sokuhyo

Trademark Appeal Case

補正の新規事項該当性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2024010850
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

理 由

第1 手続の経緯

本願は、2019年(令和元年)9月12日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2018年9月12日 (US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、令和5年5月30日付けで拒絶理由が通知され、その指定期間内(3月延長)の同年12月4日に意見書及び手続補正書が提出され、令和6年2月27日付けで拒絶査定がなされ(謄本送達は3月1日)、これに対して、同年7月1日に拒絶査定不服の審判が請求されると同時に手続補正書が提出されたものである。

第2 令和6年7月1日提出の手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和6年7月1日提出の手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 本件補正について(補正の内容)

(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載

本件補正により、特許請求の範囲の請求項1及び15の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)

「 【請求項1】

プロラミンと少なくとも1種のポリオール脂肪酸エステル(PFAE)とを含むバリアコーティングであって、前記PFAEの前記ポリオールが、環式構造を含み、前記PFAEが、1~2個の脂肪酸部分または3~5個の脂肪酸部分とを含み、少なくとも1つの脂肪酸部分が飽和脂肪酸であり、前記PFAEとプロラミンの比は、重量対重量(wt/wt)ベースで1:1から5:1であ

り、前記バリアコーティングが油および/またはグリースの浸透に対する増加した耐性を有し、少なくとも3から少なくとも9のキット値を有する

、バリアコーティング。」

「 【請求項15】

疎油耐性のためにセルロースベースの材料を調節可能に誘導体化する方法であって、前記セルロースベースの材料を、プロラミンと少なくとも1種のポリオール脂肪酸エステル(PFAE)とを、前記PFAEとプロラミンの比が、重量対重量(wt/wt)ベースで1:1から5:1で含むバリアコーティングと接触させ、接触させた前記セルロースベースの材料を熱、放射線、触媒またはそれらの組合せに、前記バリアコーティングを前記セルロースベースの材料に付着させるのに十分な時間曝露するステップを含

み、前記セルロースベースの材料が、少なくとも3から少なくとも9のキット値を有する

、方法。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲

本件補正前の、令和5年12月4日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1及び15の記載は次のとおりである。

「 【請求項1】

プロラミンと少なくとも1種のポリオール脂肪酸エステル(PFAE)とを含むバリアコーティングであって、前記PFAEの前記ポリオールが、環式構造を含み、前記PFAEが、1~2個の脂肪酸部分または3~5個の脂肪酸部分とを含み、少なくとも1つの脂肪酸部分が飽和脂肪酸であり、前記PFAEとプロラミンの比は、重量対重量(wt/wt)ベースで1:1から5:1である、バリアコーティング。」

「 【請求項15】

疎油耐性のためにセルロースベースの材料を調節可能に誘導体化する方法であって、前記セルロースベースの材料を、プロラミンと少なくとも1種のポリオール脂肪酸エステル(PFAE)とを、前記PFAEとプロラミンの比が、重量対重量(wt/wt)ベースで1:1から5:1で含むバリアコーティングと接触させ、接触させた前記セルロースベースの材料を熱、放射線、触媒またはそれらの組合せに、前記バリアコーティングを前記セルロースベースの材料に付着させるのに十分な時間曝露するステップを含む、方法。」

2 補正の適否

(1)新規事項

本件補正後の請求項15についての本件補正は、本件補正前の請求項15に記載された発明を特定するために必要な事項である「セルロースベースの材料」を「前記セルロースベースの材料が、少なくとも3から少なくとも9のキット値を有する」に特定するものである。

ここで、請求項15において「前記セルロースベースの材料に付着させるのに十分な時間曝露するステップを含み」と特定されていることから、この特定において「前記セルロースベースの材料」は「疎油耐性のためにセルロースベースの材料を調節可能に誘導体化する」前の「セルロースベースの材料」であると解され、「前記セルロースベースの材料が、少なくとも3から少なくとも9のキット値を有する」なる特定における「前記セルロースベースの材料」も「疎油耐性のためにセルロースベースの材料を調節可能に誘導体化する」前の「セルロースベースの材料」であると解される。

そして、前記補正の根拠について、審判請求人は審判請求書において「補正後の請求項15は、補正前の請求項15及び明細書段落0137に基づきます。」と主張する。

そこで、本件補正が、本願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、これを「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内でなされたものであるかについて、以下に検討する。

