結論テキスト
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2024300752 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本件登録第5258678号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成21年2月4日に登録出願、同年8月21日に第25類「被服,バンド,ベルト,履物」を指定商品として設定登録され、その商標権は現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録は、令和6年11月5日になされたものであり、この登録前3年以内の期間(令和3年11月5日~令和6年11月4日)を以下「要証期間」という。
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とするとの審決を求め、審判請求書、令和6年12月6日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同7年1月31日付け弁駁書(以下「弁駁書」という。)にて、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用した事実は存しない。よって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
(1)要証期間内の使用について
被請求人は、本件商標の使用時期について、その使用が要証期間内の使用であったとの立証は一切していない。
乙第8号証において、本件商標を胸に大きくプリントしたTシャツが示されているが、実際にその販売がされたのか否か、また、仮に、実際に当該商品が販売されたとしたら、その販売時期はいつだったのかの立証がされていない。
(2)日本国内における使用について
本件商標の使用が、日本国内の使用であったことは認める。
(3)本件商標の使用者について
本件商標の使用者が、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかであったことの立証がされていない。
本件商標の権利者はI氏(審決注:令和5年4月4日~令和7年4月14日の権利者)個人であるが、乙各号証を見る限りにおいて、本件商標の実際の使用者は、M社のグループ企業の一つであるR社(審決注:令和7年4月15日以降の権利者)が運営する店舗での使用かと思われるが、I氏個人と運営会社のR社との関係が不明で、仮に、R社が通常使用権者に当たるとする主張があったにしてもかかる主張は認められない。
(4)本件指定商品について本件商標の使用について
本件商標の指定商品は、第25類「被服,バンド,ベルト,履物」であるところ、提出された乙各号証からは当該指定商品での本件商標の使用は認められない。
商品の使用に当たるか否かは、「BOSS事件」の判決(昭和61年(ワ)第7518号)で示されているところで、同判決は、「商標法上の商標は商品の標識であるが、ここにいう商品とは商品それ自体を指し、商品の包装や商品に関する広告等は含まない。ある物品がそれ自体独立の商品であるかそれとも他の商品の包装物又は広告媒体等であるにすぎないか否かは、その物品がそれ自体交換価値を有し独立の商取引の目的物とされているものであるか否かによって判定すべきものである。」と判示する。同様の審判決は他にも多数存在する。
そもそも商標とは、業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするものと商標法第2条第1項第1号で規定されているように「業として」使用するものであって、「業として」と認められるには、不特定多数人を対象とすること、反復継続の意志を持っていること及び対価を取ることが条件とされている。
本件の場合、乙各号証で示されている商標「ЯOOP」の文字を胸にプリントしたTシャツ自体は独立して商取引の目的物たる商品ではなく、「ヘアー美容」の役務を提供する際の単なる広告媒体にすぎない。
すなわち、乙各号証で示されている商標「ЯOOP」のデザイン欧文字は、「ヘアー美容」の役務についての本件商標の使用であるとしても、第25類「被服,バンド,ベルト,履物」についての本件商標の使用とはいえない。
(5)しかして、本件商標は、その指定商品について、要証期間内において、商標権者、専用使用権又は通常使用権者のいずれによっても使用した事実は存しない。
よって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
