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Trademark Appeal Case

周知商標の要部と類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2025900203
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
登録第6950746号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

理 由

1 本件商標

本件登録第6950746号商標(以下「本件商標」という。)は、「KAYA」の文字を標準文字で表してなり、令和6年12月17日に登録出願、第43類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供,会議室の貸与,展示施設の貸与」を指定役務として、令和7年7月4日に登録査定、同月23日に設定登録されたものである。

2 引用標章

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、ホテル・リゾート事業について使用し、取引者、需要者の間に広く知られていると主張する標章は、別掲のとおりの標章(以下、「引用標章」という。)である。

3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は、商標法第43条の3第2項の規定により取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第26号証を提出した。

(1)商標法第4条第1項第15号該当性

ア 引用標章の周知著名性

(ア)申立人の概要について

申立人は、トルコ共和国に本拠を置き、「Kaya Palazzo Hotels & Resorts」のブランドの下で国際的にホテル・リゾート事業を展開している。母体企業「Kaya Holding」は1974年に設立され、建設・金融・石油・エネルギー等に事業を広げ、従業員数は5000名を超える(甲3及び甲4)。

(イ)引用標章について

申立人は、「KAYA PALAZZO HOTELS & RESORTS」及び「KAYA PALAZZO RESORT CARIBBEAN」を中心に、アラブ首長国連邦、カタール、ドミニカ共和国、英国の4か国で少なくとも5件の商標登録を有している(甲5ないし甲14)。

(ウ)引用標章の周知・著名性について

申立人は、トルコをはじめ各国で高級リゾートを展開し、ハウスマークである「KAYA PALAZZO HOTELS & RESORTS」及び「KAYA PALAZZO RESORT CARIBBEAN」を継続して使用している。特に、「Kaya Palazzo Golf Resort」については、旅行口コミサイトにおいて7000件を超えるレビューが蓄積されている(甲15)。さらに、世界的に著名なモデルを起用したSNS広告キャンペーンや各国での屋外広告を展開している(甲16ないし甲19)。これらにより、引用標章は国際的に広く認知されている。

イ 本件商標と引用標章の類否

本件商標は、「KAYA」の標準文字商標である。

一方、引用標章は、図形的要素や「PALAZZO」「HOTELS & RESORTS」等の文字要素が付加されているものの、その要部は冒頭に大きく表記される「KAYA」であり、「KAYA」部分が取引者・需要者に対して最も強く印象付けられる。

したがって、両者の商標を比較すると、共に「KAYA」という文字を主要な構成要素としており、称呼も共通して「カヤ」の読み方が発生し、観念においても「KAYA」という同一の語を想起させることから、商標が付与された役務に接した需要者は、申立人の役務との間で、その外観、称呼の類似性から出所を混同するおそれがあり、両商標は相紛らわしい類似する関係にある。

ウ 本件商標の指定役務と引用標章の役務の関連性

本件商標の指定役務は、引用標章の役務の範囲と重複することから、業務上の関連性は極めて高い。

エ 取引者又は需要者の共通性

申立人が提供する宿泊施設の主要顧客層は国際的な富裕層旅行者である。他方、被申立人が運営する「KAYA 京都 二条城 BW シグネチャー コレクション by ベストウェスタン(以下、「KAYA 京都 二条城」という。)」は2023年4月27日に開業したものであり、外国人旅行者を主要顧客とする高級ホテルである。外国人旅行者の利用比率が高いことから、申立人の「KAYA PALAZZO HOTELS & RESORTS」や「KAYA PALAZZO RESORT CARIBBEAN」を既に利用した需要者が、日本国内の「KAYA 京都 二条城」を利用する可能性も高い。

また、申立人と被申立人の宿泊施設はいずれも宿泊予約サイトに掲載されており(甲20ないし甲25)、販売ルートが共通する。

さらに、「Kaya Palazzo Golf Resort」は1泊6~10万円台、「KAYA 京都 二条城」は1泊5~7万円台といずれも高価格帯に属することが確認できる。

したがって、本件商標の指定役務と、引用標章に係る「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供」等の役務の間において、両者の需要者層は「国際的かつ高級志向の宿泊者層」という点で共通する。

オ 混同のおそれ

引用標章が周知著名であること、本件商標と引用標章が類似すること、本件商標の指定役務と引用標章の使用に係る役務は業務上の関連性が高く、取引者及び需要者も共通することを総合的に勘案すると、本件商標が指定役務に使用された場合、需要者は当該役務を申立人の業務に係るものと誤信するおそれが極めて高い。

