結論テキスト
本件審判の請求は、成り立たない。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2024019229 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本件出願(以下「本願」という。)は、2020年(令和2年)5月18日(パリ条約による優先権主張2019年5月22日 米国(US))の出願であって、令和5年12月28日付けの拒絶理由の通知に対し、令和6年4月16日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされ、同年7月23日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、これに対して同年12月2日に審判請求書が提出されると同時に手続補正がなされ、令和7年6月25日に上申書が提出されたものである。
本願の請求項1~14に係る発明は、令和6年12月2日に手続補正がなされた特許請求の範囲の請求項1~14に記載された事項により特定されるとおりのものと認められる。そのうち本願の請求項6に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下に特定されるとおりである。
「 【請求項6】
フレキシブルX線後方散乱ディテクタ(20)(40)であって、
フレキシブルX線後方散乱ディテクタ基板(20a)(40a)、及び
X線シンチレーション材料の少なくとも1つの層(22)(42)であって、当該X線シンチレーション材料の層は、前記フレキシブルX線後方散乱ディテクタ基板の少なくとも1つの表面上に堆積され、当該少なくとも1つの表面を実質的に覆うように構成されている、X線シンチレーション材料の少なくとも1つの層(22)(42)
を備えている、フレキシブルX線後方散乱ディテクタ(20)(40)。」
原査定の拒絶の理由の概要は、以下のとおりである。
(新規性)本願の下記の請求項に係る発明は、本願の優先権主張の日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
(進歩性)本願の下記の請求項に係る発明は、本願の優先権主張の日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本願の優先権主張の日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
●理由2(特許法第29条第1項第3号)、理由3(特許法第29条第2項)について
・請求項 6-9、14
・引用文献等 1
●理由3(特許法第29条第2項)について
・請求項 9-13
・引用文献等 1
要すれば、本願発明(本願の請求項6に係る発明)は、引用文献1に記載された発明であり、また、引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである、と説示している。
<引用文献等一覧>
1.特開2004-064087号公報
(1)引用文献1の記載
本願の優先権主張の日前に頒布され、原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1には、図面とともに以下の記載がある(下線は当審にて付与した。以下の2及び3について同様である。)。
(引1-ア)
「【0001】
本発明は、一般的に放射線イメージャに関し、より具体的には、可撓性があり、適合性があってかつ堅牢な放射線イメージャに関する。
・・・
【0007】
図1及び図8を参照しながら、
入射する放射線75により照射された被写体200を画像化するための可撓性イメージャ100
について説明する。図示するように、
可撓性イメージャ100は、可撓性基板101と、可撓性基板101上に配置された光センサ・アレイ110とを含む
。
可撓性イメージャ100は更に、入射する放射線75を受けかつ吸収するように配置されたシンチレータ190を含む
。
シンチレータ190は、入射する放射線75を光子に変換するように構成され、かつ光センサ・アレイ110に光学的に結合されている
。例示的な
入射する放射線75は、
典型的には、
約0.0005オングストロームから約5オングストロームまでの間の範囲内の波長を有するX線を含む
。
光センサ・アレイ110は、光子を受けて、該光子に対応する電気信号を生成するように構成されている
。可撓性イメージャ100の一般的な構造は、参考文献として本明細書に組み入れられる、「薄膜トランジスタのアドレス指定可能なアレイを有するソリッドステート式X線透視放射線イメージャ」と題する、本発明の出願人に譲渡されたJack D.Kingsleyらによる米国特許第5,587,591号と同様のものであることに注目されたい。しかしながら、このソリッドステート式X線透視放射線イメージャの公知の基板は剛直な(可撓性がない)ものであり、例えば、ガラスを含むものである。これとは対照的に、基板101は、図1及び図2に例示的な曲率によって示されるように可撓性がある。有利なことに、可撓性基板101は堅牢であり、ガラスのような剛直な基板上に作製されたイメージャが乱暴な取扱及び輸送状態によって損傷を受けがちな現場での使用を可能にする。その上、
可撓性基板101により、ユーザが、
例えば
航空機構造体の一部などの被検査被写体200の表面に、可撓性イメージャ100を適合させることが可能になる
。
【0008】
光センサ・アレイ110により生成された電気信号に対応する画像を表示するために、読み取り及びリセット回路210が光センサ・アレイ110に電気的に接続されて、入射する放射線75に応答して生成された電気的信号を受信する。読み取り及びリセット回路210は更に、該読み取り及びリセット回路から伝送された信号を処理して、情報を可撓性イメージャ100のユーザに提供する表示及び分析装置220に接続される。
【0009】
より具体的な実施形態によると、可撓性基板101はポリマーから形成される。より具体的には、
可撓性基板101は、ポリイミドのようなフレキシブル有機ポリマーから形成され、