被請求人は、結論同旨の審決を求め、答弁書、令和7年7月1日付け審尋(以下「審尋」という。)に対する同月31日付け回答書(以下「回答書」という。)において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第19号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)本件商標の使用の事実
本件商標は、I氏により、I氏が運営する店舗(埼玉県草加市に所在。以下「I氏運営店舗」という。)にて販売している被服に本件商標を付して使用されているもので、以下の乙第1号証ないし乙第16号証(枝番号を含む。)に示すとおり、要証期間に日本国内において、本件商標を、その指定商品「被服」のうちの商品である「トレーナー」、「Tシャツ」及び「パーカー」に使用していたものである。
(2)証拠の説明
ア 乙第1号証
乙第1号証の1は、I氏の商品「トレーナー」を透明な袋にて包装した状態を写した写真である。乙第1号証の2は、I氏の商品「トレーナー」の胸部側の全体を写した写真である。乙第1号証の3は、乙第1号証の2の写真において本件商標と社会通念上同一の商標が表示された部分を拡大した写真である。また、乙第1号証の4は、I氏の商品「トレーナー」の販売時に当該「トレーナー」に付属する付け札を写した写真である。
乙第1号証の3における本件商標と社会通念上同一の商標が表示された部分は、商品「トレーナー」の襟周りに縫い付けられたタグである。当該タグには、タグの最上段に本件商標と社会通念上同一の商標が表示されるとともに、タグの最下段には、本件商標と社会通念上同一の商標「ROOP」(文字「R」は、鏡文字となるように表示されている。)が表示されている。
また、乙第1号証の4における付け札には、本件商標と社会通念上同一の商標が表示されており、商品「トレーナー」を透明な袋にて包装した状態において商品「トレーナー」に付属されている。
以上より、乙第1号証に示すI氏の商品「トレーナー」は、襟周りに縫い付けられたタグに本件商標と社会通念上同一の商標が表示され(乙1の3)、本件商標と社会通念上同一の商標が表示された付け札(乙1の4)を付属させた状態で販売用に包装されている(乙1の1)ことから、I氏が、本件商標と社会通念上同一の商標が表示された商品「トレーナー」を販売、すなわち、「商品に標章を付したものを譲渡」(商標法第2条第3項第2号)していることは明らかである。
イ 乙第2号証
乙第2号証の1は、I氏の商品「トレーナー」の胸部側の全体を写した写真である。乙第2号証の2は、本件商標と社会通念上同一の商標が表示された部分を拡大した写真である。また、乙第2号証の3は、I氏の商品「トレーナー」の背中側の全体を写した写真である。
乙第2号証の2における本件商標が表示された部分は、商品「トレーナー」の襟周りに縫い付けられたタグである。当該タグには、タグの最上段に本件商標と社会通念上同一の商標が表示されるとともに、タグの最下段には、本件商標と社会通念上同一の商標「ROOP」(文字「R」は、鏡文字となるように表示されている。)が表示されている。
また、乙第2号証の3にて示すI氏の商品「トレーナー」の背中側には、本件商標と社会通念上同一の商標が表示されている。
以上より、乙第2号証に示すI氏の商品「トレーナー」は、襟周りに縫い付けられたタグや、背中側に本件商標と社会通念上同一の商標が表示されている(乙2の2、乙2の3)ことから、I氏が、本件商標と社会通念上同一の商標が表示された商品「トレーナー」を販売、すなわち、「商品に標章を付したものを譲渡」(商標法第2条第3項第2号)していることは明らかである。
ウ 乙第3号証
乙第3号証の1は、I氏の商品「Tシャツ」を透明な袋にて包装した状態を写した写真である。乙第3号証の2は、I氏の商品「Tシャツ」の胸部側の全体を写した写真である。また、乙第3号証の3は、I氏の商品「Tシャツ」の背中側の一部を写した写真である。
乙第3号証の2にて示すI氏の商品「Tシャツ」の胸部側には、本件商標と社会通念上同一の商標が表示されている。
また、乙第3号証の3にて示すI氏の商品「Tシャツ」の背中側における襟周り付近には、本件商標と社会通念上同一の商標が表示されている。
以上より、乙第3号証に示すI氏の商品「Tシャツ」は、胸部側、及び背中側に本件商標と社会通念上同一の商標が表示(乙3の2、乙3の3)され、販売用に包装されている(乙3の1)ことから、I氏が、本件商標と社会通念上同一の商標が表示された商品「Tシャツ」を販売、すなわち、「商品に標章を付したものを譲渡」(商標法第2条第3項第2号)していることは明らかである。
エ 乙第4号証