当初明細書等の段落0137には「【0137】

実施形態において、本明細書に開示されるバリアコーティング組成物は、基材または表面に塗布されると、油および/またはグリースの浸透に対する耐性を有する物品をもたらす。油および/またはグリースの浸透に対する耐性としては、様々な油、グリース、ワックス、他の油性物質、およびトルエンやヘプタンなど驚くほどに高い浸透性溶媒による浸透に対する耐性が挙げられる。油および/またはグリースの浸透に対する耐性は、3Mキット試験によって測定することができる。一態様において、組成物は、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも7、少なくとも9のキット数を有する。」と記載されており、バリアコーティング組成物のキット値については記載されているといえるが、セルロースベースの材料のキット値について記載されているとはいえず、前記記載からセルロースベースの材料が、少なくとも3から少なくとも9のキット値を有することは自明な事項であるとはいえない。

また、当初明細書等の他の記載をみると、当初明細書等の段落0027には「【0027】

・・・本明細書に開示されるように、紙の表面で中範囲置換度のポリオールエステルを単独で使用すると、高接触角および低キット値ももたらされる。・・・さらに、ゼインおよびエステルを、ゼインがフィルムを形成する程度まで組み合わせると、エステルは容易に、油が小滴に加えられる圧力に応じて浸透することを可能にし、対応するキット値の増加が観察される。」、段落0224、0225、0227、0228、0232の「【0224】

同じエステルを熱水ブレンドし、35#、18ガーレーの漂白原紙にコーティングした。4g/m

2

のコート重量で、TAPPIキット4を達成した。コート重量を上げると、PFAEを単独で使用したときキット値は増加しないようであったが、エステルによって、グリースが紙の上で玉になった。炭酸カルシウムと混合したエステルを使用して、作業を再現し、同じ紙に塗布した。4g/m

2

で、キット3を達成した。

【0225】

ゼイン-SFAEの組合せを、ベンチトップ型引落しコーターを介して、様々なベースシートに塗布すると、TAPPIキット2~6範囲が観察された。そのキット値は、ベースシートの緊密さおよび塗布されたコート重量に依存した。例えば、250ガーレーの漂白ベースシートを使用して、少なくとも4g/m

2

のコーティングを塗布したとき、キット6を達成した。他の添加剤を添加して、気泡を除去し、細菌を介した劣化を抑制し、タンパク質確認、すなわち粒径を最適化するのを助けることができるものと予想される。

・・・

【0227】

合わせたゼイン-PFAE混合物を、ベンチトップ型引落しコーターを介して様々なベースシートに塗布すると、より高いキット値および撥油性を有する処理された紙が得られる。

【0228】

ゼインは、中~高レベルのキット値を達成するために必要である。理論に拘束されるものではないが、ゼイン-エステル相乗作用により、3~4の範囲の低キットを必要とし、現場でコーターを利用する可能性がない人にとって配合する新しい形が可能になりうることは注目に値する。さらに、何らかのレベルの顔料でキットを達成することが可能になりうる。

・・・

【0232】

合わせたゼイン-PFAE混合物を、ベンチトップ型引落しコーターを介して様々なベースシートに塗布すると、より高いキット値および明らかな撥油性を有する処理された紙が得られる。」と、コーティングした紙のキット値について記載されているが、コーティングした紙は、「疎油耐性のために」、「調節可能に誘導体化」したセルロースベースの材料であり、前記「疎油耐性のためにセルロースベースの材料を調節可能に誘導体化する」前の「セルロースベースの材料」ではないから、段落0027、0224、0225、0227、0228、0232には、セルロースベースの材料のキット値について記載されているとはいえず、前記記載からセルロースベースの材料が、少なくとも3から少なくとも9のキット値を有することは自明な事項であるとはいえない。

そして、当初明細書等の段落0043には「【0043】

・・・関連した態様において、耐グリース性は、「3Mキット」試験またはTAPPI T559キット試験によって測定することができる。・・・」と、耐グリース性の測定方法について記載されるのみであり、セルロースベースの材料のキット値について記載されているとはいえず、前記記載からセルロースベースの材料が、少なくとも3から少なくとも9のキット値を有することは自明な事項であるとはいえない。

さらに、当初明細書等の段落0206~208には「【0206】

[実施例14]

他の飽和SFAE

飽和PFAEベースのコーティングのサイズプレス評価を、サイジングがなく、形成が比較的不十分である漂白軽量シート(約35#)で行った。加熱して、飽和PFAEを乳化したExceval HR 3010 PvOHを使用して、すべての評価を行った。十分な飽和PFAEを添加して、全固体の20%を占めた。S-370対C-1800の試料(Mitsubishi Foods(日本)から入手可能)を評価することに焦点を当てた。これらのエステルの両方は、対照よりうまく行われた。重要なデータの一部を表14に示す。

