sokuhyo

Trademark Appeal Case

ルービック商標の類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2025900188
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
登録第6945136号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

理 由

第1 本件商標

本件登録第6945136号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和6年12月3日に登録出願、第9類、第41類及び第42類に属する別掲2のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和7年5月27日に登録査定され、同年7月4日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する商標は、次のとおりであり、いずれの商標権も現に有効に存続している。

(1)国際登録第1320524A号商標(以下「引用商標1」という。)

商標の構成:「RUBIK’S」の欧文字を横書きしてなる商標

国際商標登録出願日:2016(平成28)年4月11日

優先権主張:2016(平成28)年3月30日 European Union

設定登録日:平成30年12月21日

指定商品及び指定役務:第3類、第5類、第14類、第16類、第18類、第20類、第21類、第29類、第30類、第32類、第34類、第35類、第38類及び第42類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務

(2)国際登録第1807057号商標(以下「引用商標2」という。)

商標の構成:別掲3のとおり

国際商標登録出願日:2023(令和5)年12月5日

優先権主張:2023(令和5)年8月25日 United Kingdom

設定登録日:令和7年11月7日

指定商品:第9類、第25類及び第28類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿記載のとおりの商品

(3)登録第1635953号商標(以下「引用商標3」という。)

商標の構成:「RUBIK CUBE」の欧文字を横書きしてなる商標

登録出願日:昭和55年4月11日

設定登録日:昭和58年11月25日

指定商品:第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品

(4)登録第2709587号商標(以下「引用商標4」という。)

商標の構成:「RUBIK」の欧文字を横書きしてなる商標

登録出願日:昭和55年9月5日

設定登録日:平成7年8月31日

指定商品:第9類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品

(5)登録第4891788号商標(以下「引用商標5」という。)

商標の構成:「ルービックキューブ」(標準文字)

登録出願日:平成17年1月24日

設定登録日:平成17年9月2日

指定商品:第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品

(6)登録第5855350号商標(以下「引用商標6」という。)

商標の構成:別掲4のとおり(立体商標)

登録出願日:平成27年2月12日

設定登録日:平成28年6月3日

指定商品:第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品

なお、引用商標1ないし引用商標6をまとめて「引用商標」という場合がある。

第3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第11号、同項第15号、同項第19号及び同法第8条第1項に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきものである旨申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第64号証(枝番号を含む。以下、枝番号をまとめて引用するときは枝番号を省略する。)を提出した。

1 申立人の業務に係る商品について

(1)申立人の業務に係る商品は、立方体の6面をそれぞれ、白色、橙色、緑色、赤色、黄色、青色に塗り分けるとともに、それぞれの面を、9個の正方形に分割し、当該9個の正方形を黒い枠で囲んでなる立体パズルおもちゃである。

当該立体パズルおもちゃは、1974年にハンガリーの建築学者でブダペスト工科大学教授であったE・ルービック(E Rubik)氏によって考案され、1977年にハンガリー国内で大ヒットしたことを皮切りに、世界中で大ブームとなり、1980年から1982年までに1億個以上の売上数を記録し(甲10)、2022年5月時点で4億8000万個の販売実績を誇っており、ウェブ雑誌「Forbes JAPAN」では、当該立体パズルおもちゃを「世界的玩具」として取り上げている(甲9)。

(2)我が国においては、1980年7月25日から、株式会社ツクダオリジナルによって、ルービック氏の名前を冠した「ルービックキューブ」の名称で販売が開始された(甲10ないし甲38)。販売開始時の上代は1980円(2013年まで同価格)と当時の物価を考えると、おもちゃとしてはかなり高価であったにもかかわらず、初年度販売実績400万個という驚異的な販売記録を我が国で打ち立て(甲10)、その後も年間10万個を安定して売り上げを維持しつつ、ドラマやメディア等に取り上げられるなどした年には人気が再燃し(甲39)、2004年から2014年までの間で累計約208万個(シリーズ全体では約276万個)、2025年3月現在では、我が国での販売開始からの累計出荷数が1724万個に達している(甲40)。