乙第4号証の1は、I氏の商品「Tシャツ」を透明な袋にて包装した状態を写した写真である。乙第4号証の2は、I氏の商品「Tシャツ」の胸部側の全体を写した写真である。また、乙第4号証の3は、I氏の商品「Tシャツ」の背中側の一部を写した写真である。
乙第4号証の2にて示すI氏の商品「Tシャツ」の胸部側には、本件商標と社会通念上同一の商標が表示されている。
また、乙第4号証の3にて示すI氏の商品「Tシャツ」の背中側における襟周り付近には、本件商標と社会通念上同一の商標が表示されている。
以上より、乙第4号証に示すI氏の商品「Tシャツ」は、胸部側、及び背中側に本件商標と社会通念上同一の商標が表示され(乙4の2、乙4の3)、販売用に包装されている(乙4の1)ことから、I氏が、本件商標と社会通念上同一の商標が表示された商品「Tシャツ」を販売、すなわち、「商品に標章を付したものを譲渡」(商標法第2条第3項第2号)していることは明らかである。
オ 乙第5号証
乙第5号証は、本件商標と社会通念上同一の商標が表示されたI氏の商品「Tシャツ」を、I氏運営店舗内において販売している状況を写した写真である。
乙第5号証の写真では、本件商標と社会通念上同一の商標が表示されたI氏の商品「Tシャツ」を、販売用に包装された状態で、I氏運営店舗内に設置されたテーブルの上に陳列した上、本件商標と社会通念上同一の商標が表示された値札が複数配置されている。
なお、当該値札には、それぞれ、「T-SHIRT 2,500YEN」、「LONGSLEEVE T-SHIRT 3,500YEN」、「HOODED PARKER 4,000YEN」と、商品名及び商品の値段が記載されている。すなわち、乙第5号証によれば、「Tシャツは、2,500円」、「長袖のTシャツは、3,500円」、「パーカーは、4,000円」で、それぞれ、I氏運営店舗内において販売されていることから、I氏が、本件商標と社会通念上同一の商標が表示されたI氏の商品「Tシャツ」等を販売のために展示、すなわち、「商品に標章を付したものを譲渡のために展示」(商標法第2条第3項第2号)し、当該商品「Tシャツ」等を販売、すなわち、「商品に標章を付したものを譲渡」(商標法第2条第3項第2号)していることは明らかである。
カ 乙第6号証
乙第6号証は、本件商標と社会通念上同一の商標が表示されたI氏の商品「Tシャツ」を、I氏運営店舗内において販促用に展示している状況を写した写真である。
乙第6号証の写真では、本件商標と社会通念上同一の商標が表示されたI氏の商品「Tシャツ」を、本件商標と社会通念上同一の商標が視認し易いように複数展示されている。
したがって、I氏が、本件商標と社会通念上同一の商標が表示されたI氏の商品「Tシャツ」を販売のために展示、すなわち、「商品に標章を付したものを譲渡のために展示」(商標法第2条第3項第2号)し、当該商品「Tシャツ」を販売、すなわち、「商品に標章を付したものを譲渡」(商標法第2条第3項第2号)していることは明らかである。
キ 乙第7号証
乙第7号証は、ヘアサロン等検索・予約サイト(URL:https://beauty.hotpepper.jp/)におけるI氏運営店舗の情報等を表示するページ(URL:https://beauty.hotpepper.jp/slnH000327805/)において、本件商標と社会通念上同一の商標が表示されたI氏の商品「トレーナー」及び「パーカー」を、I氏運営店舗内において販売している情報を掲載しているページを印刷したものである。
乙第7号証では、その2葉目において、矢印(当該矢印は、被請求人が付したものである。)で指示するように、乙第1号証にて示す本件商標と社会通念上同一の商標が表示されたI氏の商品「トレーナー」と同一の商品「トレーナー」、及び、本件商標と社会通念上同一の商標が表示されたI氏の商品「パーカー(若しくは、トレーナー)」を写した画像が表示されているとともに、当該画像の下部に「ROOPオリジナルトレーナー、パーカーも販売中!」と付記されている。
なお、乙第7号証にて示す上記ページには、I氏運営店舗の店長としてI氏の氏名が上記ページを閲覧したユーザヘの挨拶文とともに表示されており、I氏運営店舗の運営者としてI氏が本件商標と社会通念上同一の商標が表示されたI氏の商品「トレーナー」及び「パーカー」を、I氏運営店舗内において販売、すなわち、「商品に標章を付したものを譲渡」(商標法第2条第3項第2号)していることは明らかである。
ク 乙第8号証
乙第8号証は、上記ヘアサロン等検索・予約サイトにおけるI氏運営店舗の情報等を表示するページにおいて、本件商標と社会通念上同一の商標が表示されたI氏の商品「Tシャツ」を、I氏運営店舗内において販売している情報を掲載しているページ(URL:https://beauty.hotpepper.jp/slnH000327805/stylist/T000324728/)を印刷したものである。
