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Trademark Appeal Case

称呼類似と周知商標

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2025900142
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
登録第6921465号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

理 由

1 本件商標

本件登録第6921465号商標(以下「本件商標」という。)は、「MARVEX」の文字を標準文字で表してなり、令和6年10月1日に登録出願、第3類「口臭用消臭剤,動物用防臭剤,シャンプー,せっけん類,歯磨き,化粧水,美容液,ヘアートリートメント,化粧品,香料,薫料,つけづめ,つけまつ毛」及び第5類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同7年4月11日に登録査定、同月21日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する国際登録第1587556号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、2020年(令和2年)11月29日に国際登録出願、第3類「Synthetic perfumery; natural perfumery; aromatics for perfumes; natural oils for perfumes; air fragrancing preparations; essential oils; blended essential oils; essential vegetable oils; natural essential oils; aromatic essential oils; essential oils for personal use; essential oils for aromatherapy use; essential oils for household use; essential oils for use in air fresheners; essential oils for the care of the skin; essential oils for use in the manufacture of scented products.」を指定商品として、令和4年9月30日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は、その指定商品中、第3類「香料,薫料」(以下「申立てに係る商品」という。)について、商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第14号証を提出した(以下「甲第○号証」の表示は、「甲○」と表記する。)。

(1)商標法第4条第1項第10号該当性について

ア 引用商標の周知性

(ア)商標の使用態様、使用数量(生産数、販売数等)、使用期間及び使用地域について

引用商標は、1945年(今から80年前)に創業者ヴィンチェンツォ・マルトーネがミラノで創業したブランドであり(marvinは彼の名前(Martone Vincenzo)に由来している。)、1960年代に化粧品・香水の製造を開始して以来、イタリアの国民的ブランドとして愛されるようになっている。

また、日本においても2020年から商品が輸入され、販売が開始され、商品としては、香水、芳香剤、石鹸、ボディーローション、シャンプー、キャンドル等である。

この事実は、日本へ輸入された際のインボイスにより示され(甲3)、いずれも日本のmarvinブランドの輸入・販売の総代理店である株式会社UPPER HOUSE(以下「UPPER HOUSE社」という。)向けのものであって、香水・部屋用芳香剤・ボディーローション、シャンプー等・アロマキャンドル、当該アイテムのうちでも香水と芳香剤が大きな部分を占めている(インボイス上にある商品名の詳細については、甲4)。

なお、各年のアイテムごとの輸入・販売数量(甲5)、各年のmavinブランド製品の売上高(甲6)により、2020年の販売開始時より2025年の現在までに5千万円以上の売上高を誇っている。

また、上記インボイスにある商品は正確には全て「LABSOLUE」(ラブソルー)というブランドの商品であるが、これはmarvinブランドのサブブランドであり、LABSOLUE商品自体及びそれらパッケージの背部には必ずmarvinの文字が記載されており(甲7)、また、全ての製品のキャップ上部には創業家であるマルトーネ家を示す「m」の文字が刻まれている(甲8)。

LABSOLUEブランドの香水・芳香剤は上記輸入元であるUPPER HOUSE社による卸売りの下、主に名だたる小売店及びECサイト運営会社(三越伊勢丹、大丸松坂屋百貨店、高島屋、阪急阪神百貨店、AMAZON等)により日本全国にて幅広く小売販売されてきている。

このように6年という年月の間に、上記のような日本を代表する主要百貨店・ECサイトにて総額5千万円以上の売上を上げてきているブランドが周知商標といえる。

(イ)広告宣伝の方法、期間、地域及び規模

marvinブランド製品は、我が国においては2020年以来、輸入販売代理店であるUPPER HOUSE社のウェブサイト(甲10)や楽天(甲11)といった大手オンラインショップにて宣伝・販売されている他、VOGUE Japan、ヴァンサンカン、FIGARO、MOREといった名だたるファッション雑誌にて広告・紹介されている(甲12)。

(ウ)引用商標と同一又は類似する標章の使用の有無及び使用状況

インターネットで調べる限り、香料・薫料のジャンルにおいて冒頭からMARVと付くブランド名のものはmarvin以外に存在しない。

(エ)主として外国で使用されている商標については、外国において周知であること、数か国に商品が輸出されること、又は数か国で役務の提供が行われていること

引用商標は、前述のとおり、ミラノで1945年(80年前)に創業されたブランドであるが、香水や香料については古くからイタリアの他の国にも販売されてきている。その主要な国は、アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、スペイン等である。

Mavinブランドは、現在でも精力的にグローバルビジネスを行っており、世界各国にディストリビューターを有し、またウェブサイトを有している(甲13)。

また、今後更なる海外への拡販を目指しているところであり、第3類について、世界に幅広く商標登録している(甲14)。

以上のような海外での実績をみれば、marvinブランドは既に香料・薫料において海外でも周知なブランドとなっている。

イ 商標の類否

(ア)外観における対比

本件商標と引用商標は、ともに欧文字6文字からなり、最後の2文字の「EX」と「in」の部分が異なるのみで、最初の4文字「MARV」までは同じでその配列を共通にしている。

