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Trademark Appeal Case

造語の語義と識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2024890057
審判種別記載はありません。
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

結 論
登録第6715078号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

理 由

第1 本件商標

本件登録第6715078号商標(以下「本件商標」という。)は、「Orbic TAB10R」の文字を標準文字で表してなり、令和5年1月24日に登録出願、第9類「タブレット型携帯情報端末」を指定商品として、同年6月2日に登録査定、同年7月6日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

請求人が、本件商標の登録の無効の理由において引用する商標は、次の1から6のとおりであり(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)、これらの商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。

1 登録第2267160号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、昭和62年9月3日に登録出願、第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として平成2年9月21日に設定登録され、その後、指定商品については、同22年12月1日に第9類「電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具」を含む第7類から第12類、第17類及び第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされたものである。

2 登録第2267161号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、昭和62年9月3日に登録出願、第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として平成2年9月21日に設定登録され、その後、指定商品については、同22年12月1日に第9類「電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具」を含む第7類から第12類、第17類及び第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされたものである。

3 登録第3254140号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲3のとおりの構成からなり、平成6年4月8日に登録出願、「電気通信機械器具,電子応用機械器具およびその部品」を含む第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として同9年1月31日に設定登録されたものである。

4 登録第4585946号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲3のとおりの構成からなり、平成13年2月22日に登録出願、「電気通信機械器具,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む)及びその他の電子応用機械器具及びその部品」を含む第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として同14年7月19日に設定登録されたものである。

5 登録第5252765号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲3のとおりの構成からなり、平成19年6月29日に登録出願、「電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として同21年7月31日に設定登録されたものである。

6 登録第5252768号商標(以下「引用商標6」という。)は、別掲4のとおりの構成からなり、平成19年6月29日に登録出願、「電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として同21年7月31日に設定登録されたものである。

第3 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証から甲第72号証(枝番号を含む。)を提出した(以下、各甲号証の記載は、「甲○」のように省略する場合がある。)。

1 本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号の規定に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項第1号の規定によりその登録を無効とすべきものである。

2 本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について

(1)本件商標について

本件商標は、「Orbic」、「TAB10R」の間にスペースが設けられていることから、それらの語が結合して構成されたものとして容易に看取される。

本件商標の構成中「Orbic」は、ラテン語を語源とする英単語であるが、一般的な英和辞典には載録されておらず、また、Oxford English Dictionary(https://www.oed.com/dictionary/orbic_adj)において、その使用頻度は現代文語英語100万語中0.01以下とある。これらのことから、少なくとも日本人の間では、「Orbic」は、英単語としてではなく、特定の語義を有しない造語として認識される。

「Orbic」のように、「or+子音」で始まる英単語は、「order」を「オーダー」、「organic」を「オーガニック」、「organize」を「オーガナイズ」、「orbit」を「オービット」と発音するように、「or」を「オー」と発音することが日本人の間でも広く知られている。したがって、「Orbic」から「オービック」の称呼が自然に生じる。なお、Oxford English Dictionaryにおいて、「Orbic」の発音記号によれば、英語としての「Orbic」の発音も「オービック」である。

本件商標の構成中、「TAB」の文字部分は、本件商標の指定商品「タブレット型携帯情報端末」との関係で、「TABLET」(タブレット型)を記述するものとして、広く用いられている(甲3の1~5)。また、「TAB」に続く「10」は、ディスプレイの大きさが「約10インチ(10型)」であることを示すために広く用いられている。実際に、本件商標が使用される被請求人の商品は、ディスプレイサイズ10.1のタブレット型携帯情報端末である(甲第3の6)。「R」は欧文字1文字で単なる記号・符号を示すものとして認識される。タブレット型携帯情報端末との関係では、型番を記述するために、数字と欧文字の組み合わせたものが一般に使用されている(甲3の1~5)。

以上より、本件商標の「TAB10R」の文字部分は、指定商品の種類・品質又は品番・型番を記述する付記的部分にすぎず、自他商品識別標識として全く機能しない。

したがって、本件商標は、その構成中、「Orbic」の文字部分のみが自他商品識別標識として機能するのであって、自他商品識別のための称呼としては「オービック」のみが生じる。「Orbic」は造語として認識されるので、本件商標からは自他商品識別のための特定の観念は生じない。