(3)当該立体パズルおもちゃの名称である「ルービックキューブ」は、「大きな活字のコンサイスカタカナ語辞典第2版」(株式会社三省堂)、「大辞林第3版」(同上)、「日本語大辞典」(株式会社講談社)、「国際化時代のためのカタカナ語・略語辞典」(株式会社旺文社)、「日経新聞を読むためのカタカナ語辞典」(株式会社三省堂)、「現代用語の基礎知識2019」(株式会社自由国民社)など数多くの辞典等において、「『ルービック・キューブ』Rubik’s Cube〔ルービックは考案したハンガリーの数学者の名〕各面が九個の正方形からなる六面体の色合わせパズルの商標名。1980年(昭和55年)に日本でも発売され、大流行した」として載録されている(甲41ないし甲46)。

(4)当該立体パズルおもちゃの立体形状は、商標法第3条第2項の適用を受け、登録第5855350号(引用商標6)として、平成28年6月3日に商標登録されているところ、販売開始当初より、「ルービックキューブ」の名称で親しまれているほか、その本体には、販売開始当初より継続して、「Rubik’s」「CUBE」の文字が付されると共に、「ルービックキューブ」の英語表記である「RUBIK CUBE」も遅くとも2007年から今日に至るまでカタログ等で使用されており(甲30)、当該立体パズルおもちゃの我が国における認知度の高さと相まって、「ルービックキューブ」、「RUBIK CUBE」、「RUBIK」及び「Rubik’s」の各文字も、これに接した需要者が申立人の業務に係る商品であることを容易に認識することができる商標といい得るものである。

2 商標法第4条第1項第11号について

(1)本件商標について

本件商標は、別掲1のとおりの構成からなるところ、その構成中、「RUBi」の文字及びその右側の図形(以下「本件図形部分」という。)を組み合わせた部分(以下「本件左側部分」という。)と「Pi」の文字部分とは、これらの構成部分を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとは認められないから、本件商標の構成中、本件左側部分のみを抽出して他の商標と類否判断をすることが許される。

そして、商標権者のウェブサイト上では、本件商標は「RUBIKPi」として紹介されていることから(甲48)、本件商標に接した需要者・取引者は、本件左側部分より、「RUBiK」の文字を容易に想起し、これより、「ルービック」の称呼を理解すると考えられる。

(2)本件商標と引用商標1との対比について

本件左側部分と引用商標1を構成する「RUBIK’S」とを比較すると、本件左側部分から生じる「ルービック」の称呼と、引用商標1より生じる「ルービックス」の称呼とは、語尾音における「ス」の有無の差異しかなく、称呼上相紛らわしいことは明らかである。

したがって、本件商標と引用商標1とは、「ルービック」の称呼を共通にし、称呼上相紛らわしく、全体として互いに類似する商標といえる。

(3)指定商品・指定役務の対比

本件商標に係る指定役務が、引用商標1の指定役務と同一又は類似であることは明白である。

(4)小結

以上より、本件商標は、引用商標1と同一又は類似の商標であって、その指定役務も引用商標1の指定役務と同一又は類似のものである。

したがって、本件商標は、引用商標1との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当する。

3 商標法第8条第1項について

(1)本件商標と引用商標2との対比について

引用商標2は、別掲3のとおりの構成からなり、「RUBIKS」の文字より構成されてなることは容易に理解できるところ、引用商標1と同様に、引用商標2からも「ルービックス」の称呼が生じ、当該称呼が本件商標構成中の本件左側部分と称呼上相紛らわしいことは上述のとおりであるから、本件商標と引用商標2は類似する商標といえる。

(2)指定商品・指定役務の対比

本件商標に係る指定商品が、引用商標2の指定商品と同一又は類似であることは明白である。

(3)小結

以上より、本件商標は、引用商標2と同一又は類似の商標であって、その指定商品も引用商標2の指定商品と同一又は類似のものである。そして、引用商標2は、本件商標に先立って出願され、本件商標に遅れて登録されたものである。