こうしたポリマーの例には、Kapton(商標)及びUpilex(商標)の商標名で市販されている材料が含まれる。Upilex(商標)は、UBE Industries,Ltd.から市販されており、Kapton(商標)は、E.I.du Pont de Nemours and Companyから市販されている。他の例示的なフレキシブル有機ポリマーには、BASF製のポリエーテルスルホン(PES)と、E.I.du Pont de Nemours and Company製のポリエチレンテレフタレート(PET又はポリエステル)と、E.I.du Pont de Nemours and Company製のポリエチレンナフタレート(PEN)と、General Electric製のポリエーテルイミド(PEI)とが含まれる。
【0010】
加工処理中の機械的な安定性をもたらしながら可撓性イメージャ100の可撓性を高めるには、可撓性基板101は、特定の実施形態によると、約2ミル乃至約10ミルの厚さにされる。より特定的には、可撓性基板101は、約3ミル乃至約8ミルの厚さにされる。例示的な可撓性基板の厚さは約5ミルである(1ミルは千分の1インチ、1インチは、2.54cm)。
【0011】
例示的な光センサ・アレイ110の一部が図3に示される。図示するように、
光センサ・アレイ110は、多数の光センサ120と、アドレス指定可能な薄膜トランジスタ(TFT)アレイ130とを含む
。
より具体的には、各光センサ120は、
例えば
アモルファス・ケイ素(a-Si)の光ダイオードといった光ダイオード120を含む
。
TFTアレイ130は多数のTFT134を含み、該TFTの各々は、光センサ・アレイ110において各光センサ120が選択的にアドレス指定されるように、光センサ120の1つとそれぞれ電気的に接続される
。図3に示すように、例示的な
光センサ・アレイ110は更に、光センサ120の各々を選択的にアドレス指定することができる走査ライン131とデータライン132とを含む
。
有利なことに、
Iowa Thin Films Technology,Inc,から
市販されているポリイミドのa-Siシートを加工して、可撓性基板上に配置された光ダイオードを形成することができる
。
【0012】
光センサ・アレイ110の一般的な構造は、本発明の出願人に譲渡された上述の米国特許第5,587,591号の図1(B)に示されているものと同じであることに注目されたい。従って、光センサ・アレイ110の詳細な説明を省略する。手短に述べると、例示的なTFT134は、例えば図4に示すように、ゲート電極138と、該ゲート電極138の上に配置された半導体領域139と、該半導体領域139に接触するソース電極137及びドレイン電極136とを含む。図5に示すTFT134の特定の積層構造においては、半導体領域139はゲート誘電層102の上に配置される。また、ソース電極137及びドレイン電極136を形成する際に用いられる典型的な材料及び技術に加えて、従来の写真平版技術を必要としない材料を用いることもできる。ソース電極137及びドレイン電極136の従来の材料には、金(Au)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、チタン(Ti)、及び酸化スズインジウム(ITO)が含まれる。しかしながら、ソース電極137及びドレイン電極136はまた、場合によっては低コストでインクジェット又はスクリーン印刷のような公知の技術を用いて、例えば、酸化チタン(TiO2)及び金(Au)のような金属性ナノ粒子を含む電気的に伝導性のある(「導電性の」)インクか、又はポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)のような導電性ポリマーから形成することもできる。産業上の画像形成の用途では、関係する速度が僅かに低く及び/又は関係する電圧が僅かに高いので、導電性インク又は導電性ポリマーから形成されたソース電極137及びドレイン電極136が受け入れられる。より具体的な実施形態によると、ゲート電極138は、導電性インク又は導電性ポリマーから形成されて、例えば、約1乃至約10nmRMSの粗度をもつ、ほぼピンホールのない滑らかな表面を形成し、該表面上に優れた表面品質及び電気的性質を有するゲート誘電層102を形成可能にする。走査ライン131及びデータライン132は、Au、Ni、Al、Mo、及びクロム/金(Cr/Au)又はクロム/モリブデン(Cr/Mo)の二重層のような導電性材料から形成される。例示的な走査ライン131及びデータライン132が図2に示されている。
【0013】
特定の実施形態によると、
TFT134は、
例えば、上述の米国特許第5,587,591号に開示されている
従来のアモルファス・ケイ素(a-Si)ベースのTFTである
。手短に述べると、ソース電極137及びドレイン電極136は、図4に示すように、半導体領域の上に配置される。この実施形態において、半導体領域139は、例えば図5に示すように、真性a-Si層103と、該真性a-Si層の上に配置されたドープ処理a-Si層104とを含む。a-SiベースのTFT134は、キャリアの電界効果移動度、サブスレショルド勾配、及びソース/ドレイン電流のオン/オフ比について、望ましい素子特性をもたらす利点がある。より具体的には、
アドレス指定可能なTFTアレイ130は、可撓性基板101と光センサ120との間に位置し、各光センサ120はa-Si光ダイオード120を備える
。この実施形態において、例示的な走査ライン131は、アルミニウム(Al)から又はクロム/モリブデン(Cr/Mo)の二重層から形成され、例示的なデータライン132はモリブデン(Mo)を含む。更に、各TFT134は、図5に示すように、ゲート電極138と半導体領域139との間に配置されるゲート誘電層102を含む。従来のゲート誘電層102は、窒化ケイ素(SiN
x
)又は二酸化ケイ素(SiO
2
)から形成される。しかしながら、可撓性イメージャ100の可撓性を高めるために、ゲート誘電層102はまた、ポリイミド、ポリアミド、パリレン、ベンゾシクロブテン(BCB)、その他の同様な有機誘電物質などの有機誘電材料から形成することもできる。
・・・
【0020】
従来のデジタルイメージャと同様に、シンチレータ190は、入射する放射線の大部分を吸収して光子を生成するように、入射する放射線75に対して比較的大きい断面をもつように選択される。
シンチレータ190のための1つの例示的な材料は、例えばタリウムがドープされたヨウ化セシウムのようなヨウ化セシウム(CsI)である
