結論テキスト
登録第6905004号商標の商標登録を維持する。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2025900098 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本件登録第6905004号商標(以下「本件商標」という。)は、「CRAFT BEAR」の文字を標準文字で表してなり、令和6年9月12日に登録出願、第32類「ビール,クラフトビール」を指定商品として、同7年2月17日に登録査定、同年3月6日に設定登録されたものである。
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する国際登録第1040527商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、2016年(平成28年)12月9日に国際商標登録出願(事後指定)し、第32類「Beer.」を指定商品として、平成30年3月2日に設定登録され、その商標権は現に有効に存続しているものである。
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証(枝番号を含む。枝番号のすべてを示すときは、枝番号を省略する。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標
本件商標は、「CRAFT」と「BEAR」の二語からなるところ、特に後者は親しまれた基礎的な英単語であるため、「熊」と容易に理解される(甲3)。一方、前者の「CRAFT」は、「手工業、工芸、工芸品」などを意味する英単語であり(甲4)、これは手工芸品などを意味する用語「クラフト」として日本語にも導入されている(甲5)。そして、本件商標に係る指定商品の分野においては、「クラフトビール(craft beer)」という言葉が広く認識されており(甲6、甲7)、これは特許庁においても顕著な事実であると思料する。
この用語の定義は様々あるものの、一般には、小規模な醸造所(ブルワリー)が、伝統的な製法や独自のレシピで醸造する、個性やこだわりのあるビールと説明されている。1994年の酒税法改正でビール製造免許取得に必要な最低製造量が年間2000キロリットルから60キロリットルに引き下げられたことをきっかけとして、クラフトビールを製造・販売する醸造所が増加し、その後30年ほど経った現在、「クラフトビール」の人気が定着し、この用語はごく一般的なものとなっている(甲8)。2022年4月には、全国地ビール醸造者協議会などの3団体を母体として、クラフトビールの品質向上や市場規模拡大、ビール文化の啓蒙・広報活動などを目的とする日本クラフトビール業界団体連絡協議会が設立されている。
このような状況に鑑みると、本件商標に接した需要者は、その前半部分から「クラフトビール」を想起すると考えられる。そのため、指定商品との関係では、ビールのタイプや種類を表す「CRAFT」の部分の識別力が微弱であるといえる。指定商品の性質などを表すものではない後半の「BEAR」と比較すると、識別力に明らかな軽重があるため、本件商標からは「CRAFT」部分が捨象され得る。よって、本件商標については、「BEAR」部分が商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与える部分といえ、同部分が単独でも商標として機能し得るものと思料する。
イ 引用商標
引用商標は、下段の文字「BEER」は、日本でもよく親しまれた英単語であって、「ビール」を意味する(甲9)ことが広く知られている。その指定商品との関係では、識別力が微弱か無いといえる。
一方、上段の文字「BEAR」は、「熊」を意味し、指定商品の性質などを表す用語ではないため、識別力があり、引用商標の要部となるものと考える。外観的にも、「BEAR\BEER」は、各語が分かれて上下二段に構成されており、「BEAR」部分は、自然に目立つ配置となっている。さらに、上半分に配された図形も一見して熊を表していることが理解でき、文字部分「BEAR」と相まって「熊」の観念や「ベア」の称呼を生じ得る。
ウ 本件商標と引用商標の対比
本件商標と引用商標を対比すると、外観については異なる。
しかし、本件商標は、商標全体のほか、「BEAR」部分のみが要部として抽出され、単独で商標として機能し得る。この場合、「ベア」の称呼と、「熊」の観念を生じる。
一方、引用商標についても、その全体から「BEAR」部分のみが要部として抽出され、商標として機能し得るものである。これよりは、「ベア」の称呼と「熊」の観念が生じる。
よって、本件商標と引用商標は、称呼「ベア」と観念「熊」において共通する。両商標は、外観において異なるものの、称呼と観念においては共通であり、全体として類似するものと思料する。
エ 引用商標の使用について
申立人は、1883年に創業したビールを醸造・販売するデンマーク企業であり、ドイツ、デンマーク、エストニアの3つの生産拠点を持ち、合わせて600万ヘクトリットルのビールを生産し、日本を含む世界90か国以上で販売している。
引用商標は申立人がそのビール商品に使用する非常に重要な商標であり、また、日本の需要者間でもある程度知られたものである(甲10)。この観点からも、引用商標と類似する本件商標の登録は適切ではないと考える。(2)まとめ
したがって、本件商標は、他人の先願先登録である引用商標と類似する商標であり、本件商標の指定商品は、引用商標に係る指定商品と同一又は類似する商品である。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標について
本件商標は、「CRAFT BEAR」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は、同じ書体及び大きさで横一列に表されており、「CRAFT」と「BEAR」の文字の間に一文字の間隔があるとしても、外観上、まとまりよく一体に構成されていることから、全体として一体的に看取されるものである。
また、「CRAFT BEAR」の文字より生じる「クラフトベア」の称呼は、6音と冗長ではなく、無理なく一連に称呼し得るものである。
