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Trademark Appeal Case

請求項補正の適否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2024012025
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

理 由

第1 手続の経緯

本願は、2020年(令和 2年) 3月 2日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2019年 3月15日 欧州特許庁(EP))を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯の概略は以下のとおりである。

令和 3年 9月 9日 :翻訳文提出

令和 5年 9月26日付け:拒絶理由通知書

令和 5年12月28日 :意見書、手続補正書の提出

令和 6年 3月22日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)

(3月27日 :原査定の謄本の送達)

令和 6年 7月22日 :審判請求書、手続補正書の提出

令和 7年 4月 7日 :上申書、物件提出書の提出

第2 令和 6年 7月22日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和 6年 7月22日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 補正の内容

(1) 本件補正後の特許請求の範囲の記載

本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)

「長手方向(L)に連続して配置され、相互に接続された複数の透かし彫りの中空円筒形のセグメント(11、13)から組み立てられた透かし彫りの中空円筒形の本体(10)を備え、各セグメントが、前記長手方向に配置された前記本体(10)の各端部にある末端セグメント(11)と、2つの前記末端セグメント(11)の間で前記長手方向(L)に配置された少なくとも1つの内側セグメント(13)とを含み、各セグメント(11、13)が、最大点(25)及び最小点(23)を有して円周方向に延在する蛇行構造を一緒に形成する複数のバー(21)を含み、前記本体(10)が、圧縮状態及び拡張状態をとる、インプラントであって、少なくとも1つの前記末端セグメント(11)の前記蛇行構造が、前記少なくとも1つの内側セグメント(13)よりも少数の最小点(23)を有し、前記インプラントは、全体的又は部分的に生分解性材料からなり得、前記生分解性材料は、マグネシウム又はマグネシウム合金に基づき、X線不透過性及び/又は放射線不透過性材料からなる機能要素を配置するための少なくとも1つの小穴(27)が、前記本体(10)の少なくとも1つの末端セグメント(11)の前記蛇行構造上に提供され、小穴(27)の内側開口部(28)は、楕円形であり、楕円は、その主軸が前記本体(10)の長手方向Lに平行になるように本体10に配置され

、前記内側セグメント(13)の前記バー(21)は、湾曲して延在し、隣接するセグメント(11、13)は、少なくとも1つの接続バー(15)によって互いに接続され、前記少なくとも1つの接続バー(15)は、湾曲した形状又はS字形で延在する

ことを特徴とする、インプラント。」

(2) 本件補正前の特許請求の範囲

本件補正前の、令和 5年12月28日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。

「長手方向(L)に連続して配置され、相互に接続された複数の透かし彫りの中空円筒形のセグメント(11、13)から組み立てられた透かし彫りの中空円筒形の本体(10)を備え、各セグメントが、前記長手方向に配置された前記本体(10)の各端部にある末端セグメント(11)と、2つの前記末端セグメント(11)の間で前記長手方向(L)に配置された少なくとも1つの内側セグメント(13)とを含み、各セグメント(11、13)が、最大点(25)及び最小点(23)を有して円周方向に延在する蛇行構造を一緒に形成する複数のバー(21)を含み、前記本体(10)が、圧縮状態及び拡張状態をとる、インプラントであって、少なくとも1つの前記末端セグメント(11)の前記蛇行構造が、前記少なくとも1つの内側セグメント(13)よりも少数の最小点(23)を有し、前記インプラントは、全体的又は部分的に生分解性材料からなり得、前記生分解性材料は、マグネシウム又はマグネシウム合金に基づき、X線不透過性及び/又は放射線不透過性材料からなる機能要素を配置するための少なくとも1つの小穴(27)が、前記本体(10)の少なくとも1つの末端セグメント(11)の前記蛇行構造上に提供され、小穴(27)の内側開口部(28)は、楕円形であり、楕円は、その主軸が前記本体(10)の長手方向Lに平行になるように本体10に配置されることを特徴とする、インプラント。」

