sokuhyo

Trademark Appeal Case

請求項補正の適否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2025007465
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

理 由

第1 手続の経緯

本願は、令和4年6月1日の出願であって、令和6年9月19日付けの拒絶理由の通知に対し、同年12月18日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされ、令和7年3月17日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、これに対して同年5月15日に審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 令和7年5月15日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)について

1 本件補正の内容

(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載

本件補正により、特許請求の範囲の記載は、次のとおり補正された。

「【請求項1】

ネットワークに、コンタクトレンズの販売店と眼科が接続されており、

前記販売店には検査機器が設置されており、

前記眼科には診察用端末が設置されており、

前記検査機器を利用して顧客の検査を行うとともに、その結果を前記ネットワークを通じて前記眼科に送信し、

前記眼科では、受信した検査結果を参照して、前記顧客の眼の診断を行うとともに、コンタクトレンズの処方箋を発行して、前記ネットワークを通じて前記販売店に送信し、

前記処方箋に基づいて、前記販売店でコンタクトレンズを購入することを特徴とするコンタクトレンズ診療販売システム。

【請求項2】

前記顧客が、前記処方箋に基づいて、前記販売店でコンタクトレンズを購入する前に、処方されたコンタクトレンズを試用し、

不具合があるときは、前記眼科は、再度診療を行って新たな処方箋を発行し、

前記顧客は、新たに処方されたコンタクトレンズを試用する、

といった手順を繰り返すことで、最適なコンタクトレンズを得ることを特徴とする請求項1に記載のコンタクトレンズ診療販売システム。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載

本件補正前の、令和6年12月18日に手続補正がされた特許請求の範囲の記載は、次のとおりである。

「【請求項1】

ネットワークに、コンタクトレンズの販売店と眼科が接続されており、

前記販売店には検査機器が設置されており、

前記眼科には診察用端末が設置されており、

前記検査機器を利用して顧客の検査を行うとともに、その結果を前記ネットワークを通じて前記眼科に送信し、

前記眼科では、受信した検査結果を参照して、前記顧客の眼の診断を行うとともに、コンタクトレンズの処方箋を発行して、前記ネットワークを通じて前記販売店に送信し、

前記処方箋に基づいて、前記販売店でコンタクトレンズを購入することを特徴とするコンタクトレンズ診療販売システム。

【請求項2】

前記販売店は、前記顧客の情報を管理する管理手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のコンタクトレンズ診療販売システム。

【請求項3】

前記顧客の情報には、個人情報,コンタクトレンズの購入履歴,オンライン診療予約,販売店から付与されたポイント数の各情報が含まれていることを特徴とする請求項2記載のコンタクトレンズ診療販売システム。

【請求項4】

前記コンタクトレンズの代金と前記眼科の診察代を支払う際に、前記顧客が貯まったポイントを利用できることを特徴とする請求項1記載のコンタクトレンズ診療販売システム。

【請求項5】

前記顧客が、前記処方箋に基づいて、前記販売店でコンタクトレンズを購入する前に、処方されたコンタクトレンズを試用し、

不具合があるときは、前記眼科は、再度診療を行って新たな処方箋を発行し、

前記顧客は、新たに処方されたコンタクトレンズを試用する、

といった手順を繰り返すことで、最適なコンタクトレンズを得ることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ診療販売システム。」

2 補正の適否

本件補正は、本件補正前の請求項2~4を削除して、本件補正前の請求項5を本件補正後の請求項2にしたものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項第1号に掲げる、同法第36条第5項に規定する請求項の削除を目的とするものである。

したがって、本件補正は適法にされたものである。

第3 本願発明

本件補正は、前記のとおり適法にされたものであるから、この出願の各請求項に係る発明は、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1~2に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、明細書及び図面の記載からみて、前記第2 1(1)の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。

第4 原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由は、以下のとおりである。

「1.(発明該当性)この出願の下記の請求項に記載されたものは、下記の点で特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないから、特許を受けることができない。

2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

●理由1(発明該当性)について

・請求項 1-5

●理由2(特許法第29条第2項)について

・請求項 1-5

・引用文献等 1

<引用文献等一覧>

1.特表2016-503537号公報」

第5 当審の判断

原査定の拒絶の理由である「理由1(発明該当性)」及び「理由2(進歩性)」について、以下、検討する。

1 理由1(発明該当性)について

特許法で「発明」とは、「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。」(特許法第2条第1項)ことから、自然法則を利用していないもの、例えば、単なる精神活動、純然たる学問上の法則、人為的な取決めなどは、「発明」に該当しない。

そして、かかる「発明」は、一定の技術的課題の設定、その課題を解決するための技術的手段の採用、その技術的手段により所期の目的を達成し得るという効果の確認という段階を経て完成されることからすると、特許請求の範囲(請求項)に記載された「特許を受けようとする発明」が上記「発明」に該当するか否かは、それが、特許請求の範囲の記載や願書に添付した明細書の記載及び図面に開示された、「特許を受けようとする発明」が前提とする技術的課題、その課題を解決するための技術的手段の構成、その構成から導かれる効果等の技術的意義に照らし、全体として「自然法則を利用した」技術的思想の創作に該当するか否かによって判断すべきものである。

したがって、「特許を受けようとする発明」に何らかの技術的手段が提示されているとしても、全体として考察した結果、その発明の本質が、単なる精神活動、純然たる学問上の法則、人為的な取決めなど自体に向けられている場合には、上記「発明」に該当するとはいえない。

(1)発明の詳細な説明及び図面の記載

ア 発明が解決しようとする課題について

「【発明が解決しようとする課題】

【0004】

ところで、

眼科医の処方箋に基づいてコンタクトレンズを購入する場合、現状は、コンタクトレンズの購入希望者

(以下単に「顧客」という)

が眼科医で診療を受けることになるが、

これをオンラインないしリモートでできるようになると非常に便利である。しかし、

現在行われているオンライン診療は、インターネット回線とビデオ機能を利用した診察であり、肉眼による充血などの眼の表面的な画像判断しかできず、眼の微細な傷や角膜の浮腫,結膜炎などの病状を確認する各種の検査ができない

