結論テキスト
本件審判の請求は、成り立たない。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2024015758 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本願は、平成28年5月24日に出願された特願2016-102971(以下「原々々出願」という。)の一部を分割して、令和2年5月8日に新たな特許出願とした特願2020-82638の一部を分割して、令和3年12月24日に新たな特許出願とした特願2021-210232の一部を分割して、令和5年5月30日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
令和 5年 5月30日 :上申書の提出
令和 6年 3月 6日付け:拒絶理由通知書
同年 5月10日 :意見書、手続補正書の提出
同年 6月24日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
同年 7月 2日 :原査定の謄本の送達
同年10月 1日 :審判請求書、手続補正書の提出
[補正の却下の決定の結論]
令和6年10月1日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
本件補正は、令和5年5月10日提出の手続補正書の特許請求の範囲の請求項5における
(補正前)
「【請求項5】
通信部、受信部、及び表示部を備える通信端末であって、
前記通信部は、前記通信端末が作業機に近づき、前記通信端末が前記作業機からの電波を受信すると、前記作業機との通信を開始し、
前記受信部は、前記通信部による通信の開始によって前記作業機から、前記作業機に備えられた高さセンサに基づいて得られた第1情報を受信し、
前記表示部は、前記受信部が前記作業機から受信した前記第1情報に応じて、前記作業機の作業高さに関する情報を、前記作業機に関連するイメージ情報とともに表示する通信端末。」を、
審判請求時に提出された手続補正書(令和6年10月1日提出)の特許請求の範囲の請求項5における
(補正後)
「【請求項5】
通信部、受信部、及び表示部を備え
、インターネットを介してプログラムをダウンロード可能な
通信端末であって、
前記通信部は、前記通信端末が作業機に近づき、前記通信端末が前記作業機からの電波を
近距離無線通信によって
受信すると、前記作業機との通信を開始し、
前記受信部は、前記通信部による通信の開始によって前記作業機から、前記作業機に備えられた高さセンサに基づいて得られた第1情報を受信し、
前記表示部は、前記受信部が前記作業機から受信した前記第1情報に応じて、前記作業機の
現在または作業済み領域における
作業高さに関する情報を、前記作業機に関連するイメージ情報とともに表示する通信端末。」にする補正を含むものである(下線は、補正箇所を明示するために当審にて付した。)。
2-1 補正の目的及び新規事項について
本件補正は、本件補正前の請求項5に係る発明を特定するために必要な事項である「通信部」が「前記作業機との通信を開始」する「受信」が、「近距離無線通信によ」るものであること、「作業高さに関する情報」が「現在または作業済み領域における」ものであること、「通信端末」が「インターネットを介してプログラムをダウンロード可能」であること、をそれぞれ限定する補正を含むものである。
そして、補正後の請求項5に係る発明は、補正前の請求項5に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項5についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。
また、本件補正の補正事項は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)の【0029】、【0039】、【0050】、【0068】~【0070】及び図11の記載に基づくものであり、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。
2-2 独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項5に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否かについて、以下に検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、次のとおりのものであると認める。
「【請求項5】
通信部、受信部、及び表示部を備え、インターネットを介してプログラムをダウンロード可能な通信端末であって、
前記通信部は、前記通信端末が作業機に近づき、前記通信端末が前記作業機からの電波を近距離無線通信によって受信すると、前記作業機との通信を開始し、
前記受信部は、前記通信部による通信の開始によって前記作業機から、前記作業機に備えられた高さセンサに基づいて得られた第1情報を受信し、
前記表示部は、前記受信部が前記作業機から受信した前記第1情報に応じて、前記作業機の現在または作業済み領域における作業高さに関する情報を、前記作業機に関連するイメージ情報とともに表示する通信端末。」
(2)引用文献1の記載事項、引用発明
ア 記載事項
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、特許法第44条第2項の規定により本願の出願日とみなされる原々々出願日前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2011-142884号公報(平成23年7月28日公開)(以下「引用文献1」という。)には、「農作業機のリモコンシステム」(発明の名称)に関し、次の事項が記載されている。なお、下線は当審にて付した。以下同じ。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、農作業機のリモコンシステムに関し、特に、トラクタに装着して農作業を行う作業機のためのリモコンの操作ボックスを部品の交換なしに異なる作業機に対応できる農作業機のリモコンシステムに関する。」
「【0013】
図1は、本発明の農作業機のリモコンシステムの一実施形態を示すブロック図である。
操作ボックス10
には、
制御部(操作系)11と、入力部(操作側)12と、表示部(操作側)13と、インターフェース(操作側)14とを有している
。一方、
トラクタに装着して農作業する作業機には、制御ボックス20が設置され、制御ボックス20は、制御部21と、出力部22と、入力部23と、インターフェース24を有しており、モータ31やソレノイド32等の出力機器30と接続されている
。
【0014】
操作ボックス10は、トラクタの運転席近傍等作業者が操作しやすい場所に配置され
る。
入力部(操作側)12は、
後述する
操作ボックス上のスイッチやタッチパネル等である
。表示部(操作側)13は、液晶、液晶付きタッチパネル、7セグ、LED等が適用でき、本発明では、液晶付きタッチパネル等のタッチスクリーンによる表示部が主である。
制御部(操作系)11は、表示部(操作側)13の制御や、入力部(操作側)12からの操作信号の入力、操作信号の制御部21への出力などを行い、
そのために必要な電子デバイスなどで構成される。その具体的な制御内容は後述する。
