結論テキスト
国際登録第1785378号商標の商標登録を維持する。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2025685017 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由
本件国際登録第1785378号商標(以下、「本件商標」という。)は、別掲1のとおり、「OPELLA」の文字を横書きしてなり、2023年(令和5年)10月31日に国際商標登録出願、日本国を指定する国際登録において指定された第3類「Non-medicated products for skin hygiene, care and maintenance; products for personal hygiene; cosmetic products; dentifrices.」及び第5類「Vitamins, vitamin-based preparations; dietetic food supplements; dietetic food supplements consisting of minerals; nutritional supplements.」を含む、第3類、第5類、第9類、第10類、第41類及び第44類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和7年6月4日に登録査定、同年7月4日に設定登録されたものである。
(1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件異議申立ての理由のうち、商標法第4条第1項第11号に関して引用する商標は、以下のア及びイであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
ア 登録第4231838号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:別掲2のとおり
指定商品:第3類「香料類(薫料を除く),化粧品,歯磨き」
登録出願日:平成 9年 4月23日
設定登録日:平成11年 1月22日
イ 登録第5193357号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:別掲3のとおり
指定商品:第29類「加工水産物,加工野菜及び加工果実,ビタミン・ミネラル・ハーブ・植物エキス・大豆又は魚油を主原料とした粒状・カプセル状・粉末状・液状の加工食品」
登録出願日:平成20年 6月18日
設定登録日:平成20年12月26日
なお、以下においては、引用商標1と引用商標2とをまとめて「引用商標」という場合がある。
(2)申立人が、本件異議申立ての理由のうち、商標法第4条第1項第15号に関して引用する商標は、別掲4のとおりの構成よりなり、申立人が同人に係る標章と主張するものである(以下「申立人標章」という。)。
申立人は、本件商標は、その指定商品中、第3類「Non-medicated products for skin hygiene, care and maintenance; products for personal hygiene; cosmetic products; dentifrices.」及び第5類「Vitamins, vitamin-based preparations; dietetic food supplements; dietetic food supplements consisting of minerals; nutritional supplements.」(以下「申立てに係る指定商品」という。)について、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきものであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第23号証(以下表記に当たっては「甲○」(「○」部分は数字)のように省略して記載する場合がある。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標について
本件商標は、欧文字「OPELLA」と表したものであり、ラテン語で、「小仕事、小労働」を意味するが(甲4)、我が国において、特定の意味を有する語として一般に親しまれた語ではないことから、これに接する取引者、需要者は、一種の造語と理解、認識し、本件商標からは何ら特定の観念を生じない。
造語と認識される欧文字商標の場合、需要者は、馴染み深い英語やよく見聞きする固有名詞などの発音を参考に、これに倣って称呼するのが通常であり、本件商標にあっては、「gorilla」(ゴリラ)「vanilla」(バニラ)のような日本人に馴染みのある既成語や固有名詞(甲5)に倣って「LLA」の部分を「ラ」と称呼するのが自然である。
よって、本件商標にあっては、上記の馴染みの深い英語の発音を参考に、それに倣って「オペラ」と称呼するのが自然であり、「オペラ」以外の称呼が生じる余地はないといえる。