【0207】

【表14】

23

141

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【0208】

飽和化合物は、キットの増加をもたらすように見え、S-370とC-1800は両方とも、HSTの増加が約100%であることに留意すること。」と、バリアコーティング組成物のキット値については記載されているといえるが、セルロースベースの材料のキット値について記載されているとはいえず、前記記載からセルロースベースの材料が、少なくとも3から少なくとも9のキット値を有することは自明な事項であるとはいえない。

よって、本件補正により特定された「前記セルロースベースの材料が、少なくとも3から少なくとも9のキット値を有する」は、「当業者によって、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項であり、補正が、このようにして導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるとき」に該当するとはいえない。

したがって、本件補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものとはいえず、特許法第17条の2第3項の規定する要件を満たしていないため、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

(2)独立特許要件

本件補正後の請求項1についての本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「バリアコーティング」を、本願の明細書の【0137】の記載等に基づいて「前記バリアコーティングが油および/またはグリースの浸透に対する増加した耐性を有し、少なくとも3から少なくとも9のキット値を有する」に特定するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下、「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

ア 本件補正発明

本件補正発明は、前記1(1)に記載したとおりのものである。

イ 引用文献及びその記載事項

引用文献1:国際公開第2018/045248号(原査定の引用文献1)

原査定で引用され本願優先日前に頒布された引用文献1には、次の記載がある。なお、便宜上、当該引用文献1の記載の摘示にあたっては、パテントファミリーである特表2020-500222号公報を訳文として使用し、摘示の後に掲載した。

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102

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・・・

28

100

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【特許請求の範囲】

【請求項1】

糖脂肪酸エステル(SFAE)結合セルロース系材料を含む組成物であって、前記SFAEは、前記結合セルロース系材料が90°以上の水接触角を示す濃度で存在し、前記水接触角は、二次的疎水性物質の非存在下で達成され、又は前記SFAEは、前記セルロース系材料が湿潤している場合に破断力に対する実質的な耐性を付与する濃度で存在し、前記耐性は、二次的湿潤強度添加剤の非存在下で達成される、組成物。

・・・

【請求項16】

疎水性および/または疎油性耐性のためにセルロース系材料を調整可能に誘導体化する方法であって、

a)前記セルロース系材料を糖脂肪酸エステルと接触させるステップと、

b)前記接触させたセルロース系材料を、熱、放射線、触媒またはそれらの組合せに曝露し、前記糖脂肪酸エステルを前記セルロース系材料に結合させるステップと

を含む、方法。

23

122

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【0006】

生分解性および/またはリサイクル性を犠牲にすることなく、低減された費用で、原紙の表面上のコーティングを維持し、繊維間隙内へのウィッキングを防止する、またはセルロース系表面への材料の粘着を低減することを可能にする、原紙/フィルムを含む疎水性および堆肥化可能な「未加工」のバイオベースコーティングを設計することが望ましい。

19

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【0077】 実施形態において、セルロース性材料は、ポリビニルアルコール(PvOH)および/またはプロラミンの添加により疎油性となり得る。一態様において、プロラミンは、ゼイン、グリアジン、ホルデイン、セカリン、カチリン(katirin)およびアベニンを含む。関連した態様において、プロラミンは、ゼインである。

60

107

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【0114】

実施形態において、糖脂肪酸エステルは、エマルションとして調合されてもよく、最適な乳化剤および使用される量は、組成物の性質および薬剤が糖脂肪酸エステルの分散を促進する能力により決定付けられる。一態様において、乳化剤は、これらに限定されないが、水、緩衝剤、ポリビニルアルコール(PvOH)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、乳タンパク質、コムギグルテン、ゼラチン、プロラミン、ダイズタンパク質分離物、デンプン、アセチル化多糖、アルギネート、カラギーナン、キトサン、イヌリン、長鎖脂肪酸、ワックス、寒天、アルギネート、グリセロール、ガム、レシチン、ポロキサマー、モノ-、ジ-グリセロール、リン酸一ナトリウム、モノステアレート、プロピレングリコール、洗剤、セチルアルコール、およびそれらの組合せを含み得る。別の態様において、糖エステル:乳化剤の比は、約0.1:99.9から、約1:99から、約10:90から、約20:80から、約35:65から、約40:60から、および約50:50からであってもよい。比は、最終製品に望ましい特性(複数可)に依存して変動し得ることが、当業者には明らかである。

