、商品説明等が記載されたカタログ(乙2、乙16、乙17、乙19)を定期的に作成していることなどを併せみれば、カタログ(乙1)は、その発行日である令和6年(2024年)1月頃に本件商標権者によって頒布されたとみるのが自然である。
そして、当該時期は要証期間内といえ、当該カタログは日本語で記載されたものであるから、日本国内での使用が明らかである。
(4)小括
以上によれば、本件商標権者は、要証期間に日本国内において、請求に係る指定商品「電気絶縁材料」の範ちゅうに属する「プリプレグ」を掲載したカタログに、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して、当該カタログを頒布したものと認められる。
そして、本件商標の本件商標権者による上記行為は、商標法第2条第3項第8号の「商品に関する広告若しくは取引書類に標章を付して頒布する行為」に該当する。
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標権者が、その審判請求に係る指定商品中の「電気絶縁材料」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したというべきである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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