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Trademark Appeal Case

周知商標と混同のおそれ

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2025900103
審判種別記載はありません。
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

結 論
登録第6911444号商標の商標登録を取り消す。

理由テキスト

理 由

第1 本件商標

本件登録第6911444号商標(以下「本件商標」という。)は、「透かして清書」の文字を標準文字で表してなり、令和6年12月16日に登録出願、第9類「スマートフォン用アプリケーションソフトウェア」を指定商品として、同7年2月19日に登録査定、同年3月25日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立人が引用する商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議の申立てにおいて、引用する商標は、「透かして清書」の文字からなるもの(以下「引用商標」という。)であり、申立人が同人の業務に係る「アプリケーションソフトウェア」(以下「申立人商品」という。)に使用して、我が国の取引者、需要者の間で周知であるとするものである。

第3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第10号及び同項第19号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第16号証を提出した。

なお、証拠を表示する場合は、以下、「甲○号証」を「甲○」のように簡略して記載し、枝番号を全て表示する場合は、枝番号を省略して記載する場合がある。

1 本件商標について

本件商標は、2025年(令和7年)3月25日に設定登録された文字商標「透かして清書」であり、第9類「スマートフォン用アプリケーションソフトウェア」を指定商品とする。

2 申立人商品(本件アプリ)について

申立人は、2017年(平成29年)12月15日付けプレスリリース(甲1)以来、本件アプリの名称及びアイコンを一貫して使用しており、2024年以降の急増を含め累計120万回超のダウンロード実績を有している(甲2)。

3 周知性の裏付け

本件アプリは、2021年5月に教育カテゴリ1位、総合18位を達成(甲3の1)、2025年4月時点でも教育カテゴリiPhone49位・iPad52位にランクインしている(甲3の2)。さらに、ユーザーレビューには、他社アプリとの混同事例が確認され(甲4)、加えて、X(旧Twitter)による継続的投稿(甲5)、Instagramでの110万回超再生動画(甲6)、第三者メディアによる継続的な紹介記事(甲7の1~5)など、多様な媒体において継続的に言及されており、需要者に広く認識されている。

4 混同のおそれ

出願人(決定注:「出願人」は、「本件商標の権利者」の誤記と認め、以下、「出願人」の記載は、「商標権者」と改める。)が後発的に「透かして清書 2024 - 綺麗な文字で宛名書き - アプリ」をリリースした後、Apple社より商標権侵害警告通知を受領している(甲11)。Yahoo!知恵袋における混同投稿(甲12)、AppStore検索結果の並列表示(甲13)、名称比較スクリーンショット(甲14)からも、需要者に混同・誤認が具体的に生じていることがうかがえる。

5 不正の目的による出願

商標権者は、申立人の周知性及び信用に便乗する目的で、当初「透かして清書 2024 - 綺麗な文字で宛名書き - アプリ」としてリリースし(甲10)、その後「2024」の表記を削除して「透かして清書 - 綺麗な文字で宛名書き - アプリ」とすることで、本件アプリとの類似性を一層強めていることが確認される(甲14)。また、商標権者は、他社著名アプリ「なぞってご祝儀」に類似する「なぞってご祝儀 2025」を公開しており(甲15)、これらの行為は不正の目的による出願に該当する。

6 むすび

前記したとおり、本件商標は、甲第10号証から甲第14号証において需要者の混同のおそれが認められ、また甲第15号証及び甲第16号証において不正の目的による出願であることが確認される。これらの事実は、商標権者が申立人の周知性を利用しようとする不正な意図のもとに行われたものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同項第19号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により取消されるべきものである。

第4 当審における取消理由通知

当審において、商標権者に対して、「本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当するものであるから、本件商標の登録は、同項の規定に違反してされたものである」旨の取消理由を令和7年9月18日付けで通知した。

第5 商標権者の意見

上記第4の取消理由通知に対し、商標権者は、何ら意見を述べていない。

第6 当審の判断

1 引用商標の周知性について

(1)申立人の提出に係る甲第1号証ないし甲第16号証(枝番号を含む。)及び同人の主張並びに職権による調査によれば、以下のとおりである。

ア 本件商標は、上記第1のとおり、「透かして清書」の文字を標準文字で表してなり、第9類「スマートフォン用アプリケーションソフトウェア」を指定商品とするものである。

イ 申立人商品について

申立人は、2017年(平成29年)12月15日付けプレスリリース(甲1)を、株式会社バリュープレスが提供するウェブサイト上にて公表し、それ以来、当該プレスリリースを行ったアプリケーションソフトウェアの名称として「透かして清書」を使用しており、2024年(令和6年)4月の1か月間に、10万件以上のダウンロードを記録するなど、累計120万回超のダウンロードの実績を有している(甲2)。