。有利なことに、ヨウ化セシウム(CsI)は、X線に対して比較的大きい断面をもつ。特定の実施形態によると、
CsIのような特定の蛍光材料が薄膜として蒸着される
。別の実施形態によると、CsIはファイバ形状で形成される。他の例示的なシンチレータ材料は、この業界では公知の技術を用いることにより、結着剤を用いて光センサ・アレイ110上に直接付着される。別の実施形態によると、シンチレータ190は、アモルファスセレンのような光電陰極材料を含む。この実施形態においては、光センサ・アレイ110は、光ではなく電子を検出するように構成される。別の実施形態については、シンチレータ190は蛍光体スクリーン190を含む。蛍光体スクリーン190は、例えば、光学エポキシ、UV硬化型接着剤又は光結合グリースを介して光センサ・アレイ110に光学的に結合される。例示的な蛍光体スクリーン190は、酸化テルビウムにより活性化されたガドリニウム酸硫化物を含む。他の例示的な蛍光体スクリーン190には、BaFCl:Eu2+、YTaO4及びZnCdS:CuのようなX線蛍光体が多結晶粒子状に形成され、最終的にX線の蛍光体スクリーン190に形成されたものが含まれる。
・・・
【0027】
デジタル画像形成方法の実施形態を、図8を参照して説明する。このデジタル画像形成方法は、図8に示すように、可撓性デジタルイメージャ100を被写体200に適合させるステップを含む。可撓性デジタルイメージャ100は、シンチレータが被写体200と向い合うように位置決めされる。例えば、X線源などの放射線源300を作動させて、被写体200を放射線75に曝す。このようにして、X線75のような放射線75が、被写体200を通り抜けて、シンチレータ190に衝突する。この方法は更に、可撓性デジタルイメージャ100を用いて画像を収集するステップを含む。例えば、入射する放射線75に応答して可撓性デジタルイメージャ100により生成された電気信号が、読み取り及びリセット回路210によって受信され、該読み取り及びリセット回路210は更に、図1に関して上述し及び図8に示すように、表示及び分析装置220に接続されている。
・・・
【0029】
本発明の方法について考えられる適用例の1つは
航空機の検査
である。この適用例を図9に示すが、
この場合、被写体200は、
例えば民間航空機といった
航空機の
一部である。図9に示す配置において、被写体200は
胴体200であり、
胴体200の少なくとも一部の周り、より具体的には、
胴体200の外板244の周りを可撓性イメージャ100で包む
。図9に示すように、胴体200は、フレーム236と、多数のストリンガ234と、少なくとも1つのポート穴242とを含み、放射線源300はデッキ238上に位置決めされる。現在、民間航空機の検査は、胴体200の構造上重要なフレーム236及びストリンガ234を検査するために、側板及び断熱材232の取り外しを必要とする。しかしながら、本発明の方法は、断熱材232、オーバヘッドビン230及び側壁240を通してのストリンガ234及びフレーム236の検査を可能にし、これによって取り外ししなくても検査ができるようになり、このことにより検査コストが削減され、断熱材232の再組み立てに関連した潜在的な問題が回避される。
可撓性デジタルイメージャ100は、
例えば、Iowa Thin Films Technology,Inc,から
市販されているようなポリイミドa-Siシートを用いて、大型シート状に形成する
のが有利である。胴体200の周りを包むことができる可撓性デジタルイメージャ100のこの大規模な実施形態は、胴体検査のためにロール状にして輸送可能である。1つの例示的な放射線源300は、高圧電源装置(図示せず)によって電源供給されるパノラマ式X線管300である。パノラマ式X線管は、例えば、約60度を超える幅広い角度分布をもつ放射線を放射する。しかしながら、このデジタル画像形成方法は、特定の形式の放射線源300に限定されるものではない。このようにして、胴体300のような航空機構造体200を効率的に検査して、デジタル画像を形成し、多量のX線フィルムの使用及び処分を避けることができる。」
・・・
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の可撓性イメージャの実施形態についての概略部分断面図。
【図2】図1の可撓性イメージャの斜視図。
【図3】図1及び図2の可撓性イメージャについての例示的な光センサ・アレイの一部を示す図。
【図4】図3の光センサ・アレイの例示的な薄膜トランジスタを示す図。
【図5】図4の薄膜トランジスタの積層構造を示す図。
・・・
【図8】本発明のデジタル画像形成方法の実施形態を示す図。
【図9】本発明の航空機用画像形成方法の実施形態を示す図。
(引1-イ)図1
「
56
116
0001434867000001.jpg
」
(引1-ウ)図2
「
58
103
0001434867000002.jpg
」
(引1-エ)図3
「
73
107
0001434867000003.jpg
」
(引1-オ)図4
「
83
97
0001434867000004.jpg
」
(引1-カ)図5
「
59
111
0001434867000005.jpg
」
(引1-キ)図8
「
76
98
0001434867000006.jpg
」
(引1-ク)図9
「
78
111
0001434867000007.jpg
」
(2)引用文献1に記載された発明
ア 看取事項
図面の簡単な説明(【0038】)の記載によれば、【図1】は、本発明の可撓性イメージャの実施形態についての概略部分断面図であり、【図2】は、図1の可撓性イメージャの斜視図であるところ、【図1】及び【図2】から、「光センサ・アレイ110上にシンチレータ190が配置され、可撓性基板101上の、走査ライン131及びデータライン132が配置された周辺領域を除く中央領域が、シンチレータ190により覆われている」ことが見て取れる。
イ 引用発明
上記(1)の記載事項及び図面、並びに上記アの看取事項を総合勘案すると、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる(ここで、各構成単位末尾の括弧内には、主たる認定根拠とした記載箇所を示す。)。