眼科医が診断を行って処方箋を出すためには、各種専門機器による検査が必要であり、現状、オンライン診療をもとにした安全なコンタクトレンズの販売は難しい状況にある

。」

イ 課題を解決するための手段について

「【課題を解決するための手段】

【0006】

本発明の

コンタクトレンズ診療販売システム

は、

ネットワークに、コンタクトレンズの販売店と眼科が接続されており、前記販売店には検査機器が設置されており、前記眼科には診察用端末が設置されており、前記検査機器を利用して顧客の検査を行うとともに、その結果を前記ネットワークを通じて前記眼科に送信し、前記眼科では、受信した検査結果を参照して、前記顧客の眼の診断を行うとともに、コンタクトレンズの処方箋を発行して前記ネットワークを通じて前記販売店に送信し、前記顧客は、前記処方箋に基づいて、前記販売店でコンタクトレンズを購入することを特徴とする

。」

ウ 発明の効果について

「【発明の効果】

【0009】

本発明によれば、

オンライン診療時に、販売店にて検査を行うこととしたので、感染症の影響を避けつつ、眼科医による的確な診断と処方箋の発行を行うことができ、処方箋に基づく適切なコンタクトレンズを購入することができ

る。

また、眼科医の空き時間を有効に活用して医師不足の緩和にも対応することができる

。」

エ 発明を実施するための形態について

「【実施例1】

【0012】

図1には、本発明にかかるコンタクトレンズ診療販売システムの一実施例が示されている。同図において、本システム10は、

コンタクトレンズ販売店

(以下単に「販売店」という)

100と眼科200が、インターネット12を介してネットワーク接続されて

いる。図示の例では、一つの販売店100に複数の眼科200が接続されているが、販売店100も複数が接続されていてよい。

【0013】

販売店100は、販売するための商品(製品)在庫110,顧客300の視力等を検査するための検査機器120,診察管理,顧客管理,販売管理を行う管理サーバ130,システムの操作を行う操作端末150,診察代やコンタクトレンズ代金を支払って清算するためのPOS(Point Of Sales)レジ160が、店舗内のLAN(Local Area Network)170に接続されている。また、販売店100のタブレットPCなどの顧客情報端末180も、LAN170に接続されている。LAN170は、通信機器172によってインターネット12に接続されており、眼科200との間でデータの送受信が行われるようになっている。

【0014】

これらのうち、商品在庫110としては、処方される可能性のある製品ないし商品が予め用意されている。

検査機器120

として

、顧客300に合ったコンタクトレンズの処方を行うために必要なスリットランプ(細隙灯顕微鏡)122,オートレフケラトメータ124,検眼機126,眼底カメラ128が用意されている。これらは、

通常は、眼科に設置されている

ものであるが、本実施例では

販売店100に用意されている

a,スリットランプ122:スリット光という細い光で眼球の各部を照らして顕微鏡で拡大し、静止画ないし動画の撮像を行って観察する装置である。光を目に当てることによって眼球の細かい傷や濁りなどの炎症を発見する。肉眼では見えない眼球内の異常を見つけ出し、様々な眼の病気の診断をする。

b,オートレフケラトメータ124:コンピュータで自動的に遠視・乱視・近視の程度や、角膜のカーブを測定する。

c,検眼機126:視力度数を測る。

d,眼底カメラ128:目に強い光を当て、眼底(網膜)の血管の大きさや走行,出血,網膜剥離の有無などを調べる。

【0015】

管理サーバ130は、本システム全般の管理を行うためのサーバで、管理プログラム132が実行されている。管理プログラム132は、操作端末150の操作に基づいて、

a,オンライン診療の予約・受付,

b,検査の実行,

c,顧客300の個人情報や商品の購入履歴の管理,

を行う機能を備えている。具体的には、図2,図3に示す動作が行われるようになっている。

【0016】

顧客情報データベース140は、顧客300の個人情報(顧客番号,氏名,住所,電話番号など),診療予約情報,商品の販売に関する販売情報が顧客管理情報142として保存されている。眼科200から提供された診断結果や処方箋などの診察・診療データ216は、眼科200の診療用端末210で保存・管理される。これらは、販売店100の管理サーバ130で適宜参照され、管理サーバ130では、販売データ144として、顧客情報データベース140に保存される。

【0017】

操作端末150は、例えばパソコンなどで構成されており、情報の入出力や管理サーバ130などの操作が行われるようになっている。POSレジ160は、販売管理を行うためのものである。LAN(ハブ)170は、店舗内の機器を接続してデータの授受を行うネットワークで、通信機器(ルータ)172を通じてインターネット12との間でデータの授受が行われるようになっている。顧客情報端末180は、店舗内で顧客が情報入力を行うための端末で、バーコードリーダー182が接続されており、顧客300のスマートフォン302に表示されたQRコード(登録商標)などの二次元バーコードを読み取って、来店時の顧客認証・予約受付が行われるようになっている。

【0018】

次に、

眼科200には、診療用端末210が設けられており、

通信機器220を介してインターネット12に接続されている。診療用端末210は、例えばパソコンによって構成されており、診療を行う診療プログラム212が実行されるようになっている。また、販売店100から送信される診療予定の顧客300の過去の診療結果などの顧客情報214や、顧客300の診断結果や処方箋の内容などの診察・診療データ216が保存されるようになっている。

【0019】

次に、図2を参照して、診療の予約の手順について説明する。販売店100では、操作端末150によって、管理サーバ130で管理プログラム132を実行し、図2に示す手順の動作が行われる。まず、オンライン診療を行う眼科200は、診療用端末210によって、診療可能な日時をインターネット12を介して販売店100に送信する(ステップS10参照)。この送信処理は、販売店100からの要求に基づいて行ってもよい。また、決められた日時に定期的に行うようにしてもよい。

【0020】

販売店100では、各眼科200から受信した診療受付可能な情報を受信する。そして、管理サーバ130で、販売店100の検査機器120の空き状況も考慮して、検査可能な眼科及び日時のリストを作成する(ステップS12)。このリストは、顧客管理情報142の一部として顧客情報データベース140に保存される。