しかも、上記の異なる部分は商標の最後尾に属し、非常に目立ち難い部分である。

一般に看取した者において最も目を引く冒頭4文字(商標構成中のおよそ70%を占める)を共通としていることから、本件商標と引用商標は、外観上類似しているといわざるを得ない。

また、「marvin」のような周知商標に接する需要者は、一見して直ちに周知商標であると認識する傾向があると考えられ、その意味で通常の商標に比べ類似範囲は広くなるものと考えられる。

(イ)称呼における対比

本件商標は、その構成文字をローマ字読みして「マーヴェックス」の称呼が生じ、また、引用商標からは、「マーヴィン」の称呼が生じることが明らかである。

このように冒頭からの「マーヴ」、つまり両方の商標にとって全体の称呼の大半を占める部分において共通している。

以上から本件商標と引用商標は称呼上も類似すると解される。

(ウ)観念における対比

引用商標は、申立人の周知なハウスマークであることからして、申立人のmarvinブランドの業務に係る商品を想起させると考えるのが相当である。ただ、本件商標は、何ら特定の観念を生じない造語であるため、少なくとも、本件商標と引用商標は、それら観念に基づいて対比することは基本的に困難であると考えられる。

(エ)まとめ

以上から、本件商標と引用商標を、外観、称呼又は観念によって需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に観察すると、本件商標は引用商標と商標類似である。

ウ 商品類似

申立てに係る商品「香料・薫料」は、いずれも、申立人のビジネスに係るmarvinブランドの香料・薫料、つまり香水、芳香剤と類似商品となる。

エ 小括

以上から、本件商標は、「申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標と類似する商標であって、その商品と類似する商品について使用をするもの」であるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。

(2)商標法第4条第1項第11号該当性について

上記(1)イのとおり、本件商標と引用商標は、類似する商標であって、本件商標の申立てに係る商品は、引用商標の指定商品と抵触している。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(3)商標法第4条第1項第15号該当性について

上記(1)アのとおり、引用商標は、香料・薫料において、我が国及び海外でも周知なブランドとなっており、marvinは、創業者の名前から取った造語であって、申立人の会社における社標つまりハウスマークである。

また、上記(1)イのとおり、申立てに係る商品は、申立人のビジネスに係るmarvinブランドの香水、芳香剤と類似商品であって、本件商標と引用商標は、類似する。

以上から、本件商標は、引用商標と商標類似であり、引用商標は周知商標で、造語であってハウスマークであり、かつ、商品間の関連性も密接であるということからすれば、本件商標は、申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標である。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

(4)商標法第4条第1項第19号該当性について

上述のとおり、本件商標は、引用商標と類似する商標であり、引用商標は、周知性を有するものである。

また、marvinについては、特に固有の意味合いを有しない造語である。

そして、本件商標権者は、同社HPによれば2006年創業で化粧品の企画・開発を行い、一方、申立人は過去6年間、日本国内の香水・芳香剤業界で広くビジネスをしてきているところ、本件商標権者も自ずとmarvinの存在を知り得ていたはずである。

そのような状況で、「marvin」に似せた商標、つまり数ある多くの言葉のうち、わざわざ冒頭からMarvまでを同じくして、最後の2文字「in」のみを違えて、「MARVEX」という全体として固有の意味を有しない造語を成立させ、商標として使用しようとしているところに、申立人の、「marvin」ブランドの信用に乗じ、不正の利益を得ようとする意思を有していること、すなわち不正の目的を有していることがうかがえる。

以上から、本件商標は、「申立人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と類似の商標」であって、不正の目的をもって使用をするものに該当し、商標登録を受けることができないものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

4 当審の判断

(1)引用商標の著名性について

ア 申立人の主張及び同人が提出した証拠によれば、以下のとおりである。

(ア)引用商標「marvin」は、1945年にイタリアで創業したブランドであり、1960年代に化粧品・香水の製造を開始した(申立人の主張)。

(イ)申立人がUPPER HOUSE CORPORATIONに宛てた2020年12月22日のインボイス(甲3)は、外国語で記載されているものであって、その内容の詳細は把握することが困難であり、また、引用商標の記載は見いだせないが、例えば、当該インボイスの1葉目に記載の商品と思われる「24 ZAGARA」、「307 ROSMARINO」について、「EAU DE PAFUM」の容器の裏側に引用商標が表示されている(甲4の1葉目及び2葉目)。