なお、前述の製品の仕様書(甲3の6)において、左上に大きく書かれた「Orbic」をロゴ化したものと分離して、「TAB10R」のみが製品名として使用されている。これは、被請求人自身が、本件商標を構成全体が不可分一体のものとしてではなく、「Orbic」の文字部分のみを、「TAB10R」から分離独立した識別標識として認識している証左であり、かかる事実によっても、本件商標の構成中、「Orbic」のみが自他商品識別標識として機能するとする、請求人の主張は首肯される。

(2)引用商標について

引用商標1の構成中、上段の片仮名「オービック」が下段の欧文字「OBiC」の称呼を特定したものと容易に理解されるため、引用商標1からは「オービック」の称呼が生じる。引用商標3から5からは、片仮名「オービック」の文字に相応して「オービック」の称呼が生じる。引用商標2及び引用商標6からは欧文字「OBiC」又は「OBIC」に相応して「オービック」の称呼が生じる。

「オービック」、「OBiC」、「OBIC」はいずれも辞書に載録されていない造語であるため、特定の観念は生じない。

(3)本件商標と引用商標との対比

本件商標の構成中、要部として認識される「Orbic」から生じる称呼は、引用商標から生じる称呼「オービック」と同一であり、しかも、「Orbic」は特定の観念を生じさせないため、観念の相違により引用商標と区別することもできない。

本件商標の構成中の「Orbic」の5文字中、4文字のつづりが、引用商標1、引用商標2及び引用商標6の「OBiC」又は「OBIC」と共通し、中間に位置する「r」の有無に差異があるにすぎず、また、引用商標1、引用商標3、引用商標4及び引用商標5の「オービック」に関しても、商標を構成する文字種について、同一称呼が生じる範囲で欧文字と片仮名とを相互に変換して表記することが、取引において一般に行われている実情がある。これらを考慮すれば、商品の出所識別において、本件商標と引用商標の外観上の相違が顕著なものとして強い印象を与えるとはいい難い。

以上の本件商標及び引用商標の称呼、観念、外観が取引者・需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して考察すれば、本件商標と引用商標とは、商品の出所について誤認混同を生じさせるおそれのある類似の商標であることは明白である。

したがって、本件商標は引用商標と類似する。

(4)商品・役務の類似

本件商標の指定商品である第9類「タブレット型携帯情報端末」は、引用商標1、引用商標2の指定商品「電子応用機械器具及びその部品」及び「電気通信機械器具」、引用商標3の指定商品「電気通信機械器具」及び「電子応用機械器具およびその部品」、引用商標4の指定商品「電気通信機械器具」及び「電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む)及びその他の電子応用機械器具及びその部品」、並びに、引用商標5、引用商標6の指定役務「電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と同一又は類似の商品である。

(5)小括

以上のとおり、本件商標は、引用商標と類似し、引用商標の指定商品・役務と同一又は類似の商品・役務について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。

3 本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について

(1)「オービック」、「OBIC」、「オービック(ロゴ)」の著名性について

「オービック」、「OBIC」、「オービック(ロゴ)」は、ERPシステム関連商品・サービスとの関係で、請求人の商標、ハウスマークとして、全国の需要者・取引者の間で高い著名性を有している。

請求人は1974年に商号を変更してから今日に至るまで、商号「株式会社オービック」とともに、「オービック」及び「OBIC」を社標として継続して使用している。また、「オービック(ロゴ)」をハウスマークとして継続して使用している。

また、請求人は、ERPシステムについて、「OBIC7」を30年近くにわたり使用するなど、「OBIC」又は「オービック」を語頭に含む標章(以下、総称して「オービックシリーズ標章」という場合がある。カ(ア)に後述。)を、自社商品・サービスの個別の商標として継続して使用している。また、ERPシステム及びそれに関連する商品・役務との関係で、オービックシリーズ標章とともに、「オービック(ロゴ)」も使用している。

さらに請求人は、ERPシステムの販売実績において業界第1位であるとともに、長年にわたり、「オービック(ロゴ)」やオービックシリーズ標章などを付して広告を行ってきた。また、アメリカンフットボールチームへの支援、クラシックコンサートの協賛などの文化的な社会活動にも力を注ぎ、それらの活動においても「オービック」、「OBIC」、「オービック(ロゴ)」が用いられている。

なお、請求人のERPシステムの保守・運用支援サービス、周辺機器等の小売サービスを提供する連結子会社の株式会社オービックオフィスオートメーションにより「オービック」を語頭に配した標章(以下、総称して「オービック子会社標章」という場合がある。カ(イ)に後述。)が使用されている。