【0015】
インターフェース(操作側)14と、インターフェース24の間の情報のやりとりは、有線又は無線で行う
。有線の場合は、パラレル転送でも可能であるが、例えば、車載のデータ転送に適したネットワークであるCAN(Controller Area Network)やFlex Rayによるシリアル転送のシステムを利用してもよい。
無線通信の場合は、インターフェース間で送受信可能としてシリアル転送を利用でき、これらの間のハーネスは不要となる
。
【0016】
制御ボックス20は、作業機の適した場所に設置される。入力部23は、センサやリミットスイッチ等である。これらは、必要に応じ制御ボックス20外にも設置される。
制御部21では、必要な電子デバイスなどで構成され、操作ボックス10(制御部(操作系)11)から、インターフェース14、24を介して送られてきた操作信号に基づき、センサ等の入力部23からの情報を加味して、出力機器30を制御する
。出力機器30は、モータ31やソレノイド32等の作業機に設置される必要な出力機器である。具体例は後述する。」
「【実施例3】
【0034】
図9は、実施例3における操作ボックスの正面図である。実施例3では、操作ボックス10cの表面全体はタッチパネル部43として、側面に電源スイッチ48や、切替スイッチ49を設けた構成である。
【0035】
電源スイッチ48を押すと操作ボックス10cの電源が入り、切替スイッチ49を押すと他の作業機の操作表示画面に切り替えるように制御される。これらの機能は、実施例2の電源スイッチ46や切替スイッチ47と同様である。なお、タッチパネル部43を長押しすることにより(何秒間か触れることにより)電源が入り、タッチパネル部43が表示される構成としてもよい。
・・・
【0037】
図9(b)は、耕深調節機構及びリターン機構を備えた畦塗り機に対する操作表示画面105を表示させた操作ボックス10cの正面図である。
タッチパネル部
43
に表示された操作表示画面
105
は、上部に機種表示
105m
が表示され、その下には、注意事項105nが表示され、さらにその下に、操作スイッチ表示
105a~105f
が表示され
る。操作スイッチ表示105a~105fは、隣り合う大きなマス目で区切られることにより構成される。そして、
それぞれの操作スイッチ表示
105a~105f
には、そのスイッチによる作業機の動きを絵と文字により示されている
。
操作スイッチ表示
105a、105b
に触れると、耕耘部の耕深量を変更し
、操作スイッチ表示105c、105dに触れると、前進作業が後進作業かを選択し、操作スイッチ表示105e、105fに触れると、散水の入り切りを選択する。・・・
【0039】
このように、操作ボックス10cの表面全体をタッチパネル部43とすることで、タッチパネルの表示領域を広く使用でき見やすいものとなる。さらに、作業機ごとに、操作スイッチ表示の配置を異ならせて、その作業機の操作にふさわしい構成とすることができる。また、操作スイッチ表示を絵により説明すれば直感的に分かりやすいものとなる。また、文字による表示はシンプルな表示にできる。さらに、絵と文字による表示は、操作ボタンによる作業機の動作を作業者に確実に伝えることができる。
・・・
【実施例5】
【0044】
図11は、実施例5における接続時の操作ボックスの表示例である。実施例5では、実施例3の切替スイッチ49を有さない代わりに、自動認識で作業機を判別するシステムを有するものである。
実施例5では、インターフェース14、24間は、無線による情報の送受信を前提としている
。
【0045】
操作ボックス10
e
の電源スイッチ
48
を押して、電源が入るとタッチパネル部
43
に説明表示
109p
(「作業機に接続します 接続ボタンを押してください」)が表示され、その下に接続スイッチ表示
109a
が表示され
る(図11(a))。
接続スイッチ表示
109a
に触れると、操作ボックス10
e
(制御部(操作系)11)は近傍の制御ボックス20と受信を行い、送受信ができた場合は、制御ボックス20(制御部21)側からの情報を受信し、制御ボックス20を有する作業機の機種を判別し、状態表示
110p
(「現在あぜ塗り機が装着されています」)と動作表示
110q
(「操作メニューを表示します」)を表示する
(図11(b))。
その後、その作業機の操作画面をタッチパネル部
43
に表示させる
(図11(c))。図11では、操作表示画面107を例示している。
【0046】
このように実施例4と実施例5では、
自動認識により、操作表示画面が選択される
ので、作業者は、トラクタに装着する作業機を取り替えた場合、操作パネルの切り替え操作をする必要がなくなる。さらに、間違った操作表示画面の選択を防止できる。なお、自動認識システムの不具合等に備えて、実施例1~3のような切替スイッチ(切替スイッチ表示)を設ける構成とすることも可能である。」
【図9】「
52
79
0001434791000001.jpg
」(当審にて右に90度回転させた。)
【図11】「
52
80
0001434791000002.jpg
」(当審にて右に90度回転させた。)
イ 認定事項
上記アの図9(b)及び図11(c)には、操作ボックスに関して同様の表示がなされており、上記図9(b)に関して説明している【0037】には、「・・・タッチパネル部43に表示された操作表示画面105は、上部に機種表示105mが表示され、その下には、注意事項105nが表示され、さらにその下に、操作スイッチ表示105a~105fが表示される。・・・それぞれの操作スイッチ表示105a~105fには、そのスイッチによる作業機の動きを絵と文字により示されている。操作スイッチ表示105a、105bに触れると、耕耘部の耕深量を変更し、・・・」と記載されるとともに、図9(b)には、作業機であるあぜ塗り機の絵と耕深を浅・深に関する表示がなされていることから、図11(c)の
操作ボックス
についても同様に
、タッチパネル部に表示された操作表示画面は、上部に機種表示が表示され、その下には、注意事項が表示され、さらにその下に、操作スイッチ表示が表示され、それぞれの操作スイッチ表示には、そのスイッチによる作業機の動きを絵と文字により示され作業機であるあぜ塗り機の絵と耕深の浅・深に関する表示がなされており、操作スイッチ表示に触れると、耕耘部の耕深量を変更する
ことが認定できる。
ウ 引用発明
上記ア及びイより、引用文献1には、実施例5に係る次の事項が記載されていると認められる(以下「引用発明」という。)。
「制御部(操作系)11と、入力部(操作側)12と、表示部(操作側)13と、インターフェース(操作側)14とを有している操作ボックス10であって(【0013】)、
トラクタに装着して農作業する作業機には、制御ボックス20が設置され、制御ボックス20は、制御部21と、出力部22と、入力部23と、インターフェース24を有しており、モータ31やソレノイド32等の出力機器30と接続されており(【0013】)、
操作ボックス10は、トラクタの運転席近傍等作業者が操作しやすい場所に配置され、入力部(操作側)12は、操作ボックス上のスイッチやタッチパネル等であり、制御部(操作系)11は、表示部(操作側)13の制御や、入力部(操作側)12からの操作信号の入力、操作信号の制御部21への出力などを行い(【0014】)、