「入射する放射線75により照射された被写体200を画像化するための可撓性イメージャ100であって、(【0007】)
可撓性イメージャ100は、可撓性基板101と、可撓性基板101上に配置された光センサ・アレイ110とを含み、可撓性イメージャ100は更に、入射する放射線75を受けかつ吸収するように配置されたシンチレータ190を含み、シンチレータ190は、入射する放射線75を光子に変換するように構成され、かつ光センサ・アレイ110に光学的に結合され、入射する放射線75は、約0.0005オングストロームから約5オングストロームまでの間の範囲内の波長を有するX線を含み、光センサ・アレイ110は、光子を受けて、該光子に対応する電気信号を生成するように構成され、(【0007】)
可撓性基板101により、ユーザが、航空機構造体の一部などの被検査被写体200の表面に、可撓性イメージャ100を適合させることが可能になり、(【0007】)
可撓性基板101は、ポリイミドのようなフレキシブル有機ポリマーから形成され、(【0009】)
光センサ・アレイ110は、多数の光センサ120と、アドレス指定可能な薄膜トランジスタ(TFT)アレイ130とを含み、より具体的には、各光センサ120は、アモルファス・ケイ素(a-Si)の光ダイオードといった光ダイオード120を含み、TFTアレイ130は多数のTFT134を含み、該TFTの各々は、光センサ・アレイ110において各光センサ120が選択的にアドレス指定されるように、光センサ120の1つとそれぞれ電気的に接続され、光センサ・アレイ110は更に、光センサ120の各々を選択的にアドレス指定することができる走査ライン131とデータライン132とを含み、市販されているポリイミドのa-Siシートを加工して、可撓性基板上に配置された光ダイオードを形成することができ、(【0011】)
TFT134は、従来のアモルファス・ケイ素(a-Si)ベースのTFTであり、アドレス指定可能なTFTアレイ130は、可撓性基板101と光センサ120との間に位置し、各光センサ120はa-Si光ダイオード120を備え、(【0013】)
シンチレータ190のための1つの例示的な材料は、例えばタリウムがドープされたヨウ化セシウムのようなヨウ化セシウム(CsI)であり、CsIのような特定の蛍光材料が薄膜として蒸着され、(【0020】)
航空機の検査の場合、被写体200は、航空機の胴体200であり、胴体200の外板244の周りを可撓性イメージャ100で包み、可撓性デジタルイメージャ100は、市販されているようなポリイミドa-Siシートを用いて、大型シート状に形成し、(【0029】)
光センサ・アレイ110上にシンチレータ190が配置され、可撓性基板101上の、走査ライン131及びデータライン132が配置された周辺領域を除く中央領域が、シンチレータ190により覆われている、(上記アの看取事項)
可撓性イメージャ100。」
本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である「特開平10-300693号公報」(以下「当審引用文献A」という)には、図面とともに以下の記載がある。
(引A-ア)
「【0002】
【従来の技術】
・・・。
【0003】そして、X線CT装置に関しては、特開昭63-243851号公報において、被検体及び検出器の移動手段による透過像の補間法について開示されている。上記公報に代表されるX線CT装置に関し、図7にその従来例を示す。X線源1からの
X線3を
スリット9等で適宜成型した後、
試料4に照射し、その透過X線像10を検出器7で計測する
。検出器7として一次元検出器を用いれば、X線の進行方向に垂直な方向の各位置での透過X線強度が計測できる。この透過X線強度から各位置でのX線の吸収量が計算できる。次に試料4を回転台により所定の角度回転させて後、その透過X線像10を計測する。 この計測を試料の回転角が180°あるいは360°になるまで繰り返す。 測定した試料の回転角φと透過X線像の位置xからなる二次元データを像再構成演算することにより、X線が通過した試料断面のX線吸収係数μの分布が得られる。μは組成や密度に依存することから、CT方法により試料内部の欠陥や密度分布を非破壊で観察できる。
【0004】一方、入射X線は試料により吸収だけでなく散乱も受ける。試料内部に電子密度差分布があると散乱X線は散乱角に対して電子密度差分布を反映した強度分布を有する。図8に小角散乱X線装置の一例を示す。X線源1からの
X線3を
スリット9等で適宜成型した後、
試料4に照射する
。
試料4から散乱角2θで散乱したX線を検出器7で測定する
。検出器7を散乱角で走査して計測した散乱X線の強度分布から試料内部にあった電子密度差分布の原因であるボイド等のサイズ、体積率、数密度の情報が得られる。」
(引A-イ)
「【0024】次に、第3の実施の形態として、図4に示す第3実施例について説明する。図4は、本発明による他の実施例の小角散乱X線CT装置を示す図である。・・・。
・・・
【0029】次に、第4の実施の形態として、図5に示す第4実施例について説明する。図5は、本発明による別の実施例の小角散乱X線CT装置を示す図である。・・・。
・・・
【0031】一方、他の実施例の対面手段としては、検出器7を載置して回転する回転台12cと、回転する回転台12cを載せて入射X線3の方向に対し垂直方向に移動する移動台12dとを含み構成される。即ち、検出器7の測定面の中心を通る軸を回転軸とする駆動機構を検出器7と試料4の間に設置し、入射X線3に対し垂直方向に検出器7を移動させながら検出器7の測定面が散乱X線5に対し常に垂直になるように検出器7を回転させるものである。この場合も、試料4を載せて回転する回転台4aと、回転台12c及び移動台12dとの駆動を対応制御しても可である。
【0032】そして、X線源1からの
X線を
スリット9により成型及び平行化した後、
試料4に照射する
。
試料4により透過した透過X線10、または、散乱角2θに散乱した散乱X線5を検出器7により計測した
。試料4はステッピングモータ駆動の回転台4a上に設置した。また、検出器7は上述の手段をステッピングモータで駆動した。各々の駆動は計算機8により、モータドライバ及びドライバコントローラを経て制御される。X線源1には、回転対陰極のX線発生装置を使用した。回転対陰極にはCuを用い、電子の加速電圧及び、電流は各々60kV、200mAとした。スリット9には、タンタル板による4象限スリットを使用した。検出器7には、入射窓にX線-可視光変換の蛍光膜を用いたフォトダイオードアレイ(即ち、PDA,一次元検出器である)を使用した。
