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Trademark Appeal Case

著名商標と複合商標の類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2025900164
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
登録第6931268号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

理 由

1 本件商標

本件登録第6931268号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和6年10月10日に登録出願、第11類「冷蔵庫,フリーザー,業務用冷凍機械器具,キャビネット型フリーザー,冷凍用又は冷蔵用のショーケース,冷蔵ショーケース,業務用解凍機械器具,食品解凍庫,業務用食品保温機」を指定商品として、同7年4月16日に登録査定、同年5月23日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する商願2022―73202号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、令和4年6月24日(2021年(令和3年)12月24日にフランスにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張)に登録出願し、第9類、第35類、第36類、第41類及び第42類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務とするものである。

3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当し、同法第8条第1項の規定に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第18号証を提出した。

(1)申立人及び引用商標について

申立人は、創設者の氏名である「ルイ・ヴィトン/Louis Vuitton」の名称で世界的に知られるファッションブランドを擁するフランス法人であり、その製造・販売に係るバッグ、かばん類、財布等を始めとする申立人の商品は、日本国内のみならず、全世界において幅広く販売されている。日本国内においては現在60の店舗が設置されており(甲18)、広く日本国民に知られたファッションブランドである。

引用商標は、創設者の氏名のイニシャルである「L」の文字と「V」の文字を重ねて組み合わせたロゴである。「L」の縦棒部分を右上から左下方向の斜めに傾け、「V」の右部分と平行にした形状に特徴がある。なお、同一のロゴのみで構成された商標、及び同一のロゴを含む商標について、申立人は複数の商標登録を得ており、このうち最も古くに日本で商標登録されたのは、登録第1374708号商標(登録日:昭和54年2月27日)である(甲3~甲14)。

申立人は、自ら又は日本における子会社(ルイ・ヴィトンジャパン株式会社)を通じるなどして、多数の店舗で引用商標を付した商品を販売するとともに(甲18)、現在まで継続的に多額の費用を費やして引用商標を付した商品の広告宣伝を行っており、その結果、申立人をその帰属主体とする引用商標は、日本国内では知らぬ者のないほどの著名性を獲得している。

また、他の行政機関の判断を見ると、引用商標を付した「かばん・財布類、かばん金具、キーホルダー、南京錠、ファスナー・ボタン、スマートフォン・携帯電話用ケース及びアクセサリー、タブレット端末用ケース、洋服類、下着、ティーシャツ、マフラー・ネクタイ・靴下・手袋類、帽子、ベルト、靴類、サンダル類、眼鏡類、時計、身飾品、カフスボタン、ヘアアクセサリー、ネイルシール・付け爪、まくら、寝具及びベッドリネン、タオル・ハンカチ、レザークロス・ビニルクロス、喫煙用具、文房具・シール類、ペット用衣類・首輪類」については、関税法第69条の4及び第69条の13に基づく差止申立てが受理されている(甲16)。これに先立つ平成18年8月9日には、引用商標は不正競争防止法第2条第1項第2号に定める著名な商品等表示であるとして経済産業大臣から関税法第69条の10(現:第69条の13)に関する意見を受けており、このことからも引用商標の著名性が容易に見て取れる(甲17)。

(2)商標法第8条第1項について

ア 本件商標は、引用商標の後願である。

イ 本件商標及び引用商標について

(ア)本件商標

特許庁が参考情報として付した本件商標の称呼は、「エルブイシリーズ」「エルブイ」である(甲1)。

本件商標の「LV」の表示は、「series」の表示に比して大きく、かつ、文字の線は太く描かれており、視覚的中心を占める。また、「series」は、「関連する一連のもの」との意味があることから、前置される名詞の存在を前提として初めて意味が生じる。したがって、「series」は分類を示す付加語にすぎず、単独で称呼、観念が生じない。

以上のことを加味すれば、本件商標のうち「LV」の部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与え、かつ、「series」の部分からは出所識別標識としての称呼、観念が生じないため、本件商標を観察するに当たっては、「LV」の部分と「series」の部分とを区別して観察することが可能である。その上で、本件商標の「LV」の部分は、「エルブイ」の称呼が生じる。