2 補正の適否

(1) 補正の目的

本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「セグメント」について、「前記内側セグメント(13)の前記バー(21)は、湾曲して延在し、隣接するセグメント(11、13)は、少なくとも1つの接続バー(15)によって互いに接続され、前記少なくとも1つの接続バー(15)は、湾曲した形状又はS字形で延在する」という限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(2) 本件補正発明

本件補正発明は、前記1(1)に記載したとおりのものである。

(3) 引用文献の記載事項及び引用発明

ア 原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特表2017-512559号公報(原査定の引用文献1)には、次の記載がある。なお、下線は当審が付与した。

(ア) 「【請求項1】

長手方向の長さと、前記長手方向の長さに沿って変化するラジアル力と、

相互に接続された複数の蛇行バンド

を有するステント

において、前記

蛇行バンドの各々は近位ターンおよび遠位ターンによって相互に接続されたストラットを含み

、前記蛇行バンドの各々はストラット角と、いくつかのストラット対と、壁厚とを有しており、前記

蛇行バンドは

第一ラジアル力を有する

第一蛇行バンドと

、前記第一ラジアル力よりも小さい第二ラジアル力を有する

第二蛇行バンドとを含み

前記第一蛇行バンドの前記ストラット角は前記第二蛇行バンドの前記ストラット角よりも小さく、

前記第一蛇行バンドの前記ストラット対の数は前記第二蛇行バンドの前記ストラット対の数よりも多く

前記第一蛇行バンドの前記壁厚は前記第二蛇行バンドの前記壁厚よりも厚いステント。」

(イ) 「【請求項3】

請求項1に記載のステントにおいて、

前記第一蛇行バンドは前記ステントの中央領域を形成する複数の蛇行バンドであり、前記第二蛇行バンドは前記ステントの第一端部領域および第二端部領域を形成する複数の蛇行バンドであり、前記中央領域は前記第一端部領域および前記第二端部領域の間に位置し

、前記第一端部領域および前記第二端部領域は前記中央領域よりも小さいラジアル力を有しているステント。」

(ウ) 「【0003】

ステント

、グラフト、ステントグラフト、大静脈フィルタ、拡張可能なフレームワーク、および同様の植め込み可能な医療装置

は半径方向に拡張可能

な内部人工器官である。前記内部人工器官は典型的には、経皮的に導入された後、経管的に埋め込まれ、かつ半径方向に拡張され得る

脈管内インプラント

である。」

(エ) 「【0032】

本願の目的のため、別段の指示がない限り、図中の同一の参照符号は同一の特徴を指すものとする。

本願の

ステント10は管状

であり、ステントの長手方向の長さLに沿って可変のラジアル力を有している。具体的には、中央におけるラジアル力はステントの端部におけるラジアル力よりも大きい。

【0033】

ステントは一つの中央領域と、二つの端部領域とを有している。本願で用いられるように、「領域」とは管状ステントにおいて、第一長手方向位置から第二長手方向位置まで延び、管状ステントの全周にわたって延び、かつ少なくとも一つの蛇行バンド16を含む部分を指す。さらなる態様において、ステントは中央領域および端部領域の間に位置する移行領域を有している。ステントは一つまたは二つの移行領域を有することができる。以下、中央領域を形成する蛇行バンドを蛇行中央バンドと呼び、移行領域を形成する蛇行バンドを蛇行移行バンドと呼び、端部領域を形成する蛇行バンドを蛇行端部バンドと呼ぶこととする。

【0034】

各蛇行バンド16は、反対方向を向いたターン20、22によって相互に接続されたストラット18で形成される。本願で用いられるように、

「蛇行バンド」は

ステントおよびターンが閉じられた経路を形成するように

ステントの全周にわたって延びる

。各ターンは二つのストラットに係合し、各ストラットは反対方向を向いた二つのターンに係合する。ストラットの長さ(以下、ストラット長19)は、二つの反対向きのターンの間で測定される。