ア 会社の概要

(ア)請求人は、1968年に「株式会社大阪ビジネス」として大阪で設立、1974年に「株式会社オービック」に商号変更した(甲4、甲6)。

(イ)本社は東京都中央区京橋、大阪本社のほか、横浜・名古屋・京都・福岡・さいたまに支店、長野に事業所を有する(甲5)。

(ウ)連結子会社として株式会社オービックオフィスオートメーション(東京都中央区)(甲4)、関連会社として株式会社オービックビジネスコンサルタント(東京都新宿区)、株式会社オービーシステム(大阪市中央区)がある(甲6、甲11)。

(エ)資本金は191億78百万円(2024年3月末現在)であり、東京プライム市場に上場している(甲4)。

イ 事業の変遷

(ア)創業時:中小企業向け会計機のリース業(甲7)。

(イ)1970年代:三菱電機のオフィスコンピュータ(以下「オフコン」という。)販売ディーラーとして1位の実績(甲7)。

(ウ)1980年:自社開発オフコン「OFFICE80」発売(甲7)。

(エ)1997年:人事・給与・就業・販売・生産などの情報システムを統合したERP(Enterprise Resource Planning)システム「OBIC7」リリース(甲7)。

(オ)2013年:「OBIC7クラウド」提供開始(甲7)。

ウ 業績

2023年度末まで30期連続で営業利益増加しており(甲7)、売上高(連結)は、2019年度が約804.8億円であったが2023年度は約1,115.9億円に増加(甲6、甲7)、営業利益(連結)は、2019年度は約432.3億円であったが、2023年度には約709.1億円に増加した(甲7)。

エ 請求人の主力商品・役務

請求人の主力商品・役務は、ERPシステム「OBIC7」及び関連サービスである(甲7、甲15)。ERP業界に多い多重下請け構造とは異なり、請求人は人材育成に注力し、企画から開発・販売・保守までを一貫して自社で行っている(甲7、甲15)。

「ERP市場の実態と展望2019」(株式会社矢野経済研究所)では、「OBIC7/オービック」は「IT業界屈指の高利益率」「販売力と対応力が強み」と評価されている(甲15)。

納品後も、保守サービスに加え、教育・助言・指導などの支援サービスを提供。研修施設「オービッククラウドアカデミー」を2017年に東京、2020年に大阪、2021年に名古屋に開設し、実機に近い環境で操作講習を実施している(甲7)。また、全国各地で業務効率化や法改正対応に関するセミナー・説明会も開催している(甲26の4、8、11~14)。

オ 商品・役務の取引実績・市場における評価

請求人は、ERPシステム「OBIC7」の導入前コンサルティングから導入後のフォローまでを自社で一貫して提供する体制により、他社との差別化を図ってきた結果、顧客から高い評価を得ている。2018年には累計導入社数が2万社を突破し(甲18)、2021年には19年連続でERP累計導入社数第1位を記録した(請求人の主張)。

中堅・中小企業向けERPライセンス売上高シェアでは、「OBIC7」は2017~2019年にかけて3年連続で第1位(21.8~22.5%(2019年は予想))を獲得(甲15)。他社(大塚商会、富士通、NECグループ)を上回るシェアを持つ。

また、株式会社ミック経済研究所の調査でも、2017~2019年度にかけて出荷順位第1位(22.6~23.0%)とされている(甲16)。市場シェアは約4分の1に迫り、2位以下の大手メーカーを10%以上上回る。

さらに、株式会社アイ・ティ・アールの調査によれば、請求人は2016~2021年度にかけて、業種別ERP売上金額でSAPやオラクルなど外資系を抑えて第1位を維持(甲17~甲22)。「OBIC7」の売上は2016年度124億円から2021年度には189億円に増加し、累計ユーザー企業数も2017年末の19,845社から2022年末には26,400社に達している(甲17、甲22)。

また、「日経 業界地図2023年版」では「ERPソフト国内大手」(甲23)、「会社四季報 業界地図2023年版」では「中堅企業向けに好調」と評価されている(甲24)。

以上より、「OBIC7」は中堅・中小企業向けERP市場においてトップシェアを誇るブランドであり、請求人は業界を代表するベンダーとして広く認識されている。

カ 請求人の商標など

(ア)請求人は、昭和49年(1974年)の商号変更以降、50年にわたり「オービック」及び英語表記「OBIC」を社標として使用している(甲25の1~甲27の12、甲30~甲32、甲35、甲36、甲38、甲39、甲41~甲49)。