【0033】次に、上記構成による小角散乱X線CTの計測手順について述べる。試料4がない状態での透過X線をPDAでモニタしながら、スリット9を調整する。次に、
回転台上に載置した試料4を回転させながら試料の透過X線像を測定することで、従来の透過X線像の計測ができる
。
更に、PDAを所定の散乱角2θの角度に上記の駆動手段により駆動させて、散乱X線像を計測する
。PDAからの信号をA/D変換し、フレームメモりに逐次記録した後、計算機8にデータを記録した。次に、試料を所定の角度(本測定では1 ゚)回転させた後、試料4からの散乱X線像をPDAで測定する。これを試料の回転角が180 ゚になるまで繰り返した。得られた散乱X線像P'(x',f)から、通常のX線CTで用いられているフィルタ補正逆投影法の像再構成アルゴリズムにより、試料内部の二次元像を得ることができた。」
(引A-ウ)
「【図面の簡単な説明】
・・・
【図4】本発明による他の実施例の小角散乱X線CT装置を示す図である。
【図5】本発明による別の実施例の小角散乱X線CT装置を示す図である。
・・・
【図7】従来技術のX線CT装置を説明する図である。
【図8】従来技術の小角散乱X線装置を説明する図である。
・・・
【符号の説明】
1...X線源
、2...分光結晶、2a,4a,6a,7a,12c...回転台、
3...入射X線
、
4...試料
、
5...散乱X線
、6...アナライザー結晶、
7...検出器
、8...計算機、9...スリット、
10...透過X線
、11...ソーラスリット、12a...レール、12b...検出器台、12d...移動台、13...アーム。」
(引A-エ)図7、図8
「
80
137
0001434867000008.jpg
」
(引A-オ)図4、図5
「
69
135
0001434867000009.jpg
」
本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である「再公表特許第2018/016430号」(以下「当審引用文献B」という。)には、図面とともに以下の記載がある。
(引B-ア)
「【請求項7】
前記第1の検査装置は、
検査対象の試料を配置する試料台と、
前記試料台に配置された前記試料の画像を観察する画像観察部と、
前記画像観察部による前記試料の画像観察結果に基づき制御され、前記試料台を水平面上で直交する2方向、高さ方向、および面内回転方向に移動させる位置決め機構と、
前記試料台に配置された前記試料の表面と同一平面内に含まれる回転軸を中心に、当該試料の表面と垂直な仮想平面に沿ってそれぞれ独立して旋回する第1および第2の旋回部材を含むゴニオメータと、
前記第1の旋回部材に搭載され、前記試料台に配置された前記試料の表面と同一平面内に設定した検査位置へ特性X線を集光して照射するX線照射ユニットと、
前記第2の旋回部材に搭載されたX線検出器と、
前記X線検出器で検出したX線パターンを数値化し、解析する解析ユニットと、
を備えたことを特徴とする請求項2から6のいずれか一項に記載の複合検査システム。
【請求項8】
前記第1の検査装置は、
前記X線検出器により前記試料を透過したX線を測定する
ことを特徴とする請求項7に記載の複合検査システム。
【請求項9】
前記第1の検査装置は、
前記X線検出器により前記試料の表面からの散乱X線を測定する
ことを特徴とする請求項7に記載の複合検査システム。
【請求項10】
前記第1の検査装置は、前記X線検出器として2次元X線検出器を装備したことを特徴とする請求項7から9のいずれか一項に記載の複合検査システム。」
(引B-イ)
「【図面の簡単な説明】
【0024】
・・・
【図6】図6は、本発明の実施形態に係る第1の検査装置の全体構造を示す斜視図である。
【図7】図7は、図6に示す第1の検査装置の正面図である。
【図8】図8Aは、図6に示す第1の検査装置に組み込まれるX線照射ユニットの構成を模式的に示す側面図である。図8Bは、は同じく平面図である。
【図9】図9は、本発明の実施形態に係る第1の検査装置の他の構成例を模式的に示す正面図である。
【図10】図10は、図9に示す第1の検査装置の構成を模式的に示す右側面図である。
・・・
【符号の説明】
【0025】
10:試料台、
11:試料
、20:位置決め機構、30:ゴニオメータ、31:ゴニオメータ本体、32:第1の旋回アーム、33:第2の旋回アーム、
40:X線照射ユニット
、41:X線管、42:第1のX線光学素子、43:第2のX線光学素子、44:集光スリット、45:ユニット本体、
47:入射X線
、
48:散乱X線
、
49:透過X線
、
50:X線検出器
、60:光学顕微鏡、100:中央処理装置、101:XGコントローラ、102:画像認識回路、103:フォーカスコントローラ、104:位置決めコントローラ、106:ゴニオコントローラ、107:計数制御回路、110:記憶部、201:操作部、202:表示部、203:通信部、
300:ライン、301:スペース、302:深穴」
(引B-ウ)
「【0055】
〔X線照射ユニットの構成例1(GI-SAXS)〕
次に、X線照射ユニット40の構成例を説明する。
図8Aおよび図8Bは、反射式小角X線散乱装置(GI-SAXS)により第1の検査装置1を構成したときに好適なX線照射ユニット40の構成例を模式的に示している。図8Aは側面図、図8Bは平面図である。
【0056】
X線照射ユニット40は、X線管41、第1のX線光学素子42、第2のX線光学素子43、および集光スリット44を含んでいる。第1および第2のX線光学素子42,43には、同じく表面に多層膜が形成された集光ミラーを用いる。これらの構成要素は、図示しないユニット本体に内蔵されている。ユニット本体は、第1の旋回アーム32に搭載することができるコンパクトな寸法形状としてある。
・・・
【0058】
X線管41から出射したX線は、まず第1のX線光学素子42に到達する。そして、第1のX線光学素子42により散乱X線48をX線検出器50の位置に集光させる。このように
散乱X線48をX線検出器50へ集光させる結果として、高い角度分解能の測定ができる