申立人商品は、2021年(令和3年)5月に、Apps Storeランキングで、教育カテゴリ1位、総合18位を達成し(甲3の1)、2025年(令和7年)4月時点でも教育カテゴリiPhone1位、iPad52位にランクインしている(甲3の2)。

さらに、ユーザーレビューには、他社と混同してレビューしている事例が認められ(甲4)、また、Xによる継続的な投稿(甲5)、Instagramでの110万回以上の動画再生(甲6)、第三者のメディアによる紹介記事(甲7)などによって、引用商標を使用した申立人商品は、需要者に広く認識されている。

(2)判断

上記(1)によれば、申立人は、引用商標をアプリケーションソフトウェアの名称に使用しており、本件商標の登録出願の日前である、令和3年5月にはApps Storeランキングで、教育カテゴリでは1位及び総合では18位にランキングし、令和6年4月の1か月間には10万件以上のダウンロードを記録するなど、累計120万回超のダウンロードがされている。

そうすると、引用商標は、本件商標の登録出願時及び査定時において、申立人の業務に係るアプリケーションソフトウェアの名称に使用され、教育カテゴリーに分類されるアプリケーションソフトウェアの需要者、取引者の間に相当程度認識されていたというべきである。

2 商標法第4条第1項第10号該当性について

(1)上記1(2)のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び査定時において、申立人の業務に係るアプリケーションソフトウェアの名称に使用され、教育カテゴリーに分類されるアプリケーションソフトウェアの需要者、取引者の間に相当程度認識されていたというべきである。

(2)本件商標と引用商標の類否について

ア 本件商標

本件商標は、上記第1のとおり、「透かして清書」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字に相応して、「スカシテセイショ」の称呼が生じ、また、その構成中「透かして」の文字は「すきまをこしらえる。すけて見えるようにする。」等を意味する「透かす」の活用形であり、「清書」の文字は「習字または下書きなどを、改めてきれいに書くこと。浄書。」等を意味する(いずれも「広辞苑第7版」株式会社岩波書店)ことから、全体として「すけて見えるようにして習字または下書きなどを、改めてきれいに書く」ほどの意味合いを生じるから、「すけて見えるようにして習字または下書きなどを、改めてきれいに書く」の観念を生じる。

イ 引用商標

引用商標は、上記第2のとおり、「透かして清書」の文字を横書きしてなるところ、その構成文字に相応して、「スカシテセイショ」の称呼が生じ、また、上記アのとおり、その構成中の「透かして」及び「清書」の各文字の意味合いから、全体として「すけて見えるようにして習字または下書きなどを、改めてきれいに書く」の観念を生じる。

ウ 本件商標と引用商標の類否

本件商標と引用商標を比較すると、外観については、両者はともに「透かして清書」の文字を共通にし、称呼については、両者はともに「スカシテセイショ」の称呼を共通にし、さらに観念についても、両者はともに「すけて見えるようにして習字または下書きなどを、改めてきれいに書く」ほどの観念を共通にするものであるから、両商標は、同一又は類似する商標である。

エ 本件商標の指定商品と引用商標に係る商品との類否について

引用商標に係る商品は「アプリケーションソフトウェア」であるところ、本件商標の指定商品は、第9類「スマートフォン用アプリケーションソフトウェア」であって、スマートフォンにおいて動作するアプリケーションソフトウェアであるといい得るものであり、前者には、コンピュータ(電子計算機)やスマートフォン等で使用されるアプリケーション(コンピュータで、使用者の業務に応じて作成されたプログラム(「広辞苑 第7版」株式会社岩波書店)。)が該当するというべきであるから、後者の商品は前者の商品に包含されるものといい得る。

そうすると、両者は、その商品に係る製造部門、販売部門、用途、需要者の範囲等が一致する場合がある類似の商品である。

(3)本件商標の商標法第4条第1項第10号該当性について

上記(2)で述べたとおり、本件商標は引用商標と同一又は類似であり、また、上記1(2)のとおり、引用商標は申立人の「アプリケーションソフトウェア」に使用する商標として、我が国における当該商品の分野の需要者に知られており、周知性を満たすものである。

さらに、引用商標は、その使用に係る商品「アプリケーションソフトウェア」が、本件商標の指定商品「スマートフォン用アプリケーションソフトウェア」と類似する商品であるから、両商標の商品は同一又は類似する。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。

3 むすび

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当するものであるから、本件商標の登録は、同項の規定に違反してされたものである。

したがって、本件商標の登録は、商標法第43条の2第1号に該当するものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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