したがって、本件商標は、引用商標2との関係において、商標法第8条第1項に違反して登録されたものである。

4 商標法第4条第1項第15号について

(1)各引用商標の周知性及び独創性について

上記1のとおり、引用商標6に係る立体的形状に加え、引用商標1「RUBIK’S」、引用商標3「RUBIK CUBE」、引用商標4「RUBIK」及び引用商標5「ルービックキューブ」と同一の商標は、申立人の業務に係る立体パズルおもちゃを表示するものとして我が国で広く知られており、その周知性の程度は極めて高いものといえる。

なお、当該立体パズルおもちゃの考案者であるルービック氏によれば、「ルービックというのはハンガリーでも国外でも、よくある名前ではない。」とされ、「わたしの名前はもはやわたし個人とはつながりがない。・・・キューブは発明家の名を冠する数少ない発明品の仲間入りをした。時が経つにつれ、わたしの名も発明品と結びついていき、自身とのつながりは失われていった。」(甲49)と語られているように、「RUBIK(ルービック)」の標章の独創性は高いものと考えられる。

(2)需要者について

申立人の業務に係る立体パズルおもちゃの販売開始から40周年を迎える2014年に、Googleのホームページ上で、申立人の業務に係る商品がオンラインゲームとして提供されたことを契機に現在もアーカイブとして公開され、世界中の人たちに楽しまれている(甲50~甲52)。そして、当該立体パズルおもちゃの解説動画などが動画サイトなどで多数公開されている事情がある(甲53~甲56)。これらに鑑みると、少なくとも本件商標の指定商品「コンピュータ,コンピュータソフトウェア,コンピュータハードウェア,コンピュータプログラム(記憶されたもの),コンピュータ操作用プログラム(記憶されたもの),コンピュータの中央処理装置,コンピュータ用ゲームソフトウェア(記憶されたもの),子供の教育用コンピュータソフトウェア」や指定役務「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,コンピュータシステムの設計,コンピュータハードウェア及びコンピュータソフトウェアの設計並びに開発,コンピュータハードウェアに関する研究及び開発,コンピュータソフトウェアの保守,コンピューターネットワークによる画像・映像・音楽の提供」の需要者と、立体パズルおもちゃの需要者とが重複することは決して珍しいものではなく、むしろ、その可能性は比較的高いものと考えられる。

(3)「混同を生ずるおそれ」について

上記2(1)のとおり、本件左側部分からは「RUBiK」の文字が容易に想起されるところ、これが「Rubik’s」及び「RUBIK」の文字と同一又は類似であることは明らかである。

また、本件商標構成中の本件図形部分は、アルファベットの「K」として把握され得るものの、立方体(キューブ:CUBE)をモチーフとしていることは一目瞭然であって、そうとすると、本件左側部分からは、需要者の間に広く知られた申立人の業務に係る立体パズルおもちゃである「RUBIK(ルービックキューブ)」の観念も把握され得るものである。

したがって、本件商標が付された本件指定商品・指定役務に接した需要者・取引者にあっては、これらの商品・役務は、申立人の業務に係る立体パズルおもちゃを紹介する商品等である、あるいは、申立人からライセンスを受けた、又は、コラボによる商品等であると誤信する可能性が高く、また、少なくとも、申立人と緊密な関係にある事業者の業務に係る商品又は役務であるととらえ得ることから、本件商標は、申立人の業務に係る商品(立体パズルおもちゃ)と混同を生ずる商標といえる。

(4)小結

以上より、申立人の業務に係る立体パズルおもちゃとの関係で長年にわたって使用されてきた引用商標6に係る立体的形状、並びに、「ルービックキューブ」、「RUBIK CUBE」、「RUBIK」及び「Rubik’s」の各商標を容易に連想させる本件商標が使用された場合、その指定商品・指定役務と立体パズルおもちゃの関連性と相まって、これらの商品等があたかも申立人の業務に係るものであるかのごとく、商品及び役務の出所について混同を生じさせるおそれがある。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

