結論テキスト
本件審判の請求は、成り立たない。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2024017247 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本願は、令和2年10月30日の特許出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和6年 2月19日付け:拒絶理由通知書
同年 4月23日 :意見書、手続補正書の提出
同年 7月23日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同月30日 :原査定の謄本の送達)
同年10月29日 :審判請求書、手続補正書の提出
(1) 本願発明の認定
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和6年10月29日に提出された手続補正書により補正された請求項1に記載された次に示す事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
撮像部を有し、前記撮像部において撮像した画像をもとに人の存在を検知する人検知部と、
近距離無線通信を実行する無線通信部と、
前記人検知部における検知結果を示す第1情報と、前記無線通信部が受信した信号をもとにした第2情報とを出力する出力部とを備え、
前記無線通信部が受信した信号には、送信元装置において取得されたデータが含まれ、
前記出力部から出力される前記第2情報は、前記データをもとにした情報を含むセンサ装置。」
(2) 本願発明の分説
検討の便宜上、本願発明の構成を次のように構成Xと構成Aから構成Dまでに分説する。また、参考図として、本願の【図1】及び【図5】を掲載する。
<本願発明の分説>
A 撮像部を有し、前記撮像部において撮像した画像をもとに人の存在を検知する人検知部と、
B 近距離無線通信を実行する無線通信部と、
C 前記人検知部における検知結果を示す第1情報と、前記無線通信部が受信した信号をもとにした第2情報とを出力する出力部とを備え、
D 前記無線通信部が受信した信号には、送信元装置において取得されたデータが含まれ、前記出力部から出力される前記第2情報は、前記データをもとにした情報を含む
X センサ装置。
<参考図>
【図1】
84
128
0001434819000001.jpg
【図5】
73
127
0001434819000002.jpg
(3) 課題・作用効果等に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載
本願明細書の発明の詳細な説明の記載のうち、発明が解決しようとする課題及び作用効果等に関連する記載を抜粋すると、次の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
本開示は、検知技術に関し、特に位置を検知するセンサ装置、処理方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人を検知する人検知装置が知られている。人検知装置は、人を検知するために、例えば画像センサを使用する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-32527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、ローカル測位システム(LPS:Local Positioning System)は、対象空間のように、特定の空間(エリア)内での携帯端末の位置を計測する。LPSでは、対象空間に複数の受信機を配置させ、受信機において受信した携帯端末からの無線信号をもとに携帯端末の位置を計測する。人検知装置とLPSはいずれも人を検知するためのシステムである。人を検知するための複数のシステムを対象空間において提供する場合、人検知装置と受信機を配置させる必要があり、配置させる機器の数が増加する。
【0005】
本開示はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、人を検知するための複数のシステムを効率的に配置させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のある態様のセンサ装置は、人を検知する人検知部と、近距離無線通信を実行する無線通信部と、人検知部における検知結果を示す第1情報と、無線通信部が受信した信号をもとにした第2情報とを出力する出力部と、を備える。
...(中略)...
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、人を検知するための複数のシステムを効率的に配置させることができる。」
「【0036】
本実施例によれば、人の検知結果を示す第1情報と、近距離無線通信により受信した無線信号をもとにした第2情報とを出力するので、人を検知するための複数のシステムを効率的に配置させることができる。また、第2情報は、無線通信部210が受信した無線信号の受信強度を含むので、LPSにより位置を推定できる。また、第2情報は、無線通信部210が受信した無線信号に含まれる送信元の端末装置100の識別情報を含むので、送信元の端末装置100を特定できる。」
「【0053】
本実施例における端末装置100は、無線信号をセンサ装置200に送信する。このような端末装置100は、温湿度、CO
2
濃度(以下、「データ」という)の測定機能を有し、取得したデータを無線信号に含めて送信してもよい。その際、出力部260から出力される第2情報は、データをもとにした情報を含んでもよい。本変形例によれば、第2情報は、データをもとにした情報を含むので、サーバ装置500にデータを伝送できる。」
原査定の拒絶の理由のうち、本願発明についての理由2(進歩性の欠如)の概要は、次の理由を含むものである。
理由2(進歩性の欠如) 本願発明は、出願前に発行された下記の引用文献に記載された発明に基づいて、出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献2.米国特許出願公開第2019/0073883号明細書(主たる引用文献)
引用文献3.国際公開第2020/149054号(周知技術を示す文献)
引用文献4.特開2017-175467号公報(周知技術を示す文献)
引用文献5.特開2020-8492号公報(周知技術を示す文献)
(1) 引用文献2に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に発行された文献である米国特許出願公開第2019/0073883号明細書(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある(なお、括弧内に当合議体が作成した日本語訳を示した。また、当合議体により、後記(2)の引用発明の認定に直接用いる記載に下線を付した。)。
ア [0001]~[0002]
「 FIELD OF THE INVENTION
[0001] The present invention relates generally to systems and methods for tracking the location of people, and more particularly to tracking the location of people carrying mobile devices and moving between zones using a device including a camera, wireless antenna, a passive infrared sensor and a light.