したがって本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

(2)商標法第4条第1項第19号該当性

ア 引用標章の国内外での周知著名性

上記(1)アで述べたとおり、引用標章は、トルコをはじめアラブ首長国連邦、カタール、英国等の外国における需要者の間で周知・著名である。

イ 本件商標と引用標章の類否

上記(1)イで述べたとおり、本件商標「KAYA」は、引用標章の要部「KAYA」と同一であり、称呼・観念において一致するため、類似する商標に該当する。

ウ 不正の目的

被申立人は日本国内に92、海外に14のホテルを展開する企業であり、同業である申立人の著名ブランドを知り得た。また、国際的予約サイトにおいて、申立人のホテルと同時に自社ホテルが掲載される状況を認識し得る立場にあった。さらに、被申立人が本件商標を使用する宿泊施設「KAYA 京都 二条城」は2023年4月27日に開業したばかりである(甲26)。被申立人はホテル名「KAYA」の由来を平安時代の「高陽院(かやのいん)」と説明するが、この歴史的由来は現代の需要者・旅行者に広く認識されているとはいえない。他方で「KAYA」は国際的に著名な申立人ブランドを直ちに想起させるものであり、しかも申立人が近年国際的に展開した広告・SNSキャンペーン(甲16及び甲17)と時期的に近接して採択された。

このような状況下で、被申立人が標準文字商標として「KAYA」をあえて採択した事実は、偶然の一致ではなく、申立人ブランドの顧客吸引力や信用にフリーライドし、出所混同を誘発し、さらにはブランド価値を希釈化する不正目的をもって使用するものと推認される。

したがって本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

(3)まとめ

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものである。

4 当審の判断

(1)引用標章の周知性について

ア 申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、以下のとおりである。

(ア)申立人は、その母体企業である「Kaya Holding」傘下の一企業であって、「Kaya Palazzo Hotels & Resorts」のブランドの下でホテル・リゾート事業を展開しているとされる(甲2ないし甲4)。

(イ)申立人は、アラブ首長国連邦、カタール、ドミニカ共和国及び英国において、引用標章又はこれに類する標章(以下、「引用標章等」という。)からなる商標を、第43類において出願又は登録している(甲5ないし甲14)。

(ウ)申立人は、トルコ共和国をはじめ各国で高級リゾートを展開し、引用標章等を継続して使用しているとされる。特に「Kaya Palazzo Golf Resort」については、旅行口コミサイトにおいて7000件を超えるレビューが蓄積されている(甲15)。

(エ)申立人は、引用標章等や「KAYA PALAZZO」の文字について、SNSを利用した広告や各国での屋外広告等を行っているとされる(甲16ないし甲19)。

イ 上記アによれば、以下のとおり判断できる。

(ア)申立人及びその母体企業である「Kaya Holding」がトルコ共和国等においてホテル事業を展開していることはうかがえるが(甲3及び甲4)、申立人が提出する証拠からは、申立人による引用標章を使用したホテル事業に関する役務の使用期間、使用数量、使用地域、売上高及び市場シェア等に係る詳細は明らかではない。

(イ)申立人が、アラブ首長国連邦、カタール、ドミニカ共和国及び英国において、引用標章等の商標を第43類において出願又は登録していることはうかがえるが(甲5ないし甲14)、引用標章等が諸外国で商標出願、登録されている事例があるとしても、これらの事例が直ちに、我が国又は外国における引用標章の周知著名性に結びつくものではない。

(ウ)引用標章等や「KAYA PALAZZO」の文字について、SNSを利用した広告や屋外広告等が行われていることがうかがえるが(甲16ないし甲19)、申立人の名称の記載が確認できないため申立人との関係は不明であり、また、広告宣伝の期間、地域及び規模等の実績も不明である。

(エ)そうすると、申立人提出の甲各号証からは、引用標章が、本件商標の登録出願時ないし登録査定時において、申立人の業務に係る役務であることを表示するものとして、我が国の需要者のみならず、外国の需要者の間に広く認識されていると認めることはできない。

(2)本件商標と引用標章の類否について

ア 本件商標について

本件商標は、「KAYA」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、一般的な辞書等に載録のない語であり、本件商標の指定役務との関係において直ちに何らかの意味を理解させる文字でもないことから、特定の意味合いを生じることのない一種の造語を表したものとして認識されるというべきである。

そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して「カヤ」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。