(ウ)我が国における輸入・販売の総代理店であるUPPER HOUSE社のウェブサイト(甲9、甲10)において、引用商標と異なる「MARVIS」、「LabSolue」等のブランドを取り扱っていることが認められ、同社の「PR MONITORING REPORT」(甲12)には、その表紙に「LABSOLUE」と表示され、各雑誌における広告も「LabSolue ラブソルー」の表示の下、「Eau de Parfum」が掲載されているが、引用商標は見いだすことができない。

(エ)引用商標を使用した商品についてのUPPER HOUSE社によるアイテム毎の販売数量(甲5)及び2020年から2025年の売上高(甲6)と主張する証拠については、その数値に関する裏付けのない表のみの記載であって、かつ、申立人主張のとおりの総額5千万円の売上高であるとしても、当該商品の市場シェアが不明であって、当該販売数量及び売上高についての評価はできない。

イ 上記アによれば、申立人の業務に係る香水、芳香剤は、その包装容器の裏側に引用商標が表示されており、日本においては、UPPER HOUSE社を通じて輸入され販売されていることが認められる。

しかしながら、申立人の業務に係る香水、芳香剤について、申立人が提出した証拠に掲載のウェブサイトや雑誌には、主に「LabSolue」と表示された商品が掲載され、当該商品の包装容器の裏側については掲載されていないし、引用商標の表示も見いだせない。

また、引用商標を使用した商品の我が国における販売数量及び売上高については、その数値に関する裏付けのない表のみの記載であるから、当該販売数量及び売上高についての評価はできない。

他に、引用商標が広く知られているとする具体的な証拠は提出されていない。

以上からすると、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国又は外国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとは認めることはできない。

(2)商標法第4条第1項第11号該当性について

ア 本件商標

本件商標は、上記1のとおり、「MARVEX」の文字を標準文字で表してなるところ、同書、同大、等間隔で横一列にしてなるものであるから、全体が一体のものとして看取され、その構成文字に相応して「マーヴェックス」の称呼が生じ、当該文字は、辞書等に掲載されているものではなく、また、特定の意味合いを認識させるものとして我が国において広く知られている実情も認められないから、特定の観念は生じない。

イ 引用商標

引用商標は、別掲のとおり、ややデザイン化されているが、「marvin」の欧文字からなるものと看取されるから、当該文字に相応して「マーヴィン」の称呼が生じ、当該文字は、辞書等に掲載されているものではなく、また、特定の意味合いを認識させるものとして我が国において広く知られている実情も認められないから、特定の観念は生じない。

ウ 本件商標と引用商標の類否

本件商標は、上記アのとおり、「MARVEX」の欧文字であるのに対して、引用商標は、別掲のとおり、ややデザイン化された「marvin」の欧文字からなり、その構成文字の書体の違い及び6文字という構成における後半「EX」と「in」の差異を有するものであるから、外観上、相紛れるおそれはないというべきである。

また、本件商標から生じる「マーヴェックス」の称呼と引用商標から生じる「マーヴィン」の称呼は、語頭と2音目における「マー」の音を共通にするとしても、比較的短い音構成にあって、それに続く「ヴェックス」及び「ヴィン」の音に差異を有するものであるから、両者をそれぞれに称呼しても、称呼上、明瞭に聴別できるとうべきである。

さらに、本件商標及び引用商標からは、特定の観念が生じないから、両者は、観念上比較することができない。

以上のことからすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができないとしても、外観において相紛れるおそれはないものであり、称呼において明瞭に聴別できるというべきであるから、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標である。

エ 小括

したがって、本件商標の申立てに係る商品と引用商標の指定商品が同一又は類似するものであるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(3)商標法第4条第1項第10号該当性について

引用商標は、上記(1)イのとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているとはいえない。

また、本件商標の申立てに係る商品と引用商標が使用されている商品が同一又は類似するものであるとしても、上記(2)ウのとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標である。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。

(4)商標法第4条第1項第15号該当性について

引用商標は、上記(1)イのとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているとはいえない。

また、本件商標と引用商標とは、上記(2)ウのとおり、非類似の商標であるから、本件商標と引用商標との類似性の程度は低いものである。

そうすると、本件商標は、その商標権者がこれを申立てに係る商品に使用しても、需要者等が引用商標を連想又は想起することはなく、その商品が申立人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないとするのが相当である。

その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

(5)商標法第4条第1項第19号該当性について

引用商標は、上記(1)イのとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、日本国内又は外国における需要者等の間に広く認識されているとはいえない。

また、本件商標と引用商標とは、上記(2)ウのとおり、非類似の商標である。

そして、申立人は、本件商標権者が化粧品の企画・開発を行っており、引用商標を知り得たはずであるから、不正の目的を有していた旨主張している。

しかしながら、申立人が提出した証拠からは、本件商標が不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他不正の目的をもって使用するものと認めるに足る具体的な事実は見いだせない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。

(6)むすび

以上のとおり、本件商標は、申立てに係る商品について、商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも該当するとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、商標法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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