ようになる。
・・・
【0060】
〔第1の検査装置の構成例2(T-SAXS)〕
図9は第1の検査装置の他の構成例を模式的に示す正面図、図10は同じく右側面図である。
これらの図に示す第1の検査装置1は、透過式小角X線散乱装置(T-SAXS)に好適な構成となっている。
【0061】
これらの図に示す第1の検査装置1は、試料台10、位置決め機構20、ゴニオメータ30、X線照射ユニット40、X線検出器50、CCDカメラ等を装着した光学顕微鏡60を備えている。なお、図10では、光学顕微鏡60は省略してある。
・・・
【0065】
図9および図10に示す第1の検査装置1の構成例では、第1の旋回アーム32の水平位置からの旋回角度θ
S
が、試料台10の下方(すなわち-90°)まで駆動できるようにしており、図11に示すような
透過X線49の測定を可能としている
。よって、かかる構成の第1の検査装置1は、透過式小角X線散乱装置(T-SAXS)に適用することができる。」
(引B-エ)図8
「
124
108
0001434867000010.jpg
」
(引B-オ)図9、図10
「
92
151
0001434867000011.jpg
」
上記2の当審引用文献A、上記3の当審引用文献Bなどに例示されるように、「散乱X線、透過X線のいずれに対しても同じX線検出器を用いること」は、本願の優先権主張の日前における慣用された技術であるといえる。
本願発明と引用発明とを対比する。
(1)「フレキシブルX線後方散乱ディテクタ(20)(40)」について
引用発明(【0007】)の「X線」「により照射された被写体200を画像化するための可撓性イメージャ100」と、本願発明の「フレキシブルX線後方散乱ディテクタ(20)(40)」とは、「フレキシブルX線」「ディテクタ(20)(40)」の点で共通する。
(2)「フレキシブルX線後方散乱ディテクタ基板(20a)(40a)」について
ア 本願明細書には、「【0021】シンチレーション材料を含む
シンチレーション層は、フレキシブルX線後方散乱ディテクタに堆積される
か、又はさもなければ組み込まれる。シンチレーション材料は、後方散乱したX線を吸収し、X線放射を可視光に変換する。可視光に対して感応性の、
ディテクタ内に存在する受光素子
は、シンチレータからの光を視覚画像として解読される電気信号に変換する。」と記載されている(下線は当審にて付与した。)。そして、当該記載の「ディテクタ内に存在する受光素子」における「ディテクタ」は、前文の「シンチレーション層」が「堆積」する「フレキシブルX線後方散乱ディテクタ」を指すことが明らかであるところ、ここでの「シンチレーション層」が「堆積」する「フレキシブルX線後方散乱ディテクタ」は、本願発明の「X線シンチレーション材料の層」が「堆積」する「フレキシブルX線後方散乱ディテクタ基板(20a)(40a)」に対応することは明らかである。
すると、本願発明の「フレキシブルX線後方散乱ディテクタ基板(20a)(40a)」は、受光素子が存在する「フレキシブルX線後方散乱ディテクタ基板(20a)(40a)」であることが理解される。
イ 一方、引用発明(【0009】、【0011】、【0013】、【0029】)では、「可撓性基板101は、ポリイミドのようなフレキシブル有機ポリマーから形成され」る。「光センサ・アレイ110は、多数の光センサ120」「を含み、」「各光センサ120は、アモルファス・ケイ素(a-Si)の光ダイオード」であり、「市販されているポリイミドのa-Siシートを加工して、可撓性基板上に配置された光ダイオードを形成する」。「光センサ・アレイ110は、」「薄膜トランジスタ(TFT)アレイ130」「を含み、」「TFTアレイ130は多数のTFT134を含み」、「TFT134は、従来のアモルファス・ケイ素(a-Si)ベースのTFTであり、」「TFTアレイ130は、可撓性基板101と光センサ120との間に位置し、各光センサ120はa-Si光ダイオード120を備え」る。「可撓性デジタルイメージャ100は、市販されているようなポリイミドa-Siシートを用いて、大型シート状に形成」する。
すると、上記事項を踏まえると、引用発明(【0007】)の「可撓性基板101上に配置された光センサ・アレイ110」は、「可撓性基板101」であるポリイミドのa-Siシートの表面を加工して、a-Siベースの「光センサ・アレイ110」を「形成した」ものであるから、引用発明の「可撓性基板101と、可撓性基板101上に配置された光センサ・アレイ110」は、「光センサ・アレイ110」を「形成した」「可撓性基板101」であることが理解される。
ウ 上記アでの理解を前提にすると、引用発明の「可撓性基板101上に配置された光センサ・アレイ110」は、本願発明の「フレキシブルX線後方散乱ディテクタ基板(20a)(40a)」内に存在する受光素子に相当する。そして、上記イに説示したとおり、引用発明の「可撓性基板101と、可撓性基板101上に配置された光センサ・アレイ110」は、「光センサ・アレイ110」を「形成した」「可撓性基板101」であり、また、上記アに説示したとおり、本願発明の「フレキシブルX線後方散乱ディテクタ基板(20a)(40a)」は、受光素子が存在する「フレキシブルX線後方散乱ディテクタ基板(20a)(40a)」である。
よって、引用発明の「可撓性基板101と、可撓性基板101上に配置された光センサ・アレイ110」と、本願発明の「フレキシブルX線後方散乱ディテクタ基板(20a)(40a)」とは、「フレキシブルX線」「ディテクタ基板(20a)(40a)」の点で共通する。
(3)「X線シンチレーション材料の少なくとも1つの層(22)(42)」について
ア 引用発明(看取事項、【0007】、【0020】)では、「光センサ・アレイ110上にシンチレータ190が配置され、可撓性基板101上の、走査ライン131及びデータライン132が配置された周辺領域を除く中央領域が、シンチレータ190により覆われ」、「シンチレータ190は、」「光センサ・アレイ110に光学的に結合され」、「CsIのような特定の蛍光材料が薄膜として蒸着され」る。
すると、上記事項を踏まえると、引用発明の「シンチレータ190」は、「光センサ・アレイ110」の「走査ライン131及びデータライン132が配置された周辺領域を除く中央領域」上を「特定の蛍光材料が薄膜として蒸着され」、当該「中央領域」を「覆」うことが理解される。