イ 引用標章について

引用標章は、別掲のとおり、銀色で縁取られ、内部に白抜きのモノグラムを有する青色の盾型図形を中心として、上部に王冠とおぼしき銀色の図形、左右に一対の獣とおぼしき銀色の図形を組み合わせた図形(以下「引用図形部分」という。)を配してなり、その下部に、「KAYA PALAZZO」の文字及び「HOTELS&RESORTS」の文字を横幅を揃えるように上下二段に横書きし、さらに各文字部分の下に、それぞれ形の異なる装飾的な線図形(以下「両線図形部分」という。)を配した構成からなるものである。

そして、引用図形部分と各文字部分とは、それぞれが重なることなく配置されていることからすると、それぞれが視覚上分離して看取、把握され得るものである。

また、引用図形部分は特定の事物又は意味合いを表すものとして認識されているというべき事情は認められず、また、両線図形部分は、文字の装飾として捉えられるのが自然であることから、引用図形部分及び両線図形部分からは、特定の称呼及び観念は生じないものである。

さらに、引用標章の文字部分の構成中、下段の「HOTELS&RESORTS」の文字部分は、「ホテルとリゾート」ほどの意味を表したものと容易に認識されるものであり、引用標章の使用に係るホテル・リゾート事業との関係では、自他役務の識別標識として機能しないもの又はその機能が極めて弱いものといえる。

他方、引用標章の文字部分の構成中、上段の「KAYA PALAZZO」の文字部分については、「KAYA」は、上記アで述べたとおり、一般的な辞書等に載録のない造語であり、また、「PALAZZO」は、「宮殿」(「伊和中辞典」株式会社小学館)等の意味を有するイタリア語であるが、我が国において親しまれた語であるとまではいえず、また、引用標章の使用に係るホテル・リゾート事業との関係で自他役務の識別標識として機能しないものとしてみるべき事情はないことから、造語として認識されるものといえる。加えて、「KAYA」及び「PALAZZO」の文字部分は、間に若干のスペースを有するとしても、同色、同書、同大で全体がまとまりよく一体的に表されているものであり、かかる構成においては、「KAYA」又は「PALAZZO」の文字のみを殊更分離し、抽出して取引に資する特段の理由がない。そうとすると、「KAYA PALAZZO」の文字部分全体をもって独立して役務の出所識別標識としての機能を果たす部分といえるものである。

してみれば、引用標章は、その要部である「KAYA PALAZZO」の文字部分に相応して「カヤパラッツォ」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。

ウ 本件商標と引用標章の類否について

本件商標と引用標章を比較すると、両者の上記のとおりの外観は、図形や構成文字の有無など構成態様が明らかに異なり、相紛れるおそれのないものである。また、本件商標と引用標章の要部である「KAYA PALAZZO」の文字との比較においても、両者は、「PALAZZO」の文字の有無という明らかな差異を有するから、相紛れるおそれのないものである。

次に、称呼においては、本件商標からは「カヤ」の称呼が生じ、引用標章からは「カヤパラッツォ」の称呼が生じるところ、「パラッツォ」の音の有無の相違があるから、明瞭に聴別できるものである。

さらに、観念においては、両商標は、いずれも特定の観念を生じるものではなく、比較できない。

そうすると、本件商標と引用標章は、外観及び称呼において相紛れるおそれがなく、観念において比較できないものであるから、両者の外観、称呼、観念等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。

(3)商標法第4条第1項第15号該当性について

上記(1)のとおり、引用標章は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできず、上記(2)のとおり、本件商標と引用標章とは、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というのが相当であるから、類似性の程度は低い。

そうすると、本件商標の指定役務と引用標章の使用に係る役務が密接な関連性を有するとしても、本件商標の取引者、需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断すれば、本件商標の権利者が、本件商標をその指定役務について使用をしても、これに接する取引者、需要者をして、引用標章を連想、想起することはなく、その役務が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の取扱いに係る役務であるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。

その他、本件商標が引用標章と出所の混同を生ずるおそれがあるというべき事情は見いだせない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

(4)商標法第4条第1項第19号該当性について

上記(1)のとおり、引用標章は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、我が国又は外国における需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできず、上記(2)のとおり、本件商標と引用標章とは、相紛れるおそれのない非類似の商標である。

また、申立人が提出した証拠からは、本件商標の権利者が引用標章にただ乗りし、さらに、本件商標を不正の利益を得る目的、他人に損害を与える目的その他不正の目的をもって使用するものと認めるに足りる具体的事実は見いだせない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。

(5)むすび

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同項第19号に該当するものではなく、その登録は同条第1項の規定に違反してされたものとはいえないものであり、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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