BACKGROUND OF THE INVENTION
[0002] Prior art systems have been inadequate in locating and tracking people in a given location. Various techniques have been used, such as monitoring a space with one or more cameras and analyzing video imagery of the space to identify people in the space by known video analytic techniques. Such an approach is subject to error because of issues such as inadequate lighting, having an incomplete view of a person because of obstacles between the person and the camera, and being able to properly segment a person from the scene, for example when the person is wearing clothing similar in color to the background. Identifying individuals in the space has been attempted by techniques such as facial recognition, however this is generally not reliable with existing technology. Other technologies such as infrared detectors have also been used. Of the various technologies, all are subject to various issues that cause them not to achieve an acceptable rate of detecting, identifying and accurately tracking people in a space.」
( 発明の分野
[0001] 本発明は、一般的に人の位置を追跡するためのシステム及び方法に関し、より詳細には、カメラ、無線アンテナ、受動赤外線センサー及び光を含む装置を用いて、モバイルデバイスを携帯しゾーン間を移動する人の位置を追跡することに関する。
発明の背景
[0002] 従来技術のシステムは、所定の場所において人を特定し追跡することにおいて不十分であった。様々な技術が使用されており、例えば、1台又は複数台のカメラで空間を監視し、空間内の人を既知の映像解析技術によって特定するために空間の映像画像を分析することが挙げられる。このような方法は、照明が不十分であること、人とカメラの間に障害物があることによって人の全体像が得られないこと、例えば人が背景と類似した色の衣服を着ている場合に人をシーンから適切に分離できないことなどの問題により、誤りが生じやすい。空間内の個人を特定することは、顔認識などの技術によって試みられてきたが、これは現存する技術では一般的に信頼できるものではない。他の技術としては、赤外線検出器なども使用されている。様々な技術のうち、いずれも空間内の人を検出し、特定し、正確に追跡することにおいて許容できる率を達成できない様々な問題に直面している。)
イ [0029]~[0032]、FIG.1
「[0029] A functional block diagram of a preferred embodiment of the invention is shown in FIG.1. The invention is
a system 113 for tracking the location of people in a facility as the people move between zones of the facility
, for example in a building with rooms, a warehouse or a large retail establishment. The zones preferably cover all the main areas in the facility in which people may be present. Zones may overlap, particularly in large facilities with extensive spaces without walls.
The system 113 includes multiple tracking devices 102
, all of which may be identical,
connected via a network switch 109 to a central tracking system 111
. The network may be a standard Ethernet network where the connected devices communicate electronically using Internet Protocol (IP) or any other suitable electronic network.」
「FIG.1
158
112
0001434819000003.jpg
」
「[0030] When installed in a facility, each tracking device 102 is located in one zone of the facility.
[0031] Each tracking device 102 is typically installed in the ceiling of a zone.
...(中略)...
[0032] Referring to FIG.1, in a preferred embodiment,
the camera assembly 304 includes a camera 105, one or more lights 107, and one or more passive infrared (PIR) sensors 106
.
In addition to the camera assembly 304, the tracking device 102 also includes a tracking device processor 108, a microphone or mic 104, a speaker 114, and an antenna 103
. The tracking device processor 108, which is housed in the housing 501, includes a main circuit board (PCB) with a computer processor and electronics to control the lights 107 and the passive infrared sensors 106, and to receive data from the passive infrared sensors 106, camera 105, mic 104 and antenna 103, as well as to transmit audio to the speaker 114.」
([0029] 本発明の好ましい実施形態の機能ブロック図が図1に示されている。本発明は、
施設内の人が施設のゾーン間を移動する際に人の位置を追跡するためのシステム113
であり、例えば部屋のある建物、倉庫又は大規模小売施設などが挙げられる。ゾーンは、好ましくは、施設内で人が存在し得るすべての主要な領域をカバーする。ゾーンは、特に壁のない広範な空間を有する大規模施設においては、重複する場合がある。
システム113は、複数の追跡装置102を含み
、これらはすべて同一であってもよく、
ネットワークスイッチ109を介して中央追跡システム111に接続されている
。ネットワークは、接続された装置がインターネットプロトコル(IP)又は他の適切な電子ネットワークを用いて電子的に通信する標準イーサネットネットワークであってもよい。
[0030] 施設に設置された場合、各追跡装置102は施設の1つのゾーンに配置される。
[0031] 各追跡装置102は、通常、ゾーンの天井に設置される。
...(中略)...
[0032] 図1を参照すると、好ましい実施形態において、
カメラアセンブリ304は、カメラ105、1つ又は複数のライト107及び1つ又は複数の受動赤外線(PIR)センサー106を含む
。
カメラアセンブリ304に加えて、追跡装置102は、追跡装置プロセッサ108、マイクロフォン又はマイク104、スピーカー114及びアンテナ103も含む
。ハウジング501内に収容される追跡装置プロセッサ108は、コンピュータプロセッサ及びライト107及び受動赤外線センサー106を制御する電子機器を備えた主回路基板(PCB)を含み、受動赤外線センサー106、カメラ105、マイク104及びアンテナ103からデータを受信し、さらにスピーカー114に音声を送信する。)
ウ [0033]~[0035]
「[0033] in the preferred embodiment shown in the figures,
the antenna 103 is a Wi-Fi antenna
, as shown in FIG. 3,
which is connected to the tracking device processor 108 via a connector 503 and is configured to receive Wi-Fi signals from mobile devices 101, such as smartphones, carried by people located in the zone in which the tracking device 102 is installed
.
