結論テキスト
登録第5871126号商標の商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2025300372 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理 由
本件登録第5871126号商標(以下「本件商標」という。)は、「QuarterMaster」の欧文字を書してなり、平成27年10月22日登録出願、第9類「スマートフォン用プログラム,その他の電子計算機用プログラム,理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,電気磁気測定器,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」及び第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,電気に関する試験又は研究,機械器具に関する試験又は研究,電子計算機用プログラムの提供」を指定商品及び指定役務として、同28年8月5日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和7年5月15日であり、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、同4年(2022年)5月15日から同7年(2025年)5月14日までの期間(以下「要証期間」という。)である。
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
なお、以下、証拠の表記にあたっては、甲第1号証(乙第1号証)を「甲1(乙1)」のように簡略して表示する場合がある。
本件商標は、その指定商品及び指定役務について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(1)商標の使用の主張について
答弁書において、被請求人は、本件商標を付したカタログ(乙1)及び当該カタログの納品日付き請求書(写し)(乙2)を提出している。しかしながら、被請求人から提出された乙第1号証及び乙第2号証は、要証期間内の使用を証明するものではない。
(2)乙第1号証について
カタログなどの広告物により、登録商標の広告的使用を立証するためには、指定商品・指定役務に関する広告物であること、及びそれが要証期間内に展示・頒布等されたと確認できることが必要である。
乙第1号証は、「ナノバブル測定装置」に関する広告物であるが、いつ、どのような媒体で広告したのかを確認できる証拠は提出されておらず、それが要証期間内に展示・頒布等されたことを確認できるものではない。
仮に、乙第1号証が要証期間内に頒布等されたものであったとしても、乙第1号証に係る商品と指定商品との関係が不明である。また、乙第1号証のみでは、「ナノバブル測定装置」が実際に取り引きされていたか明らかではなく、名目的な使用である可能性がある。
(3)乙第2号証について
乙第2号証は、本件商標が表示されているものの、いずれの指定商品について、どのような態様の使用を立証しようとしているのか明らかになっていない。仮に乙第2号証が乙第1号証に係るチラシについての請求書であったとしても、乙第2号証は本件商標の指定商品についての使用を立証するものではないことは明らかである。
また、乙第2号証に記載されている納品日は2025年5月21日であり、これは要証期間後である。仮に、乙第2号証が乙第1号証に係るチラシについての請求書であった場合、乙第1号証に係るチラシは、2025年5月21日以降に頒布等された可能性が高い。この場合、乙第1号証は要証期間内の使用を証明するものではない。
(4)小括
よって、乙第1号証及び乙第2号証は、それぞれ単独でも、また組み合わせたとしても、要証期間内の使用を証明するものではない。
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証及び乙第2号証並びに「調査見積もり」、「調査依頼メール」及び「調査報告書」を提出した。
なお、被請求人が提出した「調査見積もり」、「調査依頼メール」及び「調査報告書」については、別掲のとおり、乙第3号証から乙第5号証の証拠番号を振ることとする。
(1)乙第1号証は、商標権者が発行した「ナノバブル測定装置」及び「QuarterMaster4500」と題する商品カタログ(以下「本件カタログ」という。)であり、表題の下に、「ナノバブル測定装置」(以下「使用商品」という。)と思われる黒色の機械の写真の掲載とともに、「QuarterMaster4500は、ナノバブルの挙動を高精度に解析できる、最新の可視化・解析ツールです。レーザー反射と高解像度カメラを組み合わせた本装置は、ナノバブルの反射強度や分布、微細構造の変化をリアルタイムで観測・記録することが可能です。」の記載がある。
(2)乙第2号証は、朝日プロセス株式会社が商標権者宛てに発行した「請求書」であり、「納品日」の欄に「2025年05月21日」、「品名」の欄に「QuarterMaster4500 A4チラシ」の記載がある。
(3)乙第3号証は、プライムワークス国際特許事務所が商標権者宛てに2025年5月2日付けで発行した「見積書」であり、「見積内容」の欄に「特許調査手数料」の記載がある。
(4)乙第4号証は、プライムワークス国際特許事務所が商標権者宛てに2025年5月7日に送信した電子メールであり、その本文に、特許調査の依頼を受領した旨の記載がある。
(5)乙第5号証は、プライムワークス国際特許事務所が商標権者宛てに2025年5月15日付けで作成した「調査報告書」であり、「【調査事項】」として、「光を当てた水を撮影してその水に含まれる気泡の量または濃度などを測定する方法に関する特許調査」の記載がある。
(1)商標権者は、表題に「QuarterMaster4500」の文字からなる商標(以下「使用商標」という。)が表示され、「QuarterMaster4500は、ナノバブルの挙動を高精度に解析できる、最新の可視化・解析ツールです。レーザー反射と高解像度カメラを組み合わせた本装置は、ナノバブルの反射強度や分布、微細構造の変化をリアルタイムで観測・記録することが可能です。」との説明が記載された使用商品に関する本件カタログを発行した(乙1)。
(2)本件カタログは、2025年(令和7年)5月21日に納品された(乙2)。