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122

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110

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・・・

97

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72

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【0171】

例えば、10gのSP01を10%加熱処理PvOH溶液中の10gのグリオキサルと混合した。混合物を、200°Fで5分間「加熱処理」し、漂白広葉樹クラフトから作製された多孔質原紙に、ドローダウンにより塗布した。紙の表面上に架橋したワックス状コーティングが得られ、これは良好な疎水性を示した。最低3g/m

2

を塗布した場合、得られる接触角は100°超であった。グリオキサルは、OH基を有する化合物に対して使用される周知の結晶化物質であるため、この方法は、スクロース環上の残留アルコール基を基材または他のコーティング材料中で利用可能となったアルコール基と結合させることにより、極めて非反応性のスクロースエステルを表面に付着させる潜在的な手段である。

【0172】

[実施例12]

HSTデータおよび吸湿

SEFOSE(登録商標)のみが観察される防水特性を提供することを実証するために、多孔質Twins River(Matawaska、ME)原紙を様々な量のSEFOSE(および乳化のためのPvOHまたはEthylex 2025、ドローダウンにより塗布)で処理し、Herculesサイズ試験により分析した。結果を表9に示す。

【0173】

【表9】

41

108

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【0174】

表9において確認され得るように、紙の表面に塗布されるSEFOSE(登録商標)の増加は、耐水性の増加をもたす(秒で示される増加したHSTにより示される通り)。

【0175】

これはまた、飽和したスクロースエステル生成物のコーティングを使用しても見られる。この特定の例において、製品であるF20W(Sisterna、The Netherlandsから入手可能)は、ほとんどの分子が4~8置換範囲である極めて低い%のモノエステルとして説明される。F20W製品のピックアップは、安定エマルションを作製するためにそれぞれ等しい部を使用してPvOHで乳化されたため、全コーティングのわずか50%であることに留意されたい。したがって、ピックアップが「0.5g/m

2

」と標示されている場合、同じPvOHのピックアップもまた存在し、1.0g/m

2

の全ピックアップをもたらす。結果を表10に示す。

・・・

【0181】

ここで、オレイン酸がパルプに直接添加される場合、エステル結合の形成が吸湿を大幅に抑制する差に留意されたい。対照的に、わずか2%のSEFOSE(登録商標)が吸湿を抑制し、より高い濃度ではSEFOSE(登録商標)は吸湿を抑制しない。したがって、理論に束縛されないが、SEFOSE(登録商標)結合材料の構造は、単純な脂肪酸エステルおよびセルロースにより形成される構造によって単純には説明され得ない。

【0182】

[実施例13]

飽和SFAE

飽和クラスのエステルは、室温でワックス状の固体であり、これは、飽和によって、試料マトリックスまたはそれ自体との反応性がより低い。高温(例えば少なくとも40°C、試験されたもの全てにおいて65°C超)を使用すると、これらの材料は溶融し、液体として塗布され得、次いでこれが冷却されて固化し、疎水性コーティングを形成する。代替として、これらの材料は、固体として乳化され、水性コーティングとして塗布されて疎水特性を付与してもよい。

【0183】

ここに示されるデータは、様々な量の飽和SFAEでコーティングされた紙から得られたHST(Herculesサイズ試験)読取り値を表す。

【0184】

Turner Falls紙から得られた#45、漂白広葉樹クラフトシートを、試験コーティングに使用した。Gurley空隙率はおよそ300秒と測定され、極めて密なベースシートを表している。三菱食品(日本)から得られたS-370は、コーティング前に、キサンタンガム(飽和SFAE調合物の質量の最大1%)で乳化された。

【0184】

Turner Falls紙から得られた#45、漂白広葉樹クラフトシートを、試験コーティングに使用した。Gurley空隙率はおよそ300秒と測定され、極めて密なベースシートを表している。三菱食品(日本)から得られたS-370は、コーティング前に、キサンタンガム(飽和SFAE調合物の質量の最大1%)で乳化された。

【0185】

飽和SFAE調合物のコート重量(1トン当たりのポンド)HST(試料当たり4回測定の平均)。

【0186】

【表13】

34

119

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【0187】

生成された実験データはまた、限定された量の飽和SFAEが、他の目的/用途に設計されたコーティングの耐水性を高めることができることを裏付けている。例えば、飽和SFAEは、Ethylexデンプンおよびポリビニルアルコール系コーティングとブレンドされ、それぞれの場合において耐水性の増加が観察された。