...(中略)...
[0035] Each tracking device 102 is connected via a network switch 109 to a central tracking system 111, which incorporates a central tracking processor. The central tracking system 111 is generally connected to one or more display devices 110 and user input is received via typical devices, such as a keyboard, mouse, touch screen and microphone, which may be part of the central tracking system 111. The user 112 may be, for example, a security guard using the system to monitor all the zones in which tracking devices 102 are installed. The central tracking system 111 may be a personal computer or a more advanced workstation.」
([0033] 図に示される好ましい実施形態において、
アンテナ103は
図3に示されるように
Wi-Fiアンテナであり、コネクタ503を介して追跡装置プロセッサ108に接続されており、追跡装置102が設置されているゾーン内に位置する人が携帯するスマートフォン等のモバイルデバイス101からWi-Fi信号を受信するように構成されている
。
...(中略)...
[0035] 各追跡装置102は、ネットワークスイッチ109を介して中央追跡システム111に接続されており、中央追跡システム111は中央追跡プロセッサを組み込んでいる。中央追跡システム111は、一般的に1台又は複数台の表示装置110に接続されており、ユーザー入力は、中央追跡システム111の一部であってもよいキーボード、マウス、タッチスクリーン及びマイクロフォン等の一般的な装置を介して受信される。ユーザー112は、例えば、追跡装置102が設置されているすべてのゾーンを監視するためにシステムを使用する警備員であってもよい。中央追跡システム111は、パーソナルコンピュータ又はより高度なワークステーションであってもよい。)
エ [0037]~[0038]、FIG.2
「[0037] FIG.2 depicts a simple example where the system 113 includes three tracking devices 201 and a central tracking system 111. Tracking device 1 monitors zone 1201. Tracking device 2 monitors zone 2202. Tracking device 3 monitors zone 3203. In this example, zone 1 overlaps somewhat with zone 2, and zone 2 overlaps somewhat with zone 3. In FIG. 2, a first person 200 is depicted in five positions as the first person 200 moves from zone 1 to zone 2 to zone 3. A second person 204 is located in zone 1 and a third person 205 is located in zone 3. The system is configured to operate independently of lighting available in the zones, and can operate where all or some of the zones are lighted and where some or none of the zones have any light source other than the light 107 provided by the tracking device 102 in the zone.」
「FIG.2
95
120
0001434819000004.jpg
」
「[0038] In general, it is assumed herein that
each person who enters any of the zones is carrying a mobile device 101 that is configured to wirelessly broadcast a unique identifier of the mobile device 101
.
Typically, this is the media access control (MAC) address of a smartphone that is periodically transmitted via
as is normally done
when a smartphone has Wi-Fi enabled
.
In some cases the unique identifier may be broadcast via
another wireless protocol, such as
Bluetooth and the system 113 has a Bluetooth antenna/receiver
.
Rather than a smartphone, the mobile device carried by a person may be a custom transmitter device, particularly in the case of employees working in a monitored facility
. For example, employees may be required by management to carry or wear a custom transmitter device provided by their employer.」
([0037] 図2は、システム113が3つの追跡装置201及び中央追跡システム111を含む簡単な例を示している。追跡装置1はゾーン1201を監視する。追跡装置2はゾーン2202を監視する。追跡装置3はゾーン3203を監視する。この例では、ゾーン1はゾーン2とやや重複し、ゾーン2はゾーン3とやや重複している。図2において、第1の人物200がゾーン1からゾーン2、ゾーン3へ移動する際の5つの位置で示されている。第2の人物204はゾーン1に位置し、第3の人物205はゾーン3に位置している。システムは、ゾーン内で利用可能な照明に依存せずに動作するように構成されており、すべて又は一部のゾーンが照明されている場合や、ゾーン内の追跡装置102によって提供されるライト107以外の光源が一部又は全く存在しない場合にも動作可能である。
[0038] 一般的に、本明細書では、いずれかのゾーンに入る
各人物が、モバイルデバイス101を携帯しており、そのモバイルデバイス101の固有識別子を無線で送信するように構成されている
と仮定している。
通常、これはスマートフォンのメディアアクセスコントロール(MAC)アドレスであり、スマートフォンがWi-Fiを有効にしている場合に
通常行われるように、
定期的に送信される
。
場合によっては、固有識別子が
他の無線プロトコル、例えば
Bluetoothを介して送信され、システム113がBluetoothアンテナ/受信機を有することもある
。
特に監視される施設で働く従業員の場合に、人物が携帯するモバイルデバイスが、スマートフォンではなく、独自の送信装置である場合もある
。例えば、従業員は管理者によって、雇用主が提供するカスタム送信装置を携帯又は着用することを要求される場合がある。)
オ [0040]~[0042]
「[0040] When a person enters the zone of a tracking device 102, the tracking device 102 can recognize that the person has entered in three separate ways....(中略)...In a preferred embodiment,
whenever the presence of a person in the zone is detected by the PIR sensors 106 or by reception of a unique identifier of a mobile device 101 when the light level in the zone is less than a predetermined level, then the lights 107 are turned on by the tracking device processor 108 so that the tracking device processor 108 can then analyze video from the camera 105 to identify the presence and location of a person in the zone
.