乙第8号証では、その2葉目において、矢印(当該矢印は、被請求人が付したものである。)で指示するように、本件商標と社会通念上同一の商標が表示されたI氏の商品「Tシャツ」を写した画像が表示されているとともに、当該画像の右隣に「ROOPオリジナルTシャツも販売中です。是非お問い合わせ下さい。」と付記されている。
また、乙第8号証の1葉目では、本件商標と社会通念上同一の商標が表示されたI氏の商品「Tシャツ」を着用した人物を写した画像も掲載されているが、当該人物は、I氏本人であり、I氏運営店舗において、販促目的で商品「Tシャツ」を着用し、接客を行っている状況を写している。
なお、乙第8号証の2葉目でも、本件商標と社会通念上同一の商標が表示されたI氏の商品「Tシャツ」を着用した人物を写した画像も掲載されているが、当該人物は、I氏の接客を受けた顧客であり、着用しているTシャツもI氏から購入したものであり、I氏が、商品「Tシャツ」を顧客に対し、販売していたことの証左である。
以上より、I氏が、ヘアサロン等検索・予約サイトにおける上記ページにおいて本件商標と社会通念上同一の商標が表示された商品「Tシャツ」を写した画像を表示することにより、I氏運営店舗での商品「Tシャツ」の販売を告知し、また、I氏が、商品「Tシャツ」の販促目的のため、本件商標と社会通念上同一の商標が表示された商品「Tシャツ」を着用して接客を行い、かつ、当該商品「Tシャツ」をI氏から購入した顧客も存在することから、本件商標と社会通念上同一の商標が表示されたI氏の商品「Tシャツ」を販売、すなわち、「商品に標章を付したものを譲渡」(商標法第2条第3項第2号)していることは明らかである。
ケ 乙第9号証
乙第9号証は、上記ヘアサロン等検索・予約サイトにおけるI氏運営店舗のブログを印刷したものである。
乙第9号証に示すブログは、投稿日が「2020年4月30日」となっており、乙第9号証に示すとおり、I氏によって投稿されたものである。
投稿内容は、タイトルを「5月限定の先着プレゼントキャンペーン実施決定!」とし、本件商標と社会通念上同一の商標が表示されたI氏の商品「Tシャツ」を写した画像とともに、「5月にご来店いただいたお客様限定でお会計金額が5000円以上の方に限り上記の写真のTシャツをプレゼントしちゃいます。」、「色はイエローかブラウンの2色でS、M、L、XLの4サイズになります。(先着順の為、ご希望のサイズが無い事もございます。あらかじめご了承下さい)」との文章が記載されている。
なお、上記ブログが投稿された2020年(令和2年)4月30日時点において、本件商標の権利者はM社であり(甲1)、当該投稿日の時点において、I氏は、本件商標の権利者の地位にはなかった。
ここで、I氏運営店舗は、令和2年当時、M社の異業種部門(美容室部門)であった。このことは、乙第10号証として示すM社の会社案内における「会社詳細」のページの記載からも認められる。
そして、I氏は、令和2年当時、I氏運営店舗において運営や接客等の業務に従事していた。なお、令和6年現在、I氏運営店舗は、I氏が業務執行社員を務めるR社(乙11)の事業部門の1つとなっており、乙第12号証として示すM社の令和6年現在のホームページにおける「事業内容」のページの「グループ事業」にも、I氏運営店舗の記載は認められない。
このように、乙第9号証に示す上記ブログの投稿乙第3号証及び乙第4号証に示す商品「Tシャツ」の存在、乙第5号証に示すI氏運営店舗における商品「Tシャツ」の販売、さらに、乙第6号証に示すI氏運営店舗における商品「Tシャツ」の販促目的の展示等の事実から、乙第9号証に示す上記ブログが投稿された令和2年4月30日から、本件審判請求の登録日(令和6年11月5日)までの間に、M社からI氏へと本件商標の権利者の地位の移転はあったものの、要証期間内に、I氏運営店舗において、本件商標と社会通念上同一の商標が表示された商品「Tシャツ」の販売が一貫して行われており、本件商標に係る商標権がI氏に移転された令和5年4月4日以降は、本件商標の権利者たるI氏による本件商標と社会通念上同一の商標が表示されたI氏の商品「Tシャツ」の販売が継続して行われてきたものと推認すべきである。