制御部21では、必要な電子デバイスなどで構成され、操作ボックス10(制御部(操作系)11)から、インターフェース14、24を介して送られてきた操作信号に基づき、センサ等の入力部23からの情報を加味して、出力機器30を制御し(【0016】)、
インターフェース14、24間は、無線による情報の送受信を前提としており(【0044】)、
操作ボックス10の電源スイッチを押して、電源が入るとタッチパネル部に説明表示(「作業機に接続します 接続ボタンを押してください」)が表示され、その下に接続スイッチ表示が表示され、接続スイッチ表示に触れると、操作ボックス10(制御部(操作系)11)は近傍の制御ボックス20と受信を行い、送受信ができた場合は、制御ボックス20(制御部21)側からの情報を受信し、制御ボックス20を有する作業機の機種を判別し、状態表示(「現在あぜ塗り機が装着されています」)と動作表示(「操作メニューを表示します」)を表示し、その後、その作業機の操作画面をタッチパネル部に表示させ(【0045】)、
自動認識により、操作表示画面が選択され(【0046】)、
操作ボックスのタッチパネル部に表示された操作表示画面は、上部に機種表示が表示され、その下には、注意事項が表示され、さらにその下に、操作スイッチ表示が表示され、それぞれの操作スイッチ表示には、そのスイッチによる作業機の動きを絵と文字により示され作業機であるあぜ塗り機の絵と耕深の浅・深に関する表示がなされており、操作スイッチ表示に触れると、耕耘部の耕深量を変更する(認定事項)
操作ボックス10。」
(3)引用文献2の記載事項、引用文献2記載の技術事項
ア 記載事項
原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用され、特許法第44条第2項の規定により本願の出願日とみなされる原々々出願日前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2015-226494号公報(平成27年12月17日公開)(以下「引用文献2」という。)には、次の事項が記載されている。
「【0043】
次に、前処理部121に対して整畦部122を上下方向に移動させる制御部211について説明する。図4は本発明の実施形態に係る畦塗り機に搭載された制御部のブロック図である。
制御部211は畦塗り機100上に配設され
、走行機体190から供給される電力を受けて作動する。なお、制御部211は電池等の内部電源を備え、この内部電源からの電力で作動するようにしてもよい。制御部211は、例えば、必要なデバイス等を制御ボックス210内に格納して構成される。また、制御部211は、畦塗り機100のリモートコントローラ180に搭載される制御装置160の中に一体的に配置されてもよく、表示のための制御手段は別に設けていてもよい。また、記録手段も必要に応じて有してもよい。
・・・
【0049】
このように構成された
畦塗り機100
は、図1に示すように、角度センサ150からの検出値、位置センサ151からの検出値、後述する姿勢センサ153からの検出値
が
、
リモートコントローラ180
に
送信される
。さらに、図3及び図4に示すように、
高さセンサ205からの検出値
もまたリモートコントローラ180に送信される。各
センサの検出値は、
リモートコントローラ180に対して
有線通信により送信されてもよいし、無線通信により送信されてもよい
。オフセットシリンダ140及び方向シリンダ141の伸縮制御は、これら角度センサ150及び位置センサ151からの検出値に基づいて行われる。また、アクチュエータ201の伸縮制御は、高さセンサ205からの検出値に基づいて行われる。
【0050】
<リモートコントローラの構成>
図5は、畦塗り機100が備える
リモートコントローラ180に搭載される制御装置160
の構成を示したブロック図である。制御装置160は、図5に示すように、記憶部161と比較演算部163と信号出力部162とを主要部として備えている。記憶部161には、作業位置基準値Xo(161a)と作業方向基準値Ao(161b)とが記憶されており、比較演算部163には、比較手段163a、163bが設けられている。
・・・
【0057】
さらに、制御装置160
には高さ表示部187が設けられている
。
高さ表示部187は、リモートコントローラの外部に設けられた制御部211から受信した信号に対応する高さのランプを点灯表示する
。また、
制御部211は、高さセンサ205からの検出値に基づいて現在の前処理部と整畦部との相対高さを判断して対応する信号を生成する
。
・・・
【0062】
図6に示すように、
高さ表示部187は、複数のLED187a~187eを備え
るものでもよい。
複数のLED187a~187eは、ポテンショメータから送られる電圧値が所定の範囲内である場合に、対応するいずれか一つのLEDが点灯するように構成され
てもよい。
【0063】
このように、リモートコントローラの高さ表示部には、
現在の前処理部と整畦部との相対高さに対応するランプが点灯表示される
とともに、上下操作スイッチが配置されているため、
作業者は手元のリモートコントローラにおいて現在の整畦部の高さを確認しながら上下操作スイッチを操作して土量の微調整を行うことができる
ので、どの程度の調整をしているが一目でわかることになり、土量の調整を容易に行うことができる。」
【図6】「
54
32
0001434791000003.jpg
」
イ 引用文献2記載の技術事項
上記アより、引用文献2には次の事項が記載されていると認められる(以下「引用文献2記載の技術事項」という。)。
「高さセンサ205からの検出値が送信される畦塗り機100のリモートコントローラ180において(【0049】)、
制御部211は畦塗り機100上に配設され(【0043】)、
センサの検出値は、有線通信により送信されてもよいし、無線通信により送信されてもよく(【0049】)、
リモートコントローラ180に搭載される制御装置160には高さ表示部187が設けられており、高さ表示部187は、リモートコントローラの外部に設けられた制御部211から受信した信号に対応する高さのランプを点灯表示し、制御部211は、高さセンサ205からの検出値に基づいて現在の前処理部と整畦部との相対高さを判断して対応する信号を生成し(【0050】、【0057】)、
高さ表示部187は、複数のLED187a~187eを備え、複数のLED187a~187eは、ポテンショメータから送られる電圧値が所定の範囲内である場合に、対応するいずれか一つのLEDが点灯するように構成され(【0062】)、
現在の前処理部と整畦部との相対高さに対応するランプが点灯表示され、作業者は手元のリモートコントローラにおいて現在の整畦部の高さを確認しながら上下操作スイッチを操作して土量の微調整を行うことができること(【0062】)。」
(4)引用文献3の記載事項、引用文献3記載の技術事項
ア 記載事項
当審において新たに引用され、特許法第44条第2項の規定により本願の出願日とみなされる原々々出願日前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2011-45287号公報(平成23年3月10日公開)(以下「引用文献3」という。)には、次の事項が記載されている。
「【0013】
図1は、本発明のオフセット作業機の一実施形態を示す平面図である。
トラクタ1
(一部図示省略)
の後部には、作業機2が装着されている