[0041] ...(中略)... The central tracking system 111, to which the video of the zone collected by the camera 105 is transmitted, alternatively may analyze the video over time and track the position of a person in the zone after that person was first detected.
[0042]
When a person is detected in a zone, the tracking device processor 108 in the zone provides to the central tracking system 111 a notification that a person is in the zone and also provides the unique identifier of any mobile devices 101 detect at the same time in the zone
. Each tracking device processor 108 also informs the central tracking system 111 when a person has left the zone and also indicates what mobile device unique identifiers, if any, are still present in the zone at that point.」
([0040] 人物が追跡装置102のゾーンに入ると、追跡装置102は、人物が入ったことを3つの異なる方法で認識することができる。...(中略)...好ましい実施形態において、
PIRセンサー106によって又はモバイルデバイス101の固有識別子の受信によってゾーン内の人物の存在が検出されるたびに、ゾーン内の光量が所定のレベルより低い場合に、追跡装置プロセッサ108によってライト107が点灯され、追跡装置プロセッサ108がカメラ105からの映像を分析してゾーン内の人物の存在及び位置を特定できるようにする
。
[0041] ...(中略)...カメラ105によって収集されたゾーンの映像が送信される中央追跡システム111は、代わりに、映像を時間経過で分析し、その人物が最初に検出された後にゾーン内の人物の位置を追跡することができる。
[0042]
人物がゾーン内で検出されると、そのゾーン内の追跡装置プロセッサ108は、人物がゾーン内にいることの通知を中央追跡システム111に提供し、同時にゾーン内で検出されたモバイルデバイス101の固有識別子も提供する
。各追跡装置プロセッサ108は、人物がゾーンから退出したときにも中央追跡システム111に通知し、その時点でゾーン内に依然として存在するモバイルデバイスの固有識別子があれば、それも示す。)
カ [0055]
「[0055] FIG. 6 shows an example screen that may be displayed to a user by the central tracking system 111. This may be displayed, for example, on a display monitor 110 connected to the central tracking system 111, or remotely via the network 109. The display shows a table 601 providing information on three people who have been identified in zone L1 over a prior period. For each person the table shows the relative signal strength indication (RSSI) of the person's Wi-Fi signal and the MAC address of the person's mobile device, as well as the date/time the person entered zone L1 and the duration that the person remained in zone L1.(後略)」
([0055] FIG. 6は、中央追跡システム111によりユーザに表示され得る例示的な画面を示す。これは、例えば、中央追跡システム111に接続された表示モニタ110上に、又はネットワーク109を介して遠隔で表示され得る。表示は、所定の過去期間にわたりゾーンL1で識別された三人の人物に関する情報を提供する表601を示す。各人物について、表は、その人物のWi-Fi信号の相対受信信号強度指標(RSSI)及びその人物のモバイルデバイスのMACアドレス、並びにその人物がゾーンL1に入った日時及びその人物がゾーンL1に留まった時間を示す。(後略))
(2) 引用発明の認定
前記(1)に摘記した引用文献2の記載事項を総合すると、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、認定の根拠となる記載箇所を括弧内に示した。
<引用発明>
「施設内の人が施設のゾーン間を移動する際に人の位置を追跡するためのシステム113が含む追跡装置102であって、([0029])
ネットワークスイッチ109を介して中央追跡システム111に接続されており、([0029])
カメラ105、1つ又は複数のライト107及び1つ又は複数の受動赤外線(PIR)センサー106を含むカメラアセンブリ304に加えて、追跡装置102は、追跡装置プロセッサ108、マイクロフォン又はマイク104、スピーカー114及びアンテナ103も含み、([0032])
アンテナ103はWi-Fiアンテナであり、コネクタ503を介して追跡装置プロセッサ108に接続されており、追跡装置102が設置されているゾーン内に位置する人が携帯するスマートフォン等のモバイルデバイス101からWi-Fi信号を受信するように構成されており、([0033])
各人物が、モバイルデバイス101を携帯しており、そのモバイルデバイス101の固有識別子を無線で送信するように構成されており、通常、これはスマートフォンのメディアアクセスコントロール(MAC)アドレスであり、スマートフォンがWi-Fiを有効にしている場合に、定期的に送信され、場合によっては、固有識別子がBluetoothを介して送信され、システム113がBluetoothアンテナ/受信機を有することもあって、特に監視される施設で働く従業員の場合に、人物が携帯するモバイルデバイスが、スマートフォンではなく、独自の送信装置である場合もあり、([0038])
PIRセンサー106によって又はモバイルデバイス101の固有識別子の受信によってゾーン内の人物の存在が検出されるたびに、ゾーン内の光量が所定のレベルより低い場合に、追跡装置プロセッサ108によってライト107が点灯され、追跡装置プロセッサ108がカメラ105からの映像を分析してゾーン内の人物の存在及び位置を特定できるようにし、([0040])
人物がゾーン内で検出されると、そのゾーン内の追跡装置プロセッサ108は、人物がゾーン内にいることの通知を中央追跡システム111に提供し、同時にゾーン内で検出されたモバイルデバイス101の固有識別子も提供する、([0042])
追跡装置102。」
(1) 引用文献5に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に発行された文献である特開2020-8492号公報(以下「引用文献5」という。)には、次の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものであり、以下同様である。
ア 【0001】~【0007】
「【技術分野】
【0001】
この発明は、船舶の乗員を管理する管理システムに関する。
...(中略)...