また、I氏は、上記ヘアサロン等検索・予約サイトにおいて、2021年(令和3年)1月26日には、タイトルを「あと僅か」として、「大好評のROOPオリジナルパーカープレゼントキャンペーン!」、「お会計金額が12000円以上の方に差し上げているのですが、数量も残り僅かとなっております。」との文章を含むブログ(乙13)を投稿し、2021年(令和3年)1月31日には、タイトルを「2月も継続中!」として、「また先月に引き続きお買い上げ金額が税込12000円以上の方にROOPオリジナルパーカーをプレゼント!」との文章を含むブログ(乙14)を投稿していることから、商品「パーカー」についても、少なくとも令和3年1月頃から、本件審判請求の登録日(令和6年11月5日)までの間に販売が一貫して行われており、本件商標に係る商標権がI氏に移転された令和5年4月4日以降は、本件商標の権利者たるI氏による本件商標と社会通念上同一の商標が表示されたI氏の商品「パーカー」の販売が継続して行われてきたものと推認すべきである。
以上より、I氏により、本件取消審判請求の登録前3年以内の期間内に、本件商標と社会通念上同一の商標が表示されたI氏の商品「Tシャツ」、「パーカー」の販売、すなわち、「商品に標章を付したものを譲渡」(商標法第2条第3項第2号)が行われてきたものと推認すべきである。
コ 乙第15号証
乙第15号証は、他のヘアサロン等検索・予約サイト(URL:https://beauty.biglobe.ne.jp/)におけるI氏運営店舗の情報等を表示するページにおいて、本件商標と社会通念上同一の商標が表示されたI氏の商品「トレーナー」、「パーカー」を、I氏運営店舗内において販売している情報を掲載しているページを印刷したものである。
乙第15号証では、矢印(当該矢印は、被請求人が付したものである。)で指示するように、乙第15号証にて示すI氏の商品「トレーナー」と同一の商品「トレーナー」、及び本件商標と社会通念上同一の商標が表示されたI氏の商品「パーカー」を写した画像が表示されているとともに、当該画像の下部に「ROOPオリジナルトレーナー、パーカーも販売中!」と付記されている。
以上より、I氏が本件商標と社会通念上同一の商標が表示されたI氏の商品「トレーナー」及び「パーカー」を、I氏運営店舗内において販売、すなわち、「商品に標章を付したものを譲渡」(商標法第2条第3項第2号)していることは明らかである。
サ 乙第16号証
乙第16号証は、胸部側及び背中側において本件商標と社会通念上同一の商標が表示されたI氏の商品「Tシャツ」のプリントイメージを写した写真である。
乙第3号証ないし乙第6号証に示したI氏の商品「Tシャツ」は、乙第16号証にて示すプリントイメージに基づき本件商標と社会通念上同一の商標が付され(商標法第2条第3項第1号)、I氏にて販売、すなわち、「商品に標章を付したものを譲渡」(商標法第2条第3項第2号)されている。
(3)まとめ
以上より、本件商標は、要証期間に日本国内において、本件商標と社会通念上同一の商標を、その指定商品「被服」のうちの商品である「トレーナー」、「Tシャツ」及び「パーカー」において使用していたことは明らかであり、本件商標は商標法第50条第1項に該当するものではない。
(1)要証期間における本件商標の使用について
本件商標は、要証期間においてI氏により、I氏運営店舗にて販売している被服に本件商標と社会通念上同一の商標を付して使用されているもので、以下の乙第17号証ないし乙第19号証に示すとおり、要証期間に日本国内において、本件商標と社会通念上同一の商標を、その指定商品「被服」に使用していたものである。
ア 乙第17号証及び乙第18号証の説明
本件商標と社会通念上同一の商標が表示された商品「被服」を、要証期間に、I氏が、I氏運営店舗において販売していたと推認されるべき証拠として、乙第17号証及び乙第18号証を示す。
乙第17号証及び乙第18号証は、いずれも、要証期間に、I氏運営店舗において、同店舗の顧客が衣料品を購入した際に発行された領収書の写しである。
なお、I氏運営店舗では、主に美容室・美容サロン向けに提供されるPOSシステムを導入し、会計時に上記領収書を発行している。
乙第17号証に示す領収書のとおり、当該領収書の紙面上方に内訳が記載されている。この内訳によれば、名称欄に「衣料品」、数量欄に「1」、金額欄に「¥2,500」と、それぞれ明記されている。そして、当該領収書の紙面下方に領収書発行の日付が記載されているが、この日付は、要証期間内である「2024年8月17日」と明記されている。
また、乙第18号証に示す領収書のとおり、当該領収書の紙面上方に内訳が記載されている。この内訳によれば、名称欄に「衣料品」、数量欄に「1」、金額欄に「¥2,500」と、それぞれ明記されている。そして、当該領収書の紙面下方に領収書発行の日付が記載されているが、この日付は、要証期間内である「2024年9月18日」と明記されている。
また、乙第17号証及び乙第18号証にそれぞれ示すとおり、上記領収書発行の日付の下方にレジ担当の氏名が記載されているが、いずれもI氏の氏名が明記されている。