【0021】

オンライン診療を受けたい顧客300は、販売店100に対して、診療の予約を申し込む(ステップS14)。例えば、

a,予約アプリを利用してスマートフォンで行う。

b,パソコンで予約用のホームページにアクセスして行う。

など、各種の方法で予約を申し込む。

【0022】

診療の予約が申し込まれた販売店100は、管理サーバ130で顧客情報データベース140の顧客管理情報142を参照して顧客300の確認を行う。例えば登録されている顧客300に該当するかどうか、該当しないときは新規登録を行うかどうか、といった処理を行う。そして、診療受付可能な日時のリストを、顧客情報データベース140から読み出し、顧客300に送信する(ステップS16)。顧客300は、受信したリストを参照し、希望する日時を指定する(ステップS18)。販売店100は、受信した日時の予約を受け付けるとともに、リストを更新する(ステップS20)。すなわち、予約が入った日時を予約リストから除く。そして、予約を受け付けた顧客名や日時を、該当する眼科200に通知する(ステップS22)。通知を受けた眼科200は、予約を受け付ける(ステップS24)。

【0023】

一方、販売店100では、予約内容を顧客管理情報142として登録する(ステップS26)。そして、予約内容の情報を、顧客氏名などの顧客特定に必要な顧客管理情報142とともに二次元バーコード化して顧客300に送信する(ステップS28)。顧客300は、受信した二次元バーコードを保存する(ステップS30)。このように、予約内容を、会員情報とともに二次元バーコード化することで、来店時の予約確認をバーコードリーダー182を利用して簡単に行うことが可能となる。

【0024】

次に、図3を参照して、オンライン診療の手順を説明する。顧客300は、予約した日時に、販売店100に行き(ステップS50)、自分のスマートフォン302に予約時に受信した二次元バーコードを表示する。販売店100では、バーコードリーダー182でスマートフォン302に表示された二次元バーコードを読み取り、操作端末150で顧客管理情報142と照合して受付を行う(ステップS52)。そして、受付・予約した眼科200とリモート接続し(ステップS54)、過去の診断結果や処方の内容などの診療に必要な顧客管理情報142を送信する(ステップS56)。眼科200は、診療用端末210で診療プログラム212を実行し、顧客情報214を受信するとともに(ステップS58)、リモート診療を開始する(ステップS60)。

【0025】

販売店100では、

眼科200からの指示に基づいて、

検査機器120による検査を店舗スタッフが実施し

(ステップS62)

、その結果を眼科200に送信

する(ステップS64)。なお、スリットランプ122,オートレフケラトメータ124,検眼機126,眼底カメラ128のすべての検査を行うかどうかは、すべて眼科200からの指示に基づく。初診の場合は、それらの機器をすべて使用し、再診の場合はスリットランプのみを使用することが多い。加えて、顧客300に対する問診を行ってもよいし、顧客情報端末180もしくはスマートフォン302で顧客300の眼を撮像して眼科200に送信し、この画像を参照して充血などの眼の画像判断を行うようにしてもよい。

眼科200は、検査結果を参照して診断を行い、処方箋を提示し、販売店100に送信

する(ステップS66)。販売店100では、診断結果・処方箋の内容を顧客300に通知する(ステップS68)。処方箋には、レンズメーカーと商品名,コンタクトレンズのパラメータ(度数や直径,カーブ等)などの情報が含まれている。

【0026】

ところで、一般的な内科などのオンライン診療では、仮に薬の処方が行われたとしても、その後、薬局に出向いて処方された薬を購入し、服用することになる。このため、例えば処方薬が患者に合わないなどの不具合が判明して、再受診するまでにはある程度の日数がかかる。

【0027】

これに対し、本実施例では、販売店100でリモート診断を行っているので、その場で、

顧客300は、処方されたコンタクトレンズ

を試用することができる(ステップS70)。その結果、不具合がなければ(ステップS72のYes)、その商品

商品在庫110から

購入

し、レンズ代金と診察代金を支払う(ステップS74)。一方、不具合があるときは(ステップS72のNo)、その情報を販売店100に通知し(ステップS76)、販売店100は眼科200に送信する(ステップS78)。眼科200は、受信した不具合の内容から再度検査などを行い、新たな処方を提示する(ステップS80)。そして、新たな処方に基づいて顧客300はコンタクトレンズを試用する(ステップS68,S70)。このような処理を繰り返すことで、顧客300は、自分に合った最適なコンタクトレンズを購入することができる。

【0028】

診療の経過,診断・処方箋の内容は、眼科200において、診療用端末210に診察・診療データ216として保存される(ステップS82)。また、販売店100においては、顧客300がコンタクトレンズを購入すると、POSレジ160から購入情報が管理サーバ130に送信される。管理サーバ130では、処方に基づいて販売したコンタクトレンズのメーカー名,商品名,度数などのレンズパラメータ,購入箱数などの販売データ144が、顧客管理情報142の一部として保存される(ステップS84)。なお、眼科200による診察代は、コンタクトレンズの購入費用とともに、販売店100に支払い、販売店100が該当する眼科200に支払う。

【0029】

以上のように、本実施例によれば、コンタクトレンズの販売店でオンライン診療を行うこととしたので、

a,眼科200に行くことなく、コンタクトレンズ販売店100内でコンタクトレンズ装用に必要な検査を実施して、オンライン診療とコンタクトレンズ店舗販売を連携させることにより、感染症の影響を可能な限り減らしながら、眼の安全を守る処方箋に基づいたコンタクトレンズ店舗販売を実現できる。

b,眼科医の居場所に関係なく、顧客300の検査情報をインターネット回線経由で眼科200に送信し、オンラインで問診・検査・診断・処方を実施することにより、顧客300に最適なコンタクトレンズをその場で販売でき、非常に効率的である。

c,眼科医の空き時間を利用してオンライン診療を行うことで、医師不足の緩和にも対応できる。

d,処方されたコンタクトレンズを試用し、必要があれば、その場で再度診断を受けて処方を受けることで、より適合したコンタクトレンズを購入することができる。」

「【図1】

77

115

0001435039000001.jpg

「【図2】

77

106

0001435039000002.jpg

「【図3】

116

74

0001435039000003.jpg

(2)当審の判断(発明該当性)

ア 発明の詳細な説明に記載された技術的意義について

(ア)本願は、上記(1)アのとおり、眼科医の処方箋に基づいてコンタクトレンズを購入する場合、現状は、コンタクトレンズの購入希望者が眼科医で診療を受けることになるが、現在行われているオンライン診療は、インターネット回線とビデオ機能を利用した診察であり、肉眼による充血などの眼の表面的な画像判断しかできず、眼の微細な傷や角膜の浮腫,結膜炎などの病状を確認する各種の検査ができず、眼科医が診断を行って処方箋を出すためには、各種専門機器による検査が必要であり、現状、オンライン診療をもとにした安全なコンタクトレンズの販売は難しい状況にあることを、発明が解決しようとする課題としている。