。ここでは、作業機2について畦塗り機を例に説明する。」
「【0018】
次に、リモートコントロールシステムについて説明する。
リモートコントロールシステムは、オフセット用アクチュエータ13と、耕深調整用アクチュエータ15と、第1センサ41と、第2センサ42と、制御部40と、操作表示部50とを有している
。これらは、例えば、図1の二点鎖線で示されるように接続されている。
・・・
【0021】
制御部40は、
このほか、
操作表示部50の操作された情報等に基づき、第1センサ41や第2センサ42の情報を参照して、オフセット用アクチュエータ13や耕深調整用アクチュエータ15を制御する
。制御部40は、例えば、必要なデバイス等をボックス内に格納して構成される。また、制御部は、操作表示部50と一体でも可能である。また、表示のための制御手段は別に設けていてもよい。また、記録手段も必要に応じ有している。
【0022】
操作表示部50は、トラクタ1の運転席近傍に配置されることができ、作業者はトラクタ1に乗ったまま表示の確認や操作をすることができる
。図2は、図1における操作表示部を示す平面図である。
操作表示部50は、表示部51と、電源ボタン52と、操作設定ボタン53とを有している
。表示部51は、操作設定ボタン53の上側に位置し、電源ボタン52は、表示部51の横側に位置し、「入」側52aを押すと電源が入り、「切」側52bを押すと電源が切れる。」
「【0030】
次に、「作業耕深設定」の具体例について述べる。A)
畦高さ300mm用ディスクの際の標準作業耕深と畦高さ350mm用ディスクの際の標準作業耕深の2段階を設定可能とする
。B)
300ディスク・350ディスクの間を10mm刻みで設定可能として、可動範囲内で最浅~最深まで12段階を選択可能とする
。
・・・
【0034】
表示部51の画面で、作業機2の状態
および手動操作可能なアクチュエータとそれに対応したスイッチの説明
を表示し、
入力待ちになる。オフセット「小」ボタン53eか、オフセット「大」ボタン53fのいずれかを押すと、オフセット位置に関係なくオフセット用アクチュエータ13が押したスイッチとその押した時間(もしくは回数)に対応して伸縮動作し、入力待ちに戻る。
耕深「浅」ボタン53kか、耕深「深」ボタン53lのいずれかを押すと、作業耕深に関係なく作業耕深調整アクチュエータが押したスイッチとその押した時間に対応して伸縮動作し、
入力待ちに戻る。「決定」ボタン53b、「作業」ボタン53i、「格納」ボタン53h、「リターン」ボタン53g、「設定耕深」ボタン53jのいずれかを押しても何も動作させず、入力待ちを継続する。「メニュー」ボタン53aを押すとメニュー選択に戻る。また、図示しないが、畦塗り機に作業部20の方向を調整する作業部方向調整アクチュエータを有する場合、「∧」ボタン53cか「∨」ボタン53dのいずれかを押す(他の空いているスイッチに割り当ててもよい)と、オフセット位置や作業部の方向に関係なく作業部方向調整アクチュエータが押したスイッチとその押した時間に対応して伸縮動作し、入力待ちに戻る。
・・・
【0036】
図5は、本発明のオフセット作業機の耕深の状態を示す第1の側面図である。図6は、本発明のオフセット作業機の耕深の状態を示す第2の側面図である。これらの図に示すように耕耘部21を耕深調整用アクチュエータ15により調整する。耕深調整用アクチュエータ15は、両端が、フレーム部23側の耕深フレーム30に有する第1の支点15aと、第1チェーンケース28に有する第2の支点15bに回動可能に支持されている。そして、耕深調整用アクチュエータ15を動作させて伸縮すると、第1チェーンケース28は、回動中心28aを中心に、フレーム部23に対して回動し、耕耘中心28bの高さを変更できる。このとき、ディスク部22の大きさ等に対する適切な標準耕深量があるため、これを設定値として設定しておけば、標準モードの場合、作業者は、「設定耕深」ボタン53jを押すだけで、この標準耕深位置にすることができる。そして、
表示部51の耕深位置表示51cで、現在の耕深位置が表示され、その隣に、耕深設定表示51dで設置値が表示されるため、作業者は、現在の耕深位置と設定値を一目で確認することができる
。さらに、作業者は、耕深「浅」ボタン53kや耕深「深」ボタン53lで耕深量を微調整しても、どの程度の調整をしているが一目でわかることになる。図5では、耕深量は、耕耘下部面7と地面6の距離が30mmの深さであり、図6では耕深量は、耕耘下部面7と地面6の距離が100mmの深さの例を示してある。」
【図2】「
60
54
0001434791000004.jpg
」
イ 引用文献3記載の技術事項
上記アより、引用文献3には次の事項が記載されていると認められる(以下「引用文献3記載の技術事項」という。)。
「トラクタ1の後部には、作業機2が装着されており(【0013】)、
リモートコントロールシステムは、オフセット用アクチュエータ13と、耕深調整用アクチュエータ15と、第1センサ41と、第2センサ42と、制御部40と、操作表示部50とを有しており(【0018】)、
制御部40は、操作表示部50の操作された情報等に基づき、第1センサ41や第2センサ42の情報を参照して、オフセット用アクチュエータ13や耕深調整用アクチュエータ15を制御し(【0021】)、
操作表示部50は、表示部51と、電源ボタン52と、操作設定ボタン53とを有し、トラクタ1の運転席近傍に配置されることができ、作業者はトラクタ1に乗ったまま表示の確認や操作をすることができ(【0022】)、
畦高さ300mm用ディスクの際の標準作業耕深と畦高さ350mm用ディスクの際の標準作業耕深の2段階を設定可能とし、300ディスク・350ディスクの間を10mm刻みで設定可能として、可動範囲内で最浅~最深まで12段階を選択可能とし(【0030】)、
表示部51の画面で、作業機2の状態を表示し、耕深「浅」ボタン53kか、耕深「深」ボタン53lのいずれかを押すと、作業耕深に関係なく作業耕深調整アクチュエータが押したスイッチとその押した時間に対応して伸縮動作し(【0034】)、
表示部51の耕深位置表示51cで、現在の耕深位置が表示され、その隣に、耕深設定表示51dで設置値が表示されるため、作業者は、現在の耕深位置と設定値を一目で確認することができること(【0036】)。」
(5)引用文献4の記載事項、引用文献4記載の技術事項
ア 記載事項
前置報告書で引用文献5として引用され、特許法第44条第2項の規定により本願の出願日とみなされる原々々出願日前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2011-120539号公報(平成23年6月23日公開)(以下「引用文献4」という。)には、次の事項が記載されている。
「【0014】
図1は、本発明の農作業機の無線操作システムの全体構成図である。本発明の
農作業機の無線操作システム
は、
携帯電話2により作業機3に設置された出力機器40を操作可能とする
ものである。作業機3は、トラクタに装着して農作業を行うもので、作業機のための出力機器40が設置されている。携帯電話2は、出力機器40を操作するための機能が内蔵されており、機種毎に操作内容を変更できるようになっている。
【0015】
携帯電話2で操作するために必要なデータの取得は、
