結論テキスト
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2024300603 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本件登録第5760549号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成25年5月24日に登録出願、第25類に属する商標登録原簿記載の商品並びに第41類「教育及び訓練,娯楽の提供,スポーツイベント及び文化イベントの手配及び運営,スポーツの興行の企画・運営又は開催」及び第42類「科学に関する研究,技術的事項に関する研究,コンピュ-タのハ-ドウエア及びコンピュ-タソフトウエアの設計及び開発」を指定商品及び指定役務として、同27年4月24日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和6年9月18日であり、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、同3年9月18日から同6年9月17日までの期間(以下「要証期間」という。)である。
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品及び指定役務中、第41類「娯楽の提供,スポーツイベント及び文化イベントの手配及び運営,スポーツの興行の企画・運営又は開催」及び第42類「科学に関する研究,技術的事項に関する研究,コンピュ-タのハ-ドウエア及びコンピュ-タソフトウエアの設計及び開発」(以下「請求に係る指定役務」という。)について登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由として、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、請求に係る指定役務について、継続して3年以上日本国内において使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである旨主張し、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
なお、請求人は、被請求人の答弁に対し、何ら意見を述べていない。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第12号証を提出した。
(1)本件商標は、被請求人がカタール国で運営する、運動選手の養成及びスカウト活動を行うアスパイア・アカデミー(アスリート養成機関)の校章であり(乙1)、被請求人は2004年の設立当初は独立政府出資法人として、2008年以降は戦略的事業体(Strategic Business Unit)として、カタール国の他、欧州やアフリカ諸国を含む世界各国において、本件商標を使用している(乙2~乙4)。
また、被請求人は、請求に係る指定役務のうち、少なくとも第41類「スポーツイベントの手配及び運営」について、日本国内において本件商標を要証期間内に使用している。
以下、その点を明らかにする。
ア 被請求人は、日本の株式会社LA DOCEを開催パートナーとして、カタール国内のアスパイア・アカデミーにおいて2023年5月14日から同年5月21日の全行程8日間5泊8日で開催したサッカー選手育成の海外遠征に日本の十歳代(2011~2013年生まれ)の若手選手を募集して派遣した(乙6~乙8)。
乙第8号証においては、本件商標(外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標。以下、被請求人の答弁において同様。)を当該ウェブページの最上段に表示し、当該ページ上で引用される複数の写真には、本件商標が被請求人の主催する同様の選手育成トレーニングに招集された選手及び講師のトレーニングウェアの左又は右胸部分にプリントされたものが表示され、また、当該ウェブサイトの中段において被請求人の活動を紹介するビデオにおいては、そこに写る選手や講師が身に着けるウェア上に上記のとおり本件商標が表示され、加えて、画面右上には常時、本件商標が表示されている。さらに、当該ビデオは本件商標を黒地の画面の中心に据えて最終版が締められている(乙9)。
当該広告募集サイト(乙8)においては、被請求人が手配及び運営する海外遠征に参加するメリットを説明し、開催の要綱(遠征期間、開催地、開催会場等)を明らかにし、参加の人数(限定16名)やカテゴリー(2011~2013年生まれ)、そして、募集対象と選定方法(茨城セレクション、千葉セレクション等)等が明確に規定されている。
イ 当該広告募集サイト(乙8)は、日本のサッカー選手及び練習生が「最高の環境で成長し、欧州リーグにステップアップ」することを目標に、日本から中東のカタールへのサッカー選手育成のための当該海外遠征をその最善の手段として利用してもらうべく、当該「スポーツイベントの手配及び運営」役務の内容を説明、広告し、これらを内容とする情報に本件商標を付して電磁的方法により提供するものである。
すなわち、当該サイトの公開は、商標法第2条第3項第8号の「役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する」行為である。加えて、被請求人の行為は、同第2条第3項第5号の「役務の提供の用に供する物(役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物を含む。)に標章を付したものを役務の提供のために展示する行為」でもあり、当該「スポーツイベントの手配及び運営」について本件商標を使用する行為に該当するものと思料する。
ウ 当該行為が要証期間内になされたものであることは、当該広告募集対象の遠征が行われた期間から容易に推認できるが、当該サイト(乙8)が当該要証期間内の2023年3月15日から2024年9月11日までの間に公開されていたことを明らかにするため、過去のウェブサイトを閲覧できるツールであるWAYBACK MACHINEの画像も証拠として提出する(乙10)。
(2)アスパイア・アカデミーにおいて2023年5月14日から同年5月21日の全行程8日間5泊8日で開催されたサッカー選手育成のための海外遠征の開催パートナー、すなわち、本件商標の使用権者である日本の株式会社LA DOCEから入手した証拠を補充する(乙11、乙12)。