(イ)そして、上記課題を解決するために、上記(1)イのとおり、ネットワークに、コンタクトレンズの販売店と眼科が接続されており、前記販売店には検査機器が設置されており、前記眼科には診察用端末が設置されており、前記検査機器を利用して顧客の検査を行うとともに、その結果を前記ネットワークを通じて前記眼科に送信し、前記眼科では、受信した検査結果を参照して、前記顧客の眼の診断を行うとともに、コンタクトレンズの処方箋を発行して前記ネットワークを通じて前記販売店に送信し、前記顧客は、前記処方箋に基づいて、前記販売店でコンタクトレンズを購入することを特徴とするコンタクトレンズ診療販売システムの構成を採用するものである。

(ウ)これにより、上記(1)ウのとおり、オンライン診療時に、販売店にて検査を行うこととしたので、感染症の影響を避けつつ、眼科医による的確な診断と処方箋の発行を行うことができ、処方箋に基づく適切なコンタクトレンズを購入することができ、また、眼科医の空き時間を有効に活用して医師不足の緩和にも対応することができる、との効果を奏するものである。

(エ)具体的には、上記(1)エのとおり、コンタクトレンズ販売店100と眼科200が、インターネット12を介してネットワーク接続されており、通常は、眼科に設置されている検査機器120が、販売店100に用意されており、眼科200には、診療用端末210が設けられており、販売店100では、検査機器120による検査を店舗スタッフが実施し、その結果を眼科200に送信し、眼科200は、検査結果を参照して診断を行い、処方箋を提示し、販売店100に送信し、顧客300は、処方されたコンタクトレンズを購入するものである。

(オ)そして、上述した課題、課題解決手段及び効果の説明を総合すると、その技術的意義は、従前は眼科にて行われていた、コンタクトレンズの販売に必要な処方箋を発行するために必要な各種専門機器による検査を「販売店にて」行うことにしたので、眼科医の空き時間を有効に活用して診断と処方箋の発行を行うことができ、感染症の影響を避けつつ、処方箋に基づく適切なコンタクトレンズを購入することができる、というものである。

イ 本願発明の構成について

(ア)本願発明における「ネットワークに、コンタクトレンズの販売店と眼科が接続されており、」、「前記販売店には検査機器が設置されており、」、「前記眼科には診察用端末が設置されており、」及び「コンタクトレンズ診療販売システム」という構成要件は、上記アからみて、検査機器が設置されたコンタクトレンズの販売店と、診察用端末が設置された眼科とを、ネットワークで接続したシステムを特定したものであるが、そのシステムで送受信され前記ネットワークによって可能にされる情報自体は、「検査結果」や「処方箋」といったその情報自体に社会的な意味がある一方、技術的には通常のコンピュータネットワーク上で実施される情報の送受信と比べて、特段の技術的意義が加えられたものではない。また、それに伴う、「検査機器」、「診察用端末」及び「ネットワーク」といったハードウェア資源における、検査の「結果」や「処方箋」の情報、並びに、「送信」や「受信」という処理も、そのハードウェア自体が持つ機能に、特段の技術的意義が加えられたものではない。

(イ)そして、本願発明を全体としてみると、上記アからみて、その構成は、従前は「眼科にて」行われていた、コンタクトレンズの販売に必要な処方箋を発行するために必要な各種専門機器による検査を「販売店にて」行うことにしたので、眼科医の空き時間を有効に活用して診断と処方箋の発行を行うことができ、感染症の影響を避けつつ、処方箋に基づく適切なコンタクトレンズを購入することができるように構成されたシステムを特定したものであるが、上記イ(ア)からみて、本願発明は、そのシステムを構成する「検査機器」、「診察用端末」及び「ネットワーク」といったハードウェア資源や、検査の「結果」や「処方箋」の情報、並びに、「送信」や「受信」という処理を、通常の技術的な利用形態で利用することを特定することにすぎず、本願発明の構成の技術的意義は、コンタクトレンズの販売に必要な処方箋を発行するために必要な各種専門機器を用いた検査を実施する者を、「眼科側の眼科医」から、「コンタクトレンズ販売店側の店舗スタッフ」に変更したことに尽きるというべきである。

(カ)そうすると、そのような検査業務の担当者の変更は、ビジネスモデルそれ自体の修正に向けられたものであるのだから、本願発明の本質は、専ら人為的な取り決めのみに向けられたものであるというしかない。

(キ)したがって、本願発明は、その本質が、人為的な取り決め自体に向けられているものであり、自然界の現象や秩序について成立している科学的法則を利用するものではないから、全体として「自然法則を利用した」技術的思想の創作には該当しない。

(ク)以上によれば、本願発明は、特許法第2条第1項に規定する「発明」に該当しないものである。

(3)請求人の主張について(発明該当性)

ア 請求人の主張の概要

請求人は、審判請求書において、特許法第29条第1項柱書について、概略、以下のとおり主張している。

本願発明は、検査機器、診察用端末といったハードウェアを使用し、

前記検査機器を利用して顧客の検査を行うとともに、その結果を前記ネットワークを通じて前記眼科に送信し、且つ、前記眼科では、受信した検査結果を参照して、前記顧客の眼の診断を行うとともに、コンタクトレンズの処方箋を発行して、前記ネットワークを通じて前記販売店に送信

し、「ソフトウエアによる情報処理がハードウエア資源を用いて具体的に実現」されており、オンライン診療時に、販売店にて検査を行うこととしたので、感染症の影響を避けつつ、眼科医による的確な診断と処方箋の発行を行うことができ、処方箋に基づく適切なコンタクトレンズを購入することができ、また、眼科医の空き時間を有効に活用して医師不足の緩和にも対応することができる効果を有するものであるから、人間の精神活動を介在させた原理や法則、社会科学上の原理や法則、人為的な取り決めなどを利用したものではなく、特許法第29条第1項柱書に規定する「発明」に該当する。

イ 当審の見解(発明該当性)

上記(2)イ(イ)で示したとおり、本願発明の意義は、コンタクトレンズの販売に必要な処方箋を発行するために必要な各種専門機器を用いた検査を実施する者を、「眼科側の眼科医」から、「コンタクトレンズ販売店側の店舗スタッフ」に変更したことに尽きるのであって、請求人のいう「検査機器」、「診察用端末」及び「ネットワーク」といったハードウェア資源や、検査の「結果」や「処方箋」の情報、並びに、「送信」や「受信」という処理はいずれも、上記のとおり、それ自体については何ら技術的意義が加えられることなく、通常の技術的な利用形態で利用することを特定することに過ぎず、上記の本願発明の意義を実現するための単なる手段として用いられているのにすぎない。