ストラットは

直線状であってもよいし、

少なくとも一つの屈曲部を有していてもよい

。また、ストラットはステントの長手方向軸線に平行に延びてもよいし、ステントの長手方向軸線に対して斜めの角度で延びてもよい。本明細書で用いられるように、長手方向軸線に対する「斜めの角度」とは、長手方向軸線に対して垂直でも平行でもない角度を指す。また、ストラットは一定のストラット長を有していても、異なるストラット長を有していてもよい。本明細書で用いられるように、「一定」とは、同一であることを指す。例えば、蛇行バンドのストラットが一定の長さを有する場合、全てのストラットは同じ長さであるといえる。

【0035】

各蛇行バンドは

長手方向のバンド長を有しており、

長手方向の間隔の長さsによって少なくとも一つの他の蛇行バンドから長手方向に離間している

コネクタ24は隣接する蛇行バンドを係合する。コネクタは

直線状であっても

少なくとも一つの屈曲部を有していてもよい

し、長手方向に延びていても円周方向に延びていてもよい。本明細書で用いられるように、「円周方向コネクタ」は円周方向にオフセットされた端部を有している一方で、「長手方向コネクタ」は円周方向に整列された端部を有している。各コネクタは一つの蛇行バンドのターンから長手方向に隣接する蛇行バンドのターンまで延びる。コネクタによって係合されたターンは、反対方向を向いていても同じ方向を向いていてもよい。」

(オ) 「【0038】

蛇行バンドは一定のストラット角θ、または可変のストラット角θを有することができる。例えば、図2および図4~5に示す蛇行バンド16aおよび16cは可変のストラット角θを有している一方で、図1に示す蛇行バンド16a~16jや、図2および図4~5に示す蛇行バンド16bは一定のストラット角θを有している。蛇行バンド16bについて、蛇行バンド16bの二つのストラット18の間のストラット角θは、ストラット18およびコネクタ24の間のストラット角θと等しい。蛇行バンド16aについて、

近位ターン20

遠位ターン22

よりも大きいストラット角θを有しており、蛇行バンド16cについて、近位ターン20のいくつかは第一ストラット角θか、第一ストラット角θよりも小さい第二ストラット角θを有している(例えば、図2)。」

(カ) 「【0040】

本願で用いられる場合、

「ストラット対」とは、ターンによって係合された二つのストラットからなる蛇行バンドのユニットを指し、ストラットは一つのストラット対のみに含まれる(言い換えると、二つの円周方向に隣接するストラット対はストラットを共有しない)

。ターンは二つのストラットに係合されるため、蛇行バンドが8個の近位ターンを有している場合、蛇行バンドは8個のストラット対を有している。ストラット対の数が少ない蛇行バンドはストラット対の数が多い蛇行バンドよりも弱くなり、半径方向への崩壊に対する抵抗が低下するため、ステントの端部領域または端部においてストラット対の数が少ない蛇行バンドにおいては、ステントの端部領域または端部のラジアル力が低下する。蛇行バンドは任意の数のストラット対を有することができる。」

(キ) 「【0045】

ステントは

一つ以上のポリマー、一つ以上の金属、またはポリマーおよび金属の組み合わせを含む任意の適切な生体適合性材料

から生成することができる

。適切な材料の例には、

生体適合性および生分解性を有する材料

を含む。生分解可能であるとは、その材料が正常な生物学的過程の一部として無害な化合物に分離または分解されることを意味する。適切な生分解性材料には、ポリ乳酸、ポリグリコール酸(PGA)、コラーゲン、他の結合タンパク質や天然材料、ポリカプロラクトン、hylauric酸、接着性タンパク質、これらの材料の共重合体、これらの複合材料および組み合わせ、および他の生分解性ポリマーの組み合わせが含まれる。使用可能な他のポリマーには、ポリエステルおよびポリカーボネート共重合体が含まれる。適切な金属の例には、ステンレス鋼、チタン、タンタル、白金、タングステン、金、および前記金属の何れかの合金が含まれるが、これらに限定されない。適切な合金の例には、白金-イリジウム合金、ELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)、MP35N合金を含むコバルト-クロム合金、およびニチノール(登録商標)等のニッケル-チタン合金が含まれる。」