イ 上記アでの理解を前提にすると、引用発明の「特定の蛍光材料が薄膜として蒸着され」る「シンチレータ190」は、本願発明の「X線シンチレーション材料の少なくとも1つの層(22)(42)」に相当する。また、上記(2)での対比を踏まえると、引用発明の「シンチレータ190」は、「可撓性基板101」に「形成」された「光センサ・アレイ110」上を「特定の蛍光材料が薄膜として蒸着され」ることと、本願発明の「当該X線シンチレーション材料の層は、前記フレキシブルX線後方散乱ディテクタ基板の少なくとも1つの表面上に堆積され」ていることと、「当該X線シンチレーション材料の層は、前記フレキシブルX線」「ディテクタ基板の少なくとも1つの表面上に堆積され」ることの点で共通する。また、引用発明(【0013】)では、「TFTアレイ130は、可撓性基板101と光センサ120との間に位置」することを踏まえると、「シンチレータ190により覆われ」る「光センサ・アレイ110」の「中央領域」は、「シンチレータ190」と「光学的に結合」する「多数の光センサ120」が存在する全領域であるから、引用発明の「シンチレータ190」は、「光センサ・アレイ110」の「走査ライン131及びデータライン132が配置された周辺領域を除く中央領域」上を「覆」うことは、本願発明の「当該X線シンチレーション材料の層は、前記フレキシブルX線後方散乱ディテクタ基板の少なくとも1つの表面を実質的に覆うように構成されている」ことと、「当該X線シンチレーション材料の層は、前記フレキシブルX線」「ディテクタ基板の少なくとも1つの表面を実質的に覆うように構成されている」ことの点で共通する。
ウ よって、上記イで説示した相当関係をまとめると、引用発明の「シンチレータ190」であって、当該「シンチレータ190」は、「可撓性基板101」に「形成」された「光センサ・アレイ110」の「走査ライン131及びデータライン132が配置された周辺領域を除く中央領域」上を「特定の蛍光材料が薄膜として蒸着され」、当該「中央領域」を「覆」う、「シンチレータ190」と、本願発明の「X線シンチレーション材料の少なくとも1つの層(22)(42)であって、当該X線シンチレーション材料の層は、前記フレキシブルX線後方散乱ディテクタ基板の少なくとも1つの表面上に堆積され、当該少なくとも1つの表面を実質的に覆うように構成されている、X線シンチレーション材料の少なくとも1つの層(22)(42)」とは、「X線シンチレーション材料の少なくとも1つの層(22)(42)であって、当該X線シンチレーション材料の層は、前記フレキシブルX線」「ディテクタ基板の少なくとも1つの表面上に堆積され、当該少なくとも1つの表面を実質的に覆うように構成されている、X線シンチレーション材料の少なくとも1つの層(22)(42)」の点で共通する。
上記1(1)~(3)での対比によれば、本願発明と引用発明とは、以下の(1)の点で一致し、以下の(2)の点で相違する。
(1)一致点
「フレキシブルX線」「ディテクタ(20)(40)であって、
フレキシブルX線」「ディテクタ基板(20a)(40a)、及び
X線シンチレーション材料の少なくとも1つの層(22)(42)であって、当該X線シンチレーション材料の層は、前記フレキシブルX線」「ディテクタ基板の少なくとも1つの表面上に堆積され、当該少なくとも1つの表面を実質的に覆うように構成されている、X線シンチレーション材料の少なくとも1つの層(22)(42)
を備えている、フレキシブルX線」「ディテクタ(20)(40)。」
(2)相違点
本願発明では、フレキシブルX線ディテクタ(フレキシブルX線ディテクタ基板)が、「後方散乱」に用いられるのに対し、引用発明では、「可撓性イメージャ100」(「可撓性基板101と、可撓性基板101上に配置された光センサ・アレイ110」)が、後方散乱に用いられるかが不明である点で一応相違する。
上記相違点について検討する。
(1)本願発明は、「フレキシブルX線後方散乱ディテクタ(20)」の発明であって、そのカテゴリー表現が物の発明であるところ、本願発明の「フレキシブルX線後方散乱ディテクタ(20)」について、X線をディテクト(検出)するという限りにおいて、例えば、(後方)散乱したX線であろうが、透過したX線であろうが、ディテクタの構造、機能に差異が生じるものではないから、「後方散乱」という発明特定事項がX線を限定するものであっても、「ディテクタ」自体の構造、機能を直接特定するものではない。
そして、上記第4の4で説示したとおり、散乱X線、透過X線のいずれに対しても同じX線検出器を用いることは、本願の優先権主張の日前における慣用された技術にすぎず、本願発明において、「後方散乱」に用いられる点が特定されていることによって、本願発明の「フレキシブルX線後方散乱ディテクタ(20)」と引用発明の「可撓性イメージャ100」との間に差異が生じているとはいえない。
よって、上記相違点は実質的な相違点ではない。
(2)仮に、実質的な相違点であるとしても、X線検査技術において、航空機の胴体を検査対象とする場合、後方散乱X線を用いることは、本願の優先権主張の日前における技術常識(例えば、令和5年12月28日付けの拒絶理由で引用文献2として引用された特表2015-517672号公報などを参照。)にすぎず、また、X線検査技術において、できるだけ少ない投射X線量で検出画像のコントラストを最大化することは、周知の課題にすぎないから、航空機の胴体200を検査対象とする引用発明(【0029】)において、上記周知の課題を解決するために、「可撓性イメージャ100」を、上記技術常識を踏まえて後方散乱X線のイメジャーとして用いること、すなわち「可撓性後方散乱X線イメージャ100」とすることは、当業者が容易になし得たことにすぎない。
よって、上記相違点に係る本願発明の構成とすることは、引用発明及び上記技術常識に基づいて当業者が容易に為し得ることである。
そして、本願発明により奏される効果は、当業者が、引用発明、上記技術常識から予測し得た範囲内のものであって、格別顕著なものではない。
(1)審判請求書での主張
令和6年12年2月30日に提出された審判請求書では、次のように主張している(下線は請求人にて付与されたものである。)。
「(c)新規性・進歩性について