そして、このような場合には、上述のハードウェア資源を用いて情報が処理されるという、一見技術的手段に見えるものが構成に含まれているとしても、本願発明は、全体として「自然法則を利用した」技術的思想の創作には該当しないものというべきである。

2 理由2(進歩性)について

(1)引用文献の記載

原査定の拒絶の理由で引用された特表2016-503537号公報(以下「引用文献」という。)には、図面とともに次のア~コの事項が記載されている(下線は当審において付与した。以下同様)。

ア 「【0026】

図1は、所定の実施の形態による

目の検査及び評価システム

の絵図である。図1に示すように、

システムは、

一般的なハードウェアコンポーネント、機械装置、電子機器、コンピュータハードウェア及びソフトウェア並びに顧客が目の健康診査及び/又は視力検査を受診できるようにする他の適切なコンポーネントのような種々のコンポーネントを有する

顧客診断センター10を有

する。所定の実施の形態において、

顧客診断センター10は、

顧客に対して広範囲の検査及び手順を実行するための屈折計、レンズ測定計、眼圧計、生物顕微鏡等のような

種々の眼科用機器及び器具を有

する。所定の実施の形態において、顧客診断センター10は、顧客からの入力、選択、応答及び他のデータを受信するとともに種々の情報を顧客に出力する顧客インタフェースのような一つ以上のインタフェースを有する。

顧客診断センター10は、

図1に示す

ネットワーク50

のような一つ以上のネットワーク

を通じて

種々の

のシステム及び装置

と通信を行う

ネットワークインタフェースを有してもよい。所定の実施の形態において、顧客診断センター10は、施設内の専門家又はオペレータが眼科用機器及び器具(又はその一部)及び/又は顧客に対する検査及び手順の実行を監視又は制御できるようにするオペレータインタフェースを有してもよい。」

イ 「【0028】

所定の実施の形態において、顧客診断センター10を、ブース又は他の適切な筐体のような内蔵構造の形態で設けてもよい。所定のこれらの実施の形態において、複数の構造を設けてもよく、その各々は、顧客診断センター10の所定のコンポーネントを有してもよい。所定のこれらの実施の形態において、顧客診断センター10を、顧客が入る及び/又は着席することができるのに十分なサイズとしてもよい。所定の他の実施の形態によれば、

顧客診断センター10

(又はその一部)

を、売店

、ターミナル等

ような独立

形態で設け

てもよく、又は、眼鏡若しくはコンタクトレンズ販売機若しくは眼鏡及びコンタクトレンズの観察、(例えば、物理的又は仮想的な)試着、カスタマイズ、注文及び/又は購買に関連する他のタイプの装置のような一つ以上の既存の構造内に組み込んでもよい。更に別の実施の形態によれば、顧客診断センター10を、ここで説明する種々のコンポーネントを収容するとともに顧客が目の健康診査及び視力検査を受診することができるようにするのに適切な任意の構造及び形態で設けてもよい。」

ウ 「【0034】

所定の実施の形態において、

顧客診断センター10

及び/又はCDCサーバ20

は、

図1に示す

遠隔開業医装置30

のような開業医に関連する一つ以上の装置

を通じて遠隔アイケア開業医と

インタフェースで

接続し

てもよい。遠隔開業医装置30を、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、ラップトップコンピュータ、タブレット、スマートホン、PDA又は遠隔開業医による一つ以上のネットワーク(例えば、ネットワーク50)を通じたデータの受信、アクセス、観察及び/又は送信を可能にする任意の他の装置のような演算装置としてもよい。所定の実施の形態において、

遠隔アイケア開業医を、

有資格の検眼医又は

眼科医とし

てもよい。他の所定の実施の形態において、遠隔アイケア開業医を、アイケア専門家、又は、適任である、資格を有する若しくは一つ以上の目の健康診査及び視力検査を実行又は監視する及び/又はそのような検査及び手順の実行に関連するデータ及び結果に基づいて診断、報告、処方若しくは提言を検査、分析及び提供することができる他の個人としてもよい。」

エ 「【図1】

90

122

0001435039000004.jpg

オ 「【0035】

所定の実施の形態によれば、

顧客診断センター10を通じて顧客に対して実行される目の健康診査及び視力検査

に関連する種々

のデータを、遠隔開業医装置30の遠隔開業医に送信

(又はアクセス可能に)

してもよ

い。例えば、顧客診断センター10にアクセスするとともに所定の目の健康診査及び視力検査を受診する顧客に応答して、

顧客検査データを

、遠隔開業医による検討のために遠隔開業医装置30に

送信し

てもよい。所定の実施の形態において、

顧客検査データは、

顧客に関連するデータ(例えば、顧客の名前、年齢、性別、民族、病歴、過去の検査結果等)及び

顧客に対して実行された検査の

一つ以上に関連するデータ(例えば、顧客からの応答、入力及び選択、計器測定及び測定値、

検査結果

等)

を含

んでもよい。所定のこれらの実施の形態において、顧客検査データは、遠隔開業医が顧客の目の健康診査及び視力検査を評価する、所定の疾患、異常及び病状の検出及び診断する、及び/又は、検査及び手順の一つ以上が正確に実行されたことの確認するのを可能にする(又は支援する)種々の他のデータを含んでもよい。」

カ 「【0042】

上述したように、CDCサーバ20が一つ以上の装置及びシステム(例えば、開業医装置30及び顧客装置40)に対する所定のデータの通信を管理、促進及び/又は制御する種々の例を記載しているが、これらの例は、例示であるとともに限定するものでないことを意図する。目の診査及び検査システム及び/又は種々の第三者又は外部システムに含まれる一つ以上の他の装置若しくはコンポーネント又は外部システム、装置及びコンポーネントによってこれら(及び種々の他の)通信を管理、促進及び/又は制御できることを理解すべきである。例えば、顧客診断装置10がCDCサーバ20及び/又はデータベースサーバ22に関連する機能の一部又は全てを組み込む場合のような所定の実施の形態において、