また、平成10年(1998年)以降は、ロゴ化した「オービック」の文字からなる標章(別掲3 以下「オービック(ロゴ)」という場合がある。)をハウスマークとして使用している。

さらに、ERP関連商品・サービスにおいて、以下のオービックシリーズ標章を使用している:

平成9年(1997年)より

「OBIC7」、「オービックセブン」、ロゴ化した「OBIC7」の文字からなる標章(以下「OBIC7(ロゴ)」という。)

平成25年(2013年)より

「OBIC7クラウド」、「OBIC7クラウドソリューション」、ロゴ化した「OBIC7クラウド」の文字からなる標章(以下「OBIC7クラウド(ロゴ)」という。)

平成29年(2017年)より

「オービッククラウドアカデミー」

これらは全て「オービック」「OBIC」を語頭に含む。また、請求人は、これらのオービックシリーズ標章だけではなく、各商品・サービスに、「オービック(ロゴ)」(別掲3)をも併せて使用している。

(イ)請求人の子会社の使用標章

子会社「株式会社オービックオフィスオートメーション」は、「オービックOA」「オービックオンラインショップ」の文字からなるオービック子会社標章を使用している(甲11~甲14)。

キ 宣伝広告活動

請求人は、会社及び商品・役務の宣伝広告に力を入れており、高額の費用を投じて、テレビ、新聞、雑誌、電子媒体、Web広告、イベント協賛など多様な媒体を通じて継続的に宣伝広告活動を行っている。

(ア)テレビ広告

昭和54年頃から開始し、2009年以降は「ワールドビジネスサテライト」などで3,400回以上放映(甲25の1~3)。著名ゴルファーやアメリカンフットボールチーム「オービックシーガルズ」を起用し、「オービック(ロゴ)」「OBIC7(ロゴ)」などを表示(甲25の2)。

(イ)新聞広告(紙媒体)

日本経済新聞、朝日新聞、読売新聞、日経産業新聞などにおいて、2013年以降、数百回以上掲載(甲26の1~10、甲27の1~12)。多くの広告に「オービック(ロゴ)」「OBIC7(ロゴ)」等が使用されている。

(ウ)新聞広告(電子媒体)

日本経済新聞電子版を中心に、鉄鋼新聞、日本食糧新聞、化学工業日報などで広告を実施(甲26の4、5)。

(エ)雑誌広告(紙・電子媒体)

日経ビジネス、日経コンピュータなどにおいて、2013年以降継続的に掲載(甲26の4、5、11、12、甲71の1、2)。「OBIC7クラウド(ロゴ)」や「オービック(ロゴ)」が表示されている。

(オ)Webニュース広告

流通ニュース、日経不動産マーケット情報などで広告を実施(甲26の4、5)。

(カ)その他媒体

メールマガジン、会員制サイトなどでも広告を展開(甲26の4、5)。

(キ)展示会・イベント

「ヒューマンキャピタル」「日経クロステックEXPO」「ITPro EXPO」などに出展・協賛し、展示ブースや公式資料に「オービック(ロゴ)」を表示(甲26の4、5、甲28~甲41)。

(ク)看板広告

東京ドーム、阪神甲子園球場、横浜スタジアムなどにおいて、長期にわたり「オービック(ロゴ)」を掲示(甲42~甲45)。駅構内やデジタルサイネージでも広告を展開(甲46~甲49)。

(ケ)スポーツ・文化活動への協賛

アメリカンフットボールチーム「オービックシーガルズ」のスポンサーを務め、クラシック音楽コンサート「オービック・スペシャル・コンサート」にも協賛(甲50~甲52、甲59~甲62)。

ク 第三者の記事

日本経済新聞、日刊工業新聞、週刊ダイヤモンド、週刊東洋経済、サンデー毎日などの、各種新聞や雑誌(紙媒体)において、遅くとも1996年から、請求人の業績や、商品・サービスなどをトピックとする記事が掲載されている(甲63)。同様に、それらのWeb版記事や、インターネット上の記事(例えば、就職活動に関するWebサイトの記事など)にも、請求人のことが取り上げられている。これら第三者の記事によっても請求人の知名度は高められている。

なお、株式会社YRK andによる、「昭和後期、平成、令和へと3時代を生き抜く企業のブランド力“上昇ランキング”」というWeb記事において、2016年から2年間、PQ(企業ブランド知覚指数)に基づいた総合評価で、ブランド名「サントリー」、「SMBCコンシューマーファイナンス」、「任天堂」に続き、「オービック」が第4位とされ、ブランド力が高まっている老舗ブランドとして評価されている(甲64)。