【0188】

以下の例は、18秒のGurley空隙率を有する#50の、漂白されリサイクルされたベース上にコーティングされた。

【0189】

100グラムのEthylex 2025を10%固形分(1リットル体積)で加熱処理し、10グラムのS-370を高温で添加し、Silversonホモジナイザを使用して混合した。得られたコーティングを、一般的な卓上型ドローダウンデバイスを使用して塗布し、紙を加熱ランプ下で乾燥させた。

【0190】

300#/トンのコート重量で、デンプンのみが480秒の平均HSTを有していた。デンプンおよび飽和SFAE混合物の同じコート重量では、HSTは710秒まで増加した。

【0191】

十分なポリビニルアルコール(Selvol 205S)を温水に溶解し、10%溶液を達成した。この溶液は上述の同じ#50紙上にコーティングされ、150ポンド/トンのコート重量で225の平均HSTを有していた。この同じ溶液を使用して、S-370を添加して乾燥基準で90%PVOH/10%S-370(すなわち、90mlの水、9グラムのPvOH、1グラムのS-370)を含有する混合物を達成したが、平均HSTは380秒に増加した。

【0192】

飽和SFAEは、プロラミン(具体的には、ゼイン、ここに引用することで本明細書の記載の一部をなすものとする米国特許第7,737,200号を参照)と適合する。前記特許の主題の商業生産に対する大きな障害の1つは、調合物が水溶性であることであるため、飽和SFAEの添加はこのように一助となる。

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【0204】

上記の反応は、トウモロコシデンプン、カバノキからのキシラン、カルボキシメチルセルロース、グルコースおよび抽出ヘミセルロースを含む、それぞれ50グラムの他の同様のポリオールと反応した200グラムのR-CO-クロリドを使用して数回反復された。

【0205】

[実施例17]

剥離試験

剥離試験は、再現性のある角度として紙表面からテープを剥離するために必要な力を測定するために、引張試験機の2つのジョーの間のホイールを利用する(ASTM D1876;例えば、100 Series Modular Peel Tester、TestResources、Shakopee、MN)。

【0206】

この作業のために、Turner Falls紙(Turner’s Falls、MA)からの高いGurley(600秒)を有する漂白クラフト紙を使用した。この#50ポンドシートは、極めて密であるが非常に吸収性の高いシートを表す。

【0207】

#50ポンド紙を対照としての15%Ethylexデンプンでコーティングした場合、必要とされる(5つの試料にわたる)平均的な力は、0.55ポンド/インチであった。同じコーティングであるが、25%のEthylexデンプンをSEFOSE(登録商標)で置換した(したがって25%のピックアップがSEFOSE(登録商標)であり、75%がまだEthylexである)コーティングで処理した場合、平均的な力は、0.081ポンド/インチに減少した。Ethylexの50%をSEFOSE(登録商標)で置換すると、必要とされる力は、0.03ポンド毎インチ未満まで減少した。

【0208】

この紙の調製は、紙の引張強度の決定に関するTAPPI標準方法404に従う。

【0209】

最後に、同じ紙を1トン当たり750ポンドの投入率でS-370と共に使用したが、これは、シート内の全ての細孔を効果的に充填し、完全な物理的バリアを形成する。これは確かに、平面でTAPPI kit 12に合格する。この簡単な実験は、飽和SFAE種を使用して耐グリース性を得ることが可能であることを示している。

【0210】

他の使用

カップベースストックは、耐水性を増加させるためにロジンで著しく処理されていることが分かっている。しかしながら、この厚紙におけるGurleyは50秒であることが分かっており、これは極めて多孔質の厚紙であることを示している。この材料は、再パルプ化可能であり、蒸気が速やかに浸透してそれを軟化させる。この厚紙に純粋なSEFOSE(登録商標)を塗布し、100°Cの炉内で一晩乾燥させた。得られた材料は、プラスチックのような感触を有し、完全に防水性であった。これは、質量で50%(wt/wt)セルロース/50%(wt/wt)SEFOSE(登録商標)であった。Gurleyは高過ぎるため測定できなかった。試料を水中に7日間浸しても材料は有意に軟化しなかったが、グリーンハウスデータ(greenhouse data)によれば、およそ150日で生物分解されるようである。一般的なテープおよび接着剤は、この複合材料に粘着しない。

【0211】

ゼインは紙に耐グリース性を付与することが示されているため、飽和SFAEおよびゼインを用いた実験を行った。飽和SFAEが2から5%添加されたゼインの安定な水分散液(水中最大25%)を生成した。観察によれば、飽和SFAEが調合物に(耐グリース性に加えて)耐水性を付与することにより紙上にゼインを「封鎖」することが実証された。