顧客診断センター10は、顧客検査データを遠隔開業医装置30に直接送信してもよ

い、及び/又は、ウェブ若しくはネットワークに基づくサービス又はクライアントソフトウェアアプリケーションを通じてデータを遠隔開業医装置30に対してアクセス可能にしてもよい。同様に、所定の実施の形態において、顧客診断センター10は、遠隔開業医装置30及び/又は遠隔地の専門家に関連する装置とのリアルタイム接続を確立し、かつ、顧客装置40及び/又は光学研究所サーバ90のような種々の他のシステム及び装置との通信を管理してもよい。」

キ 「【0101】

所定のこれらの実施の形態において、この工程は非同期的に生じてもよい。換言すれば、顧客が視力検査及び/又は目の健康診査を受診した後、システムは、顧客データ及び

顧客検査データを遠隔開業医に配送

(又はウェブベースサービス及び/又は遠隔開業医装置にインストールされたソフトウェアアプリケーションを介して遠隔開業医に利用できるように)してもよい。その後、

遠隔開業医は、

データを審査及び分析し、

顧客の

視力及び

の健康の種々の態様を

診断

及び確認

、かつ、(例えば、顧客診断センター、顧客に関連した装置等において)顧客に送信又は利用可能にすることができる

顧客評価データ

(例えば、視力診断書、眼の健康医診断書、光学的な処方等)

を生成及び

/又は

返信し

てもよい。」

ク 「【0109】

顧客が顧客診断センターを通じて視力検査を受診する場合のような所定の実施の形態において、

顧客評価データは、光学的な処方、光学的な仕様のセット及び

/又は眼鏡及び/又は

コンタクトレンズの注文

(例えば、FDA Class I,OTC医療機器)

ような視力評価

データを有し

てもよい。顧客評価データを遠隔開業医から受信した(又は受信したデータに基づかせた)場合のような所定のこれらの実施の形態において、光学的な処方(及び/又は光学的な仕様又は注文)を、(例えば電子署名又は同様な機構を用いて)遠隔開業医によって署名するとともに日付を付けてもよい。光学的な処方は、有効期限を示しても示さなくてもよい、及び/又は、光学的な処方を顧客の選択した光学的なディスペンサー(optical dispenser)によって満たすことができることを顧客に示してもよい。」

ケ 「【0128】

顧客評価データを、コンピュータネットワーク(例えば、インターネット)を通じて顧客診断センターから診断センターサーバに送信する(ステップ630)。診断センターサーバは、顧客検査データの全て又は一部を格納してもよい。診断センターサーバは、開業医装置が顧客検査データにアクセスするのを可能にするために一つ以上の開業医装置に対するアクセスを提供する(ステップ640)。これによって、

開業医装置を操作する開業医は、一つ以上の検査が顧客に対して実行される顧客診断センターから遠く離れて配置された位置から顧客検査データを検討できるようになる

。所定の実施の形態において、開業医は、検査が顧客に対して実行されているときにリアルタイムで顧客検査データにアクセスしてもよい。所定の実施の形態において、

開業医は、

検査が顧客に対して実行された後に

顧客検査データにアクセスし

てもよい。」

コ 「【0133】

所定の実施の形態によれば、顧客診断センター及び/又は目の検査及び評価システムを、顧客に対して一つ以上の視力及び/又はアイケア関連の製品及びサービスを推奨するように構成してもよい。例えば、目の検査及び評価システムは、顧客データ(例えば、所得、性別、年齢、以前に購入した製品等)及び/又は

顧客

検査及び

評価データ

(例えば、屈折誤差、

光学的な仕様

、乱視等)

のような

顧客に関連する

種々の情報に基づいて

顧客に勧めるために一つ以上の

製品を選択し

てもよい。同様に、目の検査及び評価システムは、例えば、同様な特性、背景、疾患等を有する顧客によって購入された製品を識別することによって、種々の他の顧客に関連するデータに基づいて顧客に対する製品の推奨を決定してもよい。所定の他の実施の形態において、製品の推奨は、一つ以上の第三の販売者(例えば、製品及びサービスを強調するために礼金を支払う販売者)に関連する「優先的な」地位("preferred" status)に基づいてもよい。

【0134】

所定の実施の形態において、顧客が一つ以上の製品及びサービスを閲覧及び選択した後に、

顧客は、選択した製品

及びサービス

を顧客診断センターを通じて

注文及び/又は

購入できるようにし

てもよい。所定のこれらの実施の形態において、顧客診断センター及び/又は目の検査及び評価システムは、注文データ、顧客データ及び/又は顧客評価データ(例えば、光学的な仕様)のような種々のデータを購入した製品及びサービスに関連する第三者に転送してもよい。」

(2)引用発明

ア 上記(1)アからみて、引用文献には、「目の検査及び評価システム」が有する「顧客診断センター10」が、顧客に対して広範囲の検査及び手順を実行するための屈折計、レンズ測定計、眼圧計、生物顕微鏡等のような「種々の眼科用機器及び器具」を有するとともに「ネットワーク50」を通じて他と通信を行えることが記載されている。

また、上記(1)イからみて、引用文献には、前記顧客診断センター10を「売店」の形態で設けることが記載されている。

更に、上記(1)ウからみて、引用文献には、前記「顧客診断センター10」が、遠隔開業医装置30を通じて「遠隔アイケア開業医と」インターフェースで「接続」することが記載されており、上記(1)エからみて、前記「接続」は、「ネットワーク50」への接続であるといえる。

そして、上記(1)ウには、前記遠隔アイケア開業医を「眼科医」とすることも記載されているから、前記遠隔開業医装置30は、「眼科医である」前記遠隔アイケア開業医「側に設けられ」たものであるといえる。

そうすると、引用文献には、「ネットワーク50に、売店である顧客診断センター10と、眼科医である遠隔アイケア開業医が接続されており、」「前記売店である顧客診断センター10は種々の眼科用機器及び器具を有しており、」「前記眼科医である遠隔アイケア開業医側には遠隔開業医装置30が設けられており、」及び「目の検査及び評価システム。」という発明特定事項が記載されていると認められる。

イ 上記(1)オからみて、引用文献には、「顧客診断センター10を通じて顧客に対して実行される目の健康診査及び視力検査」のデータである「顧客検査データ」を「遠隔開業医装置30の遠隔開業医に送信」すること、及び、前記顧客検査データが「顧客に対して実行された検査」の「検査結果」を含むことが記載されており、ここで、前記遠隔開業医とは、上述した「眼科医である遠隔アイケア開業医」のことであって、顧客診断センター10を通じて顧客に対して実行される前記検査は、上述した「種々の眼科用機器及び器具」を利用して実行されていると、当業者は理解するものである。