ケ 第三者指称

第三者の新聞・雑誌・Web記事や、日経・会社四季報による「業界地図」、市場調査のレポートなどにおいて、請求人は「オービック」と指称されている(甲15~甲24、甲26の13、14、甲36~甲40、甲63、甲64)。これらの記事を通じても、「オービック」は、請求人を指称するものとして、需要者・取引者の間に浸透している。

コ 裁判所及び特許庁による著名性の認定

(ア)裁判所による認定

平成18年(ワ)第17357号不正競争行為差止等請求事件(平成19年5月31日判決)において、「オービック」は、平成8年9月よりも前に、全国の需要者の間で広く認識されていたものであり、その状態は判決時まで続いていること、及び、「OBIC」も、「オービック」と同様に、平成8年9月よりも前に、全国の需要者の間で広く認識されていたものであり、その状態は判決時まで続いていることが認定されている(甲65)。

同判決の控訴事件である、平成19年(ネ)第10055号不正競争行為差止等請求控訴事件(知的財産高等裁判所平成19年11月28日判決)においても、標章「オービック」及び「OBIC」は、全国の需要者の間で広く認識されたものであると認定されている(甲66)。

(イ)特許庁による認定

請求人の「オービック(ロゴ)」は、登録第3017459号(第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テ―プその他の周辺機器を含む。)の貸与」)に基づき、令和2年10月8日付けで第3017459号防護01号として防護標章登録されている(甲67)。すなわち、登録査定起案時の2020年9月23日において、「オービック(ロゴ)」が著名であると特許庁が認定したのである。なお、登録第3017459号「オービック(ロゴ)」は、J-PlatPatの日本国周知・著名商標検索にも掲載されている(甲68)。

2007年に裁判所において「オービック」、「OBIC」が著名であると認定され、また、2020年に特許庁において「オービック(ロゴ)」が著名であると認定された。その後も、請求人の業績が伸び、また、宣伝広告活動が継続されていることに鑑みれば、「オービック」、「OBIC」、「オービック(ロゴ)」は、本件商標の出願時である2023年1月前において、全国の需要者・取引者の間で広く認識されており、また、その状態は本件登録時である2023年7月においても維持されていたことは明らかであり、前述の請求人の営業実績や広告実績などからすれば、むしろ、2020年当時よりもそれらの著名性は高まっているといえる。

(2)請求人による商標保護の努力

請求人は、「オービック」、「OBIC」、「オービック(ロゴ)」及びそれらを含む各商標を登録し、「オービック(ロゴ)」を防護標章登録(第3017459号防護01号)することで、「オービック」等の商標の保護を図ってきた。

登録による保護に加えて、請求人は、「オービック」等の商標と誤認混同を生じさせ、あるいは、「オービック」等の出所表示力を希釈するような標章の第三者による使用や登録を阻止する努力もしてきた。

具体的には、第三者による「オービックス」及び「ORBIX」の使用に対して、平成18年(ワ)第17357号不正競争行為差止等請求事件を提起した(甲65、甲66)。

また、被請求人の商願2021-154432「ORBIC(標準文字)」及び商願2021-154433「Orbic(ロゴ)」に対する情報提供を行い、それらの登録を阻止し、他の商標登録出願に対する情報提供も行った。

(3)本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性

「オービック」、「OBIC」、「オービック(ロゴ)」は、ERPシステム関連商品・サービスとの関係で、請求人の商標、ハウスマークとして、全国の需要者・取引者の間で高い著名性を有していることは、先に述べたとおりである。それら「オービック」、「OBIC」、「オービック(ロゴ)」は、本来、特定の概念を有しない造語であり、独創性が高い。

加えて、請求人は、「OBIC7」を始め、「オービック」又は「OBIC」を語頭に冠するオービックシリーズ標章も使用している。さらに、請求人の子会社も「オービックOA」など、「オービック」を語頭に配したオービック子会社標章を使用している。

他方、本件商標の後半部分「TAB10R」はその指定商品との関係で自他商品識別力がないため、「Orbic」のみが自他商品識別標識として機能する。被請求人の製品の仕様書において、「Orbic」と「TAB10R」が互いに分離独立した態様で使用されている実情(甲3の6)もある。