5 商標法第4条第1項第19号について

(1)引用商標6に係る立体的形状、並びに、「ルービックキューブ」、「RUBIK CUBE」、「RUBIK」及び「Rubik’s」の各商標が申立人の業務に係る立体パズルおもちゃを表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標であること、当該立体パズルおもちゃと本件商標の指定商品・指定役務との関連性(類似性)は上述のとおりであるが、特に、「Rubik」の文字は、立体パズルおもちゃの考案者の氏を英語表記したものであって、その氏は、我が国だけでなく、ルービック氏の本国であるハンガリーでも珍しい氏であることから(甲49)、本件商標が、これを知らずして偶然にも「Rubik」を容易に理解させ、かつ、立方体をモチーフとした要素を包含する本件左側部分を採用したとするのは極めて不自然であって、本件商標が申立人の業務に係る立体パズルやその歴史を熟知して、これより着想を得ていることは明らかであり、本件商標の使用は、各引用商標の著名性にただ乗りするものにほかならず、申立人らが50年に亘って築き上げてきた信用、名声、顧客吸引力を毀損することは疑いようもない。

(2)小括

以上より、本件商標は、申立人の業務に係る立体パズルおもちゃを表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている引用商標6に係る立体的形状、並びに、「ルービックキューブ」、「RUBIK CUBE」、「RUBIK」及び「Rubik’s」の各商標と同一又は類似であって、その指定商品・指定役務も立体パズルおもちゃとの関連性が高いばかりか、その採択の過程で不正の目的が存在していたことは明らかである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

6 商標法第4条第1項第7号について

(1)ハンガリー政府及び日本政府の取り組みについて

2025年8月8日から11月15日までの「ルービック80×50展 ~祝!エルノー・ルービック80才&ルービックキューブ50周年~」展(甲57)、2025年8月7日の「リスト・ハンガリー文化センターこども見学デー」(甲58)、2023年5月27日の駐日ハンガリー大使館発案によるチャリティーオークション(甲59)、2023年10月7日付けのテレ朝NEWS(甲60)、2020年9月24日から11月9日までの駐日ハンガリー大使館等主催による「ルービックキューブ40周年展」(甲61)、外務省発行の「日本・ドナウ交流年2009~友好の軌跡、そして未来へ~」(甲62)、2014年9月の在ハンガリー日本大使館による政治・経済月報8月号(甲63)、2025年4月22日付けの東京新聞(甲64)において、申立人の業務に係る立体パズルおもちゃが取り上げられている。

(2)上記(1)によれば、ルービック氏の考案した立体パズルおもちゃは、ルービック氏の故郷であるハンガリーでは現在もなお敬愛されており、同国の国民は当該立体パズルおもちゃが同国人であるルービック氏によって考案されたことを誇りに思っており、そして、これらのことは我が国においても周知が図られているといえ、さらに、当該立体パズルおもちゃが我が国とハンガリーとの友好関係の懸け橋となり、重要な役割を担っていることは明らかである。

したがって、ルービック氏の考案した立体パズルおもちゃから着想を得ている本件商標について、ルービック氏とは縁もゆかりもない一個人に登録を認めることは、ハンガリーの国民の感情を害することはもとより、我が国とハンガリーの国際信義に反し、両国の公益を損なうおそれが高いといえる。

したがって、本件商標は公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標であるから、商標法第4条第1項第7号に該当する。

第4 当審の判断

1 引用商標の周知著名性について

(1)申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。

ア 申立人の業務に係る商品は、立方体の6面をそれぞれ、白色、橙色、緑色、赤色、黄色、青色に塗り分けるとともに、それぞれの面を、9個の正方形に分割し、当該9個の正方形を黒い枠で囲んでなる立体パズルおもちゃ(以下、当該立体パズルおもちゃを「申立人商品」という。)である。