(イ)引用商標

特許庁が参考情報として付した引用商標の称呼は、「エルブイ」「ブイエル」である(甲2)。

過去の裁判例(東京高裁平成4年1月29日判例時報1426号)においては、「複数のローマ字をモノグラム化した構成からは特定の観念を生じることはないとしても、モノグラムとは文字の組合せであるから、文字に称呼がある以上、当該商標が複数のローマ字をモノグラム化した構成からなることが一見して明らかな場合にまで、一切称呼が生じないと解することは相当ではない。」とした上で、ローマ字の「L」と「V」をモノグラム化した引用商標から「エルブイ」の称呼が生じることが示されている。

したがって、ローマ字の「L」と「V」をモノグラムにした同様の引用商標からは「エルブイ」の呼称が生じる。

(ウ)まとめ

本件商標から生じる呼称は「エルブイ」であり、引用商標から生じる呼称「エルブイ」と同一である。

ウ 本件商標に対して指定した類似群コードは、第11類の指定商品のうち「09E12,09E28,11A06」となっているところ、これらは全て引用商標に対して指定した類似群コードに含まれる。

したがって、本件商標の指定商品及び引用商標の指定商品の類似性が認められる。

(3)商標法第4条第1項第15号について

ア 本件商標と引用商標との類似性の程度

本件商標は、「LV」と「series」を分離した上で「LV」の部分のみをもって、引用商標と比較が可能なところ、両者は上述のとおり「エルブイ」という同一の称呼が生じる。

イ 引用商標の周知著名性及び独創性の程度

引用商標は、申立人のハウスマークとして日本国内では知らぬ者のないほどの著名性を獲得していることについては上述のとおりである。また、引用商標はアルファベット2文字を組み合わせたロゴであり、高い独創性があるとまではいい難いが、申立人が継続的に多額の費用を費やして引用商標を付した商品の広告宣伝を行ってきた結果として著名性を獲得してきたのであり、その要保護性は極めて高い。

ウ 本件商標の指定商品と他人(申立人)の業務に係る商品又は役務との間の性質、用途又は目的における関連性の程度

本件商標と引用商標との指定商品の類似性は上述のとおりである。その他、同一のロゴのみで構成された商標について、商標登録がある(甲3~甲14、甲16)。

なお、商標法第4条第1項第15号における関連性は商品又は役務の類似性よりも緩やかに解釈されるものであり、仮に本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とが類似しないとしても、その性質、用途、目的において密接な関連性がある。

エ 商品又は役務の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情など

商標法第4条第1項第15号は「広義の混同を生ずるおそれ」がある場合にも適用されるところ、著名なファッションブランドである申立人は過去に異業種の事業者とコラボレーションした商品を展開したことが少なからずある。

オ したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断

(1)引用商標の周知性について

申立人は、創設者の氏名である「ルイ・ヴィトン/Louis Vuitton」の名称で世界的に知られるファッションブランドを擁するフランス法人であり、その製造・販売に係るバッグ、かばん類、財布等を始めとする申立人の商品は、日本国内のみならず、全世界において幅広く販売され、日本国内においては現在60の店舗が設置されている(甲18)。

引用商標を付した「かばん・財布類、かばん金具、キーホルダー、南京錠、ファスナー・ボタン、スマートフォン・携帯電話用ケース及びアクセサリー、タブレット端末用ケース、洋服類、下着、ティーシャツ、マフラー・ネクタイ・靴下・手袋類、帽子、ベルト、靴類、サンダル類、眼鏡類、時計、身飾品、カフスボタン、ヘアアクセサリー、ネイルシール・付け爪、まくら、寝具及びベッドリネン、タオル・ハンカチ、レザークロス・ビニルクロス、喫煙用具、文房具・シール類、ペット用衣類・首輪類」については、関税法第69条の4及び第69条の13に基づく差止申立てが受理されている(甲16)。これに先立つ平成18年8月9日には、引用商標は不正競争防止法第2条第1項第2号に定める著名な商品等表示であるとして経済産業大臣から関税法第69条の10に関する意見を受けている(甲17)。

そうすると、引用商標は、本件商標の登録出願時には既に、申立人の業務に係る商品等を表示するファッションブランドとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されて周知・著名な商標となっており、それは本件商標の登録査定時及びそれ以降も、継続していると認められるものである。