イ 引用商標について
引用商標は、欧文字「OPERA」及び片仮名「オペラ」の二段書きの構成からなり、「歌劇」の意味合いが生じる(甲6)。
ウ 引用商標の商標登録及び取引の実情について
引用商標は、申立人の子会社であり生産部門を担当するエルソルプロダクツ株式会社(甲7)の権利である。
また、エルソルプロダクツ株式会社による「OPERA\オペラ」又は「OPERA\オペラ」の語を含む商標登録は、一番古いもので、86年前の昭和14年登録の商標登録第316987号から、現在まで、出し直し出願等により権利満了した件も含めると、94件の商標登録を行っており(甲8)、申立人及びその子会社であるエルソルプロダクツ株式会社が、「OPERA\オペラ」のブランドを非常に重要視し、商標登録をしてきたことは明らかである。
なお、申立人標章である、「OPERA\オペラ」ブランドは、申立人の子会社であるイミュ株式会社(甲9)により販売されており、申立人は、生産部門である、エルソルプロダクツ株式会社、及び、販売部門であるイミュ株式会社を総括する。
「OPERA\オペラ」のブランドは、創業から100年以上の歴史が有り、現在に至るまで、永年継続して女性用の化粧品のブランドとして使用されている(甲10、甲11)。
そして、近年では、特に、リップについて、大ヒット商品となり、現在も市場において確固たる地位を維持しており、それに伴い、引用商標も取引者・需要者において広く浸透するに至っている。
具体的には、「OPERA\オペラ」ブランドのリップ等の商品は、化粧品の口コミサイトや雑誌の賞やインターネット検索数の多い化粧品に贈られる賞を多数受賞し、数年以上にわたって、インターネット記事や各雑誌、新聞等においても頻繁に取り上げられていることから、「OPERA\オペラ」の語は、非常に数多くの取引者、需要者において、広く知れ渡っている。また、リップに限らず、アイブロウなどその他の化粧品においても、様々な賞の受賞があることから、化粧品ブランドとしての知名度が高いことは明らかである(甲12~甲18)。
さらに、「OPERA」ブランドは、人通りの多い主要な駅、建物、電車内広告等の屋外広告用看板を多数設置しており(甲19)、その宣伝広告の結果、一般的な需要者に認知されているといえる。
このように、これまでの使用実績によって、引用商標は、「オペラ」の称呼とともに、化粧品に係る取引者、需要者において、広く一般に知られるに至っている。
エ 本件商標と引用商標の類否
以上を踏まえて、本件商標と引用商標を対比すると、以下のとおりとなる。
(ア)称呼について
本件商標は、上述のとおり、馴染みの深い英語の発音を参考に、それに倣って「オペラ」と称呼するのが自然であり、本件商標及び引用商標から生じる自然な称呼である「オペラ」は完全に同一といえる。
さらに、欧文字「R」と「L」違いは、日本において、「R」と「L」の音の違いが意味の区別に関与しないこと、日本語には「L」音がなく、「R」音も英語の「R」音とは異なる等の理由から、英語の「R」と「L」の違いは、発音において区別が非常に難しく、「R」も「L」も同じ「ラ」行の音を生じるものとして認識される(甲20、甲21)。
(イ)外観について
本件商標と引用商標を比較すると、引用商標は、二段書きではあるものの、下段は上段の読みであることが明らである。
上段の「OPERA」と、本件商標「OPELLA」は、欧文字部分は5文字又は6文字という短い構成中、語頭から三文字及び末語の綴りを共通にするものであるから、その外観において紛らわしいところがあるものと認められる。
(ウ)観念について
本件商標は、特定の意味合いを有しない造語であるから、観念においては、比較し得ない。
したがって、「オペラ」の称呼を共通とする本件商標と引用商標について、上記の外観及び特に称呼において、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察してみれば、本件商標と引用商標をその指定商品に使用すると、取引者、需要者をして、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。
オ 過去の審決例について
特許庁の過去の審決例によると、末尾の「LLA」及び「RA」の部分のみが相違する両商標は、「LLA」及び「RA」から「ラ」の称呼が生じ、全体として称呼が同一とするとして類似と判断している(甲22、甲23)。
このような、特許庁の判断に倣えば、本件商標と引用商標についても、同一の称呼を生じるものとして、類似と判断されて然るべきである。
カ まとめ
このように、本件商標は、引用商標に類似するものであり、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号の規定により、その登録が取り消されるべきものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
甲第7号証ないし甲第19号証において示すとおり、化粧品の取引者、需要者においては、引用商標は、広く知られるに至っている。