したがって、乙第17号証及び乙第18号証より、要証期間において、I氏が、I氏運営店舗において衣料品(すなわち「被服」)を販売していたことは明らかである。
もっとも、乙第17号証及び乙第18号証に示す各領収書のみでは、要証期間に、I氏がI氏運営店舗において、本件商標を、その指定商品「被服」に使用していた事実を直接的に証明し難いとも考えられる。
ここで、乙第5号証では、本件商標と社会通念上同一の商標が表示された商品「被服」を、I氏運営店舗内に陳列させ、本件商標と社会通念上同一の商標が表示された値札を複数配置させた状況を写している。
乙第5号証に示すとおり、上記各値札には、「T-SHIRT 2,500YEN」等、商品名及び商品の販売価格が表示されている。すなわち、乙第5号証によれば、I氏運営店舗において、「Tシャツ」が「1点当たりの販売価格2,500円」にて販売されていることがうかがえる。
ここで、審尋にて指摘されるとおり、乙第5号証のみからは、商品の販売者がI氏であり、販売時期が要証期間であることを確認し難いとも考えられる。
しかしながら、乙第17号証及び乙第18号証に示す各領収書には、名称欄に「衣料品」、数量欄に「1」、金額欄に「¥2,500」と、それぞれ明記されており、乙第5号証に示す「T-SHIRT 2,500YEN」と記載された値札の商品1点当たりの販売価格と一致する。
このことから、乙第17号証及び乙第18号証に示す各領収書に明記された「衣料品」は、「1点当たりの販売価格2,500円」にて、要証期間内(2024年8月17日、同年9月18日)に販売された「Tシャツ」であると看取できる。そして、かかる「Tシャツ」は、乙第5号証に示す本件商標と社会通念上同一の商標が表示されたTシャツと同様の商品であると推認されるべきである。
なお、乙第5号証に示す本件商標と社会通念上同一の商標が表示されたTシャツと同様の商品が要証期間に存在し、かかるTシャツをI氏が保有していた事実を立証し、かつ、かかるTシャツが要証期間にI氏によって販売されたと推認すべき証拠として、後述する乙第19号証を示す。
以上より、乙第17号証及び乙第18号証に示す各領収書は、乙第5号証に示す本件商標と社会通念上同一の商標が表示された商品「被服」(Tシャツ)を、I氏が、I氏運営店舗において、同店舗の顧客に対し、1点当たりの販売価格2,500円で販売していたと推認されるべき証左であるといえる。
イ 乙第19号証の説明
さらに、乙第17号証及び乙第18号証に示す各領収書に明記された「衣料品」が、本件商標と社会通念上同一の商標が表示されたTシャツであると推認すべき証拠として乙第19号証を示す。
乙第19号証は、ウェイバックマシーン(https://web.archive.org/)にて閲覧したヘアサロン等検索・予約サイトにおけるI氏運営店舗の情報等を表示するウェブサイト(https://beauty.hotpepper.jp/slnH000327805/)のアーカイブの一部の写しである。
より詳細には、乙第19号証は、要証期間内である2023年11月29日付けのアーカイブの一部の写しである。
そして、乙第19号証に被請求人が示す赤い矢印にて指示するとおり、上記ウェブサイトには、2023年11月29日の時点で、乙第5号証に示すTシャツと同様の、本件商標と社会通念上同一の商標が表示された黒地のTシャツを着用したI氏の画像が掲載されていることが分かる。
もっとも、乙第19号証からは、要証期間に、I氏運営店舗において、上記Tシャツが販売されていた事実を確認できない。
しかしながら、乙第19号証から、要証期間に上記Tシャツが存在し、係るTシャツをI氏が保有していた事実は明らかである。また、乙第19号証から、要証期間に、I氏が、上記Tシャツを着用してI氏運営店舗内で接客しているI氏自身を写した画像を、上記ウェブサイトに掲載していたことは明らかである。
ここで、本来、衣料品(被服)の販売を業として行うことが比較的想定されていない美容室・美容サロンにて衣料品が販売されているとした場合、乙第5号証に示すように、店舗内の余ったスペース等を用い、かつ、販売品目を限定する等、比較的小規模な販売態様にて行われることが考えられる。
また、衣料品販売の宣伝方法についても、オンラインサイト等を用いて大々的に行うのではなく、例えば、店舗スタッフが商品である衣料品を着用して接客する等して、接客中の顧客との会話において顧客に対し商品を宣伝する等の方法で行われることが考えられる。
この点、本件について見ると、乙第5号証に示すように、I氏運営店舗内の余ったスペースに衣料品を陳列し、かつ、販売する衣料品の種類をTシャツ等に限定して販売しているというのが実態である。