また、上記(1)カからみて、引用文献には、前記顧客検査データが、顧客診断センター10から遠隔開業医装置30へ直接送信することが記載されており、上記(1)エからみて、前記直接送信とは、顧客診断センター10から「ネットワーク50を通じて」遠隔開業医装置30へ送信されることであるといえる。

そうすると、引用文献には、「前記種々の眼科用機器及び器具を利用して顧客に対して検査を実行し、その検査結果を含む顧客検査データを前記ネットワーク50を通じて前記眼科医である遠隔アイケア開業医に送信し、」という発明特定事項が記載されていると認められる。

ウ 上記(1)ケからみて、引用文献には、検査が顧客に対して実行される顧客診断センターから遠く離れて配置された位置において、開業医装置を操作する開業医が、前記顧客検査データに「アクセス」して検討することが記載されており、ここで、前記開業医とは、上述した「眼科医である遠隔アイケア開業医」のことであって、前記開業医は、前記顧客検査データを「受信した」上でアクセスしていると、当業者は理解するものである。

また、上記(1)キからみて、引用文献には、前記顧客検査データが配送された遠隔開業医が、「顧客の目を診断」するとともに、「顧客評価データを生成して返信」することが記載されており、ここで、前記返信では、前記顧客評価データを「前記ネットワーク50を通じて前記売店である顧客診断センター10に」返信していると、当業者は理解するものである。

更に、上記(1)クからみて、引用文献には、前記顧客評価データは、「光学的な処方、光学的な仕様のセット及びコンタクトレンズの注文のデータ」を有することが記載されている。

そうすると、引用文献には、「前記眼科医である遠隔アイケア開業医は、受信した前記顧客検査データにアクセスして、前記顧客の目を診断するとともに、光学的な処方、光学的な仕様のセット及びコンタクトレンズの注文のデータを有する顧客評価データを生成して、前記ネットワーク50を通じて前記売店である顧客診断センター10に返信し、」という発明特定事項が記載されていると認められる。

エ 上記(1)コからみて、引用文献には、前記顧客評価データの「光学的な仕様のような情報に基づいて」「製品を選択」すること、及び、顧客が、「選択した商品」を「顧客診断センターを通じて」「購入できるように」することが記載されている。

そうすると、引用文献には、「前記顧客評価データの光学的な仕様のような種々の情報に基づいて選択した製品を、前記売店である顧客診断センター10を通じて顧客が購入できるようにされた、」という発明特定事項が記載されていると認められる。

オ 上記ア~エからみて、引用文献には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「ネットワーク50に、売店である顧客診断センター10と、眼科医である遠隔アイケア開業医が接続されており、

前記売店である顧客診断センター10は種々の眼科用機器及び器具を有しており、

前記眼科医である遠隔アイケア開業医側には遠隔開業医装置30が設けられており、

前記種々の眼科用機器及び器具を利用して顧客に対して検査を実行し、その検査結果を含む顧客検査データを前記ネットワーク50を通じて前記眼科医である遠隔アイケア開業医に送信し、

前記眼科医である遠隔アイケア開業医は、受信した前記顧客検査データにアクセスして、前記顧客の目を診断するとともに、光学的な処方、光学的な仕様のセット及びコンタクトレンズの注文のデータを有する顧客評価データを生成して、前記ネットワーク50を通じて前記売店である顧客診断センター10に返信し、

前記顧客評価データの光学的な仕様のような種々の情報に基づいて選択した製品を、前記売店である顧客診断センター10を通じて顧客が購入できるようにされた、

目の検査及び評価システム。」

(3)対比

本願発明と引用発明とを対比する。

ア 引用発明の「ネットワーク50」は、本願発明の「ネットワーク」と一致する。

イ 引用発明の「売店である顧客診断センター10」は、本願発明の「販売店」に相当するから、引用発明の「前記売店である顧客診断センター10は種々の眼科用機器及び器具を有しており、」は、本願発明の「前記販売店には検査機器が設置されており、」に相当する。

ウ 引用発明の「眼科医である遠隔アイケア開業医」は本願発明の「眼科」に相当する。また、引用発明の「前記眼科医である遠隔アイケア開業医は、受信した前記顧客検査データにアクセスして、前記顧客の目を診断するとともに」との事項から、遠隔アイケア開業医は、遠隔開業医装置30を用いて当該アクセス、診断を行うことは明らかであることから、遠隔開業医装置30は、診察用の端末ということができる。よって、引用発明の「前記眼科医である遠隔アイケア開業医側には遠隔開業医装置30が設けられており、」は、本願発明の「前記眼科には診察用端末が設置されており、」に相当する。

エ 引用発明の「顧客検査データ」に含まれる「検査結果」は、本願発明の「検査結果」に相当するから、上記ア~ウを踏まえると、引用発明の「前記種々の眼科用機器及び器具を利用して顧客に対して検査を実行し、その検査結果を含む顧客検査データを前記ネットワーク50を通じて前記眼科医である遠隔アイケア開業医に送信し、」は、本願発明の「前記検査機器を利用して顧客の検査を行うとともに、その結果を前記ネットワークを通じて前記眼科に送信し、」に相当する。

オ 上記エを踏まえると、引用発明の「前記眼科医である遠隔アイケア開業医は、受信した前記顧客検査データにアクセスして、前記顧客の目を診断するとともに、」は、本願発明の「前記眼科では、受信した検査結果を参照して、前記顧客の眼の診断を行うとともに、」に相当する。

カ 引用発明の「光学的な処方、光学的な仕様のセット及びコンタクトレンズの注文のデータを有する顧客評価データ」は、本願発明の「コンタクトレンズの処方箋」とでは、「コンタクトレンズの処方に関するデータ」との点で共通する。また、上記ア及びイを踏まえると、引用発明の「光学的な処方、光学的な仕様のセット及びコンタクトレンズの注文のデータを有する顧客評価データを生成して、前記ネットワーク50を通じて前記売店である顧客診断センター10に返信し、」は、本願発明の「コンタクトレンズの処方に関するデータを発行して、前記ネットワークを通じて前記販売店に送信し、」との点で一致し、本願発明が「コンタクトレンズの処方箋」を発行するのに対し、引用発明では「光学的な処方、光学的な仕様のセット及びコンタクトレンズの注文のデータを有する顧客評価データ」を生成して返信する点で相違する。