(ク) 「【0047】

ステントは

管状材料から

、あるいは切断またはエッチングされた後に圧延される平坦なシートから

図案を切断またはエッチングすることを含む方法によって生成する

ことができる。当該技術分野において既知の、または今後開発される他の任意の適切な技術を、本明細書に開示されたステントを製造するために用いることもできる。」

(ケ) 「【0048】

いくつかの実施形態において、ステント、送達システム、またはアセンブリの他の部分は、

X線、MRI、超音波等の画像診断法によって検出可能な一つ以上の領域、バンド、コーティング、部材等を含んでもよい

。いくつかの実施形態において、ステントおよび隣接するアセンブリの少なくとも一つの少なくとも一部は、少なくとも部分的に

放射線不透過性

を有していてもよい。」

(コ) 図1「

77

153

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(サ) 前記(ア)の「前記第一蛇行バンドの前記ストラット対の数は前記第二蛇行バンドの前記ストラット対の数よりも多」いという記載及び前記(カ)の「「ストラット対」とは、ターンによって係合された二つのストラットからなる蛇行バンドのユニットを指し、ストラットは一つのストラット対のみに含まれる(言い換えると、二つの円周方向に隣接するストラット対はストラットを共有しない)」という記載を踏まえると、

第二蛇行バンドは、第一蛇行バンドよりも少数の遠位ターン22を有する

イ 前記(ア)~ (オ)、(キ)~(ケ)及び(サ)の特に下線部の記載並びに(コ)の図面の記載からすれば、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「複数の蛇行バンド16を有する、管状材料から図案を切断又はエッチングすることを含む方法によって生成された管状のステント10であって、

各蛇行バンド16が、長手方向の間隔の長さsによって少なくとも一つの他の蛇行バンド16から長手方向に離間して、相互に接続されており、ステント10の全周にわたって延び、

複数の蛇行バンド16が、ステント10の第一端部領域及び第二端部領域を形成する複数の蛇行バンド16である第二蛇行バンドと、ステント10の第一端部領域及び第二端部領域の間に位置する中央領域を形成する複数の蛇行バンド16である第一蛇行バンドとを含み、

蛇行バンド16の各々は近位ターン20及び遠位ターン22によって相互に接続されたストラット18を含み、

ステント10が半径方向に拡張可能である脈管内インプラントであり、

第二蛇行バンドは、第一蛇行バンドよりも少数の遠位ターン22を有し、

ステント10は、生体適合性及び生分解性を有する材料から生成することができ、X線、MRI、超音波等の画像診断法によって検出可能な放射線不透過性の一つ以上の領域、バンド、コーティング、部材等を含み、

ストラット18は少なくとも一つの屈曲部を有していて、

コネクタ24は隣接する蛇行バンド16を係合し、

コネクタ24は少なくとも一つの屈曲部を有している、ステント10。」

(4) 対比

ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。

(ア) 引用発明の「管状のステント10」は、「脈管内インプラントであり」、また、引用文献1の例えば【0040】(前記(3)ア(カ)を参照)で用いられている「円周」という語及び技術常識を踏まえれば、断面が円形であるから、本件補正発明の「中空円筒形の本体(10)を備え」る「インプラント」に相当する。

引用発明の「管状材料から図案を切断又はエッチングすることを含む方法によって生成された」ものは、本件補正発明の「透かし彫り」に相当する。

(イ) 引用発明の、ステント10が有する「各蛇行バンドが、長手方向の間隔の長さsによって少なくとも一つの他の蛇行バンドから長手方向に離間して、相互に接続されており、ステント10の全周にわたって延び」る「複数の蛇行バンド16」は、前記(ア)並びにその機能及び構造を踏まえると、本件補正発明の、中空円筒形の本体(10)を「組み立て」ている「長手方向(L)に連続して配置され、相互に接続された複数の透かし彫りの中空円筒形のセグメント(11、13)」に相当する。