原査定においては、本願請求項6-9、14に係る発明は引用文献1に照らして新規性および進歩性が欠如しており、また、請求項9-13に係る発明は引用文献1に照らして進歩性が欠如していると認定されています。
審判請求人は、審査官殿のご見解には同意しかねますので、その理由を以下に申し述べます。
本願請求項6においては、「フレキシブルX線後方散乱ディテクタ(20)(40)」が、
「フレキシブルX線後方散乱ディテクタ基板(20a)(40a)、及び
X線シンチレーション材料の少なくとも1つの層(22)(42)であって、
当該X線シンチレーション材料の層は、前記フレキシブルX線後方散乱ディテクタ基板の少なくとも1つの表面上に堆積され、当該少なくとも1つの表面を実質的に覆うように構成されている、X線シンチレーション材料の少なくとも1つの層(22)(42)」
を備えている旨が記載されています。
原査定では、
「引用文献1に記載の「可撓性基板」及び「光センサ・アレイ」が本願の請求項6に係る発明の「フレキシブルX線後方散乱ディテクタ基板」に相当すると認められるため、当該主張は採用できない」
との旨が述べられています。
しかしながら審査官殿のご見解は、「基板」という用語について、電子部品の分野における通常の意味の範囲外で、特に引用文献1の教示から当業者が理解可能な範囲外で解釈していることに基づくものであると思料します。その理由を以下に詳述いたします。
まず、基板は一般的に、他の層が配置され得るベースとなるものであると理解されますが、ベース上に配置される、そのような他の層あるいは構成要素自体は基板の一部を構成するものではありません。更に、引用文献1では、開示されたすべての実施形態において可撓性基板が構成要素101であり、層110、120および190等の他の層からは構成され得ないことが教示されています(引用文献1:図1、図5、6および8)。しかしながら、審査官殿は、引用文献1の光センサアレイ110と可撓性基板とが
一体構造として
、「フレキシブルX線後方散乱ディテクタ基板」に相当すると解釈されているように見受けられます。引用文献1には、そうした解釈が妥当であることについて何ら記載も示唆もありません。よって、当業者がそのような解釈に導かれることもありません。
そして、引用文献1においては、いずれの実施形態においても可撓性基板101上に堆積されたシンチレーション層について開示も示唆もありません。
したがって、後知恵に依拠しない限り、引用文献1がフレキシブルX線後方散乱ディテクタ基板を備えたフレキシブルX線後方散乱ディテクタを開示または示唆しているということはできず、ましてシンチレーション層がフレキシブル基板上に堆積されている構成を開示または示唆しているとは到底言えません。」
(2)審判請求書での主張に対する当審の見解
上記(1)での主張について検討する。
請求人は、「審査官殿は、引用文献1の光センサアレイ110と可撓性基板とが
一体構造として
、「フレキシブルX線後方散乱ディテクタ基板」に相当すると解釈されているように見受けられます。引用文献1には、そうした解釈が妥当であることについて何ら記載も示唆もありません。」と主張するが、上記1(2)「フレキシブルX線後方散乱ディテクタ基板(20a)(40a)」についての欄で検討したとおり、引用発明の「可撓性基板101と、可撓性基板101上に配置された光センサ・アレイ110」は、「光センサ・アレイ110」を「形成した」「可撓性基板101」であり、本願発明の、受光素子が存在する「フレキシブルX線後方散乱ディテクタ基板(20a)(40a)」に対応するから、上記解釈が妥当でない、とはいえない。
そして、請求人は、「
引用文献1においては、いずれの実施形態においても可撓性基板101上に堆積されたシンチレーション層について開示も示唆もありません。
」と主張するが、上記1(3)「X線シンチレーション材料の少なくとも1つの層(22)(42)」についての欄で検討したとおり、引用発明の「シンチレータ190」は、「可撓性基板101」に「形成」された「光センサ・アレイ110」上を「特定の蛍光材料が薄膜として蒸着され」て「覆」うものであるから、引用文献1に、可撓性基板101上に堆積されたシンチレーション層について開示も示唆もない、とはいえない。
よって、請求人の上記(1)での主張は採用できない。
(3)上申書での主張
令和7年6月25日に提出された上申書では、上記(1)での主張に加えて、次のように主張している(下線は請求人にて付与されたものである。)。
ア「引用文献1には、X線
透過
型イメージングのためのフレキシブル検出器が開示されておりますが、後方散乱検出系とは構成も目的も異なります。引用文献1の構成から、シンチレーション層をフレキシブル基板上に実質的に覆うように形成して
後方散乱
X線を検出するという本願発明の構成に至る動機付けは存在しません。」
イ「なお、引用文献1におけるX線
透過
型イメージングと本出願における
後方散乱
X線検出とは本質的に、観測対象物に対するシンチレーション層の構造的配置が異なります。」
(4)上申書での主張に対する当審の見解
ア 請求人の上記(3)アでの主張は、上記3の判断(1)及び(2)の各欄で検討したとおりである。
よって、請求人の上記(3)アでの主張は採用できない。
イ 請求人の上記(3)イでの主張は、本願発明の構成に基づく主張ではない。
仮に、本願発明において、本願明細書に記載の「観測対象物に対するシンチレーション層の構造的配置」を踏まえても、引用発明(【0029】)でも、本願明細書の記載と同様に、「航空機の胴体200」を検査対象とし、当該対象を検査するために「胴体200の外板244の周り」に「可撓性イメージャ100で包」むように配置することから、両者において「観測対象物に対するシンチレーション層の構造的配置が異なる」とはいえない。
よって、請求人の上記(3)イでの主張は採用できない。
よって、本願発明(本願の請求項6に係る発明)は、引用文献1に記載された発明であり、また、引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許法第29条第1項の規定により、また、同法同条第2項の規定により、特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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