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る
船舶内の乗員を管理する管理システムは、端末装置と、複数の第1受信機とを備える
。
端末装置は、乗員に装着され、Bluetooth
(登録商標)
Low Energy規格におけるアドバタイズパケットを送信する
。
複数の受信機は、船舶内の互いに異なる複数の位置にそれぞれ設置され、アドバタイズパケットを受信する
。
端末装置は、乗員の生体情報を出力する生体センサを含む
。
端末装置は、生体センサから出力された生体情報をアドバタイズパケットに含ませる
。
管理システムは、複数の第1受信機のいずれかが受信したアドバタイズパケットに含まれる生体情報を取得するとともに、複数の第1受信機のうちアドバタイズパケットを受信した第1受信機の位置に基づいて、乗員の所在を推定する管理装置をさらに備える
。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、船舶内の乗員の位置を精度良く管理することができる。」
イ 【0011】~【0022】、【図2】
「【0011】
図2は、実施の形態1に係る管理システムの構成を示す図である。図2に示されるように、実施の形態1に係る管理システム1は、端末装置10と、複数の固定式受信機20(固定式受信機20-1,20-2,・・・)と、可搬式受信機25と、管理装置30と、複数の消火装置40(消火装置40-1,40-2,・・・)と、通信ケーブル50と、を備える。」
「【図2】
82
141
0001434819000005.jpg
」
「【0012】
端末装置10は、乗員100に装着される。端末装置10は、Bluetooth(登録商標) Low Energy(BLE)規格におけるアドバタイズパケット(アドバタイジングパケットともいう)を電波300によって無線送信する。後述するように、端末装置10は、乗員100の生体情報を検知する生体センサを含み、生体センサによって検知された生体情報をアドバタイズパケットに含ませる。
【0013】
固定式受信機20-1,20-2,・・・は、区画202-1,202-2,・・・にぞれぞれ配置される。固定式受信機20-1,20-2,・・・には、受信機IDがそれぞれ割り振られている。以下では、固定式受信機20-1,20-2,・・・を特に区別しない場合、固定式受信機20-1,20-2,・・・の各々を「固定式受信機20」という。
...(中略)...
【0016】
管理装置30は、固定式受信機20または可搬式受信機25から受けたアドバタイズパケット、受信強度情報、受信時刻情報および受信機IDに基づいて、乗員100を管理する。具体的には、管理装置30は、乗員100の生体情報を取得するとともに、
乗員100の
位置を推定し、当該
生体情報および位置を管理する
。」
...(中略)...
【0020】
図3に示されるように、端末装置10は、生体センサ11と、通信部12とを備える。生体センサ11は、端末装置10が装着された
乗員100の生体情報(たとえば脈拍、心拍、体温など)
を出力する。生体センサ11は、たとえば脈拍、心拍、体温などの値を計測し、計測した値を生体情報として出力してもよいし、計測した値に基づいて乗員100の状態を評価し、評価結果を生体情報として出力してもよい。
【0022】
アドバタイズパケットは、端末装置10を識別する端末IDを含む。さらに、アドバタイズパケットは、BLEデバイスの供給者が独自のフォーマットを規定して利用することができる情報要素「Manufacturer Specific Data」を含む。通信部12は、生体センサ11から出力された最新の生体情報をManufacturer Specific Dataに含める。Manufacturer Specific Dataのデータ長さは、予め定められている。そのため、生体センサ11は、Manufacturer Specific Dataのデータ長さに収まる生体情報を出力する。」
(2) 引用文献8に記載された事項
当審において新たに引用する、本願の出願前に発行された文献である国際公開第2017/187551号(以下「引用文献8」という。)には、次の記載がある。
ア [0001]~[0006]
「技術分野
[0001] 本発明は、位置特定装置及びプログラムに関する。
...(中略)...