(3)商標権者は、2025年(令和7年)5月2日から同月7日までの間に、プライムワークス国際特許事務所に対して、「光を当てた水を撮影してその水に含まれる気泡の量または濃度などを測定する方法」に関する特許調査を依頼し、同月15日に当該調査結果の報告を受けた(乙3~乙5)。
商標法第50条第1項による商標登録の取消しの審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人は、その審判の請求の登録前3年以内に、その請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明しなければならないが、ここでいう登録商標の「使用」とは、商標法第2条第3項各号に定める各行為をいうものと解される。
そして、前記第3の被請求人の答弁によれば、被請求人が立証しようとする本件商標の使用が、商標法第2条第3項各号のいずれの行為であるのかは必ずしも明らかではない。
しかしながら、被請求人から提出された乙第1号証及び乙第2号証(商品カタログ及びその請求書)からすると、本件商標を広告(商品カタログ)に使用していること、すなわち「商品・・・に関する広告・・・に標章を付して展示し、若しくは頒布・・・する行為」(商標法第2条第3項第8号)を立証しようとするものと解される。
そして、前記2において認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用商品について
使用商品は「ナノバブル測定装置」であるところ、本件カタログには「ナノバブルの挙動を高精度に解析できる、最新の可視化・解析ツールです。レーザー反射と高解像度カメラを組み合わせた本装置は、ナノバブルの反射強度や分布、微細構造の変化をリアルタイムで観測・記録することが可能です。」の記載があることからすれば、本件商標の指定商品中「測定機械器具」の範ちゅうに含まれる商品であると認められる。
(2)使用商標について
使用商標は「QuarterMaster4500」の文字からなるところ、その構成中「4500」の数字部分は、商品の品番、型番等を表す際に使用される記号、符号の一類型を表したものと認識されるものといえる。そうすると、使用商標において、商品の出所識別標識として機能を果たす部分は、「QuarterMaster」の文字部分である。
そして、本件商標と使用商標の「QuarterMaster」の文字部分を比較すると、両者は同一の文字からなることから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標といえる。
(3)使用時期について
本件カタログは、使用商品に関する商品カタログ、すなわち広告であると認められ、本件商標と社会通念上同一の使用商標が付されていると認められる。
しかしながら、本件カタログの納品日は、2025年(令和7年)5月21日であって、要証期間の経過後である。
そうすると、本件カタログは、要証期間内には存在していなかったこととなり、要証期間内に展示又は頒布されたとは認めることはできない。
(4)小括
以上によれば、商標権者は、本件商標の指定商品中「測定機械器具」の範ちゅうに含まれる使用商品に関する広告である本件カタログに、本件商標と社会通念上同一の使用商標を付したことは認められるものの、要証期間内に本件カタログを展示又は頒布したことを認めることはできない。
したがって、被請求人は、要証期間に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件審判の請求に係る商品及び役務についての本件商標の使用をしていることを証明したものと認めることはできない。
(1)被請求人は、明示的に、商標法第50条第2項ただし書にいう「正当な理由」を主張しているものではないが、前記第3の被請求人の答弁によれば、当該「正当な理由」を主張しているとも解されるので、以下判断する。
(2)商標法第50条第2項ただし書にいう「正当な理由」とは、地震、水害等の不可抗力、放火、破壊等の第三者の故意又は過失による事由、法令による禁止等の公権力の発動に係る事由等商標権者、専用使用権者又は通常使用権者の責めに帰することができない事由が発生したために使用をすることができなくなった場合をいうと解すべきである(東京高等裁判所平成7年(行ケ)第124号判決、知的財産高等裁判所平成20年(行ケ)第10160号判決、知的財産高等裁判所平成22年(行ケ)第10012号判決参照)。
(3)前記第3のとおり、被請求人は、本件商標に係る商品の発表に関して特許侵害などの確認の必要があり、特許事務所へ調査依頼を行い、本件商標を使用する準備は進めていた旨、また、当該調査のため、2025年(令和7年)5月21日までカタログの印刷はしていない旨主張している。
そして、前記2(3)によれば、商標権者は、2025年(令和7年)5月2日から同月7日までの間に、特許調査を依頼し、同月15日に当該調査結果の報告を受けたことが認められる。
しかしながら、当該事情は、地震、水害等の不可抗力、放火、破壊等の第三者の故意若しくは過失による事由、又は法令による禁止等の公権力の発動に係る事由とは認められず、単に、商標権者の経営上の判断によるものといえる。
そうすると、当該事情は、商標権者の責めに帰することができない事由ということはできない。
その他、被請求人提出の乙各号証及び同人の主張から、本件商標の使用に影響を与えるような、商標権者の責めに帰することができない事由が発生したと認めるに足る事実は見いだせない。
以上によれば、要証期間に本件商標を使用できなかったことについて、商標法第50条第2項ただし書にいう「正当な理由」があったとは認められない。
以上のとおり、被請求人は、要証期間に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件審判の請求に係る商品及び役務のいずれかについての本件商標の使用をしていることを証明したとはいえない。
また、当該使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしたともいえない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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