申立人商品は、1974年にハンガリーの建築学者E・ルービック(E Rubik)氏によって考案され、1977年にハンガリー国内で大ヒットしたことを皮切りに、世界中で大ブームとなり、2022年5月時点で4億8000万個の販売実績がある(甲9)。

イ 我が国においては、1980年に「ルービックキューブ」の名称で申立人商品の販売が開始された(甲10~甲38)。初年度の販売実績は400万個であり(甲10)、2025年3月時点では、我が国での販売開始からの累計出荷数が1724万個である(甲40)。

ウ 「ルービックキューブ」及びその英語表記である「Rubik’s CUBE」、「Rubik’s Cube」又は「Rubik Cube」の文字は、「大きな活字のコンサイスカタカナ語辞典第2版」(株式会社三省堂)、「大辞林第3版」(同上)、「日本語大辞典」(株式会社講談社)、「国際化時代のためのカタカナ語・略語辞典」(株式会社旺文社)、「日経新聞を読むためのカタカナ語辞典」(株式会社三省堂)、「現代用語の基礎知識2019」(株式会社自由国民社)などの辞書類に見出し語として載録されている(甲41~甲46)。

エ 申立人商品の立体的形状は、商標法第3条第2項の適用を受け、登録第5855350号(引用商標6)として、平成28年6月3日に商標登録されている。

(2)上記(1)によれば、以下のとおり判断できる。

ア 申立人は1980年頃から現在まで、申立人商品に、引用商標6に係る立体的形状、「ルービックキューブ」の文字及びその英語表記である「Rubik’s CUBE」又は「RUBIK CUBE」の文字を使用している(甲11~甲38)。

イ 申立人商品の我が国における販売開始から2025年3月までの累計出荷数は1724万個であり(甲40)、世界では2022年5月時点で4億8000万個の販売実績があり(甲9)、我が国及び外国において相当程度の販売実績があることが認められる。

ウ 「ルービックキューブ」及びその英語表記である「Rubik’s CUBE」、「Rubik’s Cube」又は「Rubik Cube」の文字が、複数の辞書類に見出し語とし載録されている(甲41~甲46)。

エ 申立人商品の立体的形状は、商標法第3条第2項の適用を受け、登録第5855350号(引用商標6)として、平成28年6月3日に商標登録されている。

オ 上記アないしエからすれば、「RUBIK CUBE」の文字(引用商標3)、「ルービックキューブ」の文字(引用商標5)及び申立人商品に係る立体的形状(引用商標6)は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品を表示するものとして、我が国及び外国の需要者の間に広く知られているといい得るものである。

一方、「RUBIK’S」の文字(引用商標1)及び「RUBIK」の文字(引用商標4)については、その使用期間は明らかではなく、また、これらの文字のみをもって申立人商品を表示するものとして使用されている証拠は提出されていないから、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品を表示するものとして、我が国及び外国の需要者の間に広く知られているとはいえない。

2 本件商標と引用商標の類似性について

(1)本件商標について

本件商標は、別掲1のとおり、一部デザイン化された書体で「RUBi」の欧文字及び「Pi」の欧文字(以下、合わせて「両欧文字部分」という。)を書し、両欧文字部分の間に、3つの略ひし型を組み合わせた略六角形からなる幾何図形(本件図形部分)を配した構成からなるところ、両欧文字部分と本件図形部分とは、重なり合うことなく配置され、文字と図形という構成要素を異にしていることから、視覚上分離して看取、把握され得るものである。

そして、本件図形部分は、直ちに特定の事物を表したものと認識されるとはいえないことから、これより特定の称呼及び観念は生じない。

また、両欧文字部分の「RUBiPi」の文字は、一般的な辞書等に載録された既成語ではなく、我が国において何らかの意味を有する語として親しまれているという事情も見いだせないことから、特定の意味を有しない造語として理解されるものである。