[0005] BLEをサポートする送信機及び受信機は、概ね15m~20m程度の近距離で通信することを想定しており、遠距離にある送信機から送信される電波を受信機(例えばスマートフォンなど)で受信することは困難である。更に、送信機から送信される電波は基本的に無指向性であるため、受信機は、送信機がどの方向に存在するのかを検出することは困難である。従って、汎用的な無線技術であり、かつ省電力であるというBLEを利用しつつ送信機の位置を把握することが可能な技術が望まれている。
[0006] 開示の技術は上記に鑑みてなされたものであって、BLEをサポートする送信機の位置を特定することが可能な技術を提供することを目的とする。」
イ [0011]~[0014]
「[0011] <<第一の実施の形態>>
<システム構成、概要>
図1は、第一の実施の形態に係る
位置管理システム
の構成例を示す図である。本位置管理システムは、1以上の送信機10、受信機20及び収集装置30を有する。
[0012]
送信機10は、BLEをサポートしており、受信機20とBLEの無線信号を用いて通信する機能を有する
。
送信機10は、BLEの無線信号を用いて、送信機10を一意に特定するID及び各種のデータ(送信機10の状態、各種のセンサーからの出力値など)を送信することができる
。
送信機10は、
単独で存在する送信機でもよいし、物(荷物など)に取り付けられた送信機でもよいし、
人間
又は動物
に取り付けられた送信機
でもよい。
[0013] 受信機20は、送信機10とBLEの無線信号を用いて通信する機能を有する。また、受信機20には指向性の異なる複数のアンテナを接続することが可能であり、受信機20は、受信したBLEの電波をどのアンテナで受信したのかを判断すると共に、受信したBLEの信号の受信強度を測定する機能を有する。また、
受信機20は、BLEの無線信号を受信したアンテナ、受信強度、及び当該電波の送信元である送信機10のIDなどを含む情報(以下、「送信機情報」と呼ぶ)を収集装置30に送信する
。
[0014] 収集装置30は、受信機20から送信された送信機情報をデータベース等に格納する機能を有している。また、
収集装置30は、収集された送信機情報に含まれるアンテナ毎の受信強度に基づき、各送信機10の位置を特定する機能を有している
。」
ウ [0025]
「[0025] ステップS11で、受信機20の無線通信部201は、アンテナAに切替えて、各送信機10から送信されるBLEの無線信号を受信し、BLEの無線信号に含まれる送信機のIDを取得する。また、受信強度測定部211は、各送信機10から送信されるBLEの無線信号の受信強度を測定する。続いて、
無線通信部201は、各送信機10との間でコネクションを確立し、各送信機10からデータを受信する
。
当該データには、例えば、送信機10の状態(電池残量など)、送信機10に内蔵又は接続された各種のセンサー(加速度センサー、圧力センサー、温湿度センサーなど)の出力値などが含まれる
。」
エ [0038]
「[0038] 一方、第二の実施の形態では、送信機10から送信されるBLEのアドバタイズ信号を加工することで、受信機20の無線通信部201は、各送信機10との間でコネクションを確立せずに各送信機10からデータを受信することを可能にする。より具体的には、図8(b)に示すように、
送信機10は、送信機10のIDと送信したいデータとが含まれるアドバタイズ信号を送信しておき、受信機20の無線通信部201は、当該アドバタイズ信号を受信することで、送信機10のID及びデータを同時に受信する
(S41)。」
(3) 引用文献5技術事項の認定
前記(1)に摘記した事項(特に、【0006】、【0016】及び【0020】参照)から、引用文献5には、次の技術事項(以下「引用文献5技術事項」という)が記載されていると認められる。
<引用文献5技術事項>
「端末装置と、複数の受信機とを備える船舶内の乗員を管理する管理システムにおいて、
乗員の生体情報及び位置を管理するために、
端末装置が、乗員に装着され、Bluetooth Low Energy規格におけるアドバタイズパケットを送信するようにし、
複数の受信機が、船舶内の互いに異なる複数の位置にそれぞれ設置され、アドバタイズパケットを受信するようにし、
端末装置が、乗員の生体情報(たとえば脈拍、心拍、体温など)を出力する生体センサを含むようにし、
端末装置に、生体センサから出力された生体情報をアドバタイズパケットに含ませるようにさせ、
管理システムが備える管理装置に、複数の第1受信機のうちアドバタイズパケットを受信した第1受信機の位置に基づいて、乗員の所在を推定させるとともに、複数の第1受信機のいずれかが受信したアドバタイズパケットに含まれる生体情報を取得させること。」
(4) 周知技術1の認定
前記(1)、(2)に摘記した引用文献5、8の記載事項に例示されるように、次の技術事項(以下「周知技術1」という。)は、当業者にとって周知であったと認められる。
<周知技術1>
「人が携行する送信機とBLE通信により通信する受信機を用いて、送信機を携行する人の位置を特定して管理するシステムにおいて、
送信機から送信され、受信機にて受信されるBLE通信におけるアドバタイズ信号に、送信機が含むセンサにより取得された様々なデータを含ませることができること。」
(1) 対比分析
本願発明と引用発明を対比する。
ア 構成Xの観点
(ア) 構成Xは、「センサ装置」の発明であることである。