(ウ) 引用発明の「複数の蛇行バンド16が、ステント10の第一端部領域及び第二端部領域を形成する複数の蛇行バンド16である第二蛇行バンドと、ステント10の第一端部領域及び第二端部領域の間に位置する中央領域を形成する複数の蛇行バンド16である第一蛇行バンドとを含」むことは、本件補正発明の「各セグメントが、前記長手方向に配置された前記本体(10)の各端部にある末端セグメント(11)と、2つの前記末端セグメント(11)の間で前記長手方向(L)に配置された少なくとも1つの内側セグメント(13)とを含」むことに相当する。

(エ) 本件補正発明の「最大点(25)」及び「最小点(23)」という用語について、本願明細書の段落[0006]の「蛇行構造は、交互に最小点と最大点とを有し、本体の第1端の近くにある円弧は、セグメントの最小点と呼ばれ、一方、第1端の反対側の本体の端の近くにある他の円弧は、最大点と呼ばれる。」という記載を踏まえると、引用発明の「近位ターン20」及び「遠位ターン22」は、本件補正発明の「最大点(25)」及び「最小点(23)」にそれぞれ相当する。

引用発明の「ストラット18」は、本件補正発明の「バー(21)」に相当する。

したがって、引用発明の「蛇行バンド16の各々は近位ターン20及び遠位ターン22によって相互に接続されたストラット18を含み」、「ステント10の全周にわたって延び」ることは、本件補正発明の「各セグメント(11、13)が、最大点(25)及び最小点(23)を有して円周方向に延在する蛇行構造を一緒に形成する複数のバー(21)を含」むことに相当する。

(オ) 引用発明の「ステント10が半径方向に拡張可能である」ことは、拡張される前に圧縮状態をとると表現できるから、本件補正発明の「前記本体(10)が、圧縮状態及び拡張状態をとる」ことに相当する。

(カ) 引用発明の「第二蛇行バンドは、第一蛇行バンドよりも少数の遠位ターン22を有」することは、本件補正発明の「少なくとも1つの前記末端セグメント(11)の前記蛇行構造が、前記少なくとも1つの内側セグメント(13)よりも少数の最小点(23)を有」することに相当する。

(キ) 引用発明の「ステント10は、生体適合性及び生分解性を有する材料から生成することができ」は、ステント10が脈管内インプラントであるから、本件補正発明の「前記インプラントは、全体的又は部分的に生分解性材料からなり得」に相当する。

引用発明の「X線、MRI、超音波等の画像診断法によって検出可能な放射線不透過性の一つ以上の領域、バンド、コーティング、部材等を含」むことは、本件補正発明の「X線不透過性及び/又は放射線不透過性材料からなる機能要素を配置する」ことに相当する。

したがって、引用発明の「X線、MRI、超音波等の画像診断法によって検出可能な放射線不透過性の一つ以上の領域、バンド、コーティング、部材等を含」むことと、本件補正発明の「X線不透過性及び/又は放射線不透過性材料からなる機能要素を配置するための少なくとも1つの小穴(27)が、前記本体(10)の少なくとも1つの末端セグメント(11)の前記蛇行構造上に提供され、小穴(27)の内側開口部(28)は、楕円形であり、楕円は、その主軸が前記本体(10)の長手方向Lに平行になるように本体10に配置され」ることは、X線不透過性及び/又は放射線不透過性材料からなる機能要素を配置するための構造が提供される限りで一致する。

(ク) 引用発明のステント10の第一端部領域及び第二端部領域の間に位置する中央領域を形成する複数の蛇行バンド16である第一蛇行バンドの「ストラット18は少なくとも一つの屈曲部を有してい」ることは、本件補正発明の「前記内側セグメント(13)の前記バー(21)は、湾曲して延在」することに相当する。