そして、「CRAFT」の文字は、「技能。工芸。手芸。手仕事による製作。手工業。」を、「BEAR」の文字は「クマ」(いずれも出典は「新英和中辞典第7版」株式会社研究社)をそれぞれ意味する語であるから、これら各語からなる「CRAFT BEAR」の文字よりは、「工芸の熊」ほどの意味合いが容易に看取し得るものである。
なお、申立人は、本件商標の構成中「CRAFT」の文字は、「手工業、工芸、工芸品」などを意味する英単語であり(甲4)、これは手工芸品などを意味する用語「クラフト」として日本語にも導入され(甲5)、本件商標に係る指定商品の分野においては、「クラフトビール」(craft beer)という言葉が広く認識されている(甲6、甲7)ことから、当該文字は、識別力が微弱である旨主張している。
しかしながら、「クラフトビール(craft beer)」が、「CRAFT」と略称されている取引の実情はうかがええないこと、かつ、「CRAFT(クラフト)」の語が「手工芸品」を表す語として広く認識されていることからすれば、申立人の当該主張は採用できないものであり、本件商標に接した取引者、需要者が「CRAFT」の文字部分を捨象して取引にあたるとはいい難いというべきである。
したがって、本件商標は、その構成文字に相応して、「クラフトベア」の称呼を生じ、「工芸の熊」ほどの観念を生じるものである。
イ 引用商標について
引用商標は、別掲のとおり、黒色に塗りつぶした横長長方形内の上段に「熊」をモチーフにしたと思しき図形(以下「引用図形部分」という。)を配し、下段に「BEAR」と「BEER」の欧文字(以下「引用文字部分」という。)を白抜きで上下二段に横書きした構成よりなるところ、その構成中、上段の図形部分と、下段の文字部分は、それぞれ重なり合うことなく、独立して表されていることから、視覚上、明確に分離して看取し得るものである。
そして、引用図形部分は、「熊」をモチーフにしたと思しき図形ととらえる場合があるとしても、特定の意味合いを直ちに想起させることのない図形を表したものとみるのが相当であり、特定の称呼及び観念を生じないものである。
また、引用文字部分の構成中、「BEAR」の文字は「クマ」を、「BEER」の文字は「ビール」(いずれも出典は「新英和中辞典第7版」株式会社研究社)をそれぞれ意味する語であり、これらの文字全体が特定の意味を有する語として知られているとはいえないから,引用文字部分は、「BEAR」の文字と「BEER」の文字とを結合してなるものと容易に認識し得るものである。
さらに、引用文字部分の構成中、「BEER」の文字は、引用商標の指定商品である「ビール」を表示するものとして一般的に使用、認識されていることからすれば、当該文字部分は、自他商品の識別標識としての機能がないか又は極めて弱いものといえるものであるから、出所識別標識としての称呼及び観念を生じないものというのが相当である。
他方、「BEAR」の文字は、上記意味を有する語であり、その指定商品との関係において、商品の品質を表示する等の格別な事情は見いだせないことから、該文字部分は、自他商品の識別標識として強く支配的な印象を与えるものである。
そうすると、引用商標の構成中、「BEAR」の文字部分と「BEER」の文字部分とが、分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているとは認められないから、引用商標は、全体として捉えられる場合のほか、「BEAR」の文字部分(以下「引用商標の要部」という。)に着目し、当該部分のみを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるというべきである。
したがって、引用商標は、引用文字部分から「ベアビール」の称呼及び「熊のビール」ほどの観念のほかに、引用商標の要部に相応して、「ベア」の称呼を生じ、「熊」ほどの観念を生じるものである。
ウ 本件商標と引用商標の類否について
本件商標と引用商標との比較において、本件商標は上記アの構成からなり、引用商標は上記イの構成からなるところ、外観において、両者は、全体としては明らかに相違するものであり、本件商標と引用商標の要部との比較においては、本件商標における「CRAFT」の欧文字の有無の差異を有し、この差異が看者に与える影響は、決して小さいものとはいえず、両者は、外観上、明確に区別し得るものである。
そして、称呼において、本件商標は「クラフトベア」の称呼を生じ、引用商標は「ベアビール」及び「ベア」の称呼を生じるところ、「クラフトベア」と「ベアビール」の比較において、「ベア」の音を共通にするとしても、本件商標の称呼は「ベア」の前に「クラフト」の音を有しているのに対して、引用商標の称呼は「ベア」の後に「ビール」の音があり、共通音である「ベア」の位置が異なること、また、「ベア」の音以外の音は明らかに音質が異なる音であるから、これらを一連に称呼しても、語調、語感が異なり、称呼上、明瞭に聴別できるものである。
また、「クラフトベア」と「ベア」の比較において、「ベア」の音を共通にするとしても、「クラフト」の音の差異があるばかりでなく、6音と2音と構成音が明らかに異なり、比較的短い称呼の比較においては、これらを一連に称呼しても、称呼上、明瞭に聴別できるものである。
さらに、観念において、本件商標は「工芸の熊」ほどの観念を生じ、引用商標は「熊のビール」及び「熊」ほどの観念を生じるから、いずれの観念の比較においても、両者は、観念上、相違するものである。
そうすると、本件商標と引用商標は、外観において明確に区別し得るものであり、いずれの称呼の比較においても明瞭に聴別できるものであり、いずれの観念の比較においても相違するから、両商標が与える印象、記憶等を総合してみれば、商品の出所について誤認混同を生じるおそれのない、非類似の商標というのが相当である。
エ 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否について
本件商標の指定商品と引用商標の指定商品は、同一又は類似する商品である。
オ 小括
以上によれば、本件商標の指定商品が、引用商標の指定商品と同一又は類似するとしても、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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