(イ) 引用発明における「追跡装置102」は、センサとして機能する「カメラ105」及び「1つ又は複数の受動赤外線(PIR)センサー106」を含むから、センサを含む装置である。
(ウ) したがって、本願発明と引用発明は、構成Xの観点に関し、次の点において一致する。
「センサ装置」の発明である点。
イ 構成Aの観点
(ア) 構成Aは、「撮像部を有し、前記撮像部において撮像した画像をもとに人の存在を検知する人検知部」を備えることである。
(イ) 引用発明における「カメラ105」は、本願発明における「撮像部」に相当する。
(ウ) 引用発明における「追跡装置プロセッサ108」は、「カメラ105からの映像を分析してゾーン内の人物の存在及び位置を特定できる」ものであるから、本願発明における「前記撮像部において撮像した画像をもとに人の存在を検知する」に相当する構成を備えるといえる。
(エ) そのため、引用発明における「カメラ105」及び「追跡装置プロセッサ108」を含む構成は、本願発明における「撮像部を有し、前記撮像部において撮像した画像をもとに人の存在を検知する人検知部」に相当する。
(オ) したがって、本願発明と引用発明は、構成Aの観点に関し、次の点において一致する。
「撮像部を有し、前記撮像部において撮像した画像をもとに人の存在を検知する人検知部」を備える点。
ウ 構成Bの観点
(ア) 構成Bは、「近距離無線通信を実行する無線通信部」を備えることである。
(イ) 引用発明における「アンテナ103」は、「Wi-Fiアンテナ」又は「Bluetoothアンテナ/受信機」であるから、本願発明における「近距離無線通信を実行する無線通信部」に相当する。
(ウ) したがって、本願発明と引用発明は、構成Bの観点に関し、次の点において一致する。
「近距離無線通信を実行する無線通信部」を備える点。
エ 構成Cの観点
(ア) 構成Cは、「前記人検知部における検知結果を示す第1情報と、前記無線通信部が受信した信号をもとにした第2情報とを出力する出力部」を備えることである。
(イ) 引用発明における「追跡装置プロセッサ108がカメラ105からの映像を分析して」「特定」する「ゾーン内の人物の存在及び位置」は、前記イ(イ)~(エ)の対比分析も踏まえると、本願発明における「前記人検知部における検知結果を示す第1情報」に相当する。
(ウ) 引用発明における「追跡装置プロセッサ108」が「中央追跡システム111に」「提供する」「固有識別子」は、「アンテナ103」が「Wi-Fi」又は「Bluetoothを介して」受信する信号から抽出されるデータであることが明らかであるから、本願発明における「前記無線通信部が受信した信号をもとにした第2情報」に相当する。
(エ) 引用発明において、「追跡装置プロセッサ108は、人物がゾーン内にいることの通知を中央追跡システム111に提供し、同時にゾーン内で検出されたモバイルデバイス101の固有識別子も提供する」から、前記(イ)及び(ウ)の対比分析も踏まえると、引用発明が、本願発明における「前記人検知部における検知結果を示す第1情報と、前記無線通信部が受信した信号をもとにした第2情報とを出力する出力部」に相当する構成を備えることは明らかである。
(オ) したがって、本願発明と引用発明は、構成Cの観点に関し、次の点において一致する。
「前記人検知部における検知結果を示す第1情報と、前記無線通信部が受信した信号をもとにした第2情報とを出力する出力部」を備える点。
オ 構成Dの観点
(ア) 構成Dは、「前記無線通信部が受信した信号には、送信元装置において取得されたデータが含まれ、前記出力部から出力される前記第2情報は、前記データをもとにした情報を含む」ことである。
(イ) 引用発明は、本願発明の構成Dに相当する構成を備えていないから、本願発明と引用発明は、構成Dの観点に関し、次の点において相違する。
本願発明においては、「前記無線通信部が受信した信号には、送信元装置において取得されたデータが含まれ、前記出力部から出力される前記第2情報は、前記データをもとにした情報を含む」のに対して、
引用発明においては、「アンテナ103」が「Wi-Fi」又は「Bluetoothを介して」受信する信号及び「中央追跡システム111に提供」する情報に、そのようなデータ及び情報が含まれることの特定がない点。
(2) 一致点及び相違点
前記(1)の対比分析の結果をまとめると、本願発明と引用発明は、次のアに示す一致点において一致し、後記イに示す相違点において相違すると認められる。
ア 一致点
「撮像部を有し、前記撮像部において撮像した画像をもとに人の存在を検知する人検知部と、
近距離無線通信を実行する無線通信部と、
前記人検知部における検知結果を示す第1情報と、前記無線通信部が受信した信号をもとにした第2情報とを出力する出力部とを備える、
センサ装置」の発明である点。
イ 相違点
本願発明においては、「前記無線通信部が受信した信号には、送信元装置において取得されたデータが含まれ、前記出力部から出力される前記第2情報は、前記データをもとにした情報を含む」のに対して、
引用発明においては、「アンテナ103」が「Wi-Fi」又は「Bluetoothを介して」受信する信号及び「中央追跡システム111に提供」する情報に、そのようなデータ及び情報が含まれることの特定がない点。
(1) 相違点について
ア 引用文献5技術事項に基づく検討
(ア) 引用文献5には、前記3(3)において認定したとおり、次の引用文献5技術事項が記載されていると認められる。
<引用文献5技術事項>
「端末装置と、複数の受信機とを備える船舶内の乗員を管理する管理システムにおいて、
乗員の生体情報及び位置を管理するために、