そして、本件商標が「オペラ」の称呼をもって取引に資され、申立人標章と、その称呼において共通することから、本件商標と申立人標章が類似することは明らかである。
そうすると、本件商標がその指定商品について使用された場合には、それがあたかも申立人あるいは申立人の子会社であるエルソルプロダクツ株式会社やイミュ株式会社に係る商品であると、もしくは、申立人あるいはエルソルプロダクツ株式会社やイミュ株式会社と経済的・組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であると、取引者・需要者において、誤認混同を生じる蓋然性が非常に高いものである。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号の規定により、その登録が取り消されるべきものである。
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標について
本件商標は、別掲1のとおり、「OPELLA」の欧文字をゴシック体様の書体で一列に横書きしてなるところ、これがラテン語で「小仕事、小労働」を意味する語である(甲4)としても、ラテン語は我が国において一般的に使用、理解されている言語ではなく、申立てに係る指定商品の取引者、需要者において特にラテン語が知られているといった事情も見当たらないことからすれば、本件商標は、特定の意味合いを理解させない造語として認識されるというのが相当である。
そして、そのような欧文字からなる造語については、これを称呼する場合、我が国において親しまれている英語風の読み又はローマ字風の読みに倣って称呼するのが自然であるところ、英語において、例えば「opera」を「オペラ」、「gorilla」を「ゴリラ」、「vanilla」を「バニラ」などと発音すること(甲5、甲6)に倣えば、本件商標は英語風の読みとしては「オペラ」と称呼するものである。また、ローマ字において、促音を表す際に子音を重ねてつづることが一般的であることからすると、本件商標はローマ字風の読みとしては「オペッラ」と称呼するものである。
そうすると、本件商標よりは、その構成文字に相応した「オペラ」「オペッラ」の称呼が生じ、また、特定の観念は生じないものといえる。
イ 引用商標について
引用商標1は、「OPERA」の欧文字と「オペラ」の片仮名を明朝体様の書体で上下二段に横書きしてなるものであり、また、引用商標2は、「OPERA」の欧文字と「オペラ」の片仮名をゴシック体様の書体で上下二段に横書きしてなるものである。
そして、「OPERA」の欧文字は、「歌劇」を意味する英語であり、「オペラ」と発音されるものである(甲6)ことからすると、引用商標の構成中の「オペラ」の片仮名は上段の欧文字の読みを表しているものと容易に理解、認識し得るものである。
そうすると、引用商標よりは、その構成文字に相応した「オペラ」の称呼が生じ、また、「歌劇」の観念が生じるものといえる。
ウ 本件商標と引用商標の類否について
本件商標と引用商標を比較するに、外観においては、片仮名の有無が相違し、また、本件商標と引用商標の構成中の欧文字部分のみで比較したとしても、それらの構成文字は、中間の文字が「LL」と「R」とで相違し、そのため文字数も異なるのであって、欧文字5字又は6字という短い文字構成においては、これらの相違が全体の印象に与える影響が小さいとはいえず、十分に区別し得るものである。
また、称呼においては、「オペラ」の称呼を共通にするものの、本件商標より生じる「オペッラ」と、引用商標より生じる「オペラ」とでは、3音又は4音という短い音構成において、中間の促音の有無で相違し、全体の語調、語感が明らかに異なるものであるから、明瞭に聴別できるものである。
そして、観念においては、本件商標よりは特定の観念が生じないのに対し、引用商標からは「歌劇」の観念が生じるから、観念において相紛らわしいとはいえないものである。
そうすると、本件商標と引用商標とは、複数生ずるうちの一つの称呼を共通にするものの、その他の称呼においては明瞭に聴別できるものである上、外観において十分に区別し得るものであり、観念において相紛らわしいとはいえないものであるから、これらの商標が与える印象、記憶等を総合してみれば、商品の出所について誤認混同を生じるおそれのない、非類似の商標というのが相当である。
エ 申立人の主張について
申立人は、商標構成中の末尾の「LLA(lla)」及び「RA(ra)」の部分が相違する商標の類否について判断した過去の審決例を挙げ、それらと同様に本件商標と引用商標とは類似する商標であると判断されるべきである旨主張する。
しかしながら、商標の類否の判断は、本件商標と他人の登録商標との対比において、個別具体的に判断すべきものであり、また、請求人の挙げる審決例と本件商標とは、商標の構成等を異にするものであるから、当該審決例によって、直ちに本件商標に係る判断が左右されるものではない。
そして、本件商標と引用商標とが非類似の商標であることは、上記ウのとおりである。
したがって、申立人の上記主張は、採用することができない。