例えば、一般のユーザが使用するパソコン4でインターネットを通じホームページ1にアクセスし、ホームページ1からデータをパソコン4にダウンロードし、その後、SDカード等の媒体や、赤外線やBluetooth等の無線通信、有線接続等により、パソコン4にダウンロードしたデータを携帯電話2に取得できる(A)。また、携帯電話2で、
ホームページに直接インターネットを通じアクセスしてデータをダウンロードしてもよい
。この場合は、直接ダウンロードなので、手間はかからず、農作業する場所でも携帯電話2を使用して取得が可能となる。なお、
データの内容は、操作のためのプログラムやプログラムを作動させるためのデータ等である
。
【0016】
ホームページ1の情報は、任意の場所に設置されたサーバ等にその情報が格納されている。作業者はホームページ1にアクセスすることにより、操作に必要なデータをインターネットを通じて取得することができる。一方、ホームページ1の管理者は新たな作業機3の機種に対しては、その機種の操作に必要なデータをホームページ1上にアップロードしておけば作業者がホームページ1から携帯電話2にダウンロード可能となる。
【0017】
携帯電話2による、出力機器40の操作は、携帯電話2のボタン部30を押すと、操作できるようになっており、携帯電話2の表示部20にその操作ボタンによる操作の説明が表示される
。これらは、ホームページ1からダウンロードしたデータをもとに携帯電話2があらかじめ有するデバイスやアプリケーションを利用して行われる。
【0018】
携帯電話2と作業機3の間
(B)
の通信方式は、携帯電話に搭載されている通信方式を利用する
。具体的には、Bluetooth、Wi-Fi、IrDA(赤外線)、IrSimple等による通信方式が採用できる。特に、BluetoothやWi-Fiは間に障害物があっても利用することができ好適である。さらに、Bluetoothは幅広く使用されているため汎用性が高いものである。
【0019】
作業機3には、受信部11と、制御部12と、出力機器40とを有しており、携帯電話2からの操作による情報(操作信号)を受信部11が受信し、操作信号をもとに制御部12が出力機器40の制御を行う
。制御部12は、例えば、必要なデバイス等をボックス内に格納して構成されてもよいし、受信部11と一体に構成してもよい。出力機器40は、作業機3のためのアクチュエータ等で構成されその具体例は後述する。」
イ 引用文献4記載の技術事項
上記アより、引用文献4には次の事項が記載されていると認められる(以下「引用文献4記載の技術事項」という。)。
「携帯電話2により作業機3に設置された出力機器40を操作可能とする農作業機の無線操作システムにおいて(【0014】)、
携帯電話2で操作するために必要なデータの取得は、ホームページに直接インターネットを通じアクセスしてデータをダウンロードしてもよく(【0015】)、
データの内容は、操作のためのプログラムやプログラムを作動させるためのデータ等であり(【0015】)、
携帯電話2による、出力機器40の操作は、携帯電話2のボタン部30を押すと、操作できるようになっており、携帯電話2の表示部20にその操作ボタンによる操作の説明が表示され(【0017】)、
携帯電話2と作業機3の間の通信方式は、携帯電話に搭載されている通信方式を利用し(【0018】)、
作業機3には、受信部11と、制御部12と、出力機器40とを有しており、携帯電話2からの操作による情報(操作信号)を受信部11が受信し、操作信号をもとに制御部12が出力機器40の制御を行うこと(【0019】)。」
(6)引用文献5の記載事項、引用文献5記載の技術事項
ア 記載事項
前置報告書で引用文献7として引用され、特許法第44条第2項の規定により本願の出願日とみなされる原々々出願日前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2015-130800号公報(平成27年7月23日公開)(以下「引用文献5」という。)には、次の事項が記載されている。
「【0018】
次に、図面を用いて、本発明による作業車の具体的な実施形態の1つであるトラクタを説明する。図2は、
作業装置としてロータリ耕耘装置を装備したトラクタ
の側面図であり、図3はロータリ耕耘装置の斜視図である。
【0019】
図2に示すように、前輪1aと後輪1bとによって支持されている
トラクタの
機体1の前部にエンジン11が搭載され、後部にトランスミッションケース12が搭載されている。
機体1の後方にはロータリ耕耘装置3がリンク機構6を介して昇降自在に装備されている
。このトラクタは四輪駆動型であり、エンジン11の動力は、トランスミッションケース12に内装された走行用の変速装置(図示せず)を介して前輪1a及び後輪1bに伝達される。またエンジン11の動力は、トランスミッションケース12に内装されたPTOクラッチ41を介してPTO軸42に伝達され、伝動軸43を介してロータリ耕耘装置3にも伝達される。ここでは、PTO機構4は、PTOクラッチ41とPTO軸42と伝動軸43とを含んでいる。
【0020】
リンク機構6は、図1及び図2に示すように、トップリンク61と、左右一対のロアリンク62と、左右一対のリフトアーム63、リフトロッド64とを備えている。さらに
リンク機構6に連結されたロータリ耕耘装置3を昇降させる昇降アクチュエータとしての昇降油圧シリンダ60
と、ロータリ耕耘装置3のローリング姿勢を調整するローリングアクチェータとしてのローリング油圧シリンダ65
もリンク機構6内に組み込まれている
。」
「【0023】
この実施形態では、昇降油圧シリンダ60を動作させるために運転席17から人為操作される内部昇降操作具2として、昇降位置調整用操作体21と強制昇降操作体22とが備えられている。昇降位置調整用操作体21は運転席17の側方に配置されたレバーとして形成されているので、以下昇降調整レバー21と称する。強制昇降操作体22は操縦ハンドル15の右下側に配置されたレバーとして形成されているので、以下強制昇降レバーと称する。
昇降油圧シリンダ60を動作させるために機体外部から人為操作される外部昇降操作具30が備えられている
。この外部昇降操作具30は、この実施形態では、後輪フェンダ18の後部側端領域に配置されており、上昇位置と中立位置と下降位置とを有するスイッチとして形成されているので、以下外部昇降操作具30は外部昇降スイッチと称する。PTOクラッチ41の入り切りのために人為操作されるダイアルタイプのPTOクラッチ操作具40は、運転席17の側方に配置されている。」
「【0047】
〔別実施の形態〕
(1)上述した実施形態では、外部昇降操作具としての外部昇降スイッチ30は、機体1の外装部材である後輪フェンダ18に取り付けられていたが、これに代えて
外部昇降操作具をリモコン操作体として運転者や作業者が持ち運びできるようにしてもよい
。図7に示す機能ブロック図では、
外部昇降操作具としてリモコン機能を有する携帯電話8が用いられている
。
スマートフォンなどの携帯電話8が有する無線通信機能(WiFi、ブルーツゥース(登録商標)、赤外線など)を用いて制御装置5との間でデータ通信を行う
。このため
制御装置5には無線通信部59が備えられ、携帯電話8には無線通信部59との交信を通じて、ロータリ耕耘装置3に対する上昇動作指令及び下降動作指令を与える外部昇降操作機能部80がアプリケーションプログラム(アプリ)によって構築されている
。