「Orbic」は、請求人の「オービック」、「OBIC」、「オービック(ロゴ)」と称呼が同一であり、観念の相違でそれらと区別することもできない。また、「Orbic」の5文字中、「r」を除く文字が全て、「OBIC」と共通する。しかも、「Orbic」が本件商標の構成中、需要者の注意を最も惹く語頭部分に配置されていることを総合すると、本件商標を請求人の「オービック」、「OBIC」、「オービック(ロゴ)」との類似性の程度は高いというべきである。

これらに加えて、請求人も、「オービック」の称呼が生じる「オービック」、「OBIC」を語頭に配したオービックシリーズ標章を頻繁に使用していること、及び、本件商標は、構成文字が15文字と識別標識としては文字数が多い上に、その語頭部分に、「OBIC」と共通する「O」、「b」、「i」、「c」の文字を包含することを考慮すると、本件商標に接した需要者が、請求人の新しいオービックシリーズ標章の一つと誤認混同することが十分に考えられる。

ERPシステムは、かつてはオンプレミス型(ソフトウェアなどを社内で保有・運用する利用形態)のものが主流であった。しかし、情報通信技術の発達によりクラウドコンピューティングでのソフトウェアの提供が可能になる一方で、在宅勤務など職場外での勤務の日常化や、業務の迅速化・効率化の要請などから、インターネットを用いてオフィスの外(自宅、営業先、作業現場など)からシステムにアクセスできるクラウド型のERPシステムが普及しつつある。クラウド型のERPシステムへのアクセスは、パソコンのみならず、業務用の携帯情報端末からされる場合があることは周知の事実であり、最近では、スマートフォンからもアクセスできるスマートフォン対応のERPシステムも登場している。また、ERPシステム全体とまではいかなくても、システムの構成の一部(例えば、勤怠管理システム)について、スマートフォンなどの社員個人の携帯情報端からアクセスできるものもある。請求人が提供する自動車教習所ソリューションにも、スマートフォンなどの教習生の携帯情報端末で予約を行う機能が備わっている(甲69~甲71の2)。このように、請求人の主力業務であるERPシステムと携帯情報端末との間には、密接な関連性が認められる。

ERPシステムの国内大手ベンダー富士通、日本電気は、現在、タブレット型携帯情報端末を製造・販売している(甲3の2、3、甲23、甲24)。また、マイクロソフト、グーグル、アップルなどのソフトウェア会社が、自社ブランドのスマートフォンその他の携帯情報端末を販売していることは周知の事実である(甲23、甲24)。このように、コンピュータシステム・ソフトウェアの開発・販売・提供と、タブレット型携帯情報端末の製造・販売が、同一人により又は同一のブランド名を用いて行われている実情がある。

本件商標の指定商品である「タブレット型携帯情報端末」の需要者は、一般消費者に限定されず、法人も含まれる。そして、法人が携帯情報端末を社員に支給する前には、ID・パスワード、メールアドレス、アプリ、セキュリティなどの設定を行う必要があり、システム関係の部署がその業務に当たることも多い。したがって、本件商標の指定商品「タブレット型携帯情報端末」の需要者は、請求人の需要者と共通し、又は、密接な関連性を有する。

加えて前述のとおり、請求人が提供する自動車教習所ソリューションには、教習生の教習生のスマートフォンやタブレット型携帯情報端末で予約を行う機能が備わっており、教習生、すなわち、タブレット型携帯情報端末の一般消費者がこれを利用している。このように、請求人は、法人のみならず、一般消費者も利用する機能を有するERPシステムを長年提供している(甲69~甲71の2)。

以上のことを総合すれば、請求人の著名な商標「オービック」、「OBIC」、「オービック(ロゴ)」と同一の称呼が生じる「Orbic」を語頭に配置した本件商標が、その指定商品「タブレット型携帯情報端末」に使用されれば、当該商品が、請求人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であると誤認され、需要者が商品の出所について混同するおそれがあることは明らかである。

したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。

第4 被請求人の答弁

被請求人は、請求人の主張に対し、何ら答弁していない。

第5 当審の判断

1 請求人商標の周知著名性について

(1)請求人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、次の事実が認められる。

ア 請求人は、中小企業向けの「統合業務ソフトウェア」に、別掲3のとおりの構成からなる、「オービック」の文字からなる商標(以下「請求人商標1」という。)及び「OBiC7」又は「OBIC7」の文字からなる商標(以下「請求人商標2」といい、請求人商標1及び2を併せて「請求人商標」という。)を使用している(甲4、甲5、甲25の1~甲27の12)。