オ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標は、非類似の商標であるから、申立てに係る指定商品と引用商標の指定商品の類否について検討するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 申立人標章の周知性について
(ア)申立人の主張及び同人の提出した証拠によれば、以下のとおりである。
a 引用商標の権利者は、申立人の子会社であり生産部門を担当するエルソルプロダクツ株式会社である(甲7)。「OPERA」の欧文字若しくは「オペラ」の片仮名からなる又は両文字からなる商標(以下「申立人商標」という。なお、これには引用商標及び申立人標章が含まれる。)を使用した申立人の業務に係る商品「化粧品」(以下「申立人商品」という。)は、申立人の子会社であるイミュ株式会社(甲9)により販売されており、申立人は、生産部門であるエルソルプロダクツ株式会社、及び、販売部門であるイミュ株式会社を総括している(申立人の主張)。
b エルソルプロダクツ株式会社による申立人商標又はこれに関連する商標の登録は、昭和14年登録の商標登録第316987号から、現在まで、出し直し出願等により権利満了した件も含めると、94件ある(甲8)。
c 申立人商標は、創業(大正6年4月)から100年以上の歴史があり、現在に至るまで、永年継続して女性用の化粧品のブランドとして使用されている(申立人の主張、甲10及び甲11)。
d 申立人商品は、これまで数年にわたって複数の賞を受賞しており、そのことがインターネット記事や雑誌においても取り上げられている(甲12~甲18)。
e 少なくとも2018年1月~2020年1月、2023年9月~2025年8月の間に、東京都(新宿、表参道)、神奈川県(横浜)、大阪府(大阪)の駅などにおいて、申立人商品に係る屋外広告用看板が複数回設置されている(甲19)。
(イ)上記(ア)によれば、申立人商品は、申立人又はそのグループ企業によって、本件商標の登録査定より前に、相当程度の長期にわたって、我が国において製造、販売されており、少なくとも2017年から2025年の間に、化粧品に関する複数の賞を受賞し、また、そのことがインターネット記事や雑誌においても複数回取り上げられたほか、一部の都府県において屋外看板による宣伝広告活動が行われていたことが認められる。
しかしながら、複数の賞の受賞については、各賞の概要(受賞基準等)が不明であって、当該賞を受賞することによって、我が国の取引者、需要者の認識にどの程度の影響を及ぼすものであるか、提出した証拠からは推認することができない。
また、屋外看板による宣伝広告活動は、わずか3都府県における事例しか示されておらず、そのほか、申立人商標や申立人商品について、我が国において広範な宣伝広告活動が行われた事実を示す証拠は提出されていない。
そして、申立人の提出した証拠においては、申立人商品の具体的な販売数量や売上高、市場シェアなどの情報も、ほぼ示されていない。
以上のことからすれば、申立人の主張及び同人の提出した証拠からは、申立人商標(申立人標章)が、本件商標の登録査定時において、我が国の「化粧品」の取引者、需要者に広く知られていたということはできない。
イ 本件商標と申立人標章の類似性について
本件商標の構成態様などは、上記(1)アのとおりである。
他方、申立人標章は、別掲4のとおり、「オペラ」の片仮名と「OPERA」の欧文字とを明朝体様の書体で上下二段に横書きしてなるところ、これは、引用商標との比較で、書体がわずかに異なるほか、上下段の文字を入れ替えたにすぎないといえるものであるから、これらは外観上酷似し、また、「オペラ」の称呼及び「歌劇」の観念を同一にするものであり、社会通念上同一の商標であるといえる。
そうすると、上記(1)ウのとおり、本件商標と引用商標とは非類似のものであるから、これと同様に、本件商標と申立人標章とも、相紛れるおそれのない非類似の商標であるというのが相当である。
したがって、本件商標と申立人標章との類似性の程度は低いものである。
ウ 申立人標章の独創性について
申立人標章は、上記イのとおり、我が国においても広く知られた「歌劇」を意味する成語である「OPERA」の欧文字と、その読みを表す「オペラ」の片仮名よりなることからすれば、独創性の程度は低いものといえる。
エ 小括
以上のことからすると、本件商標は、商標権者がこれをその申立てに係る指定商品について使用しても、取引者、需要者をして申立人標章を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人等)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が他人の業務に係る商品と出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反してされたものではなく、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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