(2)上述した実施形態では、内部昇降操作具2として、昇降調整レバー21と強制昇降レバー22が備えられていたが、その操作形態はレバー式以外の操作形式、ボタンやダイヤルなどを採用してもよい。また、内部昇降操作具2や外部昇降操作具30の装備個数は本発明では限定されていない。
(3)上述した実施形態では、昇降アクチュエータ60として油圧シリンダが用いられたが、その他のアクチュエータ例えば電動シリンダなどを用いてもよい。
(4)上述した実施形態において制御装置5に構築された各機能部の区分けは、一例であり、同様の機能を実現する限り、各機能部は自由に統合または分割可能である。
(5)上述した実施形態では、作業車としてロータリ耕耘装置3を装備したトラクタを取り上げたが、ロータリ耕耘装置3以外の作業装置でも本発明は有効である。またトラクタ以外の作業車であって、昇降制御される作業装置を装備するものに対しても本発明は有効である。」
イ 引用文献5記載の技術事項
上記アより、引用文献5には次の事項が記載されていると認められる(以下「引用文献5記載の技術事項」という。)。
「作業装置としてロータリ耕耘装置を装備したトラクタにおいて(【0018】)、
トラクタの機体1の後方にはロータリ耕耘装置3がリンク機構6を介して昇降自在に装備されており(【0019】)、
リンク機構6に連結されたロータリ耕耘装置3を昇降させる昇降アクチュエータとしての昇降油圧シリンダ60はリンク機構6内に組み込まれており(【0020】)、
昇降油圧シリンダ60を動作させるために機体外部から人為操作される外部昇降操作具30が備えられており(【0023】)、
外部昇降操作具をリモコン操作体として運転者や作業者が持ち運びできるようにしてもよく、外部昇降操作具としてリモコン機能を有する携帯電話8が用いられており、スマートフォンなどの携帯電話8が有する無線通信機能(WiFi、ブルーツゥース(登録商標)、赤外線など)を用いて制御装置5との間でデータ通信を行い、制御装置5には無線通信部59が備えられ、携帯電話8には無線通信部59との交信を通じて、ロータリ耕耘装置3に対する上昇動作指令及び下降動作指令を与える外部昇降操作機能部80がアプリケーションプログラム(アプリ)によって構築されていること(【0047】)。」
(7)周知技術
ア 周知技術1
上記(3)イ及び(4)イを総合すると、
「農作業機のリモートコントローラの表示部に、作業機のセンサの検出値を受信し、受信した検出値に対応する現在の作業高さに関する情報を表示し、作業者が現在の作業状態を一目で確認できるようにすること。」は本願の原々々出願日前に周知(以下「周知技術1」という。)であると認められる。
イ 周知技術2
上記(6)イで「スマートフォンなどの携帯電話8」はインターネットを介してプログラムをダウンロード可能であることが技術常識であることをふまえた上で、上記(5)イ及び(6)イを総合すると、
「農作業機のリモートコントローラとして、インターネットを通じアクセスしてプログラムをダウンロード可能な携帯電話を用いること。」は本願の原々々出願日前に周知(以下「周知技術2」という。)であると認められる。
(8)対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明では、「操作ボックス10」が「制御部(操作系)11と、入力部(操作側)12と、表示部(操作側)13と、インターフェース(操作側)14とを有して」おり、「制御部(操作系)11は、」「操作信号の制御部21への出力などを行」い、「作業機」の「制御部21」は、「操作ボックス10(制御部(操作系)11)から、インターフェース14、24を介して送られてきた操作信号に基づき、センサ等の入力部23からの情報を加味して、出力機器30を制御し」、「インターフェース14、24間は、無線による情報の送受信を」していることをふまえると、引用発明の「制御部(操作系)11」と「インターフェース(操作側)14」を合わせた構成が本件補正発明の「通信部」に相当し、「受信部」に相当する構成を有することは明らかである。
また、引用発明の「表示部(操作側)13」、「操作ボックス10」は、それぞれ本件補正発明の「表示部」、「通信端末」に相当する。
よって、本件補正発明の「通信部、受信部、及び表示部を備え、インターネットを介してプログラムをダウンロード可能な通信端末であ」る点と引用発明とは、「通信部、受信部、及び表示部を備える通信端末であ」る点で共通する。
イ 引用発明は「操作ボックス10の電源スイッチを押して、電源が入るとタッチパネル部に説明表示(「作業機に接続します 接続ボタンを押してください」)が表示され、その下に接続スイッチ表示が表示され、接続スイッチ表示に触れると、操作ボックス10(制御部(操作系)11)は近傍の制御ボックス20と受信を行い、送受信ができた場合は、制御ボックス20(制御部21)側からの情報を受信し、制御ボックス20を有する作業機の機種を判別し、状態表示(「現在あぜ塗り機が装着されています」)と動作表示(「操作メニューを表示します」)を表示し、その後、その作業機の操作画面をタッチパネル部に表示させ」るものであり、また、「インターフェース14、24間は、無線による情報の送受信を前提として」いるところ、リモコンシステムに用いられる無線通信が近距離無線通信によるものであることが技術常識であることを踏まえると、引用発明は、「接続スイッチ表示に触れると」、「制御部(操作系)11」(通信部)は、「近傍の制御ボックス20と受信を行い、送受信ができた」(本件補正発明の「前記作業機からの電波を近距離無線通信によって受信する」ことに相当)場合、「制御ボックス20(制御部21)側からの情報を受信し」ていることから(当該受信の開始は、同「前記作業機との通信を開始」することに相当)、通信端末が作業機からの電波を近距離無線通信によって受信すると、前記作業機との通信を開始しているといえる。
よって、本件補正発明の「前記通信部は、前記通信端末が作業機に近づき、前記通信端末が前記作業機からの電波を近距離無線通信によって受信すると、前記作業機との通信を開始」する点と引用発明とは、「前記通信部は、前記通信端末が前記作業機からの電波を近距離無線通信によって受信すると、前記作業機との通信を開始」する点で共通する。
ウ 上記アの検討をふまえると、引用発明は本件補正発明の「受信部」に相当する構成を有することは明らかであり、また、引用発明では、「操作ボックス10(制御部(操作系)11)は近傍の制御ボックス20と受信を行い、送受信ができた場合は、制御ボックス20(制御部21)側からの情報を受信し、制御ボックス20を有する作業機の機種を判別し、状態表示(「現在あぜ塗り機が装着されています」)と動作表示(「操作メニューを表示します」)を表示し」ており、引用発明の「制御部(操作系)11」と「インターフェース(操作側)14」を合わせた構成、「制御部(操作系)11」による「制御ボックス20(制御部21)側からの情報を受信」の開始、「作業機」、「制御ボックス20(制御部21)側からの情報」、「受信」することは、それぞれ本件補正発明の「前記通信部」、「前記通信部による通信の開始」、「前記作業機」、「前記作業機」から「得られた第1情報」、「受信」することに相当する。
よって、本件補正発明の「前記受信部は、前記通信部による通信の開始によって前記作業機から、前記作業機に備えられた高さセンサに基づいて得られた第1情報を受信」することと引用発明とは、「前記受信部は、前記通信部による通信の開始によって前記作業機から得られた第1情報を受信」する点で共通する。
