結論テキスト
登録第6932140号商標の商標登録を維持する。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2025900166 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本件登録第6932140号商標(以下「本件商標」という。)は、「大阪国際再生医療センター」の文字を標準文字で表してなり、令和6年10月8日に登録出願、第1類、第3類、第5類、第10類、第35類、第37類、第40類及び第42類ないし第44類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同7年5月8日に登録査定され、同月27日に設定登録されたものである。
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の規定に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号の規定に該当し、商標法第43条の3の規定により、取り消されるべきである旨申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第11号証を提出した。以下、括弧内の証拠番号の表記は、「甲○」のように記載する。
(1)商標法第3条第1項第3号について
本件商標は、その構成中「再生医療センター」の部分が、甲第5号証から甲第11号証に示されるとおり、医療機関・研究所・大学附属機関・美容医療施設など各地で広く一般的に施設名として用いられている。
需要者は、この語から特定の主体を識別するのではなく、単に「再生医療を行う施設一般」を連想するにすぎず、ここに「大阪」や「国際」といった修飾語が付加されても、それは所在地や規模・性格を示すにとどまり、出所識別力を与えるものではない。
したがって、需要者が本件商標に接したときに想起するのは、あくまで「大阪にある国際的な再生医療センター」という漠然とした施設像であり、誰が商品・役務を提供しているのかという出所主体を特定することはできない。
このことは特に、第44類「医療に関する助言・コンサルティング,医療情報の提供,健康診断,医療用機械器具の貸与」との関係で顕著である。過去に出願された「大阪再生医療センター」(商願2007-113099)について、特許庁は商標法第3条第1項第3号に該当すると明確に判断しており(甲1~甲4)、その判断は「再生医療センター」という語が施設一般を表示するにすぎないとの事実認定に基づいている。本件商標も同じ構造を有する以上、結論は当然に同一でなければならない。
そしてこの問題は第44類に限られない。幹細胞や化学品、化粧品、薬剤、医療用機械器具といった商品(第1類・第3類・第5類・第10類)についても、また経営コンサルティングや小売・卸売、機械器具の修理、受託製造・細胞加工・研究、さらには宿泊施設の契約媒介といった役務(第35類・第37類・第40類・第42類・第43類)についても同様である。本件商標を用いれば、需要者は、「大阪にある国際的な再生医療センターに関連する商品・役務」と理解するにとどまり、特定の事業者を識別する標識としては機能しない。
結局のところ、本件商標は、いずれの指定商品・役務に用いたとしても、需要者に特定主体の出所を示すものとしては受け取られず、役務の質や商品の性質・関連領域を示すにすぎない一般表示である。
したがって、本件商標は、全体として商標法第3条第1項第3号に該当することは明白である。
(2)商標法第4条第1項第16号について
本件商標を指定商品・役務に使用した場合、需要者は、その文字構成から、あたかも「大阪に所在する国際的な再生医療センターが直接関与し、品質や信頼性を保証している商品・役務」であるかのように理解する。
「大阪」、「国際」、「再生医療」及び「センター」という結合は、単なる地理的表示や施設一般の表示を超えて、需要者に強い権威性を印象付けるものであり、特に再生医療の分野は人の生命・健康に直結し、高度な安全性や科学的裏付けが不可欠であるため、需要者は、「国際的な再生医療センター」の名称に接したとき、当然に「権威ある医療研究機関が監修・保証したサービス」であると信じ込む。
ところが、指定商品・役務の記載は、単に「医療に関する助言」、「化粧品」、「薬剤」、「宿泊施設の契約媒介」など一般的なものであって、そこに「大阪にある国際的な再生医療センターによる」ことは一切含まれていない。
したがって、本件商標をこれらの商品・役務に用いた場合、実際には大阪の国際的権威機関が関与していないにもかかわらず、需要者にそのような関与や品質保証があるかのような誤認を生じさせる結果となる。