ウ 引用文献1に記載された発明

引用文献1の[00207]には「紙上に適用する飽和SFAEが2から5%添加されたゼインの安定な水分散液(水中最大25%)であって、飽和SFAEが調合物に(耐グリース性に加えて)耐水性を付与することにより紙上にゼインを「封鎖」するもの。」の発明(以下、「引用発明」という。)及び「引用発明を紙上に適用する方法」(以下、「引用発明2」という。)が記載されているといえる。

エ 対比・判断

(ア)引用発明との対比

本件補正発明と引用発明とを対比する。

引用発明の「飽和SFAE」は、糖脂肪酸エステルであるから、本件補正発明の「ポリオール脂肪酸エステル(PFAE)」、「前記PFAEの前記ポリオールが、環式構造を含み」に相当する(引用文献1の特許請求の範囲の請求項1参照。)。

引用発明の「ゼイン」は本件補正発明の「プロラミン」に相当する(引用文献1の[0082]参照。)。

引用発明の「調合物に(耐グリース性に加えて)耐水性を付与することにより紙上にゼインを「封鎖」する」、「ゼインの安定な水分散液(水中最大25%)」は、本件補正発明の「油および/またはグリースの浸透に対する増加した耐性を有」する「バリアコーティング」に相当する。

そうすると、本件補正発明と引用発明は「プロラミンと少なくとも1種のポリオール脂肪酸エステル(PFAE)とを含むバリアコーティングであって、前記PFAEの前記ポリオールが、環式構造を含み、前記バリアコーティングが油および/またはグリースの浸透に対する増加した耐性を有し、バリアコーティング。」である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点1>

PFAEが、本件補正発明では、1~2個の脂肪酸部分または3~5個の脂肪酸部分とを含み、少なくとも1つの脂肪酸部分が飽和脂肪酸であるのに対し、引用発明では、1~2個の脂肪酸部分または3~5個の脂肪酸部分とを含み、少なくとも1つの脂肪酸部分が飽和脂肪酸であるのか不明である点。

<相違点2>

本件補正発明では、PFAEとプロラミンの比が、重量対重量(wt/wt)ベースで1:1から5:1であるのに対し、引用発明では飽和SFAEが2から5%添加されたゼインの安定な水分散液(水中最大25%)である点。

<相違点3>

バリアコーティングが、本件補正発明では少なくとも3から少なくとも9のキット値を有するのに対し、引用発明ではキット値が不明である点。

(イ)相違点についての検討

a <相違点1>について

引用文献1にはPFAEに相当する飽和SFAEとしてS-370を用い、疎水性コーティングを形成し、HST(Herculesサイズ試験)により耐水性を高めることが確認され、その添加はゼインが水溶性であるための障害に対する一助となることが記載され([00180]~[00190]参照。)、紙にコーティングして完全に物理的バリアを形成することが記載されており([00183]、[00203]~[00205]参照。)、S-370は、本件補正発明における1~2個の脂肪酸部分または3~5個の脂肪酸部分とを含み、少なくとも1つの脂肪酸部分が飽和脂肪酸であるPFAEとして本件明細書の実施例において実際に記載されているものである。

そうすると、引用発明において、調合物に(耐グリース性に加えて)耐水性を付与することにより紙上にゼインを「封鎖」する飽和SFAEとして、耐水性を高めることが確認され、その添加はゼインが水溶性であるための障害に対する一助となることが明らかなS-370を採用し、PFAEが、1~2個の脂肪酸部分または3~5個の脂肪酸部分とを含み、少なくとも1つの脂肪酸部分が飽和脂肪酸であるものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

b <相違点2>について

引用文献1は、ゼインのようなプロラミンは乳化剤であり、糖エステル:乳化剤の比は、約0.1:99.9から、約1:99から、約10:90から、約20:80から、約35:65から、約40:60から、および約50:50からであってもよいことが記載されており([00122]参照。)、実際に、糖エステル:乳化剤の比が50:50(1:1)である態様も記載されているから([00175]~[00177]参照。)、引用発明において、ゼインと飽和SFAEの比を前記記載に基づいて選択し、PFAEとプロラミンの比が、重量対重量(wt/wt)ベースで1:1から5:1であるものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

c <相違点3>について

引用発明は、飽和SFAEが調合物に耐グリース性を付与しているから、少なくとも3のキット値を有することは明らかであり、この点は実質的な相違点ではない。

仮に、この点が相違点であるとしても、引用文献1にはS-370が12のキット値を有することが記載されており([00205]参照。)、ゼインも耐グリース性を付与することが記載されているから([00207]参照。)、前記<相違点1>及び<相違点2>で検討したとおり、引用発明において、飽和SFAEとしてS-370を採用し、S-370とゼインの比が、重量対重量(wt/wt)ベースで1:1から5:1であるものとすれば、少なくとも3のキット値を有するものとなることは明らかである。