エ 上記ウで検討したように、引用発明は、「操作ボックス10(制御部(操作系)11)は近傍の制御ボックス20と受信を行い、送受信ができた場合は、制御ボックス20(制御部21)側からの情報を受信し、制御ボックス20を有する作業機の機種を判別し、状態表示(「現在あぜ塗り機が装着されています」)と動作表示(「操作メニューを表示します」)を表示し」ており、引用発明の「インターフェース24を有し」た「制御ボックス20(制御部21)側からの情報」、「あぜ塗り機が装着されてい」ること、「作業機であるあぜ塗り機の絵と耕深を浅・深に関する表示がなされ」ることは、それぞれ本件補正発明の「前記受信部が前記作業機から受信した前記第1情報」、「前記作業機の現在に関する」「情報」、「前記作業機に関連するイメージ情報とともに表示する」ことに相当する。
よって、本件補正発明の「前記表示部は、前記受信部が前記作業機から受信した前記第1情報に応じて、前記作業機の現在または作業済み領域における作業高さに関する情報を、前記作業機に関連するイメージ情報とともに表示する」ことと引用発明とは、「前記表示部は、前記受信部が前記作業機から受信した前記第1情報に応じて、前記作業機の現在に関する情報を、前記作業機に関連するイメージ情報とともに表示する」点で共通する。
上記ア~エによれば、本件補正発明と引用発明は、以下の一致点で一致し、以下の相違点で相違する。
<一致点>
「通信部、受信部、及び表示部を備える通信端末であって、
前記通信部は、前記通信端末が前記作業機からの電波を近距離無線通信によって受信すると、前記作業機との通信を開始し、
前記受信部は、前記通信部による通信の開始によって前記作業機から、前記作業機から得られた第1情報を受信し、
前記表示部は、前記受信部が前記作業機から受信した前記第1情報に応じて、前記作業機の現在に関する情報を、前記作業機に関連するイメージ情報とともに表示する通信端末。」
<相違点1>
「通信端末」に関して、
本件補正発明では、「インターネットを介してプログラムをダウンロード可能」であるのに対して、
引用発明では、インターネットを介してプログラムをダウンロード可能ではない点。
<相違点2>
「前記通信部」に関して、
本件補正発明では、「前記通信端末が作業機に近づき、前記通信端末が前記作業機からの電波を近距離無線通信によって受信すると、前記作業機との通信を開始し」ているのに対して、
引用発明では、「接続スイッチ表示に触れ」、「送受信ができた場合は」、「制御ボックス20(制御部21)側からの情報を受信し」ているものの、「接続スイッチ表示に触れ」ないと「作業機」との通信を開始していない点。
<相違点3>
「第1情報」に関して、
本件補正発明では、「前記作業機に備えられた高さセンサに基づいて得られ」ているものであるのに対して、
引用発明では、作業機に備えられた高さセンサに基づいて得られたものではない点。
<相違点4>
「前記表示部」が「表示する」「情報」に関して、
本件補正発明では、「前記作業機の現在または作業済み領域における作業高さに関する情報」であるのに対して、
引用発明では、そのような情報ではない点。
(9)当審の判断
ア 相違点1について
上記相違点1について検討すると、上記(7)イのとおり、「農作業機のリモートコントローラとして、インターネットを通じアクセスしてプログラムをダウンロード可能な携帯電話を用いること。」は、本願の原々々出願日前に周知である(周知技術2)。
そして、専用の部材を利用すればコストが高く、汎用の部材を利用できればコストを抑えられることは一般的に良く知られた課題であって、引用発明の操作ボックス10についても、当然内在した課題であるといえるから、引用発明の操作ボックス10に、上記周知技術2を採用し、インターネットを通じアクセスしてプログラムをダウンロード可能な携帯電話を用いるようにして、相違点1に係る本件補正発明の構成とすることは当業者が容易になし得たことである。
イ 相違点2について
上記相違点2について検討すると、無線通信を開始する契機をどのようなものとするかは当業者が適宜決定し得る設計事項に過ぎず、例えば、スマートフォンのような携帯端末とWi-Fi(登録商標)のアクセスポイントとの通信を開始する契機として、接続ボタンの押下とすることや、接続対象に近づくことにより自動接続とすること等が従来より広く知られており、いずれの接続態様も技術常識であること、また、iPhone(登録商標)のAirDrop(登録商標)によるBluetooth(登録商標)通信やRFIDによる自動接続による無線通信技術が技術常識であることを勘案すると、引用発明において「接続スイッチ表示に触れ」ることで「作業機」との通信を開始していたことに代えて、ある程度の距離に接近することにより無線通信を開始することとして、相違点2に係る本件補正発明の構成とすることは当業者が容易になし得たことである。
ウ 相違点3及び4について
上記相違点3及び4は密接に関連しているため併せて検討する。
上記(7)アのとおり、「農作業機のリモートコントローラの表示部に、作業機のセンサの検出値を受信し、受信した検出値に対応する現在の作業高さに関する情報を表示し、作業者が現在の作業状態を一目で確認できるようにすること。」は、本願の原々々出願日前に周知である(周知技術1)。
そして、農作業機の作業者がトラクタ等に乗っているときに、振り返ることなく現在の作業状態を確認したいという課題は農作業機の分野において当然内在する課題であることから、引用発明の操作ボックス10に上記周知技術1を採用して、作業機のセンサの検出値を受信し、受信した検出値に対応する現在の作業高さに関する情報を表示するようにして、相違点3及び4に係る本件補正発明の構成とすることは当業者が容易になし得たことである。
また、本件補正発明の奏する効果は、引用発明の奏する効果、上記周知技術1及び2の奏する効果から、当業者が予測することができる程度のものである。
したがって、本件補正発明は、引用発明、周知技術1及び2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
(10)審判請求人の主張について
審判請求人は、令和6年10月1日提出の審判請求書の「(3)特許法第29条第2項に係る拒絶理由に対する意見」「(3-3)請求項5及び6」において、「補正後の請求項5及び6に記載された発明は、補正後の請求項1と実質的に同様の発明特定事項を備えた発明ですので、本願発明1と同様な結論が導かれるものと思料します。」と主張しているので、「(3-1)請求項1」の主張について示すこととし、それは、主に、以下のとおりである。
ア 審判請求人の主張について
(ア)主張1
「本願発明1は、上記相違点に係る構成を備えていることで、インターネットを介してプログラムをダウンロード可能であり、かつ、作業機と近距離無線通信をすることが可能であるスマートフォンやタブレットPCのような多機能型の通信端末を用いることで、リモコン用の端末を別途用意する必要はなく、例えば、ユーザが私的に使用している通信端末をリモコン代わりに使用することができるという効果を奏します。さらに、通信端末が上記のような多機能型の通信端末であるからこそ、近距離無線通信の機能を利用することができるため、煩雑な設定や作業を行う必要なく作業機と通信をすることができる、という効果を奏します(本願の出願当初明細書等の段落[0101])。