この誤認は、商品の品質や役務の質に直結し、例えば、薬剤や医療用細胞、医療機械器具については「大阪の国際的再生医療センターが製造・監修している」との誤信を招き、化粧品や化学品についても「再生医療の研究成果を応用した高機能商品」であるかのように誤信させる。また宿泊媒介や経営コンサルティングについては、「国際的再生医療センター付属のサービス」であると誤信させ、役務の質について誤認を生じさせる。
そうとすれば、本件商標は、需要者にとって「大阪にある国際的な再生医療センターによる商品・役務」であるとの虚偽の期待を抱かせる表示であり、現実とのそごがあれば、商品の品質又は役務の質について重大な誤認を生じさせる危険を不可避的に伴う。
したがって、本件商標はその全体として、商標法第4条第1項第16号に明白に該当する。
(3)証拠関係について
「再生医療センター」という語が医療・研究分野において施設名として広く用いられている事実は、甲第5号証から甲第11号証に示される各種新聞記事により直接裏付けられる。さらに、過去の「大阪再生医療センター」出願に係る拒絶経緯(甲1~甲4)においても、特許庁自らが本語を一般的表示と認定している。
すなわち、甲第5号証から甲第11号証は直接証拠であり、甲第1号証から甲第4号証はそれを補強する特許庁内判断の指標として位置付けられる。本件商標についても、かかる証拠関係に照らして需要者は特定主体を識別し得ず、識別力を欠くことは明らかである。
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本件商標は、上記1のとおり「大阪国際再生医療センター」の文字からなるところ、その構成中、「大阪」の文字(語)は、「大阪府」又は「大阪市」を、「国際」の文字(語)は、「諸国家・諸国民に関係すること。」を、「再生医療」の文字(語)は、「損傷した組織や臓器を、患者自身の幹細胞などを用いて再生させる医療技術。」を、「センター」の文字(語)は、「その分野の中心となる機関・施設」をそれぞれ表す語である(いずれも「広辞苑 第七版」(株)岩波書店)。
そして、申立人の提出に係る証拠及び職権による調査によれば、「再生医療センター」の文字(語)が、医療に関する分野において「再生医療に関する施設」の名称又は名称の一部として一般に使用されていることが認められる(甲5~甲11)。
しかしながら、「国際再生医療センター」、「国際○○医療センター」又は「大阪国際再生医療センター」の文字(語)が、医療に関する分野において「再生医療に関する施設」の名称又は名称の一部として一般に使用されている事実は見いだせない。
また、本件商標がその指定商品及び指定役務の品質又は質等の特性を表示記述するものとして一般に使用されている事実は見いだせず、本件商標に接する取引者、需要者が本件商標を商品の品質又は役務の質等を表示したものと認識するというべき実情も見いだせない。
してみれば、「大阪国際再生医療センター」の文字からなる本件商標は、これをその指定商品及び指定役務に使用しても、商品の品質又は役務の質等を表示したものとはいえず、自他商品及び役務の識別標識としての機能を果たし得るものというべきである。
さらに、本件商標が商品の品質又は役務の質等を表示記述するものといえないものであるから、本件商標は、これをその指定商品及び指定役務に使用しても商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがあるものともいえない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しない。
(2)申立人の主張について
申立人は、過去に本件商標と同様の構成の第44類を指定役務とする商標が、識別力がないものと判断され、拒絶査定となっているから、本件商標も同様に役務の提供場所又は内容(質)を表示するにすぎないものであるから識別力がないものと判断すべきである旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かの判断は、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と指定商品又は指定役務との関係や、その商品又は役務の分野における取引の実情をも踏まえて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の挙げた審査例は、商標の構成態様や指定商品及び指定役務が本件商標とは異なるものである点において、本件とは、事案を異にするものというべきであり、また、過去の拒絶例が存在することをもって、上記判断が左右されるものではない。
したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定により、本件商標の登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。