そうすると、本件図形部分と両欧文字部分とは、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいえず、両者は、それぞれが独立して出所識別機能を有する要部となり得る。

してみれば、本件商標は、要部の一つである「RUBiPi」の文字に相応して「ルビピ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。

(2)引用商標について

ア 引用商標1について

引用商標1は、「RUBIK’S」の欧文字を横書きしてなるところ、当該文字は、一般的な辞書等に載録された既成語ではなく、我が国において何らかの意味を有する語として親しまれているという事情も見いだせないことから、特定の意味を有しない造語として理解されるものである。

したがって、引用商標1は、その構成文字に相応して「ルービックス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。

イ 引用商標2について

引用商標2は、別掲3のとおり、色彩の異なる「RUBIKS」の欧文字を書し、「K」及び「S」の上部に略六角形からなる図形を配してなるところ、文字部分と図形部分とは、重なり合うことなく配置され、文字と図形という構成要素を異にしていることから、視覚上分離して看取、把握され得るものである。

そして、図形部分は、直ちに特定の事物を表したものと認識されるとはいえないことから、これより特定の称呼及び観念は生じない。

また、「RUBIKS」の文字は、一般的な辞書等に載録された既成語ではなく、我が国において何らかの意味を有する語として親しまれているという事情も見いだせないことから、特定の意味を有しない造語として理解されるものである。

そうすると、引用商標2の文字部分と図形部分とは、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいえず、両者は、それぞれが独立して出所識別機能を有する要部となり得る。

してみれば、引用商標2は、要部の一つである「RUBIKS」の文字に相応して「ルービックス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。

ウ 引用商標3及び引用商標5について

引用商標3は、「RUBIK CUBE」の欧文字を横書きしてなり、引用商標5は、「ルービックキューブ」の文字を標準文字で表してなるところ、これらの文字は、「26個の小立方体の各面を同色にまとめるパズル。ハンガリー人のE.Rubikが考案。」(「現代用語の基礎知識2019」株式会社自由国民社)を意味する語であり、上記1のとおり、申立人商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されている。

してみれば、引用商標3及び引用商標5は、その構成文字に相応して「ルービックキューブ」の称呼及び「申立人商品」の観念を生じるものである。

エ 引用商標4について

引用商標4は、「RUBIK」の欧文字を横書きしてなるところ、当該文字は、一般的な辞書等に載録された既成語ではなく、我が国において何らかの意味を有する語として親しまれているという事情も見いだせないことから、特定の意味を有しない造語として理解されるものである。

したがって、引用商標4は、その構成文字に相応して「ルービック」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。

オ 引用商標6について

引用商標6は、別掲4のとおりの立体的形状からなるところ、これは、上記1のとおり、申立人商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されている。

したがって、引用商標6は、その立体的形状に相応して「ルービックキューブ」の称呼及び「申立人商品」の観念を生じるものである。

(3)本件商標と引用商標の類否について

ア 本件商標と引用商標1の類否について

本件商標と引用商標1は、それぞれ上記(1)及び(2)アのとおりであるところ、両商標は、全体構成において、明らかな差違を有するものであり、また、本件商標の要部である「RUBiPi」の文字部分と引用商標1との比較においても、構成文字のデザイン化の有無及び5文字目以降の「Pi」と「K’S」の文字の差異を有することから、本件商標と引用商標1は、外観上、判然と区別し得るものである。

次に、本件商標から生じる「ルビピ」の称呼と、引用商標1から生じる「ルービックス」の称呼を比較すると、両者は音数及び音構成が異なり、称呼上、明瞭に聴別し得るものである。

さらに、観念においては、本件商標及び引用商標1は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念において比較することができない。

そうすると、本件商標と引用商標1とは、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのないものであるから、両者の外観、称呼、観念等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標である。