イ 請求人は、ERPシステム「OBIC7」を1997年にリリースし、2013年には「OBIC7クラウド」の提供を開始した(甲7~甲9)。これらの商標は、ERP関連商品・サービスにおいて継続的に使用されている。なお、ERPとは、「enterprise resource planning」の略語であって、「統合業務ソフト。財務や人事・顧客情報など企業の業務をサポートするシステム。」を意味する語である(株式会社三省堂発行「コンサイスカタカナ語辞典 第5版」)。以下、請求人商標を使用した「統合業務ソフトウェア」又はEPRシステムを「請求人商品」という場合がある。)

ウ 請求人商品は、2018年には累計導入社数が2万社を突破し(甲18)、2021年には19年連続でERP累計導入社数第1位を記録した(請求人の主張)。

エ 請求人商品は、2017年から2019年にかけて中堅・中小企業向けERPライセンス売上高シェアで3年連続第1位(21.8~22.5%)を獲得しており(甲15)、他社を大きく上回るシェアを有している。

オ 請求人は、テレビCM(2009年以降、3,400回以上放映)(甲25の1~3)、新聞・雑誌広告(2013年以降、数百回以上掲載)(甲26、甲27)、Web広告(甲26)、展示会出展・協賛(甲26、甲28~甲41)、看板広告(東京ドーム、甲子園、横浜スタジアム等)(甲42~甲49)など、多様な媒体で継続的に請求人商品の広告を実施している。

カ 請求人は、アメリカンフットボールチーム「オービックシーガルズ」への支援やクラシック音楽コンサートへの協賛など、文化的な社会活動にも積極的に取り組み、これらの活動においても請求人商標を使用している(甲50~甲62)。

キ 第三者による新聞・雑誌・Web記事において、請求人の業績や請求人商品が継続的に取り上げられている(甲63、甲64)。

ク 第三者によるWeb記事において、2016年から2年間、PQ(企業ブランド知覚指数)に基づいた総合評価で、ブランド名「サントリー」、「SMBCコンシューマーファイナンス」、「任天堂」に続き、「オービック」が第4位とされ、ブランド力が高まっている老舗ブランドとして評価されている(甲64)。

(2)判断

前記(1)で認定した事実によれば、請求人は、中小企業向けの「統合業務ソフトウェア」に請求人商標を使用しており、請求人商品は、中堅・中小企業向けERPパッケージのライセンス売上高シェアについて、2017年から2019年において、連続1位であり、また、2009年以降、請求人商標を表示した請求人商品の各種の広告が継続的に行われ、さらに、請求人のブランド力が高く評価されていることが認められる。

そうすると、請求人商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、請求人の業務に係る「統合業務ソフトウェア」を表示するものとして、需要者の間に広く認識されており、その周知著名性の程度は高いものと判断するのが相当である。

2 商標法第4条第1項第11号該当性について

(1)本件商標について

本件商標は、前記第1のとおり、「Orbic TAB10R」の文字を標準文字で表してなるものであり、その構成からして、「Orbic」の文字及び「TAB10R」の文字からなると容易に認識されるものである。

そして、「Orbic」の文字(語)は、既存の語ではあるものの、一般に親しまれた語とはいえず、他方、「TAB10R」については、本件商標の指定商品である「タブレット型携帯情報端末」を表す「TAB」の語と(甲3の1~5)、数字2字及び欧文字一字を組み合わせたにすぎない「10R」とを単に結合してなるものであり、本件商標の指定商品との関係では、自他商品の識別力がないか、極めて弱いものといえる。

また、「Orbic」の文字と「TAB10R」の文字との間に観念上のつながりはなく、他にこれらを常に一体のものとして把握しなければならない特段の事情は見いだせない。

そうすると、本件商標の構成中「Orbic」の文字部分と、「TAB10R」の文字部分とは、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとは認められない。

また、前記1(2)のとおり、請求人商標は、請求人の業務に係る「統合業務ソフトウェア」を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものであるから、本件商標は、その構成中、請求人商標1及び請求人商標2の欧文字部分と同一の称呼を生じると認められる「Orbic」の文字部分が取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものである。

してみると、本件商標は、その構成中「Orbic」の文字部分を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるというべきである。

したがって、本件商標は、その構成中「Orbic」の文字部分から「オービック」の称呼を生じるものであり、また、当該称呼は需要者の間に広く認識されている請求人商標1及び請求人商標2の欧文字部分と同一の称呼であり、当該称呼から請求人商標を認識させるから、請求人のブランドとしての観念を生じるものである。