また、衣料品販売の宣伝方法についても、乙第19号証から、I氏自身が、本件商標と社会通念上同一の商標が表示されたTシャツの販促目的でかかるTシャツを着用して接客し、接客中の顧客との会話において顧客に対しTシャツを宣伝しているというのが実態であると考えられる。
かかる実態に鑑みるに、乙第17号証及び乙第18号証に示す各領収書のとおり要証期間にI氏運営店舗で販売された衣料品は、乙第5号証や乙第19号証に示すTシャツと同様のTシャツが主力商品であり、乙第19号証より、I氏が要証期間において、乙第19号証に示すTシャツと同様の商品の販促目的で、かかるTシャツを着用し接客していると推認されるべきである。
そして、乙第17号証及び乙第18号証に示す各領収書に明記される「衣料品」は、その1点当たりの販売価格(2,500円)からも、乙第5号証及び乙第19号証に示すTシャツと同様のTシャツであったと推認されるべきである。
したがって、乙第19号証は、要証期間に、乙第19号証に示すTシャツがI氏運営店舗に存在し、かかるTシャツをI氏が保有している事実を証明するものであり、さらに、乙第17号証及び乙第18号証に示す各領収書のとおり、要証期間に、I氏運営店舗において、同店舗の顧客に対し、上記Tシャツと同様のTシャツ(すなわち、「被服」)を販売していたと推認されるべき証左であるといえる。
ウ 小括
以上より、乙第5号証及び乙第17号証ないし乙第19号証から、要証期間において、本件商標と社会通念上同一の商標が表示された商品「被服」を、商標権者がI氏運営店舗内において販売していたと推認されるべきである。
(2)証拠の説明
ア 乙第17号証
I氏が、要証期間内の2024年8月17日に、I氏運営店舗において、同店舗の顧客に対し、衣料品(被服)を販売したことを示す。
イ 乙第18号証
I氏が、要証期間内の2024年9月18日に、I氏運営店舗において、同店舗の顧客に対し、衣料品(被服)を販売したことを示す。
ウ 乙第19号証
I氏が、要証期間内の2023年11月当時、本件商標と社会通念上同一の商標を付したTシャツを保有し、要証期間内の2023年11月29日当時、I氏が、上記Tシャツを着用してI氏運営店舗内で接客しているI氏自身を写した画像を、ウェブサイトに掲載していたことを示す。
(3)まとめ
以上より、本件商標は、要証期間に、日本国内において、本件商標と社会通念上同一の商標を、その指定商品「被服」について使用していたと認められるべきであり、本件商標は商標法第50条第1項に該当するものではない。
(1)被請求人の主張及び乙各号証によれば、以下の事実が確認できる。
ア 乙第5号証
乙第5号証は、被請求人が、TシャツをI氏運営店舗内において販売している状況を写した写真と主張するものであり、別掲2のとおり、個別に透明な袋に包装された数個の衣料品がテーブル上に陳列されていること、及び各衣料品の胸に商標が表示されていることが見て取れる。
また、各衣料品の胸に表示されている商標について、各衣料品は折り畳まれていることから、当該商標の全体は視認できないが、例えば写真の中央における黒地の衣料品に表示された商標の視認可能な部分は、文字色を除いて本件商標と同様の構成であることが見て取れる。
さらに、同じテーブル上に、4個の値札が置かれており、それぞれに、文字色を除いて本件商標と同様の構成の商標が表示されていることが見て取れ、さらに、4個の値札うちの1つにおいては、上記商標の下に、「T-SHIRT 2,500YEN」の文字が記載されていることが見て取れる。
イ 乙第7号証
乙第7号証は、被請求人が、ヘアサロン等検索・予約サイトにおけるI氏運営店舗の情報等を表示するページと主張するものであり、1葉目において、左上に、当該サイトの名称の記載、その下に、店舗(I氏運営店舗。以下「本件店舗」という。)の名称の記載、その下に、商標権者(令和5年4月4日~令和7年4月14日の本件商標の権利者であるI氏。以下同じ。)のものと一致する住所の記載、2葉目において、中ほどに、「店長」に対応して商標権者の氏名の記載がある。
また、本号証の3葉目において、左下に、「店長」の記載、その上に、人物の写真が掲載されている。
ウ 乙第8号証
乙第8号証は、被請求人が、ヘアサロン等検索・予約サイトにおけるI氏運営店舗の情報等を表示するページにおいて、TシャツをI氏運営店舗内において販売している情報を掲載しているページと主張するものであり、乙第7号証と同様に、1葉目において、左上に、当該サイトの名称の記載、その下に、本件店舗の名称の記載、その下に、商標権者のものと一致する住所の記載がある。
また、中央やや左寄りに、乙第5号証において見て取れるものと同様の個別に透明な袋に包装された数個の衣料品が写っている写真が提示され、その右に、「ROOPオリジナルTシャツも販売中です。是非お問い合わせ下さい。」の記載がある。