したがって、当該構成は、進歩性が肯定される方向に働く要素を備えた構成であり、当該構成への変更は単なる設計変更等ではないと思料致します。
引用発明1は、トラクタに備えられた専用リモコンに係る発明です。引用発明1は、作業機の機種の違いによりリモコンによる操作ボックスを変更すると、トラクタに装着する作業機を交換するたびに新たな操作ボックスとしなければならず手間がかかる(引用文献1の明細書段落[0005])、という専用リモコンに特有の課題を解決するための発明です。
引用文献1では、本願発明1のような多機能型の通信端末は想定されていないことから、引用文献1に接した当業者が、引用文献1に記載された専用リモコンを、インターネットを介してプログラムをダウンロード可能な構成や、当該リモコンが作業機と近距離無線通信を行う構成に変更しようと試みることはあり得ないと思料致します。また、引用文献1において、専用リモコンを本願発明1のような多機能型の通信端末に変更することは、上記のような課題を解決するために考案された引用発明1の前提を覆す変更であり、引用発明1に接した当業者がそのような変更をしようと試みることはあり得ないと思料致します。」(以下「主張1」という。)
(イ)主張2
「さらに、引用文献1では、あくまで作業機に対するリモコン操作をするための操作画面を表示しているものに過ぎず、作業機の状態を表示するものではありません。引用文献1においてリモコンに表示されている作業機のイメージ(引用文献1の図11)も、あくまで作業機の操作部位を視認しやすくするためのものであり、引用文献1には、作業機の状態をリモコンに表示するという技術的思想は一切ありません。
したがって、上記のような引用発明1の課題を考慮すると、引用発明1に接した当業者が引用文献1に記載されたリモコンに、あえて現在または作業済領域における作業機の高さに関する情報を表示することはあり得ないと思料致します。」(以下「主張2」という。)
(ウ)主張3
また、引用発明1に対して、引用文献2~4に記載された技術を周知技術として適用することで本願発明1が進歩性を有しないという判断は、引用発明1の課題を考慮することなく、当業者が本願発明1に容易に想到できたように見えてしまったことによる判断に該当すると思料致します。つまり、そのような判断は、本願発明1の知識を得た上で、進歩性を判断する際に後知恵に陥ってなされた判断であると思料致します。」(以下「主張3」という。)
イ 審判請求人の主張の検討
(ア)主張1について
上記(9)アで検討したとおり、専用の部材を利用すればコストが高く、汎用の部材を利用できればコストを抑えられることは一般的に良く知られた課題であって、それは、引用発明の操作ボックス10についても、当然内在した課題であるといえる。
よって、引用発明の操作ボックス10に、上記周知技術2を採用して、相違点1に係る本件補正発明の構成とすることは当業者が容易になし得ることであるから、上記審判請求人の主張は上記(9)の判断を左右するものではなく、採用することができない。
(イ)主張2について
上記(9)イで検討したとおり、農作業機の作業者がトラクタ等に乗っているときに、振り返ることなく現在の作業状態を確認したいという課題は農作業機の分野において当然内在する課題であることから、引用発明の操作ボックス10に上記周知技術1を採用して、相違点2及び3に係る本件補正発明の構成とすることは当業者が容易になし得たことであるから、上記審判請求人の主張は上記(9)の判断を左右するものではなく、採用することができない。
(ウ)主張3について
上記(ア)及び(イ)で検討したとおり、引用発明に内在する課題を考慮すれば、相違点1~3に係る本件補正発明の構成とすることは引用発明、周知技術1及び2から当業者が容易になし得たことであるから、上記審判請求人の主張は上記(9)の判断を左右するものではなく、採用することができない。
(エ)まとめ
上記(ア)~(ウ)より、審判請求人のいずれの主張によっても上記(9)の判断を左右するものではない。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項5に係る発明は、令和6年5月10日提出の手続補正書の特許請求の範囲の請求項5に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項5に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「【請求項5】
通信部、受信部、及び表示部を備える通信端末であって、
前記通信部は、前記通信端末が作業機に近づき、前記通信端末が前記作業機からの電波を受信すると、前記作業機との通信を開始し、
前記受信部は、前記通信部による通信の開始によって前記作業機から、前記作業機に備えられた高さセンサに基づいて得られた第1情報を受信し、
前記表示部は、前記受信部が前記作業機から受信した前記第1情報に応じて、前記作業機の作業高さに関する情報を、前記作業機に関連するイメージ情報とともに表示する通信端末。」
原査定の本願発明に対する拒絶の理由の概略は、以下の理由のとおりである。
(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
・請求項 5
・引用文献 1~4
<引用文献等一覧>
1.特開2011-142884号公報
2.特開2015-226494号公報(周知技術を示す文献)
3.特開2005-126017号公報(周知技術を示す文献)
4.特開2010-172267号公報(周知技術を示す文献)
特開2011-142884号公報(上記第2〔理由〕2 2-2(2)の引用文献1)の記載事項及び引用発明の認定については、上記「第2〔理由〕2 2-2(2)引用文献1の記載事項、引用発明」に、特開2015-226494号公報(上記第2〔理由〕2 2-2(3)の引用文献2)の記載事項及び引用文献2記載の技術事項については、上記「第2〔理由〕2 2-2(3)引用文献2の記載事項、引用文献2記載の技術事項」、特開2011-45287号公報(上記第2〔理由〕2 2-2(4)の引用文献3)の記載事項及び引用文献3記載の技術事項については、上記「第2〔理由〕2 2-2(4)引用文献3の記載事項、引用文献3記載の技術事項」に記載したとおりである。
本願発明(上記「第2 1(補正前)」)は、本件補正発明(上記「第2 1(補正後)」)から上記「第2 2 2-1」において検討したとおり、発明を特定するために必要な事項である「通信部」が「前記作業機との通信を開始」する「受信」が、「近距離無線通信によ」るものであること、「作業高さに関する情報」が「現在または作業済み領域における」ものであること、「通信端末」が「インターネットを介してプログラムをダウンロード可能」であることを、それぞれ省いたものである。
そうすると、本願発明の特定事項を全て含み、さらに相違点1に対応する構成を含む限定を付加したものである本件補正発明が、引用発明、上記周知技術1及び2に基づいて当業者が容易に想到し得たものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び上記周知技術1に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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