キ 引用発明の「前記顧客評価データの光学的な仕様のような種々の情報に基づいて選択した製品」は、上記カを踏まえると、本願発明の「コンタクトレンズ」に相当するから、引用発明の「前記顧客評価データの光学的な仕様のような種々の情報に基づいて選択した製品を、前記売店である顧客診断センター10を通じて顧客が購入できるようにされた、」は、本願発明の「前記処方に基づいて、前記販売店でコンタクトレンズを購入することを特徴とする」に相当する。

ク 上記カ及びキを踏まえると、引用発明の顧客診断センター10を通じて、顧客は「コンタクトレンズ」を購入するのだから、引用発明の「売店である顧客診断センター10」は、本願発明の「コンタクトレンズの販売店」に相当するものであり、上記ア及びウも踏まえれば、引用発明の「ネットワーク50に、売店である顧客診断センター10と、眼科医である遠隔アイケア開業医が接続されており、」は、本願発明の「ネットワークに、コンタクトレンズの販売店と眼科が接続されており、」に相当する。

ケ 上記クを踏まえると、引用発明の「目の検査及び評価システム。」は、全体として、コンタクトレンズの診療販売を行うシステムとして機能するといえるから、本願発明の「コンタクトレンズ診療販売システム。」に相当する。

(4)一致点・相違点

上記(3)での対比を踏まえると、本願発明と引用発明とは、以下の点で、一致し、また相違する。

【一致点】

ネットワークに、コンタクトレンズの販売店と眼科が接続されており、

前記販売店には検査機器が設置されており、

前記眼科には診察用端末が設置されており、

前記検査機器を利用して顧客の検査を行うとともに、その結果を前記ネットワークを通じて前記眼科に送信し、

前記眼科では、受信した検査結果を参照して、前記顧客の眼の診断を行うとともに、コンタクトレンズの処方に関するデータを発行して、前記ネットワークを通じて前記販売店に送信し、

前記処方に基づいて、前記販売店でコンタクトレンズを購入することを特徴とするコンタクトレンズ診療販売システム。

【相違点】

コンタクトレンズの処方に関するデータとして、本願発明が「コンタクトレンズの処方箋」を発行するのに対し、引用発明では「光学的な処方、光学的な仕様のセット及びコンタクトレンズの注文のデータを有する顧客評価データ」を生成して返信する点。

(5)判断

引用発明では「光学的な処方、光学的な仕様のセット及びコンタクトレンズの注文のデータを有する顧客評価データ」を生成するものであり、いわゆる「処方箋」を生成することは記載されていないが、日本国内においては、眼科医が処方箋を発行し、販売店でコンタクトレンズを販売する制度となっていることから、前記顧客評価データに代えて、眼科が処方箋を発行して、前記ネットワークを介して通じて前記販売店に送信するようにすることは、当業者が容易に想到することができた事項である。

したがって、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(6)請求人の主張について(進歩性)

ア 請求人の主張の概要

請求人は、審判請求書において、特許法第29条第2項について、概略、以下の(ア)~(ウ)について主張している。

(ア)本願発明の課題は「感染症の影響を避けつつ、必要な検査を行って眼科医による的確な診断と

処方箋の発行を行い、処方箋に基づくコンタクトレンズの購入を可能とする

コンタクトレンズを販売するコンタクトレンズ診療販売システムの提供」にあるのに対して、引用発明の課題は、「目の健康診断書を、ネットワークを通じて顧客に提供するシステムの提供」にあり、両発明の課題は大きく異なるから、引用発明の構成から出発して、引用発明とは発想の方向が大きく異なりコンタクトレンズに特化した本願発明の構成に到達できないから、本願発明の進歩性を否定できない。(理由1)

(イ)引用文献には、本願発明のような「処方箋に基づいて、コンタクトレンズを購入できる販売店」の記載はなく、引用文献には、「感染症の影響を避けつつ、必要な検査を行って眼科医による的確な診断と処方箋の発行を行い、

処方箋に基づくコンタクトレンズの購入を可能とすることができるコンタクトレンズ診療販売システム

」への着眼点がなく、本願発明のようなコンタクトレンズに特化した構成に相当する構成や、本願発明の構成を示唆する記載がないから、本願発明の進歩性を否定できない。(理由2)

(ウ)本願発明の「検査機器」は、コンタクトレンズの販売店に設置された検査機器であって、引用文献に記載された顧客診断センターに設置された検査機器と同一視できず、引用文献には、本願発明の構成が記載も示唆もされておらず、引用文献には、本願発明のような「オンライン診療時に、販売店にて検査を行うこととしたので、感染症の影響を避けつつ、眼科医による的確な診断と処方箋の発行を行うことができ、処方箋に基づく適切なコンタクトレンズを購入することができる」という効果が期待できないから、本願発明は、引用発明から容易な発明ではない。(理由3)

イ 当審の見解(進歩性)

当審において引用文献の記載から認定した引用発明は、上記(2)オにて示したとおりのものである。

そして、そのように認定された引用発明(引用文献1に記載された発明)の構成から出発して、本願発明(請求項1に係る発明)の構成に到達できることは、上記(3)~(5)で検討したとおりである。

してみれば、上記理由1~3に関しては、引用文献においても販売店である顧客診断センター10で、コンタクトレンズを購入できることが記載されていることから、前記理由1~3は引用文献に基づいた主張とはいえず、採用することができない。

また、そのように認定された引用発明(引用文献1に記載された発明)の構成であれば、引用文献1の【0128】に記載された「開業医装置を操作する開業医は、一つ以上の検査が顧客に対して実行される顧客診断センターから遠く離れて配置された位置から顧客検査データを検討できるようになる。」という効果を奏することができるのだから、これを踏まえると、請求人が主張する課題及び効果は、引用文献1からみて予測可能な範囲にとどまるものにすぎない。

よって、請求人の上記ア(ア)~(ウ)に係る主張については、いずれも採用できない。

第6 むすび

上記第5の1で示したとおり、本願発明は、特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしておらず、特許を受けることができない。

また、本願発明が特許法上の発明に該当するとしても、上記第5の2で示したとおり、本願発明は、引用文献に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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