(ウ)本件補正発明の効果について

本願明細書に、PFAEが1~2個の脂肪酸部分または3~5個の脂肪酸部分とを含み、少なくとも1つの脂肪酸部分が飽和脂肪酸であり、PFAEとプロラミンの比が、重量対重量(wt/wt)ベースで1:1から5:1である本件補正発明のバリアコーティングが、PFAEが1~2個の脂肪酸部分または3~5個の脂肪酸部分とを含み、少なくとも1つの脂肪酸部分が飽和脂肪酸ではなく、PFAEとプロラミンの比が、重量対重量(wt/wt)ベースで1:1から5:1ではないものと比較して優れた効果を奏することは記載されていないから、本件補正発明1の効果の程度は、本件補正発明の構成から当業者が予測することができた範囲の効果を超える顕著なものであるとはいえない。

(エ)審判請求人の主張及び当審における判断について

a 審判請求人の主張

請求人は、令和6年7月1日受付の審判請求書において、以下の点を主張している。

引用文献1には、プロラミンが合計7つの化合物のうちの1つであり、SFAEとプロラミンの特定の組み合わせは開示されておらず、SFAEとプロラミンの併用によって達成されるキット値も開示されていないし、ポリオール脂肪酸エステルとプロラミンとの間に相乗作用のようなものがあるという開示も示唆もなく、バリアコーティングの少なくとも3から少なくとも9のキット値を有するバリアコーティングのキット値の微調整を可能にする、重量対重量(wt/w t)基準で1:1から5:1の比率のポリオール脂肪酸エステルとプロラミンは教示も示唆もされていない。

b 当審の判断

プロラミンが合計7つの化合物のうちの1つであるとしても、プロラミンは引用発明との対比において相違点とはなるものではなく、前記ウ及び(ア)のとおり、引用文献1の[00207]にはSFAEとプロラミンの特定の組み合わせは開示されており、ポリオール脂肪酸エステルとプロラミンとの間の相乗作用は、本件補正発明の特定事項ではなく、本願明細書にも示されていないし、前記イ<相違点3>についてで検討したとおり、キット値の点は引用発明との対比において相違点とはならないか、SFAEとしてS-370を採用し、S-370とゼインの比が、重量対重量(wt/wt)ベースで1:1から5:1であるものとすれば、少なくとも3のキット値を有するものとなることは明らかである。

そうすると、審判請求人の前記主張はいずれも採用できない。

オ 小括

したがって、本件補正発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献1に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法126条第7項の規定に違反するから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3 むすび

以上のとおりであるから、本件補正は、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について

1 本願発明

上記第2のとおり、本件補正は却下されたので、本願発明は、令和5年12月4日提出の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1~17に記載された事項により特定されるとおりのものであって、その請求項1、15に係る発明(以下、それぞれ、「本願発明1」、「本願発明15」という。)は前記第2 1(2)に示したとおりである。

2 原査定の拒絶理由

原査定の拒絶の理由は、「令和5年5月30日付け拒絶理由通知書に記載した理由2」であり、要するに、この出願の請求項1~20に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。

そして、該拒絶の理由において引用された刊行物は次のとおりである。

<引用文献等一覧>

1.国際公開第2018/045248号

3 引用文献

原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1は、前記前記第2 2(2)イの引用文献1であって、引用文献1の記載事項は、前記第2 2(2)イに記載したとおりである。

4 対比・判断

(1)本願発明1

本願発明1は、前記「第2 2」で検討した本件補正発明の「バリアコーティング」なる事項について「前記バリアコーティングが油および/またはグリースの浸透に対する増加した耐性を有し、少なくとも3から少なくとも9のキット値を有する」との限定がないものである。

そうすると、本願発明1の発明特定事項を全て含み、さらに前記事項によって限定したものに相当する本件補正発明が、前記「第2 2(2)エ」に記載したとおり、当該引用文献1に記載された発明及び当該引用文献1に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明1も、当該引用文献1に記載された発明及び当該引用文献1に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(2)本願発明15