(2)引用商標について

引用商標は、別掲1から4のとおり、「OBiC(OBIC)」若しくは「オービック」の文字又は両文字を2段に表した構成からなるものであり、それぞれの構成文字に相応して、「オービック」の称呼を生じるものであり、また、需要者の間に広く認識されている請求人商標1又は請求人商標2の欧文字部分からなるものであるから、請求人のブランドとしての観念を生じるものである。

(3)本件商標と引用商標との類否について

本件商標の構成中「Orbic」の文字部分と引用商標とを比較すると、「Orbic」の文字部分と「オービック」の文字からなる引用商標3から5との比較においては、欧文字と片仮名との文字種の違いから相違しているが、他の引用商標における「OBiC(OBIC)」の文字との比較においては、「O」及び「BIC(BiC)」の文字(小文字と大文字の差異はあるものの)を共通にし、異なるところは2文字目の「r」の文字の有無のみであるから、外観において相紛らわしいものである。

また、称呼及び観念においては、本件商標の構成中「Orbic」の文字部分と引用商標からは、いずれも「オービック」の称呼及び請求人のブランドとしての観念を生じるものであるから、称呼及び観念を共通にするものである。

そうすると、本件商標と引用商標との外観、称呼、観念等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合し、全体的に考察すれば、たとえ引用商標3から5との比較においては外観において相違するものの、他の引用商標との比較においては外観において相紛らわしいものであり、また、称呼及び観念においてはいずれも相紛らわしいことからすると、本件商標と引用商標とは商品の出所について誤認混同を生じるおそれのある類似する商標と判断するのが相当である。

(4)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否について

本件商標の指定商品は、前記第1のとおり「タブレット型携帯情報端末」であり、引用商標1及び2の指定商品中、第9類「電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具」、引用商標3の指定商品中「電気通信機械器具,電子応用機械器具およびその部品」、引用商標4の指定商品中「電気通信機械器具,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む)及びその他の電子応用機械器具及びその部品」並びに引用商標5及び6の指定役務中「電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と同一又は類似するものである。

(5)小括

以上により、本件商標は、引用商標に類似する商標であり、引用商標の指定商品又は指定役務と同一又は類似する商品について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。

3 商標法第4条第1項第15号該当性について

(1)本件商標と請求人商標との類似性の程度について

本件商標と請求人商標1とは、前記2(3)と同様の理由により、類似するものであるから、その類似性の程度は高いといえる。

また、請求人商標2は、前記1(1)アのとおり、「OBiC7」又は「OBIC7」の文字からなるものであり、「OBIC(OBiC)」の欧文字と「7」の数字とからなると容易に認識されるところ、数字それ自体は極めて簡単でかつありふれたものであるから、欧文字部分が出所識別標識として強く支配的な印象を与え、出所識別標識としての要部となり得る。

そうすると、本件商標と請求人商標2との比較においても、前記2(3)と同様の理由により、類似するものであるから、その類似性の程度は高いといえる。

したがって、本件商標と請求人商標との類似性の程度は高いといえる。

(2)請求人商標の周知著名性及び独創性の程度について

前記1(2)のとおり、請求人商標の周知著名性の程度は高いものである。

また、請求人商標は、いずれも既存の語からなるものとは認められないから、その独創性の程度は高いといえる。

(3)本件商標の指定商品と請求人の業務に係る商品との間の関連性の程度並びに取引者及び需要者の共通性について

本件商標の指定商品は「タブレット型携帯情報端末」であり、請求人の業務に係る商品は「統合業務ソフトウェア」であるから、商品それ自体は異なるものの、いずれもコンピュータに関連する商品であるといえるため、その点において関連性があり、取引者及び需要者の共通性がある。

(4)混同のおそれについて

前記(1)から(3)によれば、本件商標と請求人商標との類似性の程度は高く、また、請求人商標の周知著名性及び独創性の程度は高く、さらに、本件商標の指定商品と請求人の業務に係る商品とは、いずれもコンピュータに関連する商品であるという点において関連性があり、取引者及び需要者の共通性がある。

そうすると、本件商標は、これを商標権者がその指定商品に使用するときは、請求人商標を連想又は想起し、当該商品が請求人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係のある者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じるおそれのある商標というべきである。

(5)小括

したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標というべきであるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 まとめ

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、仮に同号に該当しないとしても、同項第15号に該当するものであるから、その登録は、同項の規定に違反してされたものである。

したがって、本件商標の登録は、商標法第46条第1項により、無効とすべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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