端末装置が、乗員に装着され、Bluetooth Low Energy規格におけるアドバタイズパケットを送信するようにし、
複数の受信機が、船舶内の互いに異なる複数の位置にそれぞれ設置され、アドバタイズパケットを受信するようにし、
端末装置が、乗員の生体情報(たとえば脈拍、心拍、体温など)を出力する生体センサを含むようにし、
端末装置に、生体センサから出力された生体情報をアドバタイズパケットに含ませるようにさせ、
管理システムが備える管理装置に、複数の第1受信機のうちアドバタイズパケットを受信した第1受信機の位置に基づいて、乗員の所在を推定させるとともに、複数の第1受信機のいずれかが受信したアドバタイズパケットに含まれる生体情報を取得させること。」
(イ)a 引用発明と引用文献5技術事項は、端末装置と複数の受信機とを備え、端末装置からBluetoothを介して送信される信号を受信機で受信し、端末装置を携帯する人の位置等を管理する技術を含む点で共通する。
b また、引用発明は、モバイルデバイスを携帯する人物として、「施設で働く従業員」を想定している。
そして、従業員の脈拍、心拍、体温などの生体情報は、従業員の健康状態に関する情報であるところ、健康状態が従業員の業務の遂行に影響し得ることは明らかであるから、前記生体情報は、従業員の業務管理に資する情報であるといえる。
c 前記a及びbを踏まえると、引用発明において、中央追跡システム111で従業員の健康状態も踏まえた管理ができるようにするために、引用文献5技術事項を採用して、従業員が携帯するモバイルデバイスが、「生体情報(たとえば脈拍、心拍、体温など)を出力する生体センサ」を含むようにし、モバイルデバイスからBluetoothを介してアンテナ103が受信する信号を、「生体情報」を含む「アドバタイズパケット」とし、「アドバタイズパケット」から抽出した「生体情報」に基づく情報を、中央追跡システム111に提供するように構成することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
d ここで、モバイルデバイスが含む「生体センサ」が「出力する」「生体情報(たとえば脈拍、心拍、体温など)」は、本願発明における「送信元装置において取得されたデータ」に相当するから、前記cにおいて得られる発明は、前記6(1)エ(ウ)及び(エ)の対比分析も踏まえると、前記相違点に係る本願発明の構成を備えるといえる。
イ 周知技術1に基づく検討
(ア) 前記5(4)において周知技術1として認定したとおり、次の事項は周知の技術であったと認められる。
<周知技術1>
「人が携行する送信機とBLE通信により通信する受信機を用いて、送信機を携行する人の位置を特定して管理するシステムにおいて、
送信機から送信され、受信機にて受信されるBLE通信におけるアドバタイズ信号に、送信機が含むセンサにより取得された様々なデータを含ませることができること。」
(イ)a 引用発明において、中央追跡システム111が収集するデータの種類が多いほど、様々な管理を行うことができて好ましいことは明らかである。
b したがって、引用発明において、周知技術1を踏まえ、人が携帯するモバイルデバイスが、「様々なデータを」「取得」する「センサ」を含むようにし、モバイルデバイスからBluetoothを介してアンテナ103が受信する信号を、「様々なデータ」を含む「アドバタイズ信号」とし、「アドバタイズ信号」から抽出した「様々なデータ」に基づく情報を、中央追跡システム111に提供するように構成することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
c ここで、モバイルデバイスが含む「センサ」が「取得」する「様々なデータ」は、本願発明における「送信元装置において取得されたデータ」に相当するから、前記bにおいて得られる発明は、前記6(1)エ(ウ)及び(エ)の対比分析も踏まえると、前記相違点に係る本願発明の構成を備えるといえる。
(2) 総合評価
前記(1)において検討したとおり、引用発明において、前記相違点に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、引用発明及び引用文献5技術事項又は周知技術1に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。
そして、本願発明が奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。
したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献5技術事項又は周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
請求人は、審判請求書において、引用文献2に記載された発明に引用文献5に記載された技術事項を組み合わせることに関して、画像により人の存在を検知する状態において、さらに引用文献5に記載された技術事項を参照するための動機付けが引用文献2にはない旨を主張する。
しかしながら、前記7(1)ア(イ)において説示したとおり、当業者にとって、引用文献2に記載された発明に引用文献5に記載された技術事項を組み合わせる動機は存在するといえるから、請求人の主張を採用することはできない。
以上検討のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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