乙第11号証は、当該海外遠征へのセレクション参加公募並びに被請求人及び当該使用権者によるサッカー選手派遣事業の広告として、2023年3月18日乃至2023年4月14日にかけてインスタグラムに掲載した画像であり、乙第12号証は、当該セレクションに合格した約20名に対し電子メールで事前(2023年3月中旬から同年4月下旬までの間)に配布した遠征概要のPDFファイルである。
すなわち、乙第11号証は、被請求人のスポーツイベントである海外遠征及びそのためのセレクションに関する広告物に本件商標を付して頒布又はこれらを内容とする情報に本件商標を付して電磁的方法により提供する行為に関するものであり、乙第12号証は、役務の提供に当たりその提供を受ける者(セレクションに合格し海外遠征に参加する者)の利用に供する物(遠征概要案内書)に標章を付し、それを用いて当該スポーツイベントである海外遠征の手配及び運営の役務を提供する行為に関するものである。当該画像及び遠征概要案内は、いずれも本件の要証期間内に掲載又は配布されたものである。
(3)まとめ
以上より、被請求人及びその使用権者が、本件商標を第41類「スポーツイベントの手配及び運営」について、要証期間に日本国内において使用していたことは明らかである。
(1)事実認定
被請求人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
ア 本件商標の商標権者(以下「本件商標権者」という。)は、カタール国においてアスパイア・アカデミー(アスリート養成機関)を運営する者である(被請求人の主張、乙1)。
イ 乙第8号証は、1葉目の最上部に表示された「The Wayback Machine・・・web/20230315・・・/https:・・・」の記載などから、2023年3月15日時点のウェブページの写しとみられ、本号証の上部に別掲2のとおりの構成からなる図形及び文字を組み合わせた標章(以下「使用商標」という。)が表示されている(以下、当該ウェブページを「本件ウェブページ」という。)。この点につき、過去のウェブサイトを閲覧できるツールとされるWayback Machineの画像であるとして提出された乙第10号証の内容とも整合する。
ウ 本件ウェブページには、アスパイア・アカデミーにおいて行われるサッカー選手の育成に係る催し(以下「本件イベント」という。)について、参加のメリット、2023年5月14日ないし同月21日との期間及びアスパイア施設の見学、親善試合や観光を含む行程等が掲載され、日本国内各地で本件イベントに参加するための選抜を2023年3月19日ないし同年4月15日に行うことが案内され、これに関する質問を本件ウェブページにおいて受付けていることが確認できる(乙8)。
エ 前記アないしウによれば、本件ウェブページが、本件イベントへの我が国からの参加者を募集するために、少なくとも令和5年(2023年)3月15日にインターネット上に公開されており、本件ウェブページには使用商標が表示されていたことが推認される。ここで、本件ウェブページは、アスパイア・アカデミーを運営する本件商標権者が、本件イベントを手配・運営するにあたり公開したものとみて差し支えない。
(2)判断
前記(1)で認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。
ア 使用商標
本件商標は、別掲1のとおり、やや陰影を付けて「A」の欧文字とリボンを基に図案化したと思しきものの左右に鳥の翼状図形を配し、その背景の一部を青色で塗りつぶした図形並びにその下に青色で2段に書した「ASPiRE」及び「ACADEMY」(上段の文字に比して小さく表されている。)の文字からなる商標である。
これに対し、使用商標は、別掲2のとおり、線の内側を白色にして「A」の欧文字とリボンを基に図案化したと思しきものの左右に鳥の翼状図形を配し、その背景の一部を青色で塗りつぶした図形並びにその右に青色で2段に書した「ASPiRE」及び「ACADEMY」(上段の文字に比して小さく表されている。)の文字からなる商標である。
そこで両商標を比較すると、本件商標と使用商標とは、色彩が異なり、文字部分の表示位置が異なるものの、図形部分は色彩ないしは陰影の付し方及び縦横比の若干の相違があるも外観において同視されるといって差し支えないほどの構成態様からなり、文字部分はそのつづり及び書体を同じくし、上段・下段の大小や配置も同じくするものである。
そして、登録商標は、それを付する役務(商品)の具体的な性状に応じ、適宜に変更を加えて使用するのがむしろ通常であるという産業界の実情を踏まえれば、使用商標における上記態様は、商取引の実際において通常行われる範囲のものであって、本件商標の識別性に影響を与えない程度の態様の変更とみるのが相当である。
そうすると、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標といえる。
イ 使用役務
前記(1)ウの認定事実からすれば、使用商標を使用する役務は、「スポーツイベントの手配及び運営」(以下「使用役務」という。)に相当するものであって、請求に係る指定役務のうち「スポーツイベント及び文化イベントの手配及び運営」の範ちゅうに属する役務といえる。
ウ 使用者、使用時期及び使用行為
前記(1)エの認定事実からすれば、使用商標の使用者は、本件商標権者であり、使用時期は、要証期間内の令和5年(2023年)3月15日であり、また、本件商標権者は、使用役務に関する広告に使用商標を付して、日本国内においてインターネット上で公開したものであるから、当該行為は、商標法第2条第3項第8号にいう、役務に関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為に該当する。
エ 小括
前記アないしウによれば、本件商標権者は、要証期間に日本国内において、請求に係る指定役務中の「スポーツイベント及び文化イベントの手配及び運営」の範ちゅうに属する役務に関する広告を内容とする情報に、本件商標と社会通念上同一の商標を付して電磁的方法により提供する、商標法第2条第3項第8号に該当する行為を行ったことが認められる。
(3)まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が、本件審判の請求に係る指定役務に含まれる役務について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていることを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、請求に係る指定役務について、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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