エ 乙第17号証
乙第17号証は、被請求人が、I氏運営店舗の顧客が衣料品を購入した際に発行された領収書と主張するものであり、上部に、「領収書」の記載があり、その下に提示された項目の一覧中、「名称」が「衣料品」とされた項目に対応して、「数量」が「1」、「金額」が「¥2,500」の各記載があり、さらに、その下に、本件店舗の名称の記載、その下に、商標権者のものと一致する住所の記載、その下に、「2024年8月17日(土) 18:54」の記載、その下に、「レジ担当」に対応して商標権者の氏名の記載がある。
オ 乙第19号証
乙第19号証は、被請求人が、ウェイバックマシーン(https://web.archive.org/)にて閲覧した、ヘアサロン等検索・予約サイトにおけるI氏運営店舗の情報等を表示するページのアーカイブと主張するものであり、左上に、「WaybackMachine」の記載、右上に、「NOV 29 2023」の記載、中ほどに、本件店舗の名称の記載、その下に、乙第7号証におけるものと一致する人物の写真が掲載されている。
(2)上記(1)アないしオによれば、次の事実を認めることができる。
ア 2024年8月17日に、埼玉県内の本件店舗において、価格が2,500円の衣料品が販売されたことにつき、「レジ担当」として商標権者の氏名が記載された領収書(以下「領収書」という。)が発行された(乙17)。
イ 上記アの衣料品の販売価格は、乙第5号証の写真における値札に記載されている「T-SHIRT 2,500YEN」と符合している。
また、乙第5号証の写真における衣料品と同様の衣料品の写真が、本件店舗について記載されたヘアサロン等検索・予約サイトに、「ROOPオリジナルTシャツも販売中です。」の記載とともに掲載されている(乙8)。
これらを総合すると、上記アの衣料品は、商品「Tシャツ」(以下「使用商品」という。)と推認できる。
ウ 乙第5号証の写真において、使用商品に表示された商標(以下「使用商標」という。)の全体は視認できないものの、視認可能な部分は文字色を除いて本件商標と同様の構成であり、同じ写真に写っている値札に、文字色を除いて本件商標と同様の構成の商標が表示されていることから、使用商標は、文字色を除いて本件商標と同様の構成と認められる。
エ I氏は、領収書発行当時の本件商標の権利者であり、同氏について、ヘアサロン等検索・予約サイトには、本件店舗の店長を務めていることが、その人物写真とともに記載され(乙7)、ウェイバックマシーンに記録された2023年11月29日のアーカイブに、本件店舗の名称及び同じ人物写真が表示されており(乙19)、さらに、領収書に記載の本件店舗の住所が商標権者のものと一致していることからすれば、上記アの販売行為は、領収書における「レジ担当」の記載のとおり、商標権者の行為と認められる。
オ 上記アないしエによれば、商標権者は、2024年8月17日に埼玉県内の本件店舗で、使用商標が表示された使用商品を販売したことが認められる。
上記1(2)オの行為について、次のとおり判断できる。
(1)使用商標について
使用商標は、文字色を除いて本件商標と同様の構成であるから、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
(2)使用商品、使用者及び使用時期について
使用商品は、「Tシャツ」であって、本件商標の指定商品中の「被服」に該当する商品と認められる。
また、使用商標の使用者は、商標権者であり、その使用時期は、使用商品を販売した2024年(令和6年)8月17日であって、要証期間である。
(3)使用行為について
使用商標が表示された使用商品の販売は、日本国内で行われたものであり、商標法第2条第3項第2号にいう、商品に標章を付したものを譲渡する行為に該当する。
(4)小括
上記(1)ないし(3)によれば、商標権者は、要証期間に日本国内において、本件商標の指定商品に該当する商品に標章を付したものを譲渡する、商標法第2条第3項第2号に該当する行為を行ったことが認められる。
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が、本件商標の指定商品に該当する商品について、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていたことを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品について、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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