ア 引用発明との対比

本願発明15と引用発明2とを対比する。

引用発明2の「飽和SFAE」は、糖脂肪酸エステルであるから、本願発明15の「ポリオール脂肪酸エステル(PFAE)」に相当する(引用文献1の特許請求の範囲の請求項1参照。)。

引用発明2の「ゼイン」は本願発明15の「プロラミン」に相当する(引用文献1の[0082]参照。)。

引用発明2の「調合物に(耐グリース性に加えて)耐水性を付与することにより紙上にゼインを「封鎖」する」、「ゼインの安定な水分散液(水中最大25%)」は、本願発明15の「バリアコーティング」に相当する。

そうすると、本願発明15と引用発明2は「プロラミンと少なくとも1種のポリオール脂肪酸エステル(PFAE)とを含むバリアコーティング」の点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点4>

本願発明15では、PFAEとプロラミンの比が、重量対重量(wt/wt)ベースで1:1から5:1で含むのに対し、引用発明2では飽和SFAEが2から5%添加されたゼインの安定な水分散液(水中最大25%)である点。

<相違点5>

本願発明15は、疎油耐性のためにセルロースベースの材料を調節可能に誘導体化する方法であって、疎油耐性のためにセルロースベースの材料を調節可能に誘導体化する方法であって、前記セルロースベースの材料を、バリアコーティングと接触させ、接触させた前記セルロースベースの材料を熱、放射線、触媒またはそれらの組合せに、前記バリアコーティングを前記セルロースベースの材料に付着させるのに十分な時間曝露するステップを含む、方法であるのに対し、引用発明2はそのような方法ではない点。

イ 相違点についての検討

<相違点4>について

<相違点4>は、前記第2 2(2)エ(ア)の<相違点2>と実質的に同じであり、前記第2 2(2)エ(イ)<相違点2>についてで検討したとおり、PFAEとプロラミンの比が、重量対重量(wt/wt)ベースで1:1から5:1であるものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

<相違点5>について

引用文献1には、疎水性および/または疎油性耐性のためにセルロース系材料を調整可能に誘導体化する方法であって、a)前記セルロース系材料を糖脂肪酸エステルと接触させるステップと、b)前記接触させたセルロース系材料を、熱、放射線、触媒またはそれらの組合せに曝露し、前記糖脂肪酸エステルを前記セルロース系材料に結合させるステップとを含む、方法が、記載されているから(特許請求の範囲の請求項16)、その方法を、引用発明2の方法の具体的手段として採用し、疎油耐性のためにセルロースベースの材料を調節可能に誘導体化する方法であって、前記セルロースベースの材料を、バリアコーティングと接触させ、接触させた前記セルロースベースの材料を熱、放射線、触媒またはそれらの組合せに、前記バリアコーティングを前記セルロースベースの材料に付着させるのに十分な時間曝露するステップを含む、方法とすることは当業者が容易に想到し得ることである。

ウ 本件補正発明の効果について

本願明細書に、PFAEとプロラミンの比を、重量対重量(wt/wt)ベースで1:1から5:1とし、疎油耐性のためにセルロースベースの材料を調節可能に誘導体化する方法とした本願発明15が、PFAEとプロラミンの比が、重量対重量(wt/wt)ベースで1:1から5:1ではないものと比較して優れた効果を奏することは記載されていないから、本願発明15の効果の程度は、本願発明15の構成から当業者が予測することができた範囲の効果を超える顕著なものであるとはいえない。

エ 審判請求人の主張及び当審の判断について

(ア)審判請求人の主張

請求人は、令和5年12月4日受付の意見書において、以下の点を主張している。

引用文献1には、プロラミンが合計7つの化合物のうちの1つであり、SFAEとプロラミンの特定の組み合わせは開示されておらず、バリアコーティングのキット値の微調整を可能にするような相乗作用が存在することは、先行技術には開示も示唆も教示も示唆もされていない。

(イ)当審における判断

プロラミンが合計7つの化合物のうちの1つであるとしても、プロラミンは引用発明との対比において相違点とはなるものではなく、SFAEとプロラミンの特定の組み合わせは開示されており、バリアコーティングのキット値の微調整を可能にするような相乗作用は、本願発明15の特定事項ではなく、本願明細書にも示されていない。

そうすると、審判請求人の前記主張はいずれも採用できない。

オ 小括

したがって、本願発明15は、引用文献1に記載された発明及び引用文献1に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび

以上のとおり、本願発明1、15は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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