(ケ) 引用発明の「コネクタ24は隣接する蛇行バンド16を係合」することは、本件補正発明の「隣接するセグメント(11、13)は、少なくとも1つの接続バー(15)によって互いに接続され」ることに相当する。

(コ) 引用発明の「コネクタ24は少なくとも一つの屈曲部を有している」ことは、本件補正発明の「前記少なくとも1つの接続バー(15)は、湾曲した形状又はS字形で延在する」ことに相当する。

イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

[一致点]

「長手方向(L)に連続して配置され、相互に接続された複数の透かし彫りの中空円筒形のセグメント(11、13)から組み立てられた透かし彫りの中空円筒形の本体(10)を備え、各セグメントが、前記長手方向に配置された前記本体(10)の各端部にある末端セグメント(11)と、2つの前記末端セグメント(11)の間で前記長手方向(L)に配置された少なくとも1つの内側セグメント(13)とを含み、各セグメント(11、13)が、最大点(25)及び最小点(23)を有して円周方向に延在する蛇行構造を一緒に形成する複数のバー(21)を含み、前記本体(10)が、圧縮状態及び拡張状態をとる、インプラントであって、少なくとも1つの前記末端セグメント(11)の前記蛇行構造が、前記少なくとも1つの内側セグメント(13)よりも少数の最小点(23)を有し、前記インプラントは、全体的又は部分的に生分解性材料からなり得、X線不透過性及び/又は放射線不透過性材料からなる機能要素を配置するための構造が提供され、前記内側セグメント(13)の前記バー(21)は、湾曲して延在し、隣接するセグメント(11、13)は、少なくとも1つの接続バー(15)によって互いに接続され、前記少なくとも1つの接続バー(15)は、湾曲した形状又はS字形で延在する、インプラント。」

[相違点1]

生分解性材料について、本件補正発明は、「マグネシウム又はマグネシウム合金に基づ」くのに対し、引用発明は、そのような特定がない点。

[相違点2]

X線不透過性及び/又は放射線不透過性材料からなる機能要素を配置するための構造について、本件補正発明は、「少なくとも1つの小穴(27)が、前記本体(10)の少なくとも1つの末端セグメント(11)の前記蛇行構造上に提供され、小穴(27)の内側開口部(28)は、楕円形であり、楕円は、その主軸が前記本体(10)の長手方向Lに平行になるように本体10に配置され」るのに対し、引用発明は、そのような特定がない点。

(5) 判断

ア 相違点1について検討する。

ステントなどのインプラントの生分解性材料をマグネシウム又はマグネシウム合金に基づくものとすることは、例えば、特開2018-121936号公報(原査定の引用文献2)の段落【0025】、特表2009-542352号公報(原査定の引用文献3)の段落【0022】、特表2013-526933号公報(原査定の引用文献4)の段落【0043】に記載されているように、周知技術である。

したがって、上記周知技術を適用して、引用発明の生分解性材料を、具体的にマグネシウム又はマグネシウム合金に基づくものとすることは、当業者が容易になし得た事項である。

イ 相違点2について検討する。

ステントなどのインプラントにおいて、X線不透過性及び/又は放射線不透過性材料からなる機能要素を配置するための構造として、少なくとも1つの小穴が、ステントなどのインプラント本体の少なくとも1つの末端セグメントの蛇行構造上に提供され、小穴の内側開口部が、楕円形であり、楕円を、その主軸がインプラント本体の長手方向に平行になるようにインプラント本体に配置することは、例えば、国際公開第2008/096512号(原査定の引用文献6)の段落[0030]、[0032]、[0034]~「0035」、図1~3に記載されているように、周知技術である。