イ 本件商標と引用商標2の類否について

本件商標と引用商標2は、それぞれ上記(1)及び(2)イのとおりであるところ、両商標は、全体構成において、明らかな差違を有するものであり、また、本件商標の要部である「RUBiPi」の文字部分と引用商標2の要部である「RUBIKS」の文字部分との比較においても、文字のデザイン手法の差異及び5文字目以降の「Pi」と「KS」の文字の差異を有することから、本件商標と引用商標2は、外観上、判然と区別し得るものである。

次に、本件商標から生じる「ルビピ」の称呼と、引用商標2から生じる「ルービックス」の称呼を比較すると、両者は音数及び音構成が異なり、称呼上、明瞭に聴別し得るものである。

さらに、観念においては、本件商標及び引用商標2は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念において比較することができない。

そうすると、本件商標と引用商標2とは、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのないものであるから、両者の外観、称呼、観念等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標である。

ウ 本件商標と引用商標3の類否について

本件商標と引用商標3は、それぞれ上記(1)及び(2)ウのとおりであるところ、両商標は、全体構成において、明らかな差違を有するものであり、また、本件商標の要部である「RUBiPi」の文字部分と引用商標3の比較においても、構成文字のデザイン化の有無及び5文字目以降の「Pi」と「K CUBE」の文字の差異を有することから、本件商標と引用商標3は、外観上、判然と区別し得るものである。

次に、本件商標から生じる「ルビピ」の称呼と、引用商標3から生じる「ルービックキューブ」の称呼を比較すると、両者は音数及び音構成が異なり、称呼上、明瞭に聴別し得るものである。

さらに、観念においては、本件商標は特定の観念を生じないものであるのに対し、引用商標3は「申立人商品」の観念を生じるものであるから、観念においても相紛れるおそれはない。

そうすると、本件商標と引用商標3とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのないものであるから、両者の外観、称呼、観念等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標である。

エ 本件商標と引用商標4の類否について

本件商標と引用商標4は、それぞれ上記(1)及び(2)エのとおりであるところ、両商標は、全体構成において、明らかな差違を有するものであり、また、本件商標の要部である「RUBiPi」の文字部分と引用商標4との比較においても、構成文字のデザイン化の有無及び5文字目以降の「Pi」と「K」の文字の差異を有することから、本件商標と引用商標4は、外観上、判然と区別し得るものである。

次に、本件商標から生じる「ルビピ」の称呼と、引用商標4から生じる「ルービック」の称呼を比較すると、両者は音数及び音構成が異なり、称呼上、明瞭に聴別し得るものである。

さらに、観念においては、本件商標及び引用商標4は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念において比較することができない。

そうすると、本件商標と引用商標4とは、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのないものであるから、両者の外観、称呼、観念等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標である。

オ 本件商標と引用商標5の類否について

本件商標と引用商標5は、それぞれ上記(1)及び(2)ウのとおりであるところ、両商標は、全体構成において、明らかな差違を有するものであり、また、本件商標の要部である「RUBiPi」の文字部分と引用商標3の比較においても、構成文字の種類及びデザイン化の有無の差異を有することから、本件商標と引用商標5は、外観上、判然と区別し得るものである。

次に、本件商標から生じる「ルビピ」の称呼と、引用商標5から生じる「ルービックキューブ」の称呼を比較すると、両者は音数及び音構成が異なり、称呼上、明瞭に聴別し得るものである。

さらに、観念においては、本件商標は特定の観念を生じないものであるのに対し、引用商標5は「申立人商品」の観念を生じるものであるから、観念においても相紛れるおそれはない。

そうすると、本件商標と引用商標5とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのないものであるから、両者の外観、称呼、観念等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標である。

カ 本件商標と引用商標6の類否について

本件商標と引用商標6は、それぞれ上記(1)及び(2)オのとおりであるところ、両商標は、全体構成において、明らかな差違を有するものである。

次に、本件商標から生じる「ルビピ」の称呼と、引用商標6から生じる「ルービックキューブ」の称呼を比較すると、両者は音数及び音構成が異なり、称呼上、明瞭に聴別し得るものである。