(2)商標法第8条第1項の規定に違反して登録されたかについて

ア 本件商標

本件商標は、別掲1のとおり、「LV」の欧文字2字を大きく表し、「V」の左側斜線は、上部から下部に黄色からオレンジ色のグラデーションで表し、「V」の右側下方に「SERIES」の欧文字を配し、全体としてまとまりよく一体的に表してなるものである。

そして、欧文字2字は、本件商標の指定商品の分野を含め、製品一般の管理のための記号又は符号として用いられることがあり、欧文字2字それ自体は極めて簡単で、かつ、ありふれたものであるところ、本件商標の構成中の「LV」の文字部分は、文字の形及び色彩にさほど特徴があるわけではないから、極めて簡単で、かつ、ありふれたものの域を出ないというのが相当であって、当該文字部分のみでは、自他商品の識別標識としての機能(以下「識別力」という。)がないか弱いものといえる

また、「SERIES」の欧文字(語)は、「連続性を持つ一連のもの。」(広辞苑)を意味し、一群の商品を表す際に使用されるものであるから、当該欧文字(語)についても同様に識別力がないか弱いものといえる。

このように識別力がないか弱いもの同士がまとまりよく一体的に表してなる商標においては、これに接する取引者、需要者がどちらか一方に着目することはなく、構成全体をもって一体のものとして自他商品の識別標識として認識されるとみるのが相当である。

そうすると、本件商標は、その構成全体をもって一体のものとして識別力を発揮するものであるから、その構成全体から「エルブイシリーズ」の称呼のみを生じるというべきである。また、当該構成文字は、辞書等に掲載が認められないから、特定の観念は生じない。

イ 引用商標

引用商標は、別掲2のとおり、「L」と「V」の欧文字を重ねてモノグラムで表した商標であって、上記(1)のとおり、「ルイ・ヴィトン/Louis Vuitton」のファッションブランドとして広く知られている。

そうすると、引用商標に接した取引者、需要者は、「ルイ・ヴィトン/Louis Vuittonのブランド」の観念が生じる。

ウ 本件商標と引用商標の類否

外観についてみるに、本件商標は、「LV」の欧文字を大きく表し、「V」の左側斜線は、上部から下部に黄色からオレンジ色のグラデーションで表し、「V」の右側下方に「SERIES」の欧文字を配してなるのに対して、引用商標は、「L」と「V」の欧文字を重ねてモノグラムで表してなるから、両者は、視覚的に明らかに相違し、外観上、明瞭に区別し得るものである。

称呼については、引用商標から「エルブイ」の称呼が生じるとしても、本件商標から生じる「エルブイシリーズ」の称呼とは、全体の音数において明らかな差異を有するから、両者は、称呼上、明確に聴別し得るものである。

観念についてみるに、本件商標からは、特定の観念は生じないのに対し、引用商標からは、「ルイ・ヴィトン/Louis Vuittonのブランド」の観念が生じるから、両者は、観念上、相紛れるおそれはない。

エ 小括

上記アないしウからすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れないものであるから、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は非類似の商標というべきである。

したがって、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品の類否について判断するまでもなく、本件商標は商標法第8条第1項の規定に違反して登録されたものではない。

(3)商標法第4条第1項第15号該当性について

引用商標は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時には、申立人の業務に係る商品等を表示するファッションブランドとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されているといえる。

しかしながら、本件商標と引用商標とは、上記(2)のとおり、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れない別異の商標であるから、その類似性の程度は低いものである。

また、本件商標の指定商品は、第11類に属する「冷蔵庫,フリーザー,業務用冷凍機械器具,キャビネット型フリーザー,冷凍用又は冷蔵用のショーケース,冷蔵ショーケース,業務用解凍機械器具,食品解凍庫,業務用食品保温機」であるのに対し、引用商標は、ファッションブランドとして需要者等に広く認識されているとするものであるから、両者の業界、販売場所、用途等において相違し、その関連性があるとはいえない。

そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品に使用しても、需要者等が引用商標を連想又は想起することはなく、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないとするのが相当である。

その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

(4)むすび

以上のとおり、本件商標は、商標法第8条第1項の規定に違反して登録されたものとはいえず、同法第4条第1項第15号に該当するともいえず、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、商標法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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