したがって、引用発明のX線不透過性及び/又は放射線不透過性材料からなる機能要素を配置するための構造として、上記周知技術を適用して、少なくとも1つの小穴が、ステント10の第二蛇行バンドの上に提供され、小穴の内側開口部が、楕円形であり、楕円を、その主軸がステント10の長手方向に平行になるようにステント10に配置することは、当業者が容易になし得た事項である。

ウ そして、本件補正発明の作用効果は、引用発明及び周知技術から当業者が予測される範囲内のものにすぎない。

エ したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

オ なお、令和 7年 4月 7日に提出された上申書において、請求人は、以下の請求項1を含む手続補正書案を提示する。

「長手方向(L)に連続して配置され、相互に接続された複数の透かし彫りの中空円筒形のセグメント(11、13)から組み立てられた透かし彫りの中空円筒形の本体(10)を備え、各セグメントが、前記長手方向に配置された前記本体(10)の各端部にある末端セグメント(11)と、2つの前記末端セグメント(11)の間で前記長手方向(L)に配置された少なくとも1つの内側セグメント(13)とを含み、各セグメント(11、13)が、最大点(25)及び最小点(23)を有して円周方向に延在する蛇行構造を一緒に形成する複数のバー(21)を含み、前記本体(10)が、圧縮状態及び拡張状態をとる、インプラントであって、少なくとも1つの前記末端セグメント(11)の前記蛇行構造が、前記少なくとも1つの内側セグメント(13)よりも少数の最小点(23)を有し、前記インプラントは、全体的又は部分的に生分解性材料からなり得、前記生分解性材料は、マグネシウム又はマグネシウム合金に基づき、X線不透過性及び/又は放射線不透過性材料からなる機能要素を配置するための少なくとも1つの小穴(27)が、前記本体(10)の少なくとも1つの末端セグメント(11)の前記蛇行構造上に提供され、小穴(27)の内側開口部(28)は、楕円形であり、楕円は、その主軸が前記本体(10)の長手方向Lに平行になるように本体10に配置され、前記内側セグメント(13)の前記バー(21)は、湾曲して延在し、隣接するセグメント(11、13)は、少なくとも1つの接続バー(15)によって互いに接続され、前記少なくとも1つの接続バー(15)は、湾曲した形状又はS字形で延在

し、前記少なくとも1つの接続バー(15)が、前記少なくとも1つの内側セグメント(13)の前記バー(21)及び/又は前記少なくとも1つの末端セグメントの前記バーよりも小さいバー幅(v)を有する

ことを特徴とする、インプラント。」

しかし、令和 6年10月15日付け前置報告書で引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特表2009-543600号公報(前置報告書の引用文献8)の段落【0074】には、コネクタ50の幅がストラット40の幅より狭いことが、記載されている。

したがって、上記手続補正書案の請求項1に記載される発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。

3 本件補正についてのむすび

本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。

よって、補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1 本願発明

令和 6年 7月22日にされた手続補正は、前記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和 5年12月28日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~13に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2の[理由]1(2)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由の概要は次のとおりである。

理由3(進歩性)この出願の請求項1~13に係る発明は、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び周知技術に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

1.特表2017-512559号公報

2.特開2018-121936号公報(周知技術を示す文献)

3.特表2009-542352号公報(周知技術を示す文献)

4.特表2013-526933号公報(周知技術を示す文献)

6.国際公開第2008/096512号(周知技術を示す文献)

7.国際公開第2018/130489号(周知技術を示す文献)

3 引用文献の記載事項及び引用発明

原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項及び引用発明は、前記第2の[理由]2(3)に記載したとおりである。

4 対比・判断

本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「セグメント」について、「前記内側セグメント(13)の前記バー(21)は、湾曲して延在し、隣接するセグメント(11、13)は、少なくとも1つの接続バー(15)によって互いに接続され、前記少なくとも1つの接続バー(15)は、湾曲した形状又はS字形で延在する」という限定事項を削除したものである。

そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(4)、(5)に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同じ理由で引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび

以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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