さらに、観念においては、本件商標は特定の観念を生じないものであるのに対し、引用商標6は「申立人商品」の観念を生じるものであるから、観念においても相紛れるおそれはない。

そうすると、本件商標と引用商標6とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのないものであるから、両者の外観、称呼、観念等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標である。

(4)小括

以上のとおり、本件商標と引用商標1ないし引用商標6とは、いずれも非類似の商標である。

3 商標法第4条第1項第11号該当性及び同法第8条第1項について

上記2のとおり、本件商標と引用商標1とは非類似の商標であるから、両商標の指定役務が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

また、本件商標と引用商標2とは非類似の商標であるから、両商標の指定商品が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第8条第1項に違反して登録されたものとはいえない。

4 商標法第4条第1項第15号該当性について

上記1のとおり、「RUBIK CUBE」の文字(引用商標3)、「ルービックキューブ」の文字(引用商標5)及び申立人商品に係る立体的形状(引用商標6)が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く知られているといい得るものであるとしても、「RUBIK’S」の文字(引用商標1)及び「RUBIK」の文字(引用商標4)は、我が国の需要者の間に広く知られているとはいえないし、そもそも、上記2のとおり、本件商標は、引用商標とはいずれも非類似の商標であり、別異の商標というべきものであって、類似性の程度は低いものである。

そうとすれば、本件商標をその指定商品及び指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者が、引用商標を連想又は想起するとは考え難く、その商品及び役務が申立人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品及び役務であると誤認し、その商品及び役務の出所について混同を生じるおそれはないというべきである。

その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

5 商標法第4条第1項第19号該当性について

上記1のとおり、「RUBIK CUBE」の文字(引用商標3)、「ルービックキューブ」の文字(引用商標5)及び申立人商品に係る立体的形状(引用商標6)が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品を表示するものとして、我が国及び外国の需要者の間に広く知られているといい得るものであるとしても、「RUBIK’S」の文字(引用商標1)及び「RUBIK」の文字(引用商標4)は、我が国及び外国の需要者の間に広く知られているとはいえないし、そもそも、上記2のとおり、本件商標は、引用商標とはいずれも非類似の商標である。

そして、本件商標が、引用商標の名声などにただ乗りする、引用商標の出所表示機能を希釈化させるなど不正の目的をもって使用するものであることを示す証拠の提出はなく、職権で調査するも不正の目的をもって使用すると認めるに足りる具体的事実は見いだせない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。

6 商標法第4条第1項第7号該当性について

申立人は、申立人商品がルービック氏の故郷であるハンガリーで敬愛されており、また、我が国とハンガリーとの友好関係の懸け橋として重要な役割を担っていることは明らかであるから、申立人商品から着想を得ている本件商標について、ルービック氏とは縁もゆかりもない一個人に登録を認めることは、ハンガリーの国民の感情を害することはもとより、我が国とハンガリーの国際信義に反し、両国の公益を損なうおそれが高いといえる旨主張する。

しかしながら、上記1のとおり、「RUBIK CUBE」の文字(引用商標3)、「ルービックキューブ」の文字(引用商標5)及び申立人商品に係る立体的形状(引用商標6)が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品を表示するものとして、我が国及び外国の需要者の間に広く知られているといい得るものであるとしても、「RUBIK’S」の文字(引用商標1)及び「RUBIK」の文字(引用商標4)は、我が国及び外国の需要者の間に広く知られているとはいえない。また、上記2のとおり、本件商標は、引用商標とはいずれも非類似の商標であり、別異の商標というべきものであって、さらに、上記4のとおり、本件商標は、引用商標を連想又は想起させるものでもない。

そして、本件商標は、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激若しくは他人に不快な印象を与えるものではないことは明らかであり、さらに、社会の一般的道徳観念に反するものなど、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるものというべき証拠も見いだせない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。

7 むすび

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第11号、同項第15号、同項第19号のいずれにも該当せず、その登録は、同項及び同法第8条第1項の規定に違反してされたものとはいえないものであり、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。